日刊資源新報購読お申し込みはこちら

再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2013年2月

容器包装リサイクル協会 PET入札制度で検討会 円滑な再商品化の維持に向け

日本容器包装リサイクル協会はこのほど、26年度以降のPETボトルの入札制度について検討会を開催した。 PETボトルリサイクルはアジアを中心に国内外に広く流通している一方で、国際的な資源相場変動の影響を受けやすい。海外での製品需要の減少やバージン材の市況変動等さまざまな要因から、容リルートでの再商品化にも支障をきたす状況が見受けられる。
昨年は春以降、ポリエステル素材の市況が急落したことから再生フレークの販売価格が大幅に下落し、再商品化製品の販売不振が見られた。そのため多くの再生処理事業者で再商品化製品や原料ベールの在庫が急増、市町村からのベール引取りが滞ることが懸念された。そのため、協会では円滑な再商品化を維持するため、再商品化事業者の期中再選定を実施した。全国255市町村で19事業者が受入れを辞退(辞退数量─半年間4万0371トン)、振替調整が行われた。
協会では、変動する再生原料市場の動向に対応するため、暫定的に25年度分の入札については入札回数を年2回に変更することを決めている。一方で、26年度以降の入札方法についても学識経験者等を交えて検討の場を設けることとした。 PETボトル再商品化の入札については、市場動向を反映しやすくするため複数回の入札が適当とする意見がある一方で、再商品化事業の継続には安定的な原料確保が必要として、複数回入札に否定的な見方もある。


雑品スクラップ 岐路に立つ輸出ビジネス 有害性等で規制強化の動き

家電が混入した雑品

家電が混入した雑品スクラップ


これまで金属スクラップ業界にとって大きな利益をもたらしてきた雑品スクラップ。中国の経済発展に伴う旺盛な金属需要を背景に、数多くの企業が雑品輸出事業に参入し、大きな利益を上げてきたが、近年では大手輸出企業の倒産などが相次ぎ、ビジネスとして岐路に立たされている。また、有害物質の混入が懸念されるなど、様々なもので構成される雑品スクラップに対して、かねてより問題視してきた国は、更なる規制を導入する動きを見せている。関係者では既に雑品スクラップについて「もはやビジネスとして長続きはしない」と冷めた見方をする向きも多くなるなか、今後の国の規制に向けた議論が注視されるところとなっている。

先に開催された使用済み電気・電子機器輸出時判断基準及び金属スクラップ有害特性分析手法等検討会の第5回会合において、雑品スクラップに含まれる電気電子部品の有害性分析方法の検討について議論が行われた。このなかで、有害性を有すると見られる電気・電子部品として、プリント基板、液晶ディスプレイ、蛍光管、外部電源ケーブル、電解コンデンサ、プラズマディスプレイ、ガス放電型ランプを対象として、有害物質8種(水銀、カドミウム、六価クロム、アンチモン、ひ素、ベリリウム、ポリ塩化ビフェニル)の含有・溶出試験を通じた調査を行ったところ、いずれの品目でも6割以上の品目から規制値を上回るいずれかの有害物質が検出されたとしている。
これを踏まえ今回の議論では、様々な電気・電子部品が含まれている雑品スクラップの最も有害性の高い部品を選定して判断する場合の方法論について案が示されている。まず、分析対象製品については、同一の製品群の混合物の場合は、製造年の古いもので先の有害性分析調査を行った部品が含まれる場合、すべてについて分析を実施する。次に複数の製品の混合物の場合、それぞれの製品群の年式の古いものを採取し、それぞれの対象部品の分析を行う。また、部品の混合物、あるいは製品と部品の混合物の場合も部品は複数のサンプリング調査、製品は年代の古いものを調査するなどとした。
ただ、雑品スクラップについては、調査対象が分別不能な多種の製品が混在していることから、まず目視によってそのロットに多く含まれる3品目程度で年式の古いものを選定・調査し、これらのなかで分析対象部位のいずれか1つでも基準超過した場合には、その雑品スクラップの山全体が規制対象となるとの案が示されている。今回示されたものは1つの案だが、規制が導入されれば雑品スクラップ輸出の大きな枷になることが確実視されるなかで、今後の国の議論の方向性が注視されるところだ。


家電リサイクル 前年比2割超の16万1400台 23年度の4品目の不法投棄

環境省のまとめによると、平成23年度の家電リサイクル法の対象4品目(エアコン、テレビ、冷蔵・冷凍庫、洗濯機)の不法投棄台数は全国で16万1400台となり、前年度(13万1785台)から22・5%増加している。データが得られた1497自治体の数値から人口カバー率で割り戻し算出した全国ベースの推計値。品目別の比率ではエアコンが全体の1・2%(前年度1・4%)、ブラウン管テレビが79・2%(同72・4%)、液晶・プラズマテレビが1・0%(同0・4%)、冷蔵・冷凍庫が12・3%(同16・9%)、洗濯機・衣類乾燥機が6・1%(同9・0%)などとなった。
また、22 年度と23 年度の不法投棄台数を月ごとの推移で見ると、7月と8月に不法投棄台数が多い傾向がある。市区町村別の1万人当たりの不法投棄台数では、市区が12・0台、町が18・0台、村が29・5台で、町村部で不法投棄台数が多い。1件当たりの回収数は1台が全体の76%、2~4台が21%、5~9台が3%、10台以上が1%となっている。収集運搬を実際に行ったのは自治体自らが全体の74・5%で、17%は廃棄物収集運搬業者に委託している。業者への委託件数は委託を行った自治体の平均で19件、委託費用は64万3000円となり、前年度からは4・4%増加している。
不法投棄された廃家電4品目で回収できなかった物があると回答した自治体が全体の24%あるが、その理由は「私有地で立入り不可」、「回収が物理的に困難」、「時期を決めてまとめて回収する」等。物理的に困難な事例では「谷底等への投棄」、「谷底及び湖沼等以外で車両等が進入不可の場所への投棄」、「湖沼及び河川等への投棄」などがあげられた。23 年度の家電4品目の不法投棄対応決算額(未然防止策、投棄物処理費用)は自治体が処理した場合の人件費等を除いた額で平均95万5000円となり、前年度から24・7%増加している。廃家電以外も含めた全ての不法投棄対応決算額の6・6%を占めた。
なお、家電等の不法投棄については、一部の違法な不用品回収業者が回収した廃家電を不法投棄した事案もあり、こうしたことが不法投棄を助長する要因の一つとなっていることから、環境省では廃家電の適正なリサイクルを確保するため、こうした違法な不用品回収業者への対策を進めている。


事業系一般廃棄物 4円上げ36.5円/kgに 23区の処理手数料が改定

かねてより見直しが検討されていた東京23 区の事業系一般廃棄物処理手数料が、現行のキロ当たり32・5円から同36・5円に改定される。それに伴って、排出事業者等が許可業者と事業系一般廃棄物の収集・運搬・処分契約を結ぶ際の契約上限額もキロ当たり36・5 円に変更される。事業系一般廃棄物の収集運搬手数料が現行のキロあたり18円から3円上げの同21円に改訂され、清掃工場に持ち込む際の処理手数料も現行のキロあたり14・5円から1円上げの同15・5円となるため、処理手数料全体では4円上げの同36・5円となる。
処理手数料に含まれる処分料金は、焼却するごみを23区清掃工場に搬入するものに対して収集運搬業者に請求されるもので、この持ち込み料金が産業廃棄物、粗大ごみ等で一律、現行のキロ当たり14・5円から同15・5円(定額)に値上げされる。受益者負担の原則の適正化を担保する観点から処理手数料の見直しが検討されていたが、現在の経済情勢から排出事業者の理解を得にくいなどとして処理業界からは強い反発の声もあった。なお、新たな料金設定にあたって23区の試算では合計でキロ当たり39・5円が妥当との結果も出されたが、事業者の負担増に配慮して同36・5円にととどめたとしている。

新たな料金は10月1日以降の契約から適用される。年初来、経済情勢に漸く回復の兆しが見られるものの、依然として厳しい経営環境にある中小の排出企業からは反発もある。事業系一廃・産廃処理業界では改定期に向けて各区の広報ツールなどを積極的に活用しつつ、顧客への理解を求めていくとしている。


横浜市資源リサイクル事業協同組合 第2回カーボンオフセット大賞で奨励賞を受賞

表彰式の様子

表彰式の様子


横浜市資源リサイクル協同組合の「環境絵日記による小学生のカーボンオフセット~小学生と考える環境問題~」が、このほど「第2回カーボンオフセット大賞」において、奨励賞を受賞し、このほど東京国際フォーラムにて表彰式が執り行われた。表彰式で挨拶に立った栗原清剛副理事長は「今回の取り組みは、子供たちが参加してくれた組合の環境絵日記での受賞となりました。大変嬉しく思っております。これからもこうした活動を通じて、横浜からカーボンオフセットの輪を拡げていきたいと考えております」と述べた。
同組合の環境絵日記は、夏休みに子供達が家族と環境について考え、それを絵日記として描くというもの。家庭で環境について考える機会の創出だけでなく、1作品の応募につき1㎏のCO2をカーボンオフセット出来るという、環境学習と地球温暖化防止を同時に図るユニークかつ画期的な取り組みだ。平成12年にスタートした環境絵日記は昨年、過去最高となる1万9019作品の応募があり、これに応じたCO2オフセット分は20トンに達している。
同組合が奨励賞を受賞した「カーボンオフセット大賞」は、環境省の後援を受けカーボンオフセット推進ネットワークの主催により創設された環境に配慮した低炭素社会の実現に向けた取り組みを表彰するもので、活動の継続性やCO2排出削減に向けた取り組みが優れているかという点のほか、地域・社会の活性化にどのような貢献をもたらしたか、市民や社会に向けてどのように情報発信を行ったか等が審査され、高いレベルの活動が要求される。なお、今回の受賞者は大手企業などを含めて11団体。横浜市資源リサイクル事業協同組合では、行政、市民、民間企業が協働で持続可能な循環型社会「リサイクルデザインタウン」の構築を目指しており、今回、奨励賞を受賞した環境絵日記等の様々な活動を通じて市民に必要とされる組織であるべく取り組みを進めていく方針だ。


ニッケル 2013年需給は過剰拡大 新規プロ始動、日本は横這い

国内ニッケル地金生産最大手の住友金属鉱山がこの程まとめた今年2013年のニッケル地金世界需給見通しによると、 生産 (供給) はこれまで積極的に行われてきた海外新規プロジェクトの始動等から供給が増加、 地金ベースでの供給量は消費 (需要) を大きく上回ると予測した。13年 (暦年) の供給 (生産) 量は177万5千トンで前年比4・7%の増加が見込まれている。
一方の需要 (消費) 量は171万7千トンで前年比4%の増加に止まり、 前年の段階で予測された4万5千トンの供給過剰幅から、 今年は更に供給過剰幅が拡大した5万8千トンに拡がると予測している。供給過剰幅拡大の最大の要因は、 フィリッピンにおけるタガニートプロジェクトの始動を織り込んだものとなっている。
また、 中国における含ニッケル銑鉄の生産量が前回昨年10月に予測した24万トンから30万トンに上方修正したことが大きく影響している。一方の需要動向を見ると、 世界全体のステンレス製品需要量を3592万2千トンと想定して前年比4・8%の増加としている。 この増加は、 特に中国の需要増が1620万トンと前年比9・6%と全体を押し上げると想定したことによるものだ。なお、 13年の日本国内の需給バランスでは、 需要量が 「円安の進展で輸出産業の環境改善や復興需要量の増加等が見込まれる」 としたものの、 数値としては前年比横這いと想定している。なお、 2012年の需給バランスは生産169万6千トンに対して消費は165万1千トンで全体のバランスは4万5千トンの供給過剰となった模様だ。


鉄リサイクリングリサーチ 低級品の余剰に対策を 2030年の鉄スクラップ需給展望

鉄スクラップの船積み

鉄スクラップの船積みの様子


我が国における鉄スクラップの調査・研究を行っている株式会社鉄リサイクリング・リサーチ(林誠一社長)ではこのほど、「2030年の鉄スクラップ需給展望」と題するレポートを取りまとめた。同レポートは、我が国の鉄スクラップを取り巻く環境が過去20年でどういった変化が起きたか、そして今後20年間においてどのような変化が起きるのかを様々なデータを用いてまとめたもの。なお、林氏は今回のレポートを通じて、昨年は鉄スクラップ輸出が史上2位の860万トンに達し、販路の海外比率が高まる一方、今年は輸出先の自給化などを踏まえて将来的な老廃スクラップの行き先について対策を立てねばならない、という問題提起を行っている。
レポートによれば、過去20年間の間に、国内の鉄スクラップ消費量は電炉・鋳物で1000万トン減少する一方、転炉での消費や輸出がこれを補う形へとシフトしており、需要構造が電炉主体から転炉や海外需要などへ多様化。世界的な製鋼原料としての需要の高まりに伴う国際商品化で価格変動要因も電炉の需給のみではなく、多極化が起きたとしている。
そしてこれからの20年においては、老廃スクラップの発生が緩やかな増加に留まるなか(2030年の回収量を2011年度比240万トン増の2850万トンと予測)、鉄スクラップは混ざり物の多い薄物の割合(低級品H3、H4)が高まることが予想される。一方で、鉄スクラップの国内需要は人口減の影響などから国内で300~400万トン程度の減少が見込まれ、頼みの海外需要も現状の9割超の向け先である韓国、中国での自給化が進めば、最終的に日本は1200~1300万トン程度の輸出先の確保を迫られることになるとしている。
こうしたなかで林氏は、日本を「世界の鉄スクラップ供給基地」と位置付け、社会認識の改善と遠隔地への輸出を視野に入れた専用岸壁の整備などを進める必要があるとした。また、既に遠隔地は欧米のマーケットとなっていることから、競争力を確保する上で、輸出スクラップの品質基準策定や、発生増が見込まれる低級品の老廃スクラップ(H3以下)に対して大型シュレッダー等による加工で品質向上を図っていくことなどが重要としている。


静脈産業海外展開促進フォーラム 第3回分科会開催 アジア各都市のゴミ処理の現状等

静脈産業海外展開促進フォーラム

フォーラム第3回分科会


環境省では、我が国静脈産業が海外において事業展開を行うことを支援し、世界規模での環境負荷低減と我が国経済の活性化を図ることを目的に、平成23年度より「日系静脈産業メジャーの育成・海外展開促進事業」を実施しているが、この一環として事業者や地方公共団体などを会員として設立された「静脈産業海外展開促進フォーラム」の第3回分科会がこのほど川崎市産業振興会館にて開催された。
今回の分科会では、(独)国際協力機構(JICA)の民間連携室連携推進課課長・若林仁氏により「アジアにおける公共事業の官民パートナーシップ(PPP)化の現状と課題」と題する講演や、「インドネシア・バンドン市における廃棄物エネルギー化プロジェクト」について、バンドン市空間計画局住宅課課長であるDobit Pancapana氏による紹介が行われた。
また、マレーシアやミャンマー(ヤンゴン市)、フィリピン(カワヤン市)、タイ(バンコク都)、ベトナム(ホーチミン市)における主要都市の廃棄物処理専門家が、ゴミ処理の現状について紹介を行い、経済発展に伴い増加する生活廃棄物などを如何に処理・再資源化を図っていくかに関して意見交換が行われた。


環境省 年度内に処分先確定へ 処理加速化の取り組みを公表

環境省はこのほど、東日本大震災の災害廃棄物処理で昨年夏以降の進捗状況などを踏まえた最新の「処理加速化の取組」をまとめ公表した。災害廃棄物に津波堆積を加えた処理対象全体でのより具体的な処理の方針や内容、中間段階の目標を設定して目標期間内での処理を確実にするための計画として昨年8月に「処理工程表」が策定されているが、その後、被災地で仮設焼却炉や破砕・選別施設の設置が進むなど県内処理が本格化、併せて広域処理や再生利用が大きく進んだことから、こうした処理の進捗を踏まえて処理対象量の精査が行われている。昨年12 月末時点での進捗状況を集計し、それを踏まえた今後の処理の加速化の取組みとしてまとめられたもの。
災害廃棄物は昨年12 月末時点で被災市町村全体の半数を超える131市町村が処理を完了 (同7月末より12市町村増加)、処理済み量は全体の約47%の約965万トン(同約19%、367万トン増加)となった。また、岩手・宮城両県では処理対象量の精査とともに県内処理の拡大を進めた結果、広域処理の必要量はそれぞれ約30万トン、約39万トン、全体で約69万トンとなっている。被災3県沿岸市町村でこれまでに処理された災害廃棄物約607万トンの再生利用率は約85%、津波堆積物の処理量約162万トンについてはほぼ全量が再生利用されている。さらに今後も再生資材の活用を国直轄工事等発注に盛り込むことや、石巻港護岸での埋立処理、災害廃棄物由来の再生資材保管場所の確保などにより再生利用の拡大が期待されている。
中間目標では岩手・宮城両県沿岸市町村の処理量を今年度末時点で災害廃棄物で約59%、津波堆積物で約42%、合計約53%としていたが、12月末時点の進捗率は災害廃棄物46%、津波廃棄物18%、計35%と達成は極めて困難な状況となっている。また、損壊家屋等の解体と仮置場へ移動についても当初は遅くとも 今年度内に完了する目標 とされていたが、作業の過程で周辺の浸水等により新たな護岸等措置が必要となったことなどから、やむなく25年度中と見直されている。
12月末現在の2県合計の廃棄物別の処理割合を見ると、可燃物・木くずの44%、コンクリートくず・金属くずの62%に比較して、不燃混合物が20%、津波堆積物が18%とそれぞれ低い割合にとどまっており、特にこれら2種の処理加速化が必要な状況となっている。今後の方針として岩手・宮城両県の災害廃棄物については、引き続き広域処理を含めた処理先の調整を年度内に完了、すべての処理先を確保することとしており、福島県についても極力早期に仮置場設焼却炉等の整備を具体化、全量の処理見通しを明らかにするとしている。種類毎・月毎の進捗状況を確認、きめ細かな管理を行っていくこととしている。


災害廃棄物 津波堆積物は16%処理 3県の量の精査も実施され

東日本の災害廃棄物の処理で解体家屋数の見込みや災害廃棄物の組成と比重、農地等で処理が必要な津波堆積物および津波堆積物と不燃混合の区分などについて、これまでの処理の進捗に伴ってより正確なデータの把握が可能とったことから、 このほど今年1月時点での岩手・宮城両県で処理を要する災害廃棄物・津波堆積物の量の精査が行われた。
その結果、両県で処理を要する災害廃棄物の量が前回公表(昨年7月末時点)の推計量から127万トン減少し、津波堆積が83万トン増加した。これにより、特に甚大な被害を受けた3県(岩手、宮城、福島)の沿岸37市町村での処理を要する災害廃棄物等は合計で約2667万トンとなった。このうち、災害廃棄物は約1628万トン(発生量全体の約80%)、津波堆積物は約1039万トン(ほぼ全量)となっている。
これら沿岸市町村の災害廃棄物のこれまでの処理量は、昨年12月末の時点で全体(福島県の汚染対策地域内廃棄物約47万トンを除いた量)の約44%に当たる約715万トンとなっている。そのうち再生利用された量は約85%となり、昨年7月末時点からは約21%、309万トン増加している。また、津波堆積物については、全体の約16%に当たる約163万トンが処理されており、ほぼ100%が再生利用されている。昨年7月末からは約12%、121万トン増加している。ただし、中間目標の処理完了比率、24年度末の災害廃棄物59%、津波堆積物42%と比較すると、なお一層の加速化が求められている。なお、災害廃棄物等の仮置場は3県で最大318カ所が設置されたが(23年9月末時点)、処理の進捗に伴い解消が進み、202カ所(約64%)に減少している。


容器包装 「2R推進」に逆行 パウチパックの利用が拡大

「環境に優しい」をコンセプトにパウチパック入り清酒が登場して以降、びん業界だけでなく「使い捨て」容器の乱用に疑問を持つ市民など、多方面でこのパウチ入り酒類に批判が起こっている。一方で、軽量で扱いが簡便なことや、従来のペットボトルにはなかった特性として、柔軟な素材でできているために使用の過程で収納の形状が変えられるなど使い勝手の良さが受け入れられ、清酒や焼酎などの酒類から、調味料など利用が広がっている。
昨年はパウチパック入りのボジョレーヌーヴォーが登場、話題となった。さらに、この春にはパウチパック入りの清酒で大手4社が追随するとの情報もある。本体とキャップの分別や解体をせずに丸めてそのまま捨てられることや、冷蔵庫の隙間や空いたスペースで保管しやすいなどのメリットが大きな訴求効果となっていることは言うまでもないが、当初ポトラーが標榜していた「環境優位性」が商品が市場に浸透するにれていつの間にか置き去りにされている点など疑問も多い。
びんリユースシステムの構築など特に2Rに力点を置いた施策展開が議論されているなかで、こうした流れに逆らったパウチ包装材を多用する流れについて、業界としてもさらに声をあげていく必要がある。


廃棄物処理法 施行例を改正 特別管理産業廃棄物への追加など

特別管理産業廃棄物への指定の追加とそれらの処分方法等を指示する内容で、廃棄物処理法施行令の改正がこのほど閣議決定された。特定施設から排出される一定濃度以上の1,4─ジオキサンを含む産業廃棄物を特別管理産業廃棄物に指定し、併せて、一定濃度以上の1,4-ジオキサンを含む燃え殻やばいじんについては、遮断型最終処分場へ埋立処分を行うものとするなど、埋立処分基準等の整備が行われた。
有害物質の一つである「1,4─ジオキサン」は有機合成反応用溶媒の他、種々溶剤(トランジスター、合成皮革、塗料、塩素系溶剤など)の用途で使用される物質で、平成12 年の国内生産量(推定値)は約4500トンとされている。一定濃度以上で公共用水域に放出された場合、人の健康に影響を及ぼすとされ、平成21年には全公共用水域における人の健康の保護に関する環境基準(水質環境基準)にもこの項目が追加されている。
これを受けて、最終処分場の放流水等からの排出を抑制する目的から、廃棄物処理法の法体系でも放流水中の1,4─ジオキサンについての濃度基準を設け、これを遵守させる観点から最終処分場に埋立処分する1,4─ジオキサンを含む廃棄物の処理基準を強化することとなったもの。 改正省令は6月1日より施行される。