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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2017年4月

神戸市 集団回収に積極施策 回収量増加へ対策調査開始

兵庫県神戸市では、近年、家庭ごみの減量や資源化の一環として、古紙の資源化や資源集団回収活動の支援を積極的に行っている。ユニークなものでは、昨年11月~今年1月に開催したSNSを利用したフォトコンテスト「Kami‐stagram(紙スタグラム)」がある。写真投稿SNS「インスタグラム」に、集団資源回収など地域のリサイクル活動に協力している姿を写した写真や、家庭で雑がみの分別に取り組んでいるところの写真を投稿してもらい、優秀作品には神戸牛などの豪華賞品が贈呈される。インスタグラムを利用することで、「集団回収離れ」や「リサイクル離れ」が懸念されている若者への遡及効果も期待できるうえ、低予算で実施できるアイデアにあふれた施策だ。そのほか、これまで「雑がみ」分別を促進するためのアイデア創出ワークショップなども開催してきた。
そういったなか、このほど新たに資源集団回収活動の対策調査を実施する。近年、神戸市でも、ペーパーレス化や新聞・出版部数の減少などの影響から、回収量は減少傾向にある。同市では、そのほかにこの減少傾向は「高齢化や出しにくさ、情報不足などの要因もある」と推測し、今回、調査を行う。
調査内容は①資源集団回収活動団体のデータ整理、②事前アンケート調査、③フィールドワーク調査団体の抽出、④調査団体及び回収業者に対するフィールドワーク調査、⑤調査結果の整理及び施策の提案、⑥白地地域調査、⑦業務報告書の作成・提出の7項目。5月上旬に委託業者を決定し、5カ月程度の調査を予定する。 同市では「回収の実態を把握し対策を講じることにより、資源集団回収の利用を促進し、燃えるごみの減量と古紙の資源化、ひいては資源集団回収活動を通じた地域の活性化につなげていきたい」としている。


容器包装リサイクル協会 PET品質ガイドライン変更 軽量化でラベルとの選別困難に

公益財団法人日本容器包装リサイクル協会は平成29年度より「PETボトルの市町村からの引き取り品質ガイドライン」の一部を変更し、①「ベールに求められる性状」への「外観汚れ」、②「ベールの品質」へ「容易に分離可能なラベル付きボトル」を追加している。
①については、ボトルに付着した油汚れ、錆汚れ、土や埃の汚れなどは再生処理上で大きな負荷となり、再生処理事業者が製造する再商品化製品の色目にも影響があるため、従来から、PETボトル分別基準適合物(ベール品)の品質調査(以下、「ベール品質調査」)において、目視検査の項目には「外観汚れ程度」があり、配点も計量検査項目の「キャップ付きPETボトル」と同じ最も高い配点となっている。「外観汚れ程度」と「キャップ付きPETボトル」のいずれかの判定が「D」となると、合計点数の如何にかかわらず、総合判定は「D」となる。「外観汚れ」の項目が、これまで「引き取り品質ガイドライン」に記載されていなかったため、今回変更した。
②については、PETボトル自体の軽量化により、キャップに比べ、ラベルとボトルとの重量さが無くなり、風力による選別が難しくなってきたことがある。また、近年、PETボトルの入札は有償落札が95%以上を占めるようになってきており、落札単価は市町村・一部事務組合が受け取る有償分拠出金額の多寡に直接影響を与えるようになってきたことも理由のひとつとして挙げている。
同協会では昨年10月に行政担当者に変更について通知を行い、周知を進めていた。また、市民、消費者向けの「容易に分離可能なラベル付きボトル」に関するQ&Aおよび説明用イラストをHPに掲載し、自治体担当者へ市民への啓発を促している。


環境省 29年度で13事業を採択 我が国循環産業の海外展開やCO2抑制対策で

環境省では、このほど平成29年度「我が国循環産業海外展開事業化促進業務」及び「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(我が国循環産業の戦略的国際展開による海外でのCO2削減支援事業)」対象事業の選定結果について発表を行った。
同省では平成23年度以降「日系静脈産業メジャーの育成・海外展開促進事業」を開始し、平成25年度からは「我が国循環産業の戦略的国際展開・育成事業」と名を改め、自治体や関係機関と連携しつつ、廃棄物処理やリサイクルに係る二国間協力・多国間協力と有機的に結びつけ、我が国の優れたインフラ関連産業の一つとして循環産業の海外展開を積極的に促進してきている。
同事業には計20件の応募があり、このうち、「我が国循環産業海外展開事業化促進業務」で8件、「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」で5件が採択されている。 採択事業は、JFEエンジニアリングによるフィリピンでの廃棄物処理事業環境基礎調査や東邦亜鉛などによる中国での製鋼ダストからのベースメタルリサイクル、日本環境設計のバングラデシュでのポリエステル・リサイクル・ソーシャルビジネスなどとなる。


エンビプロ・ホールディングス 海外に合弁会社設立 木質バイオマス原料の供給拡大へ

金属スクラップを中心とした総合リサイクル事業を展開する株式会社エンビプロ・ホールディングス(本社:静岡県富士市、佐野富和社長)では先ごろ、国内での需要拡大が見込まれるPKS(※)のマレーシアやインドネシアでの集荷を目的に、Tan・Teo・Song氏とアール・エス・アセットマネジメント株式会社(柴山隆史社長、以下、RSAM社)とともに合弁会社MINE BIOMASS SYNERGIES PRIVETE LIMITEDをシンガポールに設立、出資を行ったと発表した。新会社の資本金は日本円で約3300万円。出資比率はTan氏65%、RSAM社20%、エンビプロ・ホールディングスが15%。今後、マレーシアのクアンタンにヤード開設を予定している。
国内における木質バイオマス発電所は年々増加しており、平成29年までの稼働予定件数89か所に対して平成32年度末には140件以上に増加することが見込まれている。これらの発電所がすべて稼働すると、燃料となるPKSは平成29年で約100万トン、平成32年で約300万トンの輸入が必要となり、PKSへの需要が高まることが見込まれている。
エンビプロ・ホールディングスでは、かねてからPKSの集荷の仕組み構築を子会社である株式会社エコネコル貿易部門の新たな収益源とすべく事業を進めており、今回、現地パートナーTan氏およびRSAM社と合弁会社を設立することとなったもの。現地パートナーとなるTan氏はタイにて通信機器販売会社を経営しており、平成25年より石炭及びバイオマスビジネスに参画、マレーシア、インドネシアでの新規PKSヤードを開設した経験を有す。また、RSAM社は太陽光設備等の再生可能エネルギーファンドに対するアレンジメント事業やインベストメント事業を営む事業会社となる。
同社では、これら合弁先のノウハウと、エコネコルの貿易機能である物流システムやヤード管理のノウハウ等を応用することで、PKSの安定した調達ソースを確保し、国内での新たな販売スキームの確立を目指す。更にPKS輸入取扱量を増やしながら、将来的には商材を木質ペレットや半炭化ペレットへと拡大し、さらなるビジネスの拡大につなげていく方針だ。


古紙 大阪に持ち去り条例 4月から罰金5万円・氏名公表など

大阪市は古紙・衣類の持去り防止に関して廃棄物条例を改正し、罰金や氏名公表などを盛り込んだ条例を4月から施行した。同市では今回の条例改正の理由として、以下の3つを挙げている。①「古紙等を無断で持ち去られることにより、本市が責任を持って処理することができず、その後適正に処理されているか確認もできないことから、本市の?般廃棄物処理責任を果たすことができない」。②「持ち去りを放置することは、市民の分別やリサイクルに対する意識の低下を招くとともに、市民と協働で推進してきたリサイクル制度に対する信頼を阻害する」。③「有価での取引が行われる古紙を持ち去ることにより、市やコミュニティ回収活動団体等に対し、財産上の損害を与えるとともに、地域における持ち去り行為対策に伴う負担などから、コミュニティ回収推進の妨げとなっている」。
全国同様、同市でも近年、持ち去りが多発し問題となっていた。改正により、コミュニティ回収等を実施する団体から古紙・衣類を譲り受ける契約を締結した者以外のもの、市及び市が古紙・衣類の収集又は運搬を委託した者以外のものが、一般廃棄物処理計画に定めるところにより収集されている古紙・衣類(集団回収により収集されるものを除く)を収集し、運搬し、若しく保管をした場合、または、譲り受けた場合において、指導、勧告及び命令に従わない場合は、5万円以下の過料が科される。
また、正当な理由がなく、その命令に従わないときは、命令の内容及び命令を受けたものの氏名又は名称その他命令に違反したものを特定するために必要な事項を公表する。


鉄リサイクリング・リサーチ 価格形成要因に変化 中国安値ビレットの影響力後退

我が国の鉄スクラップに関する調査・研究を行っている株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長はこのほど調査レポートNo.40「価格形成は新たなステージへ」をまとめ、公表した。同レポートは、ここ数年世界の鉄スクラップの流通や価格形成に大きな影響を与えてきた中国の安値ビレット輸出について、影響力を及ぼした時期はもはや過ぎつつあるとし、今後の鉄スクラップの価格変動は新たなステージを迎えていることを検証したもの。
まず、林氏は中国のビレット輸出について、2014年秋頃から2016年中ごろまで約2年間にわたり月間200~250万トンの高水準が続いたが、昨年8月以降低下に転換しており、今年1月には月間100万トンを割り込み、2月には87万トンに減少。林氏はこの減少要因として、中国での生産減と原料問題があると指摘している。
中国では、内需は依然として活気の乏しい状況が続いており、固定資産投資の伸び鈍化と連動する形で、ビレットを圧延して生産される鉄筋棒鋼生産量も2015年の2億430万トンから2016年は2億80万トン(前年比1・7%減)に、月間1700万トン台あった生産量は昨年12月には月間1650万トンに減少している。また、ビレットは鉄鉱石を原料に高炉メーカーが主な生産者で、鉄鉱石価格が低位にあるときは低価格ビレットが輸出できたが、現在は鉄鉱石価格が高騰、安価なビレット輸出が難しく、競争力を喪失したものと見られる。
今後の中国産ビレットの輸出見通しについても、250万トンを輸出した2016年1月の鉄鉱石輸入価格42ドルでビレット258ドル/トンだったが、鉄鉱石が60ドルに上昇した際のビレット価格は340ドル台となり輸出量は150万トン台に低下。鉄鉱石80ドル、ビレット370ドルとなった昨年12月は100万トンまで輸出量が落ち込んでおり、鉄鉱石相場が高止まりする現在、輸出量復活の可能性は低いとしている。
そして、現在の価格の変動要因の新たなステージとして、まず、国内価格は出荷量の多い関東を中心に形成が進んでいるとした上で、東京製鉄(宇都宮)の購入価格と関東鉄源協同組合の輸出入札価格が先行指標として機能しているとした。そして関東鉄源協同組合の入札価格の元となる国外に関しても、これまでのビレット価格に係る中国の輸入鉄鉱石価格変動に連動する形から徐々に変化しており、今後は主要鉄鋼原料である鉄鉱石価格そのものの影響力をバックボーンとしつつ、ここにトルコや韓国といった主要市場の鉄スクラップ需給によって価格が形成されるステージになっていくとしている。
なお、鉄スクラップ相場の中長期見通しについて林氏は、韓国や中国からの鉄スクラップ輸出が定着する時に世界は需給緩和が免れず、鉄スクラップ低価格時代を迎えるとまとめており、その時期については2030年から更に前倒す可能性についても言及した。


東京都資源回収事業協同組合青年部 雑誌・雑がみテーマに勉強会を開催

東資協青年部の勉強会

東資協青年部の勉強会


東京都資源回収事業協同組合青年部(福田雄一部長)は先ごろ、講師に(公財)古紙再生促進センター(以下、「古紙センター」)の中田広一業務部長を招き、「古紙の利用状況―古紙の掘り起し及び品質改善について―」をテーマに勉強会を開催した。
中田氏は統計情報を紐解き、昨年新たに設定された「2020年度までに65%」という古紙利用率目標を達成するためには、雑がみの回収を拡大し、雑誌とともに品質を向上させることが必要不可欠との見解を示し、禁忌品や実際に製紙会社で発生した古紙品質トラブルなど様々なデータや事例などを紹介。古紙センターが行った地方自治体へのアンケート調査では、禁忌品の情報入手先について最も多かったのが「古紙の売却先の業者」、「古紙の収集運搬の委託業者」だったことを挙げ、雑誌・雑がみの品質向上のためには回収業界の禁忌品に対する正しい理解が必要であるとして、協力を呼びかけた。
勉強会は親会からも多数参加し、総勢29名が参加。その後の質疑応答でも活発な意見交換が行われた。なお、青年部で勉強会を開催するのは昨年9月以来、28年度2回目。前回のテーマは「顧客管理システムを活用した不用品マーケティング」だった。


廃棄物大手2社が提携 地方公共団体向け焼却施設分野で

神鋼環境ソリューション(本社・兵庫県神戸市)とIHI環境エンジニアリング(本社・東京都江東区)は先ごろ、地方公共団体等向けのごみ焼却施設建設工事を中心とする廃棄物処理施設関連分野において、包括的業務提携契約を結んだことを発表した。この4月から両社で活動を開始する。 今回の業務提携では、販売活動の一体運営体制の構築・運用、共同受注案件の共同遂行、ライセンスの相互許諾、共同研究開発の実施などを行う予定。具体的内容等については両社にて引き続き協議していく。
神鋼環境ソリューションは流動床式ガス化溶融炉、IHI環境エンジニアリングはストーカ式焼却炉をそれぞれ主力商品としていることから、「相互補完関係にある」として、人口減社会の到来による市場規模の縮小を見据えて今回の業務提携に至った。両社では、「包括的業務提携に関する基本協定の下、競争力や提案力に一層の磨きをかけるなど両社一体として強固な事業基盤を構築していく」としている。
なお、神鋼環境ソリューションは、神戸製鋼グループの環境分野を担う会社として、水処理関連事業、廃棄物処理関連事業、化学・食品機械関連事業等を展開してきた。一方、IHI環境エンジニアリングは、IHIグループの環境分野の中核会社として、廃棄物処理施設・水処理施設等の環境関連設備事業等を手がけている。


環境省 R率微減し20・4% 27年度の一般廃棄物排出・処理状況

環境省は先ごろ、平成27年度における全国の一般廃棄物(ごみ及びし尿)の排出及び処理状況等の調査結果を取りまとめ公表した。 調査結果によると、ごみ総排出量は4398万トン(東京ドーム約118杯分)で、国民1人1日当たりのごみ排出量は939グラムとなり、ごみ総排出量、1人1日当たりのごみ排出量ともに減少している。なお、最終処分量は前年比3%減少。総資源化量は900万トンと前年比1・4 %パーセント減、リサイクル率は20・4%と0・2ポイント微減した。
ごみ焼却施設数は1162施設から1141施設に減少。そのうち、発電設備を有するごみ焼却施設数は全体の30・5%であり、調査開始以降初めて30%を超えた。ごみ焼却施設における総発電電力量も2・7%増加し、8175GWh(約255万世帯分の年間電力使用量に相当)となっている。
なお、最終処分場の残余容量は17年間連続で減少しており、1億404万?。最終処分場の数も概ね減少傾向にあり、環境省では、最終処分場の確保は「引き続き厳しい状況」とした。また、行政のごみ処理事業経費は増加しており、1兆9495億円となっている。


古紙再生促進センター 品質や数量の安定化対策など 平成29年度事業計画

(公財)古紙再生促進センターではこのほど通常理事会を開催し、29年度の事業計画などを審議・承認された。平成28年度4月から古紙利用率目標を1%向上させた新たな目標値が設定され、平成32年度までの古紙利用率目標は65%となったが、経済産業省では紙リサイクルの促進に向け、消費者、自治体、回収業者、製造業者といった幅広い関係者が一体となった取り組みが必要としている。
こうしたなかで、29年度の事業計画では、古紙の回収・利用を一層促進させるために、古紙の品質維持・向上、紙ごみの資源化、安定的な紙リサイクルシステムの確保などといった諸課題に対応すべく、以下の方針に基づいて効率的に事業を展開していく。
・「民による公益の推進」という公益法人制度の趣旨に沿った事業の適正な運営を図る
・古紙品質安定化対策事業は、禁忌品の混入防止対策等を行うことによって、古紙品質の安定を図る
・広報事業は地方自治体との連携を深め、教育分野と各地域における活動を強化し、紙リサイクルへの意識を高めるとともに協力を呼びかける
・調査研究事業は、国内外における古紙回収、利用、流通に関する調査を実施し、必要な情報収集を行う
・紙の資源リサイクル安定化事業は、必要に応じた古紙余剰対策、備蓄実施体制の整備を行うとともに、海外における紙リサイクルの現状と安定化施策等に関する調査と古紙余剰を解消するための紙資源リサイクル方法に関する調査を行う


都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト NTTドコモや参加自治体で回収

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会はこのほど、第19回の理事会を開催し、持続可能性に配慮した調達コードの策定についてなど3件を決議したが、そのなかで「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」について、プロジェクト推進体制や開始時の広報活動、参加者とのコミュニケーションを図るための感謝カード配布等の報告が行われ、公式のホームページ(http://www.toshi-kouzan.jp)も公開された。
「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」は、東京2020参画プログラムの公認プログラムとして今年4月より2019年春頃まで全国で本格展開されることとなっており、日本全国の国民が参加してメダル製作を行う国民参画形式により実施される。また、リサイクル金属をメダル製作に活用することで環境に配慮し、日本のテクノロジー技術を駆使することで、金の精錬におけるリサイクル率100%を目指す。
4月からの同プロジェクトの参加方法は2通りとなっており、まず第1の方式として、NTTドコモにより全国のドコモショップで使用済み携帯電話・スマートフォン・タブレットの回収が行われる。ただ、ドコモショップではこれらの品目以外の回収は行われないこととなっている。もう一つの方式が、プロジェクトに参加する自治体等による回収だ。対象品目は基本的に使用済み携帯電話やパソコン、デジタルカメラ等主に小型家電リサイクル法に基づく28品目となるが、自治体によって品目・回収方法、開始時期は異なってくる。
同組織委員会では、過去にもメダルの原材料の一部としてリサイクル金属が含まれた例はありましたが、国民が参画し、メダル製作を目的に小型家電等の回収を行い、集まったものから抽出された金属でメダルの製作を行うプロジェクトは、オリンピック・パラリンピック史上、東京2020大会が初めてのことになるとし、持続可能な社会実現とレガシーを残すことにつなげるとしている。


胎動する羽毛リサイクル 多様なステークホルダー巻き込み

GreenDownProject

GDPのフォーラム


布団やダウンジャケットなどの羽毛製品のリサイクルシステム普及啓発に取り組む(一社)GreenDownProject(以下、「GDP」)はさきごろ、フォーラム「GreenDownProjectの『これまで』と『これから』」を開催した。GDPは福祉関係をフィールドに活動していた長井一浩代表理事を中心として2015年に発足。現在はアパレルメーカーや商社など30社・団体が参加する。GDPのリサイクルの仕組みは、アパレル小売りや寝具店、クリーニング店などの店頭やイベント会場で羽毛製品を回収し、高度な洗浄技術を持つ岐阜県の河田フェザー株式会社で再資源化、パートナー企業のアパレルメーカーがそのリサイクル羽毛=GreenDownを使って製品を製造するというもの。回収羽毛製品の解体工程などに障がい者を雇用し、障がい者の就労支援も目指す。昨年から横浜市も参加し、同市で回収した羽毛製品の提供を始めるなど、プロジェクトは行政にも広がりを見せはじめている。
フォーラムでは、恩賜財団済生会理事長の炭谷茂氏が、障がい者や刑務所出所者など就業困難者への支援に環境ビジネスを活かす意義や手法について講演。パートナー企業であるアパレルメーカーURBAN RESEARCHや繊維商社の豊島株式会社が登壇し、このプロジェクトに参加する意味や手ごたえを紹介した。 国内の羽毛布団の販売枚数はおよそ320万枚と言われているが、そのほとんどは焼却処分されているのが現状だ。一例として東京23区清掃一部事務組合の清掃事業年報を見ると、2015年に粗大ごみとして処理された羽毛布団は約95万枚にものぼり、3年前と比較して15万枚増加、今後もさらに増え続けることが予想されている。
近年、CSR機運の高まりにより、アパレルメーカーによる古着回収は劇的に増加したが、値のつかないものも含めて引き取り利幅を得る既存の故繊維業者から見れば、上澄み部分だけを抜き取られているような取組も多かった。量的かつ実質的にこの国の繊維リサイクルを機能させている中小業者の体力をじわりじわりと奪うような独善的な取組は本当に「持続可能」なのか。そういったなか、多くのステークホルダーを巻き込みつつ自己完結するこのGDPの取組は、先行アパレルによるリサイクルと一線を画している。