日刊資源新報購読お申し込みはこちら

再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2013年9月

家電リサイクル制度見直し 自治体、料金前払い求め 不用品回収業者対策も困難

家電リサイクル制度の見直しに向けた産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルWGと中央環境審議会循環型社会部会家電リサイクル制度評価検討小委員会の第24回目の合同会合がこのほど開催された。議題は関係者である自治体や消費者団体からのヒアリング。そのなかで、自治体側からは、リサイクル法施行以降、不法投棄の件数が年度によって増減はあるものの増加傾向を示しているとの指摘もなされ、この対応として、現行の4品目に加え、大型の電動マッサージチェアなど自治体での処理困難物など義務外品目の追加や、不法投棄防止対策、不法投棄品の回収ルート構築、指定引き取り場所の拡充、家電リサイクル料金の前払い制度の導入などを求めた。
家電リサイクル制度の見直しに当たっては、リサイクル料金の前払い制度が常に議論となるが、これに対し、メーカーなどはコスト増などを理由に反対を表明している。家電製品協会では、前払い方式を導入する場合、販売時の製品管理や料金回収、資金管理に係るコスト負担が生じるだけでなく、販売時に道路運送車両法に基づいて登録が行われる自動車と家電製品は流通形態が異なることから、既販品の取り扱いも問題であると指摘。また、前払い制度である欧州WEEE指令についても、回収率は3~5割程度に止まっており、現行の後払い制度の方がローコストな運用が出来るとした。
また、現在、問題視されている不用品回収業者について、一部自治体で摘発に乗り出すところも出てきているが、自治体側からは廃棄物処理法における占有者の意思確認や中古品・一般廃棄物・産業廃棄物の廃棄物該当性判断が困難であることなどが指摘されている。ユーザー側からも、家電の廃棄について利便性の高さや廃棄コストの面等で不用品回収業者を選択する面もあることから、排出者の利便性確保のほか、リサイクル料金の見直しや徴収方法の検討等が求められた。


優良認定制度 「認定」早期取得に措置 更新待たず審査行う仕組みで

環境省が進める優良産廃処理業者認定制度の認定の付与に関して、許可の更新期限前でも優良基準への適否を審査し、優良認定を与えることができるとした措置が新たに講じられており、このほど各都道府県(政令市)に通知されている。
2011年4月に施行された改正法の施行以降、早期に許可の更新を迎えたために「優良認定」を受けることができなかった事業者を救済することを目的とした措置で、改正法施行日以降に、一度だけ優良認定を伴わない許可更新を受けた産廃処理業者が対象となる。
優良産廃処理業者認定制度は、通常の許可基準より厳しい基準をクリアした産廃処理業者を認定する仕組みで、認定業者には通常よりも長い期間(7年間)業の許可が有効となるほか、排出事業者に優良な産廃処理業者であることをアピールできるなど多くのメリットがあるとされる。5年以上にわたり業を行い、不利益処分を受けていない(実績と遵法性)、許可内容や処理状況、施設の維持管理状況など一定の情報をインターネットで一定期間以上公表している(事業の透明性)、ISO14001やエコアクション21等の認証を取得している(環境配慮の取組)、電子マニフェストシステムが利用できる(電子マニフェスト)、直前3事業年度いずれかの年度の自己資本比率が10%以上であるなど(財務体質の健全性)──等の基準すべてに適合していることが条件となる。認定業者としての適合審査は許可更新の申請時にあわせて申請することとなっており、今回の措置はこの適合審査の申請時期に関するものとなる。
制度上、改正法施行日以降1度目の許可更新までは「優良認定」をうけることはできず(「優良確認」は可能)、最初の更新時、基準を満たしている者については「優良認定」を受けることができる。ただし、新制度となって短期間で最初の更新を迎えた事業者の多くが基準をクリアするための諸準備ができなかったため認定申請を見送っており、次回更新時まで認定が受けられないこととなった。今回の措置はこうした事業者が対象で、1度目の更新には間に合わなかったものの、その後認定基準をクリアできる体制を整えた事業者に対し、許可更新に先立って「優良認定」を与えるための仕組みとなる。


災害廃棄物 福島県の処理計画見直し 市町村の状況に応じた対応に

災害廃棄物の処理の進捗状況については、岩手・宮城の2県は計画期間内での処理完了が見込まれる状況となった、福島県については放射性物質汚染対処特措法で指定される地域等での処理が遅れたことなどから、計画期間内の処理が難しい状況となっていた。環境省がこのほど指定地域内での処理の進捗状を点検した結果、平成26年度末を目指すとしたこれまでの目標を改め、個々の市町村の状況に応じて除染や復興の動きと連携した処理を行うとする新たな方向性が示されている。
対策地域のある4市町村で、区域見直しに時間を要したケースや線量率の高い地域があること、廃棄物量自体に大きな差があること、施設の立地に時間を要したこと足等により、市町村毎の処理の進捗状況に差異が生じている。こうしたことを踏まえ、今後は円滑な帰還を支援する観点から避難指示解除準備区域や居住制限区域を対象に、廃棄物の速やかな撤去を計画的に進めるとしている。具体的には、すでに仮置場が確保されている場合は25年度内に廃棄物の撤去・仮置場への搬入完了を目標とし、仮置場の確保で調整中の場合は、早期の同意取得につとめ、搬入完了時期の目標を年内を目途に個別に設定する計画としている。
仮置場搬入後の処理については、焼却炉の立地場所が確保できているところでは25年度内に着工、26年度内の処理開始を目指し、処理開始から概ね2~3年以内をめどに処理を完了させるとしている。なお、処理後の焼却灰や不燃残渣(放射性物質濃度10万Bq/kg以下)は既存の管理型処分場で埋立処分し、10万Bq/kg超のものについては中間貯蔵施設で貯蔵する計画となっている。


3R推進団体連絡会 容器包装Rの課題と方向性示し 研究会報告書を3省に提出

容器包装の3Rを推進する8団体(ガラスびんリサイクル促進協議会、PETボトルリサイク推進協議会、紙製容器包装リサイクル推進協議会、プラスチック容器包装リサイクル推進協議会、スチール缶リサイク協会、アルミ缶リサイ協会、飲料用紙容器リサイクル協議会、段ボールリサイク協議会)で構成する「3R推進団体連絡会」(幹事長=宮澤哲夫PETボトルリサイク推進協議会ト)はこのほど、容器包装のより良い3R推進 への課題と方向を示した 示した研究報告書を環境省、経産省、農水省に提出した。
報告書は連絡会が市民、自治体、学識者、事業者など各ステークホルダーに呼びかけ、自主的に 開催した「容器包装3R 制度研究会(座長=神戸大学・石川雅紀教授)」で、2010年8月から2013年7月までの3年間にわたり検討してきた結果をまとめたもの。主たるテーマは、 ①責任分担そもそも論(消費者、行政、事業者が担うべき責任や役割とは何か)、②プラ容器包装の再商品化手法(プラ容器包装リサイクル手法の向かうべき方向性)、③容器包装リサイクル制度におけるEPR (拡大生産者責任=事業者への費用負担を増大 させるだけで社会的コストの最小化や環境配慮設計が進むのか)の3点。
研究会には各分野のステークホルダーが毎回15名程度参加しており、5回の本会議と小研究会に加え、3回の公開ヒアリングが実施されている。立場や考え方が異なるステークホルダーが一堂に会し、合意できる点と合意できない点などを明確にしている。容器包装リサイクル法の見直し審議が本格化する時期に合わせ、容器包装リサイクル業界の観点から法見直しへの基本的課題と方向が示唆されることになる。


大阪市 機密書類も全量資源化 事業系古紙の焼却処分を禁止

大阪市は10月から新たに、全市を対象に資源化可能な古紙・衣類の分別収集をスタートさせる。資源ごみや容器包装プラスチックの分別収集などにより、23年度実績でごみ処理量は年間約115万トンとピーク時からほぼ半減しているが、市では一層のごみ減を推進し、27年度のごみ処理量を100万トン以下とする目標を掲げている。10月以降、普通ごみに資源ごみや容器包装プラ、古紙・衣類など分別排出の対象品目が混ざっている場合、啓発シールを貼って残置するなどの措置が取られる。なお、新たな資源収集開始後も、集団回収活動団体への支援は継続して行われる。
一方、事業系ごみについてもこれまで、大規模建築物に対するごみの減量指導や焼却工場での搬入物検査や指導など、さまざまな施策が推進されてきたが、新たに10月1日からは焼却工場への資源化可能な事業系古紙の搬入が禁止となる。
大阪市は地方都市の中でも特に、首都圏に次ぐ商工業都市ということもあり、多くの事業所を有することからごみ排出総量に占める事業系ごみの割合は6割と、全国平均の約4割を大きく上回っている。全市でのごみ減施策を進める上で事業系ごみへの対策が重要かつ不可欠とされている。
市では2012年4月に事業系ごみの処理手数料を1キロあたり3円超値上げするなど、ごみ減と資源化促進の取組みを進めてきたが、今回、さらなる取組みとして資源化可能な古紙のごみ化を防ぎ、再資源化の取組みを促すため、市の焼却工場への搬入を禁止することとしたもの。対象となるのは段ボール、紙パック、雑誌、OA紙、シュレッダー紙等。事業系ごみとして出される資源化可能な古紙は年間で約8・3万トンと推計され、これらがリサイクルに回ることは、ごみ減という意味でもインパクトは大きい。
市では昨年末から市内事業者への周知活動を展開しているほか、対応が難しいと見られる小規模事業者に対しては、事前に市が募集、登録されている古紙回収協力店を紹介するなどの支援措置を講じる。また、事業系古紙リサイクルで課題となる機密書類についても例外なく搬入禁止とすることから、特に対応が難しい小規模事業者を想定し、対応できるリサイクル業者を紹介、あっせんするなどの対応を取る。すでに市内の古紙業者では、こうした小口排出を対象とした小ロットのサービスも提供されている。
大阪市は10月から新たに、全市を対象に資源化可能な古紙・衣類の分別収集をスタートさせる。資源ごみや容器包装プラスチックの分別収集などにより、23年度実績でごみ処理量は年間約115万トンとピーク時からほぼ半減しているが、市では一層のごみ減を推進し、27年度のごみ処理量を100万トン以下とする目標を掲げている。10月以降、普通ごみに資源ごみや容器包装プラ、古紙・衣類など分別排出の対象品目が混ざっている場合、啓発シールを貼って残置するなどの措置が取られる。なお、新たな資源収集開始後も、集団回収活動団体への支援は継続して行われる。
一方、事業系ごみについてもこれまで、大規模建築物に対するごみの減量指導や焼却工場での搬入物検査や指導など、さまざまな施策が推進されてきたが、新たに10月1日からは焼却工場への資源化可能な事業系古紙の搬入が禁止となる。
大阪市は地方都市の中でも特に、首都圏に次ぐ商工業都市ということもあり、多くの事業所を有することからごみ排出総量に占める事業系ごみの割合は6割と、全国平均の約4割を大きく上回っている。全市でのごみ減施策を進める上で事業系ごみへの対策が重要かつ不可欠とされている。
市では2012年4月に事業系ごみの処理手数料を1キロあたり3円超値上げするなど、ごみ減と資源化促進の取組みを進めてきたが、今回、さらなる取組みとして資源化可能な古紙のごみ化を防ぎ、再資源化の取組みを促すため、市の焼却工場への搬入を禁止することとしたもの。対象となるのは段ボール、紙パック、雑誌、OA紙、シュレッダー紙等。事業系ごみとして出される資源化可能な古紙は年間で約8・3万トンと推計され、これらがリサイクルに回ることは、ごみ減という意味でもインパクトは大きい。
市では昨年末から市内事業者への周知活動を展開しているほか、対応が難しいと見られる小規模事業者に対しては、事前に市が募集、登録されている古紙回収協力店を紹介するなどの支援措置を講じる。また、事業系古紙リサイクルで課題となる機密書類についても例外なく搬入禁止とすることから、特に対応が難しい小規模事業者を想定し、対応できるリサイクル業者を紹介、あっせんするなどの対応を取る。すでに市内の古紙業者では、こうした小口排出を対象とした小ロットのサービスも提供されている。


環境短観 温暖化対策分野がけん引 「再生エネルギー」ビジネスへの志向強

環境省が平成22年12月から半年ごとに実施している「環境経済観測調査」(環境短観)で、このほど発表された今年6月の調査結果によると、環境ビジネスの業況DI(回答の「良い」の割合から「悪い」の割合をひいた値)は昨年12月よりも増加しており、全ビジネスのDIとの比較でも引き続き好調さを維持している。先行きに関しても半年先、10年先ともに業況は引き続き改善するとの見通しを維持している。調査は全国の資本金2000万円以上の企業から抽出した約2万社を対象に実施され、うち約5000社が回答している。
環境ビジネスを実施している企業から見た自社の環境ビジネスの「現在」(今年6時点月)の業況DIは15で、前回の昨年12月の9から増加、全ビジネスのDI(1)や日銀短観(-2)と比べても、引き続き好調を維持する結果となった。前回調査と同様に半年先、10年先ともに業況は改善するとの見通しとなった。環境ビジネスの4大項目(環境汚染防止分野、地球温暖化対策分野、廃棄物処理・資源有効利用分野、自然環境保全分野)では、地球温暖化対策分野の業況DIが全体を牽引した。また、現在発展していると考えるビジネスについての問いでは、「省エネ自動車」が1位で、今後(半年先、10年先)に発展が期待できると考えるビジネスでは、半年先は「省エネ自動車」1位、10年先は「再生可能エネルギー」(太陽光発電を除く)が1位となった。半年先、10年先で温暖化対策の分野が上位に位置づけられている。
今後実施したいと考える環境ビジネスは前回調査と同様、温暖化対策分野が上位を占め、「再生可能エネ」(太陽光発電を除く)は業種・企業規模を問わず最上位となった。 また、東北6県で新規展開または拡充したい環境ビジネスについては、「再生可能エネ」(太陽光除く)が1位となり、以下、「太陽光発電システム」(据付・メンテナンス等)が2位、「持続可能な農林漁業、緑化」が3位と、こちらも前回調査と同様の傾向が見られた。ただし、前回2位の「土壌、水質浄化サービス(地下水浄化を含む)」をあげる企業の割合は減少している。


環境省予算 資源循環は「質」重視へ 未利用エネルギー導入促進に大幅予算

環境省ではこのほど、2014年度の予算概算要をまとめた。一般会計と特別会計を合わせた要求総額は前年度比で13・7%減となる8405億円となった。東日本大震災復興特別会計は前年度比30%減の合計5284億円となり、そのうち汚染土壌等の除染事業予算は同35%減の3262億円となった一方、汚染廃棄物の処理に関して同60%増の1288億円を計上している。また、整備事業が本格化する汚染土等を保管するための中間貯蔵施設の建設費については、「事項要求」としており予算額が示されていないため、今後の事業の進捗状況により、年末の予算編成過程で具体的な金額が予算に盛り込まれれば総額が大きく膨らむ可能性もある。
また、エネルギー対策特別会計は前年度比77%増の1367億円で、特に温暖化対策関連や未利用エネルギーの開発に関連した新規事業に多くの予算がさかれている。火力発電をゼロカーボンにする可能性を持つ二酸化炭素の回収・貯留(CCS)事業の導入促進、地域主導による再生可能エネルギー導入事業化支援や低炭素・循環・自然共生社会の創出、地熱・地中熱等の利用拡大をめざした自治体・企業等への支援等で新規事業が計画され、予算計上されている。
廃棄物処理の関連では、さきの震災を契機に処理体制の強化が求められている状況を踏まえ、災害時を見据えた廃棄物処理能力の確保に重点を置いた施策が計画されている。また、資源リサイクル関連では世界的な資源制約や途上国での廃棄物急増といった状況を踏まえ、従来の「量」を重視した資源の確保から、安全・安心といった「質」に着目した高度な資源循環システム構築の方向性が示された。循環産業の国際展開に向けた海外でのCO2削減支援等新規事業のほか、小型家電リサイクルの推進や廃棄物の不法投棄対策事業で大幅な予算が計上されている。


近隣での騒音被害も 豊橋市が抜き取り禁止で条例化

愛知県豊橋市が昨12月、資源物の持ち去り行為の禁止条項を盛り込んで改正した「豊橋市廃棄物の処理及び再利用に関する条例」が10月1日から施行される。市の調べによると、1年間に市が設置したびん・缶回収ボックスから抜き取られるアルミ缶は推定で約60トン、資源価格で約390万円にのぼるとされる。近いところでは、今年4月から実施された巡回パトロールで、6月末までに約126件・93人の抜き取り行為が確認された。なお、びん・缶回収ボックスを自治体が行う例は同市が全国初となるが、利用者にとって利便性がある一方で、抜き取りを行う者が缶類を運びやすいようにその場でつぶすため、その騒音で近隣住民から多く苦情が寄せられている。市ではこれまで、抜き取り防止用にボックスを改良するなどさまざまな対策を講じてきたが、抜き取り行為は一向に後を絶たない。
新たな条例では、市が認める以外の者がごみステーションのボックスから資源物を収集・運搬(持ち去り)することを禁止しており、違反者には勧告、命令等の段階を経て最終的には20万円以下の罰金を科している。法人等に対する両罰規定も設けられている。首都圏や都市部を中心に、行政資源回収や行政が支援する集団回収事業等からの資源物の持ち去り(抜き取り)行為が後を絶たない。禁止条例化など各地で対策も講じられているものの、持ち去り業者が条例のない周辺地域に移動して不正な行為を続けるなど、より広域化・悪質化する傾向が見られる。
資源の略奪行為は東京や近隣県での古紙の持ち去りが代表的だが、地方圏では回収範囲が広域化するためか、びん・缶・ペットボトルなど容器包装での被害が多い。特に中部地域では従来の資源回収・集団回収とは別に、振興古紙業者が幹線道路沿いに自前の回収ステーションを設置したり、大型店舗等に回収ボックスを置くなどして、利用者に何らかのインセンティブを付与する仕組みでの古紙回収が拡大している。そうしたシステムからの古紙類の持ち去りも皆無ではないが、価格の高い容器資源の持ち去りが圧倒的に多い。古紙の持ち去りと同様、条例化した地域から周辺地域に被害が広がることが想定されることもあり、先行地域を中心に周辺自治体での条例化の動きが広まっている。


PET再商品化 有償引取1万3000円下げ 25年度下期分の落札状況

容器包装リサイクル法に基づくPETボトルの再商品化では、内外の再生原料需要動向の急激な変動やバージン材の市場動向などさまざまな要因から、長期的な事業計画を立てることが困難となっている。過去には落札分の期中での引取り辞退や、その後の再入札といった状況も見られた。このため現在、容リ協会では専門の委員会で新たなPETボトル入札制度についての協議が進められているところで、暫定的な措置として今年度分については上期(4月~9月分)と下期(10月~翌年3月分)の2回に分けての入札が行われている。さきごろ今年度下期分の入札が実施され、落札結果(暫定値)が公表されている。
それによると、25年度下期の落札単価は有償分で-4万9428円/トン、逆有償分で6万2514円/トンの合計-4万8256円/トンとなった。落札数量は有償分 8万9017トン、逆有償分941トンの合計8万9958トン。通期では有償分18万9460トン、逆有償分1万1823トンの合計20万1283トンが落札され、前年度と比べて合計で約3500トン、1・8%の増加となっている。また、25年度通期の落札単価は有償分-3万7787円/トン、逆有償分3万5884円/トンで全体では-3万3335円/トンとなっている。
容器包装リサイクルシステムでは、再商品化委託料を原資に再生処理事業者に再商品化が委託される(逆有償)が、 逆に再生処理事業者が協会に支払って再商品化を受託する(容器包装を買い取る)状況の「有償入札」が一部品目で導入されており、この有償入札で得られた収入が市町村への拠出金となる。PETボトル入札での落札単価の昨年度との差異を見ると、有償分については有償額(協会からの買取額)がトン当たり1万2745円の下げとなり、逆有償分についても1万2979円のマイナスとなっている。


エコアクション21 年内に累計8000件超に 関連施策の進展で登録数も伸び

事業者による効果的、効率的な環境への取り組みを進めるために環境省は1996年、企業が取組む自主的行動の簡易な方法を提供する「エコアクション21」を策定した。その後、2004年にはグリーン購入の拡大や大手事業者でのサプライチェーンのグリーン化、環境報告書の普及、さらには地方自治体等での独自の環境マネジメントシステムに関する認証・登録制度の創設等が進んだことなどからこれらに対応するため、仕組みの見直しとともに他の認証・登録制度に活用できるものへと改訂している。
EA21は中小企業や学校などが低コストで手軽に継続的な環境改善活動に取り組むための環境マネジメントシステムと位置付けられており、大手企業が導入するISO14001規格に比べ初期投資、運営コストが格段に安く(十分の一程度)、ISO14001と同等の効果を得ることができることから。特に認証・登録制が導入されて以降、急速に登録数を伸ばしている。取引先からのグリーン調達要求に適合するなど、環境経営をアピールする点でも国内での効果はISO14001と遜色ないことなどもあり、当初、ISO認証を取得した企業等が基準等の面でのハードルの高さやコスト的な問題から継続を断念し、それに代わるものとしてEA21に切り替える例も見られる。
EA21の認証・登録状況を見ると、認証制度がスタートした2004年度の実績で登録数は 155件だったものがその後2年間は前年比2倍増のペースで伸び、2010年度の登録件数は前年度比40%増の6306件となった。2012度末で 7729件、今年7月末現在での認証・登録事業者数(累計)は7927件となっている。


事業系一般廃棄物 新料金10月1日より 委託料見直しで顧客への対応も

今年初めに決定・公表された東京23区の清掃工場への搬入料金の見直しを受け、各区で協議されていた事業系一般廃棄物処理手数料の改定がそれぞれ決定され、新料金の適用が10月1日からと間近に迫っている。そうしたなか、事業系一廃処理各社が処理受託料金の見直しに関して顧客への説明に回るなど、対応に追われている。
今回の一廃処理手数料の改定は燃料費の高騰などコスト増が進むなかで、自治体の廃棄物処理手数料と実際の廃棄物処理費用との乖離を縮小し、事業者に適正な費用負担を求めるという観点から検討、決定されたもの。10月1日以降の各区の事業系一廃の処理手数料は現行のキロ当たり32・5円から4円上げの同36・5円となり、排出事業者と許可業者が事業系一廃の収集・運搬・処分契約を結ぶ際の契約上限額もキロ当たり36・5円に変更される。
事業系一廃の契約では多くが廃棄物の種類や数量等さまざまな条件により個々に設定され、通常は行政の事業系ごみ料金よりも割安に設定されている。今回の自治体処理手数料の改定を受け、許可業者の受託料金もこれに準じて同様の上げ幅で改定されることになる。ただし、実際には燃料費の高騰や来春にも行われるものと見られている消費税増税など、排出企業のいずれもが厳しい事業環境にあることから、ここにきての処理料金の値上げ要請は非常に難しいようだ。
今年初め、持ち込み手数料値上げの決定を受け、事業者の組合では、各区が公開する処理手数料改定の案内等を活用するなど、早い段階から顧客に理解を求めていくよう呼びかけていた。景気は回復基調にあるとはいえ事業系一廃の処理でも競争が激化しており、各社ともに厳しい対応を迫られている。


多摩地域 「持ち去り」対策進む 識別精度を集団回収参加要件に

古紙持ち去り対策の一環として昨年末にスタートした回収車両識別(ステッカー)制度は、持ち去り車両と正規車両の識別を明確にするため、古紙リサイクル関係7団体(全原連、日資連、関東商組、関資連、東京協組、東資協、東リ協会)で構成する「古紙持ち去り問題意見交換会」が企画、運営する制度で、今年6月5日公表分までで登録車数は8団体構成員515、非構成員64の計579車両にのぼっている。
この制度では古紙の持ち去りと不正流通に関与しない旨を宣言する事業者(車両)を認証・登録し、業界全体として健全な古紙リサイクルを推進する姿勢を広く市民にアピールするねらいがある。不正流通に関与する業者(車両)を明確化することで、不正車両を市場から排除することをめざしたもの。行政回収、集団回収など古紙のリサイクルを行うさまざまな場で、市民や自治体関係者を含む各主体に多角的に活用されることが期待されている。
さきごろスタートしたGPSを活用した不正流通古紙の追跡調査事業で広域的な取組みを展開している都下・多摩地域では、自治体や地域の業者団体等がこの車両識別制度を資源集団回収事業に必要案件として位置付けるなど、有効に活用している例がある。東多摩再資源化事業協同組合(紺野武郎理事長)では、東村山・小平・西東京・東久留米・清瀬・東大和の六市を事業エリアに6市の委託を受けて資源回収とヤード受入れ、リサイクルセンターでの選別作業と併せ、集団回収の窓口業務を行っているが、集団回収業務を行う事業者で組織する業者会への入会に際して、この識別制度への参加を資格要件として新たに加えた。業者会への入会にあたって同意を求めている順守事項にはこれまでも、持ち去り行為に関与しないことや、持ち去りの疑いのある古紙を扱わないこと等がうたわれていたが、「古紙持ち去り防止ステッカーの車両貼付が必要」とする項目が追加された。なお、それによって実際に集団回収業務に参加が認められなくなった事業者(車両)もあり、業者会ではそうした業者に対しては、識別制度への参加(認証登録)を促している。
また、これとは別に東大和市でも今年2月、市内の資源集団回収に参加する事業者と交わす協定書に「車両識別制度」への参加を要件として追加する旨を公表、対象とする全事業者に通知している。この「資源物集団回収に関する協定」は、同市の集団回収推進報奨金交付要綱に基づき行われているもので、報奨金の対象となる集団回収事業に識別ステッカーのない車両の参加を一切認めないこととしたもの。ペナルティーを科す手法で不正車両の排除活動を進めるのと同時に、事業者や市民サイドに正規車両を活用することのメリットを明確に打ち出し、少なくとも自治体が関与する古紙リサイクルでは、不正流通古紙の排除に賛同しない事業者は活動できなくなるような環境が整いつつある。