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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2016年3月

三菱マテリアル 廃家電からレアアース回収 効率的なリサイクル技術を開発

三菱マテリアルはこのほど、使用済み廃家電由来のモーターからレアアース磁石を回収し、レアアースを精製する効率的な技術を開発したと発表した。乾式処理と湿式処理を組み合わせたプロセスにより、廃家電から回収されモーター内のローター(回転子)から効率的なレアアースの回収精製を可能とした。将来的な大幅増が見込まれるレアアース磁石のリサイクル需要に対応するため、今後はパイロットプラントによる実証を進め、将来的な事業化を図る方針。
同社では、グループが家電リサイクル法に基づき、全国に展開する5社6工場において、現在230万台(14年度実績、シェア約20%)の使用済み家電を処理、鉄、銅、アルミ等の回収リサイクルを実施している。モーターからのレアアース磁石の回収に関して、今回の開発された新技術では、従来必要となってきた消磁作業が不要となったことが大きな特徴だ。
また、大気中でも酸化することなく、レアアースと鉄を分離可能で、更にレアアース含有スラグは水に溶けやすい特性を有することから、湿式工程においてレアアースを濃縮して回収することも実現している。同社では、今後グループ全体で10年後の処理総量として年間数十トンを想定している。


JWセンター 金属スクラップ等に可能性 産廃処理業の海外展開へ調査

JWセンターのセミナー

JWセンターの海外展開セミナー


(公財)日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)は14日、産業廃棄物の海外展開促進セミナーを開催した。同センターでは、環境省から「平成27年度産業廃棄物処理業の海外展開促進策の基礎的検討調査業務」を受託しており、今回のセミナーはその一環として成果の一部を提供するもの。冒頭、挨拶に立った環境省産業廃棄物課の水谷好洋課長補佐は「国内の産廃の回収量は横ばい、産業構造の状況を見ても今後発生量が増えることは見込めない。そういったなか、付加価値を高めていくということも大切だが、新たなマーケットも探さないといけない。事業者の方のなかには海外展開に意欲的な方も多いが、『情報が足りない』、『中小なので1社だけではできない』といった事情もある。環境省としてはこういった事業を通じて、事業者の方々に必要な情報を提供していきたい」と述べた。
今回の調査の対象となった国は、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、カンボジア、ミャンマーの東南アジア7か国。セミナーでは、これらの国の廃棄物規制制度やその運用状況、業界の状況や取引慣行などを紹介した。調査の結果、これらの国では、現地業者との競合が少ない分野では、海外展開のポテンシャルは十分にあるとして、具体的には、純度の高い金属、E‐wast、付加価値が高い、または再生回収が難しい廃油などの分野を挙げている。
また、東南アジア諸国では今後、金属スクラップの発生量が拡大することが見込まれており、先行的に金属スクラップビジネスを開始することも一つの選択肢としてあるとした。そのほか、実際に海外展開をしている日本企業(処理側、排出側)からのヒアリングや、各種政策支援についても調査している。近く詳細な報告書がまとめられ、公開される予定。 なお、セミナーでは、調査報告のほか、既に海外展開を進めているDOWAエコシステムから海外事業部の江藤宏樹副部長、海外展開する企業のコンサルティングを手掛ける日本環境コンサルタントの倉澤壮児代表取締役が招かれ、講演も行われている。


神戸市 酒販組合と協定締結 会議などにリユースびん導入

利用促進に関する協定

リユースびん利用促進へ協定


神戸市環境局は3月11日、酒販店でつくる芦屋東灘酒販協同組合と「神戸市におけるリターナブルびん入り飲料の利用促進に関する協定」を締結した。この締結により同市では、来年度から市民らが参加する庁内会議で出されるお茶や水などをリターナブルびん入り飲料に切り替え、市内におけるリターナブルびん入り飲料の利用促進と廃棄物の発生抑制につなげる。飲料は同組合を通じて購入し、空きびんの回収も商品納入時に行う。
これはNPO団体WorldSeedが環境省「平成27年度びんリユースシステム構築に向けた実証事業」の一環として行ったもので、1月には神戸市職員向けにリターナブルびん推進意義の理解を深めるためのセミナーも開催した。これまでWorldSeedが行ってきた奈良県生駒市や奈良市でのリユースびん導入事業では、同団体が開発した緑茶飲料「ToWA」を使用していたが、今回の取組では大手ボトラーの商品を使用する。また、地域の酒販組合が商品納入・回収する仕組みにしたことで、地域経済への貢献という副次的な効果も見込める。同団体副代表の中島光氏は「今回の事業は長年取り組んできたリユースびん普及事業の集大成。大手ボトラーの商品を使い、地域の酒販組合さんが流通を担うこのモデルは他地域への応用が十分に可能だ」と今後の広がりを期待する。
神戸市でもこの取組を通じてびんの活用促進に向けた内外への広報活動も積極的に展開していくとしており、環境局担当者は「行政が積極的にリユースびんを使うことで、市民生活の中にリユースびんが広がっていけば」と語った。


スチール缶リサイクル協会 多様な回収方式共有 自治体関係者参加のセミナー

容器包装の多様な回収セミナー

多様な回収セミナー


スチール缶リサイクル協会ではこのほど、名古屋市のABC会議室にて全国の地方自治体の環境廃棄物行政担当者などを招き、「容器包装の多様な回収セミナー 今注目の大規模拠点回収方式 ~東海地域先進的取組から学ぶ~」を開催した。
セミナーの冒頭、スチール缶リサイクル協会の中田専務理事は「容器包装リサイクル法の見直し審議が進んでいるが、そのなかで多様な回収の促進が方針として示されている。これを踏まえ、当協会ではこれまで集団回収や資源買取方式、拠点回収や店頭回収に関する調査を行ってきたが、コスト低減だけでなく、排出機会の増加、分別排出の高度化に繋がっていることが判明しており、こうした事例の情報共k有を図るべく取り組ませていただいている。特に中部地域は先進的な取り組み事例が見られ、今後の資源回収のあり方や市民と行政、民間の連携をどう進めるか、活発な議論をお願いしたい」と挨拶。
次いで、ダイナックス都市環境研究所の山本耕平氏が容器包装リサイクル法合同審議会の動向について、コストの低減や消費者、自治体、特定事業者、再商品化事業者によるコンソーシアムの構築等を通じた3R推進などの方向性を解説。また、スチール缶リサイクル協会の細田佳嗣氏が多様な回収ルートの調査報告として、地域の実情に合わせた市民と自治体、業者による協働型集団回収等のほか、店頭回収や拠点回収の事例紹介が行われている。
日進市のエコドーム

日進市のエコドーム


セミナーはこの後、行政、NPO、民間における先進的な取り組みとして、日進市市民生活部環境課ごみ減量推進係の伊藤俊輔氏による「日進市エコドーム」、中部リサイクル運動市民の会代表理事・永田秀和氏による「Re☆倉庫」、資源買取センター・しげんカフェ店長の浅井直樹氏による活動が紹介され、休憩をはさんだパネルディスカッションでは、全国自治体の担当者との間で活発な議論が行われた。 特に廃棄物行政における資源物の取り扱いにおいて、現行の法制度が民間における資源循環の枷となっている点が取り上げられたほか、地域コミュニティ構築や環境教育としての多様な回収方式の役割について意見交換が行われ、今後、少子高齢化が進展するなかで、社会コストの削減と地域活性化に繋がる回収方式のあり方を、地域ごとの実情に即しながら考える必要性も指摘された。


廃棄物越境移動等適正化 最終報告書取りまとめへ 雑品・廃バッテリー管理強化など

環境省は3月9日、廃棄物等の越境移動等の適正化に関する検討会を開催し、中環審に来年度中に提出する報告書案を示した。最終開催となった今回の議論をもとに、事務局で最終報告書を取りまとめる。 前回の骨子案段階での議論では、有害性等級の品目リストの整備や、OECDの混合廃棄物基準(混合廃棄物にリスト上の廃棄物が一つでも含まれていると、全体にその廃棄物の等級に応じた規制がかかる)の適応など、今後の施策の軸となり得る方向性は示された。しかし、全体的な内容については、「現在、不適正な状態で放置され、長年にわたり国益が損なわれている状態。今回の見直しの重要さから言えば不十分」など、委員からは厳しい意見が相次ぎ、今回示された報告者案は大幅に改訂補筆が加えられている。
新たに示された報告書案では、現在の廃棄物処理法とバーゼル法、両法による廃棄物等の輸出入制度には「すきま」が存在するとしている。例えば、廃バッテリーや廃基盤などは通常有価で取引されるため、総合判断説で廃棄物認定を行う廃棄物処理法では規制対象外。しかし、有害性を持つか否かが判断材料となるバーゼル法上では「特定有害廃棄物」として規制対象となる。こういった規制の「すきま」が、雑品スクラップによる国内外での環境汚染、廃バッテリーなど国内処理されるべき廃棄物の海外流出(=国内のリサイクル施設の維持の困難化)等の要因となっているとして、この「すきま」をいかに埋めるかをポイントとした。また、その際、廃棄物が持つ潜在汚染性の顕在化を防止しつつ、潜在資源性を最大化するべきとの考え方も示している。
施策の方向性のひとつとしては、前述の有害性等級の品目リストの整備やOECD混合廃棄物基準の適応がこれにあたる。例えば、使用済家電等を廃棄物とみなし、それを含む物(=雑品スクラップなど)も廃棄物として扱うことで、国内での管理を適正化する。この品目リストの整備を廃棄物処理法上で行うか、バーゼル法上で行うかは、廃棄物の定義など、廃棄物処理法の根幹に関わる部分であるため、中央環境審議会の判断に委ねられることとなる。仮に、バーゼル法上で行う場合でも、従来のバーゼル法はあくまで「バーゼル条約の担保法」という性格だったが、国内の規制までをも範疇とする今回の報告で、その法的位置付けは大幅に変更されることになる。ほか、輸出に関しては、有害物の国内処理の原則化、シップバックに係る措置命令などの迅速化などについても記載されている。
また、輸入に関して、電子部品スクラップなど、潜在汚染性が低い特定有害廃棄物については、輸入手続きを簡素化するべきことなどを報告。そのほか、現在、行政サービスの一環として環境省などが行っている「事前相談制度」の改善や、試験研究目的での輸出入手続きの整備などが報告される。


今年は陶磁器リサイクルがテーマ TAMAとことん討論会が開催

TAMAとことん討論会

TAMAとことん討論会


NPO法人東京・多摩リサイクル市民連邦と(公財)東京市町村自治調査会は3月6日、多摩ニュータウン環境組合リサイクルセンターにて、TAMAとことん討論会を開催した。このイベントは東京都多摩地域を中心としたごみ問題全般について、産・官・学・民それぞれのステークホルダーが一堂に会し、「とことん」議論を深めるという主旨で毎年行われているもの。
第23回となる今回のテーマは「陶磁器食器と3R~食卓から考える『もったいない』~」。基調講演には元岐阜県セラミックス研究所主任専門研究員の長谷川善一氏が登壇し、陶磁器リサイクルの概要や現状を紹介。その後、国分寺市環境部ごみ減量推進課ごみ減量推進担当の山田周係長や小金井市消費者団体連絡協議会の柏原君枝氏が登壇し、それぞれの自治体や団体での取組を報告した。また、課題提起として登壇した主催NPO事務局長で食器リサイクル全国ネットワーク代表の江尻京子氏からは「陶磁器製食器の3Rと市民活動の輪」と題し、これまでの自身の取組や、今回、多摩地域の全市町村を対象に実施した陶磁器リサイクルに関するアンケートの結果などを紹介した。
ダイナックス都市環境研究所代表取締役所長の山本耕平氏がコーディネーター役を務めたディスカッションパートでは、前述の登壇者のほか、民間事業者代表として東多摩再資源化事業協同組合の紺野琢生氏も登壇。一般参加していた廃棄物処理業者から、陶磁器リサイクルの民間事業としての可能性について質問が挙がると、議論は白熱。これまで、陶磁器リサイクルは市民団体や行政が主導していたため、ノウハウは無いものの、各種許認可を既に持っている事業者であれば参入障壁は低いのでは、といった意見が挙がり、民間参入に可能性を感じさせる議論となった。


鉄リサイクリング・リサーチ 先行する中国ビレット インド等有望、コンテナ化も

国内外の鉄スクラップに関する調査・研究を行っている株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長はこのほど、調査レポート33号「日本の輸出先を先行する中国ビレット」を発表した。
林氏は前回発表したレポートで、中国産ビレットの2015年の輸出量が2610万トンとの推計を行ったが、今回のレポートでは国(地域)別の輸出量の推計がなされ、それによると最大輸出地域は韓国など東アジアを加えたアジアが67%となり、日本がこのところスクラップの販売を拡大しているASEAN6カ国向けは、中国産ビレット全輸出量の4割にも達しているとの報告が行われている。
同レポートによれば、既に中国産ビレットは2015年でフィリピン280万トンをはじめ、インドネシア270万トン、韓国230万トン、トルコ170万トン、ベトナム150万トン、タイ136万トン、バングラデシュ120万トンなど、アジア市場を席巻した様子が伺え、トルコやインドネシア、ベトナム、バングラデシュは前年で100万トン以上も増加を見せている。これに対し、2015年の日本のスクラップ輸出は電炉粗鋼生産減のなかで韓国向けが311万トンと前年比70万トン減少。他方、同じく電炉粗鋼減となった台湾向けは92万3000トンと対前年32万トン増、粗鋼生産の伸び悩んだベトナム向けも158万トンと対前年で倍増させており、日本産スクラップは「善戦」を見せた。ただ、今後も安価な中国産ビレット輸出が続けば、これらの国のスクラップ輸入量は減少し、更に価格も1万1000円台にまで低下していく恐れがあるとした。
日本のスクラップの遠隔地への販売が求められるなかで、林氏は中国産ビレット動向を踏まえれば、既に東南アジア向けやバングラデシュはスクラップ輸入の余地は少ないとし、粗鋼規模が大きくビレット輸入量が少ないインド、パキスタンが狙い目との見解を示した。また、主力商品であるH2の遠隔地販売には、大型船の場合は量確保に当たり品質の劣化懸念があること、需要国での港湾規制、陸揚げ後の道路事情等を踏まえ、H2を短尺化し、コンテナでの小口配送も視野に入れるべきとの考えを示している。
なお、同レポートは鉄リサイクリング・リサーチHP(http://srr.air-nifty.com)から閲覧可能だ。





古紙再生促進センター 上位は軒並み数量減 2015年製紙メーカー別古紙消費

(公財) 古紙再生促進センターではさきごろ、 2015暦年の製紙メーカー別の古紙消費実績をまとめた。それによれば、 製紙メーカー全体の古紙消費量は、 前年比10万8387トン、率にして0・6%減少の1698万3077トンとなった。詳しく見ると、2013、2014年と2年連続で古紙消費量が1位であった日本製紙が2015年は2位に後退、1位は王子マテリアとなった。もっとも、両社とも古紙消費量は前年より減少しており(日本製紙=前年比3・4%減、王子マテリア=同比1・3%減)、上位5社では3位のレンゴー(前年比0・8%増)以外はいずれも前年比で数量を減らしている。
品目別では、段ボールが上位10社のうち、1位の王子マテリア (前年比0・9%減)、3位の日本製紙(同比5・1%減)、9位の福山製紙(同比3・0%減)以外のメーカーが前年比増となったが、雑誌では3位の北越紀州製紙(前年比1・6%増)、4位の興亜工業(同比2・6%増)、6位のいわき大王製紙(同比29・2%増)、7位の大津板紙(同比0・7%増)が前年比増となるにとどまった。 新聞では上位10社ではいずれもが前年割れとなっている。
また、新聞消費量の1位から10位までの順位は2014年と変わりなかったが、雑誌については興亜工業と大王製紙の順位が入れ替わり、いわき大王製紙(2014年7位)と大津板紙(同9位)が順位を上げ、レンゴー(同6位)が順位を9位に落とした。段ボールについては、いわき大王製紙(2014年8位)と丸三製紙(同9位)が順位を上げ、福山製紙(同7位)が順位を落としている。
我が国の古紙消費は2007年の1931万トンをピークにリーマンショック後の2009年には1679万トン、東日本大震災の翌年の2012年には1677万トンにまで落ち込んでいる。2014年は1709万トンとかろうじて1700万トン台に乗ったが、昨年は1698万トンと再び1700万トン台割れとなった。
製紙メーカーの2015年古紙消費量
製紙メーカーの古紙消費ランキング2015年



平成26年度一般廃棄物排出・処理状況 ごみ発電原発2基分に 最終処分の広域化も

環境省は、一般廃棄物の排出や処理状況について実態把握のため毎年調査を実施しているが、このほど、平成26年度の調査結果を取りまとめ公表した。 調査によると、ごみ総排出量は4432万トンとなり、前年度の4487万トンから1・2%減少した。1人1日当たりのごみ排出量も947グラムと、1・1%減少している。処理の状況としては、最終処分量は430万トンで5・3%減、減量処理率は98・7%で0・1ポイント上昇、直接埋立率は1・2%で0・2ポイント減となっており、各自治体でのごみ減量政策が順調に進捗していることを示す数値となっている。なお、リサイクル率は20・6%と横ばいとなった。
ごみ焼却施設の状況としては、施設数は1162施設と0・9%減少したものの、1施設あたりの処理能力は158トン/日と前年度から2トン増加した。また、余熱利用を行う施設数は764と14施設減少したものの、発電設備を有する施設数は338で10施設増加し、設備更新が進んでいる状況が読み取れる。なお、これらの施設の総発電能力は190万7000kWとなり、おおよそ原子力発電所2基分に相当する。
最終処分場の残余容量は1億582万立方メートルで前年度から1・5%減少、残余年数は20・1年と前年度から0・8年微増しているものの、最終処分場の数は平成8年度以降、概ね減少傾向にあり、環境省では最終処分場の確保は引き続き厳しい状況としている。また、この調査では廃棄物の移動状況も調査しているが、関東ブロック、中部ブロック等では、最終処分場の確保が十分にできず、域外に廃棄物が移動し、最終処分が広域化している実態も明らかとなった。 廃棄物処理事業経費の状況としては、ごみ処理事業経費は1兆9431億円と前年度から921億円増加した。内訳は、建設改良費3121億円 (前年度2575億円)、処理・維持管理費1兆5124億円(前年度1兆4738億円)となっている。


関東鉄源協同組合 過去最大の1万5000トン船積み 確かな品質を遠隔地へ安定供給

関東鉄源協同組合の1万5000トンの船積み

1万5000トン船積み


関東地区の有力鉄スクラップヤードディーラーで構成される関東鉄源協同組合(山下雄平理事長)ではこのほど、共同輸出では過去最大となる1万5000トンの船積みに着手した。船積み地はお台場13号地で荷役作業はアサガミが実施。向け先はベトナムで先月26日からスタートし、今月8日までの日程で積み込みを完了する予定だ。同組合の共同輸出船積みはこれまで1万トンクラスが最大となっていたが、韓国や中国、台湾等が主体となってきた日本からの鉄スクラップ輸出は、近年、東南アジアや更に西側のバングラデシュ、インドまでに拡がりを見せるなど遠隔地化。これに伴いフレート(海上運賃)を抑えて採算を確保するための輸出船の大型化も進展しており、今回の組合による共同輸出もこうした流れを受けてのもの。
今回の1万5000トンの船積みは、同一商社が落札した1万トンと5000トンの2件の既契約分をまとめて出荷するものとなるが、同組合が2月に実施した輸出入札では1契約で1万5000トンが落札されており、今回の船に続いて3月後半にも再度1万5000トンの船積みが行われる予定となっている。
同組合の販売先は平成25年までは韓国が最大の売り先となっていたが、26年以降はベトナム向けが急増、27年では25万3000トンの販売数量のうち18万1000トン(約71・5%)がベトナム向けとなっている。これまで需要国であった韓国や中国の将来的な鉄スクラップ輸出国化が見込まれるなかで、日本のスクラップはベトナムをはじめとする東南アジア各国のみならず、更に遠方の南・西アジアへの販売拡大の必要性も指摘されているが、大型化等への対応と欧米及び今後輸出国となる東アジアの国々との国際競争を見据えれば、80社による安定的な数量供給と放射能を含めた厳格な品質管理に基づく輸出を実施する同組合の果たす役割は今後より一層大きなものとなっていきそうだ。


横浜市資源リサイクル事業協同組合 ビジョンのブラッシュアップへ勉強会開催

東京都リサイクル事業協会のフォーラム

横浜市資源R協組の勉強会


横浜市資源リサイクル事業協同組合(髙田哲二理事長)では、先ごろの理事会開催に先立ち「和製静脈メジャー」に関する勉強会を開催した。勉強会の講師は資源新報社・大橋が務め、「国策として進む静脈メジャー構想の向かう先」という演題で講演を行った。
勉強会では、日本の将来的な人口の減少や地方自治体等の財政ひっ迫などを受け、従来の社会インフラの維持・管理が難しくなりつつある社会情勢に関して解説が行われるとともに、欧米ではこうした社会インフラを担う巨大な民間企業が存在し、既に日本の水道事業等にも参入している状況があること、日本の大手企業と欧米企業の規模や事業内容に関しての比較や説明が行われた。
そのなかで、廃棄物処理やリサイクルに関しても、小型家電リサイクル法などにより、これまで自治体の管轄してきた一般廃棄物分野の民間企業への開放といった規制緩和が拡大しつつあり、国際的な静脈物流の適正化や低炭素化などを踏まえた高度な処理技術を有する静脈産業の育成が国策としても進められつつある実態が報告されている。
これまでの廃棄物処理・リサイクルに関しては、域内処理を重視した政策が取られてきた。しかしながら今後は、自治体の廃棄物処理分野の民間委託、適切な処理技術を有する企業等への広域処理を認めていく流れが加速することも予想される。こうしたなかで地域に根差す企業組合として何を目指すべきか、横浜市資源リサイクル事業協同組合では引き続き検討を重ねていく方針だ。


環境省 電子マニフェストに新システム導入 横流し事件を受け再発防止策議論

環境省は2月24日、中環審循環型社会部会を開催し、先ごろ発生した廃棄カツ横流しに端を発する一連の不適正転売事件を受けて、今後の再発防止策について議論した。 同省では、今般の事件について経緯を整理し、再発防止策案をまとめている。食品リサイクル法に関して、ダイコー(株)が登録再生利用事業者だったにも関わらず、未然に防げなかったことを踏まえ、登録再生事業者への国による指導監督を強化する方向で検討を進める。具体的な対策としては、動植物性残さを取り扱う産業廃棄物処理業者に対しての一定頻度の抜き打ち検査など、監視強化の取組を都道府県に求めていく。更に、都道府県向けに、食品廃棄物の不正転売に係る立入検査マニュアルの策定を進める。自治体での行政指導の状況を定期的に照会し、食リ法登録再生利用申請の審査時、当該自治体での行政指導の状況を参照するなど、国と地方公共団体の連携も併せて強化していく。
また、マニフェストの虚偽報告が行われていたことや、廃棄物処理場への年1回の立ち入り確認等を行っていた排出事業者もいたにも関わらず本事案が発生したことから、電子マニフェストの機能も強化する方針だ。システムによる廃棄物処理フローの管理を行い、委託量と処分量が一致しないなど、記載内容に不自然な点があった場合に、情報処理センターにおいて不正を検知できる情報処理システムの導入等を検討する。
処理業者へ向けた再発防止策としては、排出事業者による現地確認の積極的受入れとその際に参考となるチェックリストの整備に加え、処理量等の処理状況に関する情報のインターネットを通じた積極的な情報公開を求めていく。また、優良産業廃棄物事業者認定の取得の推進のほか、優良な食品リサイクル業者育成・評価のための自主基準の策定や評価制度の構築なども進める。 他方、排出事業者へ向けた再発防止策としては、食品ロスの削減を要請するとともに、やむを得ず食品を廃棄する場合には、そのまま商品として使えないようにするなどの適切な措置を講じるよう要請していく。また、今後、排出時、廃棄物引渡し時、処理委託後等の各段階における関係事業者に対して実態調査を実施し、ガイドラインを策定していくなどとしている。