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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2016年2月

直富商事 地域貢献事業を深堀り 故人の想い繋ぐ「遺品整理」展開

長野県内にて鉄・非鉄などの金属リサイクルを中心に古紙、廃プラスチックなど各種再生資源、更には廃棄物処理、中国貿易など幅広い事業を手掛ける総合静脈企業・直富商事株式会社(本社・長野県長野市、木下繁夫社長)ではこのほど、地域貢献の一環として「遺品整理士」および「遺品鑑定士」の資格を取得したと発表した。取得したのは同社環境部社員2名。
近年「遺品整理」の需要は急増しつつあるが、それに伴い違法業者によるトラブルも増加しているのが現状だ。こうしたなかで、同社ではこれまで一般家庭における不用品等の処分を手掛けてきたが、地域への貢献を更に深めるべく今回「遺品整理士」と「遺品鑑定士」の資格を取得したもの。遺品には亡くなられた故人の想いが込められており、その想いを遺族に繋げるとともに、正しく専門的な知識に基づく遺品整理を地域で展開していく。同社の遺品整理に関する問い合わせは環境部(026―222―1884)へ。
また、直富商事では長野市において一般家庭における家屋解体ほか引っ越しゴミ・粗大ゴミ等の片づけに当たり、Tポイント(或いはブルカポイント)を付与するなどのサービスも取り入れ、地域に還元を図っている。日本が突き進む少子高齢化社会のなかで、スクラップ等の既存のビジネスだけに捉われず、地域と共生を図る企業として何をすべきかを追求する同社の更なる取り組みが期待されるところだ。


エンビプロHD第2四半期決算 多様性推進と転換へ 人材と新規事業の育成図り

鉄・非鉄スクラップや廃プラスチックの加工・販売等といった総合リサイクル事業を展開する株式会社エンビプロ・ホールディングス(本社・静岡県富士宮市、佐野富和社長)ではこのほど、2016年6月期第2四半期の決算説明会を東京・兜町にて開催した。鉄スクラップを中心とした再生資源相場の急落するなかで、第2四半期に関しては売上高が前年同期比5・5%減の153億6900万円と振るわなかったが、営業利益は同比55・3%増の4億1800万円、経常利益が同比9・9%増の4億8200万円、四半期純利益は32・1%増の3億5800万円と増益。佐野社長は「前年同期が非常に悪かったこととの比較による増益」と述べたが、メインとする鉄スクラップなどに収益を依存し過ぎない同社の事業多角化・総合化の効果が顕著に反映される内容となった。
同社のの品目別売上高で見てみると、昨年第2四半期で54%を占めていた鉄の比率は44%にまで低下、代わって伸長を見せたのが太陽光発電など資源リサイクル以外の分野での売上比率は前年の10%から20%を占めるに至っている。こうした状況について佐野社長は、「鉄スクラップ・非鉄金属等の資源価格の下落と過当競争・設備過剰により、収益が縮小傾向にある」と述べる一方、IoT活用による収集効率化等の取り組みや自社での直接開発及び匿名組合出資等を組み合わせた太陽光発電事業が、開発中のものも含め24・4MW(前期7・2MW)まで拡大したこと等が増益要因と説明。
また、これまでエコネコル、アビズで展開してきたASR再資源化事業を函館のクロダリサイクルで開始したことや弾性舗装材向けゴムリサイクルでのマーケット占有率が高い東洋ゴムチップをグループ化し、金属相場に左右されない事業領域の拡充を進めていることについては、「第2四半期での収益には結びつかないが、今後、安定的な収益が見込める」(佐野社長)としている。
他方、主力の鉄スクラップに関しては、相場が現在、第2四半期末(H2・1万7500円/トン)よりも低位にあることから厳しい状況が続くとの見通しを示した。韓国向け輸出の停滞で売上に占める割合も国内が39%(前年同期30%)まで上昇しているが、こうしたなかでインドやU.A.E等、より遠隔地に低リスクで販売できるコンテナ輸出の集荷拠点を拡充する方針を示した。
また、新規事業としては、今後国内で急成長が見込まれるバイオマス発電向け燃料をベトナムから調達するといった新規商材の開発や新たな顧客との接点を拡大するためのコンサルティング会社の新設。更に企業の多様性を推進する人材マネジメント強化施策として「エンビプロ・ビジネススクール」を解説、事業領域拡大に向けた企業内起業家の養成も行うなど、人と戦略を同期させることでの組織強化を進める。
なお、通期業績見通しは、売上高が7・1%増の348億5200万円、営業利益が12・3%増の8億3500万円、経常利益が0・6%増の10億700万円、純利益が3・0%減の6億6500万円を見込む。厳しい環境下、リサイクル機能を強みとした総合サービスプロバイダーへの転換を目指す同社の取り組みが注目されるところだ。


東京都リサイクル事業協会 入札のあり方テーマに 「10・8」通知巡りフォーラム

東京都リサイクル事業協会のフォーラム

東R協フォーラム


(公社)東京都リサイクル事業協会(栗原正雄理事長、以下「東リ協」)は2月16日、東京都千代田区のメトロポリタンエドモントにて、「リサイクル事業委託のあり方と再生資源市場動向について」と題し、フォーラムを開催した。 開会に先立ち、同協会の戸部昇副理事長から、「今日は、私たちの行っている事業のなかでも、特に市町村関係のリサイクル事業についてお話を伺くため開催した。今から24年ほど前、東京都の区市町村において、ごみ減量の観点から分別回収が開始された。当時、行政でのリサイクルを始めるにあたって、『安定的・継続的に行う』というのが重要な課題だった。これを実現するために、区市町村との契約はほとんどのケースにおいて随意契約というかたちになっていた。ただ、この5年ほど、競争入札を取り入れる区市町村も増えてきている。入札に切り替わり、これまで設備投資してきたにも関わらず『来年から1年仕事が無い』という事態は、業界の発展という意味でも絶対に避けなければならない。そういった意味で今回のフォーラムでは、この契約のあり方をテーマのひとつとした。」と、今回のフォーラムの開催の主旨を説明した。
その後、来賓代表として、井上信治環境副大臣が登壇し、「家庭から出てくる古紙や缶、びんなどの一般廃棄物収集運搬やリサイクルなどの処理は国民生活に極めて密着した、一日たりとも止めることのできない地域社会における基幹的事業。皆様方の不断のご努力によって、東京尾の生活環境が保たれていることを十分に理解しており、環境省としてもその活動をしっかりと支えていくことが重要と考えている。一昨年には、環境省から都道府県知事等に対し、一般廃棄物処理計画を踏まえた廃棄物処理法の適正な運用の徹底をお願いする通知を出したところ。この通知について、大変関心を持っておられるということで、今回、環境省からの講師が説明させていただく」と挨拶を述べた。
講演終了後、「陽春のつどい」と銘打ち懇親会が開かれ、挨拶に立った栗原理事長は「紙のリサイクルに関して、現在3割ほどの自治体が入札で行っている。過去、紙のリサイクルを維持するために随意契約にしてほしいという文章を、関東の全市区町村の首長宛てに2回ほど出している。特に、古紙がタイトな時、専門業者以外が高値入札してしまうと、一年間紙リサイクルに携わっている地域の業者の仕事が無くなってしまい、準備した車両や設備が無駄になってしまう。高値で落札した専門外業者は、古紙が余剰になってくると寄り付かなくなる。紙のリサイクルは継続性が第一。そういったことを改めて考えさせられる講演だった」とフォーラムの感想を述べた。懇親会には東京都環境局資源循環推進部の谷上裕部長や東リ協顧問の古賀俊昭東京都議会議員、小礒明東京都議会議員ら、各方面から多数の来賓が参席。王子エコマテリアルの田口満専務取締役の発声で乾杯、懇談となった。


スチール缶リサイクル協会 容器包装でセミナー 店頭回収の社会的意義評価を

スチール缶リサイクル協会の店頭回収セミナー

店頭回収セミナー


鉄鋼メーカーや製罐メーカー、商社などスチール缶リサイクル協会では先ごろ、東京の大手町サンスカイルームにて「容器包装の店頭回収セミナー」を開催した。2004年にスタートした容器包装リサイクル法の施行状況検討の審議過程で、分別収集・処理保管のあり方が問題提起されたことを受け、同協会ではダイナックス都市環境研究所とともに「民間主体回収」の可能性に着目した共同調査を行ってきており、セミナーはその流れを受けて開催されたもの。
冒頭、挨拶に立った中田良平専務理事は「容R法見直しのなかで、多様な回収の一環として集団回収ほか店頭回収が促進されてきたが、当協会でも2011年度より店頭回収調査を行い、セミナーなどを通じて皆様と意見を共有してきた。こうしたなかで昨年度、店頭回収PETボトルに関して、都が位置づけを明確化、今年1月にも国としての見解が示され、各都道府県などに通達が出されている。容R制度のなかで、どのように社会コストの削減と品質向上を進めるべきか、セミナーを通じて意見等を共有したい」と述べた。
また、経済産業省産業技術環境局リサイクル推進課の井出大士課長補佐は「店頭回収は自治体負担の軽減、利用者の利便性向上に繋がるが、様々なコストもかかるのも実情だ。一方で、取り組む企業の価値も高まるなどの効果も生み、1つの取り組みとして促進されるべき事項ではないだろうか。店頭回収は、容R法では事業者の義務量が店差し引かれることなどのインセンティブもあり、仕組みによって利益をもたらしながら活用してもらうことが重要だ。廃掃法上での再生利用制度を活用した規制緩和でやり易い環境も整っており、全国に拡がっていけば良いのではないだろうか」と挨拶している。
セミナーではまず、スチール缶リサイクル協会の細田佳嗣氏から店頭回収の調査結果が報告されたが、そのなかでアンケートの回答であったスーパーのうち92%が全店で店頭回収を実施しており、CSR活動として位置付けられていること、回収品目として牛乳パックや白色トレイ、PETボトル等が対象とされていることが判明した一方、異物混入が多く、回収容器管理など人手がかかるなどの課題も浮き彫りとなった。また、自治体との協力関係が無しというのが半数以上にのぼっていることから、今後、店頭回収をスーパーの「社会的責任」と見做すのではなく、「社会システム」として意義を評価し、行政回収と補完し合うことで相乗効果を高めるための協力体制構築が必要としたほか、再生利用制度の活用を推進すべきとしている。


廃棄物輸出規制 雑品スクラップはOECD基準準拠か 有害性等級リスト整備へ

環境省はこのほど廃棄物等の越境移動の適正化に関する検討会を開催し、中環審へ来年度中に提出する報告書の骨子案を示した。骨子案では、これまでのヒアリングなどにより検討が進められてきた雑品スクラップ輸出の問題や船舶火災、シップバック問題などの諸議題のほか、法制度の枠組み、輸出入の個別具体的な論点についても整理が行われている。
現在、再生資源の輸出に関して、廃棄物処理法とバーゼル法の2つの方の下で管理が行われているが、電子部品スクラップなど有価かつ有価だが有害物を含む可能性のあるものについては、国内外を問わずインフォーマルセクターで取り扱われる場合、環境上適正な管理が確保されない恐れがある。特に輸出については、バーゼル法で水際での規制は出来るが、輸出に至る前段階での不適正な取り扱いに対し、廃棄物処理法で取り締まることは難しいのが現状だ。こうした実態を受け、骨子案では国内での排出から収集・運搬・保管、その後の輸出から相手国におけるリサイクルに至るまでの一連の取り扱いを環境上適正に管理できるようにする方策が必要とした。その際、バーゼル法と廃棄物処理法の規制適用範囲を上手く接合し、切れ目なく取締りが行えるような仕組みにする。
また、有価性にかかわらず有害性や環境汚染を生じる危険性に応じて適用される規制の強弱を区別する仕組みの導入を検討する。これはEUのANNEXⅢ(グリーン、アンバー、レッドと品目毎に有害性を等級分けしリスト化したもの)やトレーサビリティに言及がなされている2008年の欧州改正廃棄物枠組み指令における「End of Waste」などの制度が念頭に置かれているものと見られる。特に雑品スクラップに関しては、現行制度で規制対象物(電子部品など)と規制対象外物(鉄・非鉄・プラ)などの混合物であるためことから、有害物が1つでも含まれれば規制が全体に適用されるOECD理事会決定上の「混合廃棄物」の考え方を示している。このほか、トレーサビリティに関しては、全ての仕向け地を対象に環境上適正な管理が確保されていることを確認出来る場合に限って輸出を認める方策を検討していく。


関東鉄源協同組合 販路開拓でビジョン策定 山下理事長「インドの機は熟し」

関東鉄源協同組合の成果普及講習会

関鉄源・成果普及講習会


関東地区の有力鉄スクラップヤードディーラーで構成される関東鉄源協同組合(山下雄平理事長)ではこのほど、東京の如水会館にて、新たな販売先を開拓すべく実施した「余剰化が懸念される鉄スクラップの新たな循環スキーム構築に向けた調査研究」事業の成果普及講習会を開催した。
同事業は、経済産業省が所管する全国中小企業団体中央会の平成27年度中小企業活路開拓調査・実用化事業として採択され、昨年9月以降中央会の補助を受け実施されてきたもの。我が国鉄スクラップ市場において最大流通品種であり同組合が販売を手掛ける「H2」の販路拡大を主眼とし、組合及び外部専門家等による調査・研究委員会・ビジョン作成委員会を設置、検討を重ねてきた。また、昨年11月には新たな販売先として期待されるインドへの視察も実施し、その結果と今後の方向性について取りまとめを行っている。
成果報告会の冒頭、挨拶に立った山下理事長は「今後は日本のスクラップの販売先の中核を担ってきた韓国や中国への販売が厳しくなることが見込まれる。こうしたなかで、3年前より有志にてインドの視察を行ってきたが、昨年は中央会の事業として採択を受け、インド市場の開拓に向けた調査を行った。インド現地の訪問先企業では日本が世界有数のスクラップ輸出国であるにもかかわらず規格が欧米主体で、日本の『H2』を知らないということもあった。そこで今回も昨年同様、当組合の船積み動画等を持参し、現地企業などに説明したが、その結果は良好であり、現地企業の使用鉄スクラップを見ても間違いなく『H2』が販売できることが確認できた。昨年はインド元年として大手商社もシュレッダー・HSの輸出を行うなど、機は熟したと言えるのではないか。一方で具体的な現場では、大手業者がバングラやベトナムに2万トンクラスの船での輸出等の動きも出ているが、対応出来る港が現状、関東では船橋中央港と鈴繁ふ頭しかないこと、インド現地のユーザーは小規模メーカーも多く、炉も小さいなどの課題もある。こうした点を踏まえた対応が必要」と述べている。
成果普及講習会では、同活路開拓事業にて外部委員を務めた鉄リサイクリングリサーチの林誠一氏が講師を務め、国内やこれまでの韓国や中国の需給状況、近年、販売先として急激な伸びを示しているベトナムほかアジア各国の概況や将来性などを解説。そのなかで、インドは2025年に日本を上回る1憶5000万トンの粗鋼生産が見込まれ、スクラップの需要の大幅増が期待できるとした。更に粗鋼生産の伸びをけん引する1200社を超える小規模な誘導炉電炉群に対し、炉の投入口サイズが小さいことや、メーカーによって成分要求などが厳しい等の実態も踏まえた短尺化等のサイズ対応、更にはインド現地での道路事情や公共岸壁でのばら積み船規制などの動きを踏まえたコンテナでの輸送を提言している。


鉄リサイクリング・リサーチ 「中国の4大波」を検証 日本ブランドの育成提言

我が国鉄スクラップの調査・研究などを行う株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長はこのほど調査レポートNo.32「中国4大波の今」をまとめた。同レポートは昨年公表して大きな反響を呼んだ「中国の4大波と日本」に新たな数値データなどを加えた現状分析を行ったもの。
林氏はまず、2015年の中国についてGDP成長率が6・9%と天安門事件以来の低い伸びとなるなかで、4大波の大1波となる鋼材輸出に関し、半製品を含めてついに1億トン(1億1015万トン)を突破し、日本の粗鋼生産を超える鋼材輸出が行われた。輸出の向け先に関してもASEAN6など発展途上国を主体としながら多様化する様子も伺われ、2016年以降の展望についても設備能力の過剰進展動向が不透明なこと、鋼材内需も鈍化が続くことから、当面は1億トン台の輸出が続くと考えざるを得ないとしている。
次いで第2波のビレット輸出に関しても、2015年の鋼材輸出量のうち3160万5000トンが棒鋼とされるうち、2610万トンがビレットであると推定。2014年比で倍近い伸びがあった一方で、価格は2015年1月436ドル/トンから12月276ドル/トンまで下落。更に輸出先に関しても電炉を保有する発展途上国向けで増加が見られ、我が国にとって主要な鉄スクラップ販売先である韓国向けも推計241万トン前年比約100万トン増となり、対前年224万トン減の576万トンとなった鉄スクラップ輸入にとって代わった分析。 更にベトナムも前年比120万トン増の148万トン、トルコも2015年に170万トンの中国産ビレットが輸入されたと推計される。こうしたなかで、ベトナムやトルコでは緊急輸入制限措置などの対抗措置の動きも出ているものの、中国からの安値ビレットの輸出は続くとしている。
このほか、第3波としての高炉余剰銑鉄に関しては、昨年末に銑鉄の輸出関税が引き下げられたことから、電炉向けの希釈材・高付加価値鋼材の生産鉄源となることが見込まれ、スクラップとしては新断やHSの代替として価格次第で軌道に乗る可能性が高いと予測。今後の動向を注視すべきとした。一方、第4波の中国産鉄スクラップ輸出については、輸出関税が現状40%のままとなっていること、スクラップ業経営の悪化で流通近代化・品位高度化が先送りになっている状況が推察されることから、今のところ輸出攻勢は起きていないのが実情だ。ただ、2014年末の鉄鋼蓄積量が68億トンまで膨らむ中で、高炉材を主体とする高品位のスクラップ輸出に警戒が必要であるとしている。
最後に林氏は、「中国の次から次へと押し寄せる大波にめげずに生き抜くにはこれまで積み上げてきた経験などをべーすとしつつ創意工夫に努め、日本のスクラップの『ブランド』を築き、定着させること」が重要とまとめている。 なお、同レポートは鉄リサイクリング・リサーチHP(http://www.srr.air-nifty.com)から見ることが可能だ。





古紙再生促進センター 前回から応募数400増加 紙リサイクルコンテストで表彰式

紙リサイクルコンテスト表彰式

紙Rコンテスト表彰式


(公財)古紙再生促進センター(渡良司代表理事)が主催する「全国小中学生紙リサイクルコンテスト2015」の表彰式が1月30日、ホテルグランドパレス(東京都千代田区)にて開催された。
このコンテストは、小中学生を対象に、紙リサイクルについて正しい知識や考え方を身に着けてもらうことを目的として、紙リサイクルに関するアイデアや実践をテーマにした作文とポスターを募集。7回目を迎えた今回は、前回より約400点多い1283点もの力作が全国各地から集まった。
開会に際し、渡代表理事は「金賞作品、特別賞作品はいずれも優秀であり、紙リサイクルをしっかり学習し、正しい理解をされている点が高く評価されたものであります。受賞者の小中学生の皆さまには紙リサイクルを通じた循環型社会の担い手としてご成長されます事を心から期待しております」と挨拶を述べた。


レンゴー 淀川工場を閉鎖へ 段ボール原紙の生産体制再構築で

レンゴー株式会社ではこのほど開催された取締役会でレンゴー国内グループ企業全体の段ボール原紙生産体制の再構築をすることを決議したと発表した。それによれば、グループでは現在、国内で同社直営の5工場と連結子会社である丸三製紙の計6工場で段ボール原紙(ライナ原紙及び中芯原紙)の生産を行っているが、大阪市福島区の淀川工場を閉鎖し、生産拠点を5工場に集約する方針。
淀川工場はレンゴーグループにおけるライナ原紙生産拠点の1つだが、抄紙機の導入から40年以上が経過し設備老朽化・旧式化が進み、ライナ原紙の薄物化をはじめとする今後の潮流に対応することが難しいと判断したもの。閉鎖時期は平成30年3月末を予定している。淀川工場の生産能力は年産約12万トンだが、閉鎖に先立ち福井県あわら市の同社金津工場で現在中芯原紙を生産している抄紙機を、ライナ原紙も併抄可能な設備へと改造し、グループにおける中芯原紙とライナ原紙の生産比率の見直しを行う。
レンゴーでは、淀川工場が生産している段ボール原紙について、金津工場を含む他工場へ生産移管をすることで、引き続き供給責任を果たしていきたいとしている。


全国製紙原料商工組合連合会 Jブランドで品質に優位性を 来賓多数招き新年会

全国製紙原料商工組合連合会の新年会

全原連の新年会


全国製紙原料商工組合連合会 (栗原正雄理事長)ではこのほど、東京都台東区の浅草ビューホテルにおいて新年会を開催した。新年会では石川喜一朗副理事長が開会の辞を述べた。 年頭に当たって栗原正雄理事長は次のような主旨で挨拶を述べた。
「昨年の我々古紙業界を振り返ると1年を通して大変恵まれた年であった。 今年も古紙需給は順調に推移するものと思う。 今年の紙・板紙の国内需要は前年比1・1%減少の見通しとなっているが、 あと1年3ヵ月後の消費増税前の仮需、 安倍内閣のもとで経済回復、 デフレ脱却が進み、 景気が回復軌道に乗ることを信じている。 経営革新委員会では、 ジャパンブランドを昨年度よりスタートした。 古紙品質をさらに高めて国際マーケットにおいて優位性を保つことが、 市民のご協力のもとでの分別排出を守るバックボーンにもなる。 資源有効利用促進法などの法整備のもと地方自治体が廃棄物の削減、 リサイクル促進に取り組み、 古紙回収は法的なバックアップを受けて、 古紙回収率は57%から80%台に上昇した。 持ち去り、 行政高値入札などの問題においても古紙の流通を行うためにはジャパンブランドを添付しなければならないというところまで行けば、 問題も解決すると思う。 需給両業界の協調体制の下で全国的な普及を図ることを願っている」。
このあと来賓を代表して松原仁衆議院議員、 渡良司公益財団法人古紙再生促進センター理事長、 渡邉政嘉経済産業省製造産業局紙業服飾品課課長はじめ多数の来賓からの祝辞が続いた。新年会では、 岩渕慶太副理事長の開宴の辞に続き、 羽山正孝日本製紙連合会理事長の発声で乾杯し懇談となった。懇談ではソプラノ歌手の栗原利佳さんによる独唱で盛り上がる中、 矢倉義弘副理事長が閉会の辞を述べた。


日本再生資源事業協同組合連合会 震災の風化危惧 青年部が継続的支援

日資連青年部視察団

日資連青年部視察団


日本再生資源事業協同組合連合会(飯田俊夫会長)の青年部では、東日本大震災の発災直後の2011年9月から、石巻市でのがれき撤去作業、女川市での震災後初となる島のイベントの手伝いなどボランティア活動を積極的に行ってきた。その後も、この取り組みは毎年行われ、山形県で開催された東北地方の少年野球大会にてボールやノートなどを寄付したほか、東北6県再生資源商工組合連合会の被災遺児基金の寄付、楢葉町の浜街道桜プロジェクトへ協賛し、現地に桜を植樹するなど、継続的な支援が行われている。これらの活動費は、青年部のオリジナルバッジの作成販売や、青年部創立30年記念誌を作成し、その広告収入などを、「ボランティア基金」として積み立てることで捻出してきた。
日資連青年部は、「ただお金を寄付するだけでなく、実際の活動を伴うものにしよう」と、昨年11月、紺野琢己青年部長を筆頭に、復興のシンボルである三陸鉄道への支援と、今後の活動への参考とするため、現地の視察へ赴いている。三陸鉄道では、「支援特別フリー乗車券」を購入するというかたちで、寄付を行った。NHK朝ドラ「あまちゃん」の舞台になるなどして、一時は賑わった三陸鉄道だが、近隣のJR路線の復旧が遅れており、通学客離れが進むなど、現在は厳しい経営が続いているという。購入した乗車券は各県の青年部長と役員に送付されており、各々が観光に行くことで、地元経済への更なる貢献も期待できる。
現地視察では、津波により甚大な被害を受けた岩手県再生資源商工組合の株式会社大船渡資源(大船渡市)や2013年に桜を植樹した福島県楢葉町などを歴訪。震災後4年半以上が経過した現在でも生々しく残る津波の爪痕や復興の様子、帰還困難地域内での放射線の影響を目の当たりにした。紺野青年部長はこの視察について、「復旧により、日々刻々と街が姿を変え、震災の記憶もどんどん風化してしまっていることを地元の方々は危惧されている。我々の心の中に留めて、子や孫にしっかりと伝えていきたい」と語った。日資連青年部では、今後も継続的に支援を行っていく。


家電リサイクル法 アクションプラン策定へ エアコン適正化や取締強化など

家電リサイクル法の見直しに向け、経産省の産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルワーキンググループと環境省の中央環境審議会循環型社会部会家電リサイクル制度評価検討小委員会の第34回となる合同会合が先ごろ開催されたが、そのなかで、家電リサイクル法対象4品目の回収率向上に向けたアクションプランなどが審議されている。
家電リサイクル法に関しては昨年3月、見直しの方向性として法対象廃家電4品目の回収率を平成30年度に56%に引き上げる目標値が示されたが、この目標の達成に向けて、関係各主体における連携した具体的取り組みとその評価などについて、検討会を設置しプラン策定が進められてきた。
回収率は、出荷台数を分母に適正に回収・処理された台数を分子として算出される。出荷台数が大きく増大しない限り当面は現行の5割程度が見込まれるが、目標値達成に向けての上積みでは、不法投棄(現状0・4%)半減と不法処理されるスクラップの割合(同6・4%)を0%にすることで達成を図る方針が示されており、今後、自治体、警察と連携した違法業者等への取締強化、不適正輸出規制や中古品判断基準の見直しなど、水際対策の強化が進められることとなる。また、同アクションプランでは、消費者が排出利便性や金銭的理由で違法な廃棄物業者に引き渡していると推察されることから、平成30年度までに全ての市町村で義務外品の回収体制が出来るような排出利便性の向上を図りつつ、リサイクル料金透明化などに取り組むとしている。
なお、平成26年度の実績は出荷台数2186万台に対し再商品化台数は1148万台となり、全体の回収率は53・1%となった。ただ、品目別ではエアコンの回収率のみ30%台と他の品目と比較して低い状況だ。(別表参照)エアコンが低い背景には、排出インターフェースが工務店等で、資源性の高さから家電リサイクルルートへの誘導が難しい特性がある。こうしたことから今後、工務店等への適正処理の周知などを行い、エアコン回収率の向上を図る方針。このほか、委員からは一部の小売業者により法定外の処理業者の斡旋が行われているといった実態も指摘され、小売業者の適正化による法令違反件数ゼロも目指していく。
更に、かねてから問題視されている「見えないフロー」に関しては、28年度以降、小売店をはじめ、不用品回収業者、建築解体業者、引越業者、リユース業者、スクラップ業者、消費者等の実態調査を通じ、30年度までに可能な限りの実態把握に繋げたい考えだ。