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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2013年5月

NEDO 技術開発の確立推進 26年度までに実証検証と改良

(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、25年度拡充研究開発プロジェクトである「使用済みモーターからの高性能レアアース磁石リサイクル」に関して、26年度(2014年度)末までに使用済み製品からレアアース磁石をリサイクルするための技術を開発すると共に、実際の使用済み製品を対象とした実証研究に基づく検証・改良を行い、市中からの使用済み製品回収等を含めたリサイクルシステムに適応した技術を確立する。
このプロジェクトは24年度にスタートしたもので。レアメタル(レアアース17元素)31種類は我が国産業を支える高付加価値原料であり、近年、その需要は拡大する一方だ。このため、炭鉱開発の推進、リサイクルの推進、代替材料の開発、備蓄などの具体策が進められているが、中でも高性能磁石に添加されるネオジム、ジスプロシウムは電気電子機器や自動車等に使用されるモーター類の高性能化に大きく貢献する一方、特定の産出国への依存度が高いのが特徴だ。現時点では中国からほぼ100%輸入に頼っていることから、サプライチェーンを通じて世界の産業に多大な影響を及びす懸念が強まっている。
なお、この事業では既に採択されたテーマが3つ(日立製作所、三菱マテリアル、豊田通商他3社共同申請)あり、3年6億円(未定)の事業総額のなかで、リサイクルシステムに適応した技術を確立する。


東京都 「電力改革」で提案 新電力と域外供給シェア30%へ

今年2月、電力システムに関する改革方針が閣議決定され、2015年から3段階で電力改革が進められることが決まっている。しかし、既存の9電力会社による地域独占体制が根強いことなどから、今後の電力改革によっても、真に開かれた競争環境がもたらされるかといった懸念がある。
東京都ではこれまで、既存の地域独占体制を打破するためには新電力と地域を超えた電力供給(域外供給)とを合わせてシェア30%程度の確保を目指すべきとして、ファンドによる新電力の発電事業の支援や奥多摩公共水力への競争入札の導入・実施、都有施設での電力の複数契約等の取り組みを進めてきた。加えてこのほど、国の電力改革についても同様に、開かれた市場環境整備に向けた取組みや、新電力の育成を目指した施策を展開することなどを提案している。
具体的には、新電力と域外供給のシェア30%程度を目指した政策展開のほか、既存の老朽化火力発電所の天然ガスコンバインドサイクル発電所へのリプレースの促進、公営水力発電からの新電力への売電の早期実現、一般電気事業者の自主的取組みに関する数値目標の進行管理と卸電力取引所への電源投入の推進、域外供給に取り組める環境整備と電力会社間での競争の促進──等を求めている。


環境省 福島の処理計画困難に 災害廃棄物の工程表を改定

環境省はこのほど、東日本大震災害廃棄物の処理工程表を改定した。東北の被災3県のうち福島県の災害廃棄物については、当初予定されていた来年3月末までの完了が難しい状況にあることがわかった。昨年8月に処理工程表が策定され、その後の進達度合いを踏まえて今年1月には処理加速化の取組を示した改定が行われている。さらに今回、中間目標として設定されていた今年3月末時点の進捗状況を踏まえ、必要な改定が行われた。
さきの震災では東日本13道県の245市町村で総量約1965万トンの災害廃棄物が発生、加えて津波で打ち上げられた大量の土砂や泥状物等の津波堆積物が沿岸6県36市町村で約1015万トン発生し、合計約2981万トンの災害廃棄物等の処理が必要となった。発生から2年となる今年3月末時点で被災市町村全体の3分の2にあたる160市町村での処理が完了、処理済量は全体の6割超の約1198万トンとなった。津波堆積物も全体の3割超の約326万トンの処理が終わっている。
特に、岩手、宮城両県は県内での処理に加えて17都府県が広域処理(計67万トン)の受け入れを実施もしくは表明しており、当初目標の来年3月末時点での処理完了が見込まれる状況となっている。一方、福島県については原発事故の影響で原発周辺地域で処理が大幅に遅れたため、当初予定での処理完了はほぼ不可能な状況となっている。除染作業による汚染土などの中間貯蔵施設の設置場所が現状で決定されていないほか、仮置き場の設置受け入れも進んでいない。
福島での処理状況を見ると内陸部等では他県と同様に市町村による処理が行われ、特に被害の大きかった沿岸部については国の直轄処理また代行処理が進められている。国の直轄処理は南相馬市の一部と浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町で実施される予定だが、今年2月からようやく整備予定11カ所中6ヶ所の仮置場で搬入が開始されたという状況。その他5カ所は造成工事中または準備中で、仮設焼却炉等の設置置に関しても調整中とされている。
また、市町村から要請を受けて国が行う代行処理ではこれまでに沿岸部の新地町、相馬市、広野町、広野町からの要請があった。新地町と相馬市で市町が仮置場に搬入・分別した可燃物の焼却処理と最終処分の代行が要請されており、仮設焼却炉3基が2月以降、本格稼働している。今年1月に代行要請が行われた広野町では仮設処理施設用地測量中という段階で、要請予定の南相馬市についても仮設炉等設置の調整中という段階。処理の加速化には施設設置など地元の協力が不可欠となるが、仮設の施設等が恒久的なものになるなどの懸念が地元に根強いことなどもあって、用地選定の調整が進んでいない。なお、環境省では今夏をめどに全体の処理の見通しを改めて示すとしている。


指定廃棄物 処分場選定で方針示し 地域性重視、風評被害対策など

環境省が今年2月に公表した「指定廃棄物の最終処分場候補地の選定に係る経緯の検証及び今後の方針」では、国が各県と協力して指定廃棄物処理促進市町村長会議を開催し、処分場候補地の選定手順や評価項目、評価基準、選定結果の提示方法等について意見交換を行うという方針が示された。これを受けて宮城、栃木、千葉、茨城、群馬の各県で市町村長会議が順次開催されている。これと併せ、環境省はさきごろ立ち上げた有識者会議で新たな選定手順のあり方を検討した。
これまでの選定手順では県や市町村との意思疎通が不足し、地元の意向が組み入れられていないとの指摘があった。さらに、選定結果の事前説明がないまま候補地が公表されるなどしたため候補予定地での風評被害も発生しており、一連の手順にも批判があった。今回示された新たな選定手順案では地域特性に配慮すべき事項を選定にあたり最大限尊重することや、候補地の評価方法についても市町村長会議や有識者会議の意見を踏まえ検討するとした。また、候補地の提示についても地元の意向を十分に聴取した上で行い、地域の状況を踏まえた風評被害対策を講じることや、地元の要望を踏まえた地域振興策を検討していく──などとしている。
原発事故で発生した廃棄物のうち放射能濃度が8000Bq/kg超となる指定廃棄物は国が責任をもって処理することとされているが、さきごろ開かれた有識者会議で発表された指定廃棄物指定状況(3月末時点)によると、昨年12月末時点に比べ、指定を受けた指定廃棄物の量は福島県で約2万1052トン、茨城県で約425トン、栃木県で約217トン、千葉県で約691トンの計約2万2385トン増加していることがわかった。


関東製紙原料直納商工組合 持ち去り行為根絶へ B社事案の経過観察を終了

関東製紙原料直納商工組合 (大久保信理事長) ではさきごろ開催した理事会で、 古紙持ち去り事案として経過観察を続けてきたB社に対する経過観察を終了することを決定した。B社の事案は昨年3月、 埼玉県の蓮田市白岡町衛生組合からの指摘で関東商組の組合員であるB社が持ち去り由来の古紙を受け入れていることが判明したというもの。 昨年6月の組合理事会では、A社事案とともに、 B社に対し、 ①持ち去り古紙を扱わない、 扱った場合はいかなる処分も受け入れるとした誓約書の提出を求め、 ②概ね半年間の経過観察を行うことを決定していた。
その後関東商組では、 昨年末に蓮田白岡衛生組合とB社に対してヒアリングを実施し、 衛生組合からはB社が持ち去り防止に努めているとの回答を、 また、 B社からも具体的な取り組みについての文書による報告を得ていた。 その結果、 本年1月の組合理事会で、 経過観察を行うこととなった蓮田白岡衛生組合関係の事案については、 何ら問題がなくなったと判断していた。その一方で、 関東商組では昨年11月の組合臨時総会において、 古紙ロンダリング (持ち去り古紙の流通) 防止決議を可決していることから、 この決議に関連してさらに3ヵ月間、 改めてB社の経過観察を行うこととし、 4月の組合理事会において、 古紙ロンダリングについてもB社に問題が見受けられないことから、 経過観察を終了することとしたもの。
これにより、 関東商組では、 B社に対して引き続き古紙持ち去り防止に努めるよう要請するとともに、 停止していたB社の古紙商品化適格事業所認定の更新手続きを開始することとしている。関東商組では今年に入り、 GPSによる持ち去り古紙追跡調査や古紙持ち去り根絶宣言車両識別制度を実施しており、 今後さらに持ち去り行為の根絶に取り組んでいきたいとしている。


容器包装リサイクル 「D判定」は微減に 24年度のPETボトル品質調査

容リ法では対象となる容器類の市町村指定保管施設からの引き取りに際し、協会が設定した引き取り品質ガイドラインに適合する分別収集と保管が求められている。しかし市町村の収集・運搬方法や中間処理(選別、ベール化)方法、保管方法等の違いにより再商品化に適した品質のものがある一方で、一部には再商品化が困難な事例も見られる。
協会では分別収集品の品質について、市町村と再商品化事業者とでの情報を共有化し品質改善につなげるため例年、PETボトルベール品の品質調査を実施している。調査結果で万一、ベール品の品質改善等の必要性が生じた場合、市町村に改善計画の策定と実行を求めるなどして、これまで相応の改善効果を挙げている。
24年度分の調査結果によると、総合判定A評価とされた施設は全体の94・6%で、前年の92・6%から2ポイント増加している。B判定とされた施設は前年の40施設から26施設と大幅に減少した。また、D判定についても減少傾向にはあるものの、丸ボトルであるためにD判定となった施設が依然として15施設あり(前年度17施設)、D判定全体でも25施設(2・8%)から21施設(2・4%)への減少にとどまっている。


環境省 高炉品質の鋼板試作成功 電炉での鉄スクラップ活用で実証事業

環境省では、平成24年度新規事業として、鉄スクラップを原料として、自動車用の構造用高張力鋼板を試作し、品質検証を行う実証事業を実施したが、その結果、国内で初めて、高炉で製造した場合と同等の品質を持った構造用高張力鋼板を試作することに成功したと発表した。実証事業の実施者は東京製鐵株式会社。自動車の構造用鋼板などに鉄スクラップを用いることができれば、鉄スクラップの利用用途の拡大のほか、鉄スクラップに含まれるレアメタル等の有効活用、二酸化炭素削減、使用済自動車から再び自動車を製造するなど水平リサイクルの実現、高張力鋼板の低コスト化等につながるとしている。
実証事業は鉄スクラップ150トンを電気炉に投入、試作した鋼板が、必要な品質を満たしているかを確認した。その結果、試作品は高炉製造品と同等の強度と伸びのバランスを持ち、熱間圧延された鋼板コイルは、全長にわたって品質が安定し、溶接性など各特性試験においても現行高炉材との比較で特に劣ることは認められなかった。
なお、今回の事業成功の要因としては、①原料の50%を市中の鉄スクラップより成分が安定している自動車工場内で発生した鉄スクラップ(新断)を用いたこと、②物質・材料研究機構等の微細結晶粒の組織創製技術をベイナイト組織に応用したこと等が大きいと考えられるとしている。


環境マネジメント 認証取得は横這い 差別化やインセンティブの仕組みも

環境省では昨年10月から開いている24年度の「環境に配慮した事業活動の促進に関する検討委員会」で、事業者による環境に配慮した取組みについて検討してきた。このほど、同委員会報告がとりまとめられた。報告書では、企業の環境経営や環境報告と情報利用についての現状、海外動向を踏まえて課題を考察し、今後の取り組みの方向性を示している。グローバルな動きに遅れることなく取り組むこと、金融が中長期視点で企業評価等を行うこと、多くのステークホルダーが環境情報を読み解く力をつけること──等が重要であるとして、そうした取組を進めるための施策について提言している。
大企業等での環境マネジメントシステムの認証取得はここ数年横ばいで推移し、売上高が低い企業ほど取得割合も低い。また、中小企業でもエコアクション 21認証の増加数が伸び悩んでいる。小規模企業等では、環境への取組を自社競争力の向上に活かせず、環境経営を実施する意義も正しく認識していないと推察されている。一方、環境経営の新たな動向では、「バリューチェーン・マネジメト」(業務全過程の効率改善手法)の必要性が浸透しつつあり、その背景として海外での環境関連法の体系化・拡充があるとされる。
そうした状況を踏まえ、今後は、環境報告を作成していな大企業には作成を強く求め、同時に取組みの有無による明確な差別化や取得に何らかのメリットを持たせる仕組みなどについても検討していくことが必要としている。また、中小企業等への普及では、バリューチェーン・マネジメトが進むことで企業間協力を含めた環境経営が促されるというような取組みが重要となる。その際、インセティブを提供することも有効と考えられ、例えば環境投融資とエコアクション21を関連付けて取り組むことなども考えられるとしている。


関係法の規定を整備 放射性物質による汚染防止で

放射性物質による環境汚染防止のための関係法整備法案がこのほど、閣議決定された。大気汚染防止法等個別の環境法にでは放射性物質による環境汚染を適用除外とする規定がある。環境基本法では放射性物質による大気汚染等の防止措置については、原子力基本法その関係法律の枠組みの中で処理されることを前提に、これらの法律に対応を委ねていた。
しかし、さきの東電福島原発の事故で大量の放射性物質が一般環境中に放出したことから、現行の法体系で汚染防止措置を行うことができるよう、新たに成立した原子力規制委員会設置法の附則で原子力基本法等に対応を委ねている現行の環境基本法の規定が削除されている。一方、個別の環境法では依然として放射性物質による汚染防止措置の適用を除外する規定(適用除外規定)が残されたままとなっている。放射性物質による環境汚染を防止する措置を講じるため、関係法の規定の整備が行われることとなったもの。
今回の改正で「大気汚染防止法、水質汚濁防止法」では、放射性物質による大気汚染と水質汚濁に関する適用除外規定を削除し、新たに汚染状況等についての常時監視の規定が設けられる。また、「環境影響評価法、南極地域の環境の保護に関する法律」では、同様に適用除外規定を削除、環境影響評価手続等の対象に放射性物質による環境への影響を含めることとしている。なお、これら以外で放射性物質汚染に関する適用除外規定のある個別環境法(廃棄物処理法、土壌汚染対策法、海洋汚染防止法律、化学物質の審査・製造等規制法)については、汚染対処特措法との関係や施行状況などを踏まえた検討が必要なため、同法の見直し規定も踏まえて別途検討することしている。


企業行動調査 取引先にも認証取得求め 環境配慮への意識高まり

環境省が平成3年度以降継続して実施している「環境にやさしい企業行動調査」の23年度結果で、環境課題に対応する上で重視する事項として「経営活動と環境配慮行動を統合した戦略的な対応」を挙げる企業が全体の約6割を占め、企業戦略の一つとして環境経営に取組もうとする動きがさらに広がっている。
ISO14001等環境マネジメントの認証取得では、取得した企業が6割を超え、取得による具体的な効果として大部分の企業が「社員の環境への意識の向上」や、「環境負荷低減」を挙げている。また、取引先との関係についても、請負業者、納入業者等の取引先を選定する際、環境マネジメントシステム取得の有無を考慮している割合は、「ISO14001」が全体の34・3%と最も多く、次いで、「エコアクション21」18・5%、「独自策定の環境マネジメントシステム」11・2%などとなり、取引先を含めた環境配慮の取組(サプライチェーン・マネジメント)が浸透しつつある。
現時点で「環境ビジネス」を行っている企業は全体の35・1%で、そのうち3割近い企業が海外展開を行っている。また、1割超が海外展開を検討していると答えている。また、地球温暖化対策の取組みでは、「地球温暖化対策計画」を公表(数値目標を設定)している企業が全体の33・8%あり、計画は作成しているが公表はしていない企業が24・4%あった。環境会計の導入状況についても、23・3%の企業が導入済みと答えている。


軽金属同友会 新会長に河内健司氏 明るい未来づくりに一丸で

河内健司氏

新会長・河内健司氏


アルミリサイクル原料を扱う業界団体である軽金属同友会は先ごろ、中央区銀座のサンミ高松銀座7において第45回の定時総会を開催、役員改選で岡村会長の後を受けて新会長に河内健司氏(カワウチMR(株)社長)が就任した。また、副会長に秋元康男氏(秋元金属(株)社長)、川部久雄氏((株)川部商店社長)、赤松祐治氏((株)エイワメタル社長)の3氏が就任した。
また、支部会人事では、第一支部長に志賀八郎氏(田口金属(株))、第二支部長に久保哲雄氏((株)鈴商)、第三支部長には高澤秀雄氏((株)高沢アルミ)が就任し、会計に玉川智一氏((株)玉川軽金属)、監査に志賀八郎氏と片倉育夫氏((株)サンメタル)、総務部長に奥謙二氏(関東アルミセンター(株))、青年部長に藤原秀也氏((株)藤原商店)が就任した。なお、前会長の岡村晋吾氏は相談役となっている。
河内新会長は「厳しい環境下での会長就任となったが、秋元、川部、赤松各氏を始めとする錚々たるメンバーを頼りに、当会をよりよい組織に育てていく所存だ。ここ数年の業界環境は、リーマンショック、東日本大震災など未曽有の変動で、私がこの業界に身を投じてからの35年間のなかで、経験したことの無い時代を迎えているが、政権交代後のアベノミクス、黒田日銀による異次元金融緩和の下で、ようやく明るさも見え始めており、本格的な回復にはまだ時間が必要だが、同友会を形成する二次合金メーカーや商社の賛助会員といった皆様の更なるご支援、ご協力を得て明るい未来を作りたい」(要旨)と語っている。


バイオ燃料 物性、取引内容で評価 廃棄物該当性判断でアンケート

「エネルギー分野における規制・制度改革に係る方針」(24 年4月閣議決定)を受けて環境省では、自治体等による廃棄物該当性の判断の実態を把握するため、都道府県と政令市へのアンケート調査を実施した。廃棄物由来のバイオマスの利活用を普及促進するための資料としてこのほど、同調査結果を事例集にまとめ公表した。事例集には回答のあった全ての事例が掲載されており、個々の事例について環境省として判断の妥当性については評価していない。廃棄物該当性判断は個別事案ごとに判断されるものでもあり、自治体等での該当性判断に当たって、同事例集が参考材料として活用されることを期待している。
アンケート結果のまとめによると、各自治体で作成した廃棄物処理基本計画にバイオマス利活用に関する目標を掲げているかという問いに対しては、都道府県で16団体、市で4団体が目標を掲げていると回答している。また、発電事業者(新規参入などの計画中のものも含む)から、利用するバイオマスが産業廃棄物に該当するかどうかについての相談を過去5年間に受けた事があるかについては、18団体が「相談があった」と回答した。うちわけは都道府県が11 件、市が7件。廃棄物該当性の相談に関して具体的に27 事例の回答があり、そのうち有価と判断した事例が12件、廃棄物と判断した事例が9件、判断していない事例が6件あった。
木くずを発電用燃料として利用する事業での判断事例では明確な受入れ規定がある、品質管理が徹底されている、有害性がないことが明らか─等の性状に加え、取引に際して有価での買取りがなされていることが明確なものについては有価物と判断されているが、間伐材などの燃料利用で性状の項目に記述がなく、取引価値の有無についても具体的な金銭のやり取りが不明であったり、処理料金徴収の可能性が疑われるものについては廃棄物と判断されている。
廃棄物由来のバイオマスが発電に利用される場合に特別な取扱いをしているかについては、特別な取扱いをしている都道府県・政令市はなかった。なお、相談の経緯が不明で廃棄物該当性が判断済みの事例については、有価として判断された事例が17 件、廃棄物として判断された事例が26 件あった。