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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2014年2月

がれき破砕施設が急増 平成23年度の産廃施設設置・許可状況

環境省のまとめによると、平成24年4月1日時点で許可を受けている産業廃棄物処理施設は全体で2万870施設で、前年度の2万1194施設から324施設(約1・5%)減少している。そのうち中間処理施設は全体で1万8880施設で、前年度から267施設(1・4%)の減少となった。
施設の種類別では「木くず又はがれき類の破砕」が全体の50%を占め、以下、「汚泥の脱水」が同16%、「廃プラスチック類の破砕」が同9%となっている。これら中間処理施設のうち、新規に許可を受けた木くず又はがれき類の破砕施設は269施設で、新規許可施設の半数以上を占めた。新規に許可を受けた焼却施設は32 施設で、こちらは前年度と比べて増減はない。また、最終処分場については全体で1990施設となり、前年度から57 施設減少している。新規に許可を受けた最終処分場は11 施設で、前年度比で13 施設の減少となった。
また、産業廃棄物処理業許可の状況について見ると、24 年4月1日時点での産業廃棄物処理業許可の件数は21万1062件で、前年度より7万7739件の減少となった。特別管理産業廃棄物処理業許可の件数は2万2868件で、前年度から8946件の減少となっている。処理業許可件数が大幅に減少したことについては、平成22 年の廃清法の一部改正により、「産業廃棄物収集運搬業許可」と「特別管理産業廃棄物収集運搬業許可」が合理化されたことが主な原因とされている。


アルミ缶需要見通し 196億缶で過去最高に 14年は非アルコール類が増加に

アルミ缶リサイクル協会 (理事長・白井啓一ユニバーサル製缶社長) は 14日、 2014年暦年の飲料用アルミ缶需要見通しを発表した。それによると過去最高量を記録した2013年暦年の194億5000万缶を1%上回る196億4000万缶を想定している。
需要の内訳を見ると、 ビール (発泡酒、 新分野を含む) が101億缶で前年比1%の減少と連続した減少傾向に歯止めは掛からない状態が続いているものの、 ビール以外の缶チュウハイ等 「その他のアルコール飲料」 の増加が見込まれる他、 ノンアルコール飲料やコーヒー等の 「非アルコール」 向け等も増加する見通しとなっている。ビール以外の飲料は87億缶で、 前年の84億缶から3%の伸びという高い率が想定されている。他方、2013年に減少したボトル缶も14年予測では20億缶で横這い。2013年のボトル缶減少は急増した2012年の反動によるもので、 当面は横這いを想定。また輸入量状況で見ると、 2013年に第3のビール等が前年比13%という大幅な増加となったことから、 14年は8億5000万缶での横這いを見込んでいる。
2013年の実績見込みで194億5千万缶を記録し、 前年比2%の伸びとなったアルミ缶需要に関しては、 コーヒー関連がスチール缶からアルミ缶に替わる動きがあったことや、 昨年の猛暑で炭酸系の飲料需要が急増したこと等が挙げられている。


再生可能エネルギー 来年度調達価格算定へ 太陽光以外の導入加速も課題

再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)で、来年度の買取価格を算定するための協議が始まった。さきごろ開かれた第12回調達価格等算定委員会では、来年度の価格算定にあたり、再生可能エネルギー市場の直近の状況等が報告された。固定価格買取制度の適用を受けるには、再生可能エネルギー発電設備に大臣の認定を受けることが必要となるが、制度開始(平成24年7月)から昨年10月末までに認定を受けた設備は約2621万kWで、このうち全体の93%(2453kW)が太陽光発電(住宅用・非住宅用)となった。風力・地熱など太陽光以外の発電設備は、その開発にあたって環境影響評価や地元調整により数年程度を要することから、現状では1年前後で開発可能な太陽光に認定が集中しているものと見られている。なお、同期間に新たに運転を開始した設備は約585万kWとなり、制度開始前に比べて約3割増加している。
太陽光以外の状況を見ると、大型風力は固定価格買取制度の適用を受けた新規運転開始実績は10件となった。大型風力の場合、事前の調査や環境アセスメント等で運転開始までに4~7年程度を要するため、現時点では制度施行前から準備されていた案件が運転開始となっているもの。また、小型風力については、制度の適用を受けた新規運転開始実績は1件のみ。中小水力発電に関しては、現時点で制度の適用を受けた新規運転開始の実績は200kW未満区分で22件、200~1000kW区分で7件となり、1000kW以上区分では実績はない。ただし、買取制度の開始でこれまで採算性の問題から開発を見送っていた案件が見直されるなど、開発に向けた動きが活発化しているほか、老朽化した設備を改修するなどして事業を継続しようとする事業者が増加している。
また、大規模地熱については固定価格買取制度の施行を受けて開発機運が高まっているものの、開発に10年程度を要することなどから、現時点では運転開始に至っている案件は出ていない。小規模地熱に関しては制度の適用を受けた新規運転開始実績は1件(48kW=バイナリー発電)で、資本費は118万円/kWと今年度調達価格の前提である123万円/kWとほぼ同値となっている。小規模地熱に関しては温泉地での温泉発電の計画等が数件進行していることから、状況を見極めるべく据え置くことが適切と見られている。
今回の会合では、現状で収集されているデータから太陽光以外の新規実績およびデータが少ないこともあり、太陽光以外については特に価格を見直す状況にはないとの見解が示されている。一方で、水力やバイオマスなどの小規模な案件では資本費が高めになり、現在の調達価格では小規模事業には厳しい状況となっていることも踏まえ、地域に根付いた小規模事業者等にも配慮すべきとした意見も聞かれた。


富士繁 本社第三工場を開設 年間50万トンへ第6の処理拠点構築

富士繁の本社第三工場

富士繁の本社第三工場


関東地区の大手鉄クラップヤードディーラーである株式会社富士繁 (本社:横浜市金沢区福浦2―8―1、 金子栄社長) では、 かねてから建設を進めてきた 「本社第三工場 (横浜市金沢区福浦2―8―14)」 を今月22日 (土) に開設すると発表した。 同工場は、 現・金沢本社工場の隣接地で車両基地として使用してきた1500㎡の用地を同社の新たな鉄スクラップの加工処理拠点とするもので、 迅速な荷下ろし体制を整備し、 引き取り車両を新工場に回すことで持ち込み顧客に対するサービスの向上を図ることなどが狙い。
「本社第三工場」 の敷地には鉄骨平屋建の工場棟872㎡、 鉄骨5階建事務所棟497㎡を構え、 1250トンのマウントシャーを設置するほか、 天井クレーン2フック型 (リフマグ+グラブ) 1基、 80トントラックスケール、 油圧シャベルなどを備える。 また、 L型放射線検知器も導入し、 福島第一原発以降、 依然として懸念の続く放射性物質汚染への対策も実施。 同社の納入する国内外のユーザーにも配慮した工場となっている。
なお、 新工場は大型車両の受け入れのほか、 各工場の余剰在庫の移送・加工処理を含めて月間3000トンほどの取り扱い量を目標としており、 更に国外のニーズに対応するべく海外部も新たに設置し、 将来を見据えて輸出の拡大も図る方針だ。 同社ではスクラップの加工拠点として、 神奈川県内に4カ所 (本社、 戸塚、 綾瀬、 上矢部) のほか、 昨年には東京都内初の拠点として八王子工場を開設している。 今回、 6拠点目の加工処理工場をオープンさせることで、 他工場及び3つのシッピングヤードとの有機的な連携を図りながら、 年間取り扱い量50万トンという目標の早期達成を目指す方針だ。


環境保全経費 震災対策費が減少 来年度総額1兆7182億円、11.1%減

環境省のまとめによると、 2014年度政府予算案のうち環境保全経費は総額で前年度から11・1%減となる1兆7182億円となった。 前年度当初予算から1割超の減少となったが、 これは東京電力第一原発の事故による放射性物質の除染作業や、 東日本大震災で発生した災害廃棄物の処理が進んだことなどで関連経費が大幅に減少したことによるもの。 施策別では、 放射性物質による環境汚染防止に対応する予算配分が最も大きく5568億円となり、 次いで地球環境保全4955億円、 大気環境保全2031億円などとなっている。
また、 省庁別では環境省が8636億円で全体の50・3%を占め、 以下、 経産省の2547億円 (構成比14・8%)、 農水省の2457億円 (同 14・3%) 等となった。 各施策別予算計が概ね前年比減となっているが、 温暖化対策税の引き上げ等に伴い、 地球温暖化対策予算については前年比微増となっている。
施策別予算と主な事業を見ると、 地球環境保全の分野 (4955億円―前年度4916億円) で森林環境の保全、 再生可能エネルギー等導入推進基金 (グリーンニューディール基金)、 環境・ストック活用推進、 エネルギー使用合理化等事業者支援補助金――等の事業が計画されている。 また、 物質循環の確保と循環型社会の構築 (982億円―前年度1936億円) では循環型社会形成推進交付金、 災害等廃棄物処理事業費補助金、 廃棄物処理施設整備費補助等の事業が行われる。放射性物質による環境汚染の防止 (5568億円―前年度6980億円) に関連する事業では、 放射性物質により汚染された土壌等の除染、 放射性物質汚染廃棄物処理事業、 中間貯蔵施設検討・整備事業――等が行われることとなっている。


鉄リサイクリング・リサーチ 需要も発生も減少へ 関西地区鉄スクラップでレポート

我が国の鉄スクラップに関する調査・研究を行っている株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長はこのほど、 「関西地区の鉄スクラップ需給の現状と展望」 と題するレポートを取りまとめ公表した。
同レポートによれば、 関西地区の鉄スクラップ需要は、 関西2府4県に存在する21鉄鋼事業所により、 全国一位 (2012年度603万8000トン/シェア26・0%) を誇っており、 域内で不足する鉄スクラップを他地域から手当てする状況にあるが、 建設内需を主体とする普通鋼電炉の鉄スクラップ需要は人口減などを背景に減少傾向が続き、 今後、 需要2番手の関東地区 (2012年度536万7000トン/シェア23・1%) に近づくとした。 この点に関して林氏は、 関西は普通鋼電炉メーカーが需要先の主力だが、 関東は普通鋼電炉だけでなく、 特殊鋼電炉、 高炉など需要先が多岐にわたり、 関東に比較して関西の需要減少幅が大きいことから、 以前は関西が高い傾向にあった鉄スクラップの価格形成も2012年以降、 関東と関西の値差が小さくなってきている点も指摘。
他方、 鉄スクラップ供給量 (輸出・雑品含む) では、 2012年度の関西地区は関東 (909万トン)、 東海 (624万トン) に次ぐ581万トンと国内3位の位置にあるが、 直近ピーク (2006年度688万トン) に比べ減少。 更に、 発生の中心となる老廃スクラップも、 近畿の鉄鋼蓄積量 (2012年度末で2億2420万トン/全国シェア16・8%) の伸びが高原状態にあるなかで、 2020年度発生量予想についても402~425万トンと2012年度 (427万トン) 比で減少傾向は免れず、 一方で油圧シャーの設備投資が進み、 稼働率が低下しつつある状況も指摘している。 こうしたことから、 林氏は、 「加工設備の持ち方についても抜本的対策が必要な時期」 と警鐘を鳴らしている。


ペットボトル 店頭回収で実証事業 国内循環の社会システム構築目指し

環境省ではこのほど、今年2月上旬から3月中旬にかけてスーパーマーケットやコンビニエンスストアの店頭において使用済みペットボトルの自動回収機による回収を行い、物流の効率化や品質向上に資する二次処理の実施、店頭での回収システムの可能性を検証するという実証事業を行うと発表した。この実証事業は三菱東京UFJリサーチ&コンサルティングがトムラ・ジャパンの協力の下で実施する。現在、我が国では、容器包装リサイクル法に基づき、市町村が分別収集した容器包装廃棄物をリサイクルする仕組みが作られており、ペットボトルについても、特定事業者(製造事業者、利用事業者)の責任の下、リサイクルが行われている。  一方、日本国内で回収されているペットボトルのうち、その半数以上が海外に流出しており、使用済みペットボトルを資源として国内循環させることが課題となっている。
今回の実証事業では、スーパーマーケット等の店頭回収物の高品質性に着目し、店頭の自動回収機で資源化に向けた一次処理(選分別・減容)を行った後、二次処理(異物除去・再減容等)を行うといった廃ペットボトルの価値向上を経て、国内循環させる社会システムの構築可能性の検証と課題抽出を行うことが目的。また、地域の様々な小売店の店頭で回収された廃ペットボトルの物流の効率化、回収資源の価値向上を通じて、コストと環境負荷の低減、国内で循環させる社会システムの構築可能性の検証を行うなどとしている。回収店舗は東京都、千葉県、茨城県内のスーパーマーケット、コンビニエンスストアなどで、イトーヨーカ堂、いなげや、サミット、セブンイレブン、ライフなどの小売りチェーンのほか自由が丘商店街など。消費者に買い物に行く際、家庭で使用済みとなったPETボトルを店頭の自動回収機に持ち込んでもらう。
廃ペットボトルの年間排出規模は約60万トンで、そのうちの約半数が容器包装リサイクル法に基づき、市町村によって回収されている。しかし、市町村で回収された約30万トンのうち、法に基づく指定法人に引き渡されるものは20万トンに止まり、残り10万トンは独自処理として海外などに流出。国内のリサイクル事業者は市町村からの円滑な引き渡しが受けられず、処理能力の過剰から厳しい事業運営を強いられているのが実情だ。こうしたなか、リサイクル業界からは廃ペットボトル量確保のため、店頭回収など市町村外の回収ルートを拡大し、容R法の枠組み内に組み入れる必要性を指摘する声も上がっている。今回の環境省の実証事業は、リサイクル業界の声を後押しするものとなるが、その一方で法規制に反発する声も聞かれるところで、現在進められている容R法の見直し審議に与える影響も注目されるところだ。


電子マニフェスト 排出事業者への周知も 24年度登録1500万件超で最多に

平成24年度の電子マニフェストの年間登録件数は合計1505万6116件となった。電子マニフェストを管理・運営する(公財)日本産業廃棄物処理振興センターの集計。電子マニフェスト登録件数と紙マニフェスト頒布数(推計値)の合計値から算出された24年度1年間の電子化率は30%となった。
平成10年度以降現在までの加入状況を見ると、排出事業者の業種別では医療・福祉関連が全体の7割強を占め、製造業、建設業がそれぞれ7%前後となる。また。24年度の業種別の登録件数を見ると建設業での利用がもっと多く、約800万1500件で全登録数の5割強を占め、以下、製造業167万7000件、卸・小売業126万9000件(それぞれ全体の1割前後)となっている。
電子マニフェスト制度は排出事業者、処理業者の情報管理の合理化と行政の監視業務の合理化等を目的に導入されたが、導入効果など認知度の低さや利用に際して電子化の環境整備等が必要なことから、加入件数は伸び悩んでいた。しかし、マニフェスト交付状況報告制度が平成20年から始まり、電子マニフェストを利用することで報告義務が担保される仕組みとされたことから、急速に導入が進んでいる。 また、事務効率化のツールとしての認知度が高まっていることも登録数の伸びにつながっている。年間登録件数はここ数年、年間200万件のペースで増加しており、24年度は過去最高の登録数を記録した。ただし一方で、電子化率は3割にとどまり、国が目指す電子マニフェスト普及率(利用割合)「平成28年度50%」とはいまだ大きな開きがある。センターではさらなる加入促進策として、新規加入料の廃止やシステムの利便性向上に力を入れている。
一方、自治体等が民間からの物品調達や役務の委託等を行う際の取組みを示した環境配慮契約法では、昨年度の改正で産業廃棄物処理業務が対象の役務に追加されている。委託業者の選定に伴う処理業者の優良性の判断材料の一つとしてマニフェスト電子化の有無を重視する動きもある。処理業界では現状でも相応の認知度があるものと見られることから、今後は排出業界に向けた一層の周知、利用促進の取組みが求められる。


災害廃棄物 自治体の対応に格差 環境省の巨大地震発生時における対策検討委

環境省「巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会」の今年度第4回会合がこのほど開かれた。環境省では阪神淡路大震災の教訓から平成10年に「震災廃棄物対策指針」を策定、自治体による震災廃棄物処理計画の策定を支援してきた。そうしたなか、さきの東日本大震災では膨大な量の津波廃棄物が発生するなど、処理計画を策定している市町村でも廃棄物の処理に混乱が生じた。一方、今後の発生が懸念される南海トラフ巨大地震・首都直下地震では東日本の5~13倍の災害廃棄物が発生すると予測されている。震災廃棄物対策指針では対応が困難であると想定されることから、東日本大震災を上回る規模の巨大災害に備え、広域的な対応体制の整備や備蓄倉庫・資機材等の確保を効率的・円滑に進めるための課題と対策について検討が行われている。
今回の会合では、既存の処理施設の処理能力の試算結果や各自治体等の災害時の廃棄物処理対策等調査結果をもとに、適正・迅速な災害廃棄物処理に必要なハード面、ソフト面の取組みについて、それぞれ事項ごとに意見を整理している。同委員会の試算によると、既存施設での処理可能量、埋立処分可能量ともに地域ブロックによる差が大きく、関東ブロックでの焼却処理可能量は年間100~550万トン程度で、首都直下地震の場合、膨大な災害廃棄物の処理に広域的な対策が必要とされている。また、最終処分についても南海トラフ地震を想定した場合、膨大な災害廃棄物の処分のため広域的な対策が必要とされた。
既存の廃棄物焼却施設の年間の災害廃棄物処理可能量は一般廃棄物処理施設が34~574万トン(低位~高位シナリオ)、 産業廃棄物処理施設が411~1645万トン(同)の合計445~2219万トン(同)で、災害廃棄物埋立処分可能量は一般廃棄物処理施設が58~289万トン(低位~高位シナリオ)、産業廃棄物処理施設が285~1429万トン(同)の、合計343~1429万トン(同)等と試算されている。
なお、災害時における廃棄物処理対策に関する調査結果では、協定(都道府県と市町村、市町村と市町村)の締結状況は2割~3割程度で、必ずしも充実している状況ではないことがわかった。協定を締結している場合でも、訓練等を定期的に行なっているのは1~3割程度であり、実効性の高い協定の締結・運用が必要とされた。全国的に災害廃棄物処理の準備は十分とはいえない一方、積極的に取り組む市町村もあり、118市町村が「協定締結済み」かつ「仮置場・集積場の候補地リストを作成済み」であることも確認されている。


日本鉄源協会 2012年度で13億3121万トン 蓄積量3年連続増加も伸び縮小

(一社)日本鉄源協会ではこのほど、2012年度末における我が国の鉄鋼蓄積量について取りまとめたが、それによれば、2012年度末の鉄鋼蓄積量は3年連続で増加となったものの、前年度(+634万トン)との比較で伸びが259万トン減少し、375万トンの増加となった。この結果、2012年度末の累計鉄鋼蓄積量は13億3121万トン。
蓄積量の増加分としては、前年度対比で鉄鋼生産量が4万トン増加したことや鉄スクラップ消費量が242万トン減少したことが挙げられる。一方、マイナス要因としては、鉄鋼輸出が455万トン増、鉄鋼輸入が50万トン減となっており、結果、蓄積量増分は対前年度259万トンの減少となっている。他方、輸出の内訳をみると、全鉄鋼輸出は2010年の過去最高を更新する4380万トン(対前年380万トン増)となった。向け先別では、東南アジア向けが対前年度349万トン(前年度比13・8%)増の2881万トン、中国が同47万トン(同7・2%)減の599万トン、米国向けが同22万トン(同10・1%)増の237万トンなど。普通鋼鋼材で熱延鋼板類が同26・1%増、棒鋼が同12・4%増、形鋼が同7・3%増となる一方、冷延鋼板類が同8・7%減、亜鉛メッキ鋼板が同3・4%減。鋳鍛鋼輸出はほぼ横ばいとなったが間接輸出が236万トンの減少となった。一方、鉄スクラップは312万トンの大幅増となり、結果、輸出合計は対前年度455万トンの増加となっている。
なお、鉄スクラップ輸出の半数を老廃スクラップとした場合、2012年度の推定老廃スクラップ回収量は2543万トンとなり、前年度累計鉄鋼蓄積量に対する回収率は1・92%と対前年度0・06ポイント低下した。


全国伊藤忠鉄原会 新たな発想求め講演会 伊藤会長「忍びよる危機に備えよ」

全国伊藤忠鉄原会の第23回講演会

全国伊藤忠鉄原会の第23回講演会


伊藤忠メタルズと取引先の全国各地域の鉄リサイクル事業者で組織する全国伊藤忠鉄原会(会長・伊藤清スズトクホールディングス代表取締役社長COO)はこのほど、伊藤忠商事東京本社にて第23回講演会と懇親会を会員多数の参加の下で開催した。
講演会の冒頭で挨拶に立った中村一郎伊藤忠商事㈱代表取締役常務執行役員金属カンパニープレジデントは「今年、様々な賀詞交歓会に参加したが、明るい発言も多く、景気は良い方向に向かっているのではという印象を受けた。しかし一方で、様々な課題克服へ、やらねればならぬことも出てきている。こうしたなか、弊社では新しい取り組みとして、大連新緑というリサイクルセンターを設立した。受け入れ態勢がまだ十分ではないが、時期が来れば皆様からご支援賜りたい。また、大きく変わる時代のなかで、伊藤会長の『心栄えをする会社』という言葉に非常に感銘を受けた。この言葉を念頭に、従来には無い新しい発想で事業に取り組むための1つのヒントになればとの思いで、今回の講演を企画させていただいた」と述べた。
次に伊藤会長は「安倍政権は今年をワクワクする一年にするという。一方、新年から全国の方々にお会いすると、ゼネコン関係の方からは、現場管理能力のある人材が少ないといった声も聞かれた。リーマンを期に我々の関連する業界から去った方も多いと聞く。こうした人材不足の問題が与える我々の業への影響も考えねばならない。絶頂期に忍び寄るのが危機である。我々の業はバブル期20円していたスクラップが6円まで下落し、中国の爆食が始まるまで低迷した。その後2008年には70円を超えたが一転して15円まで下がり、再び上昇して今現在は35円となっている。今は良くても東京オリンピック後は必ず谷が来る。2020年以降の10年間を持ちこたえられる準備が出来なければだめだ。ここからの3~4年は豊作貧乏にならぬよう取り組んでいくことが重要だ」と挨拶。
講演会ではまず、豊富な栄養素を持つ微細藻ユーグレナ(ミドリムシ)の大量培養技術を開発し、世界の食糧問題や資源・環境問題の解決に取り組む株式会社ユーグレナの出雲充社長より「ミドリムシが地球を救う」と題する講演を行い、そのなかで出雲社長は「世の中で無駄なものは1つもない。僅かな可能性でも挑戦することを続けられるかが重要で、そうした志を持つ人たちへの支援をお願いしたい」と語った。次に(一社)宇宙エレベーター協会の大野修一会長が宇宙へ人や物を低コストで運ぶ「宇宙エレベーター実現のための取り組み」と題して講演。大野氏は宇宙エレベーターを夢物語としつつも、次世代にこの壮大な夢を繋ぐべく実現への道筋や現在の活動内容について語った。


びんリユース 167万本回収を想定 1都10県で回収モデル構築へ

関東甲信越の1都10県を対象地域とする大規模なびんリユースシステム構築に向けた実証事業がスタートする。「我が国におけるびんリユースシステムの在り方に関する検討会」の今年度実証事業(計4件)のうち1件。検討会の実証事業では23年度以降、各地の地場製品を取り入れたびん入り商品によるリユースシステムの構築や、従来の共通規格びんに地域の回収業者が共通の集荷箱を投入し、効率的に回収するシステムを構築するなどの試みが行われてきた。
流通の多様化や回収窓口となる小売店の減少等で家庭からの集荷ルートが年々狭小化するなかで、より効率的に使用済みのびんを回収、再使用ルートに乗せていくための方策が検討されてきたが、製品流通の広域化や回収容器の不足等現状の課題が浮き彫りになるなかで、従来型のリユースシステムの限界も指摘された。これまでの実証事業で、流通範囲がある程度限定される場合や、回収ルートが構築されている場合などで、リユースシステムの拡大可能性が認められる結果が得られていた。
一方、リユースびんの需要拡大という観点からは、こうした地域毎の取組みとは別に、広範囲に流通・回収できる従来型に近いシステムも不可欠なことから、需要地の首都圏を中心としたリユースモデルの構築が不可欠とされていた。新たな関東甲信越での実証事業では流通範囲が11都県と広範囲なだけでなく、流通規模も当初の回収本数で167万本(27年度)が想定されるなど大規模なものとなる。 それだけに発生地とびん利用業者をつなぐネットワークの構築や需給バランスの調整機能、消費者へのPR等、事前の準備も大がかりなものとなるもよう。