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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2012年8月

災害廃棄物 今年度末53%を処理 がれき処理で「中間目標」を設定

東日本大震災のがれき処理で、岩手・宮城沿岸部がれきの53%を来年3月末までに処理するとした「中間目標」が設定された。関係閣僚会議で承認された新たな処理工程表に示されている。さきの震災では13 道県241市町村で約2162万トンの災害廃棄物が発生、加えて津波で6県(青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉)沿岸を中心に約1300~2800万トンの土砂、泥状物等が打ち上げられたと推定された。このうち6県35 市町村の約959万トンが処理を要する津波堆積物と見られ、合計で約3120万トンの災害廃棄物、津波堆積物の処理が必要となった。
震災から1年4ヶ月が経過した今年7月末時点で、被災市町村の約半数の119市町村が処理・処分を終えている。処理・処分量全体の約28%─598万トンが処理済みとなり、うち約82%が再生利用された。津波堆積物は全体の約5%、約43万トンの処理(主に再生利用)が終わっている。また、東北3県を中心に設置された廃棄物仮置場は最大で318ヶ所設置されたものが、処理が進むにつれ閉鎖され、230ヶ所(約72%)にまで減少している。
処理の進捗状況を踏まえてさきごろ集計された結果、新たに調整を要する広域処理必要量は岩手県で約32万トン、宮城県で約100万トンとなり、調整済みの約37 万トンを加えた全体の広域処理必要量は岩手県で約42万トン、宮城県で約127万トンの合計約169万トンとなった。このほど、25 年度末までの処理完了とした従来目標に加え、災害廃棄物・津波堆積物のそれぞれの24 年度末時点での市町村ごとの中間目標が設定された。岩手・宮城両県沿岸市町村全体では災害廃棄物の約59%、津波堆積物の約42%、全体の約53%の処理が今年度末までの目標とされている。 今後は市町村ごとの進捗状況を確認し、結果に応じて必要な施策が講じられることになる。


経済産業省 第7回日中省エネ・環境フォーラム開催 自動車Rなど47協力案件を調印

経済産業省では今月6日、東京都内にて、「第7回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」を開催したが、その結果について先ごろ公表を行った。同フォーラムには日本側から、枝野経済産業大臣、細野環境大臣、張日中経済協会会長等が出席し、中国側からは、張平国家発展改革委員会主任、高虎城商務部国際貿易交渉代表、程永華駐日本国大使等が出席。 官民関係者合わせて約1000名(日本側約600名、中国側約400名)の参加の下、47件の協力案件に調印。また、フォーラムと併せ、枝野大臣と張平主任及び、高虎城代表との会談・会見も行われた。
今回のフォーラムで調印された案件では、省エネ分野や水・汚泥処理、リサイクル等の環境分野での協力案件に加え、分散型エネルギー、エネルギー管理システム、低炭素都市開発等が、主要な協力分野として定着してきており、着実にビジネスベースの日中省エネルギー、環境協力の幅が広がっているとしている。このなかで、リサイクル関連の案件としては、株式会社環境技研(日本側)と青島新天地投資有限公司(中国側)による)「青島市新天地静脈工業園における廃家電製品及び廃自動車からのフロン類回収再利用事業」のほか、ケミカルリサイクル技術と循環型リサイクルシステム「エコサークル」の展開で培ったノウハウを持つ帝人株式会社と、精工控股集団有限公司、中国化学繊維工業協会との間の「ポリエステル製品の循環型リサイクルシステム構築プロジェクト」、また、今後10年で5倍以上に拡大するとも言われる使用済み自動車処理の機械化とELV・リサイクルバリューチェーンの構築を図ることを目的とした日本アジア投資株式会社(日本側)と江蘇大為科技有限公司(中国側)による「江蘇省における自動車解体リサイクル合弁会社設立」などとなっている。
なお、前回北京で開かれた第6回フォーラムでは、伊藤忠や鈴木商会による大連市での鉄・非鉄や廃家電、廃自動車の処理を目的とした複合型リサイクル工場設立や、パナソニック、DOWA、住友商事等による杭州での家電リサイクル合弁企業設立などがある。


段ボールリサイクル協議会 総排出量の増加傾向続く 家庭からの排出量調査まとめ

段ボールリサイクル協議会 (大坪清会長) ではさきごろ、 2011年度の家庭から排出された段ボールについての調査報告をまとめた。 最近の物流の変化、 通販利用等に見られる消費者の商品購入方法の変化、 マイクロフルート等段ボールの形態の変化等から、 家庭から排出される段ボールも増加していると考えられるため、 今後の段ボール古紙の回収増強に資するために行われたもの。
板紙の古紙利用率は2010年度実績で92・8%と非常に高く、 段ボールの生産量は2008年の世界同時不況以降、 2008年が対前年比マイナス2・9%、 2009年が同比マイナス6・9%と落ち込んでいたが、 2010年は対前年比3・5%、 2011年には同比0・6%のプラスとなっている。報告によれば、 今回の調査から換算した2011年度の家庭から排出された段ボールの総人口による拡大推計値は76万5148トンで、 2010年度の75万6828トンに対し約1・1%の増加となった。 また、 調査では1人当たりの排出量も前年度調査より1%増え、 年間6キロとなっている。段ボール総排出量は段ボール製造事業者の原紙消費量が821万1228トンと対前年比で0・1%減少したものの、 輸出入商品に付随する段ボール入超量推計値が150万1355トンと対前年で11・7%増と大幅に増加しているため、 段ボール総排出量では対前年で1・5%の増加となっている。
このため、 段ボール総排出量に占める家庭からの排出量の割合は7・9%と前年度比横ばいとなった。段ボールが家庭に搬入された経路についてみると、 「自分が通販で購入した商品を梱包していた段ボール」 の比率が前年より1・5%増加していることから、 引き続き通販等の増加によって家庭から排出される段ボールが増える傾向が続いていると考えられるとしている。


電子マニフェスト 加入者前年1割増に がれき対応システムも増加見込む

電子マニフェストシステムを管理・運営する日本産業廃棄物処理振興センターによると、システムの加入者数は平成19年度以降、順調な増加傾向を示しており、今年3月には月間の登録件数が制度開始以来初めて124万件を超えた。23年度末時点での加入者数は排出事業者約6万2400社、収集運搬業者約1万700社、処分業者約6000社の合計約7万9100社となり、前年度から2ケタの伸びとなった。
加入者の業種別内訳は、医療・福祉が最も多く全体の77%を占め、次いで建設業7.2%、製造業6.1%となっている。産業廃棄物全体では廃棄物の種別、業種別に見ても建設系業種からの発生が大半を占めているが、建設系廃棄物については別に建設9団体が発行する「建設系廃棄物マニフェスト」があり、その使用比率が依然高いこともあって、電子マニフェストへの移行が進まない状況も指摘されている。
都道府県別の加入状況では、東京都が最も多く、以下、静岡県、神奈川県、愛知県の順となる。また、東日本大震災のがれき処理の管理を目的に新たに導入された「災害廃棄物処理支援システム」には、岩手・宮城2県で計63社が加入しており、昨年度の登録件数が約1万700件あった。今後、がれきの処理が進むにつれ利用増が見込まれている。平成9年の廃棄物処理法改正で全ての産業廃棄物の委託にマニフェストの使用が義務付けられ、同時に電子マニフェストシステムがスタートしている。


放射線問題 検査機関が注意喚起 埼玉、千葉等関東で問題多

中国向け廃棄物原料の船積み前検査業務などを手掛けるCCIC-JAPANでは、このところ中国で陸揚げされる廃棄物原料から基準値を超える放射線が検出され、貨物を持ち込めなくなる事例が増えていることから、輸出企業等に対して放射線量についての注意喚起を行っている。このなかで、特に千葉県、埼玉県をはじめとする関東地域で積み込まれた貨物に不合格となるケースが多いとしており、検査を強化しているが、輸出企業でも貨物の事前チェックを十分行うよう求めた。
ただ、放射線量のチェックについては、機器によってバラつきもあることから、厳密な測定は極めて難しいとされる。一部の業者などでは、貨物に対して0.2μSV/h水準という厳しい基準での受け入れを行っているところもあるようだが、現実問題として「貨物内の一部に若干高い線量のものが混入し、チェックしきれなかった場合などは手に負えない」といった声も挙がるのが実情だ。また、ある輸出業者は「雑品の処理で成り立っている台州などでは検査が緩いと言われ、多少の基準値超えでは問題無いとされる一方、寧波などは非常に厳しいとされる。中国側の港でも対応に温度差があり、検査に引っ掛かるかどうかは運次第という要素も大きい」と語る。
先に発生したある輸出企業が出荷した貨物に関しては、一部に中国側の基準を大幅に上回るものが混入していたとして、中国現地で大きな問題となったようである。高い線量を出しやすい品物の傾向もあることから、運・不運で片付けるのではなく、線量のチェックをしっかりと行い、基準値超えのものの混入を防ぐようにすることしか、業界としての対応策は今のところ無いというのが実情である。


再生可能エネルギー買取制度 食品バイオも対象に 既存産業への影響等認定要件

岩手、宮城、福島3県沿岸市町村のこれまでの災害廃棄物の処理・処分量約328万6000 トンのうち、再生利用された量は約287万6000万トン(処理済量全体の約88%)と、積極的な再生利用が行われている。また、岩手・宮城両県の計画でコンクリートくず、アスファルトくず、 津波堆積物など比較的再生利用が容易な災害廃棄物は、全量を各県内で復興資材として活用するとしている。これらの再生資材の一部は海岸防災林等国の事業にも活用されるが、大部分は自治体の復興工事に活用される予定で、今後これらの工事が本格化することで再生利用も着実に進捗するとものと見込まれている。
岩手・宮城両県の処理対象量約1680万トンのうちコンクリートくず・アスファルトくずが約670万トン(処理対象量の約40%)、岩手県内の津波堆積物が約130万トン(同約8%)あり、この他に宮城県内に津波堆積物が推計で約690 万立方メートル(約1000万トン)ある。木くずはさきの処理量見直しで処理対象量も大幅に減少し、再生利用に適さない性状の木くず以外は木質ボードやボイラー燃料、発電等に利用されるなど着実に処理が進んでいる。
一方、再生利用のめどが立っていない不燃物については環境省がさきごろ、災害廃棄物由来の再生資材の活用について取扱いを整理しており、国でも積極的にその活用を図る必要があるとしている。県外での最終処分が検討されるものの受入先が決まらない岩手県の不燃物約89万トンや宮城県の瓦くず等約9万トン、仮設焼却施設から出る焼却灰等は公共工事での活用を前提に、最大限再生資材化するとしている。なおその際、再生資材は運搬コスト等を考慮し、基本的には発生地周辺の工事で活用するとし、資材の性状や置場の状況等も踏まえ、具体的な利用先や保管場所が決定されるもよう。


災害廃棄物 復興資材への活用進む 不燃物の利用拡大が課題に

岩手、宮城、福島3県沿岸市町村のこれまでの災害廃棄物の処理・処分量約328万6000 トンのうち、再生利用された量は約287万6000万トン(処理済量全体の約88%)と、積極的な再生利用が行われている。また、岩手・宮城両県の計画でコンクリートくず、アスファルトくず、 津波堆積物など比較的再生利用が容易な災害廃棄物は、全量を各県内で復興資材として活用するとしている。これらの再生資材の一部は海岸防災林等国の事業にも活用されるが、大部分は自治体の復興工事に活用される予定で、今後これらの工事が本格化することで再生利用も着実に進捗するとものと見込まれている。
岩手・宮城両県の処理対象量約1680万トンのうちコンクリートくず・アスファルトくずが約670万トン(処理対象量の約40%)、岩手県内の津波堆積物が約130万トン(同約8%)あり、この他に宮城県内に津波堆積物が推計で約690 万立方メートル(約1000万トン)ある。木くずはさきの処理量見直しで処理対象量も大幅に減少し、再生利用に適さない性状の木くず以外は木質ボードやボイラー燃料、発電等に利用されるなど着実に処理が進んでいる。
一方、再生利用のめどが立っていない不燃物については環境省がさきごろ、災害廃棄物由来の再生資材の活用について取扱いを整理しており、国でも積極的にその活用を図る必要があるとしている。県外での最終処分が検討されるものの受入先が決まらない岩手県の不燃物約89万トンや宮城県の瓦くず等約9万トン、仮設焼却施設から出る焼却灰等は公共工事での活用を前提に、最大限再生資材化するとしている。なおその際、再生資材は運搬コスト等を考慮し、基本的には発生地周辺の工事で活用するとし、資材の性状や置場の状況等も踏まえ、具体的な利用先や保管場所が決定されるもよう。


ガラスびん 新たな価値創造を模索 2団体が新年度計画を発表

事業計画記者発表会

事業計画記者発表会


日本ガラスびん協会(丸橋吉次会長)とガラスびんリサイクル促進協議会(丸橋吉次会長)ではこのほど、両団体合同で新年度事業計画記者発表会を開催した。昨年度の事業報告と新年度の詳細な事業計画等がそれぞれ報告された。冒頭、両団体を代表として丸橋会長がガラスびんを取り巻く現状や今後の活動の方向性等について述べている。
両団体の共催による記者発表会は、ガラスびんの原料調達から3Rまで一連の取組について幅広く周知し、併せてガラスびん特性と優位性をアピールしていくことを目的に今回で3回目の開催となる。持続型の社会構築に向けた意識が年々高まりつつあるなか、社会の仕組みや構造において、「環境」をキーワードにあらゆる取組みにチャレンジする姿勢が鮮明になりつつある。特に昨年の東日本大震災を境に社会の仕組みや考え方が大きく変わろうとしており、今後は低炭素、資源循環、生物多様性など多面的な取り組みがより加速されていくものと見られている。そうした背景からガラスびん業界では、単なる利便性や快適的を追求するのではなく、新たな価値や社会とのつながりを求める機運が高まっていることを受け、「環境に優しく安心・安全な容器」というガラスびん容器の特性を強く訴え、ガラスびんの利用拡大につなげるための具体的な取組みを模索していく必要があると考えている。
両協会ではこれまでも消費者や容器利用事業者に対してこうしたガラスびんの特性、優位性を訴求するための活動を展開してきたが、今後はさらに目標や目的を明確に示しつつ、3~5年といった中期的なスパンで継続的な事業を展開し、ガラスびん利用への訴求を図っていきたいとしている。なお、展開する施策によっては業界単独ではなく関係団体、得意先業界団体との共催も積極的に進め、広がりのある活動としていく。
また、今夏の節電対策についても各電力管内で節電目標が示されたことを受け、ガラスびん業界としても各社戸別の対応も含め、業界全体としてできうる限りの節電に努めていきたいとした。一方、電力料金の値上がりと原燃料の高止まりなど業界を取り巻く環境はさらに厳しさを増しているが、社会の仕組みや考え方が変わろうとするなかでガラスびん容器の持つ特性、優位性についてより広い理解を得て、ガラスびんならではの新たな価値創造に向けた活動を展開していきたいとしている。


パソコンリサイクル 家庭系が堅調な伸び 23年度の回収・再資源化実績を公表

一般社団法人パソコン3R推進協会の会員企業が昨年度に回収した使用済パソコン(ディスプレイ装置含む)は85万1000台、前年度比で3・1%増となった。このうち家庭系パソコンは43万6000台・前年度比11・7%増と堅調に推移しているが、事業系については前年度比で4・6%減(41万5000台)と顕著な減少傾向を示している。なお、家庭系パソコンについてはリサイクル目的の回収量が前年度比13・1%増の41万3000台、製品リユース目的の回収量が同8・3%減の2万3000台となっており、事業系パソコンはリサイクル目的の回収量が前年度比1・5%減の32万5000台、製品リユース目的の回収量が同14・4%減の9万台となった。
リサイクル目的で回収されたパソコンを製品カテゴリー別にみると、家庭系パソコンではデスクトップ本体とノートパソコンが共に前年度実績を上回っている。無償回収の対象となるPCリサイクルマーク付き製品が購入から8年経過したことに加え、新OS搭載製品の発売で買換需要が喚起されたこと、パソコンリサイクル制度が徐々に浸透してきていることが要因と見られる。
これに対して事業系では、デスクトップが前年並みを維持、ノートパソコンが前年度実績を上回ったものの、全体では前年度を若干下回る結果となっている。事業系パソコン回収量の低下は、事業系ユーザーが廃棄処理費用を極力抑えるため有価品として売却する傾向が続いているためと見られている。事業系では液晶式表示装置についても前年度比減となったが、デスクトップ本体の買換えは進むものの、液晶式表示装置は継続して使用する傾向が強いためと見られている。一方、製品リユース目的の回収では家庭系、事業系ともに前年度比減となり、新製品の低価格化で中古製品との価格差が縮まっていることや、買取りパソコンの主流がXP、VISTAでリユースが進まないためと見られている。
昨年度の資源再利用率はいずれの製品、カテゴリーでも引き続き法定目標値を大幅に上回り、事業系が家庭系を上回っている。家庭系から廃棄されるパソコンは一般に年次が古く、中古再生部品または資源として再利用することが難しい製品が多いことによるもの。


災害廃棄物 可燃は必要量に見通し 不燃系は追加的広域処理も

環境省が今年5月に公表した岩手県、宮城県の災害廃棄物処理対象量の見直しでは、県内処理を最大限に行ったうえで、なお岩手県で約120万トン(うち処理済分が約1万トン)、宮城県で約127万トン(うち処理先確定分が約13万トン)の広域処理が必要とされた。両県から改めて国に対し、広域処理についての協力要請がなされており、同時に廃棄物の種類ごとにきめ細かな調整が進められている。
これまでの進捗状況を見ると、岩手県の可燃物・木くず等については、既に受入れが行われている自治体と受入れに向けて調整中の自治体での受入れ予定量で広域処理必要量に達する見込みとなった。また、宮城県についても同様に、既に受入れ実施中の自治体に加えて新たな受入れ表明も行われるなど、広域処理の状況は大きく進展している。これまで、受入れ可能性の高い自治体との間で優先的に調整が進められてきた結果、既に受入れ処理が実施されている青森県、秋田県、東京都の計13件の処理事業に加え、新たに青森県、秋田県、山形県、群馬県、茨城県、東京都、静岡県で計9件の事業が始動した。さらに、秋田県、群馬県、静岡県、大阪府、福岡県および東京都(新規事業分)での本格処理が表明されている。
一方、不燃系の災害廃棄物については可能な限りの県内処理と復興資材化等を行うこととされているが、なお埋立処分せざるを得ないものもあり、それらは県内処分、もしくは必要に応じて民間施設の活用も含めて追加的な広域処理が必要とされている。これらについても今後、受入れ可能性の高い自治体等との間で調整が進められることとなっている。なお、被災した漁具や漁網についてはその大部分で処理先の見通しが立っていない。


レアメタルリサイクル 重点5鉱種選定など 合同部会が中間とりまとめ

経済産業省の産業構造審議会環境部会廃棄物リサイクル小委員会(第23回)と環境省の中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会小型電気電子機器リサイクル制度及び使用済み製品中の有用金属の再生利用に関する小委員会使用済み製品中の有用金属の再生利用に関するWG(第8回)の合同会合がこのほど開催され、レアメタルのリサイクルに関する重点5鉱種の選定とその推進に向けた中間報告案を取りまとめた。今回、リサイクルを重点的に検討すべきとされた5鉱種は、先に選定された選定検討14鉱種のうち、工程内リサイクル等で回収が進んでいるインジウムやガリウム、現時点でリサイクル技術の目処が立っていないリチウム、ランタン、サマリウム等を除いたネオジム、ジスプロシウム、コバルト、タンタル、タングステンとなっている。
これらの5鉱種のリサイクルの促進に向けては、まず、それらを含有する使用済み製品の回収量の確保が必要となる。そのなかで、現行スキームを強化し、回収を促すものとして、パソコン、家電4品目、小型二次電池、携帯電話、超硬工具が挙げられている。まず、ネオジム、ジスプロシウム、コバルトなどを含むパソコンについては、回収率が約10%にとどまっており、リース・レンタル業者からの排出後の処理実態把握や回収促進の方策などを検討すべきとした。コバルトが含まれる小型二次電池では、使用済み製品から小型電池を取り外さずに排出されるケースも多くあることから、排出時の電池取外し推進や回収ボックスなどの拠点整備拡大を推進すべきとした。コバルト、タンタルが含まれる携帯電話では、モバイルリサイクルネットワークに加え、昨年7月に立ちあがった携帯電話リサイクル推進協議会の活動を通じ、更なる回収量の確保を図ること、タングステンが含まれる超硬工具では、超硬工具協会が作成したリサイクル促進のためのガイドラインをユーザーに普及させ、回収を推進すべきとしている。
また、新たな回収スキームの構築については、コバルトやタンタルなどで小型電子機器等の回収スキームを構築することに加え、コバルトを回収するための次世代自動車の駆動用電池(リチウムイオン電池等)を自動車リサイクル法上の事前回収物品に加え、効率的な回収スキームを構築するとしている。このほか、違法な不用品回収業者への取締強化やバーゼル法・廃棄物処理法の運用強化、自動車リサイクル法の徹底遵守により、海外流出を防止することや消費者への情報提供を通じて適正なルートへの排出促進を図るなどとしている。


特定産業廃棄物 新たに2事業がスタート 特別措置法による支障除去

「特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(産廃特措法)」に基づく支障除去等事業として新たに①三重県四日市市内山町不適正処理、②滋賀県栗東市旧産廃最終処分場不適正処分──の2事案がこのほど、大臣の同意を得て事業の開始が決まった。三重県四日市市内山町地内不適正処理事案は、安定型産業廃棄物最終処分場で処理基準に違反して許可容量、許可区域を超えた埋立てが行われていたもので、また、許可外(安定型以外)の埋立が行われたことにより高濃度の硫化水素やメタンガスが発生、悪臭の発生や火災のおそれなど生活環境保全上の支障等を生じさせたもの。支障除去等の計画では、 硫化水素ガスの発生抑制措置や周辺地域への環境影響評価を行うためのモニタリング等が行われ、事業費は約1億円と見込まれている。
不法行為者である㈱シーマコーポレーションと不適正処分当時の代表者には、発生ガスの排除及び処理、廃棄物飛散・流出防止等を内容とする措置命令が発出されている。また、排出事業者については現時点で不適正処理の事実は認められていないものの、今後の調査で違法性が確認された場合には措置命令等厳しい対応がなされるもよう。三重県では発覚当初より職員が問題解決に努力していたものの、現在まで解決に至らず地域住民に不安を与え続けていた点など厳しい評価もあることから、今後の対応として①担当職員の法務能力向上と課題解決力を備えた人材育成、②厳正・適正な費用求償等対策に加え、市町や他府県と連携を強化するなど再発防止策を講じていくこととしている。
一方、滋賀県栗東市旧産廃処分場の事案は、民間事業者が市内に設置した産業廃棄物の安定型最終処分場で廃棄物処理法の処理基準に違反した許可品目以外の廃棄物の埋立処分や、処分場内を深掘りするなどして許可容量を超える廃棄物を埋め立てていた不適正処分事案となる。一部法面が急峻で覆土されていないことや処分場上部も一部覆土されていないことから、廃棄物の飛散流出のおそれが指摘されていた。また、安定型以外の産業廃棄物が埋め立てられたことで浸透水が汚染され、地下水汚染拡散のおそれも生じていた。さらに、低下傾向にはあるものの高濃度の硫化水素ガスが発生しており、悪臭で周辺環境に支障を生じさせている。
支障除去等計画では、露出部分の掘削除去と原因廃棄物が浸透水位より下にある可能性が高いことから二次対策としてこれらの掘削除去を行うこととされている。また、旧処分場隣地に県の改善命令で原因行為者の旧RD社が平成14年に設置、稼働している水処理施設があることから、これを活用して水処理を行うことしている。事業費は約4億円規模となる。不法行為者等(処理業者、排出事業者)に対しては他の事案と同様の外が取られている。滋賀県では検証委員会の指摘を踏まえ、立入検査マニュアルの作成、監視パトロールの強化、指導監督体制の強化、住民との連携強化といった再発防止策を講じている。