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WEB資源新報BackNumber 2014年5月

関東商組第51回通常総会 大久保理事長を再選 古紙の安定供給体制に尽力

挨拶する大久保理事長

挨拶する大久保信隆理事長


関東製紙原料直納商工組合(大久保信隆理事長)ではこのほど、東京都荒川区のホテルラングウッドにて第51回の通常総会を開催、大久保信隆理事長を再選した。以下、大久保理事長の挨拶。
「皆様に前期50周年事業に協力いただき、50年の温故知新や、次の中国経済と古紙業界の目指す方向が決まり、100年に向けた第一歩を踏み出すことが出来た。日本経済はアベノミクス効果で緩やかな回復基調が続いており、消費増税前の駆け込み需要からの反動も弱い動きで生産もおおむね横這い。雇用情勢も改善されているほか、物流コストも上昇している。平成25年度の紙・板紙生産は2624万トンで前年比1・1%増加、古紙回収量は2186万トンで同比0・5%増加、回収率80・4%、使用量1693万トン、利用率63・9%で輸出489万トンとなった。古紙市場は需給タイトが続き、仕入れ過当競争や行政の高値入札が各地で見られた」。
「今年の需給ギャップは474万トンと予測しているが、3月までの輸出は予想平均より10万トン少なく、その分国内メーカーに納入された。メーカー在庫が増えた感はあるが、関東商組32社の4月裾もの3品在庫率は13・2%、在庫は3万4757トン。特に段ボール在庫率は9・5%、在庫1万2899トンと極めて少なく、メーカーが古紙価格を下振れに持っていくことは大変危険であると思う」。
「当組合のとってもう一つの喫緊の課題は古紙持ち去り行為の撲滅である。自治体と連携したGPS調査により持ち去りは減少しているが、組合員以外の業者が常習的に行っており、警告を続けてもまだ買い入れを止めていない。「業界の先人たちが築いた『古紙業界は循環型社会の優等生』ということを汚しており、これから国、自治体など関係各所と連携して刑法の適用を求め、持ち去り撲滅を図りたい」。


北九州市 古着の一貫リサイクルシステム 自動車向けに安定した需要を確保

北九州市が新たに、回収した古着を自動車用内装材原料として活用するリサイクル事業をスタートさせた。市では家庭ごみとして年間約1万7000トン古着(家庭ごみの約8・6%)をリサイクルし、自動車用内装材として北部九州に立地する自動車メーカーに供給する地域循環型のリサイクル事業の本格稼働化に踏み切った。従来の古着リサイクル事業とは異なり、自動車用部材として高い付加価値と確実な需要先を確保したこと、地域循環型リサイクルシステムを確立したことが特徴的。さらに、この事業には故繊維リサイクルとしては異業種のクリーニング業界が参画しており、回収から再製品の製造、利用まで一貫したシステムの構築は国内でも初となる。
日本特殊塗料と繊維商社のチクマが北九州市内で古着を回収・自動車用防音材に再生し、九州北部の自動車各社の工場に供給する。回収にあたっては市内のクリーニング店(11店)や市の施設などに回収ボックスを設置、年間1500トンの回収を見込んでいる。
回収した古着は関係企業の出資で新たに設立された繊維製品リサイクル会社のエヌ・シー・エス(北九州市)が選別、原材料化の加工処理(反毛処理)をしたのちに製造工程となる日本特殊塗料に引き渡す。同社はこれを原材料として自動車のエンジンルームなどに使われる防音材を製造、日産自動車九州(福岡県苅田町)などに供給する。


P箱 需要拡大が急務に 強力な要請で一部メーカー切り替えも

このほど開かれた東京壜容器協同組合総会で、日本P箱レンタル協議会から直近のP箱レンタルの動向が報告されている。同協議会はびん流通専用ケース(P箱)のレンタル事業3社─新日本流通㈱、㈱フーズコンテナー、㈱宝永エコナで組織、P箱の適正な流通環境の整備とレンタルP箱の需要拡大等に取り組んでいる。
同日の東壜組合の報告によると、昨年度は消費増税の影響と他素材容器の侵攻もあって、特に主力の1・8リットルびんが前年度比81・3%と落ち込み、自主回収認定(18条認定)が危ぶまれる事態となっている。びん業界では毎年、酒造組合中央会、蒸留酒組合、醤油組合等の1・8リットルびんを利用するメーカーに対し、需要拡大に向けた要望書を提出している。昨年度についてもこれまでと同様、①段ボール出荷からP箱出荷への切り替え、②回収びんの使用拡大、③新びん使用時の空P箱の調達方法の検討──等を要望している。こうした要望は3年前から継続的に行われている。
また、地域の回収業界の取組みとしては大阪の壜問屋組合がさきごろ、九州地区の日本酒メーカー、焼酎メーカー、調味酢メーカー等6社(新びん出荷時に段ボールを使用)あてに個別の文書を送り、是正を求めた。P箱出荷への切り替えについて改善が見られない場合、これらメーカー製品の1・8リットル空びんは組合として原則、回収しないことを伝えるなど、強力な姿勢で臨んでいる。同時に、地域の酒販小売業界に対しても、段ボール出荷で発生するバラびんの対応に苦慮している現状を説明し、協力を求めた。
そうした取組みの結果、鹿児島の焼酎メーカーでは段ボール出荷からP箱出荷への切り替えを決定し、同社の製品で年間約90万本が新たなP箱出荷に移行することとなった。大消費地である地域のびん商が連携してアクションを起こしたことが大きなインパクトとなったもの。協議会では同様に、大商地である東京でも、こうしたインパクトのある動きが必要なのではないかと提言している。


調査報告義務付けなど 石綿飛散防止強化で省令公布

建築現場での石綿飛散防止対策を強化するため、昨年改正された「大気汚染防止法」の施行規則改正省令がこのほど公布された。中環審「石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)」を受け、石綿の飛散防止対策を強化、健康被害を防止するため昨年6月、大気汚染防止法の改正が行われた。この改正では、①特定工事の実施届出義務者の変更、②解体等工事の受注者への事前調査、調査結果の説明や掲示の義務付け、③都道府県知事等による立入検査等の対象拡大──等が行われている。
施行令の一部を改正する政令では報告及び検査について、環境大臣(または都道府県知事)は、解体等工事発注者と受注者に対して、新法省令で定める事項と規定による調査報告を求めることができるとした。自主施工者に対しても同様。また、環境大臣・都道府県知事は職員に対し、解体等工事が行われる建築物等または解体等工事現場に立ち入り、解体等工事により生じた廃棄物その他関係帳簿書類について検査させることができるとした。また、特定粉じんの排出等作業を伴う工事(特定工事)となる建築物等、現場についても立ち入りのうえ、特定工事建築物等や特定粉じん排出等作業に使用される機械器具・資材(特定粉じんの排出・飛散を抑制するためのものを含む)、関係帳簿書類について検査させることができる。なお、改正法の施行期日は6月1日となる。
なお、さきに行われたパブリックコメントでは、発注者に一定の責任を担う事を改正した部分に関して一定の評価が見られた一方で、発注者の責任感向上に更に厳しい改正も視野にいれるべきとする意見や、調査結果の掲示等で発注者の理解が得られない場合の対応等を懸念する意見があった。


2R推進へ検討課題まとめ 容器包装リサイクル制度見直しで合同会合

産構審廃棄物・リサイクル小委員会容器包装リサイクルWGと中環審容器包装3R小委員会の第10回合同会合がこのほど開かれた。容器包装リサイクル法の見直しに向け、これまで行われてきた現行制度の評価と課題等に関する合同会合での検討結果を踏まえ、各テーマ別の論点が整理されている。今回の会合では容器包装のリデュースの推進、リユースの推進について、それぞれ現状を踏まえた背景と今後検討すべき課題を整理した。
法の対象となる容器包装の使用量はプラ製容器包装の場合で24年度約148万トンで、うち製造段階で付される製造業用途の容器が106万トン(全体の72%)、販売段階で付される小売用途の容器が約30万トン(約21%)、包装が約11万トン(約7%)となっている。商品の製造から流通にはさまざまな主体が関わっているが、特に容器包装の7~8割を占める製造業用途の容器包装に関するリデュースの取組みが重要とされている。製造段階におけるリデュースの取組みでは事業者の自主的な取組みと併せ、事業者と消費者の連携による取組みや、リデュース商品が選択されるような消費者啓発・動機づけ等の方策を検討すべきとされた。
これまでにも容器包装の軽量化・薄肉化・詰め替え商品の利用等により容器包装の使用量削減も一定程度進んでおり、ペットボトルの24年度実績では16年度比で1割超の軽量化が達成されている。また、消費者への動機づけ等についても、容器包装重量の軽い商品を明確化するなどして消費者の選択を促した結果、より軽量な容器包装の開発が進んだ。さらに、販売段階での使用削減の取組みについて、レジ袋無料配布の禁止や削減目標の達成義務化等の強制措置、定期報告制度や地域の協定制度等を通じた取組み強化が検討課題とされた。
これらに対して各委員からは、8団体の自主行動計画にも見られるように関係団体ですでに相当程度の取組みがなされていることや、容器の素材特性によっては削減にも限界があるとする意見や、容器特性や業態の特性を考慮せずに一律に一定割合の削減を求める流れに警戒感を示す意見が見られた。一方で現状以上の削減成果を求めるには事業者の自主的な取り組みに期待するだけでなく、ある程度の強制力を持った削減ルールを示すことも検討すべきとする意見も聞かれた。


優良認定制度 直近1年で27%の増加 環境配慮法、特例措置効果も

優良産廃処理業者認定制度は施行から3年が経過し、優良認定業者も全国で700社を超えている。さらに、環境配慮契約法の対象業種に産業廃棄物処理業が加わったことから、優良化認定が公共調達で有利になることや、昨年8月には優良認定の申請のために前倒しで許可更新の申請ができるようになったことなどから、優良認定業者数は急速に増加、引き続き増加傾向で推移している。
環境省のまとめによると、今年3月末時点で4956件の許可が優良認定されている。業者数では713業者となり、直近1年間で27%(191業者)増加した。地域別(本社所在地)では東京都の80業者が最多で以下、大阪府の54業者、愛知県の52業者、福岡県の44業者、神奈川県の39業者となる。また、認定件数では神奈川県の251件が最も多く、以下、大阪府の241件、愛知県の234件、千葉県の203件、兵庫県の198件の順となる。累計の許可件数では1年間に29%(1459件)の増加となった。
昨年8月、環境省通知で「許可更新期限の到来を待たずして許可の更新を行う場合の優良認定の付与について」が発出されたことも、直近の認定業者数の増加に大きく寄与した。これまでは制度施行の2011年4月1日以降に許可更新を行った許可証については、5年後の許可更新時まで優良認定を申請する機会がなかったが、今回の措置によって同日以降、一度だけ優良認定を伴わない許可更新をした場合についても、5年後の許可期限を待たず前倒しで優良認定を伴う許可更新ができるようになった。業界の要望に応えたもので、施行直後に許可の更新を迎えたため、通常の5年許可の更新を行ってしまった処理業者への救済措置となった。
また、優良認定業者数が増加傾向を示している背景として、認定機会の増加とともに公共調達での優位性があげられる。環境配慮契約法の基本方針が昨年3月に見直され、公共調達による産廃処理委託の入札で優良認定業者の優位性が担保された(処理業者の環境配慮への取組みや優良基準への適合状況などをポイント制で評価、一定基準を上回る業者に入札参加資格を与える)。自治体等でも同様の対応が進むものと見られ、評価方法を簡素化して優良認定業者であることを入札参加資格として処理委託する例もでている。


安全性への信頼高め 汚染廃棄物安全対策検討会を設置

対策地域内廃棄物・指定廃棄物などの事故由来放射性物質に汚染された廃棄物(特定廃棄物)については、一部では処理事業が具体化、実際の処理が進んでいるが、一方で処理・処分施設の整備の遅れから保管の長期化が懸念されている。環境省では、処理状況の評価と情報の共有化により安全性への信頼を高め、汚染廃棄物の処理を加速させるため、安全対策等を検討する組織として新たに「放射性物質汚染廃棄物に関する安全対策検討会」を設置した。このほど第一回会合が開かれ、指定廃棄物・対策地域内廃棄物等の処理の現状が報告された。
警戒区域・計画的避難と区域内の廃棄物(対策地域内廃棄物)、一定濃度を超える放射性物質を含む環境大臣が指定した廃棄物(指定廃棄)は国の直轄事業として処理されることとなっている。また、これら特定廃棄物以外の汚染レベルの低い廃棄物については、廃棄物処理法の規定に基づき市町村が処理する(一定範囲に特別の基準が適用される)こととされている。
特定廃棄物の処理の進捗状況については、福島県内対策地域内の処理では10市町村のうち3町村(富岡町、飯館村、川内村)で仮設処理施設の設置工事が進行中のほか、3市町村(南相馬市、浪江町、葛尾村)で施設設置に向けた事業者の選定または発注予定となっている。残り4町については候補地の提示あるいは処理方針検討中という状況となっている。
また、指定廃棄物については3月末の時点で1都11県で焼却灰(産廃・一廃)、浄水発生土、下水汚泥、農林業副産物等で合計14万3689トンが指定されている。これら指定廃棄物の処理に関しては24年3月に国が処理方針を示しており、多量に発生、保管がひっ迫する関係5県については国が必要な処分場を集約して設置することが決まっている。これまでに栃木県と茨城県で候補地が提示されたが反発が強いことなどから地元への説明には至らなかった。現在、候補地選定にいたる新たなプロセスが検討されている。


産廃業界 2期連続で過去最高に 昨年10~12月の業況判断で

(公社)全国産業廃棄物連合会がまとめた2013年10~12月期の産業廃棄物処理業景況動向調査の結果によると、同期の景況判断DIは▲2となった。連合会が2009年に調査を開始して以来、過去最高を2期連続で更新している。調査は今年1月にアンケート形式で行われ、回答企業数419社の結果を集約したもの。以下は調査結果概要。
2013年10~12月期の景況判断を「悪化」とした企業は全体の18%となり、前回調査(2013年7~9月期20%)から2ポイント改善した。「好転」とした企業は16%でこちらも前回調査(9%)から7ポイント改善した。ともに前回調査より改善され景況判断DIは▲2となり、前回調査(▲11)からは9ポイントの改善となっている。
業況感DIの内訳を見ると、「売上高」は21で前期から28ポイントの改善、「処理量」は19で同26ポイントの改善、「契約単価」は▲2で同6ポイントの改善、「営業利益」は1で同14ポイントの改善、「資金繰り」は▲2で同2ポイントの改善、「借入難易度」は8で同1ポイントの改善、「設備投資」は2で同4ポイントの改善、「従業員数」は3で前期(2013年7~9月)と同水準──等となった。 また、今後の景況感の見通しについては、景況判断DIで▲5となり、悪化する見込みとされた。売上高の動向については、前年同期比(3ヶ月平均)で10・7%増となったほか、処理量の動向でも前年同期比(3ヶ月平均)で11・0%増となった。
経営上の問題点についての問いでは、1位が「同業者相互の価格競争の激化」で、以下、「人件費以外の費用増加」、「需要の停滞」、「顧客先からの値下げ要請」の順となった。前回調査と比べ、「人件費以外の費用増加」(12・6%→15・7%)、「従業員の不足」(5・9%→8・9%)の回答が増えている。


電子マニフェスト 多量排出業者7割未加入 2016年度50%目標へ新たな促進策も

環境省は昨年10月、「電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップ」を策定、2016年度までに電子マニフェストの普及率を50%に引き上げる目標を掲げた。そのため、新たな手法による普及促進策やシステムの利便性の向上、サービスの拡充等に取り組むとしている。これまで排出事業者や公共工事を発注する公共団体といった上流への働きかけが進むなかで、受注する産廃処理業者についても、排出事業者の動向に沿った対応が求められている。
九都県市首脳会議(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市)廃棄物問題検討委員会では、廃棄物問題に関する諸施策を実施する中で、ロードマップに示された普及率の達成に向けた普及拡大に取り組んでいる。昨年度は今後の普及促進策を実施するにあたり、九都県市管内の電子マニフェストの利用状況等調査を実施している。
それによると、九都県市の産業廃棄物処理許可業者(66455件)のうち電子マニフェストを導入している許可業者は18900件で、加入率は28・4%となる。区分別では産業廃棄物収集運搬業が25・2%、同処分業が40・3%、特別管理産業廃棄物収集運搬業が61・9%、同処分業が38・6%となっている。また、排出事業者の加入状況では最も加入率が高い建設業で50・1%、次いで製造業の31・7%となり、全業種合計で30・7%となっている。九都県市では建設業、製造業、電気・ガス熱供給・水道業の加入が全国に比べて低いほか、多量排出事業者の7割が電子マニフェストに加入していない。これら未加入の多量排出事業者と処理業者(収集運搬業者の75%、処分業者の60%が未加入)への働きかけが課題となる。


三立機械工業 低品位銅回収で受賞 26年度文部科学技術賞

文部科学大臣表彰に出席した中根昭会長

文部科学大臣表彰に出席した中根昭会長


使用済み被覆電線等から銅等の有用金属を回収する設備で代表的な剥線機や銅ナゲットプラントを製造する三立機械工業㈱ (中根亮一社長・千葉市) はこの程、 平成26年度の科学技術分野における文部科学大臣表彰で、 科学技術賞 (技術部門) を受賞した。 表彰式は4月15日 (火) 12時から霞が関の文部科学省3階講堂で行われ、 それぞれ開発部門、 研究部門、 科学技術振興部門、 理解増進部門、 若手科学者賞他と共に行われ賞状を授与された。
受賞対象となったのは 「低品位廃電線リサイクル装置の開発」。 通信技術の向上による自動車、 OA、 家電、 通信機器等に用いられる細い電線の流通量が飛躍的に増加している中で、 銅の含有量が少なく、 複層する金属も多いこれら廃電線からの銅分回収のための処理と分別・回収は極めて困難なものとなっているが、 同社はこれら低品位の廃電線からの高効率な回収技術を可能にしている。
同社では 「電線くず高品位回収装置」 (特許4823392) 「光ファイバーケーブルのリサイクル方法及び装置」 (特許3974901) 等の特許技術を駆使して、 水中比重差の制御と流体解析に基づく流路設計により、 電線の粉砕時に発生する被覆剥離が不完全な銅線の混入を完全に防止できるシステムを構築している。
更に水流方向や流量分布を最適制御することで、 表面張力によって浮上し、 回収が困難であった微粉銅に至るまで銅を沈降回収させる技術を確立、 比重では分離しにくい真鍮等と銅を分離できる篩 (ふるい) 機も製作している。この装置の開発によって低品位廃電線からの高品位の銅分を回収することが可能となり、 これまで採算性が低く、 国内再資源化業界から敬遠されてきた低品位廃電線リサイクル産業を、 国内に新しい産業として定着させることに寄与している。


普通鋼電炉業 統合などの効率化が重要 鉄スクラップのバーゲニングパワー強化を

経済産業省は先ごろ、日本の普通鋼電炉業の競争力強化に向けた調査報告書「諸外国の電炉業の経営動向や原材料・電力コストの動向を踏まえた我が国電炉業の競争力強化による省エネルギー対策調査事業」を公表した。 同調査は国内市場縮小や電力コストの増加、国際的な競争激化など、我が国電炉業が非常に厳しい状況に直面していることを踏まえ、諸外国電炉業の経営動向や原材料市場の動向、電力コスト・原材料コストの低減による省エネルギー対策を検討しつつ、我が国電炉業の産業構造、サプライチェーン等に与える影響について調査を行ったもの。今年に入ってからも、大三製鋼、中央圧延、新北海鋼業などが電炉事業から撤退するなど、国内普通鋼電炉各社は厳しい環境にさらされている。
報告書では、我が国の普通鋼電炉業について、原料である鉄スクラップは国内需要を十分まかなえるだけの発生が存在すること、また、エネルギー利用効率についても他国と比べ非常に高いことなどが優位な点としながらも、鉄スクラップについては輸出量の増加に伴う市況影響や現状でも高い電力料金に更なる上昇圧力がかかっていることなどが問題となっていると指摘。更に、製品についても、電炉製品は建材中心で各社の差別化が難しく、今後縮小が見込まれる国内需要に対しても能力過剰にあるとした。 また、各社の取り組みについても、一部が海外生産に乗り出しているものの、多くのメーカーが単一製品の生産にとどまり、国内の限られた地域に販売する形となっているため、事業ポートフォリオの分散が図られておらず、収益が低下しているなどとした。
これらの点を踏まえ、競争力強化の方向性として、①産業廃棄物の活用などを進め、更なる省エネ化とコスト削減を図ること、②ゼネコンの工法効率改善に資するような製品の高度化による付加価値創造を図ること、③コスト削減や資産の効率的運用に向けたアライアンス・統合の進展、④事業ポートフォリオ分散に向けた海外事業展開、⑤製品販売及び原料調達における競争力強化、を示している。このなかで、鉄スクラップに関しては、自らが子会社化した鉄スクラップ業者からの調達や長期契約による調達などを図り、電炉メーカーのバーゲニングパワーの強化を図っていくことも重要としている。


株式会社高良 地域復興に多大な貢献 創立100周年式典に400名

高良の100周年パーティー

高良の100周年パーティー


資源リサイクルと廃棄物処理を広範に展開する㈱高良(高橋隆助社長、本社=福島県南相馬市)はこのほど、創業100周年の記念式典を開催した。衆議院議員内閣政務次官で復興大臣政務官の亀岡偉民議員、桜井勝延南相馬市長をはじめ、関係業界・団体の代表など400名余りが全国から出席、同社の創立100年を祝った。
㈱高良は1913年(大正2年)に福島県相馬郡で「高良商店」として創業以来、古紙・鉄スクラップを中心とする再生資源全般を扱うリサイクル業と一廃・産廃の収集運搬、処分業を地元を中心に広範囲に展開している。現在、福島県南相馬市の本社・本部を置くほか東北地方に12の営業所を展開する。リサイクルと廃棄物処理を一貫して行う「トータルリサイクルの高良」として、簡単に「埋めない」「焼かない」をモットーに究極の資源化と適正処理を行っている。
2011年度には「3R推進協議会」会長賞を受賞するなど業界を代表する存在となっている。東日本大震災では災害廃棄物の処理・資源化に取り組むなど東日本の復興に貢献した。式典の開催にあたり高橋社長は、「当社100年の歴史は先達のたゆまぬ努力の積み重ねと、支えて下さった多くの皆様方のお力の上に成り立っている。100年を節目に、改めて社員一同、「リサイクルで社会に貢献」を実現し、100年後も社会から求められ、貢献できる企業であるべく精進したい」と述べた。