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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2013年12月

環境省 製品リユースでモデル事業 自治体と地域事業者が連携

環境省では平成22年度から「使用済製品等のリユース促進事業研究会」を開催しており、調査・検討とモデル事業による実証を行っている。今年度も引き続き市町村とリユース事業者、市民団体等の連携により、それぞれの地域特性にあったモデル事業が行われる。
今年度、市町村等から寄せられた事業提案のうち群馬県前橋市、神奈川県葉山町でのモデル事業の実施が決まった。これまでと同様にそれぞれ取組みの効果や課題の整理と対応策等を検討し、今後の使用済製品等のリユースに関する施策等に活かす。地方自治体が収集する粗大ごみのうち1~2割程度は中古品として販売が可能とのデータがあり、使用済製品のリユースを促進することで廃棄物処分量の削減が期待できる。
群馬県前橋市の事業では今月21日(土)にリユースをテーマとするイベントを開催、当日市民が持ち寄った不用品を来場者に無料で提供、あるいは交換する試みとなる。 市民団体や民間事業者とも連携し、残った製品等も可能な限りリユース品として流通させる。対象品目は衣類・くつ・かばん、ホビー用品、生活雑貨、書籍、育児用品、おもちゃ、小型の家具等。
また、神奈川県葉山町の取組でも同様に、町民が持ち込んだリユース可能品を希望者に無償で譲る。残った製品等はリユース事業者が引き取る。


横浜市資源リサイクル事業協組 業界初の環境大臣表彰 環境絵日記での地球温暖化防止

石原大臣に表彰される髙田理事長

石原大臣に表彰される髙田理事長


横浜市資源リサイクル事業協同組合(理事長・髙田哲二㈱日哲商事社長)はこのほど、環境省が主催する「平成25年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」において、業界初の環境大臣表彰を受賞した。地球温暖化防止活動大臣表彰は、温暖化対策を推進するための一環として、毎年、その活動で顕著な功績があった個人または団体に対して功績を讃えるもので、同組合はそのなかで環境教育活動部門での受賞となった。
同組合では、平成12年度から13年間にわたり、毎年一回、横浜市内の小学生を対象とした「環境絵日記」コンクールを実施している。「環境絵日記」は、子供たちが夏休みの自由課題として絵日記に取り組むことで、家族と一緒に環境問題について考えるきっかけを作るという発想からスタート。この「環境絵日記」に応募した小学生は、当初1000人程度であったものが、平成24年度が1万9019人、13年間の延べ人数では10万人を突破するなど、横浜市を代表する大きな活動となっている。また、更なる進化を遂げるこの「環境絵日記」は、平成22年度から応募作品1作品につき1㎏―CO2のカーボンオフセットを実施しているほか、24年度からは横浜市とも連携し、他の「環境未来都市」にも参加を呼びかけるなど、横浜市を飛び出して全国、そして海外にも波及。年に一度応募された作品を展示する「環境未来都市・環境絵日記展」には、5000人以上の市民が集まるイベントとなっている。
横浜組合によるプレゼン

組合によるプレゼンの様子


髙田理事長は今回の受賞について「国からこのような高い評価を受けることが出来たのは、初代の中野理事長や先代の秋元理事長、そして多くの組合員が積み重ねた取り組みがあったからこそ。今後、この素晴らしい『環境絵日記』の取り組みを全国に展開するため、環境省をはじめ国には大きなバックアップをお願いしたい」とコメントした。
なお、今回の表彰式で石原伸晃環境大臣は「京都議定書の温室効果ガス削減目標値である1990年比6%減に対し、我が国は8・2%と目標を上回る削減実績を示すことが出来た。こうしたなか、先に開催されたCOP19で、我が国は2020年までに原発を除いて2005年比3・8%の温室効果ガス削減目標を掲げている。既に我が国はエネルギー効率が世界最高水準にあるが、皆様の活動があれば達成は可能になる。温暖化対策はコマーシャルとしてあまり評価されないことが残念だが、『日本がやらなければ誰がやる』という気持ちで、今後も取り組んでいきたい」と述べた。
なお、表彰式後には受賞者フォーラムも開催され、今回、環境大臣表彰を受けた45の法人や個人などから、個々の取り組みに関する情報交換が行われ、組合も実際に応募された環境絵日記を手にプレゼンテーションを行っている。


容器包装比率は減少 容Rプラスチックの品質調査結果で

(公財)日本容器包装リサイクル協会がこのほどまとめたプラスチック製容器包装の品質調査結果(トレイを除く)によると、「ベールの汚れ」と「破袋度」については改善が見られるものの、「容器包装比率」と「禁忌品の混入」の評価でそれぞれ前年実績からの悪化が見られた。容リ協会では分別収集品の品質改善を目的に、平成14年度よりプラ製容器包装の品質調査を行っている。
評価項目のうち「ベールの汚れ」では、各市町村の中間・保管施設の管理と、排出時の食物残渣等の付着に起因するよごれがあるが、いずれについても近年、品質上問題のない、汚れのないベールが増えている。指定法人ルートによる再商品化では、自治体が集めたブラ製容器包装は、市町村等の中間処理施設で収集袋の破袋、異物除去が行われるが、破袋の状況についても18年度以降、定量評価が実施されている。22年度の調査で収集袋に裂け目を入れただけで収集物が入ったままのものが散見されたため23年度から評価基準が変更されており、「裂け目のある収集袋で内容物が残り内容が確認できない」ものも未破袋と評価されることになった。その結果、23年度には破袋度D+Bランクが22年度に比べて一旦倍増したが、24、25年度と改善傾向にある。
協会では、容器包装の再商品化率を左右する非常に重要な項目である「容器包装比率」を18年以降、品質改善の最重点項目として改善に取り組んでいる。容器包装比率は前年度まで毎年改善が続いていたが、25年度は悪化した。Aランクが2ポイント減の96%となり、代わりにBランクが倍増、Dランクは6件となっている。また、引き取りベールからの医療系廃棄物と危険品のいずれかの混入の度合いを示す「禁忌品」の評価に関しても、25年度は「混入有」のDランクの割合が前年度より4ポイント増加、30%台後半の高い混入率となっている。「医療系廃棄物」と「危険品」の混入については近年、在宅医療の普及で年々注射器本体や針付の注射器等生活医療系の廃棄物の混入が多い。特に危険品の混入率が依然として高く、改善が進んでいない。なお、過年度の品質調査結果から、破袋度と容器包装比率には相関関係が認められ、破袋度評価5点(Aランク)である場合、容器包装比率がAランクとなる割合が98%となるが、3点(Bランク)では80%、1点(Dランク)では72%と低くなっている。


古紙 業界のリーディングカンパニーとして 山室の100周年で関係者が一堂に

山室100周年

山室100周年と畑社長叙勲で


古紙流通大手の㈱山室(畑俊一社長、本社=東京都台東区)では今年、1913年の創業から100年目を迎えている。創業100周年の記念と、さきの秋の叙勲で畑俊一社長が旭日小綬章を受章したことを記念して今月3日、東京・千代田区の帝国ホテルで感謝の夕べを開いた。業界関係者など多数が出席し、盛大な祝宴となった。
㈱山室の歴史は、創業者の山室仁太郎氏が1913、浅草に個人商店「山三商店」を開業したことに始まる。以来、古紙直納問屋として古紙リサイクル発展の歴史とともに事業の拡大、多角化が図られてきた。畑社長は会の冒頭の挨拶で同社の歴史を振り返り、関係者への感謝の意を表し、さらに今後に向けての以下の抱負を述べた。 「我が国の古紙リサイクルは、製紙メーカーによる古紙の利用技術の向上と古紙業界の集荷の増強により利用率、回収率に加えて品質面でも世界のトップレベルに位置づけられるに至った。ごみ減、省エネ、省資源などの観点からも地域社会はもとより、地球規模での環境保全に寄与する意義ある取組みとなっている。操業100周年に際し、当社の基盤を築いた先人たちに感謝と敬意を表するとともに、これまで多方面の方々から賜ったご芳情に深く感謝申し上げたい。
なお、来賓を代表して王子ホールディングス㈱・進藤清貴社長、全国性連合会理事長・栗原紙材㈱・栗原正雄社長が祝辞を披露し、同社の100周年と畑氏の受章を祝った。


伊藤清スズトクHD社長、中田勇中田屋社長就任パーティー 業界関係者200名が祝い

伊藤清氏就任記念パーティー

伊藤清氏らの就任パーティー


スズトクホールディングス株式会社の代表取締役社長に就任した伊藤清氏と中田屋株式会社の代表取締役社長に就任した中田勇氏の 「社長就任披露パーティー」 が11月29日、 東京都千代田区大手町の東京會舘レベル21において200名の出席者を集め盛大に開催された。
就任披露パーティーでは山口章やまたけ社長が司会進行役を務めた。 開会に当たり発起人代表の田口武田口金属会長が新社長の紹介、 両氏への期待を込めて挨拶を述べたこのあとスズトクホールディングス・鈴木孝雄会長が今回の人事に関して 「組織において一番適性のある人材を選任した」 との旨で挨拶を述べた。  次いで伊藤清スズトクホールディングス社長がこれまでの経歴を含めて 「自分の短所、 欠点を他人にはない長所と思い、 劣等感は人の10倍も頑張ることになり、 むしろ武器であったと感謝している。 商売に近道は無い。 相撲で稽古を地道に続けていくこと、 基本が一番大事ということは商売にも通じる。 行司役として皆を頑張らせていきたい」 との主旨で挨拶を述べた。中田勇中田屋社長は同社の歴史を語るとともに 「1つ1つ役割を確実に果たして会社のために尽力していきたい。」 との主旨で挨拶を述べた。
これに続いて、 来賓代表の中村一郎伊藤忠商事代表取締役常務執行役員が祝辞を述べ、次いで平林久一平林金属社長の発声で乾杯して懇談となった。 会場が盛り上がりを見せる中、 友人代表として石井正明石井商事社長が祝辞を述べ、 渡邉啓一日本鉄リサイクル工業会専務理事が中締めを行った。


PETボトルリサイクル 海外流出未だ半数 国内伸びぬなか、一人気を吐くメカニカルR

容器包装リサイクル法の対象品目であるPETボトルのリサイクルの焦点が定まらない。天然資源の乏しい我が国において、有用な資源であるPETボトルのリサイクルはどこに向かうのか。
先にPETボトルリサイクル推進協議会が発表した2012年度のPETボトルリサイクル率は85・0%目標値を上回ったと発表。PETボトルがリサイクルの優等生であることをアピールした。協会によれば、指定PETボトル販売量58万3000トンに対し、再資源化合計量は49万5000トンとなり、このリサイクル率85%の維持を今後目標に掲げている。しかしその実態をみると、再資源化量のうち、国内は25万4000トンに止まり、海外が24万1000トンとそのおよそ半数が海外に流出。協会に把握されないものも含めれば更に多くが輸出に回っているとの指摘もあるなかで、依然、海外に大きく依存するという不安定な格好のままの状態が続いている。更に国内向け再生フレークの販売数量に目を向けると、2012年度は前年度を2万1000トン下回る20万6000トンに落ち込んでおり、主な用途先であるシートや繊維向けが減少、成形品・その他も伸び悩んでおり国内需要の開拓が進んでいないことが伺える。
こうしたなか、国内リサイクルで一人気を吐いたのが「BtoB」だ。ボトル向けは2012年度で唯一前年度比増となる2万7100トンに拡大。特に2011年度からスタートしたメカニカルリサイクル手法は前年度比19倍の9500トンに拡大。ケミカル手法に比べ低コストで高品質な再生PET樹脂を製造できるメカニカルリサイクル手法は、国内循環の切り札として今後大きな成長が期待される。しかし、競争条件の異なる海外への流出という現状を放置したまま、メカニカルリサイクル拡大すれば、国内リサイクルは更に苦境に追い込まれることになりかねないと業界は危機意識を募らせている。

国内リサイクル 2回入札で更なる苦境も 指定法人量増えず淘汰加速も
2012年度の大幅な伸びを見せたメカニカルリサイクルによる再生PET樹脂は、「ユーザーの需要が大きく、現状ではそのニーズに応えられていない。今後、大手による投資参入により生産能力は年間数万トン規模に達する。国内需要も10万トン超に達する可能性も否定できない」(業界関係者)という。そうなると、問題となるのがその原資となる廃PETボトルを如何に確保するかだ。
2012年度のデータによれば、PETボトルの回収量は52万7000トンで、内訳は市町村分別収集量が29万9000トン、事業系回収量が22万8000トンで市町村が半数以上を占める。ただ、市町村の分別収集については、法に基づく指定法人への引き渡しは19万5000トンに止まる一方、独自処理量が9万4000トンと依然高止まりしており、このままの状態で従来の再生樹脂の販売先であるシートや繊維向けに加え、メカニカルリサイクルによる高品質な再生樹脂需要が増えた場合、どうなるのか。答えは明白だ。
ある再商品化事業者は「従来用途に加え、新たに創出された需要に応え、安定した国内循環の体制を整える。そのために、国の責務で市町村は全量を指定法人に流す」よう訴える。旺盛な海外需要が今後も続くと見られるなか、一部では事業系回収を増やし国内循環に回す取り組みが必要と言われるが、事業系のPETボトルには品質等の問題も指摘され、このままいけば国内のリサイクル企業の多くが淘汰され、一部の体力のある企業しか生き残れなくなるというのが関係者の見方だ。
更に国内リサイクル企業に追い打ちをかけるのが、容R協会が市況変動への対応で導入した年2回の入札制度だ。バージン樹脂の下落に伴う再生樹脂の価格変動等でリサイクル企業が苦境に陥った経緯等を踏まえての措置だが、結果的にこれまでの年1回入札と比較して、競争の激化により落札価格は上昇傾向を示しており、更なる状況の悪化も懸念される。加えて「バージン市況が急落すれば一回入札時よりも落札価格が上昇した分、リサイクル企業の苦境が増す可能性が高いという本末転倒な制度改定」という声も業界からはあがる。
「結局、国も実際の現場で起きている問題を直視しようとしない。法に基づき事業を進める企業が損をする現在の仕組みを根本から見直さない限り、将来は見えてこない」といった現場の怒りの声は、果たして現在進められている容器包装リサイクル法の見直し審議の場に届くのであろうか。


PETボトルリサイクル BtoB市場導入を拡大 リサイクル年次報告2013を発刊

PETボトルリサイクル推進協議会による記者説明会

推進協による会見


PETボトルリサイクル推進協議会(水戸川正美会長)はこのほど、「PETボトルリサイクル年次報告書(2013年度版)」を発刊、今月26日、東京・大手町の経団連会館で記者発表会を開催した。年次報告書の作成は同協議会が広報活動の一環として行う取組みで、今回で13回目の公表となる。
協議会では2006年度を始期とする第一次の3R推進自主行動計画が2012年度に終了し、現在は一昨年からスタートしている第二次計画に基づき、種々の活動を展開している。水戸川会長は「我々、協議会の活動について多方面の方々に理解を求めつつ、引き続き啓発活動に努めていきたい」と述べた。
年次報告書によると、2012年度も3R自主行動計画は着実に進展し、リデュースの取組みでは指定ボトル全体の軽量化率13・0%を達成している。行動計画値を3500トン上回る8500トンの軽量化を達成した。リサイクルの取組みでは、使用済みPETの水平循環を可能とした高度化手法である「メカニカルリサイクル」によるボトルtoボトルリサイクルが実績で9500トン、前年比で19倍と大きく進展した。従来から行われている「ケミカルリサイクル」手法と併せて、ボトルtoボトルリサイクルの市場拡大が大きく進展している。
使用済みPETボトルのリサイクル実績については、一昨年度より目標指標を従来の「回収率」から「リサイクル率」に変更しているが、リサイクル率は85・0%と第二次計画目標値を達成しており、指定法人引き渡し量についても前年並みの19万5000トンとなった。ボトル軽量化が大きく進展したことを勘案すれば、前年度ペースの実績は再商品化の進捗を示していることになる。


リユース市場 モデル事業ほか計画 不適切業者排除に法制面を整理

環境省の使用済み製品のリユース促進事業研究会(第12回)が開かれ、昨年度事業の成果の取りまとめと、今年度に実施されるモデル事業の概要等が報告された。研究会では昨年度、リユースに関するさまざまな取組みの活性化を目的に、市町村とリユース業者によるモデル事業(地域内事業者リスト方式─4自治体、市町村回収後選別方式─2自治体)を実施したほか、リユース品の流通状況と市場規模調査を行い、それらの結果を元に今後のリユース推進に向けた課題や支援策等を検討した。
リユース品の流通ではショップでの店頭販売・買取りのほか、フリーマーケット等の利用、インターネットオークション、宅配便を利用した引取りなどさまざまな仕組みが構築されている。これらリユース市場を「消費者がリユース品を購入した総額(年間)」と定義し、市場規模を推計した結果、市場規模は消費者の最終需要ベースで約3兆1000億円と推計されている。品目別では「自動車」が全体の5割超を占め、以下、「バイク等」が5・5%、「その他」5・2%、「書籍」3・2%等となった。「自動車」「バイク等」を除いた16品目の合計では1兆2000億円となる。
事業者が最終ユーザーとなる場合の実態把握や、リユース目的で輸出される製品についての実態把握等が課題とされた。今年度の事業ではモデル事業の実施と併せ、リユース業界を取り巻く法的環境の整理も行われる。リユース業界が進める優良化策等を踏まえ、不適切な事業者との差異化を明確にするため、廃棄物処理法を中心にリユース業者が順守すべき法的環境を整理する。


資源物 複雑化する自治体入札 市町村合併で組合間の競争も

市町村合併に伴い、旧自治体での入札権を有した組合・事業者が新たに誕生した自治体での入札にスライドするため、入札競争がさらに激化し、買い入れ価格を上昇させる現象が地方を中心に伝えられている。中部地域などで近年、市街地や幹線道路沿いに古紙を中心とした資源ごみの集荷ステーションを設置して近隣住民から直接、資源物を集める回収方式が拡大しつつあるが、そうしたもの以外でも、再生資源事業者にとどまらずリサイクル事業への新規参入が拡大し、集荷の門口が多様化している。特に地方では従来の市中発生が年々減少するにつれ、扱い量全体に占める自治体収集資源ごみの割合が極めて大きなものとなっている。
一方で、自治体が集約化された後も資源組合はそれぞれに旧体制のまま存続するため、組合間での入札競争という事態が起こることになる。自治体によっては旧来の発生エリアにより委託量を按分し振り分けるなどの試みも見られるが、落札業者の扱い規模や納入先によっては入札価格にも大きな開きが出ることもあり、価格面での競合を余儀なくされる場合も少なくない。加えて、こうした事態に、他県からの買い入れ業者が入札業者を介してより有利な条件を提示し、競争に加わる動きなども起こっており、地域の業者が極端な高値入札に対抗、追随するため、原料価格が極端に高騰するという状況が見られるようになっている。
資源リサイクルに限らず、自治体事業の民間委託に関しては、価格面以外の評価軸を取り入れるなど動きも広まりつつはあるが、正規の流通ルートを持つ事業者間の競争ではこれまで通り、価格面のみで選定せざるを得ない状況も否めない。「現状では利幅を抑えてでも原料の確保を優先せざるを得ない(入札業者)」という状況に、業界全体の利益に逆行するとして警戒感を示す向きもある。


古紙再生促進センター 日中の古紙関係者集い 杭州で第2回中日古紙セミナー開催

第2回日中古紙セミナー

第2回日中古紙セミナー


中国再生資源回収利用協会(蒋省三会長)と公益財団法人古紙再生促進センター(岩瀬広徳代表理事)では今月7日、中国・杭州市のJWマリオットホテルにおいて「第2回中日古紙セミナー」を開催した。
日中の古紙の諸問題について意見交換を行い、日中両国の古紙関係者の交流を図るのがねらい。当日は、浙江省造紙行業協会、浙江省再生資源回収利用協会、富陽市造紙行業協会他の協力を得て、製紙、古紙の関係者約40名が同セミナーに参加した。
セミナーは、中国再生資源回収利用協会副会長兼秘書長・潘永剛氏の開会挨拶に続いて、以下の4題で講演が行われた。 ①「日本の古紙リサイクルの現状」講演者=末永英久・経産省紙業服飾品課古紙係長、②「中国古紙回収のシステムについて」孫建波・中国再生資源回収利用協会廃紙分会会長、 ③「日本の古紙品質(Jブランド)」栗原正雄・(公財)古紙再生促進センター副理事長、④「中国製紙業界の発展趨勢分析」鄭梦樵・浙江省造紙行業協会副秘書長。なお、 講演の後にも、活発な質疑応答が行われ、岩瀬代表理事の挨拶で閉会した。


故繊維 「安心・安全」なリサイクルを提案 異業種との差別化図る効果も

再生原料全般に発生減と需要環境の悪化が続くなかで、近年、海外市場での需要が増加傾向にある故繊維の輸出事業に異業種からの参入が増えている。故繊維業界でもかつてのリーマンショック後の急速な国内需要の冷え込みから、低価格ながら比較的安定した市況を維持する海外向けに仕向け先をシフトする動きが広まっている。国内向けでは需要の縮小もさることながら、製品市況の悪化で選別加工コストの回収も厳しい状況にあり、海外市場への依存度は年々高まっている。こうしたなかで、業界の一部には、原料価格の高騰と発生減への対策について、新たな取組みを模索する動きが見られる。
故繊維市場はウエス・反毛・中古衣料が全般に長期にわたり需要減傾向が続いているが、ウエス製品についてはそうしたなかでも底堅い需要はあるとされ、反毛向けについても全国的には市場規模は小さいながら、需要地近辺では恒常的な不足感が伝えられている。また、近年の旺盛な海外需要を背景に、輸出向けに特化した異業種からの新規参入が急増したことで込み原料の輸出が増加し、国内選別量の減少を加速させている。さらに、そうした流れの中で異業種を交えた集荷競争も激化しており、込み原料自体の異常ともいえる価格高騰を招いている。
そうした状況を受けて、このほど開かれた全国ウエイスト組合連合会の第52期総会では愛知県組合から、集荷拡大のためのツールとして「故繊維リサイクル証明書」の作成、運用が提案された。さきの震災やその後の国のエネルギー政策の転換を契機に、廃棄物・リサイクル関連の施策が従来の「ごみ量(削減)」を重視した方向から「質」を重視したものへと変化している。いわゆる「3R推進」に関しても、リサイクルに比べて遅れが指摘されていたリユースの拡大に向けた施策がさまざまな分野で展開され始めている。
一方、自治体が取り組んできた資源ごみリサイクルも、各種リサイクル法の整備で容器包装や古紙等の従来品目についてはほぼ限界に近い高い水準に達していることから、比較的取組みが遅れていた「古着」に着目する動きが広まっている。こうした期を捉えて新たな発生源を獲得、あるいはこれまでの自治体業務を業界が引き続き維持していくためには、発生元に対する故繊維リサイクル業界の訴求力を高めることが重要となる。そこで、適正なリサイクル処理ルートを提示し、適正な買取り価格への理解を求める「証明書」の運用が有効であるとして考案されたもの。
環境配慮契約の取組みにも見られるように、自治体の事業を民間に委託する際に、価格以外の評価軸を重視する傾向が強まっている。行政リサイクルに「安心・安全」という付加価値を提供しようという試みに期待する向きも多い。事務的な負担や「証明書」の担保責任等、運用面での課題を懸念する見方もあるが、現状に危機感を持つ一部組合では早急に実用化に踏み切りたいとしている。


災害廃棄物 緊急時の規制簡素化など 大規模災害時の処理対策検討会

環境省の「巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会」の第2回会合が開かれた。環境省では阪神淡路大震災の教訓から、平成10 年に「震災廃棄物対策指針」を策定し、自治体の震災廃棄物処理計画を支援してきたが、さきの東日本大震災では想定をはるかに上回る範囲と規模の災害廃棄物が発生したことから、処理計画を持つ市町村でも混乱が発生、発生直後の処理に多大な支障が生じた。この震災の教訓と災害廃棄物処理の課題を整理し、「震災(災害)廃棄物対策指針」の改定が今年度中に行われることになっている。
一方、東日本大震災をはるかに上回る規模の巨大地震(南海トラフ巨大地震、首都直下地震)では、東日本の5~13 倍の災害廃棄物の発生が予測され、特に南海トラフでは広範囲に渡り津波被害がもたらされ、首都直下型では首都機能が麻痺すると考えられることから、改定予定の指針や既存の処理システムの延長(余力)では災害廃棄物を迅速、適正に処理することが困難とされている。巨大地震発生に備え、地震発生時の災害廃棄物量や既存施設の処理能力の推計を踏まえ、廃棄物処理システムの強靱化に関する総合的な対策について検討が進められているもの。
今回の会合では過去の取組みと知見に基づき、災害廃棄物処理に関する各種事例について、関係団体等からのヒアリングが行われた。そのなかで、産業廃棄物業界では、阪神淡路大震災(1995年)、能登半島地震(007年)、中越沖地震(同)等の巨大地震や水害、船舶事故のほか、鳥インフルエンザや口蹄疫など大規模家畜疫病被害の発生等に際し、処理支援事業を展開している。また、さきの東日本大震災では東北の被災3県をはじめとする各県自治体からの支援依頼への対応を行った。災害廃棄物は生活系、事業系など発生源が特定できないことや、廃棄物の組成が複雑なこともあり適用範囲も明確ではないが、現行法では「一般廃棄物」に該当するため、特にさきの震災ではこの点が迅速な廃棄物の撤去、処理と原状復旧の障害となった。
災害廃棄物処理の課題として、平時からの関係者間の協力体制確立が重要であるとし、特に最終処分に関しては市町村、都道府県を越えた協力体制の構築が不可欠であるとしている。処理実務の問題点としては、大規模災害では実態把握が困難で処理計画が立てられず、作業の進捗状況が把握できないことや、発生場所での分別が困難なこと等を挙げている。東日本大震災では仮設置施設に平時と同様の設置許可が求められたために処理開始に時間を要したことから、緊急時の手続きの簡素化も必要としている。