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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2015年2月

伸銅協会 関電値上げに反対表明 原油安下での4月13.93%改定

製造コストに占める電力等エネルギー消費割合が高い伸銅業界が、一昨年2月に次いで今年4月に値上げを表明している関西電力に対して、(一社)日本伸銅協会(会長・吉田政雄 古河電工会長)名で値上げ反対を表明した。足元の原油安の下で、安易に値上げに踏み切った関西電力に対し、文書を送付している。
日本伸銅協会会員会社は、関西電力管内で4月以降13.93%の電力料金値上げの要請を受けている。こうした電力料金の値上げに動きに対し、同協会では昨年11月にも経済産業省に対して「エネルギーコストの上昇に対する要望書」を提出、自助努力で対応しきれない状況の改善を求めている。
今回の原油安の状況下で行われた関西電力管内での値上げ要請に対して、「燃料の安値購入による原価低減の模索等電力料金を値上げしない方策」を提案している。(※日本伸銅協会HP:http://www.copper-brass.gr.jp/
 

 


第24回全国伊藤忠鉄原会 資源や歴史学ぶ講演会 伊藤会長「潮目の変化理解する年」

第24回全国伊藤忠鉄原会

第24回全国伊藤忠鉄原会


今月20日、伊藤忠商事東京本社ビルにて第24回全国伊藤忠鉄原会が開催され、経済産業省資源エネルギー庁鉱物資源課の寺川聡氏による「鉱物資源をめぐる世界状況と日本の動向及び課題」、そして歴史家・作家である加来耕三先生の「歴史から学ぶ日本人の経営力」と題する2本の講演が行われた。冒頭で挨拶に立った金属カンパニープレジデント・米倉英一氏は「資源ビジネスとしての金属資源、鉄鉱石などは厳しい状況に晒されているが、雨降れば地固まる、曇りはいつか晴れると信じ、顔を前に向け皆様の収益に貢献出来るよう取り組んでいきたい」と挨拶。
次いで全国伊藤忠鉄原会の伊藤清会長(スズトクHD代表取締役社長グループCOO)は「今年は潮目の変化を理解しなければならない年。中国の爆食がリーマンを期に終焉を迎え、昨年当たりから日本の急激な少子高齢化と空洞化が大きな問題としてクローズアップされ始めている。こうしたなかで、資源についてはシェールガスの影響等による原油安、そして鉄鉱石価格の下落と、予想より早く下落をはじめ、危機感が高まっている。スクラップについては主力輸出先である韓国電炉の生産が低調であることに加え、日本のスクラップに対する放射線規制の強化など、韓国向け輸出は厳しい状況が続くことも想定される。日本国内ではオリンピックに向けた需要で一息つけるかもしれないが、海外の問題は容易に解決しない可能性もあり、我々としても必要な対応を迫られるだろう。ただ、こうした状況下での社長の仕事は山口弁で大丈夫だよという意味がある『せわない』という言葉を伝えることではないか」と述べた。
講演ではまず、寺川氏が鉱物資源の重要性が高まる一方、世界経済の重心が変化しており日本の地位が相対的に低下している状況が説明された。こうしたなかで、圧倒的生産量をほこる中国のレアアース問題が日本企業の代替技術などの開発が進展、供給障害が発生しなかった点を評価しつつ、ものづくり企業が顧客の求める製品を作ることに集中できるよう、日本政府及び資源開発会社等が各元素の安定調達の工場を図るという本来の役割分担に戻す必要があり、供給リスクシナリオに基づいた複数のアプローチでの安定確保策を講じるというのが今後の方向性であることを示した。
次の講演で加来先生は日本人が「飛躍する歴史しか見ない」ことを指摘。歴史小説などで作られたフィクションではなく、史実を見つめた上で、立ち止まって考えることが出来れば物事の前兆や現実世界でも発表された内容の裏側にある半分を歴史から捉えることが出来ると説明。更に企業が経営に迷ったら歴史に学ぶ、それはつまり創業の理念に時代のズレを修正した上で立ち返ることが重要であると述べている。


関東製紙原料直納商工組合 同一業者に7回の警告 9回目持ち去り古紙買入れ業者公表

関東製紙原料直納商工組合(大久保信隆理事長)では先ごろ、9回目の持ち去り古紙買入れ業者名の公表を行った。今回警告の対象となった事業者はタカラリサイクル株式会社(東京都八王子市)で、対象となった行為は1月26日に神奈川県相模原市がGPS2個をセットした古紙がいずれも持ち去られ、両方とも同日中に同社に持ち込まれたとするもの。
関東商組では平成25年10月、持ち去り行為に由来する古紙を恒常的に買入れていることが判明した事業者に対し、買入れ中止の警告を発するとともに、事業者名を明示した上で警告を発した事実を公表するとしており、GPSによる追跡調査の結果、持ち去り古紙を繰り返し受け入れている事業者に①自主的な防止対策の立案・実施を求め、②次回は事業者名を公表すると通知し、③国・自治体、古紙関連団体、報道機関等に警告文を発送した事業者名を公表する、という3段階の手続きを行い、これまで8回にわたり事業者名を公表、事態の改善に努めている。
この8回の公表のうち、6回がタカラリサイクルに対するもので、同社に対する警告は7回目。第一回目が昨年1月29日に八王子市で持ち去られた古紙の買入れ、2回目が町田市、3回目が町田市及び相模原市、4回目が大和市と座間市、5回目が海老名市、6回目が青梅市となっている。


古紙 対中輸出更なる減少も 東日本の自主検査廃止を懸念

段ボールは中国離れ加速も

段ボールは中国離れ加速も


東日本からの古紙の対中輸出の先行きに不透明感が台頭している。これは、中国政府の指定検査機関が大阪のCCIC―JAPAN株式会社に一本化されることに伴い、従来、東京の日中商品検査(JCIC)で行われてきた自主検査制度の見直しが行われることが想定されることによるもの。
これまで東日本などからの古紙輸出に関しては、従来JCICとの輸出企業の契約の下で、自主検査が認められてきており、メタルスクラップや廃プラスチックなどと比べ単価が低く、かつコンテナロットの多い古紙の検査に当たって、同制度は中国向け輸出の円滑化に大きな役割を果たしてきた。しかしながら、統合企業であるCCIC―JAPANでは自主検査制度を導入していないことから、今後の動向が注視されるところとなってきた。こうしたなか、これまでJCICでは統合に向け、繊維くずや金属スクラップなどの検査申請受付を段階的にCCICに移行してきたが、古紙に関しても今年5月からCCICに移行するという内容を古紙輸出業者などに通知したもようだ。これに伴い、市場では5月以降、古紙自主検査制度が廃止となり、コスト増に伴う流通の大きな見直しを迫られるのではないかという懸念が台頭している。
ある日系古紙輸出事業者は「これまでは狭いヤードでも数本単位での対中輸出対応が出来たが、今後は大規模ヤードへ集積して検査を行うなどの対応が必要となるため、検査料金と合わせた物流費の面でのコスト増は避けられない」と語る。また、別の中国系輸出企業からは「自主検査制度廃止は古紙市場にアンフェアな状況を生み出すことになる。この制度は日本だけで認められているわけではなく、アメリカでも行われており、日本の古紙の検査申請をアメリカへ行うやり方もある。このため、こうした動きを取ることが出来る一部企業のみ日本の古紙を安い検査料金で出すことが出来る可能性があり、大きな問題だ」と憤る。
加えて制度見直しが日本からの古紙の対中輸出量の更なる減少要因になるとの見方もある。2014年の中国向け古紙は前年比15・5%減の303万トンだが、自主検査制度廃止で「段ボールはタイやベトナムへの流出が加速する可能性がある。問題は新聞、雑誌だが、検査コスト増で中国輸出価格が国内相場と変わらない水準となれば、国内で余剰するこれらも中国外への輸出量が増加していくだろう」(某輸出企業)とし、中国以外のマーケットにとっては追い風となるため、新たな市場開拓を模索する動きも出てきているのが実情だ。中国国内そのものの景気低迷に伴い、中国向け輸出古紙相場も下落基調となるなか、日本国内の古紙供給の半数以上を担う東日本における5月以降の制度見直しで今後の古紙流通がどのように変わるのか、その影響が注視されるところだ。


鉄リサイクリング・リサーチ H2は誘導炉が主対象 インドへの鉄スクラップ輸出考察

デリー郊外は高層住宅の建築ラッシュ

高層住宅の建築が進むデリー郊外


我が国における鉄スクラップの調査研究を行っている株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長ではこのほど、インドへの我が国の鉄スクラップ輸出に向けた資料として調査レポートNo.25「鉄筋棒鋼の生産主体は誘導炉・リローラー連合」を公表した。林氏はこれまで過去2回のインドの現地視察を踏まえ、インドにおける誘導炉電炉は鉄源を外部より調達する大手で鉄スクラップ輸出先の有力候補と推察。今回のレポートは誘導炉等の業態の特徴を明らかにし、日本の鉄スクラップ輸出の可能性を探る手立てとすることが狙いとしている。
レポートによれば、インドの粗鋼生産は2013年暦年で初めて8000万トンを突破し、2014年速報でも8230万トンと堅調に推移しているが、インド鉄鋼省やJPC統計年報などで集計した製鋼法別生産量では、高炉・転炉法43・8%、電炉法56・2%となっている。ただ、インドでは、高炉やDRIを持つ電炉一貫メーカーが存在しており、業態別で粗鋼生産をみるとSAIL主体の国営高炉20・6%、TATA、JSW等の民営高炉23・2%、高炉やDRIを持つ電炉Major5社(アーク電炉一貫)13・1%、その他アーク電炉(43社)9・4%、そして普通鋼鉄筋などの製造を担う誘導炉(1269事業所)が33・7%となっている。直近4年間の粗鋼生産伸び率でも誘導炉は8・6%増で電炉Major6・2%増と共に全体をけん引しているのが実情だ。
ただ、誘導炉電炉については、1事業所当たり年産2万2000トンほどと小さく、製鋼能力は3649万トンとされながらも、東部が全国生産の50%を占め、稼働率は北部100%超だが、南部は45%と低いなど地域毎に大きな差が生じている。また、誘導炉電炉はDRIを生産する直接還元鉄製造業とリローラー(単圧圧延業)の中間に位置し、これら3者の分業関係で成り立っており、インド国内の棒鋼需要の7割超、形鋼8割超を担っているが、1事業所当たりの生産規模が小さく、10年後これまでの3倍を超える需要増に対し、現在の小規模供給体制で応じ切れるのかなどの問題も指摘されている。
一方で、アーク電炉は電力コストや鉄源確保の課題などから、全体コスト吸収のため、ステンレスや自動車用特殊鋼など高付加価値鋼材製造に転身しつつあるため、スクラップはH2よりシュレッダーや新断、HSなど高品位グレードを要求される可能性が高いことから、林氏はインドの鉄筋棒鋼の供給を担う誘導炉・リローラー連合の業態こそが日本からのH2輸出の主対象になると推察している。なお、同レポートは鉄リサイクリング・リサーチHP(http://www.srr.air-nifty.com/)から見ることが可能だ。
 
 


2015年のアルミ缶需要 史上最高の217億缶に ビール系減もコーヒー他が増加

アルミ缶リサイクル協会 (理事長・白井啓一ユニバーサル製缶取締役相談役) は13日、 一ツ橋の 「如水会館」 で記者会見し、 今年2015年暦年の 「飲料用アルミニウム缶の総需要量が、 過去最高量を記録した2014年 (暦年) を7%上回る217億缶になる見通しである」 と発表した。従来までの主力部門であったビール系飲料の需要はやや漸減傾向が続いているものの、 ミルク入り缶コーヒー等のアルミ缶が需要を牽引していることによるもので、 この記録更新を受けて国産のアルミ缶需要量も史上初めて210億缶を突破する見通しとなった。また、 2013年の実績は194億5000万缶で、 国産缶の生産量は186億1000万缶であった。
217億缶と、 史上最高量が見込まれる2015年だが、 部門別ではビール系飲料向けが100億缶割れを想定する展開で、 一方のビールを除くアルコールとコーヒー等の非アルコール系を合わせた需要は2014年の92億缶から110億缶台を突破する見通しとなっている。2014年暦年の実績見込みでは、 ビール系の落ち込みが続きながらも、 昨年 (14年) 本格化したコーヒー缶のアルミ化を受けて内需が増加、 輸入缶等を含めた国内需要全体では201億6000万缶に達し、 前年比で4・0%の増加となった。2014年は前年13年に20億4000万缶に減少したボトル缶が22億6000万缶に11%の2桁増になる他、 2015年も24億缶と前年を6%上回る成長が予想されている。

アルミ缶回収で表彰 サンコーアルミ、アサヒ資源が優秀拠点
アルミ缶リサイクル協会は同日、 平成26年度のアルミ缶回収協力者 (一般) 表彰並びにアルミ缶優秀回収拠点表彰を、 一ツ橋の 「如水会館」 において開催した。優秀回収拠点として表彰されたのは 「アサヒ資源㈱」 (愛媛県八幡浜市) で、 地元自治体、 福祉施設、 奉仕団、 小・中学校を中心とする回収。 夏・冬休みには集中的に活動を行うが、 この時には運搬車の増便等で支援している。 「サンコーアルミ」 (福岡県朝倉市) は、 福岡、 佐賀、 長崎及び熊本、 山口県一部の小・中学校、 自治会、 子供会、 障害者施設等から回収している。 バングラディシュの病院建設資金集めに協力するため、 アルミ缶・スチール缶の売り上げをNPO法人KETOY・JPに寄付している。一般表彰では全国から80件の推薦を下に選考された58の団体が表彰されている。


一般廃棄物 施設更新需要で微増に 平成25年度の自治体の処理経費

環境省がまとめた全国自治体の廃棄物処理事業経費の状況によると、平成25年度に市区町村と一部事務組合が一般廃棄物の処理に要した経費(ごみ処理事業経費及びし尿処理事業経費の合計は2兆714億円(前年度2兆50億円)となった。このうちごみ処理事業経費は1兆8507億円で、国民1人当たり1万4400円(外国人人口を含まない場合は1万4600円)となる。
ごみ処理事業経費は15年度から微減傾向にあったが、ダイオキシン類対策を行った施設の更新需要が増えたことなどから、25年度に増加したもの。ちなみに、平成15年度以降の微減傾向は、12年1月に施行されたダイオキシン類対策特別措置法に基づく規制の強化に対応するための中間処理施設の整備が完了し、建設改良費が減少したことによる。
なお、ごみ収集経費の状況として、ごみ収集で収集区分の一部または全部を有料化している市区町村は、生活系ごみでは全1742市区町村の79・2 %の1380市区町村(前年度78・9%―1374市区町村)、事業系ごみでは同85・4%の1487市区町村(同年度85・1%―1482市区町村)となっている。 粗大ごみを除いた場合についても、収集区分の一部または全部を有料化している市区町村は生活系ごみで63・3%―1102市区町村(同62・2%―1084市区町村)、事業系ごみで85・0%―1481市区町村(同84・7%―1476市区町村)となる。


鉄スクラップ輸出 2014年暦年720万5000トン 越向け伸びも韓・中が大幅減に

財務省が先ごろまとめた品目別輸出通関統計によると、2014年12月における我が国からの鉄スクラップ輸出数量は、59万5267トンとなり、前月(56万8921トン)比で4・6ポイントほどの増加、前年同月(53万1546トン)比では6万トン超、12%ほどの増加を見せた。これにより、2014年一年間における我が国からの累計鉄スクラップ輸出量は720万5298トンとなり、前年(795万8643トン)対比で数量にして75万トン(9・5%)の減少となった。
主要な仕向け先別で見てみると、韓国向けが371万9456トン(前年・459万6883トン/80・9%)となったほか、中国向けが207万4574トン(前年・257万6315トン/80・5%)と2割近い減少を示す一方、台湾向けは59万7185トン(前年・28万6415トン/208・5%)と倍増を見せ、このほか近年輸出先として伸長著しいベトナム向けについては、74万7277トン(前年・41万3765トン/180・6%)へ増加を示している。
中国の過剰生産問題など東アジアにおける鉄鋼市況環境の厳しい状況が続くなかで、韓国向けが90万トン近い減少を示したほか、中国向けも50万トン程度の減少幅となり、短期的な回復は期待しづらい状況にある。こうしたなかで、ベトナムなど東南アジアの伸びも期待されるが、韓国や中国ほどの需要規模となるか懐疑的な見方も多く、更に今年3月頃より韓国での日本産スクラップに対する放射能規制の強化の影響も懸念される状況下、今後の鉄スクラップの輸出動向が注視される。


家電リサイクル法 再商品化率引き上げへ プラや基板の回収で10%以上

家電リサイクル法の見直しを審議する経済産業省の産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルワーキンググループと中央環境審議会循環型社会部会家電リサイクル制度評価検討小委員会の第33回目となる合同会合がこのほど開催され、高度なリサイクルを推進するなどの観点から今改正では今年4月1日より製造事業者などが再商品化を実施すべき量(再商品化率)を引き上げる基準案が公表された。
今回の見直しでは、対象となる家電4品目に対し、プラスチックや基板の回収効率引き上げにより、これまでの再商品化率を一部据え置きながら10ポイント以上大きく引き上げることとしている。具体的には、エアコンが従来の70%から80%に引き上げられるほか、液晶・プラズマ式テレビが50%から74%に、冷蔵庫・冷凍庫が60%から70%、洗濯機・衣類乾燥機が65%から82%となるが、ブラウン管式テレビについては、ファンネルガラスの輸出停止等に伴い国内での逆有償処理を行う必要性があることから、現行の55%で据え置くとしている。更に再商品化の内容としても、「重要な金属や素材の分別回収」と「水平リサイクルの推進」を明記する案が示されている。

回収率 平成30年度56%目標 スクラップ処理の低減などで
また、今回の家電リサイクル法見直しのなかで、新たに設定されることとなるのが「回収率目標」だ。これまで同法の枠組みのなかでは、再商品化率の規定は存在したものの、年間排出家電台数に対する回収率の設定は無く、法定外ルートとなるスクラップでの海外流出、または不法投棄という問題も指摘されていた。
平成25年度のフロー推計を見ると、家庭・事業所からの排出台数1639万台に対し、法定ルートでの製造事業者等による再商品化に回ったものは1204万台で、7割以上が法定ルートで処理される一方、海外へのスクラップが155万台、中古家電リユースが104万台で260万台程が国外へ流出する格好となっている。
ただ、このデータは、不法投棄台数のほか製造事業者および廃棄物処分業者による再商品化台数、地方公共団体による一廃処理台数、中古家電リユース輸出台数を除くとあくまで推計値で、正確な数値の把握が難しいのが実情だ。そこで今改正では、「回収率目標」の設定に当たり、製品出荷台数を分母に、製造事業者・廃棄物処分業者による再商品化台数及び地方公共団体における一廃処理台数を分子とした回収率案が示されている。
これによると、平成25年度の製品出荷台数約2500万台に対し、適正回収・処理台数が約1224万台、回収率は49%となる。これに基づく今後の目標値として国では、平成30年度56%を目標水準とし、不法投棄の半減や国内外スクラップ割合を出来る限り低減する方針を示している。


全国製紙原料商工組合連合会 J-Brand浸透へ 古紙品質維持に大きなうねりを

挨拶する栗原理事長

挨拶する栗原理事長


全国製紙原料商工組合連合会(栗原正雄理事長)は1月29日、浅草ビューホテルにて新年会を開催した。新年にあたって、栗原理事長が次の旨の挨拶を述べた。
「昨年は古紙の回収量は約1200万トンで回収率は80%強、利用率も64%に達した。輸出量も安定的に推移し、461万トンにも上るなど、我々にとっては恵まれた一年になったと思う。この輸出量というのは莫大な量である。例えば、アジアから様々なものが消費財として輸入されるが、そのコンテナを各国に戻す際、その商品の内訳として古紙が約40%を占めている。もし、古紙の輸出がなければ、喫水を下げるために水を入れて走らなければならないということになる。また、我が国の需給両業界の平常ベースから在庫を備蓄量として積み増す量は、合計で60万トンと言われている。したがって、約100万トンの古紙の輸出が、何らかの理由によって安定的に実施されないとなると、我が国の古紙のリサイクルシステムが崩壊の危機に直面する。全原連では、こういった事態にならないように、今年度からJ‐BRANDの運用を開始している。この制度は、(公財)古紙再生促進センターの品質基準に沿った商品を生産するために、ある一定基準をクリアした事業所を古紙商品化適格事業所として認定し、その事業所のみがJ‐BRANDを名乗れるというものだ。現在、この制度によって認定された事業所は全国で770事業所になった。また、この制度の基礎となる古紙リサイクルアドバイザーは2500件にも上っている。ただ、残念なことに、このJ‐BRANDの取組は当初の目標より、進捗状況としては遅れている。ぜひ、大きなうねりを起こしていただき、全国津々浦々にJ‐BRANDが浸透するよう、皆様のお力添えを受け賜りたい。」
その後、来賓を代表し、衆議院議員でリサイクルシステム議員懇談会幹事長の大畠章宏氏、経済産産業省製造産業局紙業服飾品課の川崎雅和課長補佐、日本製紙連合会会長の進藤清貴会長、古紙再生センターの岩瀬広徳理事長らの挨拶が続き乾杯、懇談となった。また、会には衆議院議員の松島みどり氏、河村たかし名古屋市長ら、政界からも多数の来賓が駆けつけ、盛大な宴となっている。


横浜市資源リサイクル事業協同組合 環境絵日記を「まちづくり」につなげ

ワークショップの様子

ワークショップの様子


横浜市資源リサイクル事業協同組合(理事長:髙田哲二日哲商事株式会社社長)が横浜市内の小学校を対象に環境学習として実施している「環境絵日記」を「まちづくり」に活用するという新たな取り組みとなるワークショップがこのほど横浜市磯子区の洋光台地域にて開催された。横浜市磯子区の洋光台団地は、近年、老朽化と高齢化が進み、周辺商店街などの地域の活力が低下している。こうしたなかで横浜市とUR都市機構では、大規模団地の再生・活性化へのモデル地域として住民と連携したまちづくりを推進するため、洋光台まちづくり協議会を立ち上げ、「ルネッサンスin洋光台」といった活動を行っている。
こうした活動の一環として今回、洋光台商店街にてコミュニティーベースとして活用されているCCラボにて、「洋光台に住む子供達の環境絵日記の展示」が企画されたが、そこで組合側よりただの展示で終わらせるのではなく、子供たちの意見をまちづくりに取り入れることを提案したことが今回のワークショップの開催に至ったもの。同ワークショップは、参加者が洋光台地域の4小学校から集められた500以上の作品をヒントに、「自然、人に優しい、あったらいいな」をテーマとした地域活性化のアイデアについて話し合いを行うという形で行われた。今回の取り組みを主導したUR都市機構の尾上充倫氏は「地域活性化に向けた活動について横浜市に相談したところ、組合の環境絵日記の紹介を受け、素晴らしい内容だと感じた。地球に優しい環境絵日記は、子供たちのピュアな目線で描かれたまちへの愛を感じるもので、今回こういうイベントを開催できたことは地域にとっても非常に良いこと」と挨拶。
また、当日参加した横浜市資源リサイクルリサイクル事業協同組合の栗原副理事長は「組合が長年取り組んできた環境絵日記でこういう展開が出来たことを非常に嬉しく感じている。これが横浜全域に拡がっていけば、市民にとっても素晴らしい展開に繋がるだろうし、間接的に組合が横浜のまちづくりに参加できるということに大きな意義があるのではないか」とコメントした。
同組合が長年取り組んできた「環境絵日記」は、環境省より「カーボンオフセット大賞」を受賞するなど社会的にも高い評価を受けており、日本各地や海外にも拡がりつつあるが、今回の取り組みは、組合にとってまさに地域とのつながりを深化させるものと言えよう。なお。今回のワークショップの結果は、6月に開催される洋光台まちづくり協議会の総会にて報告が行われる予定だ。


一般廃棄物 リサイクル率は20.6%で微増 平成25年度の発生・処理状況

環境省の一般廃棄物処理事業実態調査によると、平成25年度の一般廃棄物総排出量は4487万トン、1人1日当たり排出量で958グラムとなった(外国人人口を含まない場合972グラム)。総排出量は12年度以降継続的に減少しており、23年度以降も微減傾向で推移している。ベースラインとされる平成9年度5310万トンを9年連続で下まわっている。また、25年度を排出形態別で見ると、生活系ごみが2917万トン、事業系ごみが1312万トンで、全体の約65%を生活系ごみが占めている。
総処理量4237万トンのうち焼却、破砕・選別等により中間処理された量―中間処理量は3967万トン、再生業者等へ直接搬入された量―直接資源化量は212万トンで、この両者でごみの総処理量の98・6%(減量処理率)を占める。中間処理量のうち中間処理後に再生利用された量―処理後再生利用量は456万トンで、これに直接資源化量と集団回収量を合計した総資源化量は926万トンとなる。
中間処理により減量化された量は3115万トン、中間処理されずに直接最終処分された量は58万トンで、直接埋立率はごみの総処理量の1・4%となった。なお、25年度に容器包装リサイクル法に基づいて市町村等が分別収集した容器包装の再商品化量は総資源化量(926万トン)に含まれている。さらに、家電リサイクル法に基づく家電4品目の再商品化等処理量51万トンのうち再商品化量43万トン含めると、総資源化量は969万トンとなる。
中間処理量のうち直接焼却された量は3373万トンで、直接焼却率はごみの総処理量の79・6%となった。直接焼却量は平成15年度以降、減少傾向で推移している。直接最終処分量と中間処理後に最終処分された量とを合計した最終処分量は454万トンで、1人1日当たりで97グラムとなっている(外国人人口を含まない場合98グラム)。
25年度の一般廃棄敷設のリサイクルの状況を見ると、市区町村等で分別収集により直接資源化された量と中間処理後に再生利用された量の合計は668万トン、住民団体等の集団回収により資源化された量は258万トンとなった。これらを合わせた総資源化量は926万トンで、リサイクル率は20・6%となっている。総資源化量は前年度からほぼ横ばいとなったが、ごみ総排出量の減少率が若干高いことから、統計上のリサイクル率は微増という結果となった。
生活ごみと事業系ごみ排出量推移

出所:環境省