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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2015年4月

自動車リサイクル 2014年度引取台数は333万2000台に 消費増税後の反動減も

(公財)自動車リサイクル促進センターではこのほど、自動車リサイクル法に基づく2014年度の自動車リサイクルシステム運用状況を取りまとめ、公表を行った。
それによれば、自動車リサイクル料金の預託状況は、新車登録時が528万1000台、引取時が9万6000台の合計537万6000台となり、前年(581万1000台)比で7・5ポイントほどの減少となった。特に新車登録時での預託台数が41万3000台の減少となり、消費増前後の新車販売反動減の影響が顕れた。また、これに伴い、2014年度預託金額の合計は552億円となり、前年度比で60億円の減少となっている。
一方の使用済み自動車の再資源化の状況では、引取台数が333万2000台となり、前年度(343万3000台)比で10万台超の減少で、こちらも新車販売台数の減少などを受けた格好。前年度対比減は東日本大震災の影響で300万台割れとなった2011年度以来のこととなるがここ数年は330~340万台の推移となっている。 工程別の引取状況では、フロン類回収工程が292万7000台(前年ぢ日98%)、解体工程が350万4000台(同98%)、破砕工程が350万4000台(同98%)などとなった。
また、自動車メーカー等の3品目の処理状況については、フロン類処理台数が290万4000台(前年度100%)、エアバッグ類処理台数が240万4000台(同106%)、ASR処理台数が333万台(同98%)となっている。2014年度に自動車メーカーに払い渡された預託金額は、ASRが203億円、エアバッグ類が55億円、フロン類が61億円など。これにより法施行後の累計処理件数は、ASRが3010万5000件、エアバッグ類が1314万4000件、フロン類が2404万3000件となっている。
なお、この他として、解体工程からの非認定全部利用(電炉)が2483件、同(輸出)が6万5409件の合計67892件と前年度対比で19ポイントの増加となり、破砕工程からの非認定全部利用(電炉)も1万1513件、同(輸出)5736件の1万7249件も前年度比5ポイントの増加となっている。


中国家電リサイクル制度 対象品目を14に拡大 2015年第5号公告、2016年3月より

中国国家発展改革委員会および環境保護部、工業情報化部、財政部、海関総署、税務総局では先ごろ、2015年第5号公告を告示し、中国の家電リサイクル制度における対象品目の2014年版を公表した。同公告は、これまでの同制度の対象品目であったエアコンやテレビ、洗濯機、冷蔵庫、パソコンの5品目に加え、換気扇やガス・電気給湯器、プリンター、コピー機、電話・FAX、携帯電話などを追加した14品目にまで拡大し、これを2016年3月1日より実施するというもの。
中国の家電リサイクル制度は、EUのWEEE指令を受け、2002年頃より検討が始まり、家電製品の販売促進を図った2009年の中古家電買取政策によって量販店を中心とした回収網を構築。それを踏まえ政府は2009年に「廃棄電器電子製品回収処理管理条例」を制定、翌2010年に対象品目などの規定を行い、2011年1月より制度が開始された。中国環境保護部によれば、2013年末における資格を有した全国のこれら廃電器電子製品の処理企業は91社にのぼり、処理能力は年間1億1190万台に達したとしており、2013年内に処理された廃電気電子製品台数は3987万台、支払われた補助金は33億元にのぼるとしている。
他方、中国の家電リサイクル制度においては、市場からの回収料金が高く、品目によっては回収・処理が難しい点なども指摘されている。1億台を超える年間処理能力に対する回収処理台数は3987万台で、稼働率を単純計算すれば35・6%ほどと低迷していることから、今回の対象品目拡大が回収・処理台数の伸びに繋がるかが注目されるところだ。


食品リサイクル基本方針答申案 関係者間の連携強化 再生利用率目標も引き上げ

中環審は先ごろ、これまで食品リサイクル専門委員会などで議論され、取りまとめられていた、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針の策定等について」を環境大臣に意見答申した。答申案によると、食品関連事業者による食品循環資源の再生利用等実施率の新たな目標値(平成27~31年まで)は、食品製造業が95%、食品卸売業が70%、食品小売業が55%、外食産業で50%となり、現行の目標値を一度も達成していない卸売業を除き、各業種で10%ずつ引き上げられた。また、目標値が設定されていない業種についての目標値の設定等の発生抑制促進策を引き続き検討するとした。
そのほか、新たに追記されたのは、食品循環資源の再生利用について①飼料化、②肥料化(メタン化の発酵廃液等を肥料利用する場合を含む。)、③メタン化等の飼料化・肥料化以外の再生利用の順に推進することや、地域の実情に応じて食品循環資源の再生利用等の促進に関する取組が促進されるよう、市町村の定める一般廃棄物処理計画において適切に位置付けることなどが挙げられている。
それ以外にも、食品ロス削減に関わる様々な関係者が連携したフードチェーン全体での食品ロス削減国民運動を展開することや、関係者のマッチングの強化による食品リサイクルループの形成を促進すること、定期報告について都道府県別のデータを求め集計情報を都道府県に提供することなども挙げられており、今回の改定は、関係者間の連携や情報共有に重心を置いたものになりそうだ。
今後、環境省では、この答申案を基に関係省令・基本方針案を作成。5月までにパブリックコメントを実施し、6月末には公布する予定としている。


東京都 店頭回収PET「産廃」へ 業許可等の基準も明確に

このほど東京都は、昨年12月に公表した「東京都長期ビジョン」に基づき、これからの東京の資源循環施策に関する基本的考え方と推進に向けた主な取組を明らかにした『東京都「持続可能な資源利用」に向けた取組方針』を策定し公表した。 この方針の概要は、東京都の目指す姿として、2020年オリンピック・パラリンピックとその後を見据え、「東京の持続的発展を確保するため、世界一の都市・東京にふさわしい資源循環を実現」を掲げ、これまで進めてきた廃棄物の3R施策を土台に、最終処分量の削減とともに、資源利用の流れの上流側から、サプライチェーンの観点も含め、資源の利用を持続可能なものに転換させていくというもの。
この方針では3つの柱を掲げている。ひとつは「資源ロスの削減の促進」。優先的に取り組む必要がある課題の例として、世界的に飢餓の増加・食料供給の不安定化が懸念される一方で大量に発生している食品ロスの削減、レジ袋など使い捨て型ライフスタイルの見直しなどを挙げた。ふたつ目に「エコマテリアルの利用の促進」。森林減少の著しい東南アジア等から輸入されているコンクリート型枠用合板への対応や、再生骨材コンクリートの利用促進などが、取り組むべき課題とされている。三つ目の柱は「廃棄物の循環利用の更なる促進」。取り組むべき課題に、廃プラスチックなど業務ビルから排出される事業系廃棄物の更なるリサイクルのルールづくり、廃家電等の不適正処理や違法輸出の防止などを挙げた。これら3つの項目を施策の柱として、世界的に対応が求められてる課題や、東京での資源消費・廃棄物発生量が大きいものについて重点的な取組を推進するとしている。
特に、三つ目の「廃棄物の循環利用の更なる促進」に絡み、これまでグレーゾーンとされていた区市町村の関与なく小売業者が自主的に店頭で分別回収した廃PETボトルについては、今年3月から「産業廃棄物」と判断することを明確化。さらに、廃棄物処理法に基づく「再生量指定制度」を適用して、都知事が指定したリサイクル施設に店頭回収された廃PETボトルを運搬する場合には、収集運搬業許可やマニフェスト交付を不要とする措置をとった。さらに、東京都はこの取組指針を踏まえ、今年度から新たな環境基本計画と廃棄物処理計画の策定へ向けて検討を開始。都民、事業者、区市町村など様々な主体の意見を踏まえ、「持続可能な資源利用」に向けた更なる対策を検討・具体化し、計画策定へ反映していくとした。


使用済み製品リユース 予算面などの課題浮き彫りに 環境省の事業研究会で

環境省は3月31日、17回目となる使用済み製品等のリユース事業研究会を開催した。 議事に上がったのは、モデル事業を実施する各市町村からの成果報告のほか、市町村における使用済み製品リユースモデル事業全体の取りまとめも兼ねて作成されている「市町村向けリユースの手引き」(以下、「手引き」)についてなど。この「手引き」は、家庭から排出される使用済み製品のリユースを推進しようと考える市町村の担当者に向け作成されており、リユースに取り組む意義や期待される効果のほか、市町村におけるリユースの取組動向、各取組の方法論、コストなどが、リユース事業導入へ向けての手引きとしてまとめられている。
前回の議論での「各取組のコストを記載すべき」との指摘を受け、今回の修正でコスト面の記載を大幅に加筆したものの、委員からは「そもそも、コスト面で採算の採れる事業ではないということを大前提として記載すべき」と、厳しい意見が上がった。そのほか、人口規模の小さい自治体向けのポイントなども新たに追記されている。
また、この手引きの使用者となる市町村にも意見を募集したところ、「リユースについてあまり興味がなかったが、手引きを読んで、検討の余地はあると思った」など、肯定的な意見が出た一方、「紹介されている取組の中には予算の制約でやめてしまったものも多く、難しいように感じる」、「リユース業者との連携についての記述があるが、これまでの取組で連携してきた組織はNPO法人や市民団体が多く、事業者との連携についてはハードルが高い。また、市町村は公平性の観点から一部の事業者だけとは連携できないので、事業者の選び方が難しいように思う」など、今後の課題も浮き彫りになっている。


日本鉄リサイクル工業会 放射能問題で協議会 韓国規制強化等への対応進め

(一社)日本鉄リサイクル工業会(影島一吉会長)ではこのほど、放射線検知器メーカーと同工業会の港湾委員会、商社流通委員会との間での協議会を開催した。
これは、昨年8月に韓国において日本からの輸入鉄スクラップの一部から基準値を超える放射線が検出されたことに端を発し、韓国政府部門は同年9月に日本産鉄スクラップの輸入に当たって同国関連協会、電炉、輸入企業等に対し勧告。これを受け、韓国鉄鋼協会が「日本産鉄スクラップ輸入時放射能管理の為の鉄鋼業界自立履行法案」を示し、日本側の輸出企業に対し、「無放射能確認書」の添付などを求めてきたことを受けてのもの。今回の工業会とメーカーとの協議会は、流通側が検知器についてより良く知ることなどを目的に開催されている。
この問題に関し、日本側流通企業では昨年末より韓国を訪問、韓国鉄鋼協会や主要メーカーとの間で、放射線検知手法等における課題についての協議を行っており、今年に入ってからも協議が続けられている状況だ。現在、日本産鉄スクラップの最大の需要国である韓国側の求める内容としては、固定用及び携帯用検知器での放射能測定結果を記録し、「無放射能確認書」に添付すること等とされるが、日本の鉄スクラップの流通形態から対応が難しい点も存在することがかねてから指摘されており、韓国側もこれまで若干内容の修正に応じてきている。
ただ、当初4月が予定されていた今回の放射能規制強化策の施行が大きくずれ込んだことで、日韓間の鉄スクラップ貿易にも影響が及んでおり、関係者では固唾を呑んで動向を見守っているのが現状だ。
こうしたなか、日本鉄リサイクル工業会では、今回の韓国側の放射能規制強化といった動きも含め、放射能汚染鉄スクラップ対策に取り組んでいく方針で、具体的対応策についても会員各社に随時周知を行っていくとしている。


國光 植物工場を新設 富士工場跡地でレタスなどを栽培

国光・富士ファーム

国光・富士ファーム


株式会社國光(朝倉行彦代表取締役社長)では、平成25年7月に閉鎖した同社富士工場跡地の利用方法を巡って社内公募を実施。その結果を受け建設が進められていた野菜工場がこのほど稼働を開始した。 この「富士ファーム」を運営するのは同社が出資し、昨年に設立した農業ベンチャーである株式会社イノベタス(本社・静岡県富士市、朝倉行彦代表取締役社長)。事業の第一弾として同ファームにてフリルレタスやサラダサンチュなど8種類のレタス類を生産・出荷する。
富士ファームでは、栽培にLEDを使っているだけではなく、一般照明でもLEDを利用しているほか、新しい制御監視システムの導入による電力コストの削減、多段棚採用による面積あたりの栽培数向上、加えて屋根に太陽光発電設備を設置するなど、先進的な技術を導入。栽培した野菜は、首都圏や地元静岡県を中心としたスーパーやコンビニなどへ出荷される。また、シンガポールや香港、台湾などのアジア各国・地域へのテスト輸出も行われており、今後、本格的な海外輸出も見据えている。
すでに4月1日から首都圏スーパーを中心に1日4000株ほどが順調に出荷されており、店頭価格は1袋(フリルレタスで80~100g)あたり200円弱ほど。今夏には1日1万2000株の生産を予定しており、今後、栽培日数の短縮などによる生産数量の増加に取り組む。さらに、5年以内をめどに同敷地内に新しいファームを建設し、近い将来、1日3万株出荷という世界最大級の生産規模を目指すとしている。 また、親会社である國光の古紙事業に合わせて、廃段ボールなどを利用した農業用資材の研究開発に取り組んでおり、今後の販売も視野に入れている。


家電リサイクル制度 義務外品回収構築へ 環境省がガイドライン策定

環境省ではこのほど、家電リサイクル法の対象品目とならない「義務外品」に関し、「小売業者の引取義務外品の回収体制構築に向けたガイドライン」を策定したと発表した。今回のガイドライン策定は、これまで進められてきた家電リサイクル法の見直し審議のなかで、小売業者に引取義務が課せられていない特定家庭用機器廃棄物(いわゆる義務外品)については、回収体制が構築されていない場合、消費者の排出利便性が損なわれ、不法投棄や不適正処理のおそれがあることから、一般廃棄物の処理について統括的な責任を有する市町村が、地域の実情に応じ、小売業者や一般廃棄物収集運搬許可業者と連携した回収体制を早急に構築する必要があるという報告書がまとめられたことを受けたもの。
環境省の調査によれば、平成25 年度の特定家庭用機器廃棄物については、不法投棄台数が約9万2000台、で約161万台の不適正処理が推計されているが、これには含まれない義務外品の回収体制を構築している市町村は58・7%(26年4月時点)にとどまっていることから、義務外品の不適正処理も相当数にのぼる可能性も指摘される。
今回示されたガイドラインでは、①市町村が回収(直営・委託)、②市町村と協定等を締結した家電小売業者が回収、③市町村から依頼を行った家電小売業者が回収、④家電小売店団体が設置した受付センターが回収、⑤市町村と協定等を締結した一般廃棄物収集運搬許可業者が回収、⑥市町村から依頼を行った一般廃棄物収集運搬許可業者が回収、⑦一般廃棄物収集運搬許可業者団体が設置した受付センターが回収、⑧一般廃棄物収集運搬許可業者が回収(上記⑤~⑦以外で、市町村が当該業者の名称及び連絡先を広報)の8つの方式で、かつ②~⑧については回収に関する定期的な確認や住民への情報提供を行っている場合を「小売業者の引取義務外品の回収体制構築の要件」を満たすものと定義している。
また、同ガイドラインには、上記①~⑧までの具体的必要事項を開設しつつ、市町村や家電小売団体、一般廃棄物収取運搬業者における日本各地での具体的な取り組み事例なども掲載されており、環境省では、市町村に対しての情報提供を行うとともに、引き続き、市町村における小売業者に引取義務が課せられていない特定家庭用機器廃棄物の回収体制の構築状況についてフォローアップしていく方針だ。


JICA 都市廃棄物循環利用推進PJ報告会 中国の循環体系構築へ政策提言ほか

急激に工業化、都市化が進み、「世界の工場」と言われるようになって久しい中国。GDPにおいても、今や日本の2倍にあたる9・24兆ドルにまで成長した。しかし、都市廃棄物の包括的な循環利用体系、適正な処理システムという点に視点を移すと、未だ開発途上国の域を出ないでいる。中国政府も利用資源の減量化、再利用を積極的に推し進めるなど、課題解決に取り組む姿勢を示しており、国際的な支援も強化され続けているものの、その環境問題は依然として深刻なままだ。
現在、我が国の多くの再生資源の相場で、中国への輸出価格が大きな変動要因の一つとなっており、「日本国内のリサイクル事業の安定」ということを考えた場合、これらの問題は決して他人事ではないはずだ。また、現在の中国の処理方式は、効率が低いばかりでなく、適切な処理を経ない食品廃棄物の再利用など安全面でも潜在的な問題を抱えている。この問題には「温室効果ガスの削減」、「食の安全」など、国際社会から、より身近な我々の生活に関する問題まで、様々な位相の問題をはらんでいる。 JICAでは、この問題に関して、中国政府の要請を受け、2010年に「都市廃棄物循環利用推進プロジェクト」をキックオフ。中国国家発展改革委員会と協働し、今年1月まで嘉興市、青島市、貴陽市、西寧市の中国4都市で活動している。去る3月23日、その報告会が上智大学で開催された。
報告会では、まず基調講演として、JICAプロジェクト・チーフアドバイザーの大石千尋氏が、中国が直面している環境問題や中国政府の環境政策、同プロジェクトにおける基本認識や背景・経過などを説明した。
同氏によると、このプロジェクトは以下、4つの意義と特徴を持つとしている。①中国が直面する重大政策課題である都市廃棄物に対する政策提案が最終目標。個別事案解決型ではない。②中国政府・大学・地方都市との本格的な共同活動。③活動の場が問題の規模、深刻度で卓越した中国であり、問題解決への道筋の開拓は、地球上での持続可能性の途の開拓に貢献できる。④東アジアの多くの環境事案解決の汎用モデル、更には多くの途上地域の開発と環境の相克の克服のためのモデルに発展し得ること。こういった意義のもと、同プロジェクトは、食品廃棄物、容器包装廃棄物、廃タイヤの3種の廃棄物に照準を絞り、進められた。
特に、食品廃棄物に関しては喫緊の課題であり、報告でも街中にゴミがあふれている状況なども語られている。この問題にあたった金沢大学環境保全センターの鈴木克徳氏からは、次のことが中国の食品廃棄物管理制度の現状として報告されている。まず、国家レベルの食品廃棄物管理法制がないこと。しかし、食品廃棄物関連管理文書の公布と食品廃棄物パイロット事業の実施に従い、現在全国で50余りの省・市が「食品廃棄物管理条例」を公布し、食品廃棄物に対する管理活動を強化していること。また、同氏はこれらの条例の問題点として、以下のことを挙げている。①食品廃棄物の定義、専門用語の不統一、不適切な専門用語、②条例間の立法目的の違い、③不明確な法的責任、法的責任に関する科学的根拠の欠如、④不法行為に対する低すぎる罰金、過料、⑤台帳の整備、情報の公開に関する規定の欠如。これらのことを踏まえ、日中の専門家チームが議論。成果として、包括的な食品廃棄物管理条例案を国務院に提出しており、現在法制化に向けての準備が進められている。また、中国に適した食品廃棄物の管理と資源化のための技術ガイドライン案も作成した。 さらに同氏は、残された課題と政策提言として、レストラン業界における減量化・分別の徹底、非正規業者に対する取り締まり、技術的な専門家はもちろん、行政担当官などの人材養成など、9つの提言をしている。


アルミ圧延品15年度見通し 2年連続200万トン乗せ 缶材向け好調、輸出等が牽引

(一社)日本アルミニウム協会がこの程まとめた2015年度(平成27年度)のアルミ圧延品需要見通し量によると、総需要量は板類・押出類合計で207万 5000トンと前年度比2・0%のプラス成長になり、今年度見込み(2014年度・平成26年度)の203万4000トンに引き続く2年連続となる200 万トン台乗せになるとの予測を明らかにした。 前年度実績見込み比2%増加の牽引材料となった主な要因は自動車部門向けが国内需要を中心にした4・8%のマイナスとなるものの、新設向けとなる建築部門 向けの住宅着工件数の増加により前年度実績見込みより1・7%増加する他、主にコーヒー向けとなる容器材料向けのボトル缶のアルミ化によって同比2・1% 増加が見込まれることによるもの。 また、輸出向けも円安等の材料を背景に前年度並みの数量から微増すると想定している。
特徴的なのはアルミ箔の電気機器向けコンデンサー向け、リチウム電池向けの好調で、これらのプラスにより前年度比6・9%の高い伸び率が想定されている。 圧延(押出、 板類)の増加を部門別に見ると、押出類は80万4000トンで前年度比0・9%の増加となった。部門別では国内生産の減少により自動車部門が4・8%の減少となるが、建設向けは新築向けを中心に1・7%の増加が見込まれている。 板類は127万1000トンで前年度比2・7%の増加。需要全体の40%近くを占める容器向けがコーヒー缶のアルミ化を背景に2・1%増加することが見込まれている。
輸出も0・5%の微増ながら為替要因を背景に増加、自動車向けの落ち込み1・8%をカバーすることが見込まれている。 なお、2014年度実績見込みは前年度(13年度)の198万8000トンから2・3%増加した203万4000トンと4年ぶりの200万トン台乗せを果 たしている。増加要因は15年度見通しとほぼ同様で、缶材におけるコーヒー缶のアルミ化による容器向けの好調、円安による輸出向けの好調等が牽引材料とな り、14年度実績見込みで前年度比4・7%減となった押出類が15年度は僅かながらプラスに転じることになると見込まれている。


びんリユースシステム 自動選別に課題あり デポジット制なども調査進め

環境省は先ごろ、第13回我が国におけるびんリユースシステムの在り方に関する検討会を開催した。議事は、今年度のびんリユースシステム構築に向けた実証事業の成果報告として、秋田、岡山での取り組みが報告された。ほか、学乳びん導入へのモデル事業の成果報告として、びん再使用ネットワーク(東京)、かながわ環境カウンセラー協議会、大和びんリユース推進協議会(奈良)の取り組みなども報告されている。
秋田びんリユース協議会では現在、安価かつ簡易に導入できる各製びんメーカーの製品別に自動選別するシステムの開発を目指しており、その進捗状況などが報告された。このシステムは、まず、回収したびんの重量によって6パターンに振り分け、その後、びん底やびん側面にあるメーカー刻印を読み取り、画像判定によってさらに精微に選別するというもの。報告によると、画像判定の精度に問題があり、まだ実用には至らないとしたが、iOSやAndroidにも対応しており、実用化すれば安価で導入することができるため、今後のさらなる研究に期待がかかる。
また、岡山賢人プロジェクトでは現在、岡山県産清水白桃果汁を使ったリユースびん入り飲料の開発・販売が進められている。この事業の狙いは、①岡山県産フルーツのトップブランドである「清水白桃」の果汁を使用し、市民への訴求力の高い飲料を開発・販売し、リユースの認知度の更なる向上を図ること、②カーボンフットプリントを導入し、リユースによる温室効果ガスの削減効果を明らかにすること、③デポジット(預り金)制を導入した試験販売を実施、実態調査を通じて、リユースびんの普及・回収を推進するうえでの課題などを明らかにすることなどが挙げられている。
同事業での岡山県庁職員を対象とした調査によると、デポジットと空きびん返却の関連性については、デポジットを10円に設定した場合に期待される回収率は67%、30円で80%、50円では96%と考えられることなどが報告されている。また、温室効果ガスの排出量が小さいことによる購入意図への影響についての調査では、「購入したいと思う」など肯定的な購入意図を示した回答者は53%と過半数を占め、否定的な回答者16%を大きく上回ったことなどが報告されている。


鉄リサイクリング・リサーチ 油圧シャー稼働率49%と低迷 処理設備の現状まとめ

内外の鉄スクラップに関する調査・研究を行っている株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長ではこのほど、「鉄スクラップ主要加工設備の現状と課題」と題するレポートを取りまとめ、公表を行った。同レポートは油圧シャーとシュレッダーについて、2015年2月末時点の設備の現状を全国および地域別にまとめたもので、2014年のヘビースクラップ発生量を県別に推定し、油圧シャーについて県別稼働率の現状の水家も行っている。
同調査では、2105年2月末時点で全国の油圧シャー設置基数は1451基で、前年比18基増となっており、うち800トン以上の大型が10基増、799トン以下が8基増で、設備の大型化傾向が止んでいないとし、リーマンショック前の2007年比では187基増と国内外を取り巻く経済状況と無縁の動きを示しているとした。 これら油圧シャーの年間処理能力は3917万トンで前年比46万5000トン増となったが、一方で、2014年の国内輸出含むギロ材出荷量1919万トンは2007年2250万トン比で14・7%減の水準にあり、これを基にした油圧シャー稼働率は49・0%と前年比1・6ポイントの悪化、2007年71・6%との比較では約23ポイント悪化している。
一方、シュレッダーについては、2015年2月末の設置基数は196基と前年比2基減少。100馬力以上の大型は2009年110基から105基と減少傾向を示している。これら196基の年間処理能力は606万9000トンと推計されるが、一方の2014年シュレッダー出荷量は国内と輸出合わせて260万トンほどとなっており、推定稼働率は42・9%と前年比0・4ポイント低下、2007年44・8%からは1・9ポイント低い位置にあるとしている。
レポートではこうした状況に加え、ギロ材に関しては発生が47都道府県中、関東ほか愛知や大阪などに集中していることを指摘、都市部に偏った厳しい業態構造にあるとした。また、今後の人口見通しについても生産者人口(15~64歳)が2017年に60%を割り込み、2048年に51・8%に低下することが見込まれるなかで、鉄鋼蓄積量を原資とする老廃スクラップの発生量も伸びず、回収率2%で2020年2760万トン、2030年2880万トンと横這いの状態が向こう20年続き、発生の低迷は免れないとしている。 なお、同レポートは鉄リサイクリング・リサーチHP(http://srr.air-nifty.com/)から閲覧することが出来る。