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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2016年4月

アルミリサイクル原料 15年実績は前年比16%の大幅減 背景に異業種参入と需要減

アルミリサイクル原料の扱い量が急速に低下している。ベースとなる海外アルミニウム新地金市況の低迷と自動車向け国内アルミ合金地金需要の減少傾向を反映し、工場発生・市中発生の低下もあって関東等の市場からの発生量は落ち込みを見せてきている。品目別の発生状況を見ても、新切れからビス付、機械鋳物などのスソ物までまんべんなく減少を示しており、市場規模の縮小が一段と進みつつあるのが現状だ。
関東のアルミリサイクル原料問屋で構成される軽金属同友会(川部久雄会長)がまとめた2015年の同友会会員32社のアルミ原料取り扱い数量は14万1056トンで前年比16.2%(2万7480トン)の2桁減となった。2007年時点において20万8160トンあった取扱量は8年連続の20万トン割れを記録し、2015年は2009年の14万4440トンを下回る低水準を記録している。
こうしたアルミリサイクル原料の扱い量減少の背景には、国内自動車生産低下のほかに、リサイクルマーケットでのアルミ専業問屋以外の再資源化事業者による競合といった要因があるとみられる。なお、品目別ではアルミ缶が前年対比5.7%の減少(3万5494トン)にとどまった一方、ビス付サッシが同29.5%減の1万7448トン、機械鋳物が22.9%の減の1万53トンなどとなった。


ガラスびん LCAに新機軸 容器包装リサイクルルートの環境負荷調査で

(公財)日本容器包装リサイクル協会はこのほど、容リ協ルートにおけるガラスびんリサイクルに関する環境負荷に関する調査を行い、集計結果を公表した。これまで、ガラスびんリサイクルの環境負荷に関する調査は、平成17年の「容器包装ライフサイクル・アセスメント係る調査」(政策科学研究所)や日本ガラスびん協会の調査などがあったが、いずれも母数が少なく、全国の年間ガラスびん回収量116万5000トンのうちの38%分の回答を得た今回のような規模での調査は初となり、より実態に即した結果となっている。
報告書によると、容リルートでのガラスびんリサイクルによるCO2の排出量は、天然資源の節約や製造工程の消費エネルギー削減、廃棄物埋め立て量の削減などにより、ヴァージン材を使用するケースより26%少なくなることがわかった。削減効果は1トンあたり247kgになり、これは杉の木およそ18本が1年間に吸収するCО2量と同じとなる。
なお、調査のなかで大きなバラツキが見られた選別・保管施設の電力燃料消費量については、立地条件、施設概要は多様で、機械化が進む大型施設がある一方、ストックヤード的機能しかない施設もあることや、焼却施設や粗大ごみ処理施設など他の施設と同じ敷地にあり、消費電力の管理が一元化されているケースもあることから、容リ協では、「様々なケースがあるなか、回答者が現場の判断で重量按分を含めた適切な按分方法を検討し、適切な回答を得られるように市町村との意見交換を継続して行っていくことが望ましい」と、今後の課題を明らかにした。


産業廃棄物 首都圏残余年数5年に 最終処分件数は10年前の7割

環境省は先ごろ、産業廃棄物処理施設の設置や業許可などの状況について、平成25年度の実績を取りまとめ公表した。 産業廃棄物処理施設の設置は、中間処理施設が138件減の1万8691件、最終処分場が62件減の1880件となった。近年は中間処理、最終処分ともに減少傾向が続くが、10年前の平成15年度実績と比べると、中間処理施設は1225件減で6%ほどの減少にとどまっているが、最終処分場は26%以上の667件減と、大きく数を減らしている。
業許可の状況を見ると、産業廃棄物処理業が、5061件減の20万1875件(うち収集運搬18万475件、処分業1万3400件)、特別管理産業廃棄物処理業が1729件減の2万624件(うち収集運搬1万9782件、処分業842件)となった。行政処分に関しては、報告徴収が5124件、立入検査が18万1292件で、行政処分は、産廃処理業許可取り消しが352件、特管処理業取り消しが18件、施設設置許可取り消しが63件、改善命令が12件、措置命令が22件と前年から軒並み減少しているものの、産廃処理業許可取り消しのみ、59件と大幅に増加している。
このほか、広域的処理認定業者による産業廃棄物の回収量は、3万2887トン増の69万226トン、再生利用認定業者による産業廃棄物の再生利用量は1万3304トン減の12万9318トンとなった。なお、最終処分場の残存容量は1万7181万m3と1090万m3減少したものの、残余年数は分母となる最終処分量が減少しているため、前年から0・8年増加し14・7年となっている。しかし、首都圏に限ると前年から1・1年減少し、5・2年と依然として予断を許さない状況にある。


容器包装リサイクル 廃プラ倍率1・9ポイント下落 28年度入札確定値

(公財)日本容器包装リサイクル協会は先ごろ行われた平成28年度再商品化委託料入札の落札結果の確定値(速報値については既報)と素材別契約再商品化事業者名一覧を公表した。素材別に落札単価(?表記のものが事業者側から見て有償、無表記のものが逆有償。税抜き)を見ると、PETボトルは?2万385円/トンと前年度上期より3028円?。ガラスびんは、その他色が前年から850円?の7988円となるなど、3色ともに上昇し、ガラスびん全体で6026円/トンで、前年度比449円?となった。紙製容器包装は?8706円/トンで、前年度より14円?となっている。
プラスチック製容器包装(白色トレイ含む)は合計で前年度より2423円?の4万6059円/トン。プラスチック製容器包装の契約量のうち、50%を占める材料リサイクル用途は前年度比?4498円の5万652円/トンだった。他方、ケミカルリサイクル用途は、332円?の4万1326円/トンとなった。内訳を詳しく見ると、高炉還元剤化が2637円?の3万8656円、コークス炉化学原料化が1012円?の4万3374円、合成ガス化が431?の3万6757円となっている。
それぞれの素材の入札倍率(札数ベース)を見ると、PETボトルは前年度から0・4ポイント減の8・4倍、ガラスびんは増減なく、1・7倍(無色1・4倍、茶色1・5倍、その他色2・2倍)、紙製容器包装は0・1ポイント減の2・8倍、プラスチック製容器包装は昨年から大幅に減少して1・9ポイント減の7・1倍となった。

市町村指定保管施設からの引取予定(出典:日本容器包装リサイクル協会)

容器包装リサイクル法2落札手法・価格推移



全国産業廃棄物連合会 廃掃法見直しへ要望 優良認定業者への優遇装置など27項目

今年は5年ごとの廃棄物処理法の見直しの時期にあたることから、(公社)全国産業廃棄物連合会(以下、「全産連」)はこのほど、同省に対し27項目の要望を提出した。
全産連では平成26年から、廃棄物処理法の時期改正を想定した議論を行ってきており、今回の要望では、廃棄物処理法のほか、産廃処理業に及ぼす影響が大きい「建築基準法第51条ただし書き」(廃棄物処理施設を設置する際、特定行政庁の審議会の許可が必要とする法律)や「環境配慮契約法」に関しても併せて要望を提出している。
主な要望項目を挙げると、ひとつに「優良産廃処理業者認定制度の優遇措置の拡充」がある。優遇措置の拡充の方向性としては、①再資源化など一定要件下における保管基準の緩和、②優良認定業者間での傭車を可能とするなど、建設工事等での機動的な処理の要請に対応するための再委託禁止の緩和、③許可の有効期限の更なる延長(例えば10年)、④一定要件下の施設更新の際の設置許可の申請手続き(生活環境影響調査等)の軽減、⑤上記の一定要件下の施設の設置について、建築基準法第51条ただし書き許可の適用を不要とするなどの措置、⑥国や自治体などに対する環境配慮契約法に基づく産廃処理委託契約の義務付けなどを挙げた。優良認定制度に関して、業界内では認定取得のメリットが少ないとの声が多く、これまで普及が進んでこなかった。取得者に多くのインセンティブを付与することで、制度の普及拡大を進め、業界の優良化と排出事業者への情報公開を進めるのが狙いだ。
そのほか、欠格要件に関しては、法人役員の「業務とは関係ない法令違反」でも欠格要件となる現状の制度は厳しすぎるとして、当該役員が一定期間内に辞任または解任された場合は欠格要件としないことや、「黒幕」の定義の厳密化などを求めた。 また、廃棄物処理法における「選別」業の行為としての明確化も要望している。現在の許可制度では、「選別は破砕に伴うもの」として、あえて破砕機の設置を指導する都道府県があるなど、「業界における資源循環の事業に支障をきたす事例が見られる」として、「選別」を独立した行為として認めるよう求めた。その際、現在許容されている積替え保管施設における有価物の抜き取りが引き続き行えるよう配慮することも要望している。


行政古着回収に黄信号 不調相次ぎ逆有償結ぶケースも

近年、循環型社会の構築への気運の高まりと、東南アジアを中心とした輸出需要の増加などを背景に、古布・古着回収に乗り出す自治体は爆発的に増加したが、今、その潮流に黄色信号が灯っている。 昨年、インドネシア・フィリピン両国が中古衣類輸入禁止措置を打ち出して以来、込みボロ市況は下降の一途を辿ってきたが、予想されていた以上に行政入札へ深く影を落とした。今年1?3月に行われた新年度の入札結果は全国的にkgあたり2?8円ほどで、前年度と比べると10分の1以下の価格になった自治体も散見される。最低落札価格を設けた入札では不調に終わることも多く、ある自治体では緊急対策として、業者に別途回収費用を支払うという、実質的な逆有償契約を結ぶケースすら出てきた。
発生ピークの5月が目前に迫るなか、特に専門外業者では多くの在庫を抱え、ストックすら出来ないという状況もあり入札を回避する動きも見られるところ。こういった状況が長引くようなら、廃棄物処理計画の改定などのタイミングで「古着回収自体を中止する」という話が出てきてもおかしくはない。
近年の「古着バブル」により、古着の輸出量は通関統計ベースで10年前の約2・5倍となっており、市場の拡大という意味でその功績は大きかったことは事実だ。しかし、各々が目先の利益ばかりを追いかけた結果、古繊維リサイクルのサステナビリティは大きく傷つけられつつある。行政側には安易な競争入札など価格中心の施策からの脱却、事業者側には「右から左へ」では無い、社会性を持った付加価値の創造が今、求められている。


DOWA 低濃度PCB処理能力増強 グループで約5万トンに

DOWAホールディングス㈱の子会社DOWAエコシステム㈱(東京・佐々木憲一社長、 資本金10億円)は、同社の100%子会社であるエコシステム秋田㈱(大館市)が低濃度PCB廃棄物の無害化処理に係わる大臣認定を3月30日付で取得したことを受けて廃電気機器等の処理を開始すると発表した。
既に同系の100%子会社であるエコシステム山陽㈱(岡山県久米郡)が2月23日付で低濃度PCB廃棄物の処理能力に係わる変更許可を取得しており、これらによりグルーブ全体(他にエコシステム小坂㈱・秋田、光和精鉱㈱・福岡)を合わせた低濃度PCB廃棄物処理能力を年間約3万トンから約5万トンに拡大することになる。
PCB(ポリ塩化ビフェニルは、化学的に合成された有機塩素化合物の一つで、無色透明。化学的に安定で耐熱性、絶縁性、非水溶性に優れていたため、変圧器やコンデンサ・安定器等の電気機器用絶縁油、また感熱紙、塗料、印刷インキ溶剤等に幅広く利用された。しかし、生体内にたやすく取り込まれ、しかも脂肪組織での残留性が高く、皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常に発がん性が認められたことから昭和47年に製造・使用中止(輸入禁止)された。
問題は昭和29年から47年までの長期間製造され、多岐に渡る分野での使用で膨大な量のPCBが依然として国内に存在することで、我が国でPCB廃棄物の適正処理促進に関する特別措置法施行後に存在が明らかになった微量のPCBに汚染された廃電気機器については、その量が膨大且つ全量把握がなされていないという状況がある。このため我が国では2027年3月を法定期限とする処理の完了に向けて民間を中心としたPCB廃棄物の処理体制の強化が急がれている。


モリタ環境テック コンテナ積込機を販売 高まる小口輸送ニーズに対応

モリタのコンテナ積み機・アキュローダー

モリタのアキュローダ


消防車両や防災、産業機械、環境関連など幅広く社会に貢献する事業を展開する株式会社モリタホールディングスではこのほど、連結子会社で金属スクラップ等の処理機会の製造・販売を行う株式会社モリタ環境テック(本社:千葉県船橋市、鹿野剛社長)が米国のX Body Equipment社と販売提携契約を締結し、金属スクラップをスピーディに積載し、かつ小ロットでの輸送に対応する水平積込型コンテナローダー「ACCULOADER(アキュローダ)」の販売を開始したと発表した。
同社が展開する「アキュローダ」は、金属スクラップ等のばら積原料をコンテナへ積載する水平積込型コンテナローダーで、投入ボックスにスクラップを積載してコンテナに積み込むため、従来のフォークリフトなどによる積み込みに比べ、コンテナを損傷することなく、短時間で効率よくスクラップを積載することが可能だ。また、ロードセルシステムを採用しているため、積載中に正確な質量を確認することも出来る。ライナ材に耐摩耗鋼を採用したことで強靭、強固な構造を実現、抜群の耐久性を誇ることも特徴の1つだ。
「アキュローダ―」の本体寸法は横2420㎜、長さ15000㎜、高さ3730㎜、投入ボックス寸法は横1960㎜、長さ10010㎜、高さ1880㎜、動力は37kW。販売価格は5000万円(税別)となっている。問い合わせはモリタ環境テック(電話:東日本営業部047―457―8131、西日本営業部06―6756―0122)まで。


容器包装R法 プラ実施の市町村61減 26年度分別・再商品化実績

環境省は先ごろ、容器包装リサイクル法に基づく市町村における分別収集と再商品化の平成26年度実績を取りまとめ公表した。分別収集量は、対前年度比で、その他の色のガラス製容器が1ポイント増、プラスチック製容器包装が前年同、無色のガラス製容器が2ポイント減、アルミ製容器が2ポイント減、ペットボトルが3ポイント減、茶色のガラス製容器が4ポイント減、段ボール製容器が4ポイント減、飲料用紙製容器が5ポイント減、スチール製容器が8ポイント減、紙製容器包装が9ポイント減となり、その他色ガラス製容器とプラスチック製容器包装以外、軒並み減少した。
全市町村に対する分別収集実施市町村の割合は、ガラス製容器、ペットボトル、スチール製容器、アルミ製容器の4品目が前年度に引き続き9割を超えた一方、プラスチック製容器包装(白色トレイ除く)は前年度から61市町村減少し、61・5%となった。プラスチック製容器包装の分別収集に関しては、そもそも4割近くの市町村が実施していないことに加え、近年、分別などの自治体負担が大きいことや、焼却施設の更新に伴うごみ発電の導入などを理由に、分別収集を取りやめる自治体も増加している。この4月からも和歌山市や四日市市などでサーマルリサイクルへの転換が図られている。
これらの問題について、先ごろ閉会した容リ制度の見直し議論では、市町村とリサイクル事業者の二重選別の一体化の検討、入札制度の見直しを通じた合理化拠出金の活性化、ベールへの指定ごみ袋の混入許容化の検討などの施策を打ち出している。しかし、全国市長会などが要求していた特定事業者への負担割合の増加については、特定事業者側の強い反対があり、報告書では両論併記の記述に留まった。各自治体ではごみ焼却場の更新が続々と控えており、今後もサーマルリサイクル化の流れは進むと見られる。

ほか、再商品化実績に関しては、その他色のガラス製容器が対前年度比で2%増となったことなどが目立つ。PETボトルについては、販売量(指定ペットボトル販売量)は25年度が57万9000トン、26年度が56万9000トンとなっており、販売量に対する市町村分別収集量の比率(市町村回収率)は、25年度が52・1%、26年度が51・4%と前年度と比べ0・7ポイント減少した。

26年度の容器包装リサイクル法に基づく市町村分別・再商品化実績

容器包装リサイクル法26年度市町村分別再商品化実績



古紙再生促進センター 需給バランス確保が課題 28年度事業計画を発表

(公財)古紙再生促進センターは先ごろ通常理事会を行い、平成28年度の事業計画と収支予算などを決定した。
近年の新聞用紙や印刷用紙の消費減退に伴い、良質な古紙の確保が徐々に難しくなりつつある一方、発展途上国において先進国産の古紙需要は根強いことから、日本の需給バランスの確保が「大きな課題」として、引き続き以下3つの方針のもと活動する。①禁忌品混入防止・対策などによる古紙品質の安定、②教育分野や地域での活動を強化し、紙リサイクルへの意識を高める、③国内における古紙の分別・排出状況、及び海外での古紙利用・流通に関する調査などを実施し、必要な情報収集と分析を行う。なお、商社や問屋、製紙会社などで構成され、今年度から本格的に活動を開始した輸出委員会は現在、35社が参加しており、新年度も輸出事業の安定化、品質基準などの議論を進めていく。新年度の主な事業は以下の通り。
1.古紙品質安定事業
 製紙メーカーの協力のもと組成調査を実施する古紙品質調査事業、古紙品質情報ネットワークの運用、消化転写紙など禁忌品対策を行う。
2.広報宣伝事業
 分別と禁忌品除去の徹底、古紙利用製品の普及拡大などに関する啓発を実施。国内外における業界最新動向や活動内容などの情報提供も行う。なお、紙リサイクル経験者制度は、新年度限りでの廃止を検討する。今後、全国製紙原料商工組合連合会のリサイクルアドバイザーを活用する見通し。
3.調査研究事業
 古紙の回収や利用の促進及び古紙利用率の目標達成、安定的な輸出に資するため、①古紙の回収利用促進、②欧米及び中国、他の東南アジアの紙リサイクル状況や輸出の現状把握、③新規用途実態調査、④リサイクル対応型印刷資材の開発とそれらを使用した印刷物の普及拡大などの調査研究事業を実施する。
4.債務保証事業
 これまで、古紙供給業界の設備近代化のための資金調達に対し債務の保証を行ってきたが、平成18年度以降実績がないため、制度の改廃を含む見直しを行う。
5.古紙余剰緊急対策
 紙リサイクルシステムを維持するため、状況の変化に応じた対応が必要と判断される場合には、検討の上緊急対策を行う。また、今夏頃から「輸出できる時代」に即した対策事業の在り方を、学識経験者なども交え検討する見通し。
6.その他の事業
 全国8地区における委員会組織及び地区活動の活性化を図る。


製紙連合会 2020年度までに利用率65%に ポスト64計画で新目標設定

日本製紙連合会(進藤清貴会長、以下「製紙連合会」)ではこのほど、環境行動計画における現行の古紙利用率目標「2015年度までに古紙利用率 64%の目標達成に努める」の目標期間が、2015年度末に終了することから、新たな目標を 「2020年度までに古紙利用率 65%の目標達成に努める」と改定することを決定した。製紙連合会では、製紙業界の対応として、1991年度以降5次にわたって古紙利用率の自主的な目標を策定し、その達成に努めてきたが、このほど第5次目標期間の満了を迎えることから昨年 1 月以降、古紙技術委員会及び古紙利用促進検討小委員会において今後の目標について検討を続けてきた。
現行の古紙利用率 64%の目標は2013年度に 63・8%、2014年度は 64・0%と 1 年前倒しで達成しており、2015暦年(1~12 月)では 64・3%と目標を超えている。行政回収の進展等により古紙回収率が引き続き向上したこと(2010年度 78・3%→2015暦年81・3%)、また、紙分野の古紙利用率(2010年度 40・2%→2015暦年40・2%)及び 板紙分野における古紙利用率(2010年度 92・8%→2015暦年93・5%) がほとんど変わっていないものの、古紙利用率の高い板紙の生産比率が高まったことなどが目標を達成できた主な要因と考えられている。
わが国の古紙利用技術も世界最高水準にあり、今後これまで以上の革新的かつ飛躍的な展開を見込むことはできない状況にあり、わが国の古紙リサイクルシステムは社会的・経済的にほぼ成熟しており、当初の目標策定の意義は概ね適えられたと考えられるが、①製紙原料の安定的供給の確保、②省エネ、地球温暖化防止への貢献、③資源の有効利用、ゴミ減量化による循環型社会の形成、④消費者、行政、回収業者と一体となった健全な紙のリサイクルシステムの維持など社会的な意義は依然として重要であること、また、我が国の製紙産業の国際競争力維持という重要な役割のため、古紙利用率目標を明示する意義はあるとの判断に基づき、もう一度新たな利用率目標を策定することとした。
新しい利用率目標策定にあたっては、計画期間を 5年間の2020年度とし、利用率目標については、技術的に配合可能な理論的限界値の範囲内で、紙・板紙の生産・需要量、古紙の回収量、 古紙の輸出量等の動向を踏まえつつ、中国を始めとするアジア諸国の製紙産業 の成長に伴い一層グローバル化した古紙の需給環境や古紙利用が環境に与える影響等も考慮し、前回の 64%より 1 ポイント高い65%としている。


容器包装リサイクル法  見直し審議閉会 個別論点については継続議論

容器包装R見直し審議

容器包装Rの見直し審議


中環審容器包装3R推進に関する小委員会と産業構造審議会容器包装リサイクルワーキンググループの合同会合により、2013年9月から2年半にわたり進められてきた容器包装リサイクル制度の見直し審議がさきごろ、閉会した。関係者間の共通認識に大きなズレがあり、調整のため1年以上中断した今回の見直し審議だったが、議論は最終局面でももつれ、パブリックコメントに向けた報告書の取りまとめは永田勝也氏(早稲田大学教授)と郡嶌孝氏(同志社大学教授)の両座長に一任されることとなった。
いくつかある論点の中で、プラスチック製容器包装についての入札制度に関しては、総合評価制度にISOなど第三者認証制度を取り入れる等の評価項目の拡張・深化、優先A枠の撤廃など大幅なテコ入れが図られた。また、材料リサイクル事業者の登録要件の見直しを行うとともに、希望する材料リサイクル事業者は優先枠を放棄し一般枠での入札を選択できるようになる。今後、これらの方策が実施されることになれば、高度な設備や技術の有無による格差拡大も予想される。他方、リサイクル手法にRPF化を含めるか否かについては、ケミカルリサイクルと同様の効果があるという科学的根拠が弱いことや、市町村がコストをかけて収集したものを燃料として利用することは市町村における説明がつかないこと等から、「引き続き緊急避難的な扱いを継続すべき」としている。PETボトルに関しては、国内循環の原則が示されたとともに、「独自処理」を行う市町村に対して実態調査などを行う方針や再生利用指定制度を活用した店頭回収の拡大を図る方針も示している。
また、前回の改正も含め、これまで具体的な議論が少なく「容リ法は3Rではなく2R」と揶揄されてきたリユース分野に関しては、各地域で取り組まれてきたびんリユースシステム構築モデル事業が進展したことなどから、より具体的な施策の方向性が打ち出されている。目立つところでは、「製造、流通、消費、回収、洗びんの各段階における利便性を高めるための工夫(リユースびんの規格統一化、回収インフラの整備)」の促進が検討される。規格統一化に関しては、これまで業界内で様々な取組が行われてきた。しかし、いずれの取組も大きな成果には至っておらず、今回、報告書に記載されたことにより、業界内では期待感が高まっている。また、インフラ整備という点で、今後設けられる具体的な施策の検討の場では、洗びん施設の整備が主要な論点となると予想されている。他方、びん商主力商品である1・8Lびんの流通システムは、散逸や段ボール出荷の増加による慢性的なP箱不足など、多くの課題を抱えている。なお、今回の審議が関係者間の調整で中断し、駆け足での取りまとめになったことなどから、今後も継続して個別論点について審議を行い、適時適切な見直しを行っていくとした。制度全体の検討については、従来通り5年後を目途に行っていく見通し。