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WEB資源新報BackNumber 2017年6月

日本鉄リサイクル工業会 情報提供と共有化に注力 第42回通常総会・第29回全国大会

鉄リサイクル工業会の第42回通常総会と29回全国大会

鉄リ工の第29回全国大会


6月18日、東京の「セルリアンタワー東急ホテル」において(一社)日本鉄リサイクル工業会の第42回通常総会と第29回の全国大会が開催された。岡田支部長が開会あいさつを行い、鈴木徹会長が世界と日本の状況とそのなかで日本がなにをやっていくのかについて話をした。
「とりあえず堅調な動きだが、何が起こるか分からない。人口減少で発生が減っていく、中国からの鉄スクラップ輸出、廃掃法、バーゼル法の改正、さらには現場における人手不足等直面する問題は少なくない。工業会は『国際化』『情報発信』『人材育成』の3つの基本方針を堅持して対応していく。関係省庁との精力的な意見具申、意見交換を行っていく。大事なことは情報の共有化、会員各位への丁寧な情報提供だと考えている。全国の仲間とともにこの難局を乗り越えていきたい」と挨拶した。
続いて来賓の経産省製造産業局金属課の坂本幸三金属技術室長、東京都産業労働局の野間達也商工部長、普通鋼電炉工業会の明賀孝仁会長らが祝辞を述べ、この後の会員表彰では、スズトクホールディングス株式会社・伊藤清氏に対する感謝状の贈呈、野々垣幸夫氏(協和金属産業㈱)ら23名に対する表彰が行われた。


家電リサイクル法 回収台数は約1120万台 28年度実績は前年度比2.9%増に

平成13年4月に施行された家電リサイクル法では、廃家電4品目(エアコン、テレビ(ブラウン管式及び液晶・プラズマ)、電気冷蔵庫・電気冷凍庫、電気洗濯機・衣類乾燥機)の消費者からの適正排出、小売業者による消費者からの引取り、家電メーカー等による指定引取場所における引取り及び家電リサイクルプラントにおける再商品化等を推進しているが、このほど経産省及び環境省では同法に基づき、平成28年度の家電リサイクル実績について公表した。
それによれば、平成28年度に全国の指定引取場所において引き取られた廃家電4品目は前年度比2・9%増の約1120万台となった。内訳では、エアコンが約257万台(前年度比2・9%増)、ブラウン管式テレビが約118万台(同23・9%減)、液晶・プラズマ式テレビが約128万台(同24・3%増)、電気冷蔵庫・電機冷凍庫が約283万台(同1・1%増)、電気洗濯機・衣類乾燥機が約334万台(同6・4%増)となり、ブラウン管式テレビ以外、すべての品目で法定ルートでの回収が増加している。
また、家電メーカー等の家電リサイクルプラントに搬入された廃家電は、リサイクル処理によって鉄、銅、アルミニウム、ガラス、プラスチック等が有価物として回収されているが、品目ごとに法律によって定められた再商品化の平成28年度実績についてみてみると、エアコンが処理重量10万2524トンに対し、再商品化量が9万5007トンで再商品化率92%(法定基準80%)、ブラウン管式テレビが3万461トンの処理重量に対し、再商品化量が2万2311トンで再商品化率73%(同55%)、液晶・プラズマ式テレビが2万4949トンの処理で2万2351トンの再商品化量となり、再商品化率89%(同74%)、冷蔵庫・冷凍庫が17万7724トンの処理に対し14万5463トンの再商品化量で再商品化率81%(同70%)、洗濯機・衣類乾燥機が12万8644トンの処理に対し11万6265トンの再商品化で再商品化率90%(同82%)となるなど、いずれも法定基準を上回っている。


(一社)日本鉄リサイクル工業会 新市場への挑戦を 第7回国際フォーラム開催

鉄リサイクル工業会の第7回国際フォーラム

フォーラム後の集合写真


(一社)日本鉄リサイクル工業会(鈴木徹会長)の国際ネットワーク委員会(委員長・安東元吉㈱青南商事社長)ではこのほど、東京国際交流館内プラザ平成「国際交流会議場」にて、会員、一般含め300名超の参加の下、第7回目となる国際鉄リサイクルフォーラムを開催した。今回のフォーラムは、全体のテーマを「新マーケットへのチャレンジとし、これまでの韓国鉄鋼協会、中国廃鋼鉄応用協会に加え、近年、新たな輸出先として注目度が高まっている南アジアのバングラデシュより関係者が来日。新市場含め、今後の輸出市場についても情報交換やディスカッションを行った。
フォーラムの冒頭、挨拶に立った鈴木会長は「鉄スクラップの輸出は遠隔化が進んできているが、マーケットの変化に伴い、新たな積み込み手法の開発などが進んでいる。今回はこうしたことに取り組んでいる方にお話を伺うほか、韓国、中国、そしてバングラデシュより関係者をお招きし、市場に関する情報を披露いただく。国際ネットワーク委員会は海外の関係者と友好的ネットワークを構築することを目的に活動しており、今後もこうした取り組みを続けていきたい」と述べている。
フォーラムの第一部は「東アジアから東南、南アジアの鉄スクラップ需給の現実」とのテーマで、株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一氏による「東アジア及び東南アジアの鉄スクラップ需給」、バングラデシュのBRSMグループのサプライチェーン部門長Imtiaz Uddin Chowdhury氏の「バングラデシュ、インド、パキスタン鉄鋼鉄スクラップの現状と将来」、中国廃鋼鉄応用協会副会長兼事務局長Li Shu bin氏の「鉄スクラップの消費比率を高め、鉄鋼産業の環境保全型発展に寄与する」、韓国鉄鋼協会市場開発部チームリーダーであるShin Gwan Seob氏の「韓国の鉄スクラップ産業の現状」と題する講演の後、パネルディスカッションが行われた。
フォーラム第二部では、「東南、南アジア輸出の経験の実際」として、三井物産㈱金属資源本部製鋼原料部冷鉄源室長の萩原太郎氏の「バングラデシュへのバルク輸出の経験」、㈱エコネコルの佐野文勝社長による「鉄スクラップのコンテナ輸出」と題する講演の後、上記二名に㈱マテックの小場泰知専務取締役を加えたパネルディスカッションが行われた。


改正廃棄物処理法・バーゼル法 9日に国会を通過 パブコメ経て省令改正作業へ

環境省が今年3月の閣議決定を経て今国会に送付していた廃棄物処理法の一部を改正する法律案が9日、可決された。また、同時に提出されていたバーゼル法の一部を改正する法律案についても可決が行われている。
廃棄物処理法に関しては、不適正処理に対応した行政による早期の実態把握や原因究明が可能となる電子マニフェストの導入、鉛等有害物質を含む電気・電子機器スクラップ(雑品スクラップ)等が適正措置が講じられぬまま火災・有害物漏出等といった生活環境上の支障が生じている現状に対する対応強化が図られているほか、不適正処理については、対応迅速化のために紙マニフェストに代えて電子マニフェストの仕様を義務付ける他、虚偽記載に関する罰則強化を行う。
また、中でも雑品スクラップに関しては、有害な特性を有する使用済み機器(有害使用済み機器)について、これら物品の保管または処分を業として行う者に対する都道府県知事への届け出、処理基準順守の義務付け、違反等があった場合における命令等の措置の追加等を講じるとしている。
他方、バーゼル法関連の改正に関しては、まず、競争力強化にむけた輸入規制の緩和があり、Eスクラップなど輸入通関手続きが従前の180日から今後、場合によっては1~2日に短縮される。これはリサイクル資源としてのEスクラップの輸入手続きを欧州と同程度とすることで、競争環境の整備を図ることを狙いとしている。他方、輸出に関しては雑品スクラップの不適正輸出や鉛バッテリー等輸出先での不適正処理事案が発生している現実を踏まえた水際等での規制と、中国主導の下で進められるE-Waste技術ガイドライン作りと、EUの新たなシステム作りに対応し、「先進性を有する都市鉱山機能をより強く主張する」必要を訴えるものとなっている。


経済産業省 食品ロスほぼゼロ実現 需要予測プロジェクト今後ビジネス化

経済産業省は日本気象協会と連携し、平成26年度から3か年計画で気象情報などを活用してサプライチェーンの食品ロスやCO2排出量を削減する「需要予測の精度向上・共有化による省エネ物流プロジェクト」を行っており、このほど最終報告を取りまとめ公表した。成果の一例としては、豆腐の製造~物流段階における食品ロスゼロを実現。これまでの取組で構築した豆腐の需要予測を最終年度は実際にメーカーに導入し、「見込み生産」から「受注生産」に転換する実験を行った結果、欠品することなく豆腐の食品ロスがほぼゼロとなった。
そのほか、気象データから冷やし中華つゆ(150ml)の需要予測する実証では、その精度をさらに高め、前年度の最終在庫20%削減から35%削減に向上。新たに実証を行った360mlでは90%削減を達成した。また、ペットボトルコーヒーの輸送を、トラックによる陸上輸送から海上輸送へシフトし気温や気象の予報から最適な航路を判断する実証では、従来の方法から54%のCO2削減を成功させている。
このプロジェクトは、最終エネルギー消費量の約2割を占める運輸部門の省エネ対策を進めるため、効率化に向けた先行事業を行う「次世代物流システム構築事業」の一環として行われ、メーカー、卸・流通、小売、有識者など、およそ40企業・団体が参加。28年度が最終年度だったものの、日本気象協会ではデータ検証や実験、システム構築、小売動向調査などについては、今後ビジネス化を進めていく見通しとなっている。


大栄環境 関西大手と協力体制 修繕・災害時の受入バックアップ

産業廃棄物処理大手の大栄環境株式会社(本社・兵庫県神戸市)は、このほど新日本開発株式会社(本社・兵庫県姫路市)と産業廃棄物、一般廃棄物、有価物の受託において、ネットワーク体制を構築することで基本合意を結んだ。今後、お互いが保有する施設の大規模修繕やトラブル発生時におけるバックアップ協力や、災害発生時の廃棄物受入協力を行なっていく見通し。
新日本開発は1972年の設立以来、兵庫県を中心に関西圏・中部圏・中四国圏等を事業範囲として産業廃棄物および一般廃棄物の焼却事業を展開。さらに、住友大阪セメント内に工場を構え、焼却灰のセメント原料化、関連会社では家電リサイクルなどの再資源化事業も展開している。また、重油流出事故や天災等による社会的な問題になった災害廃棄物処理も対応した実績も持つ。
大栄環境では、この合意により、さらに安定したサービスの提供が可能となり、廃棄物の適正処理並びにリサイクルの推進を通じて、更なる循環型社会の構築に寄与していく、としている。


古紙センター 未利用古紙掘り起こし啓発など 公益目的事業の内容を変更

(公財)古紙再生促進センターでは先ごろ開催した通常理事会で28年度事業報告等を行った。このうち、古紙品質安定化事業については、オーストラリア産ぶどうの梱包に利用されるロウ引き段ボールを原因とするトラブルが4~5月に頻発することから、日本チェーンストア協会、スーパーマーケット協会などを訪問、古紙混入を防ぐべく周知徹底を要請するとともに、古紙問屋における選別強化、製紙工場における検収強化などの周知徹底を行っている。また、古紙回収推進事業は日本製紙連合会からの委託終了、債務保証事業は残額ゼロで申し込みの見込みもないことから、廃止となっている。
また、古紙センターの公益目的事業の変更が5月16日付で内閣総理大臣から認定を受けたことから、その変更内容について報告が行われている。それによれば、古紙品質安定対策化事業では、従来、古紙センターが購入した古紙を製紙メーカーに売却して組成調査を行っていた流れを、製紙メーカーが直接購入した古紙の組成調査を行うスキームへと変更しつつ、ロウ引き段ボールなどの問題を受け、個別の古紙品質対策を追加している。
さらに、廃止となった債務保証事業の財産の一部を充当し、未利用古紙掘り起こし・品質確保といった紙リサイクル啓発活動を新規事業として掲げ、自治体、資源回収業者などの関係者向け啓発資料、説明会やセミナーなどを開催する。未利用古紙に関しては、調査研究事業にも取り組む方針で、①機密書類等未利用古紙回収ネットワーク構築、などの調査研究を行うなどとしている。


エンビプロHD 「ブライトえびす」を開設 障がい者の就労支援展開へ

金属リサイクルを中心とした総合リサイクル事業などを展開する株式会社エンビプロホールディングス(佐野富和社長)ではこのほど、連結子会社で障がい福祉サービス事業を展開する株式会社アストコ(本社:東京都目黒区、春山孝造社長)が、就労移行支援事業所である「ブライトえびす(東京都目黒区三田1―12―24)」を開設したと発表した。
ブライトえびすでは、障がい者個々に応じたプログラムを提供し、就職を通じた社会参画の実現に向けたサポートを行うと同時に、同時に企業の障がい者雇用のサポートを行い、双方に向けたサービスを提供する。アストコが運営する障がい者のための就職サポートセンターBright(ブライト)では、今後も多様性を認め合う社会の実現に向けて事業を展開していく方針だ。
なお、エンビプロホールディングスが先ごろ発表した平成29年6月期第3四半期の業績では、連結ベースの売上高が前年同期比2・6%減の213億8600万円、営業利益が同比48・1%増の6億8800万円、経常利益が同比43・6%増の7億8900万円、純利益が同比48・5%増の6億円など。昨年11月以降の金属などの鉄スクラップの相場上昇や東洋ゴムチップのグループ化による事業規模拡大が収益に寄与したとしている。


環境省 「家業」からの脱却を 産業廃棄物業界の振興策取りまとめ公表

環境省は細田衛士氏(慶応大学教授)を座長とする検討会において、産業廃棄物処理業の振興方策に関する提言」の検討を進めており、さきごろ、提言内容を取りまとめ公表した。
同省では、産業廃棄物処理施設のみならず、収集運搬・処分に関わる業自体が「循環型社会を構築する上で欠かすことのできないインフラ」であるにも関わらず、「市民からは迷惑施設として認識されており、その施設の立地に当たっては周辺住民からの反対を受けがち」として、この提言では、産業廃棄物処理業の社会的地位を向上させ、円滑に循環型社会の構築を進めていくための方針を示す。
同提言では、許可業者のうち実際に業を行っているアクティブ事業者数や従業員規模、業界の賃金状況などの基本的なデータや、国内大手10社と欧米主要企業との売上高の比較、個別企業による取組の動向など業界の実態と現状を分析。このなかで、「社会経済動向に伴うリスクが顕在化しつつあり、このままでは従来の経営の延長線上でゆっくりと事業基盤を喪失する「ゆでガエルシナリオ」に陥りかねない。「企業」としての成長と底上げが求められている」として、「家業」からの脱却を提唱している。
そのほか同提言では、これらの分析により浮かび上がった課題を解消するため、「成長」と「底上げ」の二つのテーマからなる振興方策を、国、地方公共団体、産業廃棄物処理団体、排出事業者及び地域住民の各ステークホルダー別にとりまとめた。国が取り組むべき振興方策について、主なものとしては以下の通り。
【成長に向けた振興方策】
・優良産廃処理業者認定制度の強化と有効活用
・電子マニフェストの普及拡大
・先進的事業の創出支援(先進的技術やビジネスモデル導入に対する制度運用上の配慮等を通じた支援や、海外展開・国際協力における自治体間の連携によるキャパシティビルディング及び財政面を含む後押し)
・廃棄物分野における低炭素化推進への支援
・排出事業者の意識改革
【底上げに向けた振興方策】
・許可事務等の効率化
・廃棄物処理、再資源化に係る技術等向上支援
・人材確保、育成支援
・地域との共生促進支援
・優良先進事例の情報発信
・産業廃棄物処理業者による地域貢献のサポート


横浜市資源リサイクル事業協同組合 宗村新体制の船出へ「組合事業の両輪バランスを」

新理事長の宗村隆寛氏

挨拶する宗村新理事長


横浜市資源リサイクル事業協同組合ではこのほど、第25期通常総会を開催し、平成28年度事業報告、29年度事業計画などの各議案を滞りなく承認し、役員改選では新理事長に宗村隆寛氏(株式会社富士紙業 代表取締役社長)が就任した。
総会後に開催された懇親化の席の冒頭、挨拶に立った宗村新理事長は「リサイクル組合は、2つの面があり、一つは職員が会社として働くための組合、そしてもう一つは我々事業者である組合員のためという面です。私としては新たに三役となった会田副理事長と栗原副理事長の三役、そして理事の方々と共にこの組合事業の両輪をバランスよく運営できればと考えております。一方、資源物の発生減で各社の売り上げが落ちるなか、個別企業に利益が出るわけではない組合活動に参加することへの意味を問う声もあることも少なくないと思いますが、組合活動は大きな組織を動かしていくという貴重な経験や人脈を得ることにもつながりますので、無理のない範囲で組合活動にご参加いただければ幸いです」と述べた。

構造変化に対応図り 拠点回収や許可制等の検討も
横浜市資源リサイクル事業協同組合の28年度事業における古紙等の循環資源物の共同受注及び受注あっせん実績によれば、集団回収委員会による横浜市民の回収は、参加世帯数が22万2505世帯と前年度比微増となったものの、年間回収量は2万2974トンと対前年度比4%の減少となっている。
新聞購読者の減少や紙媒体の衰退での回収量減が顕著となるなか、古紙委員会による共同回収事業も、横浜資源化協議会のオフィス古紙回収も115トンと前年度比15%減、金沢産業団地での回収も21トンと前年度比33%の減少。また、リサイクルポート山之内での実績も古紙は1万2190トンと同比5%減、故繊維でも436トン(同比7%減)となるなど、厳しい状況が続く。
社会構造の変化と再生資源物の発生の減少といった状況を踏まえた同協組の29年度事業計画では、本業の資源選別センターの委託事業とリサイクルポート山ノ内運営を2本の柱としつつ、「りくみビジョン2020」の推進やCSV(creating shared value:共有価値の創造)活動などを行う。
具体的な内容としては、金属委員会における組合員のヤードを活用した持ち込み拠点事業の検討や古紙委員会でお回収業者の存在意義の確立・照明に向けた「リサイクル専門収集運搬事業者」等の新たな許可制度の検討、更に前年度からの「横浜リユースびんプロジェクト」の深化などを図るなどとしている。


全国製紙原料商工組合連合会 利用率65%に取組み 業界の近代化推進事業を継続

全国製紙原料商工組合連合会の第40回総会

全原連の第40回総会


国内古紙ディーラーの全国団体である全国製紙原料商工組合連合会(理事長・栗原正雄 栗原紙材㈱社長)ではこのほど、静岡県製紙原料商業組合の幹事の下、浜松市のホテルコンコルド浜松にて、第40回の通常総会を開催した。総会においては、各議案とも滞りなく承認が行われている。 全原連では、昨年度事業のなかで、昨年3月に古紙利用率を平成32年度末までに65%にするという新たな数値目標が掲げられたことから、新たな対策が必要とし、10月には連合会内に、正副理事長、各地域組合理事長及び近代化推進事業委員会委員長からなる「2020年対策特別委員会」を立ち上げ、全地域組合員に対するアンケート調査を実施。(公財)古紙再生促進センターや日本製紙連合かと連携しながら、今年度は全国ベースの対策を決定、それをベースとした地域対策を取りまとめ、実施に移すことを計画している。
こうした前提を踏まえた平成29年度の事業計画については、指導及び教育として、外部等からの問い合わせ対応への強化に向けた古紙リサイクル問題相談室や業界に向けての需給動向予測等の情報・資料の収集及び提供、更に組合の実態調査や輸出における国際市場動向、古紙卸売業の法的根拠、地域回収システムなどの調査研究ならびに品質安定化、持ち去り行為撲滅対策の推進などを掲げた。そしてこれらの業界の近代化推進事業を行うべく、①経営革新委員会、②需給委員会、③IT推進委員会、④障害広報委員会の4委員会の下、適格事業所認定制度やリサイクルアドバイザー認定制度、J―Brand認定制度などの事業を推進していく方針だ。
なお、総会後の懇親会で挨拶に立った栗原理事長は古紙需給予測で新聞古紙が足りなくなる可能性のほか、古紙利用率2020年65%目標が示されたことから、回収増に取り組むことや、深刻化する人材確保難への対応として、外国人技能研修制度や留学生活用などを検討する方針が示されている。


新聞用紙消費量 米、中は急激な減少 日本は緩やかな減少示し

新聞用紙消費量推移

我が国の古紙については、その回収量は、2016年は2123万トンと、2007年の2332万5000トンをピークに減少を続け、古紙の消費については現状、板紙向けが好調、紙向けが不調となっている。これは電子媒体の普及などの構造的要因によるものと考えられるが、その影響は紙媒体である新聞用紙の消費に反映される。この傾向は、世界の主要国・地域の間において共通のものとなっている。日本製紙連合会ではさきごろ、2016年の世界の主要国・地域の新聞用紙の消費についてまとめた。それによれば、2016年の我が国の新聞用紙の消費量は、292万6000トンで、2015年に引き続き、米国、中国を抜いて、世界トップになっている。(左表参照)
主要国・地域についてみると、米国の減少は顕著であり、特にリーマンショック直後の2009年には前年比27・4%減と大幅に減少した。 その後も減少に歯止めはかからず、 2015年には前年比10・7%減の300万8000トンとなって、我が国の2015年消費量303万3000トンを割り込んだ。2016年も前年比6・1%の減少で282万6000トンとなっている。欧州の減少幅は北米ほどではないものの、2016年は前年比3・8%減と我が国の減少幅を上回っている。
中国は2009年までは急成長。2000年には166万トンだった新聞用紙の消費量は2009年には461万トンに達し、その間の伸び率は年率12・0%だった。 しかし、 2010年以降は2012年を除いてマイナス成長。2015年には2003年以来12年ぶりに300万トンを割り込み、我が国を下回った。さらに2016年は前年比11・4%減と主要国中唯一2桁減となっている。 インドは2013年までは増加基調だったが、2014年は2009年以来5年ぶりに前年割れとなり、2015年には前年比0・9%増の237万6000トンとなっている (2016年の統計は現時点で未発表)。
以上に比べ、我が国の新聞用紙の消費量は2012年を除いて一貫して減少しているものの、その減少ペースは、他国・地域に比べ、相対的に緩やかとなっている。 今後についても、 新聞用紙の消費の減少は継続していくものと考えられ、回収サイドとしては発生減少に対応していくことが課題となる。