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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2015年6月

経産省 鉄・非鉄横断で強化プラン 再編等基盤強化とグローバル戦略提示

鉄・非鉄金属素材は、 我が国に外貨をもたらす基幹産業であり、 地域の経済、 雇用創出を支える大きな存在だ。また世界的に需要の拡大が見込まれる自動車、航空機、エネルギー、医療機器等様々な分野に競争力のある部素材を供給している重要な産業と位置付けられている。しかし一方で、内には 「ユーザーニーズの高度化・多様化と我が国からの先端技術の流出」、外には 「中・韓他の海外競合者における研究開発の強化や生産・輸送体制の拡充」 等によって、 これまで保たれていた我が国金属素材産業の優位性は急速に縮小し始めているのが現状だ。 このような状況の下で経済産業省はこの程、金属素材産業を所管する「鉄鋼課」と「非鉄金属課」という縦割り行政の枠組みを超えた「素材産業の競争力強化プラン」を策定、今回初めて一つの研究会としてこれを取り上げ、急速に進展するグローバル化の中で、基幹産業の目指すべき方向や金属素材共通の課題等について、業種横断的に「知恵と経験」を共有し、その方策を提示するためのスタートを切った。
直接的な背景となったのは、ユーザー産業界から沸き起こっている「鉄だけ、 非鉄だけでは駄目。 素材の組み合わせによる相乗効果が重要」「鉄、アルミ、マグネシウム、チタン等各素材の要点を最適配置するための可能性を探る」「企業間連携によって開発スピードを加速させる必要がある」「異なる素材を紛体化・混合してこれまでにない機能を発揮させる可能性を探る」等の切実な声を受けたことによるもので、具体的には 「超ハイテン材の開発、 アルミ車体への採用等ユーザー企業から金属素材の高度化」と「マルチマテリアル化」への要請の高まり等にも視点を置いた取り組みを積極的に進めることになる。
代表的な課題として挙げられているのは、中・韓の追い上げや国内需要構造の変化とエネルギーコスト、設備の老朽化、過剰能力に通商摩擦等国内外の競争制約、最適生産管理や設備リスク管理等のリアルタイムの管理や航空機部材等の高品質、小ロット製品への品質要求対応等、ビッグデータに基づいた分析強化への対応など。こうした課題への対応策としての「素材の高度化」と「マルチマテリアル化」 の実現に向け、材料設計技術、製造技術、分析・評価技術を官民で開発しそれらを支える融合人材の育成を図る。更に、国内製造業の基盤強化として、「産業事故の防止」「事業再編による競争力強化」「エネルギー・環境問題への対応」「デジタル化が及ぼす変革への対応」 にも取り組む。 このほか、グローバル化への対応については、 障壁のない市場環境の構築や重要技術管理の厳格化、原材料供給リスクへの対応としての非鉄スクラッブのリサイクルシステムの構築、 鉄スクラッブの異物除去技術開発なども進める方針だ。

電炉再編は不可避
同プランのなかで、普通鋼電炉業界に関しては事業再編が不可避としており、各社における生産設備の一層の集約、企業間の統合、業務提携、海外需要の開拓、産業廃棄物の溶解処理など、電炉の特性も活かした取り組みを進めることなどを提起している。鉄リサイクル業界にとっては、電炉再編の進展は需要の更なる低下による国内循環スキームの崩壊につながりかねないだけに、今後の動向が注視されるところだ。


自動車リサイクル法 特預金等で循環後押し 低コスト化や再生材需要喚起など

自動車リサイクル法の見直しを検討する産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルワーキンググループと中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会の第41回合同会議がこのほど開催され、「自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書(案)」に関する審議が行われた。
そのなかで、自動車リサイクル制度の「あるべき姿」の実現に向けた具体的取組について、まず、自動車における3Rの推進・質の向上として、環境配慮設計・再生資源活用推進による解体・破砕段階でのリユース拡大・リサイクルの質の向上を図り、ユーザー負担の軽減など社会的コストの削減への好循環を生み出す必要があるとされた。
具体的には、環境配慮設計によって取り外し性が向上し、容易にリユース・リサイクルを行うことができるようになった部品・素材については、ASR予測発生量からその重量を除外することでリサイクル料金を引き下げ、車種間の差別化を行うこと、更に解体・破砕によって得られる再生資源については、再生資源の需要を喚起し、その付加価値を高めていくことなどとされている。ただ、再生資源に関しては需要が高くなく、価格優位性も低いことから、再生資源が広域的に効率よく収集・供給される環境整備と、ユーザーインセンティブとしての特預金の活用などが盛り込まれた。
この特預金は中古車の輸出を行ったもののリサイクル料金の返還請求がなかったものや、事故等によりフロンの破壊の必要がなかったもの等、再資源化のために使われることがなかったリサイクル料金で、平成25年度末時点で約100億円の残高が存在する。この利用については公益性の高い資金であることを踏まえつつ、指定法人業務に必要な情報システムの改修等リサイクル料金の低減につながる使途への出えんを優先しながら、なお余剰するものについてリサイクル料金を割り引くことでユーザーに還元すべきで、その際、再生材を多く使用した自動車を中心に割引を行うなど、資源循環の促進の観点から効果的な使途を検討すべきとした。
このほか、引取業のあり方については、自動車リサイクルシステムの入口としての機能を十分に果たすことが重要とされ、ユーザーに使用済み自動車の価値を還元していくような情報発信の必要性を指摘。不適正処理対策では、自治体等との連携の下での対策や講習制度などによる解体事業者の差別化、3品目の適正な再資源化に向けた自動車メーカー等による監査強化なども盛り込まれた。更に次世代車や素材多様化への対応に向けた技術開発や炭素繊維強化プラスチック車等に対するセーフティネット構築、発展途上国などへ我が国自動車リサイクル関連事業者の国際資源循環支援などといった競争力強化に資する形での国際貢献を進めるべきとしている。


PET関連7団体 キャップリサイクルの経済性は”良” システム構築に期待大きく

PETボトルリサイクル推進協議会やプラスチック容器包装リサイクル推進協議会ら、プラスチックリサイクル関連団体や小売業界団体など7団体は、ペットボトル用プラスチックキャップの店頭回収・リサイクル実証事業に取り組み、このほど、その結果を取りまとめた報告書を公表した。 現在、PETボトルのリサイクルは高度化し、ボトルtoボトルの水平リサイクルが実用化するなど、質、量ともに、循環型社会をリードする取り組みとなった。そうしたなかでPETボトルには欠かせない部材であるボトル用プラキャップのリサイクルにも、関心が高まりつつある。しかし、これまでNPOなどによる草の根運動的な回収・リサイクル事業が主流となっており、関係事業者による店頭回収・リサイクルの課題や評価等は行われてこなかった。そういったなか開始されたこの実証事業では、プラキャップの回収・リサイクルの適性等を検証して、多様な回収・リサイクルシステム構築を目指す。
実証の概要は、埼玉県を中心として、関東地方に約140店舗を展開するスーパーマーケットチェーン「ヤオコー」の全店舗に回収ボックスを設置。回収した使用済みプラキャップは専用回収袋に収納しヤオコーの物流便で、ヤオコーの物流センターに集荷した後、リサイクル業者(この実証事業では進栄化成)が集荷するというもの。リサイクルされたキャップ由来のリサイクル・ペレットは、通常はプラスチック再生材料として成形加工業者などに販売されるが、今回は、最終製品(バスケット、防災ヘルメットなど)に加工する。
取組は昨年5月7日からスタート。発表によると、10月 31 日までの約 6 か月間で総回収重量は、1万7530kg、一日あたり 98・48 kg(キャップ換算4万2817個相当)、1日1店舗あたり0・72kg(同 ?313個相当)であった。なお、回収されたキャップで、リサイクル材に向けられた適品は1万7403.3kg(良品率99・28%)と高いレベルになっている。また、懸念された異物混入は、全期間を通して、合計126・4kg(異物混入率0・72%)と当初の想定を大きく下回る好結果となった。このことから、報告書では、ボトル用プラキャップの店頭回収では、良品の回収率が高く、質の良い効率的なリサイクルが期待できると結論付けている。
一方、回収されたキャップからリサイクルされた再生ペレットは、総量が1万7千kgで、総回収重量の 97 %と、かなり高い収率(ペレットへのリサイクル率)となっている。このリサイクル・ペレットの材質は、65%が高密度ポリエチレン(=HDPE。ホワイト 38%、グリーン 27%)、35%がポリプロピレン(=PP。ホワイト28%、ブラウン7%)であり、ボトル用キャップの素材は、HDPEが多く、次いでPPであることが確認されている。
この事業では、最終製品として、当初、マイ・バスケット、防災キャップ等を予定していたが、得られたリサイクル材の品質が想定よりも良好であり、物性などの仕様も比較的良い事から、全量を店舗の業務用クレート用に向けた。
なお、回収からペレット化工程に係る総費用は、概算でkgあたり 50~55 円と試算され、得られたリサイクル材の品質から、想定売価がkgあたり100円台で取引できる可能性が高いため、報告書では、「ボトル用プラキャップが質の良いリサイクル材と位置付けられ、経済原則に即したリサイクルシステムの構築が期待される」と分析している。


日本鉄リサイクル工業会 全国大会に630名 影島会長「世代超えた経験値伝承を」

影島一吉会長

影島一吉会長


(一社)日本鉄リサイクル工業会の第40回通常総会と第27回全国大会が金沢市の「ホテル日航金沢」で開催された。北陸地区では初めての開催。北陸新幹線の開業効果とあいまって630人が参加する盛会となった。 通常総会では2014年度事業・決算報告、公益目的支出計画実施報告、15年度事業計画、予算報告が可決された。
役員改選では宇佐美達郎副会長(三井物産メタルワン建材専務)の退任に伴い、新たに田中訓朗・三井物産メタルワン建材常務の第三副会長就任が承認された。 全国大会は伊藤弘之中部支部長の歓迎の挨拶で始まった。「アベノミクス効果による円安誘導、株価の高騰により輸出環境の改善も見込まれるが、我々中小企業にとっては原油など資源エネルギーの上昇、電力料金の値上がりは逆風となり、経営環境の悪化は避けられない。今後もこの流れは続くだろう。苦戦は免れないがここは北陸の地で骨休めをし、英気を養ってほしい。そのことが工業会全体の活性化につながっていくのではないかと思っている」。
続いて工業会会長の影島一吉会長が主催者を代表して挨拶した。 「大会開催に尽力した中部支部の諸君に心から敬意を表するとともに感謝申し上げたい。昨年は企業家の情熱と信念、資本の論理の相克と克服の物語『マッサン』が好評だった。我々の業界でも主要需要家である電炉の構造転換、流通商社の統合など資本の論理が色濃く出た現象が起こっている。我々の多くは中小企業であり、資本の論理の相克に加えて事業承継という問題も抱えている。私はこの業界に入り、工業会の諸先輩から影響を受けた。世代を超えた経験値の伝承をおろそかにせず、それぞれの地元で『鉄学者』として事業に励んでいただきたい」。
第40回通常総会、第27回全国大会

第40回通常総会、第27回全国大会


来賓の金沢市長山野之義さんの歓迎の祝辞があり、中部経済産業局産業部次長の田島雅敏さんの挨拶があった。来賓紹介の後、表彰があり、感謝状と表彰状が伝達された。この後、株式会社小松製作所相談役の坂根正弘氏による「世界の基本的変化と日本の構造改革」と題する講演が行われ、この後、前日開催された「国際鉄リサイクルフォーラム」の報告が国際ネットワーク委員長の安東元吉さんから行われた。
第二部の懇親会では岡田健二実行委員長の開会の挨拶、石川県知事谷本正憲さんの歓迎の挨拶が行われ、中部支部副部長の近藤秀樹さんの乾杯、次期開催地北海道支部の小玉亨さんから招聘の挨拶が行われ、アトラクション「おわら風の盆」が披露された。大会副実行委員長の杉浦政秀さんの閉会の挨拶でお開きとなった。


スクラップのネット取引・メタリー 登録企業100社突破 低コストな顧客開発手法に

メタリーのサイト。登録は無料

メタリーのサイト。登録は無料


鉄・非鉄スクラップおよび歯科金属スクラップ等の売買に関するマッチングを行う仲介サイト「メタリー」(https://metally.jp)の登録者数が100社を超えるなど、業界内で注目を集めている。
スクラップ売買のマッチングサイト「メタリー」は、同サイト上で会員登録を行った会員企業同士がインターネット上でスクラップの取引を行うシステム。会員企業にとっては、ネットを通じて低コストで容易に新規顧客の開拓が出来ること、オープンな価格での取引による利益の最大化が図れるなどのメリットがある。同サイトへの登録は無料となっており、現在、中小規模のスクラップ事業者を中心に、商社やメーカーなどへ会員企業が拡大しつつある。サイトを運営するメタリーの天羽健介社長は、「このサービス提供の主眼は特殊な流通構造を持つスクラップ業界の競争力を高めることにある。ネットを活用することで企業間の情報格差を解消し、閉塞感の漂う業界、そして社会に少しでも貢献出来れば」と語る。
スクラップに関する企業間のネット取引について、海外では既に中国大手のアリババなどで行われているが、掲載情報の信用性などの問題も指摘されている。こうしたなかでメタリーでは、業界の商慣習を考慮し、インターネット上で購入するまではニックネームを使うことにより取引企業同士の匿名性を担保しながらも、口コミなどの評価によって不安の払しょくを図る方針。また、ネット取引では情報の鮮度が命となることから、会員企業が常に最新の状況をサイト上で容易に更新・確認出来るよう工夫を凝らし、更に実商いベースで数量や流通形態の異なる多様な金属スクラップを扱うべく、会員企業が地域及び品種ごとで容易に取引先にコンタクト出来るような仕組みも導入していくとしている。
なお、メタリーでは、当面は国内の金属スクラップのネット売買仲介を中心としつつ、将来的には海外との取引拡大までを視野に入れている。「まずは自社の利益よりもユーザーの利便性を高めることを最優先とし、登録数や取扱量よりも会員企業にどれだけ使い続けてもらえるかが重要」(天羽社長)という同社の取り組みが、今後どこまで市場に受け入れられ、スクラップの流通構造に一石を投じることとなるのか、今後の動向が注目されるところだ。


非鉄金属リサイクル全国連合会 若手育成し次代開拓 第57回総会に6団体89名

非鉄全連の第57回総会

非鉄全連・第57回総会


非鉄金属リサイクル全国連合会(非鉄全連・会長=小林秀之秀邦金属社長、東京)は13日午後、大阪梅田の「ホテルグランヴィア大阪」に6団体(大阪、東海、北陸、神戸、東京、神奈川)89名が出席して第57回の通常総会を開催、 全議案を満場一致で可決承認した。
開会に先立って挨拶に立った小林会長は「我々非鉄金属リサイクル原料を扱う再資源化業界は、先の異常な円高以後に広がった製造・加工業界の海外シフトの下で深刻な経営環境の悪化に悩まされているが、生き残りをかけた様々な対応策にも取り組んでいる。一つには消費税の取り扱いに関するポスターの掲示等だが、これ以外にも各地区それぞれが抱える諸問題の全連としての共有化とそれに対する対応策の検討等、混乱回避の為のアプローチを進めてきた。今後も次代を担う青年部諸氏の更なる活動強化とセーフティネットを視野に入れた原料受払い統計の精度の向上、諸官庁並びに伸銅他関係諸団体との連携強化に努めて行きたい。特に次代を担う青年部会については、若手の育成に積極的に取り組んで行きたい」(要旨)と語った。
また、当日は総会に先立つ午後1時半から「青年部会会議 を開催、通常総会の後は経済産業省製造産業局井上幹邦非鉄金属課長を講師に招き「動静脈一体型産業構造の構築」~非鉄金属の有効利用~と題する講演会を1時間に渡って開催。現状として見られる金属リサイクル原料の輸出ドライブの事例でアルミ缶(UBC)、鉛廃バッテリーを挙げ、将来資源の安定確保に向けた動静脈の一体化と欧州で進む資源循環に関する政策体系の国際認証規格先行に対し、我が国独自の国際標準作りに向けた取り組みなどが説明された。
なお、 閉会の挨拶に立った車啓三副会長からは「我々非鉄全連が、安定したリサイクル原料の提供により伸銅製品の普及に貢献したとの理由で第42回の銅センター賞を受賞した」との報告も行われた。


能代資源 2メガワットの風力発電所 10月から本格稼働へ

能代資源の風力発電所

能代資源の風力発電所


高さ120メートルの巨大風車が能代工業団地の一角に出現した。事業主体は株式会社能代資源(佐藤肇治社長)が70%を出資する資本金2000万円の能代パワー発電。他に地元の有力企業である大森建設、中田建設、能代資源の子会社・都市鉱山開発が出資している。
総出力は約2000キロワット。一般家庭1500世帯分の電力消費をまかなえる。風車はドイツの大手風力メーカー・エネルコン社製で風上に羽が向くアップウィンドウ方式を採用している。羽根の長さは41メートル、地上から羽根中心部までの高さは78メートル。タワー先端部分の高さは120メートル。2基同時に着工し、6月にほぼ完成、7月いっぱいは整備点検試運転を行い、10月から本格供用を開始する。
発電した電気は全て東北電力に売電する。2基とも市内扇田と比八田の株式会社能城資源の所有地に建設した。総工費は2基総額で15億6000万円。資金は地元の秋田銀行からの融資で調達している。平均6メートル前後の風が吹けば、事業計画通りの発電量が確保出来るという。


名古屋市 職員200名動員しキャンペーン 古紙持ち去り被害増加に歯止め

名古屋市はこの6月、持ち去り被害増加の流れに歯止めをかけるため、市職員約200名と、地元回収業者らを動員し「古紙持ち去り撲滅キャンペーン」を実施する。 平成24年7月に持ち去り防止条例が施行されてから、減少傾向にあった同市の古紙持ち去りだが、昨年6月から再び増加。26年度の通報件数は42件と、25年度の21件から倍増している。この状況を受け実施される今回のキャンペーンは、①回収当日の朝出しの啓発と、より直接的な②古紙持ち去り者に対する取り締まりの強化の2本柱となる。
①としては、直近2年間で持ち去りが発生した11区31学区(96か所)での回収日前日の夕方から夜にかけて、集積場所で市職員2名による立ち番を実施。持ち去りがないか監視するとともに、古紙を持ってきた住民に「当日の朝出し」をお願いするほか、学区内を回収業者2名でパトロールする。
②としては、昨年度、持ち去りが特に多かった5区5学区(6か所)で、回収日の前日夜~当日朝のうち、過去持去りが発生している時間帯に市職員2名、回収業者4名、委託パトロール2名による監視を行う。持ち去り者を発見し、接触できた場合は、身元を確認し勧告書を交付。併せて問屋への搬入ルート情報の聞き取りを行い、今後の持去り防止対策に活用する。
さらに同市では今後、古紙持ち去り防止に最も効果の高い「回収日当日の朝出し」について、『広報なごや』をはじめ、各種メディアを活用して広く市民に呼びかけていくとしている。6月13日には中京テレビで放送中の人気予備校講師林修氏が司会を務める「名古屋でしょ」でもこの取り組みが紹介される予定となっている。


東京廃棄物事業協同組合 災害対策マニュアル10月までに 作成ガイドラインも提供

東京廃棄物事業協同組合の災害対策活動の説明会

東廃協・総会後の説明会


東京廃棄物事業協同組合(豊城勇一理事長)はこのほど、東京都千代田区のホテルメトロポリタンエドモンドにて通常総会を開催し、前年度の事業・決算報告、新年度の事業計画・収支予算など6議案を審議の上、満場一致で可決承認した。前年度の事業報告では、年を追うごとに減り続けている23区内の廃棄物発生量について、都が循環型社会の構築を目指し3R活動を推進していることから「構造的な問題として捉えなくてはならない」とする一方、増加傾向を示す持ち込み事業系一廃について、今後も注目していくと分析した。また、東京二十三区課長会との交渉を続けている積年の案事項に関して、今年度は4つの項目に絞り要望書を昨年6月に提出。11月には同様の内容の陳情書を区長会に提出したものの、具体的な進捗はなかったことを報告。同組合では、新年度も引き続き粘り強く交渉していくとしている。
また、同組合では新年度から新たに事業継承計画(BCP)の作成を行うとしている。BCPとは、災害などリスクが発生した際に重要業務を中断させないため、平時に戦略的に準備しておく計画のこと。同組合では、昨年から災害対策プロジェクトチームを立ち上げ、近い将来発生し得る首都圏直下型地震を想定し、BCP作成準備に取り掛かっている。今後、組合員にアンケートを実施し、個々の会社として取り組まなければならないこと、組合として取り組まなければならないこと、行政と協力しなければならないことをリストアップし、優先順位をつける作業などに取り組む予定。今年10月ごろまでには組合としての災害対策マニュアルを完成させる見通しだ。
また、総会終了後には「災害対策活動に関する説明会」を開催。青年部副部長の板越佑二郎氏から、さきの2つの大震災の被災地を視察した研修会の報告があったほか、専務理事の増渕千人氏から組合としてのBCP策定の進捗状況や、今後の組合員への対応などが発表されている。発表によると、①インターネット環境のインフラ整備支援として、PCの導入斡旋(協賛会員によるリースなどを実施)、災害用クラウドの説明会を開催する。②組合員アンケートの実施として、災害時の安否確認のための実態調査や、23区との災害協定に基づく稼働体制の確認を実施(保有車両台数、保有重機台数など)。③災害対策マニュアルの作成支援として、個々の組合員のマニュアル作りのためのガイドラインを提供することなど、今後の組合員へ行う対応を説明した。


容器包装リサイクル協会 有償入札分を拠出 100億円超え過去最高に

(公財)日本容器リサイクル協会はこのほど、平成26年度分のPETボトル、紙製容器包装およびガラスびん(無色、茶色)の有償入札に係る収入を市町村に拠出した。総額は、前年度からおよそ33億円増の約103億7000万円となっており、平成18年にこの「有償分拠出金」制度がスタートして以来、過去最高の金額となっている。
「有償分拠出金」とは、①PETボトルなどのように、再生処理事業者が同協会にお金を支払う「有償入札」をした場合、②リサイクル(再商品化)の実施および製品販売後、再生処理事業者から同協会に支払われる再商品化受託料を、同協会で一旦まとめて、③消費税相当分を除く全額を、引き渡し量と落札金額に基づいて各々の該当する市町村へ拠出するというもの。
約103億7000万円の内訳は、PETボトルが約101億9000万円、紙製容器包装が約1億7400万円、ガラスびん(無色)約4万8000円、ガラスびん(茶色)約3万2000円となっている。個別市町村(一部事務組合を含む)への拠出額は素材(PETボトル、紙製容器包装、ガラスびん(無色、茶色)ごとに、年度初契約委託単価が有償である市町村を対象として、各支払時の拠出対象金額の発生期間ごとに、既定の計算式により算出した金額を拠出(支払)する。

・有償分拠出金の推移データ
有償分拠出金の推移

出典:公益財団法人日本容器包装リサイクル協会




全国びん商連合会・第60回定時総会 段ボール出荷取りやめ要請 今年も関係各団体に

全国びん商連合会・第60回定時総会

全国びん商連合会・第60回定時総会


全国びん商連合会(吉川康彦会長)は5月24日、東京都千代田区のステーションコンファレンス東京にて、第60回定時総会を開催した。前年度の事業・会計報告、新年度の活動計画や予算などを審議・承認したほか、各地区からの状況報告がなされている。吉川会長の挨拶は以下の通り。
「近年、清酒は新聞やテレビなど、マスメディアに取り上げられることが増え、ブームとも呼べる状況だ。イベントなども活発行われており、先日、百貨店で開催されていた日本酒祭を見てきた。およそ100の酒蔵から出品された700種類並んでおり、若い方や、女性、外国人の方も多く非常に盛況だった。地元の京都でも鉄道会社が、利き酒師が同乗する『日本酒電車』というものを今年2月に運行させた。それも連日満員状態だったと聞く。世の中の流れが、清酒に向いてきたという気がしている。 お酒というのは、人と人とをつなぐ潤滑油とも言われる。人と人とのつながりが希薄になっていると言われる現代において、より良い飲酒文化というものを築いていくなかで、我々の業界も貢献できる場があるのではないかと思っている。 当組合は今回で60回目の総会を迎えた。人間でいうと還暦ということになる。十干十二支がちょうどひと回りするのが還暦だが、経済原理においても50年、60年周期で巡りまわるということがあるそうだ。びんというものも、60年前の照和30年、成長する経済のなかでびんがどんどん増えていくという、活気ある時代だった。時代が巡るとすれば、これからまた、一升びんやリユースびんというものは増えていく時代が来るのかもしれない。特に、資源問題や環境問題を背景としたリユースびんの見直しがいたるところで起きているという、最近の世の中の動きを見ていると、そう感じることも多い。そういった社会からの期待を背負っているという思いをあらたにして、取り組んでいただければと思う」。
引き続き議事にあがった前年度の事業報告では、環境省のリユースびん実証事業の秋田・関東甲信越・大阪・奈良・神戸・岡山各地域での関連団体の取組や、酒造メーカーや調味料メーカーの組合に対して行った1・8Lびんの段ボール出荷のP箱出荷への転化要望、容リ法見直しに関わる要望などの事業を報告した。新年度の事業計画では、国がリユースびんやリユースカップの使用を推進する方向性を打ち出し、リユースの普及促進が認識されつつあることから、現在のリユースシステムの基盤を維持しつつ、関係団体との情報共有化を強化、新たなリユースシステムの構築を目指し活動を推進することを事業方針とした。具体的には、一升びんのびん質確保と回収の円滑化のため、関係先に段ボール出荷からP箱出荷への切り替え要請を継続していくことや、グリーン購入法により、リユース容器を推奨することがうたわれている公的機関において新たな市場を創造することなどが挙げられている。


東京都資源回収事業協同組合 持ち去り根絶へ連携図り 第66回通常総会開催

東京都資源回収事業協同組合・第66回通常総会

東資協・第66回通常総会


東京都資源回収事業協同組合(吉浦高志理事長)はこのほど、東京都文京区の「東京ガーデンパレス」において第66回通常総会を開催した。総会の開催に当たり吉浦理事長は「昨年度は景気の回復が見られたというが我々の仕事にその実感はない。それでも再生資源の流通が止まった、価格が暴落した、というような苦しい状況でもなかった。古紙持ち去り問題については関連団体と協議を行い、都議会議員、国会議員の方々にも条例制定のお願いを続け、東京都区内でもGPSへの賛同が増えてきている。古紙持ち去り防止根絶宣言車ステッカー制度については、都内全域での普及促進に向け連携と協力を関係団体にお願いしている。回収業者の仕事を妨害、市民の安全安心を脅かす持ち去り行為を根絶していきたい。また、集団回収、小型家電への取り組み、青年部活動への支援など事業展開を図っていきたい」と述べた。
この後、功労者表彰に続き、議事に入り平成26年度事業報告、27年度事業計画案などが可決承認され、玉山京浩青年部長から青年部活動状況報告が行われた。新年度事業では、①集団回収における市民の多様なニーズに応えるための回収品目追加も含めた多様なシステム提案。各地域の特性に見合う集団回収と行政回収の理想的な並行実施の提案、②小型家電などの新たな品目回収参画に向けた関係機関への働きかけ、③回収業界独自の意見提言、④情報収集・発信拡充、⑤各委員会・青年部活動の充実、などを図っていくとしている。

ステッカー制度への加盟を推進
東京都資源回収事業協同組合をはじめとする古紙持ち去り問題意見交換会では、古紙持ち去り問題の解決策として古紙持ち去り根絶宣言車ステッカー制度の普及に努めている。古紙を中心とした資源物の回収業者の集まりである東資協としては、今年一年で古紙持ち去り問題の解決の道筋を見出したいとして、さらに都内全域でのステッカー制度の普及に向け、都内のリサイクル団体宛てに以下の文書を送付している。
『古紙持ち去り根絶宣言車ステッカー制度』の都内全域での普及促進に向けた連携並びに協力のお願い