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WEB資源新報BackNumber 2011年5月

放射線問題 国土交通省が証明を実施 コンテナ、船舶検査ガイドライン策定

国土交通省海事局などではこのほど、港湾における放射線対策について国としての対応を取りまとめた。福島第一原発からの放射性物質漏出を受け、海外からは日本発のコンテナ及び船舶の安全性に関し懸念の声が上がっており、日本発のコンテナ及び船舶に対する放射線検査の実施・強化や 京浜港等への寄港取りやめなどといった事態が発生している。
こうしたことから同省では、「港湾における輸出コンテナの放射線測定のためのガイドライン」及び「船舶に関する放射線測定のためのガイドライン」を定め、4月28日より輸出コンテナ及び船舶の放射線測定に対する国等による証明を実施するとともに、港湾内の大気及び海水について放射線測定を実施するとした。「ガイドライン」のなかで、まず、測定機器についてはγ線が計測でき、少なくとも0・1~10μSV/hの範囲の1㎝線量当量率を検出できること。更に、セシウム137に対して±20%以内の精度を持つことなどとなっているが、国によって測定基準をBq/?で設定しているところもあるため、機器選定には留意が必要とされている。
次に計測方法についてはコンテナの場合、ゲートを基本とし、コンテナの種類によって左右側面と後面の3面、あるいは前面を加えた4面を計測する。一方、船舶の場合は船首部や中央船体付近などの暴露看板と船橋前方付近の5か所を標準として計測する。さらにコンテナ船舶いずれもこれらの計測に合わせバックグラウンド値も記録することとなっている。また、除染については、推奨値を測定場所バックグラウンド値の3倍、確実に除染が必要な値を5μSV/hとしている。
なお、国等による証明書は、コンテナの場合、港湾管理者や船舶運航事業者等がガイドラインに則って検査を実施し、証明申請を行うと、証明書が国土交通省と港湾管理者の連名で発行されるという形になる。一方、船舶については、ガイドラインに基づいて行われた検査結果を事業者が英文で結果レポートとしてまとめ、国土交通省や(財)日本海事協会に申請することとなっている。


各社節電対応に苦慮 容器関連は夏場の需要期を懸念

東日本大震災で今夏予想される東京電力、東北電力管内での大幅な電力不足への対策がさきごろ公表された。ピーク時の最大使用電力から契約電力500キロワット以上の大口需要化に対して25%程度、同500キロワット未満の小口需要家に同20%程度、一般家庭に15~20%程度削減するよう求めている。
リサイクル関連業種では大量の電力・動力を要する加工事業者の一部が大口需要家となり、オフィスや現場での空調・照明等では25%カットが困難なことから、ラインの一部休止や動力の一部を電気以外のエネルギーに転換するなどの措置を講じて削減計画を立てている。震災以降、原料の物流に停滞感が見られたことや計画停電の影響などもあってメーカーへの納入が減っていることもあり、現状ではラインの休止等さまざまな対応策が講じることができるが、特に飲料容器関連等では東北地区のメーカー、再生加工業者の動向が見えないだけに、今夏の計画も立てずらく、需要がピークとなる夏場の対応を懸念する声もある。
政府案では、昨年並みの猛暑となった場合、1日当たりの電力不足が東京電力管内で1500万キロワット、東北電力管内で330万キロワットになるものと想定している。 政府は、大口需要化に対しては営業時間の短縮や夏期休業の延長・分散化などによる対応を求めているほか、小口需要家に対しても冷房や照明、オフィス機器での節電方法など、具体的な節電策をメニューとして示している。


びん・カレット 集荷体制復元が急務 長期の発生減少避けられず

今回に震災では、生活ごみが大半を占める容器包装廃棄物の発生・収集動向にも多大な影響が出ている。東北地区のガラスびんリサイクルは多くが各地区自治体が主導する資源収集で行われているが、今回の震災で特に被災地やその周辺地域では、行政機能の低下などでリサイクルシステムが機能しない状況が続いている。
仙台市の例では、拠点となるリサイクルプラザは幸いにも大きな被害は免れたものの、震災以降これまではライフラインの復旧や災害廃棄物、生活ごみの処理などに重点が置かれ、資源ごみの収集・資源化にまでは手がまわらないという状況が続いている。びんカレットの再資源化は自治体が分別収集したものを容リルートや随契の入札で決定したカレット事業者が引き取り再生加工しているが、今回の震災で当地のカレットを扱う大手2社のうち、1社当たりで白・茶合わせて年間4~500トン程度の発生が見込めなくなるもよう。
行政主導ということもあり、今後復旧が進んでリサイクル分野でも行政機能が回復すれば、徐々に従来のシステムも復元されるものと見られているが、津波被害の甚大な地域や原発問題での避難地域では生活ごみ自体の発生が激減していることから、システムが復元しても従来ベースの資源の発生は期待できない。震災の影響で需要が減少していることもあり直ちに原料の供給に影響することはないものの、長期にわたる対応が必要となることは確かなようだ。

東北 破損びんが大量に発生 酒類、飲料工場の震災被害で
また震災により、東北・北関東地域で酒類・飲料関係の製造ラインも多数被災した。キリンは仙台工場と取手工場に甚大な被害があり、雪印も野田工場、茨城工場、みちのくミルク・本社工場の3工場が一時、前面操業停止となった。また、震災地域には大小、合わせて多くの酒蔵が点在するがそれらも甚大な被害を受け、被害の全容すら把握できない状況にある。
これらメーカー・ボトラー各社では、施設の被害もさることながら在庫されていた容器類が大量の廃棄物となり、リターナブル用びん容器の不足や、破損びんの処理が大きな問題となっている。特にビールびんや牛乳びんなどリターナブル容器の多くはリユースの使用ができず、カレット化処理に回されることになるが、通常の空びんの発生とは違って中身製品の入ったものやキャップ等異物の混入、未選別なものなど、通常のカレット化処理では対応しづらい状況のものが大量に発生している。