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日刊資源新報

びん・カレット

リユースとリサイクル

カレット

カレットの山

 再生資源としてのガラスびんには大きく分けると二つの利用方法がある。洗浄して中身を詰め替え再使用する方法と、破砕し再びガラスびんなどの原材料(カレット)に戻す方法で、それぞれに対応するびんを、リユースびん、ワンウェイびんと呼ぶ(リユースびんは「リターナブルびん」や「活きびん」、ワンウェイびんは「雑びん」などと呼ぶ場合もある)。

 リユースびんの代表格は一升びん(1.8Lびん)だ。かつては、醤油やみりん、ソースなど調味料や食品などにも多く使用されていたが、現在は清酒や焼酎などの容器として馴染み深い。清酒・焼酎用容器としては、ほかに300ml、720ml、900mlなど少~中容量のびんが流通しており、これらがリユースびんを主に扱う「びん商」の主力商品となっている。「びん商」はこれらのびんを酒販店や卸、行政の資源回収などで収集し、洗びん問屋に納入する。問屋は洗浄して「洗いびん」として、新びんより廉価で蔵元に販売するというのが一般的な流通構造となっている。また、これらのほか、ビール大手4社のビールびんやホッピーびん、コカ・コーラなど清涼飲料水のびん、一部の洋酒びんなどもリユースされており、まだまだリユースびんは我々の生活のなかに身近なものとして存在していると言える。

 そのほかのリユース市場の無いびんやリユースルートに乗らなかったびんはワンウェイびんとしてリサイクルされる。ガラスびんは古紙や鉄スクラップなど他の再生資源と比較してメーカー側の受入基準が群を抜いて厳しいため、ワンウェイびんを扱う「カレット商」では、回収したびんを色別に選別・破砕した後、光学選別機などを駆使し徹底的な異物除去を行っている。

 また、需要が豊富で原材料としての取り回しの良さから、無色(「白」と呼ばれる)カレットが最も価値が高く、ほか茶カレットや一部の緑カレットがびん原料として一般的に流通する。その他の色はびん原料としての利用価値は低く、グラスウールや路盤材、建材などの原料として利用されているが、需要は少なく新規用途の開発が長年の課題となっている。

 なお、平成28年の国内ガラスびん生産量は123万7千トンだったが、その原材料のおよそ75%が使用済みのガラスびんを破砕した再生原料(=カレット)を使用して作られている。

ガラスびん2Rを取り巻く課題

 国内でのびん生産は平成6年の244万トンをピークに年々減り続けているものの、リサイクル促進の社会的機運の高まりから、回収量が急増。カレットがダブつき市況の下落へとつながったが、平成9年の容器包装リサイクル法の施行で、市況変動に左右されることなく、一定規模のリサイクルが安定的にできるようになった。

 他方で、リユースびんの衰退は年々深刻さを増す。特に回収インフラの脆弱化は顕著で、長らく消費者からの回収窓口の役割を担ってきた「近所の酒屋さん」が街の風景から消えて久しく、行政の資源回収でリユースびんの選別抜き取りを行っている自治体も4割弱。6割以上の自治体ではリユースびんを破砕処理しており、「ワンウェイ化」は進んでいる。行政回収においてリユースびんの選別・抜き取りをすることで、ガラスびん全体の残渣率が劇的に減少した例もあり、最終処分量の減量などに取り組む自治体への広がりを期待したいところだ。