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日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2016年5月

鉄リサイクリング・リサーチ 鉄くず高騰3要因を分析 短期沈静化、中長期は下降へ

<国内外の鉄スクラップに関する調査・研究を手掛ける株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長はこのほど、調査レポートNO.35「価格高騰を招いた三つの要因」を取りまとめ、公表した。鉄スクラップ相場は昨年の夏以降、急落を見せ、昨年末から年初にかけ1万4000円/トン(H2)前後水準とリーマンショック以来となる低価格帯での推移を余儀なくされ、一時、1万円割れも想定される状況となったが、3月以降急騰を見せ、2万5000円超の価格帯まで値戻しを見せている。同レポートはこの要因を3つ挙げており、2つを海外要因、1つを国内要因であると論じている。
林氏はまず、今回の価格急騰要因の1点目は「鉄鉱石価格の急回復」にあるとし、なかでも今年3月7日、中国が輸入する鉄鉱石スポット価格が全人代での内需喚起策を背景に急騰したポイントを指摘。鉄鉱石スポット価格は今年2月以降、前年末40ドル台から3月7日に64ドルまで55%もの急騰を見せたことが鉄スクラップ価格の急上昇につながったと分析した。第二点目として、中国ビレット輸出の価格対策を挙げている。中国は内需低迷による余剰ビレットのはけ口を輸出に求め、昨年は前年比で倍近い2600万トンものビレットを世界中に展開したと見られる。今年1―3月も高水準の推定650万トンが輸出されたと見られるが、価格は今年に入り1月を底に低下に歯止めがかかり、指標となる中国からのトルコ向けビレット輸出も1月25万トン(193ドル)、2月9万5000トン(249ドル)、と価格上昇と数量減を見せ、3月には1万1000トン(373ドル)となった。中国による安値販売キャンセルがここに見られ、結果、トルコが欧米などのスクラップ手当を余儀なくされた結果が東アジアのスクラップ上昇を招いたとした。 第三点目の国内要因として、国内電炉の製品価格対策を挙げている。電力コスト上昇に苦しむ電炉メーカーが中国の鉄鉱石スポット価格上昇とそれに伴う鋼材販価上げを契機として、国内製品価格を改定すべく原料購入価格引き上げに動き、結果、関東H2炉前価格は3月7日1万5330円/トンから5月9日に2万5000円/トンまで急騰を示したとしている。
最後に林氏は、今年3月から始まった価格高騰について、改めて我が国鉄スクラップが世界商品としてグローバル化している証としつつ、今後、沈静化に向かうと予測。実需の伴わぬ投機的な中国の鉄鋼増産の動きを注視するとともに、鉄鉱石価格が50ドル程度に維持された場合、短期的には夏から秋にかけ2万円から2万3000円のレンジで推移するとの見方を示した。ただ、中長期では中国鋼材の供給過剰が世界に及ぼす影響は揺るぎなく、下降トレンドが続くことが予想されることから、2030年鉄スクラップ1万円/トン時代を見据えた事業運営を怠らないことが重要であるとまとめている。


廃棄物処理法 見直し審議始まる 横流し、違法不用品回収対策など論点

廃棄物処理法の5年ごとの改正へ向けた議論が始まった。今回の見直しは、大きく以下4つの方向性で行われると見られる。①適正処理の更なる推進、②廃棄物処理法に基づく各種規制措置の見直し及び優良な処理事業者の更なる育成に係る措置、③廃棄物の排出抑制等及び廃棄物処理分野における温暖化対策の強化、④廃棄物等の越境移動の適正化に向けた対応、となる。
また、市況により廃棄物該当性が変動するものや、有害性の高い物品に、管理のための一定の基準を適用できるようにする制度(違法な不用品回収業者対策を含む)の検討が行われる。これは、先ごろ閉会した「廃棄物等の越境移動等の適正化に関する検討会」での議論を受けて、今回論点のひとつとされたと見られるが、「廃棄物等の越境移動の適正化」をテーマとする④とは別枠として議論される。
今後、都道府県、日本経済団体連合会、全国産業廃棄物連合会、全国都市清掃会議、日本建設業連合会のほか中小規模の排出事業者からヒアリングが行われ、年内での取りまとめを目指し、随時、審議が行われていく。


関東製紙原料直納商工組合総会 持ち去り警察協力に道筋 大久保理事長再任で3期目に

大久保信隆理事長

大久保信隆理事長


関東製紙原料直納商工組合はこのほど、東京都荒川区のホテルラングウッドにて第53回通常総会を開催した。総会では、前年度事業報告、同決算報告、新年度事業計画、同収支予算などの議案について審議を行い、各案ともに可決承認された。また、今総会では役員改選も行われ、大久保信隆現理事長の再任が決定している。大久保理事長は今期で3期目の長期政権となった。ほか、定款の変更も行われており、暴力団排除規定が新たに設けられている。
総会の後行われた懇親会では、松原仁衆議院議員、松木けんこう衆議院議員、葉梨康弘衆議院議員、特別区長会会長の西川太一郎荒川区長、渡邉政嘉経済産業省紙業服飾品課長ら、多数の来賓が招かれ、盛会裏のうち散会となった。
なお、今総会では、長年組合活動に貢献されてきた山室泰洋副理事長と瀧本義継副理事長の勇退が発表され、大久保理事長から謝意とともに記念品が贈呈された。また、開会前には警視庁から講師を招き、暴力団追放に関する講演会も開催されている。


廃バッテリー 国内市場は深刻なひっ迫 韓国向け輸出初の大台乗せ

我が国からの廃バッテリー輸出が急増し、 3月の財務省・関税局統計による輸出通関量は初めて1万トンの大台を突破するという事態を迎えている。この輸出通関量の内全体の98・9%を占めているのが韓国向けで、 この傾向は廃バッテリーの韓国向けが本格化し始めた07年以降一貫して高い比率を維持している。 このため、 国内の廃バッテリーを母材とする再生鉛の2次精錬業界や三井 (神岡)、 三菱 (細倉)、 東邦等の大手鉱山の原料担当は国内から発生する廃バッテリーの現物確保に苦慮するという、 深刻な原料問題を抱えている。
国別輸出で各月共に高い比率を維持する韓国向けは、 月によっては100%に達することもあって、 2次精錬事業が活発な韓国の廃バッテリーに対するニーズは、 距離的にも近いという地理的要因も重なって、 韓国向け輸出の実態は2012年以降に急増、 13年暦年合計では8万7000トン (月平均=7300トン)、 14年暦年も9万8000トン (同=8100トン) と高いレベルで推移、 殆んどの月で98%台以上という輸出比率を維持している。
3月の1万トン台乗せについては、 昨年8月の5000トン台から10月の3000トン台という輸出通関の低下の反動で2~3月に急増したと見る向きもあるようだが、 急増した理由については明らかになっていない。市場関係筋が指摘する背景として 「①昨年前半の月間8000トン台維持から後半に急減(3000トン台)した通関量の反動による増加、②鉛相場下落によるコスト要因による買い出動、③韓国国内2次精錬業界全体でのニーズの高まり」 等が挙げられている。問題は季節的要因で発生が増加した2~3月の国内需給が、 今後の発生減環境を控えて市中の中小2次精錬から大手精錬メーカーまで、 国内リサイクラーの多くが韓国輸出増の反動による廃バッテリーの現物不足に悩まされることになりそうだ。


総合Rセンター黒田 戸別回収で地域密着 会員数1万2千世帯「もったいない倶楽部」

総合リサイクルセンター黒田

総合リサイクルセンター黒田


自治会の衰退や高齢世帯の増加などから、大都市圏を中心に行政サービスの一環として廃棄物や資源物の戸別回収に取り組む自治体は近年増加傾向にあるが、これに民間ビジネスとしていち早く取り組んだ企業が山梨県富士吉田市にある。 今年創業55周年を迎える(株)総合リサイクルセンター黒田(黒田光秀社長)が取り組む「もったいない倶楽部」は、会員登録制の資源物の戸別回収事業だ。会員は1?2週に1度設定された回収日に玄関先へ古紙や缶、衣類などの資源物を出しておくと、同社が訪問回収に来て重量に応じてオリジナルプリントトイレットロールが貰える。もちろん会員登録料は無料。字面だけ見ると、目新しいのは会員制ということのみで、往年の「ちり紙交換」のようにも見えるかもしれない。しかし、人口5万人の富士吉田市を中心に現在、周辺5市町村にまで事業は拡大。その会員数は1万2000世帯を超え、地元都市ガスの契約者数より多いという。実際に回収日の朝、当該地域を歩いてみると、各戸の玄関先には資源物がずらりと並んでおり、行政で戸別回収を行っていると錯覚してしまうほどだ。ここまで地域に浸透した理由とは一体なんなのだろうか。
黒田社長はキーワードとして「人」という言葉を挙げる。およそ12年前、この事業を始めた当初は営業に回っても、けんもほろろな対応されるのが常で、会員申し込みの電話が鳴ることも少なかったという。しかし、ひとたび申し込みがあればどんな遠隔地でも回収に出かけた。当然、輸送コストを考えると、採算ラインは大きく下回ることになるが、その小さな一つの「点」はやがて大きな「円」になる。一軒の家庭から口コミで評判が広がり、現在では集落全ての家庭が会員という地域も珍しくない。
また、「もったいない倶楽部」では資源物の回収のほか、不用品の処分、古物の買取、蜂の駆除なども受け付ける。一廃・産廃の収運・処理、古物商、家電リサイクルなどの各種許認可を持つだけでなく、資源物全般を取り扱い、環境衛生機器や健康食品等の販売など、幅広い事業を手掛ける同社ならではの強みだ。さらに、「電球取替えて」、「タイヤ交換をお願い」など会員からの細かなリクエストにも可能な限り対応している。こういったサービスを通じて築きあげた信頼関係は、戸別回収以外の仕事に直結する。「もったいない倶楽部」をきっかけに、会員の勤め先から大口の仕事が舞い込むこともあった。 いまや「もったいない倶楽部」は、資源物回収という枠を超え、営業・情報収集ツール、社員研修ツールとしても活用され、同社事業の中核をなしている。黒田社長は「人口減少で資源物・廃棄物ともに発生量のパイが縮む中、減少分を補うため、こちらから仕掛けていかなければいけない時代だ。大手が大規模集約化を進めるなか、中小は地域の人と人との繋がりを大事にしていかなければ」と語っている。


全国産業廃棄物連合会 資格制度設立へ具体化 人材育成方策に関する調査

(公社)全国産業廃棄物連合会(以下、「全産連」)では、人材育成し技術力を向上させることにより、業界のイメージアップを図るため、業界における人材育成方策について調査を進めており、このほど昨年度の成果を発表した。全産連では一昨年、タスクフォースを立ち上げ業界振興策について議論を重ね、昨年、「受け手としての“廃棄物の処理・処分”から創り手としての“資源とエネルギーを製造する”業界へと引き上げていくべき」とする報告書を取りまとめた。この報告書では、資格制度の設立やアカデミーの創設など人材育成に大きくスポットが当たっており、今回の調査はこれらの具体的な実現に向けての足掛かりとなる。
調査では、47 都道府県協会に対してアンケートを実施し、平成 27 年度開催の研修事業、ニーズが高かった研修会、研修が必要と考えられる業種、レベルアップを必要とする対象者など、業界の人材育成の現状について把握。さらに、産廃処理事業者にヒアリングを行ったほか、他業界の資格制度などについて状況調査を行っている。
また、収集運搬、中間処理、最終処分の業態カテゴリごとに、中小企業では社内教育が難しいL2(=主任レベル相当)における人材育成のニーズの高い業務を特定し、業務遂行に必要な能力・知識表を作成した。これに基づき、研修カリキュラム案も作成し、実際に3月にはモデル研修会を開催している。資格制度もL2を対象として、資格制度のイメージを、目的、分野、レベル・難易度、名称、取得・維持の仕組み、取得の要件等の様々な観点から検討した。
全産連では「資格制度の創設は、産業廃棄物処理に従事する者に誇りとモチベーションを与えるとともに、排出事業者、地域社会からの信頼を得る手立てとして、非常に重要」として、今後、資格制度の早期樹立や、L1(担当者レベル相当)、L3(課長レベル相当)の資格制度についての検討、中間処理における処理方法の違いによる区分化などの実現に向け、さらなる深堀に取り組んで行く。また、今年発覚した食品転売事件を受け、産業廃棄物処理業に対する信頼が失われることが懸念されることから、資格整備の対象として、廃棄食品の適正処理の業務管理を行う者も含める必要があるとしている。


自動車リサイクル実績 引取316万台に低迷 新車販売低迷や使用年数増などで

公益財団法人自動車リサイクル促進センター先ごろとりまとめた2015年度の自動車リサイクルシステムの運用状況によれば、2015年度の使用済み自動車の引き取り台数は315万6000台となり、前年度比で17万6000台(5・3%)減となった。減少は2年連続となり、ピークの2009年度(391万8000台)との比較では76万2000台(19・4%)もの減少幅となっている。
引取台数減少の背景には、2014年4月からの消費増税に伴う反動減が続いていることに加え、2015年4月からは軽自動車税が値上げとなったことによる新車販売台数の低迷があげられる。また、引取車台の平均使用年数推移を見てみると、2004年度で11・4年であったものが2012年度には14年を超え、2015年度においては14・9年と15年に迫る水準になるなど、ユーザーの使用年数が伸びていることが引取台数減の要因とみられる。
自動車メーカー等の特定再資源化3品目(フロン類、エアバッグ類、シュレッダーダスト)処理状況でみてみると、フロン処理台数が274万1000台で前年度比16万3000台(5・6%)減、エアバッグ類処理台数が235万4000台で前年度比5万台(2・1%)減、ASR(シュレッダーダスト)処理台数が312万3000台で前年度比20万7000台(6・2%)減となった。ただ、ASR処理台数中の認定全部利用台数は19万台となり、前年度比で1万4000台(8・0%)の増加を見せている。
他方、2015年度の預託台数は新車登録時が494万4000台、引取時が7万4000台の合計501万8000台(520億円)となり、前年度との比較で38万1000台(7・1%)の減少となった。特に新車登録時預託が前年度比35万9000台減となったことが預託台数の減少に響つながっている。これにより、法施行後の累計預託台数は1億2938万4000台(1兆3013億円)となった。
なお、中古車輸出については、2015年の中古車輸出に係る変換台数が148万9000台(171億円)となり、前年度比1万1000台(0・7%)減となったが、依然として高水準の輸出が続いたもよう。


関東商組・2016年見通し 需給差異404万5千トンに 回収量は08年比9.6%減予測

関東製紙原料直納商工組合(大久保信隆理事長)では先ごろ、2016年の古紙需給予測をまとめたが、それによれば、2016年の古紙回収予測は2096万6000トンで前年実績比1・4%減、また、消費予測も0・4%減の1692万1000トンになるとの見通しを示し、同試算に基づいた古紙需給差異は404万5000トンと予測した。古紙回収予測については、直近ピークの2008年回収量2318万6000トンに対して90・4%となり、数量ベースでは220万トンの減少となっている。
ただ、メーカーの年末製品や古紙在庫増10万トンを踏まえれば、2016年の需給差異は415万トン前後となり、同需給予測では新聞の需給差異が17万4000トンと輸出余力がほとんどないこと、更に為替の円安で製品輸出が上振れすば、古紙回収量は減少するため、内需によらず需給差異が縮まることも予想される。
なお、需給予測に当たっては、回収の試算が過去10年の実績を基に算出しており、市況変動などの増減は加味されていない。古紙消費量に関しては、日本製紙連合会の2016年消費予測を基に算出されている。また、古紙需給に関しては、製紙原料用途以外のものは考慮されていない。


エコマット産業 PPMセミナーを開催 古紙輸出は400万トン切ると予測

韓国最大の古紙専門商社バランスインダストリー社の日本法人である(株)エコマット産業は4月25日、東京都赤坂のJETRO対日投資・ビジネスサポートセンターにおいて、RPM(Recycle Pulp Materials。再生パルプ原料=古紙)関連国際動向セミナーを開催した。昨年に引き続き今回で2回目の開催となる。セミナーでは国連地域開発センター所長の高瀬千賀子氏が、同センターにおける途上国での行政などによる廃棄物管理サービスの拡大事業について講演したほか、エコマット産業社長のオム・ベクヨン氏が国際クレームの具体事例や国際市場の動向と今後の展望を発表した。
オム氏は、国際取引において、近年、国際的な基準が定まっていないがために、品質に関するクレームは増えており、主な要因は水分超過や禁忌品の混入、日焼けによる劣化、放射能などと述べ、具体的な事例を写真や動画とともに紹介。こうしたクレームが頻発すれば、ブランドイメージが悪くなり、価格低下や販売先縮小につながりかねないことから「国際的な品質基準やクレーム対応に関する基準を作ることは難しいことだが、資源循環を考えた時、解決していかなければならない問題」との認識を示した。
また、昨年426万トンだった日本の古紙輸出量について、今年400万トンを割るとオム氏は予測。主な要因として、日本の発生の減少、中国の古紙品質基準の厳格化、為替変動で日本の国内価格が相対的に有利になっているということなどを挙げた。また、これまで日本の輸出先は中国に大きく依存していたが、海運環境の改善などにより、輸出先の多様化は今年でさらに進むと分析している。


関東商組 古紙持ち去り撲滅に向け 誓約書提出組合員をHPで公表

関東製紙原料直納商工組合 (大久保信理事長、 以下 「関東商組」) ではこのほど、 組合に対し持ち去り古紙を一切取り扱わない旨の誓約書を提出した組合員の一覧をホームページ (http://www.kantoushoso.com) 上で公表した。 公表された組合員数は4月25日現在で112社となっている。
関東商組では平成25年、 持ち去り行為に由来する古紙の買い入れを恒常的に行っていることが判明した事業者に対し、 買い入れ中止の警告を発するとともに、 事業者名を明示したうえで警告を発した事実を公表することとし、 その一方で組合員に対しては持ち去り古紙を取り扱わないことを内容とする誓約書の提出を求めていた。しかし、 持ち去り古紙を常習的に買い入れている事業者の、 主として輸出に向けられたロンダリング行為が止まないことや、 その後のGPSによる持ち去り古紙の追跡調査に伴い、 GPSのセットされた古紙が持ち去られ、 組合員のヤードに持ち込まれるケースも見られたことから、 このほど新たに誓約書の提出を求めることとなったもの。
今回の誓約書では新たに、 持ち去り古紙の売買に関わっている事業所等と取引しないとするとともに、 誓約書を提出したことを組合ホームページ上で明らかにすることを内容としている。また、 関東商組では誓約書を提出した組合員名を公表することで、 組合員一丸となって持ち去り行為の撲滅に取り組んでいることも示していきたいとしている。


バーゼル法・平成27年実績 輸出減も輸入は増加 韓国向け鉛蓄電池は高水準

環境省及び経済産業省では、毎年「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」(以下「バーゼル法」という。)の施行状況について集計を行っているが、このほど平成27年1~12月までの状況を取りまとめ公表した。それによれば、昨年1年間で、バーゼル法に規定する手続を経て実際に我が国から輸出された特定有害廃棄物等の総量は、17万2622トンとなり、前年(18万35トン)比で4・1ポイントの低下となった。一方、我が国に輸入された特定有害廃棄物等の総量は、3万8511トンとなり、前年(2万9904トントン)比で28・8%の増加となっている。
輸出についてみてみると、相手国への通告が行われた件数が前年比6件増の121件43万5303トン(前年・41万2861トン/105・4%)、輸出の承認が同比16件増の97件31万6828トン(対前年14・2%増)と対前年で増加したが、輸出移動書類の交付が行われたものは同比134件減の964件17万2662トンとなっている。主な品目では、韓国向けの鉛スクラップ(鉛蓄電池)が大多数を石炭灰、鉛灰・亜鉛灰、銅残渣・銅ドロスで、金属回収など再生利用を目的とした輸出となった。 一方、輸入に関しては、相手国からの通告が前年対比44件増の183件23万6453トン(前年17万3735トン/136・1%)、輸入が承認されたものが同比42件増の167件19万8507トン(対前年42・1%増)、輸入移動書類の交付されたものが同比386件増の902件2万9904トンとなった。主な輸入品目は、電子部品スクラップ、電気炉ダスト、金属含有スラッジ、電池スクラップ(ニッケルカドミウム、ニッケル水素、リチウムイオン等)となっている。
バーゼル法に基づく特定有害廃棄物等を輸出しようとする場合、経済産業大臣の輸出承認を受ける必要があり、環境大臣が輸出承認に先立ち、環境の汚染を防止するために必要な措置が講じられているかどうかの確認を行っている。また、輸出された特定有害廃棄物等の運搬を行う場合は、輸出移動書類を携帯しなければならない。一方、バーゼル法に基づく輸入を行う場合も経済産業大臣による承認が必要なほか、運搬又は処分を行う際には、輸入移動書類を携帯することが求められる。平成27年のバーゼル法に基づく措置命令等の実施件数はゼロとなっているが、両省ではバーゼル条約に基づく不法取引通報があった案件や、税関から不法輸出入の疑義貨物に係る通報があった案件等については、税関と連携の上、貨物確認や輸出入業者へのヒアリング等を行い、法令に違反していることが判明した場合には法令に基づく処分や行政指導を行う等厳正に対処するとしている。


日資連・関資連青年部総会 今年も被災地支援継続 関資連新部長に濱田氏(千葉)

日資連青年部メンバー

日資連青年部メンバー


日本再生資源事業協同組合連合会(飯田俊夫会長。以下、「日資連」)と関東資源回収組合連合会(吉浦高志会長。以下、「関資連」)の両青年部は4月16日、さいたま市の浦和ロイヤルパインズホテルにて、総会を開催した。開会にあたり挨拶に立った日資連青年部の紺野琢生部長は「業界が置かれている状況は非常に厳しい。そのようななか、自分たちの仕事を守るという動きも青年部としてしっかりやっていかなければならない。任期中にやり残したことはないつもりだったが、そういった思いもあり、もう一期、頑張らさせていただけたらと思う。組織として後に繋がっていくような仕組みをしっかりと築き上げていきたい」と述べた。
今年度、両青年部は2年に一度の改選期にあたり、今総会では紺野部長(東京・三栄サービス)の続投と、関根晃関資連部長(埼玉・協和清掃運輸)から濱田賢一新部長(千葉・クリーンオフィス)への交代が満場一致で承認されている。就任の挨拶に立った関資連の濱田新部長は「紺野日資連部長や関根前部長と比べると力不足は否めないが、千葉の青年部は千和会といって人数は多い。千葉がひとつの起爆剤となって活動を活性化させていければ」と決意表明を述べた。
承認された事業計画をみると、日資連青年部では2011年の東日本大震災以来、昨年の関東豪雨被災地でのがれき撤去作業など、これまで継続的に行ってきた被災地支援を今年度も行う予定だ。先ごろ発生した熊本地震に関しても、すでに日資連親会では、被災した現地組合員に対する義援金の募集(詳細4面)を開始しているが、青年部でも独自に飲料水の寄付を行った。今後も余震や被災の状況を鑑みながら、効果的な支援の方法を探っていく。 この迅速な被災地支援の背景には、これまで青年部が進めてきた全国規模でのネットワーク構築事業がある。前年度は栃木(佐取将明部長)、岐阜(山本勝司部長)、神奈川(布野貴志部長)、群馬(石井一嘉部長)、福井(増田喜一郎部長。カッコ内は開催時点での役職)など、全国各地で10回の意見交流会を開催し部員同士の親睦を深めており、ひとたび災害が起きれば現地の組合員にすぐさま被災状況や支援ニーズを確認し、駆けつけられる体制を整えた。新年度も意見交流会は継続して行い、年6回の開催を予定しているほか、各地区青年部による合同研修会なども実施する見通しだ。