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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2014年4月

2020年目途に需給構造確立へ エネルギー基本計画が閣議決定

新たなエネルギー政策の方向性を示した「エネルギー基本計画」が閣議決定された。エネルギー基本計画は2002年6月に制定されたエネルギー政策基本法に基づき03年10月に第1次計画が策定され、07年3月に第2次計画、10年6月に第3次計画が策定されている。
第3次計画では2030年に向けた目標として、エネルギー自給率と化石燃料の自主開発比率を倍増、自主エネルギー比率を約70%とすることや、電源構成に占めるゼロ・エミッション電源(原子力・再生可能エネ由来)の比率を約70%とすることなどとされたが、東日本大震災や原発事故など、エネルギー政策自体が大規模な調整を求められる状況となった。第4次計画は、こうした変化に対応するための新たなエネルギー政策の方向性を示すものとなっている。
中長期(今後20年程度)のエネルギー需給構造を視野に取り組むべき政策課題と長期・総合的、計画的なエネルギー政策の方針を示している。特に、電力システム改革を始めとする制度改革の進展と併せ、北米からのLNG調達など国際的なエネルギー供給構造の変化が日本に及ぶ時期(2018年~20年を目途)までを安定的な需給構造確立の集中改革期間と位置付け、この間のエネルギー政策の方向を定めた。再生可能エネルギーについては2013年から3年程度に導入を最大限加速させるとし、そのための系統強化や規制合理化、低コスト化等の研究開発を着実に進める。


直富商事 本社第二工場を開設 古紙中心とした総合リサイクル拠点に

直富商事本社第二工場

直富商事本社第二工場


長野県下を中心に、金属スクラップをはじめとする総合リサイクル事業を手掛ける直富商事株式会社(本社・長野県長野市大豆島3397番地6、木下繁夫社長)では、かねてより進めてきた本社工場隣接地の第二工場をこのほどオープンした。本社第二工場は、これまで本社に隣接していた紙製品の倉庫を一昨年同社が買い取り、昨年より開発を進めていたもので、敷地面積は約2700坪。事務所棟と工場棟からなり、工場棟には渡辺鉄工製150馬力ベーラーのほか、新聞・雑誌選別機、田中衝機工業所製50トン台貫などを導入。更に古紙ライン以外にも、廃プラスチック処理ラインや古着、小型家電、機密書類などを扱うラインも配置。工場の総工費は2億8000万円ほどとなっている。
新工場について木下社長は「これまで本社工場で扱ってきた金属スクラップ以外の品目で、近年特に古紙の伸びが目立っており、本社工場では手狭となっていた。こうしたなかで、隣接工場の方から用地売却のお話をいただき、今回の第二工場開設に至った。今後、本社工場を金属、古紙その他のラインを第二工場と役割分担させつつ、各種再生資源の取り扱いを増やし、地域に密着した百年企業を目指したい」とコメントしている。
渡辺鉄工製ベーラー

渡辺鉄工製ベーラー


直富商事は主に鉄・非鉄スクラップ(月間約8000トン)を主体としつつ、古紙や廃プラスチック、廃棄物処理などを手掛ける静脈産業の総合商社として67年の歴史を積み重ねてきたが、中でも同社の古紙扱い量は、平成25年実績は本社工場だけで23年比2割増となる年間2万4000トンほどにまで成長している。今回の第二工場の開設により、古紙扱い量増への対応とともに廃プラスチックや古着、小型家電などを総合的に扱うことによるシナジー効果の強化が図られることも期待される。更に第二工場は環境にも配慮した先進工場ともなっており、屋根には太陽光発電パネル270枚を設置。年間発電量5万kwh以上を見込んでおり、これに伴うCO2排出削減効果は約1万6000㎏/年と、地域に必要とされる企業としてCSRへの取り組みにも積極的だ。このほか、直富商事ではTポイントシステムも導入し、今後、一般廃棄物や建屋解体などを同社に依頼した顧客に対して、金額に応じたTポイントを還元する仕組みを構築するなど、総合リサイクル企業としてソフト・ハード両面で多様な取り組みを進めており、今後の同社の更なる飛躍が期待されるところだ。


無許可業務の禁止など リユース業を取り巻く法的環境

使用済み製品のリユース市場の拡大・活性化と新たなシステム構築に向けた取組みが各地で進められている。「我が国におけるリユースシステムの在り方に関する検討会」ではリユースの現状と課題等を検討する過程で、無許可業者による市中からの回収や現行制度に抵触するおそれのある流通実態等が指摘されている。そこで同検討会では、特にリユース業を取り巻く環境関連法の法的環境について整理し、リユース業が順守すべき法規制関連(環境関連法)をまとめて事業者および排出者となる市民への周知・啓発を行うこととした。
循環型社会形成推進基本法では基本原則として、リユースをリサイクルより上位に位置づけており、直近の改正では基本計画で「リサイクルに比べて取組みが遅れているリデュース・リユースの取組強化」を施策の柱としている。特に事業者の責務として、リデュース・リユースの取組みを求めている。事業者がリユース品をき取る際の順守事項では、一般家庭から出る一般廃棄物の収集・運搬・処分には市町村の許可(一廃収集・運搬業)が必要であり、許可を持たない者がこの業を行うことはできないとしている。廃棄物かどうかの判断はその物の性状や排出状況、取り扱いの形態、取引価値の有無等で総合的に判断される。なお、下取り行為については商習慣として行われかつ、自ら収集運搬する場合には許可が不要だが、自治体により対応が異なるため、確認が必要としている。
また、特定の条件を満たす場合、引っ越し業を行うリユース業者が引っ越し業務と同時に転居廃棄物をリユース品と一緒に運ぶ場合、一廃収運許可は不要だが、書面での委託であることや転居廃棄物二限ること、一廃書の基準を満たすこと等の要件がある。また、事業所等の引っ越しで発生する産廃については産廃収運許可が必要となる。リユース品の輸出はバーゼル法等の規制対象とはならないが、規制対象物でないことの証明が必要となる。


関東鉄源協同組合 大余剰時代への対応を 林氏「2030年の需給ギャップ1500万トン」

関東鉄源協同組合での講演会

関東鉄源協同組合での講演会


関東地区の有力鉄スクラップヤードディーラーで構成される関東鉄源協同組合では、今月7日の定例の役員会にて、我が国を中心とした鉄スクラップの調査・研究を行っている株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一氏による「鉄リサイクル業の方向性」と題する講演を催した。
同組合の山下雄平理事長(株式会社ヤマシタ社長)は、講演の趣旨について「国内の鉄スクラップを取り巻く環境は大きく変化しており、直近では地場メーカーが2社も事業から撤退するなど、我々の扱う鉄スクラップの売り先は減少傾向にある。このように内需低迷が進むなかで、更なる外需への対応が求められているが、日本のスクラップの輸出は韓国など近隣諸国を中心としているのが現状だ。今夏の講演で我々鉄リサイクル業が置かれている現状と将来展望をうかがい、業としての方向性を考えたい」とコメントした。
講演で林氏はまず、鉄スクラップの内需について現状を、2013年電炉2510万トンは4年ぶり高水準としながらもリーマン前との比較で590万トン減、90年度比で1000万トンも減少していると指摘。また、電炉需要の好転は形鋼を主とし、丸棒は鉄筋工不足などから伸び悩みにあり、形鋼についても不透明感が台頭していると分析した。その上で、鉄スクラップの国内需要については、2019年までの短期展望として①高炉はトラブル対応程度、②電炉は震災・オリンピック需要などで2018年頃まで緩やかな需要、③特殊鋼・鋳物メーカーは堅調持続としたが、2020年以降の中長期では①高炉は余剰銑鉄・リターンくず輸出を展開、鉄スクラップ輸出とマーケット競合、②電炉は下降トレンドで業界再編加速、③特殊鋼・鋳物は自動車EV化で部品点数半減、産機も海外移転進展で戻らずとした。 一方、鉄スクラップの国内発生は、2030年までで微増或いは横這い程度が予想されるとし、結果として中長期の需給ギャップは拡大。2013年需給ギャップ(≒輸出)は890万トンから2030年には1500万トン程度まで拡大が見込まれ、需要開発の着手が急務であることを述べている。

鉄スクラップ輸出 インドに大きな期待 韓・中は輸入減から将来競合も
ただ、この需要開発(輸出)についても、現状約90%を依存する韓国・中国向けについて分析すると、日本と似た需要構造を持つ韓国も電炉シェアの低下が著しく、更に鉄鋼蓄積量の増加から鉄スクラップ輸入は2013年926万トン(うち日本470万トン)が、2020年に半減、2030年には0になると予想。中国も鉄鋼業界の伸びの鈍化するなかで、スクラップ輸入は減少傾向。今後、鉄鋼蓄積量の増加から、韓・中の二国は将来的に日本の輸出の競合先になる可能性が高いとした。
なお、近年、伸びの目立つベトナムについても、2013年粗鋼生産560万トンから伸びも予想されるが、中国の安価なビレット流入や銀行弱体化による経済低迷で、韓国や中国の減少分を中長期的にカバー出来ないと結論付けた。 こうしたなかで、林氏は新たな市場として期待されるのがインドを取り上げている。インドは2013年粗鋼8121万トンが2020年に2億トンまで拡大が計画されるなか、2012年の鉄スクラップ輸入は817万トンとアジア第二位の輸入国となっているものの、日本からの輸入は僅か1万6000トンにとどまっている現状であり、インドメーカーの多様性を踏まえた対応を図るために更なる調査の必要性を訴えている。
最後に、林氏は関東地区における鉄リサイクル業の今後として、国内最大の供給基地である関東の最大品目であるH2をどうするかについて触れている。2019年まで日本から韓国への輸出量は300~350万トン程度で推移し、減少分をベトナム・東南アジアがカバーするが、問題は2020年以降、電炉の需要減で全国300~500万トンほどの需要喪失を予想。電炉が消費していたH3以下300万トン(関東80万トン)の行先消失の可能性があることから、H3以下のシュレッダー投入による高級化やH2の短尺化によるH1化などで需要先を拡大する必要性を指摘、そしてこの環境激変への対応をまずは日本をけん引する関東の業界に求めた。


食品リサイクル 「熱回収」評価も現行維持 合同会合で個別課題を討議

食品リサイクル制度の見直しを行う食農審食品R小委と中環審食R専門委の第9回の合同会合が開かれた。昨年7月にまとめられた論点整理を踏まえて進められている個別の論点討議の最後となり、食R法見直しの柱となる食品廃棄物等の再生利用・熱回収、食R制度に関する主体間の連携・普及啓発ほかがテーマとなった。食R法では食品廃棄物の再生利用について、各業種別の目標値(実施率)とそれらを達成するために各関連事業者に適用される基準実施率の算定方法が定められている。食品循環資源の再生利用では肥料化・飼料化、炭化燃料・還元剤、油脂・油脂製品、エタノール、メタン等の利活用のほか、利活用の困難なものについては熱回収等が行われている。
見直しにあたっては、循環型社会形成推進基本法の基本原則や、地域循環圏の発想といった観点も踏まえつつ、再生利用手法の優先順位を明確化する必要があるとしている。環境保全を前提に「モノからモノへ」の利用となる飼料化を最優先に、次いで肥料化・メタン化(消火液を利用する場合に限る)とし、これらが困難なものについてメタン化等のエネルギー利用を行うこととしている。再生利用が進まない流通や外食の取り組みを進めるため、メタン化による地域分散型エネルギーの創出と消化液等の利用を行うメタン化施設の導入支援を行うとしている。
また、「熱回収」については、エネルギー効率で再生利用と比較して特段、優位な差が見られないことから法の基本原則を踏まえ、熱回収の条件等については現段階で変更することは妥当ではないとした。ただし、他の手法での利用が困難で、熱回収がメタン化より高いエネルギー効率があるものも現状では条件の複雑さから熱回収が十分検討されない場合があることから、施設立地状況その他、関連事業者への適切な情報提供が必要としている。


大規模災害 事前の体制構築など 巨大地震発生時の処理対策まとめ

「巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会」の第6回会合がこのほど開催された。巨大災害発生時の取組の基本的な方向を示す中間とりまとめとして、「巨大災害発生時における災害廃棄物対策のグランドデザインについて(案)」が承認された。大規模災害の発生に備え、廃棄物処理システムの強靱化に関する総合的な対策を検討するため昨年10月に同委員会が設置され、災害廃棄物の発生量や既存処理施設の処理可能量等についての試算結果をまとめ、災害廃棄物が地域に与える影響やそれらの処理に必要な対策が議論されていた。
その結果、「巨大災害の発生に向けた対策のあるべき方向」として、5つの事項──①膨大な災害廃棄物の円滑な処理の確保、②発災前の周到な準備と発災後の迅速な対応、③衛生状態の悪化・環境汚染の最小化、④強靱な処理システムの確保と資源循環への貢献、⑤大規模広域災害を念頭に置いたバックアップ機能の確保──を示し、そのためのハード・ソフト両面での課題に取り組む必要があるとしている。今年度以降はこのグランドデザインに沿って全国の災害廃棄物対策を促進し、全国単位、地域ブロック単位で災害廃棄物対策を具体化するため国や自治体、関係民間団体による連携・協力体制についての検討を進めるとしている。
発生が懸念される南海トラフ巨大地震では液状化や揺れ、津波、火災で最大約3億5000万トン(可燃物4626万トン、不燃物7362万トン、コンクリートがら1億6863万トン、金属1956万トン、柱角材1386万トン、津波堆積物2722万トン等)が発生すると推計された。同様に首都直下型地震が発生した場合は液状化や揺れ、火災で関東地方で災害廃棄物が最大で約1億1000万トン(可燃物510万トン、不燃物3570万トン、コンクリートがら6433マントン、金属401万トン、柱角材151万トン等)が発生すると推計されている。
また、要処理量の試算結果と既存の廃棄物処理施設での災害廃棄物処理可能量(中位シナリオ)試算結果との比較によると、南海トラフ巨大地震では被害広範囲に及び、全国統計で焼却処理に6~8年程度、埋立処分に8~20年程度を要するとされた。首都直下型地震では関東地方内で焼却処理に3~4年程度、埋立処分に8~26年程度を要するとされている。


製品リユース 事業継続性に課題も 環境関連法の法的環境を整理

環境省の「使用済み製品等のリユース促進事業研究会」の第14回会合が開かれ、25年度の市町村の使用済み製品リユースモデル事業として実施された群馬県前橋市と神奈川県葉山市それぞれの事業成果が報告された。 研究会では製品リユースの実情把握と併せ、民間のリユース業界と連携した自治体主導のリユースモデル事業を実施し、製品リユース拡大への課題と支援策のあり方等について検討している。各地でさまざまな試みによるモデル事業が実施され、相応の成果をあげた例も報告されているが、コスト採算性等の課題もあって、事業の継続性については厳しい結果も報告されている。
一方、これまでの検討過程で各種リサイクル法の対象となる使用済み製品の流通や無許可業者による市中からの回収など、特に現行法に照らして問題のあるリユースの実態も見られ、それらが使用済み製品のリユース市場拡大の阻害要因となっていることも指摘されている。こうしたことから研究会では、リユース業界を取り巻く環境関連法の法的環境について整理し、リユース事業者と消費者それぞれに製品リユースを行ううえでの留意点等を周知していくこととしている。今回の会合では環境関連法の法的環境整理(案)が事務局より示されている。
リユース業界は古物営業法に基づき中古品の売買を行う業態となるが、近年、市場規模は拡大傾向にあり、環境負荷低減に寄与する業として注目されている。一方、リユース業が順守すべき関係法令は盗品売買の防止を目的とする「古物営業法」や消費者の損害防止と利益保護のための「特定商取引に関する法律」「消費者契約法」など多岐にわたる。特にこれらの法律についてはすでにリユース業界では遵守・認知されていることを前提に、今回の整理では環境関連法として「循環型社会形成推進基本法」「廃棄物処理法」「家電R法」「小型家電R法」を対象に説明している。


特定有害廃棄物 輸出入ともに大幅な増加 韓国への鉛蓄電池流出などで

国ではこのほど、バーゼル法に規定する特定有害廃棄物の平成25年における輸出入の状況について取りまとめた。それによれば、平成25年に我が国から実際に輸出された特定有害廃棄物は20万307トンとなっており、前年実績(12万466トン)と比較して大きく増加を見せている。品目は主に鉛スクラップ(鉛蓄電池)、金属含有スラッジ、石灰灰などで、韓国向け鉛蓄電池がそのほとんどを占めている。
一方、実際に輸入された特定有害廃棄物についても、3万2222トンで前年実績(9663トン)比でこちらも大幅な増加を見せた。主に金属回収を目的として、電子部品スクラップや貴金属含有スラッジ、電池スクラップ(ニッケルカドミウム、ニッケル水素、リチウムイオン)などの品目が輸入されている。
なお、輸出については承認申請を受けて環境省が事前に相手国に通告が行われた件数が77件33万806トン、相手国から同意を得て、経済産業省が輸出承認を行った件数が72件40万5167トンとなり、輸出予定量も前年対比で大きく増加。輸入についても相手国へ輸入の同意を行ったものが103件9万6273トンとこちらも件数数量とも大きく増加。特定有害廃棄物の輸出入はここ数年、右肩上がりの増加が続いており、平成25年の実績はこれまでを大きく上回る過去最高の水準となった。


日野市資源リサイクル事業協同組合 災害時支援で地域貢献 緊急物資輸送で日野市と協定

日野市と協定を結んだ日野市資源リサイクル事業協同組合の土方十四江理事長(左)

日野市との協定


日野市資源リサイクル事業協同組合(土方十四江理事長)はこのほど、日野市との間で災害時の防災協定を締結した。同組合は現在、日野市の委託を受けて再生資源の分別回収事業を行っているが、資源リサイクルの事業と併せて地域貢献につながる取組みにも関心を持ち、積極的な姿勢を示していた。
一方、東日本大震災を教訓に緊急時の対応について、自治体が地域の関係業界と連携した体制の構築を模索する動きが全国に広がりつつある。特にさきの震災では地震により交通機関が被害を受けたことに加え、自治体も被災したことで行政機能が停滞し、発災直後の資材や緊急物資の物流にも多大な影響が見られた。こうしたことから日野市では、同組合からの協力の申し出を受けて「災害時における緊急支援物資等の輸送に関する協定」を締結したもの。通常の業務を通じて市内の道路事業に精通した組合員が緊急物資等の輸送にあたるため、極めて効率的かつ迅速な物資の輸送が可能となる。
なお、通常使用する資源回収用車両は一般廃棄物の輸送を目的に取得されたナンバーであるため、支援物資等の輸送には使用できない。そのため組合では、緊急時の物資輸送には組合員がそれぞれ所有する白ナンバー車両を使用することとした。発災時の道路事情等を考慮し、大型4トン車から小回りの利く軽自動車まで19台を提供できる体制を整えている。さらに組合では、災害時に大量に発生する廃棄物等の撤去、運搬についても法的規制の範囲内で協力していきたいとして、許可を持つ組合員に協力を呼び掛けるなどしている。
今回の協定締結に際して土方理事長は、「災害はあってはならないものだが、万一の場合の備えは必要。特に、緊急時に市民に緊急物資等を届けるという仕事は、平時から地域をくまなく巡り、住民の皆さんと直接交流している我々が行うことが最も効率的。」と、今回の取組みの意義を強調した。なお、協定の締結式は今月25日(火)、組合事務所で行われた。将来的に発生が懸念される南海トラフ巨大地震や首都直下地震では、さきの震災をはるかに上回る規模の被害が想定され、市民の救助と併せて発生直後の支援体制の構築が喫緊の課題となっている。支援物資の輸送で、地域の資源組合が自治体とともに協力体制を構築する例は全国でも初となる。


容器包装リサイクル法 法改正の論点を整理 合理化策、プラ製の扱い等が焦点に

容器包装リサイクル法の見直しにあたり、議論の方向性や勘案すべき検討の視点などを整理するため産構・中環両審議会専門委員会の合同会合が開かれていたが、このほどこれまでの検討結果に基づく論点整理が行われた。会合では容器包装の製造・利用業界や再商品化業界、自治体等容リ制度で役割を担う関係者が現行制度の評価と課題、見直しを求める点等を意見として出し合い、全体討論でそれら意見の集約化が進められてきた。
分別収集から再商品化に至る現行の容リシステムと役割分担については相応の成果が認められるとして各主体とも概ね評価し、現行の仕組みを維持していくことでほほ意見の一致が見られた。その一方、費用負担の仕組みでは自治体に過重な負担がかかっている、あるいは事業者責任が過少に設定されているなどとした意見や、選別保管の合理化の提案、ごみ処理費用への影響等も併せたコストの透明化等を求める意見なども出た。
また、プラ製容器包装の再商品化手法のあり方(優先順位等)や、プラ製容器、ペットボトル等で同等の性質を持つ事業系発生物の扱い、分別収集の対象品目(扱い品目)の拡大など分別収集の仕組みについてもさまざまな意見が示された。特に今回の改正では再商品化手法の優先順位の扱いが大きなテーマの一つとなりそうだ。また、「ただ乗り事業者」対策の強化や適正な費用分担など制度の公平性の担保についても、何らかの取組みが求められることになるもよう。


全びん連・関東連絡協議会 新商材開拓に意欲 関東甲信越びんリユース推進協設立へ

関東甲信越びんリユース推進協議会

関東甲信越びんリユース推進協議会


新たなびんリユースシステムの構築とリターナブルびん利用拡大などの取組みをめざす『関東甲信越びんリユース推進協議会』の準備会第5回会合がこのほど、全国びん商連合会事務局会議室(東京・中央区)で開かれた。各種関連法の整備などで3Rのうちリサイクルについて相応の成果が見られる一方で、リデュース・リユースの取組みの遅れが指摘されている。そうしたなかで、特にリユースシステムの象徴的な素材であるガラスびんについて、環境省では23年度に専門の検討会を立ち上げ、リユースシステムの現状と課題の整理、新たなシステム形成の可能性等について検討を重ねてきた。また、その過程で、びんリユースシステム構築に向けた実証事業が各地で実施され、成果を上げている。
平成25年度の実証事業では、全国びん商連合会・関東連絡協議会の『関東甲信越におけるびんリユースシステム構築の実証』が採択された。同協議会では今年度、事業実施に向けた対象地域でのびんリユースの現状を調査、整理したほか、地域内の中身メーカー(酒類、飲料ほか)を対象にリユースびん容器利用拡大の可能性等について調査、働きかけを行ってきた。併せて、新たなリユース事業の実施主体となる「関東甲信越びんリユース推進協議会」の設立に向けた準備、調整を行った。新たに設立される推進協議会は消費者団体、中身メーカー、員所靴販売業者、自治体、びん商を構成メンバーに立ち上げられ、外部委員として明治大学・寺田良一教授とびんリユース推進全国協議会事務局の小沢一郎氏の参加が決まっている。
今会合では実証事業のまとめとして、推進業議会の立ち上げを含め、今年度の関東連絡協議会の活動成果が報告された。なお、『関東甲信越びんリユース推進協議会』は新年度早々にも設立、設立及び第1回会合が開かれる予定となっている。


古紙持ち去り問題 再三の警告も効果なく 非組合員への対策が急務に

関東製紙原料直納商工組合(大久保信隆理事長)では、持ち去り行為と持ち去り古紙の市場流通を防止するための取組みとして昨年10月、持ち去り行為に由来する古紙の買い入れを行っていることが確認された事業者に対して組合として警告を発し、事業者名を明示したうえで警告を発した事実を公表することを明らかにした。今年2月、常習的な持ち去り古紙の買い入れを行っていることが確認された古紙問屋A社に警告文書を送り、その旨を事業者名を明らかにして公表した。しかし、その後も同社による持ち去り古紙の買い入れが繰り返し行われていることが判明したことから、組合はこのほど再度、文書による警告を行った。
同組合を中心に行われているGPSを活用した持ち去り行為と不正流通古紙の追跡調査では、持ち去り古紙の正規流通ルートからの排除と、持ち去り行為そのものの抑止などで相応の成果が得られた。一方で、持ち去りの実行者と持ち去り古紙買い入れ業者が非組合員である場合、組合が課すペナルティーの効果が希薄であるため、十分な成果が得られないという実態もわかった。今回のA社についても非組合員であることから、組合からの再三にわたる是正勧告を無視するかたちで不正古紙の買い入れ継続的に行われている。 持ち去り行為を行う者の多くは市区町村の行政域を越えて移動するが、持ち去り対策に関する自治体条例は罰則規定の軽重も含め各自治体によって内容がまちまちであり、広域的に移動する違法回収車両に対して統一的な対応がとれないことが、不正行為の取り締まりの障害となっていることが指摘されている。
関東商組と連携して持ち去り対策に取り組む東京都資源回収事業協同組合(吉浦高志理事長)では、GPSを使った調査および抑止策の成果を踏まえ、さらに一方進んだ取組みとして、都内全域に及ぶ共通ルールの必要性を訴えている。広域的に移動する持ち去り車両や、持ち去り古紙買い入れ業者への取り締まりが可能となるような都条例の制定に向け、今後、各方面に働きかけていきたいとしている。業界団体に所属しないアウトサイダーへの対策は民間レベルでは限界があり、より強制力を持った防止策を講じるには明確な法的裏付けが必要となる。
なお、今回のA社に対する警告発出に至る経緯は以下の通り。
▽1月29日 東京都八王子市がGPSをセットした古紙が持ち去られ、同社のヤードに持ち込まれる。
▽2月21日 組合が同社に対し、3度にわたり持ち去り行為を買い入れている事実が確認されたことを示し、こうした行為を直ちに中止する旨を文書により警告した。同時に、当初の取り決め通り、警告の史実を事業者名とともに公表した。
▽3月7日 東京都町田市がGPSをセットした古紙が持ち去られ、A社に持ち込まれる。
▽3月17日 組合は再度警告を発するとともに、その事実を事業者名とともに公表した。