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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2012年11月

丸和商事 隣接地に工場棟新設 モリタ製1000tニューギロ等を導入

丸和商事の新設工場棟

丸和商事の新設工場棟


関東地区の有力鉄スクラップヤードディーラーである丸和商事株式会社(本社・神奈川県横浜市鶴見区駒岡、渡辺淳社長)は、環境変化への対応と老朽化した設備のリプレースを図るため、このほど工場棟を新設した。今回、設置された新工場は、従来の工場に隣接し、建屋面積約1000㎡。周辺への環境負荷を減らすために防音などに配慮しつつ、京和工業製の天井クレーン、モリタのニューギロ1000トンを設置している。なお、新工場の土地は約8年前に取得しており、総工費は約5億円。
モリタ製ニューギロ1000t

モリタ製1000tニューギロ


新工場建設について渡辺社長は「長年にわたり使用してきた兼六工業製ギロチン(1500トン)の故障が多く、入れ替えようにも従来の場所ではモリタのニューギロが入らなかったことに加え、騒音などの問題からオープンヤードでは仕事が難しいため時期は良くないが投資に踏み切った。ただ、造るからには従来よりも効率的に作業が行えるだけでなく、10年、20年耐えられる工場にしようと、基礎工事もしっかりと行った。こうしたことから、当初の想定よりも金額が膨らんでしまったが、細々と商売を続けるには最低限の設備が要る。今やらなければ、将来は更に投資がしづらくなる可能性を考えての決断だ」と述べた。
なお、従来のギロチンヤードは今後、老朽化したギロチンの撤去後倉庫等としての使用を検討する。今後の展望について渡辺社長は「製造業の海外移転が進むなかで、鉄鋼蓄積量も減少し、スクラップも発生が落ちてくるだろう。長期的に見たら業界は衰退産業かもしれない。しかし、鉄は安く丈夫で使いやすい材料という点を鑑みれば、需要は必ずある。そして、今後は発展途上国での需要が見込まれるが、これまでの中国等に見られるような高い価格帯ではスクラップを買ってくることは考えづらいだろう」と語っている。


産業廃棄物マニフェスト 未記載の混入1割も センターが運用実態を調査

電子マニフェストシステムを管理・運営する日本産業廃棄物処理振興センターでは、昨年度から3年をかけて「産業廃棄物マニフェスト情報の信頼性確保と多面的活用策」についての検討を行っている。初年度は行政および中間処理・最終処分者等におけるマニフェストの運用とマニフェスト情報の活用実態の分析、最終処分場でのマニフェスト情報の信頼性の検討等が行われ、さきごろその結果が公表された。
処分業者に対し、マニフェスト記載情報と搬入物との一致の程度やマニフェスト記載情報の実績報告への利用について聞いているが、「取り扱う廃棄物がマニフェストに記載された種類と時々一致しない」とした回答が全体の約10%あり、数量が時々一致しないとした回答は約20%あった。記載情報の活用では、処分業者は「記載された種類・数量等については概ね信頼している」とした結果が得られている。マニフェスト記載情報が都道府県や政令市に提出する処理実績報告資料に利用されている割合が高い。都道府県・政令市は実績報告を廃棄物処理計画の策定等に活用していることから、マニフェスト記載情報の信頼性について検討していく必要性が高いとしている。
マニフェスト記載情報の信頼性に関する調査のうち廃棄物の種類に関しては、マニフェスト記載の種類と搬入物の種類との一致の程度で、約10%の安定型処分業者と約20%の管理型処分業者が搬入物の種類と記載の種類が一致しないことがあると回答した。また、本来はマニフェストには原則1種類のみ記載することとされているが、複数の種類記載があるマニフェストの割合が約10 ~ 20%あるとされた。実際の搬入物に未記載物が容積基準で10%超混入している割合は目視で約5~50%程度あったことから、異物の混入によって記載の種類が搬入物と異なる割合は20%程度と推定され、逆にマニフェスト記載種類の約80%は信頼できると考えられている。
産業廃棄物の数量については、約30%の安定型処分業者と約40%の管理型処分業者が搬入数量と記載数量が一致しないことがあると回答している。搬入物のマニフェスト記載重量と重量測定値都の比較では、記載重量と測定値が一致していた割合は約60%であり、このことが裏付けられた。 記載重量と測定値が一致しない残り40%の記載重量については、運搬車両の最大積載量と見られている。なお、環境省の重量換算係数で容積から算出する場合の重量換算係数の信頼性については、安定型処分場で約60%、管理型最分場で約30%が「信頼できる」としているが、全体として重量換算係数に対する信頼性の認識は高くない。


第11回廃棄物と環境を考える全国大会 適正・迅速な災害廃棄物処理へ

廃棄物と環境を考える全国大会

廃棄物と環境を考える全国大会


全国産業廃棄物連合会、日本産業廃棄物処理振興センター、産業廃棄物処理事業振興財団の3団体主催による「第11回産業廃棄物と環境を考える全国大会」がこのほど、東京・千代田区のホテルニューオータニを会場に開催された。
東日本大震災の発生から1年半が経過した現在、国をあげて復旧・復興の取組みが進められている。特に災害廃棄物の迅速かつ適正な処理・リサイクルが求められるなか、その進捗状況が注目されているが、とりわけ広域処理や放射能汚染など諸課題への迅速、的確な対応が求められている。
災害廃棄物は現行制度上では一般廃棄物に分類されるものの、その性状等はむしろ産業廃棄物に近いものであることから、産廃処理の知識と経験の活用が強く求められている。こうした状況を踏まえ、今年度は災害廃棄物の広域処理に実績のある東京都での開催となった。行政担当者、事業者、学識経験者および市民が一堂に災害廃棄物の迅速、かつ適正な処理について考える大会となった。
主催者を代表して全国産業廃棄物連合会・石井会長は、災害廃棄物処理の現状と産廃処理業界の取組みを報告するとともに、関係者の一層の支援、協力を求めた。また、今大会で講師を務めた環境省廃棄物・リサイクル対策部長=梶原成元氏は、災害廃棄物の進捗状況と震災発生から今日までの国の取組み、今後の目標等を示したうえで、広域処理等を通じた処理加速化に向けた関係者の理解と協力を求めた。大会では、功労者表彰式典、梶原氏による基調講演「災害廃棄物処理の現状と課題」、行政および業界代表によるパネル討論会が行われた。


横浜市資源リサイクル事業協同組合 リサイクルデザインフォーラム2012を開催

リサイクルデザインフォーラム2012

リサイクルデザインフォーラム2012


横浜市資源リサイクル事業協同組合ではこのほど、横浜市の大さん橋ホールにて、「リサイクルデザインフォーラム2012 ヨコハマ底力!~“超”資源循環を目指して」を開催した。このリサイクルデザインフォーラムは、横浜市内の小学生とその保護者が環境について楽しみながら学べるイベントで、今年が18回目の開催となる。
フォーラムの冒頭で挨拶にたった髙田哲二理事長は「本日はお忙しいところ、会場に足を運んでいただきありがとうございます。また、今年もたくさんの皆様にこのフォーラムに協賛いただきましたこと、1万9000件もの応募のあった環境絵日記の選考をしてくださった選考委員の皆様、そしてこのフォーラムを開催するにあたって大変なご苦労があったと思いますが、関係者の方々に御礼申し上げます。フォーラムで展示してあります環境絵日記は夏休みにお子様が家族と環境のことについて考える機会を持てればということで行っておりますが、これは非常に重要なことです。当組合のリサイクルデザインフォーラムは、目標であるリサイクルデザインタウンの構築というCSR活動の一環として開催しているものです。リサイクルデザインタウンとは、市民と行政、民間の3者が一体となってつくる循環型都市のことを意味します。今日のフォーラムに参加される皆様にも引き続き協力をお願い申し上げますとともに、どうか今日のフォーラムを存分に楽しんでいってください」と述べた。
フォーラムでは環境絵日記の展示のほか、資源回収ゲームや環境未来都市ヨコハマのジオラマ展示、古着を活用したリメイクファッションショー&ダンスなどが行われた。なお、横浜市資源リサイクル事業協同組合の実施している環境絵日記は、今回1万9000件超の応募があったが、今年は横浜市だけでなく、環境未来都市として取り組んでいる北海道下川町、千葉県柏市、富山県富山市、岩手県大船渡市・陸前高田市・住田町、宮城県東松島市からも応募するなど同組合の活動は着実に拡がりを見せている。髙田理事長は「当組合の環境絵日記の取り組みが少しでも被災地域などの子供たちに元気を与え、震災からの復興の一助になれば」とコメントした。


スチール缶リサイクル協会 過去最高の90%超に R率などの2011年度活動実績

スチール缶協による会見

スチール缶R協会による会見


鉄鋼メーカーや製罐メーカー、商社など12社で構成されるスチール缶リサイクル協会(理事長・樋口眞哉新日鐵住金副社長)ではこのほど、2011年度のスチール缶リデュース・リサイクルなどの活動に関する記者説明会を開催したが、そのなかで、2011年度のスチール缶リサイクル率が過去最高であった昨年度89・4%を1%上回る90・4%となったと発表した。また、これにより、経済産業省・産業構造審議会のガイドライン目標である「スチール缶リサイクル率85%以上」を11年連続で達成することとなっている。
記者説明会の冒頭で挨拶に立った樋口理事長は「当協会は消費者に身近なスチール缶のリサイクルを促進するという高い理想と社会貢献を目的として1973年に設立され、以降、国に先駆けて関係者間の連携により、分別収集への積極関与など、資源の乏しい我が国の持続可能な循環型社会構築に向けて様々な取り組みを行ってきた。今回、過去最高のリサイクル率となった要因としては、世界の粗鋼生産が15億トンを突破するなど、鉄鋼原料として鉄スクラップの需要が高まるなかで、スチール缶の材質が高品質であり、国内で自給可能なリサイクル原料としても優れていること、スクラップの加工処理能力が向上したこと、自治体や国民による高い意識に基づく分別排出が進展していることが挙げられる」などと述べた。
スチール缶を取り巻く環境としては、軽量化や飲料等の多容器へのシフトなどが見られるなか、消費重量では2001年度の105万5000トン(再資源化重量89万9000トン)から減少傾向が見られるが、2011年度のスチール缶の消費重量は、前年度比で3000トン減となる68万2000トンとなったが、再資源化重量は同比5000トンの増となる61万7000トンとなっている。
なお、同協会の酒巻弘三専務理事は「リサイクル率は把握できる範囲で計算を行っているが、不燃ゴミに混入されるスチール缶もあり、鉄スクラップとしてリサイクルされているが、これらも含めればスチール缶のリサイクル率はもっと高い数値になる」としている。


日本RPF工業会 設立記念講演会を開催 ネットワーク活用し、拡大目指す

RPF工業会の設立記念講演会

設立記念講演会


一般社団法人日本RPF工業会(関勝四郎会長)の設立記念講演会がこのほど、台東区の浅草ビューホテルで開催され、正・賛助会員をはじめ業界関係者多数が出席した。同会は新公益法人制度改革に基づき旧日本RPF工業会から移行、今年4月に一般社団法人として設立された。再生利用に適さない紙類や木くず等のバイオマス原料とマテリアルリサイクルが困難で焼却・埋立処分されていた廃プラスチック類を混合、生成した固形燃料RPF(Refuse derived paper and plastics densified Fuel)の製造を手掛ける事業者を中心とした業界団体。高品位な燃料製品の安定的な生産と販売体制の構築を目指し、多方面にわたる活動を展開している。これまでの取組みにより全国のネットワークの構築とともに、製品の社会的認知度も急速に高まっている。平成22年には、「廃棄物由来の紙、プラスチックなど固形燃料化」としてJIS規格が設定されている。そこで示された品質条件が現在、RPF製造事業者の品質確保の指針となっている。
関会長は、「全国の事業者が地域に埋没することなく、ネットワークを活用して情報を共有化することで業界全体が発展し、ひいては我が国の循環型社会の構築に貢献していきたい。」と述べている。
さきの震災を契機に我が国のエネルギー政策が大きな転換期を迎えているなかで、注目されるバイオマスのエネルギー転換とブラ系廃棄物の利活用に新たな道筋をつけた同会の試みが改めて各界から注目を集めている。記念講演会では経産省資源エネルギー庁・新エネルギー対策課課長補佐の石引裕貴男氏と京エコロジーセンター館長で京都大学名誉教授の高月紘氏がそれぞれ、「再生可能エネルギーの最新動向」「RPFと環境問題」をテーマに講演を行った。


災害廃棄物 圏内処理能力の増強など 年内の2県の調整完了めざし

災害廃棄物処理の推進に関する関係閣僚会合(第5回)が開かれ、①年内の被災地の処理能力増強と広域処理調整中案件の受入れ先の確定、②公共工事での再生資材の着実な活用、③年度内での岩手・宮城2県の全災害廃棄物の処理調整の完了──等方針をまとめた。
年内に被災地に仮設焼却炉5基、破砕・選別施設3カ所を設置するとし、特に岩手県では破砕・選別施設等を増強、宮城県では整備中の仮設焼却炉の大部分を本格稼働させるとした。広域処理調整中の案件は年内に必要な試験処理等を行い受入確定を目指すとしたほか、公共事業での再生資材受入れを進め、海岸堤防・防災林や港湾等の公共事業を積極的に活用し仮置場の早期解消をめざすとした。特に不燃混合物のふるい下や瓦くず、焼却主灰等の再生資材化が今後本格化することから、被災自治体の要請に応じてこれらの活用を発注内容に盛り込むことや、自治体の公共工事に活用されるよう調整を図る。
8月の前回会合では廃棄物の種類ごとに処理の調整状況(今後調整、調整中および調整済)を整理しており、岩手県では「今後調整」を要するものとして漁具・漁網約8万トン(広域処理)が、「調整中」として可燃物・木くず約24 万トン(同)、不燃混合物約49 万トン(原則県内・一部広域の可能性)があげられた。宮城県は「今後調整」が不燃混合物約43 万トン(広域処理)、「調整中」が可燃物・木くず約57 万トン(同)、不燃混合物約29 万トン(県内)など。


CO2排出量 新規購入や大型化で増加も 家電エコポイント制度の効果検証で

2009年5月から2011年3月に実施された家電エコポイント事業によるCO2削減効果についての会計検査院による検証の結果、エコポイント事業による削減効果は年間でおよそ21万トンとなり、環境省など3省の推計値と大きく異なる結果となった。新規購入や機器の大型化でCO2の総排出量が増加したとする試算結果も出されている。家電エコポイント事業は平成21年4月に決まった経済危機対策の一環として導入された取組みで、省エネ性能の高い家電製品(グリーン家電)の購入にエコポイントを付与するという仕組み。グリーン家電の普及促進を通じた地球温暖化対策の推進と経済の活性化、地デジ対応テレビの普及などが目的とされていた。
最終的な申請状況等の集計結果ではエアコンで737万台、冷蔵庫で525万台、地デジ対応テレビで3320万台の計4584万台でエコポイントの申請がされた。そのうち約72%を地デジ対応テレビが占めた。また、付与されたポイントはエアコンで622億点、冷蔵庫で560億点、地デジ対応テレビで5316億点の計6499億点となり、1ポイント1円換算となることから合計で6499億円がエコポイントとして投入されたことになる。
今回の会計検査院の検証によると、地球温暖化対策の推進についてはポイント付与の対象製品が統一省エネラベルの4つ星相当以上のものとされたことから、グリーン家電の普及には寄与していたとされた。一方で、二酸化炭素削減効果については3省の推計結果(年間273万トン)を大きく下回る21万トンとした。さらに、事業の実施前後のCO2排出量の増減についても、事業を契機とした新規購入や買い替えによる機器の大型化で、年間総排出量で最大173万トン増加したという試算結果を示している。ただし経済面での効果については、対象製品の7割超を地デジ対応テレビが占めたことなどからも、地デジテレビの販売推進等では一定の効果があったとしている。
なお、環境効果の面で3省の推計結果と大きな開きが生じた点については、こうした事業の効果を明らかにする場合、算出過程についても十分に検討したうえで第三者が算出内容を評価できるよう、その全体を明らかにしていく必要があると指摘している。


再生可能エネルギー 年度内250万kwを予定 買取新制度で設備導入が加速

今年7月にスタートした「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)で発電した電気を国が定めた固定価格で一定期間、電気事業者に買い取りを義務づけるもので、電気事業者が再生可能エネルギー電気の買取りに要した費用は、電気料金の一部として使用電力に比例した賦課金としてすべての利用者が負担する仕組みとなっている。我が国では大きな再生可能エネルギーについては大きなポテンシャルがあるとされながら、コストが高いなどの理由から利用が普及していなかったが、今回の新制度導入で関連設備の導入が急速に進んだ。
7月の制度開始以後、経産大臣による設備認定を受けた新規設備は9月末時点で約178万kWにのぼり、順調な滑り出しを見せている。特に9月に入ってからの導入実績が高い。うちわけを見ると非住宅用の太陽光発電が9月末時点103・6万kwで前月末比33・8万kw増、家庭用太陽光発電が同44・4万kwで前月末比13・8万kw増、風力発電が29・2万kwで前月末比3万kw増となっている。また、これらを含め今年度初めから9月末までですでに約91万2000kwが導入済み。その9割以上が太陽光発電で、さらにその大半が小型の家庭用設備となっている。年度後半にかけては大規模なメガソーラーが複数運転を開始する予定で、非住宅太陽光の伸びも大きくなるものと見られている。
年度末までの見込みでは、さらに住宅用太陽光で約150万kw、非住宅用で約50万kw、風力で約38万kw、中小水力で約3万kw、バイオマスで約9万kwの合計約250万kwが導入予定となっている。直近の年間導入量と比較すると家庭用太陽光が4割増、バイオマスが5割増の伸びとなるもよう。


中国国家質量監督検験検疫総局 2012年第128号公告 全登録輸出企業は2746社

中国国家質量監督検験検疫総局(AQSIQ)では先ごろ、2012年第128号公告を告示し、「原料として輸入可能な固体廃棄物の検査検疫監督管理法」、「国家質検総局令119号」および「原料として輸入可能な固体廃棄物の国外供給企業の登録管理実施細則」(2009年第98号)の規定に基づき、海外における中国向け再生資源輸出企業の登録管理状況について公表した。
それによれば、2012年9月1日時点における海外の登録輸出企業は全世界で2746社となっている。中国向けの再生資源貿易については、参入企業間による過当競争に加え、リーマンショックから欧米の金融不安による輸出先の中国における景気後退などから収益が悪化しており、倒産する企業も出ているのが実情だ。更に日本国内においては、福島第一原発からの放射性物質漏出に伴う放射能汚染の問題もあり、関係者の間では将来的な展望も踏まえれば事業を継続するメリットに乏しいとの声も聞かれるところとなっている。
また、昨年12月7日から今年の7月11日までの期間で登録ライセンスを暫定的に停止され、未だ登録ライセンスの再発行が受けられない企業は45社にのぼっている。これらの企業は2012年第128号公告告示以降60日以内にライセンス停止に至った問題点を是正した報告がなされない場合、ライセンスは抹消されることになるとしている。なお、未だライセンスを保有していない企業、或いはライセンスを抹消された企業については、「原料として輸入可能な固体廃棄物の国外供給企業の登録管理実施細則」に基づき、登録申請を行うよう求めている。


古紙再生促進センター 紙リサイクルセミナーを開催 環境変化への正確な認識必要

紙リサイクルセミナー

紙リサイクルセミナー


公益財団法人古紙再生促進センター (石田代表理事) では今月12日 (金)、 東京都千代田区永田町の星陵会館ホールにおいて、 平成24年度紙リサイクルセミナーを開催した。冒頭、 石田代表理事は、 「我が国の2011年の古紙回収率は77・9%、 古紙利用率は63・0%と高いレベルを維持しているが、 国際的に大きな社会・経済変動が生じている昨今、 この高いレベルのリサイクルを将来的にも維持発展させていくには、 紙リサイクルを取り巻く環境変化への正確な認識と、 柔軟かつ適切な取組が必要です。 本日の講演はいずれも古紙の利用、 品質、 回収、 流通にとって重要なテーマであり、 本セミナーが関係者の方々の紙リサイクルの推進に寄与することになれば幸いです。」 と挨拶。
続いて、 以下の3題について講演が行われた。① 「印刷物市場の動向について」 (公益社団法人日本印刷技術協会 (JAGAT) 専務理事・相馬謙一氏)、② 「日本古紙品質認定 (J―BRAND) 制度について」 (株式会社富澤代表取締役会長・瀧本義継氏)、③ 「少量排出事業所からの古紙回収について~3年間の取組~」 (有限会社グローバルプランニング取締役・小笠原秀信氏)。 このうち、 ①について、 相馬氏は全日本印刷工業組合連合会の日本の印刷市場の10年予測を紹介。 それによれば、 2020年には印刷市場規模全体としては現状より縮小するが、 生き残った印刷会社の1事業所あたりの売上高、 従業員数、 従業員1人当たりの売上高は上昇するとされている。 また、 電子書籍については2010年実績で出版市場の3・35%を占めるに過ぎず、 将来的にも数割を占めることにはならないとの見通しを示した。 そのうえで、 むしろ全国の図書館の貸出点数の増加が書籍販売に歯止めをかけていることが懸念されるとした。
また、 ③で小笠原氏は、 小規模・零細事業所の多くが入居するビルでは管理会社によって資源回収システムが整備されていると、 事業所の社員の意識や経営者の方針にほどんど関係なく古紙回収が行われており、 回収後の古紙流通については管理会社の担当者も把握しておらず、 廃棄物処理業者の取り扱い如何にかかっていることを紹介。 少量排出事業所に対する情報の周知・徹底が古紙回収率の上昇につながるのではないかとした。

J-BRAND 品質面での優位性担保に
全国製紙原料商工組合連合会では、 業の質の向上を目的とした 「古紙商品化適格事業認定制度」、 業の質と物の質の向上推進を目的とした 「古紙リサイクルアドバイザー認定制度」、 物の質の維持向上を目的とした 「日本古紙品質認定(J―BRAND) 制度」 の優良性評価三事業を実施しているが、 J―BRANDは優良性評価事業の果実ともいうべき位置づけである。 米国では一括収集が趨勢、 ドイツでも分別回収システムが立ち行かなくなっているなかで、 分別排出された我が国の古紙はブランド力を持っている。 商品化コストの70%が回収・収集費用という典型的な労働集約型産業である古紙産業では、 分別収集システムを維持することが古紙のブランド力を高め、 古紙産業の生き残りの条件となる。
J―BRANDはこの 10月から関東地区で開始され、 来年4月からは全国展開を予定しているが、 第一次認定銘柄は 「段ボール古紙」 と 「新聞古紙」である。「雑誌」 については現状では雑がみと混同され、 品質劣化も問題になっている。 排出者 (市民) 側、 消費者 (メーカー) 側ともに方向性が固まってくれば、 2年以内を目処に認定銘柄とできるのではないか。 J―BRANDの表示ラベルが貼付された古紙には品質面で優位性があるといった安心感を需要家に与えたい。 また、 この制度が持ち去り問題の改善にもつながると期待される。 将来的には品質認定の第三者機関を立ち上げるなど、 品質の維持向上をより担保する仕組みにしていきたい。


放射性物質汚染 建設地の選定が難航 「指定廃棄物」処分場の整備で

高濃度の放射性物質に汚染された焼却灰や下水汚泥など「指定廃棄物」を処分するための最終処分場の設置で、候補地の指定が依然として難航している。今年1月に施行された放射性物質汚染対処特別措置法に基づき、放射性セシウム濃度が8000Bq/Kg超の指定廃棄物は全量を国の責任で直接処理することとされ、全国の国有地等に処分場が設置される計画となっていた。当初の工程表では今年9月中にも候補地を選定、地元の同意を得たのち来年夏に造成工事がスタートし、遅くとも26年度中には対象となる廃棄物の搬入が始められる計画とされていた。
これまでに処分場の候補地として栃木、宮城、茨城、群馬、千葉等が提示されていたが、先行して地元に提案されていたた栃木、茨城でいずれも協議が難航しており、現在まで具体的な建設予定地の決定には至っていない状況にある。環境省の直近のデータでは原発事故に由来する指定廃棄物は岩手、宮城、福島、新潟、栃木ほか計9都県で合計4万2575トンと推計されている。このうち焼却灰が全体の6割超、下水汚泥が2割程度を占めている。また、福島県が3万1993トンで大半を占め、警戒区域の廃棄物など現状で把握されていないものも大量にあることから、今後さらに増えるものと見られている。
この秋以降、被災地での焼却処理が本格化するなかで、高濃度焼却灰の処理施設内での仮保管も徐々に限界に近づいており、県外処分施設の設置がまさに喫緊の問題となっている。現在までに候補としてあがっている自治体を中心に、それぞれ地元との調整が継続されることになる。