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WEB資源新報BackNumber 2014年12月

日本製紙連合会 ASEAN3か国招き交流 古紙回収研修会を開催

ASEAN3か国招き交流

ASEAN3カ国招き交流


タイ、ベトナム、マレーシアを対象とした古紙回収研修会「アジア紙リサイクルシステム構築研修コース」(主催・日本製紙連合)がこのほど開催された。同研修会は、今後経済成長に伴い古紙需要が高まると見込まれるASEAN諸国と連携し、アジア全体における古紙循環を進めていくことを通じて、我が国のリサイクルシステムの安定的かつ持続的な発展を図っていくことを背景とし、2012年度から実施されている。3回目となる本年度は3か国から計28名が参加、目標として紙リサイクルシステム構築の歴史・取組を理解することや、各国の状況に応じたリサイクルシステムの構築と普及を行うか検討することなどが掲げられた。
研修は開講式から始まり、東京・北千住の(一財)海外産業人材育成協会東京研修センターを拠点に、講義およびディスカッション、製紙工場や東京近郊の回収活動、古紙ヤードの見学などが組み込まれたカリキュラムを参加者一同が受講した。なお、このカリキュラムには、北区リサイクラー事業協同組合、新井商店、レンゴー、王子マテリア、相川鉄工、日本再生資源事業協同組合連合会、全国製紙原料商工組合連合会、東京都環境局、環境省などが協力している。
最終日の18日に行われた研修成果発表会では、参加3か国のそれぞれの国でのリサイクルの現状や、日本での研修の感想が発表された。タイの使節団からは「日本の業者の『この国のリサイクルシステムの一翼を担っている』という意識の高さに感動した。国全体にリサイクル文化が根付いており、それが紙の品質の高さにつながっている」、「タイのヤードではドライバー自身が荷降ろしするなど、作業員の安全や周辺環境への配慮が足りない。今回見学した古紙ヤードを見習って、そういった設備投資を進めていきたい」などの感想が述べられている。なお、日本製紙連合会では2008年から、持続可能な発展のためのアジア紙パルプ産業会議なども開催しており、今後もアジア諸国と積極的に交流を深めていくと見られている。


3R推進団体連絡会 歩み進める容器包装8団体 2013年度の実績報告

3R推進団体連絡会の実績報告

3R推進団体連絡会の実績報告


3R推進団体連絡会(幹事長=幸智道ガラスびん3R推進協議会事務局長)は、容器包装の3R推進のための第二次自主行動計画(2011年~2015年)の2013年度のフォローアップ結果を取りまとめ、このほど経団連ホールにて記者発表を行った。容器包装材に関わるリサイクル8団体で構成する3R推進団体連絡会が、「事業者自らが容器包装3Rの取組を推進すること」と、「市民や行政などの関係主体間の連携に資すること」を目的に2005年度に策定した自主行動計画。大きな成果をあげた第一次計画を発展的に引き継ぐ形で、2011年度からは第二次計画の取組が始まっている。
容器包装材に関わるリサイクル8団体で構成する3R推進団体連絡会が、「事業者自らが容器包装3Rの取組を推進すること」と、「市民や行政などの関係主体間の連携に資すること」を目的に2005年度に策定した自主行動計画。大きな成果をあげた第一次計画を発展的に引き継ぐ形で、2011年度からは第二次計画の取組が始まっている。会見では、リデュースに関して、8素材のうち、プラスチック容器包装やスチール缶などの6素材で当初目標を達成しており、さらに5素材では目標を上方修正し、取組を進めていることなどが報告された。また、リサイクルに関しても、5素材が当初目標を達成し、2素材が目標を上方修正していることなどが発表され、目標年次である2015年度に向かって、リユース、リサイクルの2分野では着実に前進していると言える。一方、リユース分野では、奈良県における大和茶飲料普及促進事業などに代表される地域型システムの構築や、「リターナルびんポータルサイト」での情報発信など、様々な取り組みを行っているものの、ガラスびんのリユースシステムは経年的な使用量減少に歯止めがかかっていない厳しい現状が報告された。
また、同連絡会では市民や自治体との意見交換や協働、展示会やイベントでの普及活動などの取組も行っており、2014年度には長野市、松本市で開催した「容器包装3R交流セミナー」や、相模原市、国分寺市で開催した「3R市民リーダー育成プログラム」などの取組が報告されている。なお、会見では構成各団体の個別の取組も報告されている。ガラスびん3R促進協議会からは、「アヲハタ55ジャム」がユニバーサルデザインを取り入れながらも、軽量化されていることや、スチール缶リサイクル協会からは従来品より薄肉化、軽量化されているビード缶が2006年に採用されてから、一定の効果を上げていることなど、素材別の特性にあわせて、各団体が、現行容リ制度のもとに着実な成果を上げていることが報告された。


鉄リサイクリング・リサーチ 「多様なインド」再確認 インド・コルカタ視察で報告書

鋳物業者の意見交換する林誠一氏

意見交換する林誠一氏(右)


我が国における鉄スクラップに関する調査・研究を行っている株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長はこのほど、「インド鉄スクラップ輸出の可能性を探る―第2回調査を終えて―」とするレポートを取りまとめ、公表した。林氏は第1回現地調査を昨年6月インド西部グジャラート州スーラト市の大手電炉メーカーのエッサール・スチールを訪問したが、今回、11月後半に東部西ベンガル州コルカタ地区を主体に実施。前回の視察が大手電炉メーカーであったことを踏まえ、今回は鉄スクラップの購入者としてアーク電炉および誘導炉メーカーに的を絞ったが、コルカタはTATAの自動車工場が近接しているため鋳物メーカーの集積地となっており、鋳物メーカーを中心とした視察となった。2025年に粗鋼生産3億トンを掲げるインドについて、林氏は調査の結果として「多様なインド」を再確認でき、取引は「鋳物メーカー」、「誘導炉電炉」とかをひと括りにして対応するのでなく、相対で取引する心構えが必要との感触を肌に感じたとしている。
レポートによれば、2011年のインドにおける銑鉄鋳物生産量789万トンは、1位中国3005万トンに次ぐ世界第2位、日本のほぼ倍の水準にあるが、インドの場合、多くは世襲・同属経営で、製造する鋳物製品や事業所規模、所在地などにより多様な業態構造になっていると推察。 また、インドの鉄スクラップ輸入量の4割が鋳物メーカーで受け入れられていると推察しており鋳物の動向を無視できないとしつつも、日本などではエンジンなど鋳物ばなれが進んでおり、インドの場合の乗用車エンジンの素材は、データからみると鋳物材が依然として多いことになるが、今後のインドの鋳物生産を展望するには更なる調査が必要であるとしている。他方、中堅アーク電炉メーカーについては、電力を自家発電で調達できる大手メーカーや安価な電力の供給を受けられる小規模メーカーに対し、競争力などの面で厳しい環境にさらされているなどとし、インドにおける鉄スクラップの輸入についても、自国で銑鉄や還元鉄が調達できることから、価格本位の輸入挙動である可能性を示唆した。
なお、2025年3億トン粗鋼生産に向けた増産が進めば、鉄源として鉄スクラップの需要が高まるだろうとはしたものの、現在のインドの経済成長が鋼材消費原単位の低いITなどのサービス産業に支えられていることや、インドにおける農地買収の難しさなどから、3億トンに向けた課題は多いとした。また、3億を担うメーカーは高炉一貫メーカーと新興大手アーク電炉であり、アーク電炉や誘導炉電炉は拡大路線に乗り切れず、インド国内でのシェアは低下していくのではないかと推察している。
※同レポートは株式会社鉄リサイクリング・リサーチのホームページ(http://srr.air-nifty.com/)で見ることが出来る。
 
 


対中再資源化貿易 成長鈍化で厳しさ続く 古紙は検査機関変更も懸念材料

古紙や金属スクラップ等我が国の再生資源をこれまで十数年にわたって飲み込み続けてきた中国市場。しかしながら近年、大きな変調を来たしている実情だ。ここ数年、経済をけん引してきた不動産市場の低迷などから、中国人民銀行では、2015年の成長率は7・1%にまで減速する可能性を示唆した。こうした不動産・インフラ投資低迷で、過剰生産の続く中国からは国内で吸収しきれなくなった鐵鋼製品が近隣諸国などへ流出、我が国の鉄スクラップと競合する事態ともなっている。こうしたことを踏まえれば、来年以降も中国への鉄スクラップなどの輸出は厳しい状況も想定されるところだ。
他方、古紙についても中国向けの状況は良くない。これまで日本からの古紙輸出先と言えば、中国が8割以上を占める格好となってきたが、今年は6~7割程度のシェアに低下した。背景には中国での中小規模製紙メーカーの市場淘汰や東南アジアなど他の市場の成長などがあると見られ、今後の中国向け古紙に関しても漸減傾向が続くことも予想されるところだ。
更に我が国古紙業界にとって、来年大きな問題となりそうなのが、東日本市場などでの中国向け古紙検査機関の変更である。これまで、東日本などにおける中国向けの輸出検査は日中商品検査(JCIC)が行ってきたが、同社は来年以降、西日本での検査を手掛けるCCIC―JAPANと統合が予定されている。この統合で問題となるのが、JCICが東日本等の古紙輸出企業と結んできた自主検査契約である。自主検査は、業者が検査機関に代わって検査を行う契約を結ぶことで検査料金の値下げを行う仕組みだが、CCICでは行われていないのが実情だ。今回の統合に関連して、今後、同契約が認められないという形となれば、これまで自主検査で古紙輸出を行ってきた企業等には大きな負担が発生することとなる。
この件についてJCICやCCICではどうなるかまだ何も決まっていないとの見解を示しているが、一部古紙輸出企業などでは「品質的にも問題の無い古紙に対する自主検査が認められなくなれば大きな問題だ。更に中国離れが進むことになりかねない」と警戒をあらわにする。今後、中国向け再生資源の船積み前検査がどのような方式となっていくのか。それ次第では、再資源化業界のなかでもとりわけ東日本等の古紙業界にとって大きな影響を及ぼす事態に発展しそうだ。


スズトクHDとエンビプロHD 包括業務提携へ 日本代表するリサイクルメジャー目指し

金属リサイクルを中心とした総合リサイクル事業を手掛ける国内大手のスズトクホールディングス株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長グループCOO・伊藤清氏)と株式会社エンビプロ・ホールディングス(静岡県富士宮市、佐野富和社長)の両社では今月12日に、包括業務提携契約を締結したと発表した。
少子高齢化の進展などで、国内の鉄スクラップなどの再生資源市場の縮小が見込まれるなかで、今回の業務提携は両社の持つ経営資源を最大限活用し、相互協力を通じた事業成長と独自性ある技術と新た棚ビジネスモデルの確立を図ることで競争優位の組織を創り出し、日本を代表するリサイクルメジャーとして隣接する業界にもリーダーシップを発揮し、資源・エネルギー分野における国家戦略の一翼を担う事業を行うことを目指す。更に、成長の続くアジアを中心とした海外事業を促進することで、欧米諸国の大規模な同業者との競争に耐えうるグローバルな展開の実現を図ることが狙いとしている。
具体的な業務提携の内容としては、共同の仕入れ・販売や技術ノウハウ、営業企画に関する事項のほか、障害福祉事業やコンプライアンス、総務・会計、コンピューターシステムなどに関する事項など多岐にわたっているが、「現段階で具体的にどこまで踏み込んだ形になるのかは何も決まっておらず、今後、両社役員が集う定期的な会議にて協力事項を検討していく」(鈴木徹取締役)という。スズトクホールディングスは2007年設立、グループ売上高は536億4700万円(2014年6月末)で、海外展開としては今年7月に日髙ホールディングスとタイに合弁会社を設立、成長市場であるASEAN諸国を対象とした再資源化事業展開を図っている。一方、エンビプロ・ホールディングスは2010年設立、2014年6月期の連結売上高は357億8600万円で、金属スクラップなどの再生資源について韓国、中国、台湾のほか東南アジアなどと取引を行ってきた実績を持つ。
なお、両社では、今回の包括業務提携を「目指す理念及び方向性に共感を示す同業者の参加を積極的に受け入れる」方針を示している。国内市場における電炉再編、流通再編という大きな環境変化のなかで、再資源化業界においても今回の両社の提携は大きな衝撃を持って受け止められている。業界大手の両グループによる「この指とまれ」という呼びかけが今後、業界再編の受け皿か、あるいは呼び水となるのか、今後の動向が大いに注目されるところだ。


横浜市資源リサイクル事業協同組合 業界初の画期的取組 集団回収通じた地域福祉支援

協定書に調印した髙田理事長

協定書に調印した髙田理事長(右)


横浜市資源リサイクル事業協同組合(理事長・髙田哲二株式会社日哲商事社長)では今月10日、NPO法人横浜市集団回収推進部会(秋山正弘理事長)、社会福祉法人神奈川県共同募金会(牧内良平会長)、社会福祉法人横浜市社会福祉協議会(佐々木寛志会長)と4者にて、「わが家の資源で横浜の福祉を支えよう」の協定書調印式を執り行った。
「わが家の資源で横浜の福祉を支えようプロジェクト」とは、地域で回収された古紙・古布の量に応じて赤い羽根共同募金に寄付されるという、地域の力で福祉を支える新しい仕組み。その寄付金は、資源物が回収された地域の地区社会福祉協議会を通じて住民による福祉活動に活用される。このプロジェクトでは、資源の有効活用と地域の社会福祉をより充実させるという形をとることで、地域住民が気軽により良い社会づくりに参加できる機会を創出することも狙いだ。
同プロジェクトは、今年11月より旭区の希望が丘東連合自治会、緑区の長津田自治連合会、青葉区の市が尾連合自治会などにおいてスタートした。古紙・古布の回収量1トン当たり50円が赤い羽根共同募金に寄付されることとなる。横浜市の調査によれば、家庭からの可燃ごみは年間約60万トンあり、うち古紙だけでその約10%に当たる6万トンが焼却されているという。地域の集団回収を地域の福祉にもつなげるという取り組みは、地域住民がこれまでゴミ化され、回収に回ってこなかった古紙の回収を行う動機づけにもなることが期待される。
調印式で髙田理事長は「この話を最初に聞いた時、大変素晴らしいことであると感じ、そして本日、調印を迎えられたことを本当に嬉しく思う。まだ、いくつかの地域でのスタートで、クリアしなければならない課題もあると思うが、いずれ全域に拡がってくれれば」とコメント。また、秋山理事長は「市民と業者の2者による集団回収に新しい相互扶助の形を加えた今回の取り組みは大きな一歩になる。非常に遣り甲斐のあるプロジェクトで、今後、横浜市に根付かせるとともに更なる拡がりもみえてきているので、皆様からのご支援をよろしくお願いしたい」と述べた。
横浜市社会福祉協議会などからも「超高齢化・無縁化などの社会の抱える問題は見えない形で存在している。こうしたなかで一度役割を終えゴミになったものを再度利用すること自体が大きな社会貢献であるにもかかわらず、更に一歩踏み込んだ大変素敵なプロジェクトに参加させていたけることに大きな感謝を申し上げたい」と謝意が述べられた。
横浜市資源リサイクル事業協同組合は、リサイクルデザインタウンの構築を目指し、市民に選ばれる組合として、様々な活動を行っており、CO2排出削減と市民の環境学習を結び付けた「環境絵日記」は、環境大臣表彰も受け、その取り組みは全国に拡がりつつある。今回のプロジェクトも正に地域のための地域に必要とされる画期的な取り組みであり、高齢化や人口減少、格差社会などの問題が大きくクローズアップされるなかで、業界の枠組みを超えた意味でも高く評価されるものであると言えよう。


三立機械工業 次世代機2機種を発表 「赤剥王」、「青剥王」で生産性向上

三立機械工業の赤剥王KOS-MT型

赤剥王 KOS-MT型


剥線機、 ナゲットプラントのシステム設計等の廃電線処理機器の他、 廃プラスチックリサイクルシステムその他の再資源化機器類を製造販売する三立機械工業㈱ (中根亮一代表取締役社長、 本社・千葉市稲毛区山王町335、 電話043・304・7511) はこの程、 主力製品の一つである剥線機CA型のフルモデルチェンジを行い、 新機種 「剥王」 (はくおう) シリーズとして2系統の製品を発表した。この剥王シリーズは、 「利用者にとって生産性の高いピカ線を製造するマシン」 をコンセプトに開発されたもので、 多品種の線径に対応する万能型の 「赤剥王」 (あかはくおう) と太線処理に特化した 「青剥王」 (あおはくおう) を中心に5機種で展開することになる。
新シリーズ最大の特徴は、 20年に渡って廃電線再資源化業界で愛用されてきたCA―S型機をより高いレベルで引き継いだもので、 単線にも対応する万能タイプのスリッターユニットである 「M」 型、 プロ型の後継に当たり60SQ以上の太線に特化したスリッターユニットの 「P」 型、 多芯ケーブル外皮用のターボユニットの 「T」 型をユーザーが自在に組み合わせて運用できる。
三立機械工業の青剥王KOS-MT型

青剥王 KOS-PT型


「M」 型と 「T」 型を組み合わせたものが 「赤剥王」、 「P」 型と 「T」 型を組み合わせたものが 「青剥王」 で、 ユーザー側の事業形態や処理する廃電線の線径や種類が異なる多様なユーザーのニーズに対応することが可能だ。また、 この剥王シリーズでは、 分離爪の搭載等従来機の良さを受け継ぎながら、 電線挿入ガイドの設置やカッター刃の調節メモリ、 特殊構造のロール (特許出願中) で、 電線のグリップ力が格段に向上する等ハンドリング面の向上と安全性にも充分に配慮した設計となっている。問い合わせは三立機械工業(http://www.sanritsu-machine.com/)へ。
 
 


古紙再生促進センター 輸出委員会を設立 品質安定化等諸課題に対応

公益財団法人古紙再生促進センターではこのほど、第一回輸出委員会を開催、委員会の運営や事業活動などを決定した。今後の事業活動については、来年1-3月に輸出委員会の具体的活動内容について、検討・取りまとめを行い、幹事会に具申する。幹事会では4月に具体的活動内容について審議を行う。
全国の古紙輸出比率は20%を超え、国内の古紙市況、需給、品質面にも大きな影響を与えている。同センターでは、今後の日本の紙リサイクルシステムの維持、発展を考慮し、海外リサイクルも含めた活動の展開を課題として、輸出古紙品質の安定化等諸課題への対応を図ることを目的に輸出委員会を設立した。主な活動目的は①古紙回収率向上、②古紙品質向上による内外市場での日本古紙利用度向上、③古紙輸出体制の整備、となっている。
輸出委員会の委員長には、安藤彰朗日本紙パルプ商事古紙事業本部・本部長が就任した。実施事業に関しては、①輸出古紙品分類、銘柄、内容の整理、②輸出古紙標準品質規格の設定、③輸出古紙取引ルールの設定、④輸出古紙クレーム処理手続きの設定、⑤輸出古紙品質規格遵守に向けての取り組み、⑥内外、古紙需給情報の収集、⑦輸出古紙リサイクルに拘る諸問題の取り組み、など。


PETボトル 伸展するメカニカルリサイクル分野 BtoB製品の割合は17%超え

PETボトルリサイクル推進協議会による会見

PET協による会見


PETボトルリサイクル推進協会は11月26日、PETボトルリサイクル年次報告書(2014年度版)の発刊と推進協議会の活動について、記者会見を行った。同協会は(一社)全国清涼飲料工業会などのペットボトルを利用する中身メーカーの4団体と、容器・樹脂メーカーの団体であるPETボトル協議会の5団体で構成されており、ペットボトルの3R推進活動などを行っている。当報告書は2001年に第一報が発刊され、今年で14報となった。
会見では2014年度版の年次報告書の概要が説明され、2013年度のボトル軽量化は主要17種のうち、8種で目標値を達成し、第一次自主行動計画が始まった2004年を基準年とすると、指定ペットボトル全体では14.1%軽量化したことなどが報告された。特に清涼飲料・耐圧500mlで18%、みりん1800mlで12%、しょうゆ加工品1000mlで10%と顕著に軽量化した品目もあり、ペットボトルの軽量化は着実に進んでいると言える。
また、ボトルtoボトルへの取組として、2013年度はメカニカルリサイクルの分野が大きく伸長したことにより、日本の調査確認済み再生PET樹脂使用製品におけるボトルtoボトル製品の割合は17.5%を占めるまでに高まったと報告されている。指定ペットボトルのリサイクルについては、分母となる全体の販売量は57万9000トンになり、そのうちリサイクル量は49万7000トンで、リサイクル率は85.8%になったことが報告された。これは、米国のリサイクル率22.6%や欧州の40.7%に比べ高く、引き続き高水準で推移していると言えるだろう。また、事業系ペットボトルの回収量ついては、再商品化事業者などに独自にアンケート調査を実施。527社から回答を得て、22万7000トンを確認している。
協議会は今後、リデュース分野としては第二次自主行動計画に基づき、2015年度を目標年度に、指定17品目の軽量化の目標値を15%に設定、引き続き軽量化を推進していく。リユース分野では容器リサイクルに関する調査・研究の支援、リサイクル分野としては、指標を回収率から変更し「リサイクル率85%以上」の維持を目指すことが目標としてあげられている。

独自処理率に課題 問題解決に拡がる取り組み
11月26日に発表されたPETボトルリサイクル年次報告書によると、2013年度は、市町村分別収集量のうち、指定法人である(公財)日本容器リサイクル協会への引き渡し量は20万トンと過去最多となった。しかし、行政での独自処理量は9万2000トンと、比率にすると32%と依然として高く、そのうちの多くが中国などの海外へ流出しているという現状がある。これは中国の購入価格が国内価格より高い傾向にあるなどの理由があり、この問題に取り組むことは、業界にとって至上命題と言えるだろう。
推進協議会はこれらの問題に対し、26日の会見の質疑応答で「行政に出向いて何度も説得を試みているが、正直に言うと風当たりは冷たい。しかし、変化の兆しは感じている。遠回りにはなるが、市民への啓発活動に力を入れて、この問題に取り組んでいきたい」と回答。また、協栄産業とセブン&アイホールディングスとの提携や、遠東石塚グリーンペットでは、自販機の横のごみ箱などで回収したボトルの調達に力を入れ、来年6月には新工場を稼働させるなど、事業系回収ルートの確立やメカニカルリサイクルの導入も含め、事業者間でもこの問題に対する動きは広まってきている。


小型家電リサイクル 参加市町村は大幅増 環境省が制度の実態などを調査

環境省では昨年4月から施行された「小型家電リサイクル法」への取組状況や課題等を把握するため、全国の市町村に対して使用済小型電子機器等の回収・処理の取組実態調査を実施してきたが、このほどその結果を取りまとめ、公表した。それによれば、全国1741市町村のうち、使用済小型電子機器等の回収・処理の取組を「実施中」「実施に向けて調整中」と回答した市町村は、前回調査(昨年4月1日現在)635市町村(全市町村の36・5%)に対し、今回調査(今年4月1日現在)では、1031市町村(同59・2%)にまで増加している。また、「未定だが、どちらかというと実施方針」と回答した市町村を含めると、1373市町村(同78・9%)が制度に参加又は参加の意向を示しており、人口の割合で見ると93・1%に当たるとした。
一方で、制度参加している自治体では、対象品目すべてを回収している自治体も多いものの、特定対象品目や特に高品位のもののみを対象としているという自治体も多いのが実態だ。回収方法はボックス回収が639市町村と最も多く、次いでピックアップ回収が545市町村、清掃工場などへの持ち込みが292、イベント回収が236など。回収した対象品の引き渡し先では、認定事業者との回答が464、非認定も適正と判断される事業者が208となったが、25年度中の引き渡しを実施していないという回答も104あった。
環境省では今回の結果を、施行から1年が経過し、制度の浸透や再資源化事業者の認定等により、市町村による積極的な制度参加の取組が広まっているものと評価し、今後も経済産業省と連携しつつ、参加意向のある市町村の取組を推進するとともに、優良な取組事例等の情報発信を通じて市町村の参加を更に促す方針。


全国製紙原料商工組合連合会 中小企業庁長官賞を受賞 中小企業団体組織法施行55周年で

中小企業庁長官賞を受賞した全原連

中小企業庁長官賞を受賞した全原連


全国製紙原料商工組合連合会(理事長=栗原正雄氏)は、このほど、中小企業等協同組合法施行65周年・中小企業団体の組織に関する法律施行55周年にあたり、優良商工組合として中小企業庁長官賞を受賞した。
同賞は、協同組合、商工組合等の発展と中小企業の組織化の推進を図ることを目的に、組合運営が特に優良と認められ他の模範とするに足る「優良組合」と、協同組合、商工組合等の発展に寄与した功績が顕著な組合関係功労者に与えられるもので、5年ごとに授与されている。
授賞式典は11月25日に東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京で催され、およそ800名が列席。来賓の宮沢経済産業省大臣らが祝辞を述べた。なお、同賞は熊本県の有価物回収協業組合石坂グループ(代表理事=石坂孝光氏)も同時受賞している。


環境省 廃棄物エネルギー導入進む 第三次循環型社会の進捗状況

環境省は11月14日、東京都と中央区のTKP東京駅前カンファレンスセンターにおいて第6回中央環境審議会循環型社会部会を開催した。本部会は「質にも着目した循環型社会の形成」、「2Rの取組がより進む社会経済システムの構築」を目指し、国民・事業者による2Rの取組への支援や、健全なリユース市場の育成などに取り組んでいる。本会では、第三次循環型社会形成推進基本計画の進捗状況について、環境省、経済産業省、農林水産省、国土交通省の各省から発表され、環境省からは「3R行動見える化ツール」や、廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業などの取組が報告された。
「3R行動見える化ツール」とは、事業者、消費者が行う3Rを推進する行動について、その行動量を入力することで便宜的に環境負荷の削減効果を数字で表すことができるという計算用ツールで、これまで消費者が環境にいいだろうと漠然と実践してきた3R行動の環境負荷削減効果が数値としてわかるようになることや、企業の環境への取組を具体的な数値としてPRできるようになるなどのメリットがある。その活用例として、コープかながわハーモス荏田での、POPを使った環境負荷削減効果の店頭表示などが紹介された。
廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業としては、廃棄物高効率回収、バイオマス熱供給、バイオマスコージェネレーション、廃棄物・バイオマス燃料製造、熱輸送システムなどの対象施設の整備事業への補助実績が報告された。報告によると、同事業のこれまでの採択件数は29件で、補助金総額は約109億円にのぼる。また、本会では2013年10月の外交会議で 採択された水俣条約を踏まえた今後の水銀廃棄物対策についてのパブリックコメント案、家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討について各委員会から意見具申されている。