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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2012年7月

CO2排出抑制 10月から化石燃料新税も 税制のグリーン推進で検討会

低炭素社会をはじめとする持続可能な社会の実現にはさまざまな施策が必要とされるが、なかでも税制はその有効な政策ツールの一つと位置付けられている。現行の税制では今年10月から施行される「地球温暖化対策のための税」をはじめ、車体課税のグリーン化や再生可能エネルギーや省エネ住宅、公害・廃棄物対策に係る租税特別措置など環境の視点を重視したさまざまな税制措置が講じられている。
一方、さきの第四次環境基本計画では、「諸外国の状況も踏まえエネルギー課税、車体課税といった環境関連税制等による環境効果等を総合的・体系的に調査・分析することで税制全体のグリーン化を推進する」とされるなど、税制面での一層の検討が求められている。 環境面からの望ましい税制のあり方等について総合的・体系的に検討することを目的に、環境省で有識者からなる「税制全体のグリーン化推進検討会」が開催されている。税制全体のグリーン化の意義と中長期的に実現すべき環境面からのあるべき税制の姿、現行税制の環境面からの評価と今後の税制全体のグリーン化の推進方策、グリーン化を推進する上での留意事項──等が検討される。
低炭素対策として新たに導入される「地球温暖化対策のための税」は、石油製品や天然ガス等自然エネルギーの種別ごとに課税されている現行の石油石炭税に上乗せする仕組みで、各種別に設定されている化石燃料利用税とは別の課税制度となる。現行の石油石炭税に加え、全化石燃料共通にCO2の排出量に応じて課税される。税率は当初CO2排出量1トンあたり289円。今年10月からの施行で、3年半かけて税率を段階的にひきあげる計画。これによる税収は、温室効果ガスの9割を占めるエネルギー起源CO2の排出抑制施策に充てられる。


日中商品検査 対中貿易適正化に向け 再生資源輸出でセミナー開催

日中商品検査のセミナー

呂克倹公使と孟慶発社長(右)


日本からの中国向け古紙、金属スクラップ、廃プラスチックなどの再生資源の船積み前検査業務などを手掛ける日中商品検査株式会社(本社・東京都中央区日本橋、孟慶発社長)では今月9日、東京の鉄鋼会館にて中国向け輸出関係者200名以上を集め、「中国向け廃棄物原料船積み前検査強化に関する説明会」を開催した。セミナーではまず、中華人民共和国駐日本国大使館の呂克倹公使、環境省廃棄物リサイクル対策部適正処理・不法投棄対策室の室長である吉田一博氏が講演を行った。
このなかで、呂公使は「本日は、日中商品検査の孟慶発社長のお招きにより、皆様の前で講演できることを大変うれしく思います。環境保護は中国にとっても非常に重要な分野であり、今年、中国は第12次5カ年計画の2年目となる年でもあります。第12次5カ年計画では、環境に優しい経済発展を目指すということが大きな目標として掲げられており、そのなかで、廃棄物原料についても中日両国の協力分野となっております中国大使館としましても、廃棄物原料貿易も含めた中日両国の経済貿易の益々の拡大に向け、皆様と共に頑張っていく方針であり、出来る限りの協力を惜しむつもりはございません」と述べた。また、環境省の吉田室長は「。循環型社会形成に向けては、廃棄物等輸出についてもより注視していかなければなりません。国境を超えて資源が循環する現在、適切なリサイクルが行われることが重要であり、アジア経済の中心である日本と中国のより密接な協力が必要と考えています」と述べた。
なお、この講演の後、日中商品検査の楊淑珍社長助理より、廃棄物原料船積み前検査のWEB申請におけるUSB KEYの導入・使用に関する説明が行われた。

孟慶発社長 徹底した法令順守を 品質や放射線等の問題深刻化
日中商品検査のセミナー

多数の貿易関係者が出席


また、セミナーで孟慶発社長は現在の日中間の貿易について講演を行った。それによれば、2011年における中国の海外からの再生資源の輸入量は4570万トンでうち日本からのものは653万トンとなり、コンテナが17万7585個、バラ積み船が2257船となった。また、今年の1―5月期の検査申請数は13万3305件、数量で318万トンと昨年比で15%ほどの増加となっており、内訳は古紙144万トン、廃プラスチック38万トン、廃金属類が118万トンなどとなっている。一方、今年1―5月における日本からの中国向け輸出貨物に関する不合格件数は14件あったとした。
こうした点を踏まえ、孟社長は「中国向け廃棄物原料貿易は年を追うごとに品質面で難しさを増している。今回は14件の不合格となったが、実態はそれ以上不合格が出てもおかしくないのが現状である。日本からのものについて、古紙は関東商組の大久保理事長をはじめとする業界の方々の協力もあり品質は良いが、金属や廃プラは依然として問題も多い。具体的な例として、金属では輸入禁止とされる基盤、黒モーター、廃家電の混入、廃プラスチックでは生活ごみや医療廃棄物の混入も見られた。更に、昨年から福島第一原発からの放射性物質の漏出で、昨年および今年に入ってからも中国の港で放射線が検知され問題となっている。中国では、こうした問題が起きると、それに対応するための制度を作るという歴史があるが、今回の問題を受け、中国では今まで以上に厳しい規定を設けるといった話も出ている」。
「こうした問題を避けるため、これから皆様に対していくつかお願いしたいが、まず、検査の申請書に出来るだけ詳しく検査対象品を記載していただきたいということだ。次に、従来とは異なる廃棄物原料を輸出する場合、写真やサンプルを送るなど必ず事前に相談していただきたい。また、輸出ライセンスの貸与も行われているといった話も聞くが、トラブルが起きた場合、貸与した会社の責任となるため、そうした行為も慎んでいただきたい。人脈があれば中国貿易は問題ないという話もあるが、人脈は法律より上ではない。法律を重視し、規定に則った事業を行ってトラブルを起こさないようお願いしたい。弊社としては貿易を円滑に行えるよう、中国関連部門及び日本関連部門との連携を密にして、取り組んでいく所存であり、皆様におかれましても協力をお願いいたします」と述べた。


災害廃棄物 処理の安全性示し 先行事例の実測データ公表など

災害廃棄物の広域処理については現在、青森、秋田、山形、東京の1都3県と静岡県内の市町村および民間事業者での受入れ・処理が進んでいる。処理の安全性を確認するため受入対象廃棄物や受入施設での排ガス、焼却灰等の放射性セシウム濃度の測定、空間線量の測定が実施されており、それらモニタリング結果がそれぞれに適宜公表されている。環境省ではこれら先行事例のデータをウェブ上の広域処理情報サイトで公表しているが、新たにこれら各種データを地図上から参照できる「がれき処理データサイト」を開設している。
先行事例でのモニタリングの結果では、各自治体等が受け入れた災害廃棄物の放射性セシウム濃度はいずれも「不検出」か、あるいは焼却灰が8000Bq/Kgを上回らないよう告示に示した受入れの目安(ストーカ炉で240Bq/Kg)を大きく下回る値を示している。その結果、焼却灰の放射性セシウム濃度も8000Bq/Kgを大きく下回る値となっている。また、すべての焼却施設で大気への排出口での排ガス中放射性セシウム濃度は不検出で、すべての最終処分場で河川等放流水についても同様に不検出もしくは濃度限度を下回る値となった。周辺地下水についてはいずれも不検出となった。
なお、廃棄物処理における安全性については、原子力安全委員会から「周辺住民リ追加的被ばく線量は1mSv/年(施設管理期間終了後は0・01mSv/年)を超えないこと、作業者が受ける追加的被ばく線量は可能な限り1mSv/年を超えないこと」とした考え方が示されている。こうした条件を満たすための目安として焼却灰放射能濃度8000Bq/Kg、受け入れ時点で240Bq/Kg(濃縮率33・3倍と仮定)が設定されている。


モバイルリサイクルネットワーク 23年度実績を公表 保管増などで回収率30%下回り

社団法人電気通信事業者協会(TCA)と一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)では、「モバイル・リサイクル・ネットワーク(MRN)」として携帯電話・PHSにおける資源の有効利用について取り組んでいるが、このほど、平成23年度におけるリサイクルの取り組み状況について取りまとめ、公表を行った。TCAでは携帯電話・PHS事業者等の協力を得て、平成13年4月からMRNを立ち上げ、サービス提供事業者、製造メーカーに関係なく、使用済みの携帯電話・PHSの本体、電池、充電器を全国約1万店舗ある専売店を中心に、自主的に回収する活動を推進しており、平成22年度までの10年間で累計8560万台を回収している。また、3Rについては、CIAJが「携帯電話・PHSの製品環境アセスメントガイドライン」を制定し、製造メーカーにおける指針として製品アセスメント実施等の対応を進めている。
発表によれば、平成23年度の本体の回収台数は、前年度実績から約38万台減の696万5000台(回収重量666トン)となっている。減少要因としては、スマートフォンの普及等で、端末の多機能化・高機能化が進展し、通信機器として使わなくなった端末を手元に保管し続ける利用者が増え続けていることなどだが、平成21年度(692万台)からの増加傾向は一旦止まったものの、本体の回収台数は平成21年度を上回る結果を維持出来たとしている。電池については、前年度比約35万台減の973万9000台(192トン)、充電器(ACアダプタ・卓上ホルダ等)が同比293万台減の318万6000台(241トン)などとなった。
また、再資源化について、端末に含まれる金属は、鉄、アルミニウム、マグネシウム、金、銀、銅などですが、金、銀、銅、パラジウムなどの金属は素材に戻し、再利用をしており、精錬の過程で発生するスラグは路盤材、湾岸施設(テトラポット中込材)などに利用されている。更に金属以外の素材(プラスチック、ガラスなど)についてもリサイクル処理を実施。プラスチックは低温溶解により樹脂材となり、ハンガー等の日用品、プラスチック収納容器、玩具の筐体等に利用されている。これによる平成23年度のマテリアルリサイクル率は前年度比1・4ポイント上昇の96・1%となり、平成21年度に設定された目標値の70%を大きく上回った。ただ、事業者全体の回収率については、同比11・5ポイントマイナスの26・3%まで落ち込み、目標値である30%を割り込んでいる。このため今後、回収拠点の拡大や周知強化を通じて、利用者から本来排出されるべき端末を対象とした、より一層確実な回収・再資源化に努めていく方針。


CO2排出削減 新クレジット制度で提言 2制度を統合、相互補完し

環境・経産・農水3省が検討してきた2013年度以降の国内クレジット制度とオフセット・クレジット(J─VER)制度のあり方で、このほど検討会案「新クレジット制度の在り方について(案)」がまとめられた。13年度以降の国内クレジット制度とオフセット・クレジット(J─VER)制度の統合について提言し、併せて統合に当たり検討すべき課題等を整理している。現行2制度はともに温室効果ガスの削減量等をクレジット認証する制度で、国内クレジット制度は中小企業等の低炭素投資を促進し、温室効果ガスの排出削減を推進することを目的とした仕組み。一方のJ─VER制度は自らの活動で発生する排出量を他の場所の削減量(クレジット等)で埋め合わせ相殺するカーボン・オフセットにより国内での排出削減・吸収の取組を進めるための制度。
2008年にスタートした国内クレジット制度は09 年度末に承認事業297件、クレジット認証約3万6000t─CO2だったものが11 年度末には承認事業1037件、クレジット認証約44万9000t─CO2となっている。また、当初に目的としていたような大企業等の目標達成という用途に加え、CSR活動やカーボン・オフセットにも活用される機会が増えている。一方、同じ年にスタートしたJ─VER制度も09 年度末に登録プロジェクト26 件、クレジット認証約1万5000t─CO2だったものが11年度末には登録プロジェクト201件、クレジット認証約29万t─co2となっている。両制度とも京都議定書の約束期間である2012年度末を終期としている。それぞれ利用機会が増えるにつれ方法論の内容等共通する部分も増え、活用目的も近接してきたことなどから、利用者に分かりづらい状況も生じている。
現行2制度を整理、統合するかたちでスタートする新制度については、①現行制度の優れた点を取り入れ相互補完し、多様な主体が参加できる制度とする、②環境の観点から信頼が得られるものとし、使いやすく適用範囲の広い利便性のある制度とする、③地域資源の活用による削減への地域の取組やクレジットの地産地消を後押しし、地域活性化につながるような制度とする、④国際的にも評価され、海外での取組でも参考とされるような内容を目指す──の4点を基本的な考え方として示している。
現行国内クレジット制度は主に大企業等の自主目標達成への活用を目的に設計されたため、自主行動計画参加企業間でクレジットの取引が行われることによるダブルカウントが生じる。このため、目標達成の信頼度が損なわれることがないよう自主行動計画の参加者以外に対象者を絞っている。J─VER制度にはそういった制限がない。新制度では利用者の利便性に考慮し、また利用機会拡大につなげるため対象者の範囲は制限しないとした。ただし、経団連で策定が進んでいる低炭素社会実行計画の参加者がクレジット創出者になる場合など、クレジットのダブルカウントを避けることが必要な場合については、活用先をCSR活動やカーボン・オフセット等に限定するなどの制限も検討する必要があるとしている。
また、現行両制度の活用先は自主行動計画や温対法に基づく算定・報告・公表制度での排出量報告、エネルギーの使用合理化法定期報告での共同省エネ事業の報告──等があるが、CSR活動やカーボン・オフセットクレジットの需要を喚起し、制度を活性化する観点から新制度のクレジット活用先については幅広く考えるべきとし、低炭素社会実行計画やCSR活動、カーボン・オフセットへの活用を含め、現行の活用先は維持されるべきとしている。ただし、低炭素社会実行計画参加者が創出したクレジットや森林吸収プロジェクト由来のクレジットを大企業等が目標達成に用いた場合、ダブルカウントの問題が生ずる懸念があるため、こうした事例については活用先を限定すること等必要としている。


災害廃棄物 倒木などのリサイクルで通知 再生材、燃料化期待も直接埋設認め

東日本大震災の災害廃棄物のリサイクルについては、震災直後の昨年5月に環境省が作成した「マスタープラン」で、「再生利用可能なものは極力再生利用する」とされ、特に自然木・木くず等については「木質ボードやボイラー燃料、発電等への利用」が期待されていた。その後も木質系廃棄物をチップ化、マルチング材として造成地等の表面に利用できることが示されるなど、復興事業での積極的な有効利用が期待された。一方、自然木や木くず等の埋設については、環境負荷的観点から慎重な取り扱いが求められ、また取扱いに関する問合せもあることから環境省はこのほど、「自然木・木くず等を造成地等で活用することについての考え方」をまとめ、被災各県と沿岸部政令市に示した。
自然木・木くず等を盛土材として埋設することの可否では、丸太であれば表面積が小さく分解速度が遅いため、腐朽による発熱やメタンガスの発生など生活環境保全上の支障が小さいと考えられることから、管理主体が長期間責任を負う場合であれば、異物の付着混入がなく建設資材等で適切に活用されることが認められるものについては、埋設しても差し支えないとしている。ただし、主体事業者は①木質ボード等へのマテリアルリサイクルや燃料化利用といった他の活用法との比較検討を行うことや、地域住民や農業・漁業関係者の理解を得ること、陥没やガス発生等による事故を防ぐため立入禁止措置等の管理責任を負うこと──等に留意する必要があるとしている。
なお、細かい木くずや建設系廃木材、木質系混合物等については、生活環境保全上の支障が生じるおそれが相当程度あるとして、最終処分場以外での埋立ては認められないとしている。伐採木や剪定枝などの処理ではこれまでも、木質ボードへのマテリアルリサイクルや燃料として有効活用されてきたほか、チップ化しマルチング材として造成地等でも活用されてきた実績があることから、震災で発生した倒木等自然木についても、これまでの活用事例を参考にマルチング材等としての活用が期待されるとしている。


鉄リサイクリングリサーチ 韓国は輸出入共存へ 2020年中国の発生量は2億トン

我が国における鉄スクラップの調査を行っている株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一氏市はこのほど、「2020年の蓄積量から推定した韓国と中国の自給化状況」と題するレポートを取りまとめ公表した。日本の鉄スクラップ市場については、国内における使用量を上回る発生があることから、海外へ輸出をすることで国内での余剰解消と需給の調整を図っているのが実情だ。一方で、主な輸出先となる韓国、中国で鉄スクラップの自給化が進めば、海外からの輸入で不足する鉄スクラップを補う必要性が無くなる可能性も指摘されており、業界ではその動向がかねてより注視されるところとなっていた。
林氏は、鉄スクラップ発生の基となる鉄鋼蓄積について、回収できないもの、永久に使い続けるもの、不法投棄のものなども含んでおり、存在する国(地域)の国土、鉄鋼業の歴史、社会などを背負っていることから、単純な国際比較は難しく、どんな経緯で現在の蓄積があるかが重要と指摘。まず、韓国については、現状の2200万トンの増加が続けば、2020年の鉄鋼蓄積量は7億6000万トンを超え、スクラップの回収量も500万トンの増加が見込まれるとしつつ、電炉の能力増強やスクラップの品質面の問題から、引き続き400万トン前後の輸入が必要になるのではとした。また、国内において適正な品質基準を確保する加工処理体制の確立が課題となっていることから、その対応が遅れれば、高級スクラップとローグレードの老廃スクラップの需給アンバランスが生じ、高級スクラップを輸入、老廃スクラップを輸出するという輸出入共存スタイルが顕在化するとしている。
一方、中国については、2011年末の鉄鋼蓄積量が51億トンとされるが、現状ペースで増加した場合、2020年には100億トンに達すると見込まれる。このため、スクラップの発生量も現状の1億トンから2億トンへと倍増することになるが、第12次5カ年計画にて掲げられた環境・エネルギー政策の方向から国内での消費量拡大が図られるとしている。中国では、電炉比率が先進国シェアと比べ低いことや、電炉での鉄スクラップ配合率も50%程度とされているのが現状で、発生量倍増も国内での使用量増加によって、2020年段階においても、中国が鉄スクラップの輸出国となる可能性は低いとしている。


関東製紙原料直納商工組合 「再発防止」に重点 関与組合員への対応決め

関東製紙原料直納商工組合(大久保信孝理事長)の組合員が関係していることが指摘され、組合として対応を求められていた古紙持ち去り事案2件について組合ではこのほど、事案の詳細についての調査報告と併せ今後の対応を協議、決定した。
今月20日の理事会でこれまでの経緯と組合の対応、具体的には指摘された組合員への聴取と改善要請、当該組合員からの回答──等が報告された。いずれの事案も組合定款に定める「除名」事案に相当するとされたが、今回に限り再発防止に重点を置いた対応を取ることとし、①誓約書の提出を求める(持ち去り古紙を扱わない、扱った場合はいかなる処分も受け入れる)、②概ね半年間にわたり経過観察を行う(随時、正副理事長会で状況をチェックし、理事会に報告する)、③理事会への報告内容等を当該自治体に通知するなど、対外的に明らかにする──等の措置を講じることとした。
今回、問題となった事案は、昨年9月に東京・杉並区が資源物の収集・運搬命令違反該当者の氏名公表(第3回)を行った際に、違反者の使用車両(4台)の所有者として組合員A社が指摘された件、今年3月に埼玉県の蓮田白岡町衛生組合からの指摘で組合員B社が持ち去り由来の古紙を受け入れていることが判明したものの2件。
なお、杉並区の件では、氏名公表でアウトサイダー業者が持ち去り事案に緩和していることも判明しており、組合では今回の対応と併せ、これらアウトサイダー業者に対しても持ち去り行為の中止を求めることとし、改善されない場合は当該業者との取引を中止する等の対応を取ることを決めている。


全国産業廃棄物連合会 石井邦夫会長を再選 「将来ビジョン」課題と論点協議へ

全国産業廃棄物連合会

全産連 第2回定時総会


公益社団法人全国産業廃棄物連合会(石井邦夫会長)の第2回定時総会が先ごろ、東京・港区の明治記念館を会場に開かれた。昨年度の事業・決算報告、任期満了に伴う役員改選などが審議された。昨年度は同連合会が公益社団法人に移行して初の事業年度となり、従来から継続的に実施されている各事業に加え、新法人体制に対応するための組織改革等が進められた。一方で東日本大震災、台風12号等大規模災害が発生したことで、災害廃棄物の処理等を含む復興支援事業に多くの力を傾注せざるを得ない1年となった。
特に東日本大震災への対応では、発生直後の3月28日に災害廃棄物処理支援特別対策本部を設置、被災状況と国の施策動向等の把握を進めつつ、業界としての支援の在り方等について検討を行うなどした。その後も国からの各種通知やガイドライン等の会員企業等への周知、各協会の支援状況等の国への情報提供、迅速な災害廃棄物処理のための法的課題等国への要望を積極的に行ってきた。
昨年度は予期せぬ災害の発生で連合会事業の多くをそれらへの対応に割かざるを得ない結果となったが、新年度事業では、処理業界の振興等将来ビジョンに関して具体的な課題を抽出、論点の整理等を行うこと等が計画されている。また、全国の正会員協会で順次、予定されている公益社団法人への移行を支援するため、関連情報等の提供や移行手続き、移行後の対応についても支援、協力していくとしている。 なお、任期満了に伴う役員改選では、石井会長の再選が決定している。


環境省 リユース品基準を明確化 機器輸出時の事業者の責務など

環境省はこのほど、使用済み電気・電子機器の輸出時の中古品判断基準案を作成、公表した。使用済み電気・電子機器をリユース目的で輸出する場合は「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」(バーゼル条約)に示される「処分作業を行うための輸出」ではないことから、バーゼル法に基づく輸出承認を得る必要はない。しかし、リユースに適さない使用済み電気・電子機器が輸出された場合、それらは輸出相手国でバーゼル条約に示された内容の処分作業(最終処分・リサイクル)が想定され、機器等に含まれる有害物質らよっては同条約の適用対象となる懸念がある。その場合、バーゼル法違反となるだけでなくバーゼル条約上の不法輸出として国際問題に発展するおそれがある。こうした状況から、使用済み電気・電子機器輸出時の中古品判断基準を策定、基準案が示されたもの。
使用済み電気・電子機器をリユース目的で輸出しようとする者は自ら、バーゼル法に基づく輸出承認を要しないことを確認し、税関に申告時等に証明することが求められる。今回の基準は、実際にはリユースに適さないものがリユース名目で輸出されることのないよう、リユース目的での輸出と客観的に判断される基準を示すことで、輸出者による証明を容易にすることを目的としている。家庭で使用された電気・電子機器(事業者が一般的な事務活動において使用した電気・電子機器を含む)をリユース目的で輸出する場合に適用され、近く輸出が確認されている電気・電子機器等を内蔵するパチンコ台等の遊技機器、自動車から取り外し可能なオーディオ等の電気・電子機器をリユース目的で輸出する場合もこれに準ずるとしている。
対象機器を輸出する際にリユース目的品と判断されるには、①破損や傷、汚れがないこと(大幅な修理が必要な場合は認められない)、②通電検査等の結果、正常に作動すること(必要な付属品が欠損していないこと)、③荷姿等(集荷、輸送、積み込み作業中の破損を防ぐよう適切に梱包、積載、保管されていること)、④契約書等による中古品取引の事実関係が証明されること、⑤輸入国で中古市場があること──等の基準がすべて満たされることが必要となる。このうち1つでも基準を満たさない機器等は処分作業目的での輸出とみなされる。その場合、輸出者は有害物質含有の有無を確認し、バーゼル法の該非を確認するひとが必要となる。
なお、アジアなど諸外国では使用済み電気・電子機器の輸入を規制している国が多数存在することから、対象機器の輸出に際しては輸入者と連携の上、輸出先国の規制(禁制品の有無、中古品判断基準、事前申告の必要性、輸入者のライセンス保持等)について確認することが求められる。


中国家電リサイクル 処理基金の設立へ メーカー負担、リサイクル企業に補助金

中国財政部では先ごろ、環境保護部や国家発展改革委員会などとともに、中国の家電リサイクル制度における処理基金設立に関する「廃棄電器電子産品処理基金征収使用管理弁法」について告示を行った。これは先に制定された「廃棄電器電子産品回収処理管理条例」に基づくもので、国が廃棄された電器電子機器類の回収処理を促進するために設立するもの。対象の電器電子機器類の生産者および輸入業者などは対象機器リストに基づく金額を貴金として納める必要がある。徴収金額はテレビ13元、冷蔵庫12元、洗濯機7元、家庭用エアコン7元、家庭用小型パソコン10元となっており、今年7月1日よりスタートとなる。
一方、これら廃家電の処理については、国が指定したリサイクル企業を対象として、補助金が支給されることとなっている。これは、廃家電のリサイクル企業を育成支援するための措置ともなっており、補助金額はテレビが1台当たり85元、冷蔵庫が1台当たり80元、洗濯機が1台当たり35元、家庭用エアコンが1台当たり35元、家庭用小型パソコンが1台当たり85元となる。リサイクル企業は、処理品目や台数を指定様式に基づき記録した上、4半期ごとに各省の環境保護部門に提出。それを確認後、財政部門が補助金を支出するという流れになる。
中国では、廃電器電子産品の廃棄量は年間数千万台とされるが、アンダーグラウンドな市場が発達していることなどから、リサイクル企業育成の遅れも指摘されてきた。このため、家電製品の販売から回収に当たって、中国政府は以旧換新制度によって古い家電製品の買い替えによる内需喚起を図ると同時にリサイクル企業への廃家電の流通ルートの構築を図ってきた。今回の基金設立については、家電メーカーにとっては負担増となることなどへの懸念も出ているもようだが、これにより中国の家電リサイクル市場の拡大に繋がっていくかが注目されるところだ。


汚染廃棄物 終了目標26年度末に 対策地域内総量は47万4000トンと推定

環境省では放射性物質汚染対処特措法に基づきこのほど、原発周辺自治体等対策地域内で発生した廃棄物の処理計画をまとめた。地域内の廃棄物量と処理量の見込み、処理計画の目標、目標達成に必要な措置に関する基本事項等を示した。対策地域内の災害廃棄物総量は合計47万4000トンと推定され、それらのほとんどが津波によるもののため沿岸部の市町(南相馬、浪江、双葉、大熊、富岡、楢葉)に集中している。現在、地域内に点在する小規模集積場に集められている。内陸部は津波被害を受けていないため、一部に要解体建物があるものの、災害廃棄物の発生は非常に限定的となっている。
沿岸部の市町では、空間線量率が特に高い地域(年間50 ミリシーベルト以上)を除いて各市町区域内での仮置場確保を前提に、今年度内を目途に仮置場への搬入を終え、26 年3月末までの処理を目指すとしている。ただし、この目標は除染廃棄物の処理の状況を踏まえて適宜見直され、空間線量率が特に高い地域に分布する災害廃棄物については、処理従事者の安全確保等の観点からも今後の除染事業の検証を踏まえ、処理目標を検討していくこととしている。
また、地域内の除染廃棄物への対応については、除染実施計画に基づく除染の内容等が具体化された段階で、廃棄物の種類や発生量等の予測が行われる。それらの結果や対策地域内にある廃棄物の処理体制の整備状況等を踏まえ、処理目標を検討するとしている。