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WEB資源新報BackNumber 2017年2月

関東鉄源協同組合 コンテナ積み成果を披露 山下理事長「ブランド化等視野に」

関東鉄源協同組合活路開拓事業28年度成果報告会

28年度成果普及報告会


関東地区の有力鉄スクラップヤードディーラーで構成される関東鉄源協同組合(山下雄平理事長)は今月21日、東京の如水会館にて、同組合が昨年より取り組んだ「平成28年度中小企業活路開拓調査・実現化事業」に関する組合員等向けの成果普及講習会を開催した。同事業は、全国中小企業団体中央会から補助事業として採択を受け、平成27年度に取り組んだ販路開拓事業の継続事業として、再び全国中央会より補助事業として採択を受けて実施されたもので、27年度のインド視察等海外市場調査を経て、28年度は新興国向け小規模誘導炉電炉などへの販売手法を確立するためのコンテナ販売に向けた研究を行っている。
講習会の冒頭、挨拶に立った山下理事長は「新たな販売先開拓に向け有志で取り組んできた海外視察だが、27年度は公的機関の助成を受けて実施し、そこで巨大なマーケットとなることが見込まれるインドは、極めて大きな電炉から小規模な誘導路電炉まで存在することが判り、また、資金力等に乏しい小規模メーカーが海外よりスクラップをコンテナで購入している実態も明らかとなった。そして、現地に他国から輸入されたスクラップについては、我々の扱う商品の方が品質面に優位性があるという感触を得たことは大きな成果だ」。
「しかしながら、現在の日本国内の状況は、コンテナを用いたスクラップの輸出は限定的な取り組みであり、我々が販売するH2について、新興国の輸送網を考慮した20フィートコンテナによるH2販売に関してはそもそも無理だという認識が大勢を占めている。そのような逆風下で取り組んだ今回に事業は、当初の予想を大きく上回る成果を残したと言える。コンテナに積むためのH2の短尺化ではコストは増加するが品質の向上も見られ、積み込み量も十分、懸念されたダメージも想定より少なかった。勿論、課題は残っているが、今回得た知見を今後どう活かすかが重要で、従来のバラ積み手法による販売とは異なる世界基準の規格に基づくブランド化や品種配合の工夫など、皆様のアドバイスを頂きながら様々な可能性を模索することで、ようやく少し芽が出たH2のコンテナ販売を根付かせていくことに取り組んでいきたい」と述べた。
その後、今回の事業で専門家として委員を務めた株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一氏による「鉄スクラップの新たな需要家への小ロット販売に向けた調査研究」と題するテーマで講演が行われ、林氏は事業の取り纏めとして、20フィートコンテナへの積込みに優位性の高い垂直方式の設備の共同使用の検討や、H2の短尺化寸法の作業効率化、事前選別の可否を課題として挙げつつ、今後3年間を目途に品質向上による組合ブランドの強化等を図り、定量的にコンテナ販売が出来る体制を構築するとのまとめを披露した。なお、講習会では組合独自に用意した同実証事業の様子を撮影した動画が披露されている。


2016年アルミ缶需要量 ボトル缶けん引最高の224億缶 2017年は微増の見込み

アルミ缶リサイクル協会はこのほど、2016年暦年のアルミ缶の需要動向に関する記者会見とアルミ缶回収協力者合同表彰式を開催した。2016年暦年のアルミ缶需要動向については、一部推定で前年比1%(約12億缶)増加した223億8000万缶で、前年に続き過去最高の需要量を更新したこととなる。
内需における需要分野別の動向では、ビール系の需要量は98億缶で前年の99億缶から2%のマイナスで連続減となり、2017年見込みも1%減の96億5000万缶に止まっている。しかし、ビール以外のその他アルコールやコーヒーなどについては堅調で、特にハイボールや酎ハイ等RTD系ドリンクやコーヒーのボトル缶などの堅調推移が全体をけん引する結果となった。(最も大幅な伸びを示したのは、コーヒーのボトル缶で、2016年実績は前年比15%増の29億5000万缶に達し、次いでRDT系は12%増の32億2000万缶。)一方、2017年の見通しでは、2016年比ほぼ横ばいとなっており、ビールが1%減の96億5000万缶となるが、ビール以外では5%増、非アルコール系も1%のプラス、ボトル缶も5%の伸びが見込まれ、全体として224億6000万缶になるとしている。
なお、アルミ缶回収協力者表彰では、2016度は96団体が推薦されたうち、63団体が表彰された。また、協会登録の回収拠点のなかから優秀な実績を挙げた回収業者を表彰する「優秀回収拠点」には、株式会社池田(兵庫県高砂市)、安田金属株式会社(広島県廿日市)の2件が選出された。


来年度以降の継続検討へ 1・8Lびんステークホルダー会議開催

日本酒造組合中央会(以下、「中央会」)は2月15日、「1・8Lびん再使用率向上策に係るステークホルダー会議」を開催した。 1・8Lびん(=一升びん)については、容器包装リサイクル法において自主回収認定を受けてきた。しかし、近年は認定基準である80%を切る年もあり、中央会では回収・再使用率の向上へ向け、ダイナックス都市環境研究所とともに調査事業を開始。その一環として関係者間での情報共有を目的としたステークホルダー会議を開催し、今回で3回目となる。
会議には酒造メーカー、びん商、P箱レンタル事業者、リサイクル団体のほか、小売業者、消費者団体、国税庁、環境省などが出席。また、これまでの調査で、洗びん機で落ちにくいラベルが一定数あることが指摘されており、今年度この問題について調査を進めたことから、糊メーカーも出席し、出席者間で情報共有を深めた。 この「ラベル問題」の調査では、素材や表面加工、サイズ、糊質などの観点から推奨でき得るラベルを整理。中央会では、洗びん条件や他の調査結果なども踏まえ、今後ガイドラインとして取りまとめて、酒造メーカーやびん商、自治体など関係各者に周知していく。
このほか、今年度の調査では前年度に行った自治体アンケートで1・8Lびんの回収量が全国上位の自治体に対して、追加調査を実施。各自治体の回収~選別までの手法について整理した。会議では、回収量の多い自治体の特徴として、「回収時に一升びんを分けて積み込む」など、回収段階から選別時のことを考えて工夫していることや、びん商と連携していることなどが報告されている。ほか、新潟県長岡市の酒蔵・吉乃川株式会社から同社の取組などについて情報提供が行われている。


横浜市資源リサイクル事業協同組合 小学生の想い形に オリジナルリユースびんを披露

横浜リユースびんプロジェクトのキックオフイベント

リユースびんキックオフイベント


横浜市資源リサイクル事業協同組合では、今月12日にクイーンズスクエア横浜にて、「横浜リユースびんプロジェクト」のキックオフイベントを開催した。同イベントは、環境省主催で行われたリユースを考える広報イベント「みんなリユースしてるってよ!」のプログラムの1つとして実施されたもの。環境省イベントではプロダクション人力舎所属の人気若手芸人によるリユースをテーマとしたお笑いライブやアイドルグループ東京CLEAR‘Sのライブなども行われている。
そのなかで「横浜リユースびんプロジェクト」のキックオフイベントでは、横浜出身のタレント・「はなさん」がゲストとして登場。自らの体験を踏まえながら、リユースの重要性について語ったほか、横浜市資源リサイクル事業協同組合びん委員会の寺西委員長も登壇。今回のリユースびんについて「2年前に当組合が実施している『環境絵日記』に寄せられた小学生からの作品を見て、我々の手でこのアイデアを実現したい、オリジナルのリユースびんを作りたいという思いがあった」と挨拶、はなさん等とびんリユースに関するクイズを交えながらの和やかなトークイベントを展開した。
今回の「オリジナルリユースびん」製作の背景について同組合では、国内のリユースびんは、平成11年の310万トンから平成26年には95万トンと3分の1の水準にまで激減しているが、缶やペットボトルに比べ廃棄物量やCO2排出量が少ないなどという優れた環境特性を有しており、リユースびんを絶滅させないための第一歩として、消費者へPRし、関心を高めてもらうことが狙いとしている。「オリジナルリユースびん」はデザインにもこだわり、消費者が返したいと思うようなものとしつつ、リユースびんであることがはっきり分かるというコンセプトに基づき作られている。
また、販売するびんの中身も横浜ビールの「横浜ラガー」、坪井食品の「オリツルサイダー」と地産地消のテーマにこだわっており、今回のイベントに合わせて実施された試飲会では、更に新開発した川本屋茶舗の「香りほうじ茶」、㈱横浜グリーンピースの「ゆずサイダー」と「小松菜ジュース」も振舞われた。
今後の「オリジナルリユースびん」の展開について同組合では、まず1000本程度の販売から始め、リユースまでの流れを上手く構築しながら、販売数量を増やしていきたい考えだ。びんリユースについて、関係者からは「利便性などの面でペットボトルに押され、消費者向けの販売は厳しい。例えば二酸化炭素排出削減などの法的な拘束力を持たせて事業者などに拡販を図るしかない」との声も聞かれるが、今回、国の支援を受け横浜市資源リサイクル事業協同組合の「オリジナルリユースびん」の取り組みがどれだけ拡がりを見せることが出来るか、注目されるところだ。


日本紙パルプ商事 福田三商を買収へ エコリソースと合併へ向けて検討

日本紙パルプ商事株式会社(以下、「JP」)はこのほど、株式交換により大手古紙問屋・福田三商株式会社(本社・名古屋市南区。齋藤武代表取締役会長)を4月から完全子会社化することを発表した。
今回の株式交換で福田三商側に割り当てられたJP株は1009万80株。これを1株367円(東証一部2月6日終値)で計算すると約37億円となり、古紙問屋のM&Aとしては過去最大規模の買収額となる。完全子会社化後は、同じくJP子会社で、JP資源や北海紙業など同社の古紙再資源化事業を統括するエコリソースJPと、福田三商を存続会社とする合併に向けて検討を進めていく。
福田三商は昭和11年に福田商店として創業、中部エリアを中心に現在19のヤードを展開する古紙問屋最大手の一角。年間の古紙取扱量はおよそ50万トンと言われ、平成27年11月期決算では年商約69億円、経常利益は4億2000万円だった。一方のJPは、国内最大手の紙専門商社で、昭和50年代から古紙再資源化事業に本格参入。現在、全国各地に13のヤードを展開しており、今回の買収により、問屋・商社含めたヤード保有数及び年間古紙取扱量で国内トップになる見通し。


香川に大規模バイオガス施設 新技術で紙含む混廃処理可能に

廃棄物処理の富士クリーン(香川県綾川町)は来年10月以降、国内初となる「縦型乾式メタン発酵」技術を利用した大規模バイオガス施設を稼働させる。この新技術を利用することにより、従来のバイオマス施設では受入が難しかった紙類などの乾いたものを含む混合廃棄物の処理が可能になる。
この事業は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業/地域自立システム化実証事業/事業性評価」に技術開発を行った栗田工業株式会社(東京都中野区)とともに採択され、助成事業として行うもの。家庭から排出される生ごみ・紙ごみや、動植物性残さ、事業系紙ごみ、有機汚泥などから発酵に適したものだけを高速で選別して利用、バイオガスをエネルギー源として回収する。受入規模は1日あたり76トン。乾いた紙類なども水気を含む廃棄物に混ぜることで処理可能になることや、発酵残さの水分が少なく排水処理設備が不要なことなどが特徴だ。
機械設備は来年3月完成予定。その後試運転を10月まで行い来年度中に本格稼働させる見通し。


鉄リサイクリング・リサーチ 遠隔地模索が鮮明化 中国ビレットと鉄くず輸出検証

株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長はこのほど、調査レポートNo.39「2016年中国のビレット輸出と日本の鉄スクラップ輸出」を取りまとめ、公表した。同レポートは、世界の鉄スクラップの流通に多大な影響を及ぼす中国産ビレットについて、貿易統計から2016年に関する推察を行いつつ、日本の鉄スクラップ輸出の2016年の状況を踏まえた上で、今後の見通しなどをまとめたもの。
林氏はまず2016年の中国のビレット推定輸出量について、前年の2600万トンを340万トン(13%)下回る2270万トンと推計した。中国からの余剰ビレット輸出については、付加価値鋼材輸出奨励策となる「増値税還付制度13%」を享受することを目的として2014年頃よりボロンを添加して合金鋼棒鋼(スクウェアバー、和名 角鋼)としての輸出が始まった。しかし貿易摩擦回避からボロン優遇制度は廃止、2015年1 月からはボロンからクロム等他の合金鋼を添加した「その他合金鋼棒鋼」の品名コードを使用して輸出が継続されており、2016年は減少を見せたものの、依然高水準にあるとしている。
ただ、上期と下期で状況は様変わりしており、上期が2015年を上回る1350万トンと過去最高レベルのスピードであったものが、下期は920万トンに原則。これについて林氏は、ビレット輸出価格が上期平均291ドルであったのに対し、鉄鉱石価格の上昇に伴い下期は349ドルに上昇したことにあると分析。2017年も鉄鉱石価格の高止まりが続くなかで、価格による輸出競争力は低減するとした。
他方、日本からの2016年の鉄スクラップ輸出については、累計871万トンと2009年の940万トンに次ぐ史上二位の規模となっており、老廃スクラップである「その他くず」が727万トンと前年比で13・7%増となるなど全体をけん引している。ただ、輸出単価でみた場合、年間平均は2万8880円と前年の3万6260円から約20%の低下を見せ、価格の低下が数量増加につながったとも見て取れるとしている。
輸出の向け先についても、主力の韓国が344万トンと前年の310万トンから増加したものの、雑品を主体とする中国は194万トンまで低下し、ベトナムが198万トン(前年比25%増)と第二位の輸出先に台頭した。林氏は2016年が遠隔地向け大型船出航元年になったとし、韓国、中国向けは今後も減少傾向が続き、今後はベトナムを軸にバングラデシュやインドなど更なる遠隔地向け輸出の模索が鮮明化していくと見方を示した。
なお、同レポートは鉄リサイクリング・リサーチHP(http://srr.air-nifty.com)で見ることが出来る。





環境省 省令案などを示し 使用済み鉛蓄電池の輸出規制で

環境省では「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第四条第二項の地域及び特定有害廃棄物等を定める省令の一部を改正する省令案」及び「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第三条の規定に基づく同条第一号から第四号までに掲げる事項の一部を改正する告示案」を示した。
特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律では、特定有害廃棄物等に該当する使用済鉛蓄電池の輸出に当たり、法に基づく外為法の輸出承認が必要だが、近年増大を見せる使用済鉛蓄電池のOECD加盟国に対する輸出に関しては、リサイクル目的での輸出である場合には、輸出承認に際して環境大臣の確認は不要とされていた。ただ、世界的に使用済み鉛蓄電池輸出への規制が必要との認識が拡がるなか、昨年6月、我が国からOECD加盟国向けに輸出されたヒ素を含む同物品のリサイクル残さを不法に処理していたことが発覚したことを受け、我が国からの輸出に関しても規制強化を望む声が挙がっていた。
今後、輸出先国がOECD加盟国である場合にも、環境の汚染を防止するために必要な措置が講じられているかどうかを確認することができるようにするため、法改正に先駆けて暫定的な措置を講ずるべきとされている。具体的には、環境大臣の確認の対象となるOECD加盟国向けに輸出する特定有害廃棄物等として、再生利用目的で輸出される鉛蓄電池を加え、①輸出について輸入国及び加盟国である通過国から書面による同意を得ていること、②輸出者、運搬者、輸入者及び処分者の間の書面による契約、又は鉛蓄電池が一の法人等により管理される事業場の間で運搬される場合、当該事業場間に契約に相当する取決めが存在すること、③運搬者及び処分者が鉛蓄電池を環境の保全上適正に運搬及び処分する能力を有すること、④輸入国又は加盟国である通過国が鉛蓄電池の輸入、運搬又は処分について保険、供託金その他の保証を義務付けている場合には必要な措置が講じられていること又は輸出者、運搬者及び処分者が鉛蓄電池の輸出、運搬及び処分を確実に実施するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有すること、などとなっている。施行は今年6月1日となる。


バーゼル法 見直しの方向性示し 雑品は該非判断基準整備と廃掃法連携

環境省の中央環境審議会循環型社会部会特定有害廃棄物等の輸出入等の規制の在り方に関する専門委員会と経産省の産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会有害廃棄物等越境移動ワーキンググループの第4回目となる合同会議が先ごろ開催され、バーゼル法の見直しの方向性をまとめた報告書のとりまとめが行われた。バーゼル法は制定から20年が経過したが、今回が制定後初の見直しとなるが、基本的な方向性として環境汚染等が生じるリスクに応じてバーゼル法の輸出入手続き見直すべきという基本的考え方の下、作業が進められてきたが、そのなかで大きな議題となったのが、雑品スクラップ輸出への規制と言える。
雑品スクラップに関しては、バーゼル法の規制対象物となる特定有害廃棄物等という該非判断が難しく、現在は同法に基づく手続きを経ずに不適正に輸出が行われているとの指摘がなされたことから、該非判断基準の整備などによる取り締まり現場での迅速な規制対象物認定を行うことや規制対象物の法的根拠を明確化。更に廃棄物処理法等と連携した取り組みを行うとの方向性が示されている。
このほか今回の見直しでは、輸出入にかかり環境上適正な処理が行われるものなどに関しては手続きの簡素化など規制緩和措置も取られることになるが、先の廃棄物処理法の見直しでも法的対応という文言が盛り込まれた雑品スクラップなどの規制について、再資源化業界にとっても少なからぬ影響が出そうだ。報告書のとりまとめに向けたパブリックコメントでも、雑品スクラップに対し、家電リサイクル法や小型家電リサイクル法を形骸化させる雑品への規制強化を求める声や、近年業界内で問題となっている外国系ヤードへの規制、火災事故などが発生する現状を踏まえた防火対策や排水、飛散防止などの対策を求めるべきとの意見が寄せられている。
なお、両省ではバーゼル法改正に当たりWTO協定への適合やリユース品の扱いなどといった課題に留意しつつ、法の実効性を担保するため、今後は定期的な見直しを実施する方針も示している。


日本鉄源協会 815万トンの蓄積増に 2015年度末累計13億5661万トン

(一社)日本鉄源協会ではこのほど、2015年度末の我が国の鉄鋼蓄積量に関する推定データを取りまとめ、公表した。それによれば、2015年度の鉄鋼蓄積量(推定)は、13億5661万トンに達したとしている。また、鉄鋼生産量から輸出入を加減し、鉄スクラップの市中購入量を差し引いて算出した2015年度の推定鉄鋼蓄積量増減については、815万トン増となり、前年度(923万トン増)と比較して108万トンほど減少となったものの、6年連続で増加を見せている。
蓄積量の増減について、前年度と比較すると、蓄積量増に寄与したのが、鉄鋼輸入(3000トン増)、鉄鋼輸出(131万トン減)、鉄スクラップ消費(276万トン減)。一方、鉄鋼生産(516万トン減)が減少に寄与したとしており、全体では前年度蓄積増減に対し108万トンの減となった。
他方、輸出では、全鉄鋼輸出が対前年83万トン減の4145万トンとなり、前年度からは減少したものの4000万トン台の高水準は維持した。向け先別では、韓国向けが6年連続の前年減となる665万トン(前年比7・0%減)、中国向けが2年連続の前年減となる584万トン(同4・7%減)、台湾向けも3年連続の前年減となる262万トン(同26・0%減)となったが、東南アジア向けは2年連続で前年増となる1642万トン(同4・5%増)となった。 このほか、鋳鍛鋼輸出は対前年1万トン減の11万トン、間接輸出は同8万トン減の1972万トン、鉄スクラップ輸出は同30万トン増の806万トンとなった。この結果、鉄鋼関連輸出計は対前年131万トン減の6934万トンとなっている。
なお、鉄スクラップ輸出量の約50%を老廃スクラップとみなした場合、2015年度の推定老廃スクラップ回収量は2150万トンとなり、前年度末累計鉄鋼蓄積量に対する回収率(2015年度推定老廃スクラップ回収量/2014年度末累計鉄鋼蓄積量)は1・59%と、前年に対して0・19ポイント低下している。


横浜市資源リサイクル事業協組 新「リユースびん」発表 ご当地ビール等を販売

横浜市資源リサイクル協同組合の新リユースびん

新「リユースびん」


横浜市資源リサイクル事業協同組合(髙田哲二理事長)では、同協組のびん委員会がすすめる「びんリユースシステム横浜モデル構想」から生まれた新『リユースびん』をびんの新たな統一規格とするため、びんの生産や中に入れる飲料の製造、販売、回収、収集、洗びん、再利用までを横浜市内の事業者で行う仕組みを整え、今月13日から商品流通を開始する。
新『リユースびん』を使った商品は、㈱横浜ビールのご当地ビールと坪井食品㈱のご当地サイダーで、藤棚商店街をはじめとする横浜市内のスーパーマーケットや酒屋で販売されることとなる。
また、これに先駆け、新『リユースびん』を環境省が主催するリユースフェスティバルで発表し、会場内で試飲会も行われる予定。同フェスティバルは今月12日11時からクイーンズスクエア横浜1階イベントスペース「クイーンズサークル」で開催され、12時35分より新『リユースびん』の発表が行われる。イベントにはタレントの「はな」さんが登場し、びん員会委員長の寺西理事とトークショーも行われることとなっている。


違法業者取締に手引き 不用品回収やヤード業者対象 複数自治体参加しスキーム作成へ

ヤード業者取締の第一回協議会

ヤード業者取締への第一回協議会


環境省はこのほど、違法と疑われる廃棄物回収業者やヤード業者に対する行政の指導・取締に関して、県や市町村と連携して協議体を設置し、手引きを取りまとめるモデル事業を開始。1月26日に第1回の協議会会合をさいたま市で開催し意見交換を行った。取りまとめた手引きは来年度以降、全国の自治体に展開していく。
今回の事業の参加自治体は埼玉県と春日部市のほか数市町村(非公表)。これら自治体で協議体を設置し、家庭から排出される家電や小型家電などを違法に回収する不用品回収業者やヤードに対して指導・取締りを実施する。環境省は専門家の派遣、会議開催費用などの面で支援しながら、成果を取りまとめ手引きを作成していく。手引きは、平成27年度から環境省が全国ブロックごとに実施している違法な不用品回収業者の取り締まりについての行政職員向けセミナーにおいて、展開していく見通し。
手引きは、①「違法と疑われる廃棄物回収業者対策の必要性と全体像」、②「指導・取締りに際しての基本的な考え方」、③「住民・事業者に対する広報・啓発について」、④「市中を巡回する違法と疑われる回収業者に対する指導・取締について」、⑤「違法と疑われるヤード業者に対する指導・取締りについて」、⑥「効果的な指導取締りに」の6章から構成される予定。特に、④、⑤については、指導・取締りについてのプロセスごとに確認すべき事項・実施すべき行為を手順として整理する。具体的には、行為概要の把握として車両の追跡、そのうえで事実確認・事実認定として、立入検査・報告徴収を行い、取るべき行政対応として是正指導や不利益処分、刑事告発などを行う、というプロセスが想定されている。一連の流れのなかで、根拠となる法や通知、留意点などを取りまとめる。⑤の違法ヤード業者への取締りについても同様に取りまとめる見通し。今回のモデル事業では、このプロセスに基づいて2~3月にかけて実際の立入検査も行い検証を行う予定となっている。
環境省ではこれまで、使用済み家電について、無料あるいは有価の場合も廃棄物の疑いがあると判断できる場合は総合判断により積極的に廃棄物と出来ることなどを記載した「3・19通知」(平成24年)などを発出してきた。しかし、自治体関係者から「実際に有価取引されているものを、この通知のみを持って取り締るのは難しい」などの意見を受け、また、国内外の環境破壊や火災などを理由に現在審議中の廃掃法見直しやバーゼル法見直しで、雑品スクラップヤードへの規制導入の方向性が決まっている。今回、新たに手引きを作成することで、悪質な業者への対応力をさらに強化したい考えだ。