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日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2017年10月

スズトクホールディングス 静脈産業の再編主導 産業革新機構より32.3億円出資

鈴木会長と志賀会長

鈴木会長と志賀会長


金属スクラップを中心とした総合リサイクル事業を展開するスズトクホールディングス株式会社(本社・東京都千代田区、鈴木孝雄代表取締役会長グループCEO、松岡直人代表取締役社長グループCOO)では先ごろ、官民出資の投資ファンドである株式会社産業革新機構より、32億3000万円を上限とした出資を受けると発表した。スズトクHDが実施する第三者割当増資を産業革新機構が引き受ける形で、スズトクHDは社名を「リバーホールディングス株式会社」に改称する。新社名のリバーは「re」と「ever」を組み合わせた「rever」で、河の流れのように全てのものを産み出す海へとつながる(再生の道のりを歩む)という意味と左右どちらから読んでも「rever」になることから、「終わりがないループ(循環)」するという意味を込めた。
スズトクHDでは、前身の鈴徳が創業113年を迎えるなか、2000年以降M&Aを通じて事業療育の拡大を図ってきたが、今回の産業革新機構からの出資を通じ、他企業の買収などを通じた主力事業である資源リサイクル事業の規模とバリューチェーンの拡大を図り、同社が掲げる「2025ビジョン」に基づき廃棄物100%の再資源化の実現と高度循環型社会に向けた受け皿となるべく業界再編を進めたい考え。社名を変えつつ産業革新機構という公的な機関からの出資を受けることで、静脈産業の再編・統合のためのプラットフォームになることを目指していく。
スズトクHDは産業革新機構より役員を受け入れ、産業革新機構側は新会社で過半数を超えない範囲で出資を行う。また、新会社は近い将来での上場も視野に入れている。
なお、スズトクHDが従来から進めてきた国内外での業務提携などの取り組みもこれまで通り活かしながら、今後、他のリサイクル企業も参画しやすい仕組み作りも進めていく方針を示している。


スチール缶リサイクル協会 2016年度R率は93.9% 90%以上6年連続、過去最高に

スチール缶に係る鉄鋼メーカー三社、製缶メーカー三社、商社六社で構成されるスチール缶リサイクル協会(理事長・佐伯康光・新日鉄住金㈱代表取締役副社長)ではこのほど、2016年度のスチール缶リサイクル実績について発表した。それによれば、2016年度のスチール缶リサイクル率は93・9%となり、2016年度から2020年度までの第三次自主行動計画のリサイクル率目標90%を達成した。また、90%以上の達成は、6年連続となり、2013年度と2015年度に記録した92・9%を上回る過去最高のリサイクル率になっている。
この高いリサイクル率達成の背景として、佐伯理事長は、飲料用スチール缶の分別・再資源化が社会に浸透しており、95%以上の自治体で分別収集が行われていることや、2016年の世界の粗鋼生産が16億3000万トンと高い水準が維持されるなかで、日本の粗鋼生産も年間1億トンを維持しており、スチール缶スクラップが国内で自給できる高品質な鉄鋼原料として評価されていることなどを挙げた。
また、スチール缶の一部が全国の鉄スクラップ業者において、高付加価値化のためにシュレッダー処理され、スチール缶スクラップ(Cプレス・Cシュレッダー)以外の規格で鉄鋼メーカーに受け入れられている実態もあり、2009年度よりこの一部を調査し、再資源化重量に加えたことも高いリサイクル率の維持につながっており同協会では、「他のゴミに混ざってしまい、補足できないものも含めれば、リサイクル率は限りなく100%に近い」としている。
2016年度においては、スチール缶の消費量46万3076トンとなったのに対し、再資源化重量は43万4977トンとなっているが、この数値は、10年前の2006年度との比較では、消費重量で36万9000トン、再資源化重量でも29万7000トンの減少を示している。リサイクルの優等生であるスチール缶だが、アルミ缶やペットボトルなど飲料容器の他素材化が進むなかで、市場規模は年々縮小傾向にある状況も伺える。

スチール缶リサイクル率の推移




自動車工業会 共同回収網の構築も 次世代車リサイクルへの取り組み

先に開催された産構審と中環審の自動車リサイクルに関する合同会合にて、(一社)日本自動車工業会より次世代車の適正処理・再資源化及び新冷媒への取り組み状況について報告が行われている。
ハイブリッド自動車や電気自動車、プラグイン・ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などの次世代自動車については、年々販売台数が増加しており、2030年には少なくとも250万台、最大で350万台程度が次世代自動車の販売台数となることが見込まれているが、次世代自動車が使用済み車として本格的に発生してくるのは2025年以降(最大約50万台)と予想されている。こうしたことから今回、同工業会では、使用済み駆動用電池の各社の対応状況などの報告を行ったもの。
メーカーによる自主回収スキームの実績では、まずニッケル水素電池(トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱自動車、日野)が2016年度で4839個となり、前年度比で352個の減少となった。一方、リチウムイオン電池(トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱自動車、スバル、いすゞ、スズキ、UDトラックス、ヤマハ、三菱ふそうバス・トラック)では、2016年度656個となり、数は少ないものの前年度比で202個の増加を見せている。回収後の処理については、例として電池を電気炉で溶融処理し、電池構成素材の一部を還元剤などとして活用する、ハイブリッドモーターの磁石からのネオジムやジスプロシウムといったレアアースの回収と新たな磁石として利用するリサイクルシステム実証、などを挙げた。
一方、回収電池のリユースの取り組みとして、トヨタによるプリウスバッテリーを利用した定置用蓄電システムや、日産と住友商事が設立したフォーアールエナジーによる、電気自動車のリチウムイオンバッテリーの二次利用商品の2020年からの販売に向けた実証試験について紹介も行われている。
なお、メーカーサイドでは現在、解体業者や運送業者などと、広域認定制度を利用した共同回収スキームを構築中としており、2018年度の稼働開始を予定している。


3R推進月間 例年以上の規模で実施 全国各地、民間企業でも積極的取り組み

環境省では、平成14年より毎年10月を「3R推進月間」として、関係8府省とともに様々な情報発信などを展開しているが、今年度は全国70自治体で関連行事が開催されるほか、日本フランチャイズチェーン協会や日本百貨店協会など、民間企業でも積極的な取り組みが展開される。
自治体の主な取り組みとしては、山形、千葉、富山、京都、愛媛などで環境啓発イベントや3Rシンポジウムが開催されるほか、宮城県では「みやぎの3Rキャンペーン」として、コンビニや各種団体での広報活動、ラジオCMによる啓発も行われる。また、栃木、市が、大阪、島根、鳥取、福岡、長崎、大分、鹿児島などでは、レジ袋の削減を目標としたマイバッグ持参キャンペーンを実施する。
一方、日本フランチャイズチェーン協会では、加盟コンビニ5社において期間中、全国レジ前でのPOP画面での周知活動を実施し、ファミリーマートでは3Rの取り組みを呼びかける店内アナウンスなども行う。更に日本百貨店協会加盟の百貨店80社213店舗では、容器包装の削減を目指す「スマートラッピング」の呼びかけを強化。環境省でも同省初の大規模消費者キャンペーン「選ぼう!3Rキャンペーン」を全国1000店舗以上で実施するなど、例年以上の規模の取り組みとなっている。


鎌倉市 回収品目を拡大 革製や羽毛含む衣類、製品プラスチック

神奈川県鎌倉市は、資源物の分別回収の衣類や製品プラスチックなどについて、回収対象品目を増やした。衣類に関しては、従来の布類(シャツ・セーター・下着・靴下・タオル・シーツなど)のほか、使用可能な状態の革製や羽毛・綿入りの衣類、ベルト・かばん、帽子を回収対象に追加。回収頻度は従来と同じ週一度で麦わら帽子やランドセルなど、圧縮することで壊れてしまうものは出さないよう呼び掛けている。
製品プラスチックに関しては、従来、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)の単一素材のもののみを対象としてきたが、そのほかのプラスチック系素材や複合素材のものに加え、シリコン、ウレタン、スポンジなども対象品目に加えた。ほか、壊れたもの、劣化したもの、電池不使用のプラスチック製おもちゃも回収する。更に10月からはトイレットペーパーなどの柔らかい芯はミックスペーパーとして回収を行う。
鎌倉市は環境省が実施する自治体のリサイクル率調査で毎年上位にランクインしており、今年発表された平成27年度調査ではリサイクル率48.4%で全国3位となっている。


大久保信隆氏の叙勲祝い 株式会社大久保法人化50周年併せ祝賀会

大久保信隆氏の叙勲祝賀会

大久保信隆氏の叙勲祝賀会


大久保信隆氏(全国製紙原料商工組合連合会副理事長)の旭日雙光章受賞と株式会社大久保の法人化50周年記念祝賀会が先ごろ、東京の帝国ホテルにて400名を超す出席者の下で盛大に開催された。
大久保信隆氏は次のような趣旨で謝辞を述べている。「この度は私の53年の社歴と育った環境によって、名誉ある勲章をいただきました。これもひとえに皆様のご支援ご協力、そしてご指導のおかげと感謝しております。私自身はピンコロ100年を目指し頑張りたいと思います。株式会社大久保はあと6年で創立100周年を迎えますが、その時は常務にやってもらっても良いと思います。そして孫の世代となる150周年に向けて歩んでいきたいと思います」。また、古紙の市場について「中国は環境問題のため、古紙の輸入規制を行い、まず未選別古紙を輸入しなくなります。私は中国から良いテーマを与えられたと思っており、古紙の分別回収システムも指導を世界にしていくことが日本の古紙業界の役割であると感じています。製紙会社には技術力でもっと古紙を利用することをお願いしたいと思います」などと述べている。
祝賀会には、発起人代表である栗原正雄全国製紙原料商工組合連合会理事長、湯本啓市経済産業省製造産業局素材産業課課長より挨拶が行われたほか、来賓を代表して甘利明衆議院議員・資源リサイクル推進議員連盟会長、渡良司古紙再生センター理事長はじめ、各市からの祝辞が続いた。


雑品スクラップ規制 「廃棄物」を基準に 対象品目は家電・小電に一部業務用機器

雑品スクラップの規制に向けた環境省の有害使用済み機器の保管等に関する技術的検討会の第二回会合がこのほど開催されたが、そのなかで、有害使用済み機器の対象品目や保管及び処分の基準、また、保管等に関する届け出対象者に関する対応方針(案)が示された。 まず、今回の会合で示された有害使用済み機器の対象範囲の指定に関しては、前回の意見を踏まえつつ、基本的な考え方を雑品スクラップの保管等の全体像を把握することを前提とし、鉛含有や火災リスク、運用コストなどを勘案し、まず、リサイクル法対象品目の家電4品目と小型家電28品目に加え、業務用機器についても実態なども踏まえ追加するとした。更に今回指定しない機器についても、法の施行状況を踏まえて機動的な対応を行う、などとしている。
次に、これら有害使用済み機器の保管・処分の基準に関しては、「廃棄物の保管・処分の基準」を基本とし、保管高については実態を踏まえて対応、処分は自治体アンケートや実態調査を踏まえつつ破砕・切断・圧縮・解体を想定した基準とする。また、火災防止の観点から、油・バッテリー・ガスボンベ等の扱いについては、金属スクラップ等と分別した上で保管・処分させる等、必要な措置を講じるとした。
また、これら機器を扱う「有害使用済機器保管等業者」の都道府県知事への届け出に関して、家電リサイクル法における再商品化等施設や小型家電リサイクル法における認定事業者については二重規制とならないよう、届け出除外対象者とするほか、そもそもこれら有害使用済み機器の保管量が少なく、人や環境に悪影響を及ぼす可能性が少ない場合は除外するなどの案が示されている。
一方で、届け出が必要な者は、「廃棄物処理法」に基づく処分業の許可に関する申請事項・書類(許可基準に係るものを除く)を基本とし、排出事業者自ら事業場外での保管に関する届け出事項・書類を参考として定める。具体的な申請内容は、申請者の基本情報のほか、事業計画概要や開始年月日、保管・処理場所の面積や平面図・構造図、施設の種類や付近の見取り図、保管品目、数量など。更に有害使用済み機器の流れを把握する観点から、扱い事業者に対して品目ごとに引取先や数量、処理法、引渡先と引渡量を記載する帳簿の備え付けを求めている。


関東鉄源協同組合 第16期通常総会を開催 山下理事長「組合員の団結を」

関東鉄源協同組合第16期通常総会

関鉄源の16期通常総会


鉄スクラップの共同輸出船積みを目的として、関東地区の有力鉄スクラップヤードディーラーで構成される関東鉄源協同組合(理事長・山下雄平㈱ヤマシタ社長)はこのほど、東京・錦糸町の東武ホテルレパント東京にて第16回の通常総会を開催した。 総会は29年度事業報告及び30年度事業計画案など各議案を滞りなく承認している。
冒頭に挨拶に立った山下理事長は「このところ相場は右肩上がりにあり、個々の事業者の業績にはプラスに作用したが、組合の共同輸出船積みにとっては厳しい一年になった面もあります。入札を行った時点では高値であっても、船積みを実施する時には安値となり、皆様には負担になったと思われます。ただ、そのような中で、契約数量22万4000トンに対し、実際の出荷量は22万3917トンとほぼ100%と、安値の船積みであっても皆様が出荷割当量を守っていただいたことに頭が下がる思いです」とまずは、組合員に感謝の意を示した。
そして、「組合の入札に関しては様々な意見もありますが、我々の行う事業は海外の指標価格にもなっており、事業にプラスに働く部分も多いはずです。船積みに関しては、大型化に伴うリスク低減のため、積み期間の15日短縮や成約残数量が2か月間で5万トン以内になるよう、仕組みの変更も行いました。また、我々の業界の景気も東京オリンピック後どうなるか分からず、中国や韓国などこれまで輸入国であった各国との競合も起きてくるでしょう。こうした事態に対応するため、鉄源ブランドの構築、更にコンテナ輸出の研究も継続する方針です。日々刻刻と目まぐるしい状況変化もありますが、皆様と一致団結して組合事業を推進していければ幸いです」と述べている。

販売減も売り上げ増に H2のコンテナ積み輸出実証も継続
関東鉄源協同組合の平成29年度事業報告によれば、契約期限の短縮に伴い、落札数量が前期比5万2000トンもの大幅減となる22万トン、売上数量も同比3万8000トン減の22万4000トンとなった。ただ、売上金額は、落札平均価格が2万4921円と前期非で6283円上昇したことから、5億5000万円増の約57億円を計上できたとしている。また、29年度は品質管理面でも大きな成果を残した都市、返品数量も前年比54%減になった。
また、平成30年度の事業計画案では、販売量24万トン、販売単価2万5100円で販売高60億2400万円を見込んでいる。このほか、29年度事業で実施し、最大19・4トンの積み込みに成功したH2のコンテナ積みに関しても、調査研究事業を継続すべく、損失補てん費として100万円を計上している。H2コンテナ積みに関しては、関東エリアで年内にも実施を予定している。


直富商事 2016年度のCSR活動報告 技術開発や教育支援にも取組

長野県内において金属スクラップや古紙・廃プラスチックの再資源化や、一・産廃処理など多角的な総合リサイクル事業を手掛ける直富商事株式会社(本社・長野県長野市、木下繁夫社長)は先ごろ、「2016CSR報告書」を発刊した。同社は「地域に愛され、必要とされる会社とする」、「社員が物心共に幸福と思える会社とする」を経営理念とし、時代の変化の流れを見据えたCSR活動を推進してきている。
報告書によれば、2016年度(2016年3月~2017年2月)の主な取り組みとして、同社が加入し、長野市の家庭ごみや資源ごみ収集について市から委託を受けて実施している長野市委託浄掃事業協同組合の全車両に昨年9月AEDを搭載したほか、同10月にはスプリング入マットレスやソファの受け入れ処分の開始、更に今後予想される大量廃棄に際して、適正処理が求められる太陽光発電パネルに対して、環境省のモデル事業として昨年12月に新工場棟が完成した同社東御工場において廃太陽光パネルの回収を実施し、今後の課題に対するシステム構築を目指すとしている。
中国での教育支援事業覚書の調印式

中国での教育支援事業覚書の調印式


このほか、大学との連携事業として信州大学の住宅建設時副産廃棄物のゼロエミッション研究会への参加やメタン発酵特性に関する共同研究、東京農工大学との近赤外線を活用した廃棄物選別研究や、同社がかねてから取り組んできた中国石家庄市での支援を進化すべく「直富希望小学校」との間で「教育支援事業に関する覚書」の調印式を執り行ったとしている。
なお、2016年度において、金属くずや紙くずなどを同社が含め、受け入れた廃棄物量は7万6623トンとなり、中間処理を経て、取引先での最終処分やリサイクルが行われた量が6万2521トンなどとなっており、リサイクル率は85%に達したとしている。
木下社長は報告書冒頭のメッセージで「世の中から企業に求められていることは、多種多様であり、何を求められるのか知らなければならない」ことから「自分の知恵は有限であっても、周りの皆さんの知恵を借りれば無限となる」とし、「忌憚のないご指導を賜ることで、CSR活動を高めていければ、社会から必要とされる直富商事であり続けられるのではないか」と述べている。


横浜市資源リサイクル事業協同組合 中国規制に関心高く 組合員他70名集め勉強会開催

横浜資源リサイクル事業協組の勉強会

横浜資源R協組の勉強会


横浜市資源リサイクル事業協同組合(宗村隆寛理事長)ではこのほど、総務委員会(高野龍也委員長)及び事業研究委員会(田村和之委員長)の共催で「中国の輸入再生資源物規制に関する勉強会」を開催した。中国当局では、今春以降、様々な規制方針を打ち出し、世界のスクラップマーケットに大きな影響を及ぼしている。とりわけ、深刻化する環境汚染や健康被害を防ぐことを目的とした、海外からの輸入再生資源を扱う企業への取り締まりを強化しており、中国の需要にその多くを依存している我が国の再資源物を扱う業界にとって、極めて重大な問題となっているのが実情だ。このため、勉強会には組合員他約70名の参加と関係者の関心の高さが伺えるものとなった。
今回の勉強会では、産業新聞社の植木美知也上海支局長と、資源新報社の大橋(演題「環境保護の嵐吹き荒れる中国市場」)が講師を務めた。植木氏の講演は「中国の鉄鋼改革で生じる『新たな潮流』」と題し、中国で無規格の鉄鋼製品を製造していた地条鋼メーカーの淘汰と世界の鉄スクラップ市場への影響について解説を行っている。そのなかで、現在の中国鉄鋼業に状況に関し、政府のインフラ投資増加と「地条鋼」の取り締まりによって正規の鉄鋼企業が増産していることから、2017年の粗鋼生産が8億4000万トンと過去最高の見通しになるとした。また、「地条鋼」淘汰に伴う中国からの鉄スクラップ輸出に関しては、電炉の代替え生産が進むことで国内消費が増加していく点も指摘。更に鉄鋼業の大規模化も進むが、中国内の鋼材需要は中期的に減少傾向を辿ることから、今後は海外への製鉄所の建設など「能力の輸出」が起きると述べている。
次に、今年に入ってからの中国の輸入再生資源に関する規制について、資源新報社・大橋が解説を行った。講演では中国の規制について、「2019年末までに国内で代替え可能な固体廃棄物原料を逐次停止する」が基本的な方向性であること。また、2020年までに中国は主要再生資源の回収量を2016年の2億5000万トンから3億5000慢トンにまで引き上げる目標を示し、現在、年間4000万トンの輸入再生資源の代替えを進めていく等の内容を説明した。更に今年9月までの個々の規制内容の中身や中国向け古紙や金属スクラップ、廃プラスチックの見通し等についても解説を行っている。
なお、講演後に挨拶に立った宗村理事長は「中国の規制によって業界は大変な状況を迎えつつあるが、元々我々の業界には粘り強さがあり、皆で困難を乗り切っていきたい」と述べている。


1.8lびん回収率74.5%に 容器包装リサイクル自主認定危ぶまれ

1.8ll壜再利用事業者協議会はこのほど、平成28年度の1.8lびんの利用・回収状況を発表したが、調査結果によると、利用量1億3379万7000本に対し、回収量は9968万8000本となり、回収率は74.5%になった。冬季包装リサイクル法では、回収率が80%以上であり、その回収方法から判断して概ね90%の回収率を達成するために適切であると認められる場合、制度における費用負担を免除される18条認定という制度があるが、今回の調査ではこの基準を下回り、自主認定の継続が危ぶまれる結果となった。
1.8lびん利用量は、調査開始時の平成9年から20年間で4分の1以下に減少しており、回収率も15ポイント減少。特に今回の調査では、回収率が調査開始以来初めて前年度比5ポイントのマイナスとなり、リユースシステムの存続が危機的状況にある現状が浮き彫りとなった。
また、この調査では、活きびんの回収に不可欠なP箱の使用率や、新びんの構成比についても報告が行われているが、1.8lびんの出荷本数におけるP箱出荷率は約7割と微減傾向。一定量がP箱に代わり段ボールなどで出荷されていることや、流通過程でのP箱の散逸・滞留などが原因となり、慢性的なP箱不足、活きびんのカレット処理によって回収率低下につながっていると見られる。


名古屋市 戸別回収を拡大へ 持ち去り対策の一環として

名古屋市は、先ごろ開催した市議会本会議において、資源回収についての持ち去り防止の観点から戸別回収を拡大していく方針を明らかにした。現在、同市では行政による資源回収は行っておらず、一般的な集団回収と名古屋独自の学区協議会方式による集団回収を行ってきた。学区回収とは、小学校区を単位に月一回以上定期的に回収する方式で、名古屋リサイクル協同組合(石川喜一朗理事長)が回収を担う。地域住民は、業者との話し合いのなかで、ステーション方式にするか個別方式にするか選択できるのも特徴となっている。
現状では、市が住民に支払う事業協力金は、コストなどの問題から戸別1円/kgと低く設定されているため、ステーション方式94学区、個別方式75学区とステーション方式を選択する住民が多かった。しかし、持ち去り被害の9割がステーション方式で発生していることから、今後、個別方式もステーション方式と同額の3円/kgに引き上げ、住民に切り替えをうながしていく。
名古屋市でも近年、持ち去り被害が相次ぎ、平成24年に防止条例を制定。その後、通報件数は減少していたが、持ち去り業者の手口の巧妙化・悪質化が進んでおり、直近は再び増加傾向を見せている。平成28年度の月平均の通報件数は7.9件となっていた。名古屋市の担当者は戸別回収を高齢者のゴミ出し支援という意味でも重要と位置付けており、来年度からの実施を目指している。