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WEB資源新報BackNumber 2014年9月

関東鉄源協同組合 第13回通常総会を開催 山下理事長「業界環境変化への対応を」

挨拶する山下雄平理事長

挨拶する山下雄平理事長


関東地区の有力鉄スクラップヤードディーラーで構成される関東鉄源協同組合(山下雄平理事長)はこのほど、群馬県伊香保温泉岸権旅館にて第13回通常総会を開催し、各議案などが滞りなく承認されるとともに、役員改選では山下理事長が再任された。
総会冒頭の挨拶で山下理事長は「現在、業界は大きな変化にさらされている。高炉メーカーの統合や電炉メーカーの廃業、商社における流通再編など、厳しい状況を反映して様々な動きが起きている。こうしたなか、当組合では平成26年度の事業実績では、23万6000トンと数量面では昨年度の実績には及ばなかったが、売上金額は過去最高の78億円を計上するなど素晴らしい実績を残すことが出来た。これは組合員の協力があってのことと感じている。次に、当組合で1番気を付けていることは、品質面、特に放射能の問題である。今年、組合では過去最高の放射能値が検出されるなど、3年が経過した現在でも問題は続いている。ただ、こうした放射能の検出は組合の品質意識の高さの表れでもあり、今後も高い意識を継続して持ち続けていくことが重要だ。なお、既存商社の統合を受けて、入札権を持つ商社が減少することとなるが、これに対し、4社から新規の入札権の申し込みがあった。しかし、過去の基準を照らし合わせるなどした結果、今回は新規の受け入れを見送ることとなった。入札権を持つ既存商社の方には、関東鉄源の入札権を保有しているという事を、緊張感を持って受け止め、プライドを持って入札に参加していただきたい」と述べた。更に、役員改選後の挨拶で山下理事長は「引き続きこれまで組合が積み上げてきたものを粛々とこなしていきながら、目先の事だけでなく、10年先、20年先を見据えた取り組みを行っていきたい。中小がまとまることで色々なことが出来るが、そのなかの1つとして新たな市場としての第2回目となるインドの電炉視察という企画を紹介させていただいた。興味のある方は参加をしていただきたい」と述べた。
影島鉄リサイクル工業会会長

影島鉄リサイクル工業会会長


また、来賓として挨拶に立った日本鉄リサイクル工業会の影島一吉会長は「先に中国の廃鋼鉄応用協会の20周年の記念行事に参加してきて感じたことは、中国のスクラップ業界は発展途上だが、これが整備されて来れば莫大な鉄スクラップが発生し、中国の生産動向次第で中国が輸出国に転じる可能性は否定できない。こうしたなかで、関東の鉄スクラップ業界は遠国への輸出対応が求められており、組合は輸出のパイオニアである。放射能対策や品質への対応も含め、工業会としても大いに注目し、協力しながら組合と共に発展を遂げていければと感じている」と述べている。


廃電池 廃液「廃棄物」に認定 適切な処理求められる事態に

経済産業省はこの程、 使用済み鉛バッテリーを原料とする 「粗芒硝液 (硫酸ナトリウムを不純物として鉛等を含有する溶液)」 (所謂バッテリー廃液) が廃棄物に該当するかどうかの照会について、 「廃棄物に該当する」 と発表した。今回の経済産業省の公式発表によって、 国内で許可無く粗芒硝液 (以下廃液) 取り扱う場合は、 規制に沿った処理施設の下での適切な処理が求められることになり、 今後廃バッテリーを解体する場合は、 廃掃法に基づく処理基準の遵守等の措置がそれぞれの事業所に求められることになる。
使用済み廃バッテリーを由来とするこれらの有害廃液については、 国内鉱山はもとより市中の2次製錬事業者においては、 廃掃法に基づく許可を所持しているが、 近年これらの許可を所持していない事業者等が高値での売買を目的に使用済み廃バッテリーを解体、 不適切な廃液処理を行いながら巣鉛だけを高く売るという事例が散見される事態となっている。当初は、 使用済み廃バッテリーの解体処理を行う事例についても、 専門の廃酸・廃アルカリ廃棄物を取り扱う事業者がこれらを処理していたものだが、 コスト低減を狙った違法な廃液処理のケースも出現する等、 環境問題にたいする深刻な影響が取り沙汰される事態を迎えている。
業界内で伝えられる事案については、 国内で発生した廃バッテリーを輸出する事業者が、 「売値とのバランスを見ながら巣鉛に解体して商売をしている」 ケースが取り沙汰されているようで、 これら事業所周辺の環境問題は 「相当厳しいもの」 になりつつあるというのが実情だ。廃液が漏れない状態のケースのままで流通しているものは、 有価物として取引されている廃バッテリーだが、 これが解体されると特管物となる廃液が生じることになり、 関連事業者の廃バッテリーに対する取り扱いについてはより慎重な処理が求められることになりそうだ。


容リ協会 前年度比2万トンの増加 25年度の事業実績を公表

(公財)日本容器包装リサイクル協会まとめの25年度協会事業実績によると、25年度は協会経由で分別基準適合物の再商品化を行った自治体等は1546市町村(東京23区含む)で、全国1742市町村(26年1月1日現在)の88・7%に当たる。1年間に協会が市町村から引き取った分別基準適合物の総量は、ガラスびん、PETボトル、紙製容器包装、プラスチック製容器包装の4素材合計で124万トンとなった(前年度122万トン)。協会がリサイクルを委託する再商品化事業者は25年度は199社(24年度207社)となり、再商品化製品量は4素材合わせて計96万トン(24年度94万トン)となっている。
次に、25年度の再商品化実施委託料収入は計7万6571社(24年度7万4371社)の特定事業者から徴収した約393億円(24年度約403億円)に市町村が負担する小規模事業者分の約4億円(24年度同)を加えた約397億円(24年度約407億円)となり、このうち、再商品化事業者に支払ったリサイクル費用(再商品化委託料)は約381億円と、前年度とほぼ同様の結果となった。25年度中の使用済みPETボトル等の有償入札収入は約74億円(24年度約85億円)で、消費税相当分を差し引いた市町村への拠出金額は約69億円(24年度約81億円)となった。25年度の有償拠出は785市町村等(24年度783市町村等)に対して行なわれた。
また、20年度から導入さている「資金拠出制度」は再商品化の合理化・効率化の成果を、事業者と市町村が分け合うというしくみで、24年度分として25年9月に1533市町村等に特定事業者より受託した計19億円(24年支払額計24億円)が支払われた。なお、協会のなお、25年度のリサイクル事業経費は約23億円(支出合計の約4・7%)で、主な内訳は租税公課(6億円)、コンピューターシステム費用(4億円)、再商品化事業者の設備等の調査費用(4億円)、人件費(3億円)など。


スズトクHD 資源受け入れ量は114万6500トン 「環境報告書2014」を発刊

金属スクラップを中心とした総合リサイクル事業を手掛けるスズトクホールディングス株式会社(伊藤清社長)ではこのほど、「スズトクグループ環境社会報告書2014」を発刊した。 報告書によれば、スズトクグループ8社による2013年度の資源受け入れ数量は前年度比78300トン増の114万6500トン、再資源化量は同比7万6900トン増の99万2700トンとなった。これにより、スズトクグループの2013年度の再資源化物の社会還元率は昨年度と同じ約86%となったとした。
資源物についての品目ごとの受け入れ量は、金属スクラップが84万5100トンとなったほか、産業廃棄物4万5900トン、廃自動車19万3900トン、廃自販機9700トン、廃家電4万9300トン、古紙2600トンなど。再資源化量は、回収鉄92万1000トン、非鉄金属5万8400トン、製紙原料2900トン、その他再資源化物1万400トンなどとなっている。
一方、事業活動に伴う発生廃棄物量は、受け入れ資源物量の増加に伴い16万6280と前年度比2万1190トンの増加となった。うち、焼却が11万4300トン、埋立が5万1700トン、破壊(フロン)が280トンなど。使用エネルギーについても、電力、燃料などいずれの項目も増加した結果、CO2排出量も2万7800t―CO2へ増加している。
なお、スズトクグループでは、今年7月にタイでの合弁会社も設立、日本の高度なリサイクル技術の提供を通じたASEAN地域における環境負荷の低減と資源の有効活用に向けた取り組みをスタートしており、今後のグループの更なる飛躍が期待されるところだ。


トーチインターナショナル 東知富昌銅業を設立 被覆線輸出と電気銅輸入販売へ

中国向け製紙原料を中心に金属スクラップや廃プラスチックなどの再生資源輸出事業のほか、植物貿易や太陽光発電による売電事業など多角的な環境ビジネスを手掛けるトーチインターナショナル株式会社(本社・東京都港区赤坂、龍国志社長)は、日本からの銅スクラップ輸出及び中国の電気銅の輸入販売事業を手掛ける新会社「東知富昌銅業株式会社」を設立する。新会社は、中国にてシームレスパイプの製造を行う天津大無縫集団の子会社で銅精錬・電気銅製造を手掛ける河北大無縫建昌銅業有限公司との合弁企業となり、資本金は9800万円。このうちトーチインターナショナルは50%を出資、新会社の代表には龍国志社長が就任する。
東知富昌は、月内に営業をスタートし、被覆電線を中心に、二号銅、真鍮などの銅スクラップを対象に、当初月間3000トン程度の輸出を行う予定で、将来的には月間1万トンの取り扱いを目指す。銅スクラップは河北大無縫が中国河北省及び遼寧省に持つ精錬工場に納入し、河北大無縫で製造した電気銅の輸入販売については、マーケットの動向を見ながら、1年内に開始をする予定だ。
龍社長は「雑品のような品質の安定しないものを一切やるつもりはなく、日本からピュアな銅原料を買い付けていくとともに、高品質な電気銅を日本のマーケットに提供することで、両国間の貿易の適正かつ安定的な発展に貢献していきたい」と語っている。なお、トーチインターナショナルは龍国志氏が三井物産自動車部に在籍後、平成13年9月に設立。以降、中国向け古紙輸出などを通じて業容を拡大し、昨年度(9―8月)売上高は110億円。


国土交通省 建設発生土対策など 「建設リサイクル推進計画2014」を策定

社会資本整備審議会環境部会ほかがさきごろとりまとめた「建設リサイクル推進に係る方策」を受けて国土交通省がこのほど、「建設リサイクル推進計画2014」を策定した。建設リサイクル推進に向けた基本的考え方や目標、具体的な施策を示したもの。建設副産物のリサイクルについては、資源有効利用促進法により排出・最終処分量が大きいアスファルト・コンクリート塊、コンクリート塊、建設発生土を重点対象品目として、発生主体や利用主体となる公共工事を対象にリサイクル原則化ルール等規制的手法を中心に施策が進められてきた。また、平成12年には循環型社会形成推進基本法が公布され、3R~熱回収~適正処理の優先順位が明確化され、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」で完全施行の14年度以降はコンクリート、木材、アスファルト・コンクリート等特定建設資材廃棄物の分別解体と再資源化が義務づけられた。また、この法律を契機に公共工事以外の民間工事でも特定建設資材廃棄物のリサイクルが促がされ、建設廃棄物全体の再資源化・縮減率は平成17年度に92%、20年度に94%、24年度に96%と着実に向上した。
しかし、こうして建設副産物のリサイクルが着実に成果を挙げる一方で、3Rの最上位に掲げられる発生抑制については24年度の建設廃棄物排出量が20年度比13・9%増となるなど、取り組みは十分とは言い難い状況とされる。また、不法投棄に関しても全体としてかなり減少してはいるものの、不法投棄量・不適正処理量の約75%(24年度)を建設系廃棄物が占めていることから、引き続き適正処理の推進が求められている。今回の「建設リサイクル推進計画2014」ではこうした現状を踏まえ、現場分別や再資源化、再生資材利用が不十分な者への取組みの促進、建設発生土の有効利用促進(官民でのマッチング強化)等の重点施策が示されているほか、平成30年度を目途とした建設リサイクル関連指標の目標値が設定されている。計画期間は26~30年度の5ヵ年。
建設リサイクル推進計画2014で新たに取組むべき重点施策として、以下の7分野(計16施策)が示されている。
①建設副産物物流のモニタリング強化(混廃・木材・汚泥の直接最終処分要因、建設副産物物流、再生クラッシャランのストック状況等)、②地域固有の課題の解決、③他の環との統合的展開(木材焼却時の熱エネルギー回収の導入事例・効果の周知)、④工事前段階の発生抑制の検討、⑤現場分別と施設搬出徹底による再資源化・縮減の促進(現場分別が可能な混入物の分別搬出の徹底要請、混廃木材汚泥の再資源化要請、優良施設の把握と搬出推進)、⑥建設工事における再生資材の利用促進(再生資材利用徹底の要請、建設汚泥の先進的な利用事例の周知(自ら利用、個別指定制度の活用、汚泥処理土利用など)、再生資材の品質基準や保証方法の確立)。


トーチインターナショナル 太陽光での売電に参入 奈良に3500坪の発電所を開設

トーチインターナショナルの太陽光発電所

トーチインターナショナルの太陽光発電所


製紙原料を中心に、金属スクラップや廃プラスチックなどの各種再生資源貿易などを手掛ける株式会社トーチインターナショナル(本社・東京都港区赤坂、龍国志社長)ではこのほど、太陽光発電事業に参入したと発表した。
トーチインターナショナル太陽光発電事業所は、奈良県五條市に開設され、システムサイズは640kW。敷地面積は約3500坪で、総投資額は2億2000万円ほどとなっており、今年6月27日の開設から試験運転を経て、先月より本稼働に入った。同社が関西電力と契約している太陽光発電の固定買取価格は36円/kWh(20年)で、8月の売電による売上は、天候が安定しなかったものの270万円を計上したとしている。
同社は、平成13年9月に設立以降、古紙の中国向け輸出を中心に業容を拡大。金属スクラップや廃プラスチックと言ったその他の再生資源のほか、近年では中国政府が解禁した植物(イヌマキ)の貿易事業も開始するなど、事業の多角化を進めているが、今回の太陽光発電事業への参入もその一環として行ったもの。
太陽光発電事業について龍社長は「今回の投資は、銀行の100%融資で行い、グリーン投資減税の対象となる一括償却も出来ることから、弊社のキャッシュフローの改善にもつながる」としており、冬場は発電効率が落ちるため、今後の気象条件にもよる部分はあるものの、年間3000万円程度の売り上げを見込んでいる。また、同社では「今回の事業が上手くいけば、第2の発電所の開設も検討していく」(龍社長)方針だ。


環境短観 温暖化対策分野がけん引 環境ビジネス全般に好調維持

環境省では平成22年12月から、半年ごとに「環境経済観測調査」(環境短観)を実施しているがこのほど、今年6月調査(調査期間6月2日~7月4日)の結果をまとめ公表した。調査は全国の資本金2000万円以上の民間企業のうち資本金別、業種別の層化無作為抽出で選定された1万1500社余りに対して行われ、有効回答数は4915社、有効回答率は42・5%となった。我が国の環境ビジネス全体の業況と調査対象企業のビジネス全体の業況、 実施中の環境ビジネスの業況等について現在の状況と半年先、10年先の見通し等について聞いている。
その結果、環境ビジネスを実施している企業から見た自社の環境ビジネスの現況(今年6月時点)は業況DI(「良い」の回答割合から「悪い」の回答割合を引いた値、ポイント)については「22」となり、前回調査(昨年12月)の「17」から5ポイント増加した。全ビジネスのDI(12)や日銀短観(7)と比べても高い水準で、引き続き業況は好調さを維持していると判断されている。
また、環境ビジネスの先行きについても半年先、10年先ともに引き続き業況は良くなるとの見通し(半年先のDI「24」、10年先のDI「27」)となった。環境ビジネスの4大項目とされる環境汚染防止分野、地球温暖化対策分野、廃棄物処理・資源有効利用分野、自然環境保全分野の中では、特に地球温暖化対策分野の業況DIが高く、全体を牽引している。なお、業況判断の要因については、現時点では取引先(顧客)からの受注を、半年先においては産業界全体の景気の良さを、10年先においては海外市場の発展を見込んでいる企業が多いことがわかった。


家電リサイクル法 指導件数は60%超え 25年度分の事業者立入検査

経済産業省などではこのほど、 平成25年度における 「特定家庭用機器再商品化法 (家電リサイクル法)」 に基づく小売業者への立ち入り検査実態を取りまとめたが、 444件の立ち入り調査の内、 270件で指導が行われ、 延べ件数579件に上る不適正事項についてそれぞれの事業者に指導を行った。前年24年度の立ち入り検査件数503件に対して指導が行われたのが219件で、 率としては全体の43%に止まり、 今回の指導件数が全体の60・1%に跳ね上がっているが、 この背景には、 不適正な処理が巷間伝えられ、 家電リサイクル法の実態に対する関心が高まっていることが挙げられている。
今回の調査で不適正取り扱いが明らかになったのは270件の立ち入り検査で、 指導の総件数は579件に上り、 このうち最も多かった指導項目は管理票の扱いで336件に達し、 これが全体の 58・0%を占めている。平成13年4月に施行された特定家庭用機器再商品化法 (家電リサイクル法) は、 廃家電4品目 (エアコン、 テレビ、 電気冷蔵庫、 電気洗濯機・衣類乾燥機) について、 消費者による適正な排出、 小売業者による消費者からの引き取り及び製造事業者への引き渡し、 製造業者による指定引き取り場所における引き取り及び家電リサイクルプラントにおける再商品化等を推進している。経済産業省及び環境省では、 再商品化等に必要な行為の実施状況を把握し、 その結果を踏まえて必要な指導を行うため、 家電リサイクル法第53条に基づく立ち入り検査を実施している。
指導の内訳を見ると、最も多かったのが管理票そのものの取り扱いに関するもの336件で、 以下、 収集・運搬料金の公表57件、 廃家電の保管が46件、 収集・運搬の委託45件、 廃家電の引渡し25件で、 その他が70件に上っている。 (複数の指導が行われた場合があるため件数が多くなっている)


建設リサイクル 地域固有の課題解決など 推進方策で最終まとめ

国交省の社会資本整備審・建設R推進施策検討小委員会では、今後中期的に取り組むべき建設副産物のリサイクルや適正処理等の推進方策について審議しており、6月に取りまとめ案へのパブリックコメントを実施した。意見募集の結果を踏まえてこのほど、「建設リサイクル推進に係る方策」をまとめた。国交省では「建設リサイクル推進方策」の提言を受けて、新たな「建設リサイクル推進計画」を策定する。
建設R推進計画2008では、「関係者の意識向上と連携強化」「持続可能な社会実現のための他環境政策との統合的展開」「民間の取り組みを軸とした建設リサイクル市場の育成と技術開発の推進」を柱に、多角的な各種施策が展開された。24年度の建設副産物実態調査では、建設副産物の再資源化・縮減率は96%と着実に向上している一方で、一部で目標未達成となった品目(建設混合廃棄物、建設発生木材)があった。また、社会資本の維持・更新や東京五輪に向けたインフラ関連工事の増大など、建設リサイクルを取り巻く状況変化を踏まえた場合、今後の建設副産物の発生増加への対応が急務となる。
今回の提言では、中期的に目指すべき方向性として①将来的な建設副産物発生増への対応、②地域ごとの建設リサイクルの課題、③循環型社会形成に向けた貢献──を主要課題とした。そのうえで新たに取組むべき重点方策として、①建設副産物物流のモニタリング強化、②地域固有の課題解決の促進、③他環境政策との統合的展開への理解促進、④工事前段階での発生抑制の検討促進、⑤現場分別・施設搬出の徹底による再資源化・縮減の促進、⑥建設工事での再生資材の利用促進、⑦建設発生土の有効利用と適正処理の促進──等7分野16方策を示した。
関係者の連携強化や市場の育成、発生抑制、現場分別と再資源化・縮減といった引き続き取り組む37方策と併せて着実に実行することにより、建設副産物の発生抑制・再資源化・再生利用・適正処理等の一層の推進が期待されるとしている。


自動車リサイクル法 見直しへの検討開始 質向上や制度のあるべき姿など

自動車リサイクル法の見直しに向けた経済産業省の産業構造審議会と環境省の中央環境審議会の第32回の合同会合がこのほど開催された。今回の合同会合では、自動車リサイクル法に関し、これまでの施行状況の報告や関連する自主取り組み状況、また、施行状況の評価のほか、リサイクル高度化・効率化に向けた取組などが報告された。今回の会合以降、9月以降より義務者・関連事業者へのヒアリングが実施される予定で、来年1月以降に見直しに向けた論点整理と方向性に関する報告書が取りまとめられる予定だ。
前回の見直しでは、不法投棄対策やリサイクル率向上、また、義務者・関連事業者の適切な責務の履行が主な目的となっていたが、今回の見直しでは自動車における3Rの推進・質の向上や制度の安定的かつ効率的な運用、今後の自動車リサイクル制度のあるべき姿などが検討されることとなっている。取り上げられている現在の制度上の具体的課題としては、中古車と使用済み自動車の取り扱いの明確化やリユース部品利用促進、発煙筒・タイヤ・鉛蓄電池の収集処理体制構築、自動車リサイクル高度化、不適正詩処理対策のほか、次世代車含む新規技術など中長期的な変化に対する制度対応などだ。
なお、自動車リサイクルの実績については、平成25年度の使用済み自動車引取台数は343万台。再資源化実績についてもフロン291万1189台、エアバッグ類227万3857台、ASR(自動車シュレッダーダスト)317万4446台が引取・処理されたが、再資源化率はエアバッグ類85%、ASR94~95%と法定基準を大きく上回る実績となり、平成17年度法施行当初、自動車1台当たりの最終処分量が64㎏あったものが、25年度には6㎏にまで低減した。また、環境負荷物質についても、鉛の使用量削減や水銀、六価クロム、カドミウムの使用禁止などを達成するなどの成果も見られた。
他方、法における平成25年度末の事業者登録状況については、引取事業者が4万2281事業所となり、法施行当初の8万8122事業所から半減したほか、フロン類回収業者も1万2408(施行当初2万3387)とこちらも半減。以下、解体業者は5687(同6251※みなし許可業者含む)、破砕業者1194(同1224)といずれも減少している。更に、このうち情報管理センターに登録された事業所のうち、実際に引取実績のあった事業所は引取業者1万8918、フロン類回収業者4423、解体業者3996、破砕業者1019となり、制度内での実質的な稼働状況は厳しいものとなっていることも伺える。


東京都廃棄物事業協同組合 実態に沿う制度見直しを 事業環境改善で要望書

各種リサイクルシステムの進捗に伴う処理対象量の減少や処理費用の下落など廃棄物処理事業を取り巻く環境が厳しさをますなかで、特に事業系一般廃棄物の処理に関しては発生源対策と併せ、処理先となる行政への対応が課題となる。東京廃棄物事業協同組合(豊城勇一理事長)はではこれまで、各区の行政窓口の一本化や持ち込み手数料改定に伴う顧客への協力要請等事業環境改善に向けたさまざまな取組みを行っている。組合ではさきごろ、23区課長会に対し、「清掃事業に関わる懸案事項」として、積み替え保管許可問題等4項目に関する要望書を提出している。
小売流通業や市民生活の多様化等に伴い、廃棄物の排出形態も多様化が進み、現在は24時間、365日の引取が排出事業者の要求するところとなっている。一方、施設の休業期間(年末年始)に一般廃棄物を運搬車に積載したまま駐車する「積置き」に必要な「保管・積み替え」許可の取得に際し、施設構造や設備等厳しい要件があり、多くの事業者が対応に苦慮していることから、こうした社会情勢の変化に鑑みて、排出事業者の需要に滞りなく対応するため、各清掃工場の受入れ体制の見直しを求めている。また、こちらもかねてから懸案となっている弁当ガラの扱いについては、同様性状の家庭系ごみ及び小規模事業者発生(区収集)が焼却処理されている現状を踏まえ、事業系のものについても家庭系と同様の分別基準の適用を求めている。
その他、小規模事業者に対する廃棄物処理法の遵守・分別等の指導強化、家庭系粗大ごみの扱いの制度整備(一廃処理業者が家庭系粗大ごみを扱えるよう)等を求めている。