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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2013年6月

ステンレススクラップ 海外市場開拓に雪崩 現物確保になりふり構わぬ動き

ニッケル系ステンレスリサイクル原料市場は、国内メーカー各社の減産体制が強化される中で、 輸出マーケットの拡大と発生減による現物確保難が徐々に浸透して市場は、 ここに来て深刻な現物確保競争へその潮流を変えつつある。 これに拍車をかけているのが、 海外の販売先確保を狙って動き始めた専門商社筋の販路開拓の動きと先行する専門輸出商社のシェア確保の為の激しい防戦を背景にした過当競争の本格化で、 専門商社も加わったなりふり構わない台湾・インド・韓国・中国を対象とした輸出マーケット開拓の動きが確実に広がり始めているようだ。
国内金属資源関連で、 輸出向けマーケットの開拓が唯一遅れていたのがステンレス関連の対中・韓・台・印向け市場。 その前提には国内メーカー最優先という納入体制が確立されていたことによるものだが、 ここに来て国際競争力の低下という事実の前で国内での売り先を失いつつある市場は、 その販路を海外に向けつつあるというのが実情だ。
また、海外マーケットの開拓が先行していた対中向け非鉄金属等を中心としたミックスメタルや雑品類は、 このところの中国市場の混迷化から急速に右肩下がりで推移しており、 先行していた対中大手事業者の経営破たんの流れの中で、 金属資源関連市場はより一層ステンレス原料に対する輸出マーケット開拓の動きに傾き始めている。


廃棄物 災害時の対応強化へ 処理施設整備計画を閣議決定

平成25年度から29年度までを計画期間とする廃棄物処理施設整備計画がこのほど閣議決定された。廃棄物処理施設整備計画は廃棄物処理法の規定に基づき5年ごとに策定されるもので、昭和38年度以降、現行計画までで10次にわたり策定されており、我が国の廃棄物処理施設はこの計画に基づき整備されてきた。
現行計画に基づく平成19年度から22年度までの推移を見ると、ごみの総排出量は5082万トンから4536万トンに、減量処理率は97・5%から98・5%に、一廃最終処分場の残余年数は15・7年から19・3年にと、それぞれに着実な進展がみられる。当初目標も概ね達成される見込みとなっている。ただし、最終処分場残余容量は1億2202万立方メートルから1億1446万立方メートルへと減少し、地域によっては残余容量がひっ迫している場合もあることから、引き続き排出抑制や減量化等の推進が必要とされている。一方、リサイクル率は約20%と横ばいで、焼却施設の総発電能力も1604メガワットから1740メガワットへの微増にとどまるなど、目標達成が困難な指標もある。
また、産業廃棄物の処理については、各種リサイクル法に基づく取組や産業界の取組で産廃最終処分量は2014万トンから1426万トンへと大幅に減少した。また、公共関与による施設整備が進められるなかで24年度までに廃棄物処理センターが18法人指定され、うち14法人の施設が稼働するなど、産廃処理に公共施設が一定の役割を果たしている。
このようななか、さきの震災を契機に大規模災害発生時にも円滑に廃棄物を処理できる体制を築いておくことの重要性が改めて浮き彫りとなっている。今後の施設整備では現在の公共処理施設の整備状況や、震災以降の災害対策への意識の高まりなど社会環境の変化を踏まえ、これまで進められてきた3Rの推進に加えて災害対策や温暖化対策の強化など、広域的な視点に立った強靱な処理システムの確保を目指したものとなる。
新たな計画では、リサイクル率を現行の22%(24年度見込み)から26%(29年度)に引き上げることや、一廃最終処分場の残余年数については24年度の水準(20年分)を維持すること、期間中に整備する焼却施設の発電効率の平均値を16%(24年度見込み)から21%(29年度)に引き上げること等の数値目標が挙げられている。


バーゼル法 輸出入ともに大幅な増加 平成24年の施行状況を公表

直近のバーゼル法施行状況によると、昨年1年間(1月~12月)にバーゼル法に基づき輸出された特定有害廃棄物等は12万466トン(23年は 8万8211トン)で、輸入された特定有害廃棄物は9633トン(同5300トン)となった。輸出承認の申請を受けて輸出先国への事前通告を行ったもの70件、輸出予定量は32万6047トン(23年は66件、 27万3699トン)で、相手国から輸入同意の回答を得て国が輸出を承認したものは51件、総量18万4240トン(同50件、18万2799トン)となつた。
実際に輸出されたのは852件、総量12万466トン(同658件、8万8211トン)となった。品目は鉛スクラップ(鉛蓄電池)、錫鉛くず、鉛灰等で、輸出の相手国・地域は韓国、ベルギー、アメリカ合衆国等。いずれも金属回収を目的とするもの。また、相手国から我が国への輸出で事前通告を受けたものは72件、輸入予定量は10万1057トン(同67件、7万6356トン)で、輸入を承認して相手国に輸入同意の回答を行ったのは50件、総量6万4638トン(同44件、2万6067トン)となった。
実際に輸入されたものは181件(複数回に分けて輸入されたものの合計)、総量9633トン(同145件、5300トンとなった。品目は電子部品スクラップ、銅スクラップ、銅スラッジ、電池スクラップ(ニカド電池他)等で、輸入の相手国・地域は、フィリピン、香港、台湾等で、金属回収など再生利用を目的としたもの。


持ち去り古紙追跡調査 今月より本格実施へ 西東京市、松伏町(埼玉県)からスタート

関東製紙原料直納商工組合 (大久保信隆理事長) ではさきに、 古紙持ち去り問題への対応策としてGPSによる持ち去り古紙の追跡調査を行うことを決めていたが 、 今月よりこれを本格実施していくこととした。この追跡調査は、 地域の組合、 自治体等が連携して、 任意の回収古紙にGPSをセットし、 それが持ち去られた場合に、 その行方の監視と持ち去り車両の特定を行い、 持ち去りルートを明らかにするというもの。 最終的に問屋に入った段階で、 受け入れ業者に説明を求め、 以降の防止策を検討していく。 また、 同組合では、 組合員に持ち去りが判明した車両の情報を提供するなどして、 組合員が持ち去り行為に巻き込まれないようにする対策にも取り組んでいる。
同組合では既に本年2月から3月にかけて埼玉県の一部地域で追跡調査をモデル実施し、 一定の成果が得られたとして、 今月よりまず、 東京都西東京市、 埼玉県松伏町で追跡調査をスタートさせ、 順次組合管内の1都6県で本格実施することとした。持ち去り対策についてはこれまでも自治体等の協力が必要であったが、 追跡調査ではこれまで以上に自治体との連携が必要となる。 既に東京都多摩地区や神奈川県、 埼玉県からも追跡調査の実施を検討したいとする自治体が出ており、 実施に踏み切る自治体は今後増えていくもようだ。
同組合では、 追跡調査の本格実施によって持ち去り行為の抑止効果をさらに高めていきたいとしている。なお、 さきのモデル実施では持ち去り古紙の受け入れヤード3件 (組合員1件、 非組合員2件) が判明しており、 組合員についての扱いは今後の理事会に諮ることとされている。


使用済みバッテリー 過当競争自粛に期待 2次精錬共倒れの危機回避へ

日韓使用済み廃バッテリーを巡るリサイクルマーケットから、 「韓国リサイクル業者からの高値買いが今後も続けば、 採算割れによる両国リサイクル業者の共倒れという事態に向かうのも時間の問題だ」 (某日本側2次製錬業者筋) という厳しい声が囁かれ始めている。
韓国がバーゼル法に則って、 我が国から使用済み廃バッテリーを買い付けるようになったのは、 同国内に大規模2次製錬設備を持つリサイクル業者が出現し始めた07年以降のこと。当時は年間3万1000トン台で前年の8000トン台から4倍弱に止まった輸出量だが、 その後は08年3万4000トン台、 09年5万トン台、 10年4万3000トン、 11年4万3000トンと続き、 昨年12年は7万7000トン台と右肩上がりで推移、 今年も4カ月で3万2000トン台と年間12万トン台ペースというハイレベルの輸出通関が続いている。
更に巷間、 高値輸出といわれる問題の通関価格を見ると、 ケース付水入りベースで今年に入ってからの通関価格は8万1000円 (トン当たり) から8万9000円。 国内2次製錬がこの近辺の仕入れ価格で3号再生鉛を作ると仕上がりの採算価格はトン当たり20万円から22万円といわれており、 表面価格で計算した場合は 「絶対に合わない赤字商売に陥っているのが実情だ。 結局小口発生物を安値で仕入れない限り国内で2次製錬をやっていける余地は全くない」 という状況に陥っているのが実態だ。
日本の2次製錬に比較して大規模新鋭プラントで操業する韓国2次製錬でも、 この高値輸入価格では確実に赤字に陥っているのが実情だという最近の日・韓リサイクル業者の声で、 この言葉をそのまま受け取れば、 「何のために2次製錬に参入したのか分からない」 (韓国側2次製錬関係筋) と、 その多くが厳しい経営環境に追い込まれているようだ。大規模2次製錬設備能力に見合った現物確保への欲求がもたらした過当競争の下で、 自滅への事態は避けなければならない。


環境省 レアメタル等の回収促進へ 第3次循環型社会形成基本計画

環境省は先ごろ、 循環資源の再生利用、 再使用への取り組みを定めた 「第3次循環型社会形成推進基本計画」 を閣議決定したと発表した。3Rの推進を始め資源効率の高い社会経済システムの構築、 安全・安心の実現、 使用済み製品からの有用金属の回収と水平リサイクル等の高度なリサイクルの推進、 災害時の廃棄物処理システムの強化、 廃棄物の適正な処理、 3Rの国際協力の推進と我が国循環産業の海外展開の支援等を取り上げている。
この計画では、 近年の資源価格の高騰など世界規模での資源制約が強まると予想される中で、 廃棄物を一層有効活用した資源の生産性を高め、 新たなステージに進むとしている。このような状況の下で、 資源の生産性の増加目標を平成32年度までにトン当たり46万円 (平成12年度比約8割増) と設定した。資源生産性とは、 人間活動等産業や生活が 「モノ」 を如何に有効利用しているかを示す指標。 より少ない資源の投入で効率的にGDPを生み出すことで、 資源生産性を高めることになる。また、 社会全体での再使用量、 再生利用量が占める割合を表す 「循環利用率」 については、 平成 32年度目標で17% (同7割の上昇) を目指すとしている。
使用済み製品からの有用金属の回収については、 鉄や銅、 鉛、 亜鉛、 アルミニウムのように資源量が多く単一素材に区分しやすい金属資源は、 比較的リサイクルが進んでいるが、 それ以外の貴金属やレアメタル等の回収やリサイクルシステムは十分に整備されていないというのが実情だ。 そのため廃棄物として排出された場合にはその多くは埋め立て処分されている。これらを踏まえ、 使用済み製品に含まれる有用金属の更なる利用の促進を図り、 もって資源の確保と天然資源の消費の抑制に資するため、 以下の施策を講じるとしている。
Ⅰ小型家電リサイクル法に多くの地域や事業者が参加し、 全国的な回収率の上昇と制度としての定着を進める。
Ⅱ次世代自動車や超硬工具等のレアメタルを含む主要製品全般を対象に効率性を高める。
Ⅲ拡大生産者責任の理念に基づき、 情報の共有化を進める。 また使用済み製品ではより広域でのリサイクルを念頭に制度の適切な活用を進めると定めた。
Ⅳ使用済み製品から有用金属を回収し、 リサイクルするために必要となる新技術の研究・開発を支援する。


東京都 再エネクレジットの利用促し 総量削減の第一期間の終了で

東京都が実施している「総量削減義務と排出量取引制度」の第1削減計画期間終了まで2年を切っていることから、削減義務の履行に向けて自社的な取組み以外に排出量取引を視野に入れる事業者が徐々に増えている。(公財)東京都環境公社では今年度、排出量取引で利用できる「再エネクレジット」を年度内に4回販売する予定としており、都と公社は削減義務の履行に向けて事業者等に再エネクレジットの活用を呼び掛けている。
再エネクレジットは東京都環境確保条例に示されたCO2削減義務履行手段の1つで、再生可能エネルギーを変換して得られる電気または熱が持つ環境価値を示す。東京都が進める総量削減義務と排出量取引制度では、対象となる事業所の削減義務量について、自らの省エネ対策等による削減での義務履行のほか排出の取引での義務履行が認められている。
排出量取引に利用できる再エネクレジットでは、グリーンエネルギー証書やRPS法での新エネルギー相当量など、既存制度による環境価値を再エネクレジットした「その他削減量」と、既存制度を利用せずに独自の取組みを東京都が定める算定方法で再エネクレジット化する「環境価値換算量」とがある。クレジットの対象となるエネルギーは①太陽光(太陽熱を含む)・風力・地熱発電、②特定小水力発電(1000kW以下)、③特定バイオマス、④特定水力の4種。
公社では平成21年度と22年度に東京都とともに住宅用太陽エネルギー利用機器導入促進事業を実施しており、今回販売されるクレジットは同事業で補助金交付の条件として補助事業者から譲り受けた環境価値の一部をグリーンエネルギー証書にしたもの。なお、公社が販売するグリーン電力証書を元とする再エネクレジットは、第1回の販売(受付)期間が7月5日(金)~19日(金)までとなっている。2回目以降は9月下旬、11月上旬、来年1月下旬の予定。第1回販売予定量は1万t―CO2程度相当で、年度合計 で2万5000t─CO2程度相当の販売が予定されている。


食品リサイクル 越境移動の問題点を 制度見直しでヒアリング

現行の食品リサイクル制度の見直しに向けた議論が進められている。農水省食・農政策審と環境省中環審の合同会合で昨年度末から食品関連業界、自治体等からのヒアリングが順次、行われている。今年度は4月以降、3回の会合が開かれている。そのなかで、リサイクラーや川下に位置する食品関連事業者から現行食リ制度の課題として、地域によって自治体の対応に違いがあること、それがリサイクルの円滑化を阻害する要因となっていることなどが指摘されている。
直近の会合では、日本加工食品卸協会が食品リサイクル法の現状と課題として、食品廃棄物のうち食品部分と容器包装の分別についての問題点を指摘している。加工食品卸売業が排出する食品廃棄物では食品部分と容器包装部分が不可分であり、容器包装部分のコスト負担を含めた処理責任の所在が不明確であるとしている。また、加工食品卸売業が扱う商品はカテゴリー的にも多種・多様で、種類毎に食品廃棄物を分別することの難しさも指摘している。さらに、食品循環資源化に要する費用が廃棄物処理費を上回るなど、現状の費用設計のあり方についても疑問を示している。
再生手法の優先順位では現行法では「飼料化」が優先されているが、我が国のエネルギー需給の状況を見ると「メタン化」や「熱回収」等も重視すべきとし、それらを推進する手法として、省エネ法定期報告でプラス要因とするなど、他制度との連動が効果的であるとしている。食品廃棄物自体の発生抑制策としてはフードバンクの活用も有効であることから、 フードバンクへの提供に税制上の優遇措置を検討することなども提案している。
また、これまでのヒアリングで多くの発表者が地方自治体の取組み改善を求めているが、特に食品卸売業からは、自治体により食品廃棄物を「事業系一般廃棄物」とする場合や「産業廃棄物」とする場合など、対応が統一されていないことの問題点が指摘されている。この点について、前回会合で意見発表した全国食品リサイクル登録再生利用事業者事務連絡会も、リサイクル目的での越境移動について関係市町村から統一的な対応が得られるよう、環境省によるガイドラインの作成や通知を求める意見を示している。
加えて、家電リサイクル法など個別リサイクル法でリサイクル目的の運搬や荷降ろし等に許可不要の特例措置を設けているのと同様に、食品リサイクルについても廃棄物処理法の省令等で運搬に要する許可を不要とするなど、統一的な規定を設けることが必要としている。法で明確な対応基準を示すことで、市町村毎の判断の違いにより越境が認められないなど、広域的なリサイクルを阻害する要因が排除できるとしている。


東京都リサイクル事業協会 平成25年度定時総会を開催 古紙持ち去り対策を報告

(社)東京都リサイクル事業協会(上田雄健会長)は今月21日、東京・千代田区の東資協本部事務所会議室を会場に、平成25年度定時総会を開催した。戸部昇副会長の開会の辞に続き、上田雄健会長が会を代表して挨拶、直近の活動を紹介し、新たな事業年度に向けての抱負について 「昨年度は懸案となっている古紙持ち去り問題への取組みを進め、相応の実績を挙げることができた。対策意見交換会を組織し、持ち去り車両と識別するためのステッカー制度を立ち上げ、導入した。さらに昨年度は、古紙リサイクル全般に関わる事業として、国内外での古紙リサイクル関連の調査・研修など、会としてさまざまな事業に取り組んだ。新年度も会員の皆さんのご意見を伺いながら公益社団法人化への対応をはじめ、各種事業に取り組みたい」と語った。
また、古紙持ち去り問題については一昨年からの取組みが進展、業界による持ち去り関与事業者への是正措置が実績を上げている。一方、持ち去り問題意見交換会では新たに根絶宣言車識別制度を立ち上げ、登録車両へのステッカーの貼付がスタートしている。その後、一部の行政では同制度への登録を取引事業者への選定要件とするなど、今後の制度の利活用が一層、期待される状況となっている。また、関連問屋業界と行政との協働なよるGPS追跡調査の取組みが始まるなど、古紙持ち去り排除に向けた環境が整いつつある。
東リ協会では昨年度の事業として、関係7団体による「古紙持ち去り問題意見交換会」で関係業界とともに、識別制度など持ち去り業者の排除に向けた実効性のある方策を検討、実施してきた。申請車両の審査を経てさきごろ、HP上で第1回の登録車両の公表を行っている。第1回公表は262台。同制度への認定・登録が東大和市で集団回収登録事業者の登録要件に加えられたが、さらに協会では関係団体と協議し、同様の対応を求めて9都県市に呼びかけることとしている。制度の拡大に向けて神奈川、茨城地区等業界団体等に制度の説明等を行っている。


日本再生資源事業協同組合連合会 制度見直しも課題に 第41回総会を開催

日本再生資源事業協同組合連合会

日資連第41回総会


日本再生資源事業協同組合連合会(上岡克己会長)の第41回総会がこのほど、日資連本部会議室で開かれた。前年度の事業・決算報告と新年度の事業計画案、予算案等が審議され、原案の通り可決・承認されている。議事に先立ち執行部を代表して上岡会長が挨拶、業界環境の変化と連合会の動きなどを総括し、併せて、新たな事業年度に向けた抱負を示した。
「東日本対震災から2年経ったが、復興への支援を絶やさぬよう運動を継続していきたい。そのためにも足元の課題にしっかりと取組んでいかなければならない。アベノミクス効果ということで国内経済に回復の兆しが見られるが、我々業界はこれまで経験したことのない資源の減少という厳しい事態に直面している。今後の経済成長が再生資源業界にプラス効果をもたらすまでこの事態に対応していくため、業の効率化、合理化など個々の事業者がやるべきことを確りとやっていくことが必要だ。日資連としてもこれまでに築き上げてきた認定制度、リサイクル化証明書等の事業の見直しと拡大などで財政の健全化を図り、安定した組織運営を進めていくことが重要と考える。難局を乗り切るため、英知を結集して諸課題にあたりたい」。
また、来賓として出席した経産省リサイクル推進課・渡邊厚夫課長は、「この春から小型家電リサイクル新たな制度がスタートした。一方、古紙や金属等再生原料の国内循環についてはひとえに皆様の業界の努力のたまものと感謝している。引き続き皆様の声に耳を傾けつつ、再生資源の循環が円滑に進むよう、必要な施策を展開していきたい」と述べ、一層の協力を求めた。新年度の事業計画案では震災復興支援、財政の健全化、持ち去り問題対策、情報発信機能の強化、既存制度の見直し、新規事業の調査研究──等17の重点事項を掲げ、各委員会・部会を中心に多角的な事業活動を展開していくこととしている。


家電リサイクル法 制度見直しへ議論 不正輸出対策で雑品に影響も

経済産業省の産業構造審議会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルWGと環境省の中央環境審議会循環型社会部会家電リサイクル制度評価検討小委員会の第21回目の合同会合がこのほど、東京の三田共用会議所で開催され、家電リサイクル制度の見直しに関する検討がスタートした。家電リサイクル法に関しては、平成13年4月に施行され、5年毎を目途に制度の改正が検討されることとなっている。同法についてはこれまで、排出量に対する法定ルート上での回収率が5割程度と伸び悩んでいたことに加え、不法投棄、不適正な流通などが問題視されており、これまでも制度運用の各種施策が実施されてきた。
制度運用見直しのなかでまず、回収率の面では、消費者の定期性排出の推進としてリサイクル料金の透明性確保と費用低減化(エアコン3675円→1575円等)、回収の大きな窓口となる小売店からのメーカーへの適正引渡の確保のための報告義務導入や製造業者による指定引き取り場所の共有化が図られている。また、不法投棄に対しては、製造業者による市町村への助成金交付、また、適正なリユース推進と不適切な海外流出を防止するため、国によりリユース・リサイクル仕分け基準ガイドラインの策定と使用済み廃家電の廃棄物該当性の明確化が行われている。このほか、品目については今後排出増加が見込まれる液晶・プラズマテレビ、および衣類乾燥機が追加され、法定再商品化率もエアコンを60%から70%に、冷蔵庫が50%から60%、洗濯機が50%から65%等に引き上げられている。
こうした施策導入は一定の効果をあげており、制度上の回収率は60%程度にまで向上を見せた。しかしながら法定ルート外での処理も依然として指摘されているのが実態である。同小委員会の資料によれば、平成23年度の使用済み家電フローの推計は、排出台数3136万台のうち、製造業者等による再商品化が1957万台となる一方、リユース向けが729万台、その他スクラップ輸出業者による海外輸出が362万台相当とされ、リユース分のものと合わせると海外への流出が600万台近くにのぼるとされている。この海外流出中には、リサイクル目的をリユースと偽って不適正に輸出されるものや、バーゼル法や廃棄物処理法違反に該当するものも含まれると推察されている。また、不法投棄に関しても、平成23年度は16万1400台と増加を見せており、法施行後も目立った改善が見られていないのも実情だ。
こうしたことから、今回の改正に向けた検討では、不法投棄の要因ともされる料金後払い制度のほか、廃家電の不適正な海外流出の防止に向けた制度設計が議題になると見られる。特に国では、有害性の観点から雑品スクラップに関する規制強化の議論も進めていることから、今回の家電リサイクル制度の見直しとリンクする形で雑品スクラップの規制議論も進んでいくこととなりそうだ。


中古衣料 行政主導で古着回収 24時間対応などでサービスも多様化

静岡県富士宮市が今年4月から、市庁舎など市内17か拠点で、使用済みの衣類・革類製品の回収をスタートさせている。可燃ごみの減量と二酸化炭素排出量削減、リサイクル推進などをめざした施策。富士宮市の取組は、一部拠点を除いて24時間365日対応で市民からの排出を受け入れているのが特徴的。
回収物した使用済み製品は資源回収業者に売却しており、業者に引き渡した後は主に海外で中古製品としてリユース(再利用)されるが、リユース不適品についてはウエス材などに加工されている。4月実績では、回収量が2万1200キロとなり、売却益4万2400円が市の歳入となった(キロ単価2円)。
中古衣料のリユース・リサイクルは、国内市場の縮小化と市況悪化など需要環境化悪化、震災以降の極端な発生減などもあって既存の再生資源市場での扱い量が年々、縮小している。一方で、アジアを中心とした途上国の急速な振興を背景に海外での需要は拡大傾向が続いており、輸出ルートでの引き合いはさらに強まっている。ただし、コスト増や集荷効率の悪化から、これまでの集荷システムで採算を確保することは非常に困難となっている。そうしたこともあって、自治体が集荷の部分をサポートするこうした自治体主導の資源回収や、製品業界が環境貢献活動の一環として行う使用済み製品回収事業などからの発生が全国的にも広がりつつある。