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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2019年9月

東京非鉄が事業部・青年部会共催で住商事件の講演会

 東京非鉄金属商工協同組合(理事長=小林秀之・秀邦金属社長)は9月27日、 墨田区両国の「第一ホテル両国」において事業部(部長=田子政夫・田子金属社長)・青年部会(部会長=米澤博之・米澤商店専務)共催による講演会を開催した。
 23年前とは言え、当時世界の非鉄金属業界を震撼させた住商銅巨額損失事件の事実上の後始末を住商ロンドンで担うことになった江守哲氏(現・エモリキャピタルマネジメント㈱社長)が講師とあって、 当日は事件を知らない若手を含めた50余名が出席、「非鉄金属取引におけるリスク及びその対処法」と題する講演に聞き入った。
 江守氏は、我が国やASEANを含め世界全体でマネーや銅を始めとした金属素材の需要が拡大するトレンドの中で表面化した様々な金融・資源簿外取引の一つである住商事件の内幕に触りながら、この事件で学んだ企業の市場取引に対する取り組み等について語った。
 また、終盤では来年以降の銅を巡る相場見通しについて、独自の観点から「様々な世界経済指標動向、特に中国等、世界最大の銅消費国等のセンチメントから導かれる見通しは、 個人的には既に底打ちに入っており、年明け以降上昇に転じてもおかしくない市場環境を迎える可能性が強まってきそうだ」と語った。
 更に、トランプ米大統領に振り回されている観の強い現在の世界情勢について、次の大統領選はトランプ 氏(共和党政権)の勝利と米株の上昇トレンドを指摘した。


日資連青年部有志が令和元年台風15号暴風雨被災地・千葉県富津市の災害ボランティアに参加

 日資連青年部のメンバー4名は9月23日、先の令和元年台風15号の暴風雨被災地である千葉県富津市に災害ボランティアとして参加した。
 現地ではボランティアセンターが開設してからまだ1週間しか経っていないせいか、ニーズ調査もうまくいっていないようすで、報道されていない被災の爪跡が所々に見受けられた。
 まだまだ復興には程遠い状況で、今回のメンバーは、「今後も何かしらの形で復興のお手伝いができたらと思いますので、ご協力のほどよろしくお願いします。」と語っている。


東京製鐵 WWFジャパン「企業の温暖化対策ランキング」鉄鋼メーカーで1位に

 東京製鐵株式会社(西本利一社長、以下「東京製鐵」)は、先ごろ(公財)世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)による「企業の温暖化対策ランキング」Vol. 11「素材産業②・エネルギー」編において、日本の鉄鋼メーカー7社の中で第1位に選定された。
 WWFジャパンは、温室効果ガスの大規模排出業種は長期目標の設定などで脱炭素に舵をきるべきとして、日本企業による温暖化対策を後押しするため、各企業における取組みを同一指標にて横断的に評価する、「企業の温暖化対策ランキング」プロジェクトを実施している。今回はその第11弾として、「電気・ガス業」、「石油・石炭製品」、「鉄鋼」、「非鉄金属」、「金属製品」、「鉱業」の6業種に属する計42社を調査したもの。
 各業種内で偏差値60以上を記録した、高スコアの上位企業は東京ガス、九州電力、コスモエネルギーHD、東京製鐵、フジクラ、LIXILグループ、東洋製罐グループHDの計7社。特に、東京製鐵、東洋製罐グループHD、フジクラはパリ協定に沿った長期ビジョンを掲げていた。
 東京製鐵は、高炉法にくらべてCO2排出量の少ない電炉法を用い、2050年に自らの排出を50%程度削減し、LC全体では80%削減するという長期での総量目標を掲げていることから、全6業種・42社の中でも最高スコアの83.3を獲得。
 なお、上の表に掲載される上位企業には入っていないものの、再生可能エネルギーの自社での活用について、定量的な目標を掲げている企業は、今回は古河電気工業1社のみだった。
 世界的潮流となりつつある1.5度目標のもと、2050年にCO2排出実質ゼロに向けて、政府が目標を引き上げ、政策的支援の厚みを増すなどして、各企業の底上げを図ることが急務となっている。
 今回の業種には、「電気・ガス業」、「鉄鋼」など、産業部門の中でも排出量が最大規模であり、日本の脱炭素化の成否の鍵を握るセクターが含まれている。
 東京製鐵は、気候変動問題を重要な経営課題の一つと位置付けており、長期環境ビジョンである「Tokyo Steel Eco Vision 2050」を掲げ、これからも地球環境に優しい電炉鋼材の特徴を生かし、さらなる企業価値の向上と、持続可能な社会の実現に向けた取組みを継続して行くとしている。


静脈メジャー化 リバーHDが解体2社と提携 解体更新期需要狙う

 リバーHD株式会社は9月3日、株式会社イボキン(本社・兵庫県たつの市)、べステラ株式会社(本社・東京都江東区)の2社と、それぞれ資本業務提携を結んだことを明らかにした。
 イボキンは、昭和59年に揖保川金属株式会社として法人化。再生資源としては金属スクラップや自動車スクラップを取り扱うほか、各種産業廃棄物、建築物の解体工事なども行い、解体~リサイクルまでワンストップで担えることを強みに事業を拡大してきた。リバーHDとは2015年6月に、イボキンを含む全国の再生資源製造業者6社との間で日本を代表する「静脈メジャー」として、資源、エネルギー分野における国家戦略の一翼を担う事業を行うことを目的とした包括業務提携契約を締結し、かねて協力関係を築いてきた。今回の業務提携でさらに踏み込み、両社の持つ経営資源とノウハウを相互に補完する体制を整える。今後、解体更新の時期をむかえる日本の高度経済成長期に建設された膨大な建築・建造物の安全で環境保全に配慮した解体工事を推進するとともに、発生する再生資源の適切で効率的な資源循環サービスを提供する。
 べステラは1974年創業の解体業者で、電力、製鉄、石油精製、石油化学などの大規模なプラント設備の工事を中心に全国各地での多数の工事実績を持つ。球形貯槽(ガスタンク)をりんごの皮を剥いていくように切断を行う「リンゴ皮むき工法」などの複数の解体特許工法や、長年のプラント解体で蓄積されたPCB含有の変圧器(トランス)などを無火気で解体するなどの独自のノウハウを有している。
 なお、今回の業務提携で、イボキンはリバーHDの筆頭株主である産業革新投資機構(以下「INCJ」。旧産業再生法に基づき設立された官民出資の投資ファンド)が保有するリバーHDの普通株式 20万5000株(比率1.2%、取得価額2億336万円)を取得。べステラはINCJの保有するリバーHD社の株式250万株(比率14.59%、取得価額24億8000万円)を取得した。
 リバーHDでは、2015年から、2025年を視野に入れた中長期ビジョンとして「日本の静脈産業プラットフォーム(基盤)へ」を掲げ積極的な経営戦略を推進してきた。プラットフォームという言葉には、地場産業である廃棄物処理・資源リサイクル業者が連携し合い、より多くの、より多様な資源を利活用していこうという事業機能面と、多種多様な企業文化を有する企業同士が組織の枠を超えて新しい技術や取り組みに挑戦していこうという組織体制面の「融合の場」になりたいという想いが込められている。