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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2017年9月

自動車リサイクル 3Rの質向上で新制度 廃車由来プラ利用で料金割引

経済産業省の産業構造審議会 産業技術環境分科会 廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルワーキンググループと環境省の中央環境審議会 循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会の第45回目となる合同会議がこのほど開催されたが、そのなかで、再生資源利用等の進んだ自動車へのインセンティブ(リサイクル料金割引)制度(仮称)の骨子案が示された。自動車リサイクル制度の施行から10年以上が経過するなか、これまでの制度見直しの合同委員会において、3Rの質の向上などを進める方針が示され、これまでのフロン類、エアバッグ類、シュレッダーダスト(ASR)の三品目から自動車全体で3Rを推進していくべきとされ、「リユース拡大・リサイクルの質の向上と社会的コスト低減の好循環」を生み出す必要がある、との指針が示されていた。
こうしたなかで、3Rの質向上に向けた重要項目の1つが再生資源の利用拡大であることから、今回、ユーザーから徴収したリサイクル料金を原資としたインセンティブを導入する、というのが今回の制度案となる。同制度の主な対象となるものは、現在、再資源化されるASRに含まれるプラスチック類。これによりASRの削減が進めば、処理費用低減によるユーザー負担の軽減が期待できるだけでなく、更に温室効果ガスの削減にも資するとしている。
また、制度の対象車種は、再生資源利用及び環境配慮設計の進んだものとし、制度開始当初は使用済自動車由来の再生プラを使用している代表的な部位を公表していることと全再生プラスチック使用重量比率が基準値以上であることを基準とし、これら基準値を2年後以降に見直していくほか、再生材の供給状況の変動制を踏まえ、四半期ごとの平均値の基準適合の判断を行いつつ、審査などを通じたトレーサビリティ確保するなどとした。
なお、同制度案では、リサイクル料金の割引金額については、資金管理料金及び情報管理料金を除く全額とし、ユーザーやメーカーの機械公平性を勘案し、実施期間は10年程度としている。対象車については、リサイクル料金の残高や割引金額、実施期間を踏まえ、年間平均約10万台程度が望ましいとした。制度実施に向けた今後の進め方については、現状、使用済自動車由来再生プラスチックは品質面、コスト面の課題があり、自動車向けにほとんど利用されていないため、実証事業を行い、小規模ロットでの品質及びコスト評価や有害物質(臭素系難燃剤等)への対応、コンパウンダーにおける品質管理、量産化技術、車両の軽量化を阻害しないことなどを確認していく。


国立環境研究所 官・民12の事例を紹介 高齢者のゴミ出し支援で

国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センターではこのほど、高齢者のゴミ出し支援について、全国の自治体や事業者が行っている支援策を取りまとめ、事例集として公開した。この事例集は今年5月に出された「高齢者のゴミ出し支援ガイドブック」の副読本として作成されたもので、全国12の自治体、事業者、地域コミュニティにヒアリングを行い、その結果をまとめたもの。
孤独死を発見した収集員のメンタルケアの必要性や認知症を発症している利用者への対応など、実際に実施してみなければ分かりえない種々の課題が紹介されているほか、「顔の見える地域づくり」への良い影響、ゴミ屋敷化の未然防止など、支援策を行うことで副次的な効果も含め、現場の声を拾い上げた内容となっている。
同研究所の調査によれば、2000年以降、何らかの形で高齢者のゴミ出し支援を行う自治体は増加傾向にあるが、2015年時点で全t内の23%に留まっている。一方で、支援制度の無い自治体のうち39%は「将来的に検討したい」と回答していることから、今後の拡がりも期待される。


総務省 太陽光パネルで勧告 適正処理への制度整備必要

太陽光パネル排出予測

太陽光パネル排出予測


総務省では、使用済太陽光パネルの適正な処理の確保及びリユース・リサイクルの促進を図る観点から、使用済太陽光パネルの廃棄処分等の実施状況調査を行い、このほどその結果を取りまとめ、必要な改善措置についての勧告を公表した。同報告書によれば、平成24年7月の再生可能エネルギー固定価格買取制度の創設以降、太陽光パネルの導入が拡大しており、将来、耐用年数の経過等に伴い、2030年代半ば頃から使用済パネルの排出量の急増が見込まれる。(2015年:約2400トン→2040年:約80万トン)。また、2030年までの間も、住宅用を中心に排出量は増加の見込みだ。
また、将来の大量廃棄の問題だけでなく、現下においても、災害により損壊したパネルによる感電や有害物質流出のおそれなどが指摘。有害物質(鉛、セレン等)が使用されているものもあり、適正な廃棄処理や感電防止対策が必要としている。勧告では、まず、損壊パネルに対し、損壊現場における感電等の防止措置は、一部を除き、十分かつ迅速に実施されていないことから、危険性や地域住民等への注意喚起及び感電等の防止措置の確実な実施について周知徹底が必要としている。
また、適正処理に当たっては、パネルに含まれる有害物質情報は排出事業者から産廃処理業者に十分提供されず、含有の有無が未確認のまま、遮水設備のない処分場に埋立てられているなどの実態も判明していることから、まず、①有害物質情報を容易に確認・入手できるよう措置、②排出事業者から産廃処理業者への有害物質情報の提供義務の明確化③適切な埋立方法を明示、といった3点の勧告を行っている。更に、現状では、災害時も平常時においても、パネルの適正処理が十分行われていない状況にあり、処理現場の多くの地方公共団体・事業者からも、家電リサイクル法などと同様、回収・リサイクルシステムの整備が必要との意見も調査では寄せられたことから、使用済パネルの回収・適正処理・リサイクルシステムの構築について、法整備も含め検討を勧告している。


バーゼル法改正 輸入簡素化等で議論 雑品は規制リストの明確化へ

経済産業省及び環境省では先ごろ、バーゼル法の見直しに関する特定有害廃棄物等の範囲、再生利用等事業者等の認定制度等の認定制度等に関する検討会の第一回目となる会合を開催した。同検討会はバーゼル法の改正に当たり、①環境汚染リスクが低い廃電子基板等の輸入手続の簡素化、②雑品スクラップのような混合物の取扱いと規制対象物に範囲に係る濃度基準、③輸出に係るシップバックの防止、④使用済鉛蓄電池の輸出増大等を踏まえた輸出先での環境上適正な管理の確保、⑤輸入事業者及び再生利用等事業者の認定制度、⑥処理技術の進展等を図るための試験分析目的での輸出入の円滑化、などを主なテーマに検討を行うこととなっている。
まず、OECD理事会決定に基づく有害性の低いものと判断されたグリーンリストに該当する廃電子基板等の輸入について、欧州連合では、全ての国からの輸??続について、通告・同意等が不要になっているのに対し、我が国では途上国から廃電?基板等を輸?する場合はバーゼル法の?続き(通告・同意等)が必要(先進国からは不要)であり、資源獲得競争上不利になっているとの指摘もあったことから、今改正では通告・同意を不要とする。これに伴い輸入手続き期間の短縮で輸入廃電子基板は年13万トンの増、経済波及効果での全産業合計売上は987億円(付加価値386億円)にのぼるとの試算されている。ただ、当該品目に関しては、潜在的な有害性を有していることから、移動書類又はこれに類する書類の携行等トレーサビリティに関する努力規定をバーゼル法の基本的事項告示等に設ける案が示されている。
次に、雑品スクラップに関しては、基準が不明確なため、現場において即物的な判断が困難であるとの指摘を踏まえ、規制対象物のリストを作成し、同リスト該当貨物の輸出入をする場合、原則としてバーゼル法に基づく手続きが必要になるとし、対象品の混合物については除去が行われない場合、混合物総体として特定有害物に該当すること。また、輸出者自らが鉛・ヒ素など有害物質の濃度が基準以下であることを証明できる場合は手続きを経ずに輸出を可能とする案が示された。なお、規制対象物リストに関しては、廃家電4品目に廃小型家電28品目等を挙げたが、廃棄物処理法改正における「有害使用済み機器」の検討状況に留意が必要とされた。
他方、輸出に関するシップバックの防止では、香港向けのリユース向けの使用済み電気電子機器等の返送を求める通報の事例が増加していることから、輸出承認を要件化することとしている。我が国へのシップバック通報が繰り返し発生し、国際的問題に発展する可能性、そして、我が国と輸出先国との間で有害廃棄物の規定が異なり、輸出先国規定が我が国よりも厳しくなっている場合などに合致する場合、環境省令で定めるとし、これに基づいて今回は香港向けの電気電子機器(モニター等)について規定し、その他の国は今後必要性が生じた際に随時検討する方針が示されている。


長野市委託浄掃事業協同組合 事業継続と地域貢献目指し 横浜市資源R協組へ訪問交流

長野市委託浄掃組合と横浜市資源リサイクル事業協同組合の意見交換会

木下代表理事(左・長野市)と宗村理事長(右・横浜市)


長野市内において、自治体からの委託に基づき一般廃棄物の収集・運搬を行う長野市委託浄掃事業協同組合(代表理事・木下繁夫 直富商事㈱代表取締役社長)ではこのほど、市のごみ処理広域化など事業環境変化への対応と地域貢献活動を推進すべく、他地域での取り組みに関する視察研修会を実施。資源新報社・大橋のコーディネートの下、資源リサイクル業界において先進的な活動を展開している横浜市資源リサイクル事業協同組合(理事長・宗村隆寛㈱富士紙業代表取締役社長)への訪問を行った。
今回、長野市委託浄掃組合が訪問したのは、横浜市資源リサイクル事業協同組合が横浜市より委託を受けている鶴見資源化センター及び横浜市協組が組合事業として古紙や古布の輸出を展開している「リサイクルポート山の内」の2か所。まず、鶴見資源化センターでは、横浜市資源循環公社の田嶋重明所長の案内により、市で混合収集が行われている缶・びん・ペットボトル選別の流れを見学。田島所長からは人口360万人を超える横浜市の回収量による価格などの面でのスケールメリットや混入物などの市の資源物回収・選別の現状について、丁寧な解説があった。次いで訪問した「リサイクルポート山の内」では、横浜の組合方式による選別された古布輸出の現状や市内の古紙の回収から輸出に至るまでの説明が行われている。
また、山の内見学後は、横浜市資源リサイクル事業協同組合より、同協組のCSR戦略「りくみビジョン2020」と同ビジョンに基づく環境絵日記や出前講師、広報誌リサイクルデザインなどの取り組みが紹介され、行政からの委託や事業継続に関し、両組合により活発な議論が行われた。
なお、今回の視察について木下代表理事は「私が代表理事になって初めて視察研修を今回実施したが、極めて有意義な内容になった。市の当組合でもまだ取り組みが足りない部分もあり、地域に対し何が出来るか持ち帰って検討したい」とコメント、また、横浜市の宗村理事長は「当組合の活動が少しでも参考になれば嬉しく思う。また、何かの形で組合間連携を図ることが出来る可能性もあり、今後もこうした交流を継続していくことが重要だ」と述べている。


環境省 3R行動の定着へ 推進月間に向け初の大規模消費者キャンペーン

環境省は10月の「3R推進月間」に合わせ、9~11月に環境省初の消費者キャンペーンとなる「選ぼう!3Rキャンペーン」を実施する。このキャンペーンは今月4日から開始したイオンモール幕張新都心店(千葉県千葉市)を皮切りに、11月にかけてスーパー、ドラッグストア、ホームセンターなど、全国1000店舗以上で実施。リデュースにつながる省資源商品やリサイクルなどに関連するキャンペーン対象商品の購入を通じて、消費者一人ひとりが、3Rや資源の大切さを認識・共感し、日頃の行動(商品選択)の定着へ結びつけることを目指す。
なお、対象商品には、旭化成、ミヨシ石鹸、ユニリーバジャパン、ライオン、ロートの商品が選ばれている。対象商品を一定金額以上購入することで、地場産飼料とエコフィード(食品リサイクル飼料)で育ったブランド和牛や再生プラスチックを多く使用した家電製品などの豪華景品が当たる懸賞への応募ができる。主な実施店舗は関東地方がイオン、イチコ、くすりの福太郎、ココカラファイン、ヒーロー、中部地方がヤマナカ、ユニー、近畿地方がケアーズ、中国四国地方がキョーエイ、タイム、丸合、九州地方がナフコ、MrMAX。そのほか数社が参加し、全国で1000店舗以上で行われる見通し。
また、前述のイオンモール幕張新都心店では限りある資源の重要性と3Rの取組の推進を目的とした啓発イベント「Re‐Style FES!」を10月21日、22日の2日間開催。キャンペーン」と連動して、会場イベントと日頃の消費行動を、3Rの視点で結びつける様々な企画を実施する予定。


対中市場 廃電線需給は緩和へ 仕入れ価格50~60円の下げに

対中国向け雑銅電線を巡る天津、広州向けその他の輸入ライセンス停止が続く中で、国内雑動電線輸出を行っている業界に混乱が広がっている。
曰く「中国側の買いが事実上停止しているのだから国内での銅雑線の店受け価格は引き下げざるを得ない。停止前は230円から240円で動いていたが、足元は170円から180円まで値を下げざるを得ない」 とする動きが広がっている。しかし一方では、再び中国が買いに出るとする根拠のない期待の下で高値買いを行う向きもあって、相場の混乱は避けられないというのが実情だ。
雑品業界関係筋の見る先行きについては、「中国当局者による環境問題を材料にした全面停止の動きが強まると見られるだけに、中国マーケットから国内に対象を変えた自社処理による対応をとらざるを得ないのではないか」 というのが冷静な雑品ディーラー筋の声。一方で現物を抱えている雑品ディーラーでは 「天津がストップした時点で広東省ルートに急遽変更、その後も様々なルートを使って手持ち在庫を極力消化するための努力を行っている。寧波、台州向けでも枠を持つディーラーに声を掛けているが、あとは時間との競争になるのではないか」と思案六方の態だ。
また、プラスチックや古紙もライセンスに関して同様の動きが見られ、 輸入古紙が急減した中国製紙メーカーの国内OCC (段ボール) 購入価格は安値33円から高値43円にまで暴騰、逆に日本からの船積み価格は、事実上の輸入停止からピークの28円から21円程度まで急落しているというのが実情だ。今回の中国側の輸入規制措置を背景に、国内再資源化業界ではそれぞれの専業界の中で地滑り的な再編の動きが強まるのではないかと見る向きも出ており、今後の動向が注視される。


雑品スクラップ 保管等基準で検討会 対象は家電や小型家電等

環境省はこのほど「有害使用済み機器の適正保管等に関する技術的検討会」を開催、雑品スクラップを対象とした規制に関する具体策の検討がスタートした。雑品スクラップに関し我が国では平成27年9月、「廃棄物等の越境移動等の適正化に関する検討会」において、廃棄物処理法及びバーゼル法の両法下で一定の規定を設けることとし、昨年から今年初めにかけ検討を重ねた結果、「有害使用済み機器」を指定したうえで、有害使用済み機器保管等業者への届け出及び保管等の基準順守の義務付けや都道府県知事による基準違反業者への改善命令等を発出する改正廃棄物処理法改正案が閣議決定されている。これとともに、バーゼル法上でも雑品スクラップが規制物として「事前通告及び同意」手続きの対象となることの明確化等を行っている。
まず、今回の検討会で議題とされたのは、有害使用済み機器の保管等に関する実態調査方法に関して。国内における雑品スクラップの取引、選別保管分析等実態を把握するためバーゼル法輸出入規制事前相談所を調査し、使用済み家電混入有無や成分分析結果を取りまとめ、現地調査対象選定の参考とする案が示された。平成28年度の事前相談でメタルスクラップに関する1000トン以上の案件は3260件となり、このうち鉄スクラップの規格外にあるその他の品目に該当したものは中国・香港向けの1423件174万6161トンとなっている。現地調査に当たっては、不用品回収業者からの引取先となる中小規模ヤードや輸出等の拠点となる湾岸ヤードの2種類を選定し、雑品スクラップの取引状況や構成物、保管・処分状況などを確認することが示されている。
また、有害使用済み機器の選定に関しては、「使用を終了し、収集された機器(廃棄物を除く)のうち、その一部が原材料として相当程度の価値を有し、かつ、適正でない保管又は処分が行われた場合に人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるもの」を根拠条文として、廃棄物処理制度専門委員会においては「内部に有害物質が含まれ、本来の用途での使用を終了した電気電子機器等」が示されたことから、含有される鉛流出や内蔵バッテリーによる火災の可能性も指摘される家電R法対象の「家電4品目」及び小型家電R法対象の「小型家電28品目」を全て指定する案が示された。
なお、これら指定「有害使用済み機器」の保管及び処分に関する基準については、廃棄物の処理基準を基本とし、家電・小型家電の処理方法等も踏まえて規定する案が示された。具体的には囲い・掲示板の設置や飛散・流出防止措置、分別保管及び火災防止措置、更に処分に当たってはフロン回収等実態に応じて規定するなどとしている。


全都清 自民党などに要望提出 持ち去り問題法整備など43項目

全国都市清掃会議ではは総会で決議した要望事項を要望書としてとりまとめ、さきごろ環境省、経済産業省、自民党に対し提出した。 提出した要望書は、「廃棄物処理施設整備等廃棄物行政に対する財政措置の強化拡充に関する要望」、「リサイクル関連法の推進に関する要望」、「適正処理困難廃棄物対策の促進に関する要望」、「廃棄物の適正処理等の推進に関する要望」の4章から構成され、全部で43項目の要望が記載されている。
「リサイクル関連法の推進に関する要望」では、各個別リサイクル法に対する要望とともに、古紙や古布のリサイクルについても要望を行った。要望書によると、「自治体が直接回収するか、又は集団回収の実施団体に対して活動支援の助成金等を支給しており、回収にかかる役務や費用が自治体等の負担となっている」としており、国、自治体、事業者及び市民等で適切な役割分担と費用負担の仕組みを構築することや、再生紙使用を促進する仕組みを構築することなどが要望されている。また、持ち去りについては、「法令等で有効な規制がないことから、各自治体において条例に罰則規定等を設け対応しているが、効果が限定的となっている」として、持ち去り古紙を流通させないための体制や罰則規定等を含めた法整備を要望している。
「適正処理困難廃棄物対策の促進に関する要望」では、「多くの自治体で適正処理が困難となっている一般廃棄物(引火性廃油、化学薬品、FRP製品、業務用機器など)は、現行法上は自治体の責任で、託や許可業者によって処理を行うこととなっている。しかし、近隣に処理可能な業者が不在であることなどの理由から、処理を行いたくてもできない」として、この一因に一般廃棄物と産業廃棄物に係る処理施設設置許可の要不要の問題があると指摘。適正処理するための仕組みを構築することなどを要望している。また、処理困難物に関しては、スプレー缶、カセット式ガスボンベ、使い捨てライター、リチウムイオンバッテリー、水銀含有製品(水銀体温計、蛍光灯等)、薬品類、電動ベッド、電動カー等の介護用品、マッサージチェア等を適正処理困難指定廃棄物へ追加指定することなども要望した。


東京鐵鋼と伊藤製鉄所 経営統合へ協議開始 厳しい事業環境への対応図り

関東地区の有力電炉メーカーである東京鐵鋼株式会社(東京都千代田区富士見町、吉原毎文社長、資本金:58億3900万円)と、株式会社伊藤製鐵所(東京都千代田区岩本町、伊藤壽健社長、資本金:6億9100万円)はこのほど、経営統合に向けた協議・検討を進めていくことについて合意し、経営統合に関する覚書を締結したと発表した。今後、両社は対等の精神に則り、具体的検討を進めていく方針だ。
東京鐵鋼と伊藤製鐵所はいずれも普通鋼電炉メーカーで、鉄筋コンクリート造等の建築物に使用される鉄筋棒鋼の製造・販売を主力事業としている。こうしたなかで両社は、平成17 年3月に東北地区における共同販売会社「東北デーバー・スチール株式会社」を設立、共同運営を実施しているほか、平成26 年9月には伊藤製鐵所が東京鐵鋼からの委託に基づき、東京鐵鋼ブランドの異形棒鋼「トーテツコン」のOEM生産を開始するなど、これまで、協力関係を構築してきた。一方で、普通鋼電炉業界では、主要マーケットである建設分野における鉄筋コンクリート造の需要減少や人手不足による着工遅延などにより、出荷量が減少していることに加え、電力コストや副資材等の各種コストアップに伴い、経営環境は厳しさを増しているのが現状だ。
こうした背景を踏まえ、両社では経営基盤の拡充と企業価値の持続的向上に向けた関係を一層発展させることが必要であるとの共通認識に至ったことから、経営統合を目指すことになったもの。統合によって、両社が関東、東北にそれぞれ保有する二工場を効率的に運用し、コスト削減効果の実現を目指すほか、製造技術・ノウハウの共有によるコスト・品質競争力の向上、営業、開発分野の人的資源を有効活用し、営業力・開発力の強化を図るなどとしている。


中国 輸入枠出ず懸念台頭 相次ぐ現地企業への取締り

今年4月の改革実施方案に基づき、7月に示された中国の海外ゴミの輸入禁止方針と、それに基づく8月の輸入禁止リスト等改訂によって、未選別古紙や生活由来含む非工業系の廃プラスチックが今年末までに、また、繊維くず11品種なども来年以降、中国に輸入が出来なくなることが政府により決定されている。
一方で、かねてから輸入禁止が噂されてきた雑品に該当する廃五金や廃電線、廃モーターなど7類の金属スクラップに関しては、廃五金のみ有用金属の含有率引き上げの方針が示されたものの、禁止リストに入ることなくとりあえず輸入が認められる制限リストに留まった。これに関し、国内の輸出業者では「中国有色金属協会の2018年末禁止情報などもあるため先行きは不透明だが、少なくとも来年は輸出が継続できそうだ」と安堵する声も聞かれた。しかしながら、現地では予断を許さぬ状況も伝えらえるところとなっている。
「環境保護部の輸入ライセンスに基づく今年後半からの輸入量の枠が出ない」と困惑の声を上げるのは、現地で日本から金属スクラップを輸入する某企業。「7月の環境保護部査察で指摘された問題点を改善し、再度査察を受け入れたが、その後の何の沙汰もない」(同)とし、「輸入枠が出ない状態が続けば実質的に輸入は不可能となる」と語る。これは金属スクラップに限ったことではなく、古紙や廃プラなどでも同様とされ、7月の査察結果を踏まえ、お盆前後には出るとも言われた輸入枠が未だ認められない状況も伝えられている。
なお、中国環境保護部では、7月の海外からの廃棄物輸入企業に対する査察に続き、9月以降全省で廃家電等電子廃棄物や廃タイヤ、廃プラスチック、廃旧衣服などの再資源化を行う業者や加工園区に対する「清理整頓行動」と称する査察を展開する方針を示している。こうした状況について、ある現地輸入業者は「9月には来年の輸入枠の申請も始まるはずだが、現状の査察ありきの環境保護部の姿勢からすると今年後半の輸入枠が出ないまま、来年の申請も出来ない恐れもある」と悲鳴を上げる。現地で吹き荒れる「環境保護の嵐」がいつ過ぎ去るのか、関係者は推移を見守るしか出来ないというのが現状のようだ。


自動車リサイクル促進センター 再資源化率は97・5%に 2016年度の二輪車R実績

公益財団法人自動車リサイクル促進センターでは先ごろ、2016年度の二輪車リサイクルの自主取り組み実績を取りまとめ、公表している。 発表によれば、2016年度のシステムによる使用済み二輪車の引取台数は、1696台となった。内訳は、ユーザーからの引取1054台(指定引取場所への直接持込が925台、廃棄二輪車取扱店を経由した持込が129台)、自治体からの引取642台となっている。一方、再資源化については、手選別により液類・バッテリー等を回収した後、車体の破砕・選別により金属類の回収を行っているが、2016年度は熱回収の促進及びタイヤの燃料化を推進し、再資源化率は、97・5%(重量ベース)になったとしている。
なお、同センターでは、システム認知度向上へ二輪車ユーザーへの二輪車関連イベントでのPR活動を実施しており、今年3月のモーターサイクルショーでのシステム認知度は54%であったとしている。2017年度においては、従来の広報活動に取り組みつつ、適切な品質評価を行うことで、リサイクルよりもリユースが促進され、リサイクルする場合においても正しく実施されるよう、ユーザーとの接点である廃棄二輪車取扱店へのシステムに関する理解促進活動を強化する方針。
このほか、再資源化については、全処理再資源化施設の平均再資源化率は、目標である95%を達成しているとしつつ、地域の事情により、シュレッダーダストを埋立てせざるを得ない施設については、タイヤの事前選別工程を追加した上、燃料化を実施していくとしている。