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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2017年3月

小型家電リサイクル 回収増へ事例など発表 環境省が市町村意見交換会

小型家電リサイクルの市町村意見交換会

小型家電R市町村意見交換会


環境省では先ごろ、小型家電リサイクルの更なる促進に向け「市町村の小型家電リサイクルの取組に関する意見交換会」を開催した。平成25年4月から開始した小型家電リサイクル制度は、回収量が当初の見込みを下回る状況が続いている。こうしたなか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの入賞メダルを小型家電リサイクルで製造することが決定、今後、更なる回収量増が求められている。こうした点を踏まえ、この意見交換会は先進的な取り組みを行っている市町村の取組状況などについての事例発表や自治体同士での意見交換を行い、小型家電の回収増につなげることを狙いとしている。
なお、制度により、平成27年度に回収された小型家電は約6万7000トンとなり、目標の14万トンを大きく下回っているのが実情だ。
まず、各市町村での取り組みとして、東京都板橋区、兵庫県住吉町、鳥取県鳥取中部ふるさと広域連合会、香川県丸亀市の4者による事例発表が行われたが、取り組みとしては、ボックス回収等に加え、粗大ごみからのピックアップ回収やステーション回収に力を入れている様子が発表された。他方、課題として資源相場の値下がりに伴い認定事業者等への売却価格が下落していることが指摘され、事業として継続できるか疑問といった指摘も出た。
次いで、小型家電リサイクル市町村支援事業について、北海道奈井江町、青森県弘前市、栃木県宇都宮市、千葉県南房総市、富山県立山市から発表が行われた。市町村支援事業は、環境省が市町村の実情を把握した上で課題を抽出し、改善メニューを提案、市町村がその結果を検証するという平成28年度からスタートした制度。支援を受けた自治体における実証結果に関しては、回収量の増加や粗大ごみ処理費の減少といった効果も認められたが、こちらでも一部自治体から売却単価の下落が課題という指摘が上がっている。
この後、東京オリンピック・パラリンピックのリサイクルメダルに関するこれまでの取組として、青森県八戸市・秋田県大館市・岩手県一関市の3市連携や愛知県大府市、岡山県岡山市の取組が紹介され、オリンピックというPR効果などで回収増につながったという報告もあった。他方、このオリンピックメダルプロジェクトに市町村は、参加認定事業者を通して参加する形になるため、一部市町村からは小型家電を引き渡している認定事業者がメダルプロジェクトに不参加の場合、市町村が参加したくとも出来ない点が指摘されたほか、プロジェクトを回収のPRに使用したくても大会組織委の縛りが強すぎる、といった声も挙がった。


対中再資源化貿易 廃プラ等に危機感 政府部門で更なる取り締まりも

廃金属や廃プラスチックなどの中国向け再資源化貿易の停滞が伝えられる。これは、先に中国税関部門が密輸などの防止のために水際での検査厳格化に取り組んでいる「国門利剣2017」(本紙既報)によるものとされ、中国向け輸出事業者からは、出荷した貨物の滞留や関係者の逮捕、資金回収遅延など様々な情報が伝わってきている。
今回の中国税関部門による密輸対策では、廃金属や廃プラが重点取り締まり品目の対象とされ、輸入されたコンテナ貨物の全量検査なども行われている模様。更に輸入ライセンスの名義貸しなどの対策として一部GPSを用いた追跡調査なども実施されているという。これまでも中国税関によるこれら輸入再生資源に対する取り締まりとして、グリーンフェンスなどが行われてきたが、今回の取り締まり強化に関し、一部の廃プラスチック輸出事業者からは「原油相場の値下がりもあってダブルパンチの影響を受けている。主力マーケットへの販路縮小と相場低迷で事業の継続は困難な状況に陥りつつある」といった悲鳴も聞かれる。
更に中国の税関、環境保護部、公安部、質検総局では、今月上旬にも11月まで輸入再生資源に対する管理監督の強化する方針を示している。これは輸入から中国内の再資源化企業までの流れにおける環境上不適正な処理や密輸などといった違法行為を行う企業の取り締まりを目的に、「国門利剣2017」と併せた規制強化措置だ。
<この措置について中国政府部門では、海外からの産業系廃棄物や電子廃棄物、生活ごみ、廃プラスチックなどの中国での流れを把握することで、再資源化貿易の適正化を図ることを狙いとしており、そのなかで廃プラ輸入加工企業への査察が重点項目の1つに取り上げられている。11月まで続くという今回の措置が我が国からの対中再資源化貿易に少なからぬ影響を及ぼすと見られ、廃プラなどの輸出関係者では、固唾を呑んで現地の動向を見守っているというのが現状だ。


丸栄 本社事務所をリニューアル 狙いはホスピタリティ向上等

新設した本社事務所棟

新設した本社事務所


鉄スクラップを中心とした金属リサイクルや産業廃棄物処理事業を手掛ける株式会社丸栄(本社・埼玉県久喜市桜田5―18―9、諏訪丈晴社長)では先ごろ、総工費2億円を費やした3階建ての本社工場事務所のリニューアル工事を終え、新事務所での営業を開始している。
諏訪社長は「今回の事務所のリニューアルには3つのポイントがある」と語る。整理整頓が行き届いた新事務所には、エレベーターを設置。来訪者のために会長及び社長室へのアクセスを容易にしただけでなく、最上階まで移動すればヤードの全景を一望でき、処理の流れも把握しやすいという、顧客に対するホスピタリティの向上を図ったのが第1のポイントだ。 次のポイントとして、こうした顧客へのホスピタリティを実践する従業員の意識向上に繋げるべく、職場環境の改善も図った。一人一人にロッカーを備えた従業員専用の休憩室を完備したほか、女性専用の更衣室も設置。更に、業務に携わる全社員が研修等を受けることも出来る最大60名収容の会議室を設けている。
また、現場の作業員も含めた全社員にデスクを用意したのも、スクラップディーラーでは珍しいことと言える。これは「現場の作業員といえども、今後はPCを用いた業務が増えていく」(諏訪社長)ということを見据えたものだ。例えば、廃棄物処理の環境負荷低減でのIoT技術の活用や国の進める産業廃棄物マニフェストの100%電子化など、リサイクル業界にも処理適正化・高度化に向けてのIT活用の波が押し寄せている。こうした時代の要請に、全社的に対応していくことを目指したものと言えよう。

このほか、市の求める鷲宮工業団地内での緑化面積率20%に対応すべく、事務所棟周囲及び駐車場スペースには緑化舗装を実施しており、同社ではコンプライアンスを重視した経営を更なる成長に繋げていく方針だ。

高度化にも取り組み ダスト選別で付加価値創造
トロンメル回転選別機

トロンメル回転選別機


また、丸栄では今回の事務所リニューアルというソフト面での整備だけでなく、ハード面でも約1億円の投資も行い、処理技術の向上も進めてきた。同社が掲げた「リサイクル技術の高度化による廃棄物の再資源化及び再生燃料の開発」事業は、全国中小企業団体中央会の平成25年度中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業に採択。国からの助成を得て、本格的にシュレッダーダストの選別に取り組んでいる。
平成27年度より本格稼働を始めた新たな選別ラインでは、10mmアンダーから100mmオーバーまで対応可能なトロンメル回転選別機に更に2つの選別ラインを設け、シュレッダーダスト内に含まれる銅やアルミなどの金属資源の抽出を行っている。諏訪社長は「比重にもよるが、ダスト重量から2・5%から20%程度の金属資源の回収を実現した」と胸を張る。
相場の回復に伴い、鉄リサイクル業界は昨年の厳しい状況からようやく一息つくことの出来る状況となったが、業界を取り巻く環境は、少子高齢化に伴う発生の減少傾向に加え、業者間による過当競争による収益率の低下などで将来にわたって構造的な問題が指摘されている。そのなかで、同社をはじめとしたシュレッダー業者にとっては、中国系事業者等によって、本来母材となるはずの雑品スクラップが国外に流出、工場稼働率の低下に悩まされてきた。今後は廃棄物処理法改正により、不適正な事業者等に一定の規制がかかる方向となったが、雑品流出にどこまで歯止めがかかるかは現状不透明だ。
ただ、いずれにせよ適正処理は無論のこと、高度なリサイクル技術の開発は社会的な要請となってきているのは言うまでもない。こうしたなかで、同社の取り組みは、他者との差別化を図り、リサイクルに新たな付加価値を創造するものと言え、国の制度や構造の変化を見据えながら、社会から選ばれる企業としての対応を積極的に進める同社の更なる飛躍が期待されるところだ。


三立機械工業 選別力強化等を支援 「買い替えキャンペーン2017」を実施

剥線機KOS-MT型

剥線機KOS-MT型


非鉄金属リサイクル機械などの製造販売を手掛け、廃電線処理機器のトップメーカーである三立機械工業株式会社(本社:千葉県稲毛区、中根亮一社長)では現在、最新型の剥線機及びアリゲーターシャーリングの購入に当たり、期間限定で使えなくなった機器でも最低5万円の下取り保証を行う「買い替えキャンペーン2017」を6月末まで実施中だ。これは昨年好評を博した「剥線機 買い替えキャンペーン」の第2弾となるもので、今回は油圧アリゲーターシャーリングも対象に加えるなど、内容を更に充実させている。


資源リサイクル産業では、選別解体による付加価値向上が求められているが、同社のキャンペーン対象機種の多くが「先端設備」として工業会認定を受けた最新型のリサイクル装置となっている。対象となる剥線機では、「剥王シリーズ」が4モデル(KOS―MT型/M型/PT型/P型)となり、同機は6世代目のモデルチェンジで、生産性が高く安全な電線の分離作業を実現し、業界内でも高い評価を獲得している。また今回、キャンペーンの追加対象となったアリゲーターシャーリング(HAS―300型、HAS250型の2モデル)も、油圧によるパワフルな切断力にワイドな刃開き、更に緊急停止が出来る安全機能を標準装備しており、かさ張る非鉄金属スクラップの減容・素材切り分けに定評のある商品だ。
なお、三立機械工業では、生産終了後20年以上が経過した旧製品の修理受付の2018年3月に終了する予定だ。このため同社では「先端設備」の認定を受けた最新機種ならば、100%即時償却できる優遇税制が適用できることから、顧客に対してこのキャンペーンを活用した設備更新で自社の選別力強化の一助にしていただきたい、としている。同キャンペーンに関する問い合わせについては、三立機械工業株式会社(電話043―304―7511)まで。



容器包装リサイクル 27年度実施割合全品目で増加 回収量はスチール缶などが減少

環境省は先ごろ、平成27年度の容器包装リサイクル法に基づく市町村の分別収集と再商品化の実績について取りまとめた。分別収集については、全市町村に対する実施市町村の割合が前年度までにガラス製容器、ペットボトル、スチール製容器、アルミ製容器で9割を超えていたが、27年度は4年ぶりに段ボール製容器も9割に乗った。
また、プラスチック製容器包装については、近年のゴミ処理施設の更新に伴う発電効率の上昇などで分別収集を廃止する自治体も出ているが、実施割合は1・9ポイント増の76.3%となった。最も少ない紙製容器包装でも1・3ポイント増の39.3%となった。分別収集量は、事業者等のリデュースの取組進展で、減少傾向にあるが、スチール製容器は消費量の減少に伴い8%の減少となった。
なお、再商品化実績について、市町村において分別収集され、再商品化計画に基づき再商品化事業者に引き取られた量は、その他色のガラス製容器、プラスチック製容器包装、アルミ製容器、段ボール製容器で対前年度微増となっている。


広域で運搬処理一括化 オリックス資源循環と都築鋼産が業務提携

オリックス資源循環株式会社はこのほど、東京・足立区の都築鋼産株式会社と廃棄物処理事業で業務提携を結んだと発表した。都築鋼産は大正13年鉄・非鉄スクラップ業として創業。現在は産業廃棄物の収集・処理を中心に一般廃棄物の運搬や設備解体事業など、関東を地盤に幅広い事業を手掛け、多彩な収集運搬車両を多数所有していることから、様々な廃棄物に対応できる高い収集・運搬能力を持つ。
他方、オリックス資源循環は、埼玉県寄居町において廃棄物高度処理施設(ゼロエミッション施設)をPFI事業として運営。民間国内最大級の450トン/日という処理能力を活かし、産業廃棄物だけでなく、埼玉県内や近隣の市町村から一般廃棄物の受け入れも行っている。
オリックス資源循環では今後、都築鋼産が有する収集・運搬業務とオリックス資源循環が有する完全再資源化能力を組み合わせ、より広範囲な自治体や排出事業者に向けた運搬・中間処理一括サービスを提供するなど、サービス内容の充実を図っていく。


対中貿易 密輸取締りで悲鳴も 求められる規制強化への対応

中国税関による密輸取締り

摘発された輸入廃プラ


中国向け再生資源貿易が揺れている。中国では先月、同国税関部門が貿易における密輸等を取り締まるための会合を開催、そこにおいて様々な品目に関する密輸入の取り締まりを強化する「国門利剣2017」の実施を決定したが、取り締まり対象品目の重点項目として洋ゴミ、いわゆる「固体廃棄物原料」が対象とされたことで、以降、現地の輸入通関が非常に厳しくなっているもようだ。
金属スクラップや廃プラスチックなどの再生資源については、かねてより環境汚染や中古品の偽装輸入などといった面が問題視されてきたが、先月末の中国海関総署の発表によれば、今回の「国門利剣2017」による広東、天津、上海、南京、寧波、青島、広州、深?、黄埔などの税関部門での取り締まり強化で、15の密輸組織90名の容疑者を検挙し、スラグや廃プラスチック、廃電子機器類などの密輸品2万6000トン超を押収したとしている。こうした動きに対し、日本の輸出業者からは悲鳴も上がっているほか、特に中国依存度の高い廃プラスチック業界などからは、中国向けの販売ルートの更なる縮小や輸出そのものの停止を懸念する声も聞かれる。
ただ、これまでも中国の税関部門では、海外からの輸入廃棄物原料に対し、グリーンフェンスといった密輸防止措置が取られたほか、「国門利剣」については昨年も実施されており、ここでも洋ゴミが重点品目の1つとして取り締まりが行われてきたのが実情だ。こうしたことから、中国への再生資源貿易が今回の措置で停止することは考えづらいが、中国側の品質や適正なルールに基づく貿易への要求は年々強まっており、今後更に厳しさを増していくことは想像に難くない。事実、日本からの中国向け金属スクラップや古紙、廃プラスチックは減少に転じており、とりわけ中国向け金属スクラップの多くを占める雑品は国内での規制措置も導入されることから、更なる輸出減も想定されるところだ。
これまで我が国にとっての国際資源循環を考える上で中国は無くてはならない国であり、今後も一定のウェイトを占めていくことは間違いないだろう。ただ、国内外で規制強化が進むなか、これまでの流通構造は大きく変わろうとしており。業界としても内外で新たな需要家等に向けた付加価値のある商品開発や適正かつ競争力のある販売体制の構築を進める必要があると言えそうだ。


フロン類 漏えい量の初公表へ 2015年度446事業者で235万トン―CO2

経済産業省及び環境省は先ごろ、「フロン排出抑制法」に基づくフロン類算定漏えい量報告・公表制度により、フロン類を使用する事業者から報告のあった2015年度のフロン類算定漏えい量を集計し、公表した。
フロン排出抑制法に基づく「フロン類算定漏えい量報告・公表制度」は、2015年4月から導入され、管理する業務用冷凍空調機器からのCFC、HCFC、HFCが含まれるフロン類を相当程度多く漏えいする者(特定漏えい者)に、算定漏えい量を国に報告することを義務付け、国が報告された情報を集計・公表する制度で、今回の公表が初。制度はフロン類の漏えい量の多寡に着目するのではなく、機器使用時のフロン類の漏えいの実態を把握・公表することによって、より適切な機器の管理を促進し、フロン類の排出の抑制に資することを目的としている。なお、算定漏えい量の合計が年間1000トン―CO2以上となる者が特定漏えい者となる。
発表によれば、報告事業者数が446事業者で算定漏えい量の合計は235万トン―CO2、また、特定漏えい者が設置している事業所で、1つの事業所当たりの算定漏えい量が1000トン―CO2以上の事業所が259事業所あり算定漏えい量の合計は68万トン―CO2となっている。また、業種別では、報告事業者数では各種商品小売業の割合が最も高く95件(21・3%)を占めたほか、次いで飲食料品小売業85件(19・1%)、食品製造業68件(15・2%)など。特定事業所別では食料品製造業が63件(24・3%)のほか、各種商品小売業51件(19・7%)、化学工業38件(14・7%)などとなる。

他方、都道府県別の事業者では、東京都が最も多く141件(31・6%)、次いで神奈川140件(31・4%)、千葉県123件(27・6%)、大阪府111件(24・9%)など。特定事業所別では、神奈川県27件(10・4%)と最も多く、千葉県26件(10・0%)、東京都20件(7・7%)、などとなっており、特定事業所は12都道府県での報告量が全体の約7割を占めたとしている。



容器包装リサイクル PETはマイナス4万1843円など 平成29年度の容リ協落札結果

(公財)日本容器包装リサイクル協会は先ごろ行われた平成29年度再商品化委託料入札の落札結果(速報値)を公表した。
素材別に結果を見ると、PETボトルの上期落札数量は、市町村年間申込量19万7394トンの55・2%に相当する10万8881トン(うち有償落札が99・1%)になった。落札単価(以下、価格は全て税抜き、1トンあたり)は、マイナス4万1843円と前年度上期より2万1458円有償化が進んだ。直近の前年度下期と比較しても、9709円有償化が進んでいる。なお、有償見通し額は、全体で約46億円となり、前年度上期から23億円増加している。
ガラスびんの落札数量は、前年度より5281トン減の36万5862トン。落札単価は、3色ともに上昇、6141円トンとなり前年度より115円高くなった。用途別では、びん原料用途の割合が72・5%となり、前年と比べ0・9ポイント減少した。また、4つの保管施設に有償入札があり、908トン分(無色567トン、茶色341トン)が有償となっている。
このほか、紙製容器包装の落札数量は2万2236トン(うち有償落札が84・4%)となり、前年度から629トン減少した。落札単価はマイナス9659円で、前年度より953円有償化が進んだ。有償見通し額は、約2億3000万円となり、前年度と比較して1500万円増加している。 プラスチック製容器包装の落札数量は、前年度より6364トン少ない66万1104トンになった。前年同様、材料リサイクルの優先枠は市町村申込量の50%で、材料リサイクル落札量は、全体の50・8%となり前年度と同水準となった。落札単価はプラスチック合計で前年度より2414円下げの5万153円だった。材料リサイクルは4094円、ケミカルリサイクル合計では、3919円上昇した。


東京都リサイクル事業協会 貢献自治会を表彰 集団回収テーマにフォーラム開催

受賞団体代表者と栗原理事長

受賞団体代表者と栗原理事長


(公社)東京都リサイクル事業協会(栗原正雄理事長)は先ごろ、リサイクルフォーラム「これからの集団回収を考える」及び集団回収団体表彰式を開催した。 冒頭、挨拶に立った栗原理事長は「昨年、古紙利用率目標が従来の64%から2020年までに65%に引き上げられた。経済産業省の調査委員会においてシミュレーションを行ったところ、この1%アップを実現するために、2015年回収量2140万トンから60万トンアップの2200万トン以上、回収率では61%から64%以上に高めることが必要という結果になった。この数年、古紙の回収量は漸減しており、ハードルの高い目標だというふうに考えている。引き続き、市民団体や自治会の皆様方には、紙のリサイクルに対してこれまで以上の強いご支援をお願いしたい。そういった意味でも、集団回収をより推進するために表彰制度を今年度から実施することにした」と、今年度から実施する集団回収団体の表彰制度の狙いについて説明した。
表彰制度の推薦基準は、集団回収を過去5年間、年間4回以上継続して実施し、古紙50トン、故繊維5トン、スチール・アルミ缶5トン、あきびん5トンの年間回収量実績のうち、いずれか1品目でも上回っていること。また、団体構成員の協力度や実施方法の独創性・将来性なども加味して総合的に評価される。なお、今年度は、世田谷区東玉川町会、中野区野方南自治会、青梅市今井自治会連合会の3団体が表彰された。
併せて開催されたリサイクルフォーラム「これからの集団回収を考える」では、基調講演としてダイナックス都市環境研究所の山本耕平氏が集団回収の歴史的変遷と現状、先進事例の紹介とこれからの可能性について講演。その後、同氏をコーディネーター役に「集団回収リレートーク」として、表彰団体の代表者とともに、集団回収の現場の声を紹介した。


日本鉄リサイクル工業会 雑品規制と欧州CEテーマに 定例講演会に会員多数

雑品と欧州CEテーマに

雑品と欧州CEテーマに


(一社)日本鉄リサイクル工業会の環境委員会(甲谷禎浩委員長)では先ごろ、東京・日本橋の鉄鋼会館にて平成28年度の定例講演会を開催した。今回の講演会のテーマは環境省廃棄物・リサイクル対策部企画課課長補佐の萱嶋富彦氏による「環境上適正な金属リサイクルの実現に向けて バーゼル法及び廃棄物処理法の見直しの背景とポイント」及びエコマテリアルフォーラムの原田幸明会長による「サーキュラーエコノミーについて 新たなリサイクルシステムの潮流」の2つ。特にバーゼル法及び廃棄物処理法の見直し雑品スクラップに対する法規制強化については会員の事業に直結する内容なだけに、講演会には全国から多数の関係者が参加した。講演に先立ち挨拶に立った甲谷委員長は「会員企業の一部からは、不用品回収業者や違法業者を業界で調べ、環境省にフィードバックすべきとの意見も出ている。今回の中身をご理解いただくとともに、環境省の方にも工業会としての意見を伝えていきたいと考えているので、皆様にもご協力いただきたい」と述べている。
まず、バーゼル法及び廃棄物処理法の見直しによる雑品規制強化の経緯について萱嶋氏は、金属の歴史を紐解きつつ、金属には有用性と有害性の両面が存在すること、そして金属が用いられた使用済み製品の特にE―WASTE(電子廃棄物)には「潜在資源性」と「潜在汚染性」の両方が特に高く、不適正な処理が行われることで人や環境に悪影響が生じうることから、違法な取引を防止することや有害特性を有する使用済み物品の健全な再生利用の推進を図ることを狙いとしていることを説明。 そのうえで、法規制強化による対等な競争環境の実現と適正な資源循環の確保が期待されるとしつつ、今後はバーゼル条約上でも国際的な定義としてリサイクルされるものは幅広く「廃棄物」とされており、金属リサイクルの未来を考える上で国内制度の動向だけでなく国際的な動向に目を向ける必要があると述べ、将来的な「専ら物」を含めた「廃棄物」の定義見直しに向け含みを残した。
他方、原田氏はEUの新たな施策であるCE(サーキュラーエコノミー)の本質について、持続可能であることに付加価値を加え、「モノの価値」から「使用価値」への移行を促すものであるとし、日本の循環型社会(3R)が最終処分量の減量や社会の経済外負担の軽減であるのに対し、CEとは資源効率の改善と新規の投資対象を形成していくことにあると論じている。
そして、現行の換金型リサイクルは時代遅れになり、今後は「何に使う」のが問われる時代になるとして、再資源化業と廃棄物処理業の一体化が進むことが想定されるとした。また、EU内においては、巨大な廃棄物処理能力を持ったリサイクルメジャーへの集中、リサイクルビジネスのソフト化、認証管理システムなどの新ビジネスが育つことで、我が国においては使用目的志向の再資源化やリサイクル材の利用拡大などを図るべく二次資源認証の動きなどが起きてくる予想。その上で日本世界に示すべき技術として世界的な規模での「Mottainai」の経済化などを挙げた。


伊藤忠鉄源会 「決断力求められる時代」 岸井成格氏講師に講演会開催

第26回伊藤忠鉄源会

第26回伊藤忠鉄源会


先ごろ伊藤忠商事東京本社ビル(港区北青山)にて「全国伊藤忠鉄原会講演会及び懇親会」が開催された。同会は伊藤忠メタルズの全国の取引先スクラップ問屋などで構成され、26回目の開催となる。
開会にあたり挨拶に立った伊藤忠商事取締役専務執行役員の米倉英一氏(金属カンパニープレジデント)は「住商鉄鋼販売からの事業承継から1年が過ぎたが、この間様々なことがあった。原料関係では石炭、特に原料炭の価格が異常な乱高下を示し、一方、鉄鉱石の価格は高止まっているという状況。全く持って何が起きるのか予測不可能な状態だ。振り返ると、エコノミストやアナリスト、有名大学の先生、株屋、銀行系のシンクタンクの言っていたことは、ほとんど当たっていなかった。かくいう私もアメリカ大統領にあのような人が就任するとは思っていなかった。『変化はチャンス』というが、悪い変化であれば一度立ち止まり、どんな変化が起こるのか観察することも必要だろう。悪天候の中で準備をせずに動き出すのは命取りになる。しかし、土砂降りの中でずっと立ち止まっていたら風邪をひいてしまうことも事実だ。天気図をよく見て、コンパスを持ち、風を見て我々自身が考え判断する力が求められている」(要旨)と述べた。
続いて、全国伊藤忠鉄源会会長の鶴岡正顕氏(株式会社ツルオカ代表取締役)が挨拶に立ち、「グローバル化と言われて久しいが、特に近年、我々のスクラップ業という商いも、国際的な情勢がダイレクトに影響するようになってきていることを実感している。また、昨年パリ協定が採択され、CO2削減ということが言われているが、これは我々にとって大きなリスクになる可能性と大きなチャンスになる可能性を秘めている。伊藤忠さんは20年以上前から環境ビジネスの必要性を説いており、弊社が平成14年にISO14001を取得したのもご支援を受けてのものだった。先行きが見えない時代のなかで、羅針盤として、今後も様々なアドバイスをいただければありがたい」(要旨)と述べた。
その後、会では、TBS「サンデーモーニング」のコメンテーターなどとしておなじみの岸井成格氏(毎日新聞社編集委員)を講師に「今後の政局を読む」と題して講演が行われている。