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日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2017年7月

中国向け再生資源貿易 一斉査察で募る不安 問題企業に輸入禁止情報も

金属スクラップや古紙、廃プラスチックなど我が国からの中国向け再生資源輸出の先行き不透明感が強まってきている。これは今年7月より中国環境保護部では、「輸入廃棄物加工利用産業環境違法行動の撲滅に向けた特別行動」と題し、中国国内で海外より金属スクラップ、古紙、廃プラスチックといった再生資源の輸入及び加工利用を行う中国全土企業に対する一斉査察を行っていることによるもの。
環境保護部では、今回の査察によって何らかの問題や改善点が発覚した「企業リスト」を連日公表し、同リストに掲載された企業は、各地の監督部門より改善箇所の見直しなどが求められることとなる。ただ、このリストに関し現地では、「改善点を指摘された企業は罰金だけでなく、環境保護部への下期の輸入枠申請が認められなくなる」(某輸出業者)といった情報も出ており、更に玖龍紙業や大発のグループ企業といった古紙、PETなどの中国輸入大手がリストに掲載されたことから「仮にこうした大手の輸入申請が認められなくなれば、実質的な禁輸に近い状態になる可能性もある」(同筋)等といった懸念を示す声も出ているのが実情だ。
中国政府では、2月からの国門利剣による密輸取り締まり強化だけでなく、4月には「海外ゴミの侵入を禁止するための輸入固体廃棄物管理制度改革実施方案」を出し、海外からの輸入を制限或いは禁止する動きを強めている。再生資源が海外ゴミに該当するか否かの問題もあるが、中国の輸入廃棄物原料を所管する環境保護部の今後の動きは業界として極めて注視されるものと言えそうだ。


住友金属鉱山 廃リチウム電池から銅Ni回収 「電地to電池」日本で初めて商業化へ

住友金属鉱山では先ごろ、熱処理などで予め無害化された使用済みリチウムイオン電池、またはリチウムイオン二次電池の製造過程で発生する中間物から、それに含有される銅及びニッケルを回収し、これらを再資源化することを日本で初めて実用化したと発表した。既にこのシステムで回収されたニッケルは磯浦工場(新居浜市)で硫酸ニッケルから二次電池の正極材料に加工され、日本で初めての廃リチウムイオン電池からの「電池to電池」の再資源化を商業ベースでスタートさせている。
リチウムイオン電池は、ニッケル水素電池と比較すると有価金属の含有率が低く、再資源化の採算性が悪いため、経済的に有価物を回収することが困難とされてきた。しかし、同社では東予工場(西条市)の乾式銅精錬工程とニッケル工場(新居浜市)の湿式ニッケル精錬工程を組み合わせた処理フローを確立し、国内で唯一銅とニッケルを回収することに成功した。


鉄リサイクリング・リサーチ 中国の鉄くず輸出検証 余剰解消せず流出継続も想定

国内外の鉄スクラップに関する調査・研究を行っている株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長は先ごろ、調査レポートNo.41「目が離せない中国の鉄スクラップ輸出」を取りまとめ、公表を行っている。
世界最大の粗鋼生産を誇る中国では今年、国内のスクラップの受け皿となってきた地条鋼メーカーの淘汰に乗り出し、この結果4月以降、玉突き現象のように中国から鉄スクラップ輸出が急増する格好となった。中国政府は鉄スクラップを国内で消費していくことを前提に輸出関税40%を当面維持していくとしていることから、この中国からの輸出は一過性のものとの見方が大勢だが、林氏はレポート冒頭で今回の事態を楽観視せずに中国の輸出国化に備えるべきとしている。
林氏は、まず中国の状況について2014年時点で製鋼分野における鉄スクラップの自給化は達成しており、日本を主体として輸入する金属スクラップ所謂雑品についても、現地の環境規制や人件費高騰などで縮小に向かうとした。一方、鉄スクラップ輸出については、2016年も1000トン規模と前年と同水準で推移してきたものが、4月1万5360トン、5月に8万251トンに急拡大。更に5月の輸出の中身については切削・打ち抜きくずが全体の55%を占め、価格も円換算で1万4900円/トン、残り45%のその他くずも台湾1万9000トンでは8030円と極めて低価格で流通している点を指摘。更にこれらの向け先は台湾や香港、インドネシア、インド、ベトナム等と現在の日本の販売先と重なっていることも注視すべき点と述べた。
なお、全国に300社以上、年産能力8000万~1億トンあるとされた中国の地上鋼に関しては、廃止後の設備が東南アジアなどに移設されているとの情報もあるため、林氏は今後、こうした設備が移設された国々に新たな需要が発生する可能性があるとした。その一方で、中国国内の鉄スクラップについては、高炉の配合率上昇の動きも、電炉設備の導入がミニ高炉のアーク化が主体であることから、地条鋼廃止分の余剰は早期に解消するには至らないとの見方を示している。
林氏は、2016年時点で中国内に77億トンまで積み上がった鉄鋼蓄積量に対し、発生スクラップをどう消費していくかのビジョンが中国に欠けている点も踏まえつつ、過剰設備の削減も本丸に立ち入って実行されていないことから、まず、1億トン程度の鋼材輸出が続くこと、そして鉄鉱石価格次第ではビレット輸出競争力復活と鉄スクラップ輸出も続く可能性があると結論づけている。加えて、2025年頃には韓国も輸出市場に参入してくる可能性も踏まえ、日本の業界はきめ細かな市場対応と信頼関係の確保を進めていくことの重要性を訴えている。 同レポートは鉄リサイクリング・リサーチHP(http://www.srr.air-nifty.com/)から閲覧可能だ。





日本再生資源事業協同組合連合会 第45回全国大会を開催 島根県松江市で

日本再生資源事業協同組合連合会の第45回全国大会

日資連第45回全国大会


島根県松江市「ホテル一畑」においてこのほど、第45回日資連全国大会島根県松江大会が開催された。総勢217名が参加。盛会だった。松江広域再生資源協同組合の中島裕氏の開会宣言に続いて同組合代表理事・日資連副会長上野誠喜氏の歓迎の挨拶が行われた。
「第45回という節目の大会をここ松江で開催していただき感謝に耐えない。日資連と我々の業界を巡る状況はまことに厳しいものがあるが、全国の仲間と共にこの難局を乗り越えていきたい。山陰地区開催は平成14年、島根県米子市皆生温泉で開催された第30回大会以来15年ぶりだが、宍道湖や松江城など観光スポットも少なくない。どうか楽しんでいただきたい。又、本日は島根県知事をはじめ多くの来賓の方々にお越しいただき感謝申しあげたい」。
続いて日資連会長の飯田俊夫氏が主催者を代表してあいさつした。「6月に廃掃法・バーゼル法の改正案が国会で可決された。我々の稼業の行く末に直結するような大幅な改正内容になっている。秋口にはこの開催に伴う施行細目が提示される。しっかりと勉強して、何が出来て何が出来なくなるのかを見極めなければならない。さらに業界防衛という意味であらゆる手立てをこうじて稼業と業界を守っていかなければならない。幸い「認定制度」と「リサイクル化証明書」が定着しつつある。自主認定からスタートしたが今では経済産業省の認可団体が発行する証明書ということで地域において一定の評価をいただいている。今はこの制度に日本工業規格(JIS)を付与していただこうという取り組みを始めている。間もなくキックオフ宣言をするが丁寧に取り組んでいきたい。又、全国の組織化も依然として大きな課題になっている。なぜ、日資連に加盟しないのか、できないのか、粘り強くかめいに向けた働きかけを継続していきたい。大事なことはあきらめないことだ」。


廃プラスチック輸出 強まる規制に悲観論 現地輸入企業への大規模査察も

今年2月からの中国の輸入規制により、我が国からの金属スクラップ、古紙などの中国向け再生資源の先行きに不透明感が台頭しているが、中でも中国への依存度が極めて高い廃プラスチックに関し、関係者からは中国の全面輸入禁止も視野に入れた悲観的な見方が台頭しているのが現状だ。
これは、中国の輸入再生資源を所管する環境保護部が、6月以降、ライセンスを保有する現地輸入企業の輸入量新規申請を認めなくなっている、との情報が出ていることによるもの。中国では輸入廃プラの制限を行う施策を導入しているとされ、廃プラの輸出を手掛ける企業からは「古紙や金属に比べ廃プラは極めて厳しく、将来的に輸入禁止までには至らなかったとしてもこれまでとは比べ物にならない相当量の輸入が制限される」との見通しも聞かれている。
更に環境保護部は7月以降、全国に1600名を動員し、輸入廃棄物加工利用企業に対する違法行為を撲滅する特別行動実施中で、廃金属や古紙、廃プラの輸入加工企業への大規模査察を展開している。このなかで廃プラ輸入加工企業に対しては、工場及び加工設備の能力や排水などの環境汚染防止措置、輸入原料の管理及び加工後の販売状況の管理など19の項目について細かなチェックが行われているという。既に査察において問題が指摘された企業は全体で数百社にのぼるとされ、今後の廃プラ輸出に与える影響が注視されるところだ。


アルミリサイクル 車の両輪にヒビ 国際化の波に翻弄される原料

一昔前、国内リサイクルの超優等生といわれていた鉛廃バッテリーの後を受けて、近年最も高いリサイクル率を誇る優等生といわれているアルミリサイクル資源の国内流通システムがここ数年急速にイレギュラーな展開を内・外で見せ始めている。特にここ10年以上に渡って93・4% (08年) から最低でも83・8% (13年) という高い率でリサイクルされてきた使用済みアルミ缶は、当初脱酸向けとしてのトライ輸出から右肩上がりに転じた輸出マーケットの急拡大の下で、国内流通システムは其処此処で綻びを見せており、これに異業種から参入してきた回収サイドのボーダーレス化の波の中で、『少ないパイを無節操に食い合う過当競争が激化』、これまでアルミ専業問屋とアルミ2次合金業界の間で「車の両輪」と形容されて培われてきた需給双方の 「win―win」 の関係そのものにも大きなヒビが入り始めていると見る向きも多くなっている。
過当競争が激化した最大の理由は、リーマン以降に広がった全産業界を巻き込んだ生産・加工拠点の海外シフトの流れで、結果として国内での絶対発生量の減少は全ての資源で表面化、それぞれの業界の現物不足を異業種に手を伸ばすことで埋め合わせようとする算盤ずくの経営思考が更に過当競争に拍車をかけるという事態を招いている。
国内発生量の低下による安定供給に対する懸念は、需要業界共通の危機感として海外産資源に目を向けさせたが、結果として2次合金業界による廉価な中国産2次合金塊の大量輸入という絵に描いたようなコスト優先が導き出した結果をもたらし、 今年に入って3、4、5月と2次合金輸入量は3カ月連続となる10万トン台突破という状況を迎えている。国内市況はこれがネックとなった頭押えが恒常化、 縮小均衡下での過当競争という異常事態の下で、今アルミの国内循環システムは国際化の波に振り回されている。


東京製鐵が「長期環境ビジョン」 2050年に鉄スクラップ購入1000万トン

東京製鐵株式会社ではこのほど、2050年に向けた長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision2050」を策定した。同ビジョンは、日本のCO2排出量を2050年までに80%削減に向け、鉄鋼業においては、その13%にあたる1億6000万トンを削減する必要があることを踏まえ、同社として増大するCO2排出量の削減、貴重な資源である鉄スクラップの国内での資源循環という社会が直面する二つのテーマに向き合いながら、2050年の「あるべき姿」、「低炭素・循環型社会」を実現するために策定したもの。
同ビジョンでは、CO2排出量が高炉製品に比べ4分の1である鉄スクラップを活用した電炉鋼材を低炭素・循環型鋼材と位置づけ、市場シェアの拡大により国内鉄鋼部門からのCO2削減を目指すとしている。また、循環型社会構築に向けては、「再資源化ループ」と「再生材利用ループ」の二つのループから構成される「鉄のクローズドループ」を強固にしていくとし、国内で回収される鉄スクラップ調達増や鉄スクラップから生産する低炭素・循環型鋼材の生産量を増加させ、再資源化促進を図る方針。
具体的な目標値としては、低炭素社会の実現に向けては2030年に製品ライフサイクルでのCO2排出量を40%削減、低炭素・循環型鋼材の生産・販売によって1000万トンCO2排出量削減を目指し、これを2050年にはそれぞれ80%削減、1900万トン削減する。一方、循環型社会構築に向けては、高度利用とリサイクルの促進による同社の国内鉄スクラップ購入量を2030年に600万トン、2050年に1000万トンとすることを目指す。
なお、この目標値の達成に向けたアクションプランとして、生産・調達・輸送プロセスの見直しや国内4工場で廃棄物のゼロエミッション達成、再エネ利用拡大。更に需要家との水平リサイクルに向けた技術開発や顧客企業で出る加工スクラップ回収のクローズドループ化のほか、ビジョンを共有できる国内鉄スクラップ事業者とのグリーンパ―トナーシップの強化などを掲げている。


環境省 「環境・資源局」誕生 復興対策加速化とSDGs踏まえ改編

政府は東京電力福島第1原発事故で発生した放射性廃棄物の処理や、廃棄物処理・リサイクルに関する行政対応を一元化するため、環境省に「環境再生・資源循環局」を新設することなどを盛り込んだ環境省組織令の一部を改正する政令を閣議決定した。
同省では、東日本大震災後、放射線汚染物質対策については、既存の組織をベースに逐次増強して体制を整備してきたが、昨年8月の与党による「東日本大震災復興加速化のための第6次提言」を受けて、これまで3つの部局にまたがっていた廃棄物・リサイクル対策と放射性物質汚染対策を統合した。これらの対策を一元的に取り組む「環境再生・資源循環局」を新設し、放射性物質汚染からの環境再生に関し中核的組織として整備する。
この「環境再生・資源循環局」を中心に、大臣以下、環境省の最重要課題として省を挙げて被災地の環境再生に取り組み、復興創生を一層加速化する方針だ。あわせて、福島環境再生事務所を、他の地方環境事務所と同格の事務所として位置付け、新たに「福島地方環境事務所」とし、現地の意思決定の迅速化も図る。
また、総合環境政策局を改組し、新たに「総合環境政策統括官」を設置。国連持続可能な開発目標(SDGs)の採択等を踏まえ、統括官の下、分野横断的な省全体の企画立案機能を強化していく。


日本びんカレットリサイクル協会 青年部の活動活発化 研修会に全国から部員結集

日本びんカレットリサイクル協会青年部研修会

青年部の研修会


一昨年、日本びんカレットリサイクル協会(金子博光会長)は、長らく活動休止状態だった「ジュニアコミッティ」の活動を再開させ、「青年部」と改称し組織の再構築を進めてきたが、ここにきて活動を活発化させている。先ごろ都内にて「ガラスびん再資源化の課題と将来に向けて」をテーマに研修会を行った。
開会にあたり、中村光輝青年部長(中村ガラス株式会社)は「カレット業界は環境循環型社会のなか、リサイクル促進などの追い風により安定した業界になっている。しかし、近年、生活環境や消費者志向などの様々な変化があり、人口減少問題も抱えるなか、業界への影響が懸念されている。今日は、それらの情勢の変化や業界の課題などについて理解を深め、今後の業界の向上とさらなるリサイクルの促進に繋がる研修会にしたい」と挨拶をした。また、来賓として参加した金子会長は、「さきほど、会場へ向かう山手線で、目の前に座っていた若者に『どうぞ』と席を譲られた。生まれて初めての体験に動揺したが、断るのも悪いので座ったはいいものの、最寄駅に着いてもショックでなかなか立ち上がることが出来なかった。冗談はさておき、この業界の未来を背負っているのは、君たち。青年部の活動を通じて勉強をして、お互いに知恵を出し合い、業界を盛り上げてもらえれば」と会場に集まった若手にメッセージを送った。
会では、ガラスびん3R促進協議会の幸智道事務局長が講義。SDGsやEUで進むCE政策、パリ協定など、世界的な環境政策の動向を紹介し、国内の容器包装リサイクル法の現状と昨年の同法見直しの結果を踏まえた今後の展望について解説した。特にガラスびんについては、生産量や再商品化実績などの統計を紐解きつつ、同協会が行った全国自治体の回収方法についての調査結果などを紹介している。
第2部では、幸氏の講義を話題提供として「ガラスびんの需要拡大に向けた対応」、「その他の色の再商品化量拡大への対応」などのテーマについてグループディスカッションを実施。全国各地から集まった約30名の青年部員が、熱のこもった議論を展開した。今回の研修会は青年部の活動再開後初。同青年部では今後も毎年、継続して開催していきつつ、そのほかの活動についても充実させていく方針だ。


ペットボトルリサイクル 希望入札制度導入見送り 事業者等の懸念払しょく出来ず

容器包装リサイクル法に基づく我が国のペットボトルリサイクルの今後の方向性について、先ごろ第3回目となる「ペットボトルのリサイクルの在り方検討会」が開催され、これまでに新たな枠組みとして提案されていた希望入札制度の導入は今回見送られることとなった。
提案された希望入札制度とは、有償入札となる範囲で、市町村がその引き渡しを行う分別基準適合物に関わる再商品化の内容を希望出来る制度。自治体が収集した使用済みペットボトルについて、ボトルやシート、繊維、成形品といった再商品化製品の利用見通しを踏まえた上で、自治体側の希望と実際の利用に関する需給マッチングを行うことで、独自処理から指定法人ルートへの自治体の回帰を図ることを狙いとして環境省が提案を行っていた。対する経済産業省では、制度の導入がこれまでのマーケットを分断或いは破壊する恐れがあると反発する姿勢を見せていた。
第3回検討会に先立ち容器包装リサイクル協会が公表した再商品化事業者等からの意見公募では、各事業者から制度導入への否定的意見や懸念が相次ぐ格好となり、主に繊維やシート業者などから「制度がボトルtoボトルを優先する仕組みになる」との懸念が表明された。これに対し環境省では、制度は希望する自治体のみが取り組むもので従来の仕組みも維持されることや、再商品化手法間に公平性が担保されている点。更に自治体への調査の結果、希望入札制度が導入された場合、現在10万トンにのぼる独自処理量のうち約3万7000トン超が容Rルート回帰する可能性があることを強調したが、事業者等の懸念を払しょくするには至らなかった。


全国産業廃棄物連合会 要望実現へ前進 政省令での「欠格要件」の緩和目指し

(公社)全国産業廃棄物連合会はさきごろ、明治記念館(東京都港区)第7回定時総会を開催し、平成28年度事業報告、決算案など全議案を原案通り可決したほか、平成29年度の事業計画・収支予算が報告された。
事業計画によると、新年度も、①適正処理の推進、②地球温暖化対策の推進、③人材及び優良事業者の育成、④協力支援事業、⑤労働安全衛生への取組、⑥組織活動の活性化及び会員支援の6つの事業を柱に活動を行う。⑥に関して、法制度委員会では、現在国ですすめている廃棄物処理法の政省令の改正について、業界の要望が十分に反映されるよう必要な対応を図っていく。特に、欠格要件の見直しについては実現していきたい考えを示した。なお、同連合会では、先ごろ国会を通過した廃棄物処理法改正について、検討委員会での審議段階で、欠格要件については以下の旨を要望として提出していた。
①廃棄物処理業務とは関係のない行為による法違反であっても、欠格要件に該当した場合には義務的に許可を取り消すとの措置は厳しすぎる。当該法人が業務に関連性がない役員の行為の全てを管理することはできない。そういったケースは「義務的取消」とするのではなく、「裁量的取消」としてほしい
②「黒幕」の該当性の判断については、その根拠を明確化し、疑義が生じないようにしてほしい


日本再生資源事業協同組合連合会 第45回通常総会を開催 飯田会長「業繋ぐ努力を」

日本再生資源事業協同組合連合会の第45回通常総会

日資連第45回通常総会


日本再生資源事業協同組合連合会(飯田俊夫会長。以下、「日資連」)は先ごろ、第45回通常総会を東京資源会館(東京都千代田区)にて開催した。 冒頭あいさつに立った飯田会長は、組合事業や近年の業界について「組合の役割が希薄になりつつある。平成に入ってから清掃工場の延命化やごみ減量などの社会的要請から、市町村単位の組合が増え、行政と連携した取組を行ってきているが、ここにきて高値入札などの問題があり、行政委託の仕事が無くなったため、脱会や解散せざるを得ない地域組合が散見されるところ。これからの業界を背負って立つ人々のためにも、行政と連携しながら、この業を繋げていく努力を続けていかなければならない。業界全体をみても、行政・一般企業を問わず、昨今では入札案件が多く、資源物の売払いでは相場をはるかに超えた高値、収集運搬ではコスト度外視の安値と利益を度外視した過当競争が見受けられる。長く続いた不景気と、例えば古紙で言えば新聞購読者の減少、企業のペーパーレス化など業界としての取扱量が大きく減少していることがその原因の一つと思われる」と述べている。 総会では、事業報告及び決算、事業計画及び収支予算など4議案が原案どおり可決承認された。

資源物の収運ルール化へ JIS化に向けて委員会を設置準備
日資連では、長年、再生資源回収業者認定制度やリサイクル化証明書の発行など、再生資源物の収集運搬に関するルール作りに取り組んできているが、現在、この取組をさらに発展させ、将来的なJIS化をにらんだビジョンを描いている。今総会では事業報告などで、その概要や経緯が説明された。
一時、社会問題としてマスメディアにも大きく取り上げられた資源物の持去り問題をはじめ、無料回収を謳う業者による一般市民との金銭トラブル、あるいは不法投棄や違法ヤードなど、アウトサイダーによる問題行動は絶えず、業界の社会的信用は依然高いとは言えない状況にある。また、今回の廃棄物処理法の改正では、雑品スクラップヤードの都道府県届出制などの各種規制が設けられることになり、これまで個別リサイクル法などで進められてきた資源物への法規制も、いよいよ「本丸」である専ら物へと片足を踏み入れつつある状況だ。
日資連では、こうした状況を打開する為に、これまでの取組から更に一歩踏み込んで、再生資源物全般の収集運搬に関するルールを明文化し、JIS規格化を目指す。現在、学識経験者を委員長とする「JIS原案作成委員会」の設置準備を進めており、これまで、委員として関係各省庁のほか、自治体、消費者団体、各再生資源利用業界団体などが参加表明を行っており、近く、第1回会合を行う予定だ。