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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2015年10月

鉄リサイクリング・リサーチ 長期低価格時代が到来 中国の「4大波」、H2に警鐘

国内外の鉄スクラップに関する調査・研究を行う株式会社鉄リサイクリング・リサーチ(林誠一社長)ではこのほど、調査レポートNo.31「中国の4大波と日本」を公表した。このところの原油相場をはじめとする世界的な資源相場の下落は中国経済の減速に端を発しているとされるが、我が国の鉄スクラップ相場も昨年同時期の3万円超の時代と比較して、その半値以下の水準にまで下落を見せている。国際的にも鉄スクラップの相場低迷が現在も進行しているが、この背景に林氏は中国からの第一波である2013年から増加し始めた「鋼材輸出」、そして第二波は2014年後半から始まった「合金鋼添加ビレットの輸出」にあると推察している。
特にこのところのスクラップ相場への影響が強いと目される第二波に関しては、今年1―8月までに1560万トン、年換算で2300万トンが見込まれている。輸出先も103ヵ国と多岐にわたっているが、中でも最近は我が国最大の鉄スクラップ輸出国である韓国への流入増が見られており、今年はこのままいくと年間200万トン超が我が国鉄スクラップの代替となる可能性が高まっている。更に今後の中国からは、第三の波として「余剰銑鉄の輸出」、そして第4の波として従来のビレット販売網を活用した「余剰スクラップ」の輸出が2030年以降2600万トン規模にも拡大し、現状の薄物の割合の多い日本のH2では戦いきれなくなることを指摘している。
中国では内需減速を輸出でカバーする動きが加速しており、粗鋼減産にもかかわらず今年1―8月の鋼材輸出は7187万トンと前年比26・5%増に拡大、このペースで行けば年間1億トンを超えることも想定される。リーマンショック以降、粗鋼生産の伸びを鋼材輸出の伸びが上回る状況が続いているが、過剰生産の続く中国の生産能力は11億トンを超えるとも言われている。こうしたなかで中国政府は政府は2017年までに1億トンを削除する方針を示しているが、林氏は内需減速を考慮しておらず、その程度では過剰能力問題の解決は難しいと断じている。
同レポートはこうした中国の状況を分析した上で、鉄スクラップ関連事業者は、長期低価格時代が到来したことを前提とした事業運営が需給双方に求められること、更に今後の中国等との競合が見込まれるなかでスクラップの品位面で日本ブランドの定着を喫緊の課題と警鐘を鳴らしている。


3R推進フォーラム 容リ議論再開には言及なし 都内店頭回収PETなど話題に

3R推進フォーラム

容器包装3R推進フォーラム


3R推進団体連絡会は19日、東京都・北区の北とぴあにて第10回容器包装3R推進フォーラムin北区を開催した。 基調講演には同志社大学の郡嶌孝教授が登壇し、「容器包装3Rのさらなる推進について~それぞれの主体にできること~」というタイトルで講演。その後、国からの報告として、経産省リサイクル推進課の深瀬聡之課長、環境省リサイクル推進室の田中良典室長、農水省食品産業環境対策室の石黒裕規室長からそれぞれの省での取組を紹介した。
郡嶌教授が座長を務める産業構造審議会容器包装ワーキンググループでは、一昨年9月から容器包装リサイクル法の見直しが進められていたが、現在、1年近く議論が止まって状況だ。そういったなか行われた今回のフォーラムでは、新たな展開や現状について何らかの発言があるか注目されていたが、4氏から見直し議論についての具体的な言及はなかった。
午後には3つの分科会が開催され、第一分科会では「地域レベルでの3Rの取り組み」と題し、東京都、鎌倉市、武蔵野市、北区、それぞれの環境行政担当者が登壇。それぞれの地域の実情を反映した3Rの取組について話題提供が行われた後、議論に移った。この話題提供で東京都は、「再生利用されることが確実であると知事が認めた産業廃棄物」の収集運搬に関して、指定業者の認定を受けることで専ら物と同じ扱い(業許可・マニフェストが不要)が出来るという、「再生利用指定制度」を活用した店頭回収廃ペットボトルのリサイクルについて、概要や導入背景などを紹介。この取組は今年3月末から実施している。
制度の問題点として、現状では都内の店舗から都内のリサイクル施設に運搬する場合にしか適応されないため、大きな効果を期待することが難しいことなどを挙げている。この課題について、東京都は「他県市にも情報提供しており、他県市でも同様の制度が採用されることを期待している」と、会場に足を運んだ近郊自治体関係者に連携を呼びかけた。


日本再生資源事業協同組合連合会 鉄スクラップ・ウェスに危機感 都内で研修会開催

日資連の研修会

日資連の研修会


日本再生資源事業協同組合連合会(飯田俊夫会長、以下「日資連」)は17日、東京都・日暮里のホテルラングウッドにて研修会を開催した。
冒頭、飯田会長の挨拶では、直近の再生資源相場の不調について触れ、「特にウエスに関してはマレーシアの輸入規制の動きが懸念されるなど、輸出がなかなかできないという事態に陥っている。先日ある県の方とお話したところ、これからウエスは焼却に回すかもしれないという話があった。焼却され続ければ専ら物4品目から除外されてしまうという可能性もある。日資連ではこれをなんとか阻止したい。」と低迷するウエス輸出への危機感を露わにした。また同じく厳しい相場が続く鉄スクラップに関しても、「収集運搬費をもらわないとやっていけないという状況も見えつつある。平成2年の大暴落の際には、日資連が中心になってデモ行進を行った。今後、どのような対策に打って出るか、鉄リサイクル工業会など関連団体と連携することも含めて、検討していきたい。」と、連合会として共同声明文を発表するなど、何らかの対応策を打つ方針を明らかにした。
研修会では、資源新報社専務取締役・太田原覚氏から「古布の現状と展望」の講演、平林金属株式会社(本社・岡山県岡山市)の代表取締役会長平林久一氏から「戦後70年の再生資源業界の変遷」という題目で、講演が行われている。平林氏の講演では、昭和60年のプラザ合意後、急速な円高によって訪れた鉄スクラップの「逆有償ショック」の際、鉄リサイクル工業会の一員として逆有償PRのために説明会を開催し、県内の各組合・部会を回って駆け回ったエピソードや、当時の公正取引委員会とのやり取りなど、現在の厳しい状況に通ずる時代を乗り切った貴重な体験談が語られている。
その後、株式会社鉄リサイクリング・リサーチ代表取締役の林誠一氏から国内外鉄スクラップ需給の状況について講演が行われ、主な輸出先各国の今後の展望などを紹介。同氏がかねてから注目するインド市場の開拓には、多様な業態構造や歴史を理解する必要があることなど、課題がまだまだあるとしている。11月には更なるインド調査を予定しており、より詳細な状況が明らかになることが期待される。



京貿環達 日本企業への支援強化 AQSIQライセンス取得、ISO9001対応も

日本語のホームページ

HPも日本語があり安心


我が国の古紙や金属スクラップ、廃プラスチックといった再生資源の循環を支えているもの。その大きな要因の1つが中国だ。古紙は年間400万トン以上が輸出されるが、その半数以上が中国に向かう他、金属スクラップについても年間200万トン近く、また、内需の乏しく海外依存度の高い廃プラスチックに至っては年間100万トン以上が中国に向かいリサイクルが行われているのが現状であり、正に我が国の資源循環システムにとって中国向けの輸出は無くてはならない存在と言えよう。
一方、中国向けのこれら再生資源の輸出に当たっては、到底資源とは言えぬ粗悪な品質のものや違法貨物の密輸等の問題も散発したことも事実だ。こうした状況を受け、2005年1月より中国国家質量監督検験検疫総局(AQSIQ)が、日本を含めた世界各国の再生資源輸出企業に登録を義務付けたことは、我が国再資源化業界でも大きな衝撃をもって受け止められた。以前より再生資源を中国に輸出するには、中国政府指定期間(CCICグループ)による船積み前の検査が義務付けられてきたが、このAQSIQによる登録制度導入以降、船積み前検査を受けるにはAQSIQの登録ライセンスが必要となり、2005年以降、10年にわたり登録制度の下で我が国からの対中再資源化貿易が行われてきたのである。
このAQSIQによる登録制度は、導入当初より、中国語による会社概要や工場図面といった基本的書類の提出のほか、過去の中国向け輸出実績報告、中国の求める環境保護基準への理解など申請の難しさも指摘され、日本の場合、青島への違法輸出事件の影響で廃プラスチックの登録が出来ない等、輸出企業にとって極めて高いハードルとなった。また、2009年以降、AQSIQは輸出企業にISO9001認証の取得を義務付けたことから、ライセンスの取得は更に難しさを増すこととなり、現在でも登録を諦めざるを得ない企業も多いのが実情である。
以前より登録の代行を手掛けてきた企業も困難さを増す申請業務から撤退する動きも出るなかで、日本向けのコンサルタントサービス強化を進めるのが京貿環達(北京)管理諮詢有限公司(http://en.aqsiqservice.com/Japanese.html)だ。同社はAQSIQのある北京に拠点を置き、登録申請コンサルティングに特化したサービスを展開。30名余スタッフの下で世界各国累計1000社近くの企業のライセンス取得を助けてきた。日本企業においてもこれまでに大手含め約60社の取得実績を有する。
同社のコンサルティングは単にライセンスの申請だけに止まらず、ISO14001認証ほか、2009年以降AQSIQが義務付けたISO9001認証の取得サービスも展開。特に20名以下のノウハウを持たない中小企業に特化し、面倒な文書作成の手間も無く最短1カ月という驚くほど短期でのISO認証取得を実現するフルサポートサービスが特徴だ。無論各国言語にも精通した専門のスタッフが常駐し、日本語での対応も可能。
中国向け輸出に当たり、これまで登録を諦めていた企業だけでなく、ライセンス失効した企業等は、一度、この京貿環達(電話050-5865-4082・日本語可)に問い合わせてみてはいかがだろうか。


スチール缶リサイクル協会 2014年度R率は92%に 4年連続90%超、目標値も維持

スチール缶リサイクル協会の会見

スチール缶リサイクル協会の会見


スチール缶リサイクル協会(理事長・樋口眞哉新日鐵住金副社長)ではこのほど、スチール缶のリサイクル率、リデュース 率など、2014年度における取り組みの成果に関して発表を行った。
会見の冒頭、挨拶に立った樋口理事長は「当協会は1973年に設立以降、今年で43年目を迎えるが、現在、鉄鋼メーカー3社、製缶メーカー3社、商社6社の12社で構成するメンバーでスチール缶のリサイクル等の活動に取り組んでいる。当協会では容器包装リサイクル法が制定され る以前より、先駆けとして飲料容器のリサイクルに向けた市民や国、業界の連携を進め、法の基礎を作った。現在も地域美化活動など社会に貢 献する取り組みを続けており、今後も3者連携を推進していく」と述べた。
発表によれば、2014年度のスチール缶リサイクル 率は、2014年度のスチール缶の消費重量は57万1000トン、対して再資源化重量は52万5000トンとなったことから92・0%と4年連続で90%以上を達成した。経済産業省が前年度に上方修正を行ったガイドライン目標値である90%以上を前年度に続き維持した。
高いリサイクル率の背景として、同協会の森泰治副理事長(東洋製缶執行役員環境・品質保証本部長)及び同協会・中田良 平専務理事は、社会的に分別回収の仕組みが定着していること、ティンフリー・スチール化進展で高品質の高いスクラップとして安定的に使用 されていること、世界の粗鋼生産が2014年度は16億7000トンと史上最高を更新するなか、貴重な資源 としての需要を維持したことを挙げている。
一方で、スチール缶の消費重量は前年度比4万トン減、再資源化量も4万2000トン減となった ことで、今後について容器の多様化や鉄スクラップ相場下落の影響が指摘されている。これについて同協会では、流通変化のなかで容器そのも のの需要は増大しており、消費量はどこかで落ち着くこと、また、リーマンショック時の資源価格暴落時でも着実に実績を積んできた成果を踏 まえ、リサイクルに何の問題も無い見解を示した。


古紙再生促進センター 中国から講師招きセミナー 国内外の状況、需給構造など解説

平成27年度古紙セミナー

平成27年度古紙セミナー


(公財)古紙再生促進センター(渡良司代表理事)は10月8日、「紙リサイクルセミナー」を開催した。渡代表は開会挨拶で
「当センターは、輸出に関わる関係者の連携強化を図るため、昨年11月に輸出委員会を発足し、情報の共有化や古紙標準規格、取引基準の設定を行っている。また、2011年からは日中の古紙関係者の相互交流を図るため、日中古紙セミナーを開催している。今年度は11月19日に中国・南京において、第4回となるセミナーを開催する予定だ。
これらの活動を通して、日中の古紙関係者の対話を推進し、今後とも安定した紙リサイクルを目指して努力していく。当センターの課題のひとつに消費構造変化に伴う古紙の需給不均衡問題と品質劣化による問題がある。日本の新聞古紙・雑誌系古紙をみると、回収のピークである2007年と比べ、2014年は当センター推計でそれぞれ17%減少している。品質面でも『雑誌』の雑がみ化が懸念されるような状況であることから、質・量両面での対応が必要になってくる」と述べた。
セミナーではまず、同センター専務理事・木村重則氏の講演では「古紙のグローバル受給バランスとその構造」と題し、世界各地域の受給見通しや近年の生産・回収・貿易などの推移を整理。世界各地で進む印刷・情報用紙の消費減、需要構造の変化に由来する発生減については、米国・EU・日本では低質ミックス古紙の回収の可能性があるものの、途上・中進国では発生減と低質化が進展すると分析した。 また、段ボール古紙に関しては、世界的に発生量は横ばい~増加で推移する可能性が高いが、日本・EUでは回収率が上限に近く、ミックス・雑誌古紙回収減少の影響を受け、輸出余力は減少すると分析。途上・中進国では回収率の向上は進むが、国内ミックス古紙の発生減により段ボール古紙の置き換え需要が拡大すると見ている。
国際経済研究所理事(中国代表)の夏占友氏の講演では、中国における製紙、古紙回収分類や基準、古紙輸入の新しい政策などを紹介。中国の古紙回収システムの現状として、政府は現在、全国75モデル都市に5万1550ヵ所の回収センター、341ヵ所の分類センター、123ヵ所の地域回収基地、63ヵ所の収集市場を設立したことなどを紹介。夏氏によると、この事業には30億元が投資されており、中国政府が古紙回収システム構築に本腰を入れつつあることが伺える。
そのほか、同セミナーでは、日商岩井紙パルプ株式会社専務取締役の宮野善己氏による「商社からの古紙輸出」、国際経済研究所理事(中国代表)の?梦樵氏から「浙江省製紙産業の古紙利用の現状及び発展の趨勢」という題目でそれぞれ講演が行われている。


関東鉄源協同組合 販路開拓と需要創出 公的支援受けビジョン策定へ

関東地区の有力鉄スクラップヤードディーラーで構成される関東鉄源協同組合(山下雄平理事長)では、鉄スクラップを取り巻く世界的に大きな環境変化に対応すべく、このほど「活路開拓調査・実用化事業」を立ち上げたと発表した。
同事業は経産省の中小企業庁が所管する全国中小企業団体中央会の平成27年度の「中小企業組合等活路開拓事業」において「余剰化が懸念される鉄スクラップの新たな循環スキーム構築に向けた調査・研究」をテーマとした採択案件となっており、国からの助成事業として実施され、鉄スクラップの新たな販路開拓と需要創出に向けたビジョンを作成することを目的としている。
現在日本の鉄スクラップは年間約800万トンが輸出されているが、これまでの最大の輸出先である韓国は、放射能問題に端を発した日本産スクラップに対する規制強化や国内鉄鋼市場の成熟化で将来的な原料スクラップの自給化が予想されており、また、中国では既に自給化が達成されつつある。同組合の輸出先についても、平成20年以降、25年までは韓国向けが最も多い販売先となっていたが、昨年はベトナム向けが急増、韓国向けは半減しており、中国向けに至っては、25年以降ゼロとなった。他方、近年増加傾向を示している台湾やベトナム等についても、従来の輸出先と比べ市場規模が小さく、安価な中国産ビレット流入の影響もあり、鉄スクラップ輸出は不安定さが拭えないというのが現状だ。
こうしたなかで、組合では今回の事業推進に当たり、9月に東京大学の醍醐市朗准教授を委員長とし、専門家委員に鉄リサイクリング・リサーチの林誠一氏を迎え、山下理事長以下、石井副理事長、金田副理事長、石川副理事長、山口副理事長をメンバーとするとした調査研究及びビジョン策定委員会を設置。①国内外の鉄スクラップ需給に関する現状把握、②輸出競争力確保のための基礎調査、③新規市場に関する現地調査を含む研究を目的として、既に2回の委員会を開催し、林氏による①に関する見通しを踏まえて、新規開拓先市場をインドに設定。今後、インドへの販売に向けた現地調査を行う方針を示している。


川崎資源R協同組合 理事長表彰・特別賞を受賞 27年度高齢者雇用開発コンテストで

表彰を受けた川崎市資源リサイクル協同組合

表彰された川崎資源R組合


厚生労働省と独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構ではさきごろ、 「平成27年度高齢者雇用開発コンテスト」 を開催。 川崎市資源リサイクル協同組合 (川島英一郎理事長) が、 高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰・特別賞を受賞した。 東京・千代田区のイイノホールで開催された 「高齢者雇用開発フォーラム」 において、 受賞者の表彰式が行われた。 他に、 厚生労働大臣表彰最優秀賞に京都中央信用金庫、 優秀賞が㈱田村工務店、 東都金属印刷㈱。 同機構理事長表彰優秀賞に㈲うえだ、 ㈱総合リサイクルセンター黒田、 ㈱オートセンターモリ、 ㈱光真製作所、 ㈱西原屋、 伴冷蔵㈱、 優成サービス㈱がそれぞれ受賞した。
高齢・障害・求職者雇用支援機構は、 高齢者の雇用の確保、 障害者の職業的自立の推進、 求職者その他労働者の職業能力の開発及び向上のために、 高齢者、 障害者、 求職者、 事業主等の方々に対して総合的な支援を行っている組織で、 毎年厚生労働省と共催で、 高齢者雇用開発コンテストを開催し、 高齢者が働きやすい職場環境にするために企業等が行った創意工夫の事例を募集している。
当日のフォーラムでは、主催者である同機構・和田慶宏理事長の挨拶に続いて表彰式が行われた。 次いで、 東京学芸大学教員学部・内田賢教授が 「シニア人材が活躍する社会~企業とシニアが共に豊かになるために~」 と題する記念講演を行った。


環境省 各種リサイクル法の地方分権議論 自治体と情報共有進める方針へ

環境省は先ごろ、中環審循環型社会部会を開催し、各種リサイクル法の地方への権限移譲などについて検討が行われた。将来的な道州制への移行などを見据えて組織された関西広域連合(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、徳島県、京都市、大阪市、堺市、神戸市で構成。以下、「連合」)は先ごろ、国に対して様々な分野での権限移譲の提案書を提出。そのなかで、各種リサイクル法の報告・立入検査および勧告・命令の権限の移譲を求めていた。それを受け、今部会では、連合の代表者を招聘し、ヒアリングが実施されている。
連合側は、地方は廃掃法など多くの環境法令において実務を担っており、廃棄物の減量化や3Rを推進しているが、リサイクル法においては立ち入り検査や報告徴収などができないため、統一的、効果的な指導ができないことや、リサイクル法に関してリサイクル施設の認定状況、指導状況、各省庁がどのような業務を行っているかが、都道府県には全く知らされていないため、指導や相談に対応できないことなどを、権限移譲すべき理由として挙げている。
環境省は昨年、提案書に対しての回答を提出。①全国統一的な観点、②認定した計画は複数都道府県にまたがっていること(都道府県ごとの立入検査では確認などが難しい)などを理由に権限移譲は困難であるとしていた。今回のヒアリングでは、この回答に対し連合が、①については、統一性確保のための基準の設定や技術的支援があれば地方でも対応可能、②に関しては、実際に広域処理されている産廃では各地域ブロックで都道府県が連携しており、関西では関西広域連合が広域行政を担っているため対応可能と説明した。
委員からは「個別リサイクル法の理念を、47すべての都道府県で共有できるか疑問」、「大防法や水濁法などのデータ改ざん事件などを見ると、かつては存在した行政と業者間の緊密なコミュニケーション関係が崩れており、そういったなかで権限移譲するのには不安が残る」、「国と行政との複数窓口になるとリサイクル業者に大きな負荷がかかる。せっかくの良い流れに水を差したくない。」など、権限移譲は慎重にすべきという意見が大半を占めた。しかし、一方で複数の委員から「現状、データ共有ができていないのは大きな問題」との意見が挙がり、「権限移譲しなくても情報共有は出来るので、国も努力して良い関係をつくっていって欲しい。」と、情報共有分野については、環境省が譲歩するかたちで今後議論を進めていくこととした。この問題に関しては、次回までに事務局が方針案を作成する。


鉄スクラップ 逆有償阻む俄か業者 競争条件異なる相手との指摘も

国内外での鉄スクラップ相場の下落が続くなか、業界ではこのところ逆有償化に向けた流れが生まれつつある。鉄スクラップの逆有償化は、相場は1万5000円を割り込む辺りとからも言われるが、市中発生の減少とヤード入荷の低迷などを受け、問屋業者でも利益の確保に向けて有償化が必要との声が高まってきている。ただ、1990年代後半から2000年代初頭にかけて現在よりも相場が低位で推移した時代とは異なり、「逆有償化はそう容易ではない」(某問屋業者)との指摘も聞かれる。
その背景の一つとして中国系などが経営する業界で言うところの「俄かスクラップ屋」の存在が挙げられる。あるスクラップ業者は「逆有償物に最も近い所謂スソ物は、加工処理で化けるため、これまで我々スクラップ業者にとって利益率の高い商品であった。しかしながら、最近いきなり現れた中国系の『俄かスクラップ業者』がこうしたスソ物を高く仕入れはじめ、ここから更に高値で仕入れを行う問屋もおり、逆有償などすれば皆顧客が離れていってしまう」と語る。ただ一方で、今回の相場の下落をきっかけに「儲からなくなった『俄かスクラップ業者』が市場から退出する良い機会になるのでは」(同)という期待感も台頭しているようだ。
しかしながら、中国系スクラップ企業に話を聞くと、「相場下落の影響はあるが、最終的には金集めが上手いところは残る」という。かねてより業界では、スクラップの貿易等を通じたマネーロンダリングの問題もクローズアップされ、少し前に遡れば、関東のある中国系リサイクル企業に欧州で起きた誘拐事件の身代金約1億8000万円が入金され、スクラップの取引金として国内外に送金されたことで、リサイクル会社社長が逮捕されるという事件も起きている。仮にこうした企業がスクラップを隠れ蓑にして、地下銀行とも言えるようなどこからか供給された資金を回転させることが目的であるとするならば、競争条件が大きく異なる鉄スクラップ業界にとっては単なる競合先として対峙出来る相手ではなくなってくる。
いずれにしても、鉄スクラップ相場の中長期的な低迷も見込まれる現状では、各企業ともいかに自らの業を継続していくかが重要なテーマと言えよう。そのなかで、新たな販路開拓や品質向上など競争力のある仕組みの構築を図りながら、これまでの自由な枠組みの下で一定のルールに基づいた適正な処理等を各企業が推進することで、業界を社会からも認められ、選ばれるものにしていくことも必要ではないだろうか。


岡谷市 硬質プラ回収開始 イベントで業者が分別指導

回収プラには衣装ケースが多く

回収プラには衣装ケースが多く


長野県岡谷市はこのほど硬質プラスチックの試験回収を始めた。近年、硬質(製品)プラスチックの回収に取り組む自治体は増加しているが、同市では、イベント回収という形態で実施する。
この取組は、これまで毎月1度、最終日曜日に市内スーパー2カ所で行っていた資源回収の品目に硬質プラスチックを追加し、可燃ごみの減量化、ひいては最終処分場の延命化を目指すというもの。硬質プラスチック回収の問題点として、素人では素材の見分けが難しく、分別が疎かになってしまうということがあるが、今回の取組では収集・原料化を担当する(有)成山商店(成山秀幸社長、同県同市)の従業員が現場に張り付き、分別の指導を行うため、禁忌品の混入なども少なく、品質は良好だという。成山社長は「イベント回収に足を運ぶ人たちはもともとリサイクルの意識が高い人が多く、良い環境でやれている」と語る。
すでに先月27日に第一回目の回収が行われており、2カ所で合計1400kgもの硬質プラが集まった。同市環境課の担当者は「初回ということで回収量は多かった。今後、周知を徹底することでこの数字を維持していきたい。」と語った。また、「衣装ケースやプラ製漬物桶など、通常の可燃ごみの回収では破砕するなど一手間かけなければ出せなかったものが多く出ている印象がある。」とも語っており、潜在的な発生の掘り起しに一役買っているという一面もありそうだ。


廃棄物不適正輸出 東南アジアの規制へ対応 雑品スクラップや偽装リユース議題に

環境省はこのほど、廃棄物の不適正輸出の対策や、環境負荷の低減および資源の有効利用という観点から、循環資源の越境異動の円滑化の在り方について検討会を設置、第一回となる検討会では主に雑品スクラップと中古品輸出に関して議論が進められた。雑品スクラップに関しては、「顕在化しつつある問題」として、①廃電子部品の不適正処理の懸念、②アジアからのシップバック発生、③海上・港湾火災の発生、④家電リサイクル法における回収率の問題の4点が事務局から報告されている。
②に関して、雑品スクラップはこれまで主に、船積み前検査・輸入登録制度が義務付けられている中国向けに輸出されてきた。2013年の中国税関による廃棄物密輸対策の強化(グリーンフェンス行動)などにより、中国への輸出量は減少傾向にあり、東南アジアへ仕向地が移行しつつあるが、東南アジアでもE‐waste(電子機器廃棄物)の規制強化は始まっており、今後、バーゼル条約上の不法取引としてシップバック対象となる可能性が高く(別表参照)、これらへの対策や悪質事案への対応のため、同検討会では制度的な見直しを含め議論される。
具体的には、貨物が輸出先にある状況でも迅速に判断できる、明確なバーゼル法の該非判断基準への是正が検討されるとみられる。また、輸出者に対して回収や適正処理の措置命令を出すことを念頭に置くと、その該非判断にはしっかりとした法的根拠が必要であることや、政省令で対象物品を定めることなどが課題として挙げられている。 また、④に関して環境省では、家電リサイクル法適用品目のうち、およそ1割の155万台が海外に雑品スクラップとして流出していると見ている。今年3月の家電リサイクル法の基本方針改正では、平成25年度の使用済み家電の回収率=49%を、①不法投棄の割合半減と、②不適正処理されたスクラップの割合をできる限り低減することにより、平成30年度までに56%まで向上させるとの方針を掲げており、これの達成のため、輸出向け雑品スクラップにメスを入れたい考えだ。
中古品輸出に関しては主に、中古品を偽装し輸出、現地でスクラップとして金属回収する「偽装リユース」の問題について議論されている。この問題に関しては、故障した電子機器の廃棄物該当性などを定めたガイドラインが、今年5月のバーゼル条約第12回締約国会議(COP12)で採択されており、これを受け中古品基準の見直しが必要とされていた。 今後、中古品基準の見直しに関しては、輸出者による修理完了までの一連のプロセスを証明する方法や、修理の際に発生する残渣の適正処理を担保する要件などが検討されると見られる。また、バーゼル条約・法では、中古品基準に適合しないものはその有害性に応じて規制対象物となることから、雑品スクラップと同様に有害特性の判断基準の整理が必要なことや、バーゼル条約上では相手国に不法取引とみなされた場合は迅速な引取が義務付けられているが、国内バーゼル法ではこうした状況への対処規定が置かれていないことなどが課題として挙げられている。