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再生資源・リサイクル業界の専門紙

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WEB資源新報BackNumber 2013年11月

全国ウェイスト組合連合会 第52期総会を開催 原料価格高騰への対策が急務

全国ウエイスト連合会52期総会

全ウ連第52期総会


全国ウエイスト組合連合会(米澤勝輝会長=埼玉ウエイスト)ではこのほど、第52期の定時総会を開催、24年度の事業・決算報告と併せて、25年度の事業計画等を審議、決定した。
故繊維業界ではここ数年、衣類製造・流通業界が行う使用済み製品の回収サービス事業に加え、他品目を扱う再生資源事業者や輸出業者等さまざまな方面からの新規参入が急増している。古着等の集荷窓口の多様化とともに、集荷競争の激化が進んでいる。自治体発生の入札事業でもこうした新規業者との競争から、特に込み原料の価格が近年稀にみる勢いで高騰している。一方、国内市場は景気回復とともに需要環境の好転も期待されるものの、現状で特に目立った変化はなく、需要縮小傾向で推移している。また、輸出に関しても、新興国の台頭に伴う大口輸出国の情勢により、好調を続けてきた冬物が一転、極端な不調に陥った。
こうした情勢を踏まえ、米澤会長は、「かつてない厳しい局面にはあるが、我々国内の選別業界が一丸となって異業種対策、原料高等、当面の課題に取組む必要がある」と述べて協力を求めた。なお、連合会では各単組の持ち回り制で会長が選出され、次期会長には橋本寛氏(さいたま中央)が決定している。


容器包装リサイクル 申し込み量は3560トンの増加 PETボトルの今年度落札結果

(公財)日本容器包装リサイクル協会から、PETボトルの今年度下期分を反映した落札結果が公表されている。今年度通期の市町村指定保管施設からの引取申し込み量は20万1357トンで、前年度から3560トンの増加となった。また、落札単価は通期平均で▲3万3336円、前年度の▲4万8890円と比べて1万5554円増(有償額の縮小)となった。PETボトル再商品化では再生材原料市況等を踏まえ、18年度分から有償での入札(再生処理事業者が協会に料金を支払う)が導入されている。なお、上下期別の落札単価については上期が▲2万1278円、下期が▲4万8257円となっている。
昨年、ポリエステル素材の市況下落で再生フレーク市場が停滞し、その影響で落札事業者からの引取り辞退が相次いだ。再商品化事業者の再選定が行われるなど混乱をきたしたことから、こうした事態を避けるため今年度は、暫定的な措置として年2回(上期、下期)の入札が行われている。また、来年度以降の入札方法についても引き続き年2回入札とすることがさきごろ決定、公表されている。協議の過程では再商品化業界から、「計画的な再商品化事業を阻害する」「(特に下期に)競争が激化し、買取価格の高騰等費用増につながる」など懸念する意見が聞かれた。
再商品化量についても上期、下期にそれぞれ按分されるが、PETボトルとやブラ製容器の入札倍率は他品目に比べて格段に高いことなどもあり、特に下期入札では通年必要量を確保したい事業者の意向もあって競争は激化するものと見られており、買取価格の上昇は避けられないもよう。


関東製紙原料直納商工組合 警告後に社名公表も 「持ち去り」買い入れ常習5社を特定

関東製紙原料直納商工組合(大久保信隆理事長)ではかねてより、古紙持ち去り対策の一環として、GPSを活用した不正流通古紙の追跡調査を実施している。これにより持ち去り由来古紙を買い入れている事業者を特定し、それら事業者に対して不正流通古紙の買い入れ中止を申し入れるなどしてきた。「GPS追跡調査」は今年2月の運用開始から7カ月が経過し、これまでの結果から持ち去り古紙の買い入れを繰り返し行っている常習的事業者も絞り込まれている。これら事業者が非組合員であることもあってか、組合からの要請に対して協力的な姿勢が見られないとして、組合ではさきの理事会で、かねて「持ち去り古紙を繰り返し買い入れている事業者の対処策」に定めた通りの対応として、常習的な買入事業者に警告を発するとともに、事業者名を併せて警告を発した事実を公表することを決めた。
なお、実際の公表に至る手順としては、あくまで自主的な取組みを促す観点から、「自主的防止策の立案・実施を求める(第1段階)」、「次回発覚した場合には警告発出を公表する旨を通知する(第2段階)」、「警告を発し、事業名も併せて警告発出の事実を公表する(第3段階)」となる。また、持ち去り古紙の買い入れは、「他人の財産を侵害する犯罪行為によって不法に領得された財物であることを承知して買う行為─贓物(ぞうぶつ)故買」にあたることから、その旨を告発するとしている。ただし、これについては裁判上の争いも想定され、さらに具体的な条件整備が必要なことから、関係者とともに法制面でのさらなる協議を進めるとしている。
組合が実施するGPSによる追跡調査ではこれまで、GPS端末33個が正規ルートで確認され、これらは全てが回収された。一方、持ち去り業者の流通ルートでも27個が確認された(うち24個が回収できず)。その結果、常習的に持ち去り古紙を買い入れている事業者5社が特定されており、うち4社についてはそれぞれ6個、5個、4個(2社)の端末が各事業者のヤードに到達していることが判明している。


環境省 「産廃」入札手順を変更 「環境配慮契約法」見直しで会合

国や地方自治体等が物品の調達や役務の委託等に関する契約を民間事業者と結ぶ際に、温室効果ガス等の排出削減に配慮した契約を推進する「環境配慮契約」に関して、環境配慮契約法の基本方針等の見直しを行う検討会(第2回会合)が開かれた。現在、環境配慮契約の対象として電力供給、自動車の購入等、船舶の調達、省エネ改修、建築─について具体的な方法が定められているが、これらに起因する温室効果ガスの排出量が政府全体の温室効果ガス排出量の9割程度に関係するとされることから、国では環境配慮契約を推進することで温暖化対策法に定められた「政府実行計画(13年度比8%削減)」のより確実な達成を目指すとしている。
今回の基本方針の見直しでは「電力供給」の再生可能エネ特措法の導入移行経過措置に関する変更や、「省エネ改修事業(ESCO事業)」に関して、主要設備の更新・改修計画に際してはESCO事業の導入可能性判断を行うこと──とする改正が提案されている。
なお、建築物に関する契約の中で新たに対象として追加された「産業廃棄物の処理に関する契約」については、自治体等の契約が多くは前年度後半に行われるため、新たな制度の導入は実質的には今年度からとなり、課題等を検証するための実績がないこともあって、今回は大きな改正はなかった。今回、見直しが行われるのは入札公告・資格審査に関する手順についてで、改札後に行うとされていた資格審査(根拠資料確認)を廃止し、入札前の審査で一定要件をクリアした対象者を限定し、それら事業者のみを対象に入札を行うこととしている。


ベースメタル 鉛2014年に2万3000トンの不足 銅、亜鉛、ニッケル地金は供給過剰に

2013年から2014年にかけた主要非鉄金属(ベースメタル)の世界需給動向がまとめられたが、それによると、銅、鉛、亜鉛、ニッケルの主要地金のうち、鉛を除く銅、亜鉛、ニッケルは供給過剰に、鉛のみが供給不足になるとの見通しとなった。唯一の供給不足が見込まれる鉛は、さきごろリスボンで開催された国際鉛・亜鉛研究会(ILZSG)によってまとめられたが、最大の供給不足要因は、中国における自動車、電動自動車(e-bike)の増産や、携帯電話、iPadなど各種モバイル関連の需要拡大によるもの。
最大の消費国である中国での需要増のほか、米国でも蓄電池消費量は伸びるとしているが、2014年はやや減速傾向を強めるとの見方もある。世界鉛地金需給は、2013年の需要量が前年対比5%増加の1000万トンが見込まれ、このうち中国では、13年、14年とも前年対比7・4%もの大幅増が予想されている。一方の鉛地金の生産は、イタリア、豪州、ベルギー、カザフ、ペルー等での増産で、2013年1102万トン、2014年1148万トンと増加が見込まれているが、需給バランスでは2014年時点で2万3000トンの供給不足に陥るとの見通しが明らかとされている。
なお、供給過剰になるとされる銅、亜鉛、ニッケルでは、銅が2014年時点で63万トン、亜鉛が2014年時点で12万トン、ニッケルが2013年13万6900トン、2014年11万4000トンの供給過剰とされるが、中長期的にはインドネシアでの鉱石輸出制限などから、需給は引き締まっていくとの予測もされている。


ペットボトル 「年2回入札」に決定 再商品化業界から強い反発も

(公財)日本容器包装リサイクル協会はこのほど、来年度以降のPETボトルの入札方法に関する市町村向け資料を作成、公表した。 昨年春先以降のポリエステル素材市況の下落による影響から、再生フレークの販売価格が下落、販売不振となったことなどから、落札済みの再生処理事業者からの引取り辞退が相次いだ。新たな再生処理事業者を選定し、辞退分を再選定事業者に振り分けることで、当初計画分の引取り予定業務が滞りなく行われたという経緯がある。こうしたことから協会では、25年度の入札については同様の事態を避けるための暫定的な措置として、年1回の市町村等からの申込みに対し、年2回(上期─4~9月、下期─10~翌3月)の再生処理事業者による入札を実施した。同時に、26年度以降の入札制度については今年2月、学識経験者を交えた検討会を立ち上げて協議してきた。その結果、9月の最終検討会で「年2回入札」とすることが結論として答申された。
これを受けて協会では、26年度以降のPETボトルの入札方法を「年2回入札」と決定した。ポリエステル素材の市況の影響を大きく受けるPETボトル再商品化の特性から、国内のリサイクルシステムが機能せず、分別基準適合物の引き取り停滞や再商品化業務に支障をきたす事態を防止することを主眼とした決定であるとしている。ここに至る議論の過程では、年2回入札による争奪競争の激化とそれに伴う入札価格の高騰を懸念する意見や、市況変動時のへの対応という当初の目的への効果が不透明であるとする意見、入札回数が増えることによる事務的な負担増と、何より年度初に通年の扱い量が確定しないために年間の事業計画が立てられないなどとして、「2回入札」への移行に強い抵抗感を示す事業者サイドの意見が多く聞かれていた。
26年度以降の市町村等の引き渡し申込方法については、引渡しの申込の段階で年間予定引き渡し量に加え、上期入札対象量と下期入札対象量を確定することとしている。上期・下期の按分については過年度季節変動の実績を踏まえ、収集見込み量の割合(上期分・55%、下期分・45%)で年間の引き渡し申込量を按分した数値となる。なお、再生処理事業者による入札に関して、上期・下期で引き取る再商品化事業者や落札単価が変わる可能性があり、有償拠出金と合理化拠出金に影響が出ることが考えられるとしている。


横浜市資源リサイクル事業協同組合 「環境未来都市・環境絵日記展2013」を開催

環境絵日記展2013

環境絵日記展2013


横浜市資源リサイクル事業協同組合(理事長・髙田哲二 日哲商事社長)では、10月27日、横浜の大さん橋ホールにて「環境未来都市・環境絵日記展2013」を開催した。同協組ではこれまで、市内で取り組む環境絵日記の展示や市内の子供たちが気軽に環境活動に参加することの出来る「リサイクルデザインフォーラム」を毎年実施してきたが、今回は横浜市との共催で同フォーラムを進化させた形での開催となった。
髙田理事長は「リサイクルデザインフォーラムから数え、今年のイベントで14回目となるが、今回初めて横浜市との共催という形をとったことの意味は非常に大きいと感じている。また、環境絵日記については、横浜市内だけに止まらず、独自に取り組むところも出てきており、更に今回、遠く海外のブラジル・クリチバ市からの参加もあるなど、我々の組合が育てた環境絵日記が大きく羽ばたこうとしている。横浜市内の下から巣立ち、全世界で子供たちが環境のために絵日記を書くことが拡がることは、とても素晴らしいことであり、今後ともこうした取り組みを横浜市のみならず、日本各地、そして世界に向けても発信出来れば」とコメントした。今年、同協組に応募のあった環境絵日記は過去最高の1万9128作品にのぼり、その展示イベントが横浜市と共催で実施されたことは、行政、市民、業界の3者が協働するという同組合の掲げる目標が1つの形として結実したものと言えよう。
組合が横浜市での社会貢献活動の一環として取り組み始めた『環境絵日記』は、今年、「カーボンオフセット大賞・奨励賞」を受賞するなど国からも高い評価を受けており、横浜市と同じく環境未来都市に選ばれた県外の北海道下川町や南相馬市(福島県)、柏市(千葉県)、東松島市(宮城県)などからの参加に加え、国内の京都や高知といった自治体では、この活動の持つ意味を理解し、独自で同様の取り組みをスタートするところも出てくるなど、自治体間連携など新たな展開も期待される。
また、横浜市では現在、環境負荷低減と持続可能なまちづくりを目指して、排出されるごみと資源を平成21年度比で10%削減するという「横浜3R夢(スリム)プラン」に取り組んでいる。この目標達成には、市民の理解と協力が不可欠だ。そのなかで、この環境絵日記が行政と市民の架け橋となり、環境意識の啓発に大きな役割を果たしていることに疑う余地は無い。他方、再資源化業界と行政の関係では、コスト削減を背景に、互いの連携が機能不全に陥るケースも出てきているが、行き過ぎたコスト削減と競争原理の追求に、子供たちが環境絵日記に描いたような夢や未来はあるのか。業界のみならず行政側も、こうした横浜市での取り組みを改めて評価し、皆が連携して生み出す地域の価値を探すことが、本当に求められていることではないだろうか。


三立機械工業 低品位向けのナゲット処理で改良機 小型から中型まで揃え販売へ

低品位廃電線再資源化

低品位廃電線処理プラント


廃電線の剥線・ナゲット処理プラントで全国にその実績を誇る三立機械工業㈱(代表取締役社長・中根亮一氏、資本金2千万円、本社・千葉市稲毛区山王町335番地、電話043-307-7511)はこの程、近年の円高や尖閣問題或いはコスト問題のクローズアップで対中輸出が敬遠され始めている低品位廃電線の高度再資源化を目的に、従来までの湿式ナゲットプラントを大幅に改良し、小規模から中規模処理能力を持つラインナップを揃え、全国販売に取り組んでいる。
このプラントは、真鍮を含むコネクターや鉄系異物等の付着が多く、国内処理されずに中国向けに輸出される事の多い家電系雑線を主な対象としたもので、もちろん動力線などの上品位廃電線にも存分に性能を発揮するもの。機種のラインナップは、小規模WN-800型が投入量ベースで0.8~1.6t/日、中規模WN-2400型が同2.4~4.8t/日の処理能力を有している。
鉄付き電線については破砕機で破砕した後、磁力選別でスチール分を除去し米粒大に粉砕する。選別は湿式比重選別方式で選別機デック上にまんべんなく静かに水を流すため毛線に対しても銅回収ロスが非常に少なく、特許技術のミスカット除去機能により粉砕不良の被覆つきミスカットやアルミ異物などの中間比重物を除去し、低品位廃電線を母材としても高品位なナゲット銅の生産が可能になっている。更に真鍮の端子・コネクター等もオプションの特殊振動篩(ふるい)を組み込むことで2次選別し真鍮除去する事で製品ナゲット銅の仕上がり品位を一段と高めることが出来るとしている。なお、湿式選別で使用する水は循環させているため排水はタンク清掃時の少ない量で常時排水は必要ない。


マニフェスト 信頼性向上と効率化必要に 自治体での利用拡大の要件

(公財)日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が都道府県・政令市に行った調査で、中間処理業者・最終処分業者が実績報告にマニフェスト記載情報を利用していることを都道府県の50%、政令市の35%が認識していないことがわかった。また、都道府県等の6割は最終処分業者に対してトラックスケールの導入や重量測定を指導していなかった。現在、廃棄物処理法に基づき前年度に産業廃棄物を排出し、マニフェストを交付した事業者には毎年6月末日までに、前年度に使用したマニフェストの実態を交付等状況報告書として都道府県等に提出することが義務付けられている。また、都道府県等は報告書の内容を集計し活用することを環境省より助言されており、集計結果を環境省に提供するよう求められている。
都道府県等によっては、すでにマニフェスト交付等状況報告書を活用して委託業者の許可の確認、立入調査や産業廃棄物処理実態調査に活用している例はあるものの、その割合は低い。都道府県・政令市への聞き取り調査では、都道府県等で産業廃棄物管理票交付等状況報告の活用が広がるための要件として、①マニフェストの記載内容の正確性の向上、②電子化の推進を含む集計作業の効率化、③マニフェスト交付等状況報告書を提出すべき者の全数把握ができる制度の構築──の3点が不可欠であることがわかった。
都道府県等からの意見としては、種類や重量等記載方法の全国統一化や記載漏れ等確認の必要性、集計プログラムの改善のほか、報告書を全国統一フォーマットによりインターネットから入力させる方法、報告書を提出すべき者の全数を把握する手段として税務申告を活用する方法──等が提案されている。


第4次環境基本計画 環境保全は概ね進捗 個々の課題と方向性を指摘

「第4次環境基本計画の進捗状況と今後の課題(案)」で現在、環境省がパブリックコメントを行っている。24年4月に閣議決定された同計画では、「計画を着実に実行するため毎年度、広く各層の意見を聴きながら施策の進捗状況などを点検、政府に報告する」とされている。これを受けて現在、同計画の第1回点検が中環審で行われている。
今回の点検では9つの重点分野のうち、事象横断的な重点分野の「経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進」「国際情勢に的確に対応した戦略的取組の推進」「持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進」と、事象面で分けた重点分野となる「水環境保全に関する取組」「大気環境保全に関する取組」の5分野に加え、「東日本大震災からの復旧・復興に際して環境の面から配慮すべき事項」が点検対象となった。計画策定以降、環境保全に関する取組状況は概ね進捗していると評価されているが、各分野なお一部に課題が残るとして、今後の取組みの改善が指摘されている。
持続可能な社会を実現するための基盤整備ら関しては、地域の自発的・先進的な取組みの支援と併せ、地域の資源を活用する上での制約要因を示すなど、地域づくりを促す環境づくりを進めることが重要としている。そうした際に、自立分散型エネルギーの導入が災害時の地域エネルギーの確保等、地域自律性の向上等に効果があることに留意すべきとしている。


家電リサイクル制度 見直しへの論点整理 支払い方式やリサイクル料金等で議論

中央環境審議会循環型社会部会家電リサイクル制度評価検討小委員会、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルWG 第25回の合同会合がこのほど開催され、これまでの指摘事項を踏まえ、家電リサイクル制度見直しに向けたたたき台となる論点案が示された。今回は見直し時に必ず検討対象となっているリサイクル費用の回収方式のほか、リサイクル料金の透明化と低減、不法投棄や不適正処理対応、対象品目追加や義務外品の対応などといった11の論点案が示された。
このなかで、リサイクル費用の回収方式については、排出抑制効果や既販品への対応が容易な現行の後払い方式の維持か不法投棄や不適正な処理を抑制する効果があるとされる前払い方式にすべきかの議論が交わされたが、そのなかで前払い方式に変更した場合に発生する追加費用や廃家電そのものの回収方法、回収目標値の設定も検討すべきとの指摘がなされた。リサイクル料金の透明化では、再商品化の実態をA、Bグループごとに資源相場に応じたより詳細な情報開示が必要との意見が出たほか、費用低減には、インセンティブを働かせるべきとの意見、また、メーカーに対して消費増税に向けて努力を求める声もあがった。また、不法投棄や不適正処理への対応では、問題視されている不用品回収業者に対し、消費者がこうした業者を選択するメリットがない仕組みを作る必要があるとの指摘がなされたほか、これら無許可の不用品回収業者による不法投棄の事例も報告されていることから、前払い制度導入ではなく、違法業者への取り締まりの徹底が必要との意見も出ている。
なお、対象品目の追加については、今年4月にスタートした小型家電リサイクル制度のなかで、市町村処理が困難などといったものを追加品目として検討する意向も示されたが、品目が追加されることで回収時の管理などの負担増も想定されることから、反対の意見もあがっている。このほか、法の対象外となっている義務外品については、資料によると1690市区町村で回収体制が存在するとされているが、実際の運用については機能していると言い難い状況も指摘されており、この点についてきちんとした現状把握も必要視される。法施行から12年超が経過した家電リサイクル制度は、未だ数百万台が見えないフローとして法定外ルートで処理されているとされるなか、今後の法改正に向けた議論の方向性が注目される。


容器包装リサイクル合同会合 容リ協ほかにヒアリング リユース策、効率化で提言も

産構審・廃R小委員会容リWGと中環審・容リ3R小委員会の合同会合(第2回)がこのほど開かれた。同会合は現行の容リ法が平成20 年の施行から5年を経過したことを受け、その施行の状況を評価・検討し、必要に応じて見直し等を行うための審議の場として設定されたもの。9月の第1回会合で現行法の施行状況の整理が行われている。第2回以降、年末まで5回にわたって関連団体や行政、事業者等からのヒアリングが行われる予定とされている。今回は(公財)容器包装リサイクル協会のほか、市民団体の「NGOレンズ・オブ・ジ・アース・ジャパン」「びんリユース推進全国協議会」「容器包装の3Rを進める全国ネットワーク」へのヒアリングが行われた。
日本容器包装リサイクル協会へのヒアリングでは、制度開始以降の容器包装再商品化事業の進展状況として、容器包装リサイクルシステムの導入に伴うごみ減量効果、リサイクル制度の進展度合い等が報告された。そのうち市町村からの引き渡し量推移を見ると、対象4素材合計の引き渡し量は容リシステムが本格導入された平成12年当時に45万6000トンであったものが、24年度には122万1000トンに増加しており、特にブラ製容器包装については当初の6万7000トンから65万1000トンにまで増加している。
また、協会が主導する再商品化事業者を対象とした入札制度でも運用状況について報告されており、他の3品目と比較して特に再商品化コストの高騰が課題とされるブラ製ごみの入札制度の仕組みや、内外市況の変動により海外市場への流出が拡大、国内の再商品化事業の環境整備が課題となっているPETボトルの入札制度見直しの検討経過等が報告された。なお、プラ製容器包装についてはこれまでも指摘のあった「材料リサイクル」優先枠で協会引き取り量と再商品化製品量が乖離している点に関して、再商品化製品の原料に利用されなかった残さの有効利用の状況(用途別利用状況)等で委員からの質問があった。
その他3団体へのヒアリングでもそれぞれ活動状況の報告が行われたほか、現行法の課題と改正に向けた提言が行われている。共通した意見としては容器のリユースを含め、排出削減につながる対策を制度に盛り込むことを求めるものや、そのほか現行のコスト拠出制度に関わる問題として生産者責任の拡大を求める意見や、リユース容器の規格統一化など需要拡大策の展開、さらには再商品化に関する社会的コストの低減に向けた多様な収集・物流の仕組みづくりを検討するよう求める意見などが見られた。