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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2012年9月

経済産業省 13年度概算要求、資源安定確保へ集中 今年度比4割増の777億円に

資源の安定確保を優先させた2013年度の経済産業省の概算要求額は、 今年度予算を約4割 (210億1000万円) 以上上回る777億7000万円に増額される。政策の柱となる 「資源確保戦略」 をベースにした安定供給確保に資源を集中させるもので、 次世代産業を含めた産業の国際競争力の要となるレアメタルの三本柱 (使用量削減、 代替材料、 リサイクル) 関連の技術開発の他、 海底資源の探査技術の開発や精錬業界における電力使用量の低減等の省エネ対策を進める。また、 財政投融資計画でも過去最高となる550億円を要求する。
鉱物資源の安定確保では、 今年度予算を11億2000万円上回る113億4000万円の要求。内訳は、 海外資源確保が65億9000万円。 リサイクル・精錬技術関連が4億5000万円。 レアメタル備蓄関連が4億8000万円。 代替材料開発が33億2000万円。このうちリサイクル・精錬技術関連では 「製錬副産物からのレアメタル回収技術開発」 に8000万円。「超電力使用削減低品位銅電解精製プロセス開発」 に2億円の新規事業が盛り込まれている。
海洋資源技術開発では48億9000万円増額された114億3000万円を要求する。内訳は海底熱水鉱床開発技術調査事業で71億円、 海洋鉱物資源調査事業で5億9000万円、 深海底資源基礎調査で37億4000万円を要求する。 深海底資源調査が具体化する中で55億円の増額が行われることになる。この他、 財政投融資計画では海外探鉱への出資や開発への債務保証等を目的に、 今年度予算を150億円上回る550億円の過去最高額を要求する。


環境省 独自ルートは3割超に ペットボトル処理の実態調査

環境省ではこのほど、「平成23年度廃ペットボトルの輸出等市町村における独自処理に関する実態調査」結果の速報値について発表を行った。同省では、容器包装リサイクル法に基づく「容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別集数及び分別基準適合物の再商品化の促進等に関する基本方針」で、市町村により分別収集された使用済ペットボトルについて、資源の有効利用と再商品化の安定的な実施の観点から、国内の指定法人ルートによる再商品化への取組の協力を地方自治体に対し求めているほか、容器リ法に基づく指定法人ルートによらない独自処理を行う場合も、適切に再商品化等を行う事業者に対する引渡し要件を定めたり、具体的な処理方法等について住民への情報提供を行うことを求めている。こうしたことから、同省では毎年度「廃ペットボトルの輸出等市町村における独自の処理に関する実態調査」を実施している。
調査は昨年12月から今年3月にかけて行われ、分別収集実施市町村1742のうち、98・2%の1711市町村から回答を得た。その結果、平成24年度の容器リサイクル法に基づく指定法人ルートでの処理計画量は全市町村の計画量の67・2%(市町村独自ルートは32・8%)となり、前年度と同じ値となった。また、使用済ペットボトルの処理先について、住民へ情報を提供していない市町村、引渡事業者と契約時に引渡要件を定めていない市町村の割合は、それぞれ42・5%、37・9%となり、前年度と比較して大幅な改善は見られなかったとしている。
一方、独自処理を行う市町村で事業者に対する要件を定めているところは59・2%となり、引き渡事業者への要件としては、「適切に再商品化すること」が最も多い64・7%、次いで「国内再商品化製品利用事業者が利用すること」が47・4%、「環境保全対策に万全を期しつつ適正に処理されていること」が41・2%、「そのまま輸出事業者に引き渡さないこと」が28・6%などとなった。さらにこれら要件の確認方法としては、「仕様・契約書に盛り込む」が30・9%、「事業者への聞き取り調査だけ」が13・4%、「事業者を信頼して特に確認せず」が4・5%となっており、実際に「現場確認」を行っている市町村は35・1%にとどまっている。なお、市民への説明については42・5%が情報提供を行っていないと回答している。環境省では、本調査結果の詳細版ついて、引き渡し要件の設定をしていない市町村名及び住民への情報提供を行っていない市町村名の公表も視野に入れて取りまとめることとしており、今年11月下旬を目途に公表を行う予定だ。


新制度で税制優遇も 都市低炭素化促進法が成立

「都市の低炭素化の促進に関する法律(都市低炭素化促進法)」がこのほど成立、年内に施行される見通しとなった。この法律は、都市部でのCO2排出量を減らし、低炭素都市の実現を目的としたもので、さきの震災を契機に社会全体での省エネ意識が高まっていることを踏まえ、都市や交通分野での低炭素化や省エネに関する成功事例の蓄積と普及を図るもの。関係3省が定める基本方針に基づいて国や自治体、事業者にそれぞれの役割を求める。
特に今回、注目されるのが新たに導入される低炭素建築物認定制度で、市街化区域などで低炭素化に寄与する建築物を建てる際、都道府県等で「低炭素建築物新築等計画」の認定を受けると申請者は所得税の軽減などの優遇措置が受けられる(減税額は最大400万円)。一方、市町村に対しては低炭素まちづくり計画の策定や協議会の設置などを求めるなど公共交通機関の整備や共同輸配送システムの構築、大規模建築物の低炭素化や緑化などの取組みを地域レベルで行っていくよう促す。
低炭素建物認定基準については、基準策定のための合同会議が設置されており、今後3~4回程度の会議を開き、詳細を決定していくもよう。この法律は遅くても今年11月まつまでには施行される予定で、施行と同時に認定制度もスタートすることになる。


NEDO 中国・北京で先進自動車リサイクル 政府機関と協力し将来的な全国展開も

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ではこのほど、中国北京市において、自動車リサイクルシステムの研究開発・実証事業を開始するため、同機構の古河一夫理事長と中国国家発展改革委員会の解振華副主任との間で協力協定書が署名されたと発表した。この事業は、中国での実情に応じた解体を行う先進的自動車リサイクルシステムを研究開発・実証し、当該技術の普及を促進するとともに、中国において急激に増加すると見込まれる使用済み自動車(ELV)処理の効率化と環境負荷低減を目指すもの。
中国は急速な経済成長により、自動車保有台数は世界第2位となり、今後ELVの爆発的な増加が見込まれる一方、政府の環境基準やELV処理に関する法令・基準を満たすための知識や資金を持つELV解体業者はほとんどなく、ELV解体時に発生するフロンや廃液などによる環境問題が発生しているのが実情だ。こうしたことから同事業は、中国での有価物の回収・再利用率の状況に合わせて解体し、廃棄物の適正処理と高効率かつ経済性のある「先進的自動車リサイクルシステム」を開発、北京市で発生する使用済み自動車の処理を行う。事業期間は2013年までの1年間で委託先は豊田通商、予算規模は約4・7億円となる。
先進的自動車リサイクルシステムは、日本のELV解体システムで用いられる設備を導入し、作業効率を向上させつつ、人手による解体で作業効率を低下させずに加えて有価物回収を行い、フロン破壊等の有害物質の適正処理、パーツリサイクルによる経済性の向上を図るというもの。ELVリサイクル率は95%以上とする。その後、北京市における本事業の成果を先進的自動車リサイクルシステムのショーケースとし、中国全土への普及を目指す。
なお、NEDOでは、協力協定書締結先である中国国家発展改革委員会は、中国での資源循環行政全般を担う政府機関で、中国の静脈産業の育成・発展に注力しており、事業期間中の全面的な協力および、事業期間終了後の本事業の成果普及に対する協力が得られることとなっている。こうしたことから、将来的に事業の成果を反映した先進的自動車リサイクルシステムを、同委員会が推進している廃家電やELVリサイクル企業を集約する指定地域である都市鉱産モデル地区(全国20カ所から将来的には全国50カ所を予定)に参入する事業となる可能性が高まり、中国全土への普及が期待されるとしている。


放射性物質問題 半永久的な監視に 指定廃棄物処分場の構造等

事故由来の放射性物質に高濃度に汚染され(8000Bq/Kg超)、国が直接処理を行う指定廃棄物については、処理技術の確立と併せて関連施設の整備計画が進められている。特に最終処分施設は、既存の廃棄物処理の活用検討と並行して今後3年程度を目途に、指定廃棄物が多量に発生して保管状況がひっ迫する都道府県を対象として、国が施設の立地を検討していくこととなっている。その際、国が新たに確保する最終処分場は8000Bq/Kg~10万Bq/Kgの指定廃棄物だけでなく10万Bq/Kg超のものも処分する可能性があることから、それらを処分することが可能な遮断型構造とすることが検討されている。
これら施設に処分される指定廃棄物のうち農林業系の可燃性廃棄物は、施設に併設する仮設焼却炉等で減容化した後に容器に封入して埋め立て地に搬入され、ごみ焼却灰や下水汚泥焼却灰・浄水発生土等の不燃性廃棄物は直接、容器に入れて搬入される計画となっている。また、遮断型構造の施設には移動式屋根を設置、埋めてい終了後は容器を覆土し、埋立地区をコンクリート製の外壁で覆ったうえでさらに覆土するなど厳重な構造とする計画となっている。
維持管理についても、処分開始後から定期的に空間線量や周辺地下水のモニタリングを実施するなど、適切な管理のもとで処分の安全性が確保される。また、施設管理にあたっては、廃棄物中に含まれる放射性セシウム量やセシウム減衰期間から想定される管理段階(埋立中、第1監視期間、第2監視期間)が設定される。なお、第1監視期間は通常廃棄物としての処分が可能となる8000Bq/Kg以下までの減衰期間から数十年~100年程度と想定されており、第2監視期間はそれ以降で、コンクリートの寿命で強度や止水性が低下した状態となった後の放射性物質の漏えいを防止する観点から、半永久的なものとなることが想定されている。


中国 2015年に2兆元規模に 廃棄物再資源化市場が拡大

中国工業情報化部など政府7部門ではこのほど、第12次5カ年計画期間中の廃棄物再資源化の科学技術化計画に関して取りまとめた。それによれば、同期間中における環境産業の規模は4兆5000億元に達し、うち、廃棄物の再資源利用に関しては、2015年に2兆元の規模になる。これら拡大を見せる廃棄物再生利用市場に対応するため、回収拠点の整備や回収利用技術の高度化が必要としている。
中国の2010年の金属類、廃プラスチック、廃電気電子機器など8種の消費品廃棄物の回収量は1億4900万トンに達したが、銅、アルミなど主要金属の再生利用量は、非鉄金属総生産量のうち、24・8%にとどまっており、2~3割程度を海外に依存している。このため、中国では、これら主要金属の国内再生利用50%を目標とすれば、2015年には再生利用量は1200万トンを突破し、金属資源の対外依存度を10~15%程度にまで低減できるとしている。
近年、中国の廃棄物資源化産業は、年率10~20%のスピードで拡大しており、2010年には1兆元を達成している。また、廃棄物の中でも、電気電子機器類については、欧米や日本の技術を活用しつつ、2010年には300万トンの処理を行ったが、2015年にはその倍の600万トンを超える見込みだ。さらに廃棄自動車については、2010年に300万台を超え、今後も拡大が見込まれる分野としている。このほか、廃プラスチック、廃繊維などの廃高度分子材料は2010年の3000万トンから2015年には4000万トンの市場規模になると見ている。


環境省 J-VER活用事業を支援 震災被災地域での復興事業で

環境省では東日本大震災復興支援の一環として、オフセット・クレジット(J─VER)制度を活用した復興事業等への支援を行っている。特定被災地方自治体でJ─VERプロジェクトを実施する場合に、①プロジェクトの申請と妥当性の確認、②モニタリング、第三者検証──を支援する。計画書作成・妥当性確認支援では、策定済み方法論を活用した事業や新規方法論策定の事業として採択が見込まれる事業者を対象に、プロジェクト計画書やモニタリングプランの作成指導、妥当性確認の際の費用負担を行う。また、モニタリング実施・検証支援では、プロジェクト登録を受けた事業者で第三者検証を受ける事業者を対象に、モニタリング経費の負担や報告書作成の指導、検証機関情報の提供、検証費用の負担のほか、オフセット・クレジット買い手情報の提供等を行う。
支援事業の対象となる地域は被災した東北3県と茨城県のほか北海道、甲信越、関東など計1道10県内市町村が定められており、これら区域内での事業であることや J─VER制度プロジェクトとして適当であること、事業スケジュールが実現可能なものであること等を勘案して支援対象の事業が決定されている。さきごろ締め切られた第5次の公募では、①岩手県大船渡市の「石炭から未利用 のバイオマスへのセメントキルン燃料代替」、宮城県登米市の「森林経営活動によるCO2吸収量の増大(間伐促進型プロジェクト)」、③米川生産森林組合(宮城県登米市)の「森林経営活動によるCO2吸収量の増大(間伐促進型プロジェクト)」の3事業が採択されている。
また、この事業では現在、10月19日(金)を期限とした第7次の公募が行われているが、新規方法論策定に関する事業については、現行のJ─VER制度でのプロジェクト対象期間(2013年3月末)の終了が近いことから以降の募集からは対象とはならない。


廃発炎筒 回収処理で新システム構築 実効性等を疑問視する向きも

産構審の自動車リサイクルWGと環境省の中環審の自動車リサイクル専門委員会の第30回合同会議が先ごろ開催されたが、そのなかで、日本保安炎筒工業会より「廃発炎筒セーフティ・マネジメント・プログラム(SMAP)」に関する説明が行われた。廃発炎筒に関しては、使用済み自動車の処理において、回収が行われずに破砕工程に回った際の発火原因となるなど、かねてから問題が指摘されており、今回、廃発炎筒の回収処理について、発炎筒メーカーでは新たなシステムを開始することとなった。
新システムでは、使用済み自動車段階及び整備段階で排出される廃発炎筒を対象とし、発炎筒メーカー2社が廃棄物処理法上の特例である広域認定を受け、廃発炎筒の適正処理を行うというもの。広域認定範囲は、排出者から引き取りを行う宅配業者、廃発炎筒を引き取る指定引き取り場所、焼却を行う処分施設となる。処理フローとしては、排出者が発炎筒メーカーから廃棄専用箱(100本入り)を購入、そこに詰めた廃発炎筒を、広域認定を受けた宅配業者に収集運搬を有料で依頼するか自ら指定引き取り場所に持ち込む。指定引き取り場所は全国に20カ所で(うち指定引き取り場所兼焼却施設16カ所で指定引き取り場所のみ4カ所、焼却施設は17カ所)、持ち込まれた廃発炎筒は、焼却処分されることとなる。
ただ、今回のシステムについては、回収へのインセンティブが不十分であることが指摘されており、特に発火事故などの危険が発生する可能性のある破砕業界からは、同システムでは廃発炎筒が適切に回収されない可能性があるとし、廃発炎筒を自動車リサイクル法上の事前回収物品化することを求める声が上がっているのが実情だ。


容器包装リサイクル協会 PETベール輸入が拡大 中国での解禁後の動向調査

(公財)日本容器包装リサイクル協会ではさきごろ、日本の再生PET樹脂の海外輸出先として大きな割合を占める中国での再生PETの輸入状況、利用状況を把握することを目的に、昨年度に引き続き現地調査を実施、その結果をまとめた。中国国家環境保護局(SEPA)のまとめによると、2011年にベールの輸入で許可を受けた企業は11社で、うち8社については再生フレークの輸入も同時に申請、許可を得ている。輸入量は合計で28万7000トンとなっている。
また、今年5月時点でのベール輸入許可企業は13社(うち10社は再生フレーク輸入も)、輸入量は45万400トンとなっている。許可申請自体は毎年行われるものの、許可企業については、今後は実績のあるところで実質的に固定化されていくもよう。
輸出環境の悪化等で再生PET繊維産業は国際競争を強化する意味からもコストダウンの推進が不可欠となり、ベール輸入もその1つの手段として有力視されている。ベール品の輸入は今後も増加していく可能性が大きいと見られている。詳細は協会ホームページ(http://www.jcpra.or.jp/)で公開されている。


NEDO レアメタル関連で3件助成 使用済み家電、自動車からの回収で

埋蔵地域の偏在状況と資源国におけるナショナリズムの台頭の下で進められる資源戦略の構築によって、次世代産業のビタミン剤といわれるレアメタルの安定供給に対する懸念が拡がっているが、経済産業省はこれら次世代自動車や次世代家電等に必須のレアメタル(レアアース含む)の供給リスク回避と安定確保を目的とした3本柱の1つであるリサイクル技術およびシステム構築のための新たな取り組みを進めている。
このほど、経済産業省傘下の独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募していた「使用済みモーターからの高性能レアアース磁石リサイクル技術開発」でも、新たに3テーマ5社の助成が決定している。3テーマの助成案件は、日立製作所による高性能磁石リサイクルシステム構築のためのレアアース分離技術開発、2つ目は三菱マテリアルによる使用済み自動車からの希少金属回収技術開発、3つ目は豊田通商、豊田メタル、豊通リサイクル等のグループによる使用済みハイブリッドエンジンユニットの回収及びネオジム磁石リサイクルに係る技術開発となっている。
日立製作所の案件は、省エネ家電製品やストレージ装置から回収したレアアース磁石から低コスト・低環境負荷でレアアースを抽出分離するもの。三菱マテリアルは、ホンダ製ハイブリッド自動車を、豊田グループはトヨタ製ハイブリッド自動車を主な対象として、自動車からの駆動用モーターを取り出し、レアアースを効率的に回収する技術開発を行うとともに、使用済みハイブリッド自動車を回収するためのプロセスを含めたリサイクルシステム全体の再資源化の設計・実証試験を行う。総事業費は3億円でNEDOはこのうち3分の2を助成することとなっている。


安全検討評価検討会 要処理量26万トン超に 地域内・除染廃棄物の処理で

放射性物質汚染対処特措法に基づく災害廃棄物の処理について話し合うため今月20日、第14回の災害廃棄物安全評価検討会が開かれた。福島県内の特別地域内の除染と汚染廃棄物の処理、それに伴う各種施設整備計画等、国から県への提案内容が報告された。また、現状で緊急性の高い8000Bq/Kg超のばいじんの洗浄処理の技術開発、各県での設置が予定される最終処分場の候補地選定の考え方、指定廃棄物最終処分場等の構造──等について各委員への意見が求められた。
福島県内の直轄地域の除染については、対象11自治体のうち田村市、楢葉町、川内村等6市町村で除染計画が策定されており、うち4市町村については近く除染作業がスタートするが葛尾村、浪江町など5町村については除染計画自体、いぜん調整段階にある。一方、対策地域内廃棄物の処理については特措法に基づき今年6月、対象10市町村の処理計画が公表されている。
災害廃棄物仮置き場については用地選定と並行して南相馬市の1カ所で造成工事が進められているほか、楢葉町2カ所での工事が準備段階に入っている。また、除染廃棄物を含む災害廃棄物の焼却処理にあたっては、北部・南部のブロック毎もしくは戸別市町村単位での仮設焼却炉を設置する予定としている。さらに、県内で発生する10万Bq/Kg以下の対策地域内廃棄物と指定廃棄物、除染廃棄物焼却灰の処理を進加速させるため、民間の管理型処分場の活用が予定されている。なお、焼却処理が予定されている対策地域内の災害廃棄物、除染廃棄物は浪江町の46000トン、大熊町の17000トンなど計106000と推計されている。


塩化ビニル・継手協会 液状化被害も再資源化 潮来、稲敷市でリサイクル実施

東日本大震災で被災した東北3県での塩ビパイプリサイクルへの取り組みが進んでいるが、一方で、液状化による深刻な被害に見舞われた茨城県でも、塩化ビニル・継手協会が運用するリサイクルシステムを活用した塩ビ製下水道管のリサイクルが進められている。この液状化による被害は、関東地区の一都六県96市町村で総面積4200ha、東京ドーム900個分にも及ぶ被害が確認され、特に霞ヶ浦、利根川等豊富な水源を有する茨城県は被害地域36市町村と関東では最多を記録している。
域内下水道管へのダメージも大きく、完全復興に向けて被災管の撤去・入れ替えが進んでいるが、潮来市や稲敷市のように撤去管の再資源化に取り組む自治体も出てきている。潮来市は下水総延長161・5キロのうち、被災したのが15%の24キロ。その9割が日の出地域に集中しており、同市では同協会の契約処理会社である有限会社三豊を通じて再資源化を実施しており、昨年11月から今年の4月までの撤去率は20%程度。今後の見通しは来年3月までとなっている。
また、稲敷市では上下水道以外にも農地のパイプラインにも被害が出ており、下水道総延長70キロのうち、被災した10キロに関しては潮来市同様、三豊で再資源化を行っており、三豊では11月以降の5カ月間で累計45トンの塩ビパイプリサイクルを行っている。なお、同協会のリサイクルシステムでは、一定の受け入れ基準が決まっているものの、今回の被災では金属などの異物が付着していても、そのままで受け入れる柔軟な対応を取っている。