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日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2013年8月

古紙持ち去り GPS、都下全域に 3市合同など広域的な取り組みも

回収業界、問屋業界など古紙流通に関わる業界が連携して進めてきた古紙持ち去り問題への対応では、不正流通古紙の市場からの排除を目指したさまざまな取組み(防止パトロール、自治体条例化の働きかけ、正規流通業者識別ステッカーなど)が行われ、これまでに相応の成果を上げている。しかしなお、一部のアウトサイダーらによる持ち去りと不正流通が後を絶たない状況にあることから苦肉の策として、問屋組合である関東商組の主導により、GPS機能を活用した持ち去り古紙の追跡調査が始まっている。先行の取組で相応の効果が確認されていることもあって、多方面から注目を集めている。
東京では西東京市が今年6月にGPSによる追跡調査をスタートさせているが、これまでの持ち去り対策の例として、地域での監視体制が厳しくなるにつれ周辺地域に持ち去り車が移動するなど、近隣自治体への影響が懸念されるや、より広域的な対応が効果的なことなどもあって同市と共同で一般廃棄物の処理を行う清瀬、東久留米両市が9月から合流し、3市合同で調査を実施していくこととなった。
なお、東京・多摩地域では今月1日、東村山市が同様の調査をスタートさせると発表した。持ち去りが頻発するごみ集積所にGPSを埋め込んだ古紙を設置する。持ち去りと不正流通の実態把握、流通経路の特定などを目的としているが、事業の実施を公にすることで持ち去り行為を防ぐ「抑止効果」を期待している。多摩地域で他に先行してスタートした西東京市の試みでは7月、地域から持ち去られた古紙が埼玉県内の問屋に持ち込まれていることが確認されており、同問屋に対して組合が以降の不正流通古紙の受け入れを拒否するよう厳しく指導した。持ち去りの被害は各自治体でそれぞれ、年間数万~数十万円と試算されている。


産廃優良認定 制度は着実に定着 地域の実情から独自の仕組み創設も

環境省が進める国の優良産廃処理業者認定制度は、通常の許可基準よりも厳しい基準をクリアした優良な産廃処理業者を、都道府県・政令市が審査して認定する制度で、平成22年度の廃棄物処理法の改正に基づき創設されたもの。それ以前の「産業廃棄物処理業者の優良性の判断に係る評価制度(優良性評価制度・平成17年~)」は廃止されている。現「優良事業者認定制度」は、環境配慮契約法で業者選定の際の要件に優良化制度への適合が明記されたことなどもあって認定件数が急増、ここ1年間で前年同比50%増の547社3698件(6月末時点)となっている。
旧優良性評価制度の時点で申請、審査窓口となる各都道府県・政令市の大半が国の制度を導入していたが、一方で国の制度に先行して、あるいは並行して処理業者に対する独自の評価制度を導入している例も見られた。岩手県の「産業廃棄物処理業者の格付け・保証金制度」(平成15年度~)、徳島県の「徳島県優良産業廃棄物処理業者認定制度」(平成21年度~)、東京都の「産業廃棄物処理業者の適正処理・資源化の取組に係る優良性基準適合認定制度」(平成21年度~)など。
現在、国の認定制度により処理業者の評価・認定制度が実施されているが、一方で新たに独自の評価制度を創設する動きもある。大分県では新たに、産業廃棄物処理業の適正化をめざした独自の業者評価制度の創設を検討している。国の評価制度で優良業者に認定されるには一定の財務規模が伴うことが必要だが、中小業者の多い同県の実情にそぐわないとして広範な適用が見込める独自の制度を設けることとしたもの。同県では放置された産廃の行政代執行をこれまでに3件実施しており、不適正事案の未然防止策を講じている。新制度の創設もその一環。
国の優良認定制度では、電子マニフェストシステムへの加入や、ISO14001などの認証取得が条件となるが、こうした条件もハードルとなって現在、県内の産廃処理業者約220社中、優良業者に認定されている事業者は3社にとどまっている。一方、県がめざす新制度では、国の制度のような許可期限延長などの優遇措置はないものの、独自の認証ステッカーの交付や、県のホームページ上での掲載などのメリットが与えられることになる。認定条件についても施設規模や事業内容に応じた審査基準を設けることとし、さらに地域貢献度もプラスの評価材料とすることなどが想定されている。


容器包装リサイクル協会 相場変動への対応など PET入札制度のあり方を検討

(公財)日本容器包装リサイクル協会では、容R法に基づく再商品化事業を行うに当たり資源相場変動の影響が顕著なPETボトルについて、相場変動に対応するなど業務を安定的に行うための入札方法のあり方を検討、制度運営に反映させるためPETボトル入札制度検討会を立ち上げ、2月から全4回の予定で検討を行っている。さきごろ第3回目の検討会が開かれた。
ボトル等製造事業者(ユーザー)がフレーク等のリサイクル材を選択する動機は、リサイクル材による歩留まり低下を考慮してもバージン材との価格差メリットがあることで、バージンPET樹脂価格が下落した場合、再生処理事業者(リサイクラー)はユーザーの価格メリットを考慮し、より安価で販売しなければならない。容リ協ルートは原則、年1回の入札制度であり、期中の引取り辞退等の場合には登録取消し等のペナルティーがある。一般論としては、価格変動分についても合理的な経営判断に基づき入札されるべきものとなる。しかし近年、容リ協ルートは競争倍率が激化し、変動リスクがあるにもかかわらずより高い価格で入札される傾向にある。年1回の入札で全てが決してしまうため、価格変動リスクを恐れて低い価格で入札した場合、落札できない可能性があるため。市況価格変動リスクを吸収するためスプレッド(事業者によって固定費やフレーク売値が異なるため一律の数値化が困難で、便宜上バージン樹脂価格と落札価 格の差とした)の推移を見ると、年々減少傾向にあり、今後もこの状況が続くものと考えられている。
そうした中、昨年夏の市況下落は中長期的には大幅な下落とは言い難いものの、入札実施時点に判明しているバージン樹脂価格と比較して期中に顕著に下落した例としては、リーマンショック後初となる。多くの事業者が年1回の入札では期中の市況変動を読み切ることが困難であることを表す結果となった。こうしたことを踏まえ、公平公正な入札を前提としつつも、バージン樹脂市況変動時に柔軟に対応することにより、リサイクルに支障をきたす事態を回避するという措置が求められている。検討会では、課題となる再生PETボトル素材の市況追随性を向上させるため、期中の市況連動が可能となる方式(入札回数の見直し等も含め)について検討している。第3回会合では、期中変動方式(フォーミュラ方式)のあり方が議題となった。

年2回入札、緊急時発動など
バージン樹脂の相場変動に強く影響されるPET再生樹脂入札制度のありかたとして、「価格フォーミュラ方式─期中変動方式」、「急落時緊急発動方式」、「年2回入札方式」の3つが挙げられている。価格フォーミュラ方式は再生処理事業者が相場変動で被る影響を調整し、安定的な再商品化事業の基盤維持を目指したもので、下落・高騰時両方の完全連動型フォーミュラと、下落時のみの救済型フォーミュラが想定されている。
一方、そもそも相場は常に変動するものでそれを前提に入札が行われていることから、中期的(3ヶ月~半年程度)に急激な相場下落があった場合にのみ限定した仕組みとして導入されるものが急落時緊急発動方式となる。一定の予め決められた条件(期間・変動率・在庫指数等)に到達した際に導入することとしている。また、入札対象期間を年間2期に分け、相場変動を視野に入れた入札を再商品化事業者の判断で行うという方式もあり、暫定的にこれが導入されている。なお、複数回入札という案もあったが、入札弐要する期間が最低限3~4ヶ月必要なことから、現実的には市町村・再生処理事業者・協会の業務量の増加など、3回以上の複数回入札は不可能としている。
価格変動に対応する手法の導入については、議論の過程で委員からもさまざまな意見が出されている。20%超の市況変動でフォーミュラ方式を導入する場合、問題となった24年度の相場変動は対象とならず、リーマンショックのような100年に1度の事態でしか発動されない。参加の委員からは、24年度の再選定の原因はバージン樹脂と再生樹脂の価格差であり、過当競争に伴う入札価格の高値安定の問題を解決しない限り、たとえ市況フォーミュラを導入しても、あまり効果が出ないのではないかという意見が出た。さらに、フォーミュラを導入する場合、下落だけではなく高騰した際も対象にしなければ単なる救済方法にしかならないとした厳しい意見もある。救済方法とフォーミュラ方式の導入は別の場で議論すべきとしている。


エコマーク リサイクル基準の設定で 軽量、再生PETなど3分類を追加

(公財)日本環境協会 エコマーク事務局はこのほど、エコマーク商品類型の「詰め替え容器・省資源型の容器」の認定対象として新たに3分類を追加、認定基準案を公表した。新たに追加されるのは「分類C無菌包装米飯容器」と、「分類D軽量PETボトル」および「分類E再生材料を使用したPETボトル」。
2011年の包装・容器の出荷金額・数量は5兆6892億円・1883万トンで、家庭から出るごみの約60%(容積比)を占める器包装廃棄物の削減が大きな課題となっている。容器・包装の原材料別構成比は紙・板製品が62・4%、 プラスチック製品が18・7%、金属製品が6%、ガラス製品が7・ 1%、木製品が3・2%など。
エコマークでは一部の商品類型で対象容器包装についての基準項目を設定しているほか、容器包装そのものを評価する商品類型を行っている。これまで、著しい省資源が実現されていると認めら製品をエコマークで 採り上げることも検討されたが、定量的な基準設定が難しいことや、技術進歩の速さなどからすぐに陳腐化してしまう可能性があることから実現には至らなかった。そうしたなか、2012年度以降に取り組む新規商品類型として「軽量 化・薄肉減容した包装容器」が選定された。エコマーク商品類型「プラスチック製品」では、従来から「食品・化粧容器、医療関連」で再生材を使用したボトルが認定されている。
今回、軽量化の観点だけでなく使用後のリサイクル等も想定した基準を設定することから、指定PETボトルを適用範囲としたほか、再生材を使用したPETボトルについても、商品類型「プラ製品」から独立させ、「食品用器具・容器包装の再生材料を使用したPETボトル」として再編した。


パナソニック 廃家電から電炉鋼板 東鉄と資源循環取引スキーム

パナソニックではこのほど、東京製鐵と共同で、使用済み家電製品から発生する鉄スクラップをリサイクルし、再びグループの製品材料の鋼板として使用するという電気業界初の鋼板の資源循環取引スキームを開始した。
同社は東京製鐵と共同で、電炉鋼板の薄肉化、皮膜耐食性向上、プレス加工性の向上など材料を開発し、洗濯機、照明器具、実装機、溶接機などに採用。これら実績を踏まえ、パナソニックエコテクノロジーセンター(兵庫県)にて回収した鉄スクラップを東京製鐵岡山工場に納入、製造された製品を安定的な価格で購入し、製品へ使用する資源循環取引スキームを構築した。
製造された電炉鋼板は、第一弾としてパナホームが調達、建築用鋼板(天井材)として7月から使用する。なお、同スキームは、パナソニックエコテクノロジーセンターの鉄スクラップ価格と東京製鐵の電炉鋼材の購入価格を両社で協議した変動ルールに基づいて取り決めることから、調達コスト面でも貢献出来るとしている。


産業廃棄物マニフェスト 電子化率は30%超に 公共事業必須で高い導入率も

平成9年の廃棄物処理法の改正により、全ての産業廃棄物の処理委託に産業廃棄物管理票(マニフェスト)の使用が義務化され、同時に電子情報を活用する電子マニフェスト制度が創設された。平成10年12月からは(公財)日本産業廃棄物処理振興センターの情報処理センターが同システムの管理・運用を行っている。
電子マニフェストシステムの加入者数は平成19年以降、顕著な伸びを示している。センターのまとめによると、24年度末の加入者数は8万9015社(うち排出事業者7万792社、収集運搬業者1万1720社、処分業者6503社)となっている。加入者のうち排出事業者の業種別構成は医療、福祉が最も多く全体の7割超を占め(74・3%)、その他は製造業(7・3%)、建設業(6・9%)という順。また、都道府県別では東京都が最も多く(1万2221社)、次いで神奈川県(7191社)、静岡県(7049社)の順となっている。このうち特に静岡県の加入者数が多いことについては、県の公共工事で電子マニフェストの利用が義務付けられていることが要因と見られている。
また、電子マニフェストの登録件数についても加入者数推移と同様、平成19年度から急増しており、24年度は1505万件となっている。電子マニフェストの登録件数と紙マニフェストの推計発行枚数を合わせたマニフェストの総数から見た電子化率は30%となっている。なお、電子マニフェストに登録している排出事業者の業種別登録状況を見ると、建設業の利用が全体の半数以上(56・3%)を占めており、次いで製造業(11・8%)、卸売業、小売業(8・9%)の順となる。この3業種で全体の7割超(77%)を占めている。


環境配慮契約 「産廃処理」本格運用へ 基本方針の見直しで検討始まる

温室効果ガス等の排出削減に配慮した官公需契約に関する法律「環境配慮契約法」に基づく、「基本方針」等を見直すための基本方針検討会の今年度第1回会合がこのほど開かれた。環境配慮契約の対象となる物品・役務(契約類型)や、契約対象事業者を選定する際の評価方法等を示した「基本方針」は必要に応じて適時の見直しが行われている。例年の通り、今年度もさきごろ提案募集が行われ、契約類型の追加と基本方針等の見直しについて2件の提案があった。これらを踏まえて検討会では今後、環境配慮契約の基本的な考え方や評価基準、契約手続き・内容、法の施行状況等の検討が行われる。
昨年度実施された締結実績等調査からは、現行5累計中で省エネ事業(ESCO事業)の契約実績が十分でないことや、努力義務ではあるものの環境配慮契約の取組み自体が進んでいない自治体があり、効果的な普及促進策の検討が必要な状況にあることなどが指摘されている。そこで今回の見直しにあたって、これら2課題に対応した専門委員会(ESCO、地方公共団体普及促進)が設置され、それぞれの問題に特化した対策が検討されることとなっている。「基本方針」では昨年度、新たな契約類型として「産業廃棄物処理契約」が追加されており、今年度実施される契約から本格運用される。
産廃処理業務の契約では、定められた項目への対応状況等で一定基準を満たす者に入札資格を与える「裾切り方式」が採用されており、その評価項目(基本項目)として、環境配慮への取組みや優良基準への適合状況等が示されている。本格有用を前に解説資料の改定が行われる予定で、評価項目の確認に必要な提出書類や入札手順の流れなどの見直しが検討される。


ガラスびん リターナブルは1割超の減少 平成23年のびん3R進捗状況

ガラスびんリサイクル促進協議会はこのほど、平成23年のガラスびんの3R進捗状況をまとめた。リユース(再使用)の動向としては、リターナブルびんの流通量(本数)は23年度も減少傾向が続いているんが、減少率は本数ベースで前年比11・1%減と1割強のマイナスとなり、22年の減少率1・1%減から見ても大幅な減少となった。主要品目のビール大びん、日本酒、牛乳がそれぞれ、前年比85%前後との低迷したことが大きな要因となっている。同年3月の東日本大震災の発生と現場事故の影響による夏場の電力不足の問題等により、容器と中身商品の生産・物流体制に大きな影響が出たことや、急速な景気の冷え込みで外食産業など業務用の需要が極端に落ち込んだことなどがリユースびんの大幅減少の要因となった。
また、ガラスびんリサイクルの進捗状況を見ると、23年の国内消費量152万7871トンに対して再商品化量は106万3909トン、リサイクル率は69・6%となり、前年から2・5ポイントの伸びとなった。ただし、再商品化量が前年比で1・5%の伸びにとどまったのに対し、国内消費量は2・2%減となっている。前年のように消費量の伸びに再商品化量が及ばずリサイクル率が下がったのとは異なり、分母の縮小がリサイクル率の伸びとして現れたもの。
平成23年のびんtoびん率は前年の81・7%から0・5ポイントマイナスの81・2%となった。東日本大震災の影響もあるものと見られるが、平成21年までは数値が不明なために除外されていた市町村他からの他用途向け随意契約ルートでの回収量が加算されたことも、びんtoびん率の低下の要因となったと判断されている。
なお、ガラスびんメーカーがリデュースの取組みとして取り組んでいるびんの軽量化の進捗状況を見ると、基準年(平成16年)比で1本あたりの単純平均重量では6・9%の軽量化が進んでいる。容量構成比の要素を除いたネットの軽量化率は第2次自主行動計画目標の2・8%軽量化に対して、2・0%の軽量化となっている。


環境省 税制グリーン化で会合 現行制度の評価・見直しへ

環境面から望ましい税制のあり方を検討するため環境省では、有識者による「税制全体のグリーン化推進検討会」を設置しており、このほど本年度第1回会合が開かれた。検討会は現行税制を環境面から評価し、今後の税制グリーン化の推進方策、留意事項等を検討するが、第1回会合では国内外の税制グリーン化の状況を整理し、今後の検討の進め方を話し合った。
昨年9月にまとめられたこれまでの議論の中間整理によると、エネルギー課税の炭素税化については、炭素排出量に応じた税率とすることで、温室効果ガス排出抑制や社会的費用の内部化が図られるとしている。地球温暖化対策税等による削減効果を適正に評価するなど、グリーン化の効果を最大限に発揮させることが重要としている。
車体課税のグリーン化については現在、自動取得・重量車体課税のエコカー減税や自動車グリーン化特例措置が講じられており、こうした措置の環境効果等を適正に評価分析し、見直しを行う際には諸外国の関連税制と環境効果等も検証しつつ、関連税制全体で総合的・体系的な検討を行うこととしている。
また、廃棄物税については、現行の産業廃棄物税による環境効果の評価や廃棄物政策でのさらなる排出抑制や最終処分量削減の必要性、それらの目的に応じた課税あり方(産廃以外ではごみの有料化やレジ袋など既に講じられている取組みとの関係)を踏まえ、強化や全国化について検討することが考えられるとした。


環境省 焼却灰処理加速を要請 独自基準での搬入拒否に否定的

環境省はこのほど、東日本大震災の原発事故に由来する放射性物質に汚染された廃棄物の処理について、放射性濃度が8000Bq/Kg以下の焼却灰を適切に処理するよう、各都道府県政令市に改めて通知した。1都9県(岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県)を対象に事故由来放射性物質に汚染された一般廃棄焼却灰等の保管状況を調査した結果、放射能濃度8000Bq/Kg以下の焼却灰が一時保管 されているのは1都9県の焼却施設の約8分の1の施設となった。多くの 焼却施設では、廃棄物中に含まれる放射能濃度が減衰しており、受け入れている廃棄物処理業者、最終処分場管理者 によって適正な処分が進められている。
一方、一部の焼却施設では周辺地域の理解が得られことや、 廃棄物処理業者や自治体が独自に設定した一定濃度以上の搬入拒否や、自治体が処理業者に一定濃度以上の廃棄物を取り扱わないよう指導するなどした結果、保管が長期間継続している状況も見られる。これら施設では新たに生じた焼却灰により保管量も増加傾向にある。長期間保管する場合、 最終処分先が確保できない廃棄物の保管が施設管理者の大きな負担になるだけでなく、処分が滞るとこで市町村等の一般廃棄物理や上下水・工業用水道事業、農業生産活動への影響も懸念されている。
このような適切な処分を否定する対応は処理の安全性に疑問を呈する風評の原因となり、結果として8000Bq/Kg以下の廃棄物全体の処理を遅らせることになることから、環境省ではこうした制限や指導を行わないいよう求め、特に廃棄物の委託処理が行われる場合について、適切に対処するよう重ねて要請した。


埼玉県 許可手続きを厳格化 業務開始への手順を制度化

埼玉県ではさきごろ、「産業廃棄物処理業に関する手続き等を定める要領」を改正、施行している。廃棄処理法に基づく処理業の許可に関して、 計画書の事前提出等の必要な事項を定めるなど、万全な手続きの体制を整えることで、適正処理体制の強化につなげることがねらい。
新たな要領では施設設置後に初めて、処分がスタートできる仕組みとし、特に施設の設置により許可が既成の事実とならないよう、施設設置前に県が施設の設置を承認する手続き「処理施設設置協議」 を新設しているほか、処分スタート前に、施設が許可基準に適合しているかを審査する仕組みなどを制度化している。処理業の許可に関する手続きの流れではこれまでは、計画書に基づく事前協議での可否判断に続いて周辺住民や隣接地所有者の合意形成ののち、提出された申請書が審査を通過した段階で処分に関する許可が出されており、その後に施設の設置および完成後検査が行われていた。
改正後は計画書の審査、合意形成に次いで施設設置に関する協議が行われ、そこで承認を受けてのち施設の設置が行えるようになった。さらに、施設設置後に申請書が受理され、施設検査を含む審査を経てのち処分業の許可が出される仕組みとなっている。実際に処分が行えるのはそれら一連の行程を経てのちとなる。


産業廃棄物処理業 業況判断は改善へ 全産連実施の景況調査で

(公社)全国産業廃棄物連合会が行っている「産業廃棄物処理業景況動向調査」の直近の公表によると、今年1~3月期の産業廃棄物処理業界の業況は、経済政策への期待から回復に向けた動きが見られるとした結果が出ている。連合会では全国の正会員企業を対象に処理業界の実態把握を目的としたアンケート調査を行っており、それに業界の抱える問題点を検討、整理した結果を合わせて報告書としてとりまとめ公表している。
全国の正会員協会加盟の会員企業を対象に実施されたアンケート調査の結果(回答数417)、今年1~3月期の景況判断を「悪化」と回答した企業は全体の3割弱、29%となり、前回調査(2012年7~12月期)の 38%と比べて9ポイント改善している。「好転」と判断した企業は9%で、こちらも前回調査時の6%から3ポイントの改善となっている。
景況判断DI(「好転」・「増加」したとする回答から「悪化」・「減少」を差し引いた値)は▲20となり、前回調査時の▲32から12ポイント改善している。なお、業況感DI の内訳を見ると、売上高 DIは▲17で前回から3ポイント悪化、処理量 DIも▲19で同5ポイント悪化している。一方、契約単価DIについては▲9で前回結果から4ポイント改善し、営業利益DIは▲17で同5ポイント改善している。その他、資金繰りは▲3で5ポイント改善、借入難易度は6で5ポイント改善、設備投資は▲6で9ポイント改善、従業員数は0で5ポイント改善──などとなっている。
今後の景況感DIの見通しは回復基調が続く見込みとなっており、売上高の動向も前年同期比(3ヶ月平均)で0・5%増となった。処理量の動向については前年同期比(3ヶ月平均)で1・4%減となっている。また、経常利益率については平均値が5・16%(前回 4・95%)となり、「5%未満」とする回答が全体の35・7%、「5~10%未満」が17・9%、「10%以上」が14・5%となっている。
経営上の問題点については、「同業者相互の価格競争の激化」とする回答が最も多く、以下、「需要の停滞」、「顧客先からの値下げ要請」、「人件費以外の費用増加」の順となっている。前回調査との比較では「需要の停滞」は23%から20・2%に低下しているが、「人件費以外の費用増加」は9・3%から11・5%に上昇している。