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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2013年7月

優良認定制度 認定業者数が急増 環境配慮契約法の改正景気

(公財)産業廃棄物処理振興財団のまとめによる「産廃処理業者優良認定制度」の最新の認定状況によると、6月末時点での認定数は全国で3698件(547社)となった。認定数はここ1年で5割増となっている。さきの環境配慮契約法の見直しに伴い、新たな環境配慮契約の対象に産業廃棄物処理が追加され、その中で契約先の選定に際して優良事業者認定の優位性が示されたことなどが、認定実績の大幅な拡大につながったと分析されている。
「優良認定制度」は平成22年度の廃棄物処理法の改正に伴い、優良な産業廃棄物処理業者を都道府県・政令市が認定する制度として創設された。認定業者には産廃処理業の許可の延長や、排出事業者に対する優良処理業者であることのアピールなどのメリットがあるが、認定に至るハードルの高さなどもあって認定実績は伸び悩んでいた。
一方、国や自治体等が民間事業者と契約を結ぶ際の業者の選定にあたって、価格に加えて環境性能を含めて評価する仕組みとして導入されている「環境配慮契約」では、昨年度改正で、「産業廃棄物処理契約」が新たな契約類型に追加されている。産廃処理契約の入札に参加する者として、「温室効果ガス等排出削減への取組み状況のほか、適正処理の能力と実績等による裾切り方式」が採用されており、具体的な入札条件は調達者(事態等)が設定することとなっているものの、優良認定制度への適合を評価項目とすることが明記されている。
現在、優良認定を必須の要件とはしていないが、さきの法改正に至る議論の過程では、認定制度の浸透度合い、普及の度合いを見つつ、必須要件としていくことも今後の検討課題とされた。将来的には官公需案件の処理事業に、優良化認定の有無が大きな位置を占めてくるものと見られている。


鉄リサイクリング・リサーチ 多様なインドを考察 日本くず使用のポテンシャルを確信

ESSAR STEEL訪問

ESSAR STEEL訪問の様子


株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長ではこのほど6月下旬に業界有志により実施されたインド視察の結果を踏まえ、躍進する「インド鉄鋼業と日本の鉄スクラップ輸出の可能性」についてレポートを取りまとめ、公表した。なお、今回のインド視察に当たって林氏は副団長を務めた。
林氏のレポートによれば、2012年のインドの粗鋼生産量は前年比630万ト ン増の7760万トンとなり、前年に続き過去最高を更新しており、 2005 年から2012年までの伸び率はトルコと同率の8・0%であり、世界第4位の 規模にある。さらに政府の計画によれば、2020年の粗鋼生 産量は2億トン が見込まれている。そして拡大が続くインド鉄鋼業の特徴として、電炉の比率が極めて高く、2012年の製鋼法別統計によれば、転炉31・2%に対し、電炉比率は 67・ 5%にも達しているなど、電炉が生産の伸びをけん引している。今回のレポートはこうしたインド鉄鋼業の構造を踏まえ、日本の鉄スクラップの輸出の可能性を検証した内容となっている。
林氏は、インド鉄鋼業の発展について歴史的背景を踏まえつつ、鉄鉱石や石炭などの豊富な資源を背景とした先発一貫メーカーの高炉だけでなく、天然ガスを利用した還元鉄などを使用する電炉一貫メーカーも存在する一方、小規模な誘導炉メーカーなど日本とは異なる生産構造の多様性を指摘。一方、粗鋼生産の増加に伴い今後大きな鉄源需要の伸びが予想されるなかで、日本の鉄スクラップの輸出を考える場合、単に電炉メーカーとして対するの ではなく、企業形態と鉄源調達方法を知り、個別に対応する必要があるとした。
また、インドは中国について世界第2位の鋳物生産国であることから、鋳物製品に応じた品位の対応 に留意すれば、新断、シュレッダー、HSなど日本のスクラップのポテンシャルは更に拡がるとしている。こうしたなかで、日本の鉄スクラップの主要な輸出品目となっているH2に関しては、高炉とそん色ない設備を有する電炉一貫メーカー(今回視察したEssarの場合等)についてもトランプエレメントの問題はあるが、数%程度の投入可能性があるとし、その他電炉メーカーや誘導炉メーカーに対 しても十分可能性があるとしている。
林氏は日本のスクラップの使用ポテンシャルはあり得ることを確信して帰国したと述べる一方、すぐには契約につなぎにくい商品であり、まずはイン ド鉄鋼業について知見を深め、情報交換を密にして互いのニーズの共有化を図ることから始めたいとしている。


改正省エネ法が成立 需要サイドの対策拡大に重点

エネルギーの使用合理化に関する法律 (省エネ法)の一部を改正する法律が成立・公布された。今回の改正では特に、需要サイドでの省エネ対策に重点がおかれており、工場や輸送等の需要家が取組む電力需要ピーク時の対策に、新たに蓄電池やエネルギー管理システム(BEMS・HEMS)、自家発電、蓄熱式の空調、ガス空調等を活用した系統電力の使用を低減する取組みを加え、これらの取組みを行った場合についても評価点の加算対象となるよう、事業者が取組む努力目標で算出方法之見直しが行われる。
また、特定機器の省エネ基準をエネルギー効率が最も優れる製品の性能、技術開発等の将来見通しを勘案して設定することとされている「トップランナー制度」で、これまではエネルギーを消費する機械機器が対象とされていたものを、新たに住宅・ビルの建築資材など、他機器等のエネルギー消費効率の向上につながるもの(窓、断熱材等を想定)が追加される。企業の技術革新を促し、建築物の断熱性能の底上げを図るねらいがある。
なお、今回の改正では昨年度末までを期限としていた省エネ・リサイクル支援法が廃止された。「エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法」(省エネ・リサイクル支援法)は温暖化問題や廃棄物問題への事業者の自主的な取り組みを支援するため平成5年に施行され、平成15年改正で対象分野が1Rから3Rに拡充された。


容器包装リサイクル協会 「引き渡し」で協力呼びかけ 予定量は国内処理能力の5割

容器包装リサイクル法に基づくPETボトルの再商品化では、昨年春以降にポリエステル素材市況が急落した影響などにより再生フレークの販売価格下落と販売不振が広まり、結果的に再生処理事業者の市町村からのベール引取りへの影響が懸念されたことから、昨年度は暫定的な措置として再生処理事業者からの引取り辞退を計画的に受け入れ、新たな再生処理事業者に振替える対応が取られた。年度途中での市況の変化に対応するため、平成25年度分の入札についても従来の年1回入札に代えて年2回の入札とされている。容リ協会では26年度以降の入札制度について現在、学識経験者等を交えて検討を行っている。
一方、PETボトルの再商品化では依然として、市町村の分別収集量総量に占める多くの割合が指定法人ルート以外で流通している実態があり、協会では国内リサイクルシステムの確立と再商品化事業者の安定的な再商品化事業を確保するため、容リルートへの引き渡しについて引き続き協力を呼び掛けている。25年度の分別収集計画によると、全国集計約30万トンに対して指定法人への申込量は約20万1000トンと、依然として全体の約3分の1が指定法人以外で独自処理される予定となっている。容リシステムの中で分別収集されたPETボトルを確実にリサイクルするためには、国内リサイクル事業者の再生処理能力が十分に活用される必要があるが、指定法人に登録されている再生処理事業者の能力総計約38万トン以上に対し、指定法人引き渡し量はその5割程度に留まっている。国内のリサイクルインフラは依然、不安定な状況にあるとされている。
一方で、ポリエステル市況の変動等で海外への輸出が停止すると独自処理予定のPETボトルが最悪の場合、焼却・埋立て処分等に廻される危険性もあるほか、海外でのリサイクルの場合、国内再生PET樹脂の利用用途と比較しても低品位のものが多く、再生原料としての利用効果は低いとされている。なお、市況変動による再生原料の内外価価格差などによる独自ルートへの偏重を是正するため、指定法人ルートによる再商品化では市町村への拠出制度が導入されており、有償入札による収入から23年度は約85億円、平成24年度は約79億円が市町村に拠出されている。


家電リサイクル法 費用徴収制度で提案も 「リユース」で関係業界に意見求め

中環審の会家電リサイクル制度評価検討小委員会と産構審産業技術環境分科会電気・電子機器リサイクルWGの第22回(今年度2回目)の合同会合がこのほど開かれ、小売業者、リユース業者の各業界へのヒアリングが行われた。業界団体からは使用済み家電製品の関係業界によるリユースの取組みの報告と併せ、家電リサイクル法・制度改正に関する関係業界としての要望・意見等が示された。
家電リサイクル法の前回改正から5年が経過することから環境省と経産省では現在、同法の見直しに向けた議論を行っている。両審議会の合同会合でこれまでの実施状況の取りまとめと評価を行い、今後の改善策などを検討することとしている。特に、今回の改正では、家電製品をリサイクルする際に排出者から徴収しているリサイクル料金の徴収方法の見直しや、家電リサイクル対象品目の不正な流通、不法輸出などへの対策が課題となるものと見られていた。また、今回の見直しでは特に使用済み家電製品の「リユース」に焦点を当て、製品流通業界やリユース業界の取組み状況を踏まえ、リユース拡大のための具体的な方策についての議論に多くの時間が費やされることになるもよう。
製品流通業界、リユース業界からのヒアリングでは法制度の見直しに求める共通の課題として、「リサイクル料金徴収方法の見直し」と「不正流通防止対策」の2点が挙げられている。費用徴収方法の見直しに関しては前回改正時にも関係団体から、現行「後払い制」から「購入時負担による「前払い制」への移行が提案されていた。その際、消費者に対してもリサイクルシステムと料金等の表示を徹底するなど、制度自体の周知を図っていくことの重要性についても意見が出された。また、販売サイドにおいてもリサイクル料金等の性格を尊重し、それを仕入れ時の価格競争の対象としないなど、リサイクル制度の普及拡大に積極的に協力する姿勢が示されている。
一方で、リサイクル制度のスタート時から指摘される排出時のリサイクル料金徴収に関するトラブルは、制度自体が定着しつつある現在でも依然として発生している状況が報告されている。特に、地方の引取拠点が少ない地域等では、現行のシステムが「無料回収」をうたった不正回収業者の増加と不正輸出拡大の要因となっていると指摘されている。また、リサイクル料金に関しても現行水準が適切であるかという疑問が指摘され、経年的な再資源化事業の状況変化を踏まえて現行制度を精査し、コストの透明化と消費者負担軽減の方策を検討すべきとしている。
不正流通対策については無許可業者への取り締まりや監視の強化を求めているが、併せてリユース市場から市場性の低いもの等が不正に海外に流れることも否定できないとして、関係業者間の連携によるトレーサビリティの確保が重要であるとしている。特に、違法業者との差別化を図るためにも、適切なリユース業者を認定し、一般廃棄物収集運搬資格(または同等の資格)を与えるような仕組みづくりが必要としている。その他、リユースの促進に向けた制度的な後押しも不可欠であるとして、家電リサイクル法に留まらず、リユース制度の確立につながるような制度やガイドラインを示すよう求めている。


再生可能エネルギー リユース・リサイクルの仕組み示し 使用済み設備の処理方法検討

昨年7月からスタートした全量買取制度により、今後の再生可能エネルギーの大幅な導入拡大が見込まれている。そうしたなか、太陽光発電や風力発電については導入初期段階(国庫補助等支援制度がスタートした1990年代中頃)の発電設備がすでに排出され始めている。現時点でそれら使用済み設備の処理システムは確立されていないが、排出量は過去の普及カーブに沿って加速度的に増加することが見込まれている。こうしたことから、再生可能エネルギーの大量導入を支えるため、使用済み設備の適正な処理方法や処理体制の構築が急務となっている。
環境省の試算によると、今後廃棄される関連設備のうち太陽光発電施設の廃棄量が最大で再来年には9万トン、17年後の平成42年には70万トンに達すると見られている。現在のところ処分方法などに明確なルールはなく、また、発電パネルの内部には鉛やカドミウムなど有害な物質が含まれているものもあることから、不適正な処分や不法投棄などによる環境への影響が懸念されている。
また、これら設備は一般には発電等エネルギー生産時には温室効果ガスは排出しないが、設備の製造・廃棄段階等では排出するため、使用済みとなった設備や部品については極力処分せず、リユースやリサイクルを行うことが望ましいとされている。CO2排出削減効果と併せ、貴金属やレアアース等有用資源の回収や有害物質の適正処理の点からも、リユース・リサイクルの仕組みづくりが急務となる。
環境省ではこれまで、使用済再生可能エネルギー設備(特に、太陽光発電と太陽熱利用設備、風力発電設備)について撤去、運搬、リユース・リサイクル、適正処分といった一連の工程に関する調査、検討を行ってきた。今後はこれらの結果を踏まえ、専門家やメーカー担当者等による検討会を設置して使用済み設備の処分やリサイクルの方法などを検討、一定の基準を設けた新ルールを示すこととしている。


小型家電リサイクル 認定事業者は14社 実施に前向きな自治体は1305に

環境省及び経済産業省ではこのほど、今年4月1日より施行された使用済み小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)に基づく再資源化事業計画の認定事業者の発表を行った。それによれば、北海道のマテックほか、リーテム、紅久商店、共英製鋼、金城産業といった大手、有力リサイクル企業など14社の事業計画が認定されている。これら認定企業は指定区域内で市町村の廃棄物処理業許可が不要となり、自治体が回収した対象小型家電を引き取り、電子基板などを選別した上で、精錬業者に引き渡すなど適切な再資源化を実施していくこととなる。
なお、環境省により同日発表された小型家電リサイクル法に対する自治体アンケートの調査結果では、有効回答のあった1742市町村のうち、実施中(341)、実施に向けて調整中(294)、時未定だがどちらかというと実施方針(670)となり、実施に前向きな自治体は1305(74・9%)にのぼったとした。これは、人口の割合にすると89・7%にあたる。
また、実施に前向きな自治体の回収方法は検討中の回答を除くと、ボックス回収(369)がもっと多く、次いでピックアップ回収(356)、清掃工場への持ち込み(229)などとなり、回数品目は全てまたはほぼ全て(321)となった。個人情報を含むPCや携帯電話については携帯電話のみ(278)、PCと両方(225)などで、引き渡しについては認定事業者及び適正な再資源化を実施する企業に引き渡すとの回答が合わせて548となった。 一方、実施を検討していない自治体の理由として、小型家電の排出量が少ない(180)、広域事務組合と構成市町村との調整が困難(153)、予算面(150)、組織体制的に困難(140)などとなっている。


故繊維 海外大手が日本進出 流通業界と提携、集荷システムを構築

スイスに本社を置く世界最大級の古着リサイクル企業の「ソエックス」が新たな日本での回収事業拠点として、岩手県盛岡市に日本法人を立ち上げる。新会社はソエックスグループ「アイコレクト」(スイス)の100%出資による「アイコジャパン」。百貨店やスーパーなどと提携し、店舗に古着回収ボックスを設置して使用済みの衣料品を回収する。使用済み製品を持参した顧客に店舗で利用できる割引券を付与する仕組み。当面、全国3万店舗での展開を目指すとしている。回収した古着は海外にあるソエックスグループのリサイクル工場に輸出され、古着として再使用できるものは古着ショップ等に再販され、その他は繊維原料として再利用される。
国内の故繊維市場は、再生原料の需要業界となる製造関連業種の海外進出や輸入材との競合などで需要規模が年々縮小している。集荷環境の悪化もあって回収量が縮小していることから、需給バランスは低位安定の状況が長く続いている。一方、日本製ボロの海外での需要は古着、再生材ともに拡大傾向にあり、こうした旺盛な海外需要を背景に輸出規模も近年、拡大傾向にある。そうしたなかで、ボロの低価格化とコスト増などで従来の故繊維回収・流通システムでの扱い量は年々、縮小傾向にあり、逆に輸出ビジネスを視野に入れた新規参入の増加が目立っている。しかし、国内の集荷量の縮小などもあってここしばらくは輸出量も横ばい、もしくは縮小傾向が見られる。
今回、日本進出を決めた「アイコレクト」は、ヨーロッパや北米などの56ヵ国で古着のリサイクル事業を展開する企業で、同社の加工処理施設では衣類を原料とした断熱材やマット等の製品が製造されている。同社ではすでに、カジュアル衣料大手の「H&M」と提携し、日本国内の同社店舗で古着回収をスタートさせており、今年3月以降、約3ヵ月間で約40トンの古着を回収している。既存の国内故繊維市場に閉塞感が漂うなか、大きな潜在性があると判断した。
日量で250トン程度が確保できれば国内でリサイクル工場を建設しても採算がとれると見ており、将来的には被災地の岩手県沿岸にリサイクル工場を誘致、雇用創出に貢献したいとしている。なお、日本法人のアイコジャパン(盛岡市)代表には、フランチャイズで古着ショップを全国展開する㈱ドンドンアップの岡本昭史社長が就任している。


新たな市場への挑戦 業界有志、インドへ ESSAR STEELやリサイクル企業等を視察

ESSAR STEELの港

ESSAR STEELの岸壁


現在、12億を超える人口を有し、将来大きな市場となることが期待されるインド。これまでインドは日本にとって近くて遠い国として友好的な関係は存在しつつも、貿易などのビジネス面での関係進展の遅れが指摘されてきた。一方で、ここ数年、インドに進出する企業は増加を見せ、2012年時点で926社(1804拠点)にのぼり、今後さらにその数を増やすという。また、このところ日本と中国との政治的な問題が浮上するなかで、日本にとって戦略的パートナーとしてインドは大きな存在となりつつある。そのマーケットの将来性を知るため、国内外で鉄・非鉄・プラスチックのリサイクルなどを手掛ける業界の有志17名により、6月19日より5日間の日程でインド視察が遂行された。(本紙同行取材・大橋)
今回のツアーはあくまで個々の企業の集まりによるプライベートな訪問であるが、株式会社ヤマシタ・山下雄平社長(関東鉄源協同組合 理事長)を団長として、幹事に日本アジア投資促進協議会の吉居憲治氏、現地コーディネーター兼通訳にインドにおける日本研究の第一人者であるプレム・モトワニ氏(ジャワハルラル・ネルー大学教授)が同行。更に、鉄リサイクリング・リサーチの林誠一氏の協力の下で、インド森林環境省(MoEF)を訪問したほか、デリーのE―WASTEリサイクル企業の支社や廃プラスチックリサイクル企業、スクラップマーケットの視察を実施。また、インド国内の大手鉄鋼メーカーであるESSAR STEELを訪問し、プラント見学やスクラップに関する意見交換などを行った。
デリーのスクラップマーケット

DelhiのScrapMarket


今回の視察では、国内での需要の伸び悩む日本の鉄・非鉄・プラスチックといった再生資源の販売先として、従来の韓国や中国以外で大きなマーケットとなる可能性の高いインドの可能性を探ることが1つの大きな目的であったが、インド国内におけるリサイクル産業の育成が遅れており、安定した質・量の供給が難しい状況や、国内発生及び輸入スクラップについても、徹底した中古活用により原料としてのスクラップ供給が上手く図られていない点などが推察されることとなった。
また、大手の鉄鋼メーカーであるESSAR STEELにおいては、現在、電炉にて還元鉄を多く利用しているものの、インド全体の将来的な粗鋼生産の増加が見込まれるなかで、日本からの原料としてのスクラップの輸入に前向きな意向も見られた。一方で、現時点においては、日本側のスクラップの供給体制や品質の違いなど、日本からの輸出という点については改めて難しさを再認識する形となった。
しかしながら、インド国内において大規模な開発が進んでいることや、製造業の発展に大きな伸びしろを有しているなど極めて高いポテンシャルを感じさせる場面を随所に見ることも出来た。日本にとって現在主要なマーケットとなっている韓国や中国において、現状のスクラップ貿易関係の継続が将来的に難しくなることが予想されるなかで、今後の日印間における再資源化ビジネスの拡大やリサイクル技術・ノウハウ等に関する協力関係の進展が期待されるところだ。


アルミ缶 リサイクル率は94.7%に 2012年のCAN to CAN率も66%に

アルミ缶リサイクル協会 (理事長・白井啓一ユニバーサル製缶社長・会員32社) がまとめた12年 (平成24年) 度の飲料用アルミ缶リサイクル率は 94・7%で前年の92・5%に比べて2・2ポイント上昇し、 4年連続で90%台のリサイクル率を達成すると共に過去最高のリサイクル率を記録したことになる。
アルミ缶のリサイクル率は、 消費されたアルミ缶の内、 アルミ缶や自動車部品向けのアルミ合金地金、 製鉄用脱酸材に利用されたUBC (使用済みアルミ缶スクラップ) の割合だ。また、 UBCを再びアルミ缶材として利用するCANtoCAN率 (回収されたアルミ缶スクラップの内アルミ缶材に再生利用された割合) は前年の64・5%から12年度は 66・7%に2・2ポイントの上昇となっている。同協会がまとめたアルミ缶消費重量は30万1234トンで前年比1%の増加で、 アルミ缶換算191億2100万缶で10年以降3年連続のブラス成長となった。また再生利用量も28万5401トンで前年比3・5%の増加、 アルミ缶換算では180億1800万缶であった。
アルミ缶の需要量が増加した一方で、 懸案であった缶一個当たりのアルミ地金消費量の削減が進んだことで、 重量ベースの消費量は前年比で横這いとなっている。また、 再生量の増加の背景には、 新規再生メーカーの業界参入等が挙げられている。なお、 近年我が国からの韓国向け使用済みアルミ缶 (UBC) 輸出の増加傾向の中で、 昨年も年度末にかけて韓国向け輸出が急増している可能性があり、 正確な情報把握が不可能となったため、 今回は推定値としての数量発表を見送ることになった。


富士繁 本社隣接地に新工場 1250トンギロチン等設置し、年間50万トン早期達成へ

富士繁本社隣接工場

富士繁の本社隣接工場の地鎮祭


関東地区の大手鉄スクラップヤードディーラーである株式会社富士繁(本社:横浜市金沢区、金子栄社長)ではこのほど、金沢本社工場に隣接し、これまで車両基地として用いてきた敷地に鉄スクラップの加工処理工場を新設すると発表、今月15日(土)午前11時より地鎮祭を執り行った。
新たに新設される加工工場は、住所が横浜市金沢区福浦2―8―14。敷地面積は1500㎡(約454坪)で導入する設備として、富士車両製1250トンマウントシャー一基のほか、京和工業製天井クレーン2フック型一基(1850リフマグ+0・9?回転式油圧グラブ付)、80トントラックスケールなど。稼働開始は2014年3月末日を予定している。
富士繁では、神奈川県下に4工場(本社、戸塚、綾瀬、上矢部)を有するほか、今年1月には初の東京都内への出店となる八王子工場を開設し、現在、5つの拠点による鉄スクラップの加工処理体制を構築しているが、今回6つめの加工処理拠点を設けることで、かねてからの目標である年間取扱数量50万トンの早期達成を図りたい意向だ。
なお、同社では、設備の拡充と更なる新規顧客の開拓を進め、6つの加工処理拠点と3つのシッピングセンターを有機的に活用しながら国内外への供給能力の拡大を図るべく社員一丸となって取り組んでいく方針。


家電リサイクル法 24年度は約1120万台 ブラウン管テレビが大幅減に

環境省ではこのほど、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に基づき、平成24年度における家電リサイクル実績を公表したが、それによれば全国の指定引取場所において引き取られた廃家電4品目は前年同期比33・4%減となる約1120万台となった。
平成24年度の全国での指定引取場所において引き取られた廃家電4品目の内訳を見ると、エアコンが約236万台(構成比約21%)、ブラウン管式テレビが約228万台(同約20%)、液晶・プラズマテレビが約49万台(同約5%)、電気冷蔵庫・電気冷凍庫が約292万台(同約26%)、電気洗濯機・衣類乾燥機が約315万台(同約28%)となっており、また、前年度比で見るとエアコンが約0.8%増、ブラウン管式テレビが約71.0%減、液晶・プラズマテレビが約17.7%減、電気冷蔵庫・電気冷凍庫が約2.7%増、電気洗濯機・衣類乾燥機が約0.2%減となった。平成23年度からの減少分約570万台のうち、約569万台をテレビが占めており、地上波アナログ放送やエコポイント制度が終了したことによる買い換え需要の減少が引取台数減少の大きな要因となっている。
また、家電リサイクルプラントに搬入された廃家電は、リサイクル処理によって鉄、銅、アルミニウム、ガラス、プラスチック等が有価物として回収され、全品目が法定基準を上回る再商品化率を達成している。品目別では、エアコンが前年度比2ポイント増の91%(法定基準70%)となったほか、ブラウン管式テレビで同3ポイント増の82%(同55%)、液晶・プラズマテレビで同4ポイント増の87%(同50%)、電気冷蔵庫・電気冷凍庫で同1ポイント増の80%(同60%)、電気洗濯機・衣類乾燥機で同1ポイント増の86%(同65%)となっている。
なお、エアコン、電気冷蔵庫・電気冷凍庫、電気洗濯機・衣類乾燥機に冷媒として用いられているフロン類及び電気冷蔵庫・電気冷凍庫の断熱材に含まれるフロン類も回収、破壊実績については、エアコンの冷媒フロン類は約1469トン、電気冷蔵庫・電気冷凍庫の冷媒フロン類は約275トン、電気洗濯機・衣類乾燥機の冷媒フロン類は約3トン、断熱材フロン類は約397トンが回収及び破壊された。これら廃家電のリサイクルについては、不法投棄のほか、輸出などの法定外ルートへの流出等が問題視されており、現在、法制度見直しに向けた議論もスタートしていることから、今後の動向が注視されるところだ。