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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2019年4月

エンビプロ・ホールディングス 「RE100工場」達成

エンビプロ・ホールディングス(本社・静岡県富士宮市)は、「RE100」目標達成の一環として、再生ゴムを製造・販売するグループ会社の自社工場が、5月1日から「RE100工場」になったと発表した。
「RE100」を達成したのは同グループ会社の東洋ゴムチップ(群馬県前橋市)。自社工場で消費する電力を、エナリス・パワー・マーケティングを通して再生可能エネルギー(FIT電気含む)由来の電気を供給する「RE100メニュー」に切り替えた。これにより、同グループが事業で消費する電力は、約17%が再生可能エネルギー由来の電力となり、RE100目標達成に一歩近づいた。
エンビプロでは次のステップとして、同グループでリサイクル事業を手がける、しんえこ(長野県松本市)が保有する小宮太陽光発電所(松本市)から特定卸供給を活用して、東洋ゴムチップへの再生可能エネルギー電力の供給を、6月を目途に開始する。FIT電力に、トラッキング付非化石証書を付加して供給する計画だ。
この再エネ電力の供給は、同グループで、環境経営コンサルティングサービスを提供するブライトイノベーションが、計画から導入までをワンストップで行った。ブライトイノベーションはこのノウハウを活用し、グループ全体でCO2削減や再生可能エネルギー促進に取り組もうとする企業に対し同様のサービスを提供していく。

【「RE100」とは】
事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟するイニシアチブで、「Renewable Energy 100%」の略。2014年に発足し、今年2月時点で、世界全体で食品世界大手スイスのネスレ、家具世界大手スウェーデンのイケア、アパレル世界大手米NIKEなど、164社が加盟する。


ガラスびん輸出本格化 「茶カレットの国外流出」懸念

毎年のように微減する生産量、それに伴う回収量の減少など構造的な問題を抱えつつも、平成9年の容リ法施行以来、静脈側では市況変動など大きな問題も無く安定したリサイクルが続けられてきたガラスびん。しかし、令和時代に入り、大きな転換期を迎えるかもしれない。
近年、海外で日本酒の人気が高まっていることを耳にする機会は多い。NTTコムリサーチの調査では訪日外国人の8割が旅行中に日本酒を飲んでいるというデータもある。事実、海外輸出は量・金額ともに2010年から毎年過去最高を更新しており、2018年には、輸出量2574万6831リットルで前年比10%増を記録した。
当然ながら、日本酒が輸出されているということは、その容器であるガラスびんも同時に輸出、つまりカレット原料が「国外流出」しているということになるが、それ自体がガラスびんリサイクルにとって大きな問題に発展する可能性は低い。日本は酒類の輸入大国でもあり、ワインや洋酒、焼酎などの容器として相当量のガラスびんも同時に輸入しているからだ。
ここにきて懸念材料となっているのは、ガラスびん「そのもの」の輸出が本格化してきていることだ。特に健康ドリンクなどに使われる50mlの茶びん、いわゆる「ドリンクびん」の海外需要が急伸しているという。この背景にもやはり「インバウンド」がある。
訪日外国人数が初めて1000万人の大台に乗ったのが2013年のこと。2015年には中国人観光客が大量に商品を購買する行為を指す「爆買い」が流行語大賞になった。当時の中国人観光客に家電や菓子類、生活用品などと並んで人気だったのが美容・健康グッズだ。特に美容・健康系ドリンクの売行きは凄まじく、欠品の出るドラックストアが相次いだ。
漢方文化が根付く東アジアではドリンク剤を飲む習慣こそ従来からあったが、この「爆買い」を経て中華圏で50mlの小びんに入った「日式」ドリンクが定着する。これに目を付けた台湾系企業が日本から小びんを輸入、「日式」美容ドリンクを売り出し、現在、中国や台湾で爆発的な人気になっているという。実際に通関統計を見ると、2018年の日本から中国・台湾へのガラスびん(HSコード:7010.90‐900)の輸出量は1万6086トンで2010年の13倍もの数字になっている。2019年の統計は3月までしか発表されていないが、現時点で年間2万トンを優に超えるペースで増加している。
この「日式」ドリンクブームが一過性のものなのか、それとも文化として定着していくのか、さらには中国・台湾国内で小びん製造が拡大していくのか、今後の推移を見ていく必要があるが、それでも、茶カレットの「国外流出」という新たな局面に突入しているということは言えるだろう。また、従来の容リ法ではガラスびん「そのもの」が大量に輸出される状況は想定されておらず、リサイクル率の計算手法など、制度整備の面でも問題となっていきそうだ。


令和元年波乱の幕開け ベースメタルは全面安のスタート

令和元年5月スタートの国内ベースメタル建値は全面一段安となった。米国による対中関税の一段上げ改定というトランプショックを受けたもので、世界経済の先行きに暗雲が広がっている。
JX金属は7日、5月積み銅地金建値をトン当たり2万円値下げした74万円に改定すると発表した。指標となる海外LME銅市況安と算定ベースとなる為替の円高調整によるもので、他の国内産銅各社もこれに追随する模様だ。
週明け5月6日(現地)のロンドン市場はバンクホリデー休場で、先週末のセツルメントが6180ドル。週明け7日入電のNY銅が若干値を戻したことで、当初の3万円下げ予想からやや後退した2万円の下げに止まった。


伸銅品2018年度生産は3年ぶりに減少 貿易戦争余波で輸出向け打撃

伸銅品の2018年度生産量(一部速報値)が3年ぶりにマイナスとなった。米中貿易戦争を中心とした世界経済の減速と、ブレグジットが波紋を広げる欧州域の不振等が影響したもので、特に米中双方による関税の掛け合いがもたらした貿易マーケット縮小の影響は2018年度の後半になってボディブローの形で効き始めている。
このため、我が国の伸銅品の2018年度生産量は81万382トンで、前年度比1.4%のマイナスとなった。
(一社)日本伸銅協会が4月23日に発表した3月の伸銅品の生産出荷速報によると、3月の生産量は前年同月比7.3%のマイナスで、対前年同月比増減では2018年12月から4ヵ月連続でのマイナスとなっている。
中国経済における減速感は、新車販売の不振等自動車業界や、モバイル通信機器関連等で際立っており、特に貿易戦争で関連した部門での不振が目立っている。このため、輸出部門の年度全体での落ち込みは4.7%減少の13万5129トンに止まった。


新会長に高沢秀雄氏 軽金属同友会が第52回総会

関東地区のアルミ原料流通を担う問屋とアルミ二次合金メーカー、商社等で組織される「軽金属同友会」(会長=川部久雄㈱川部商店社長・川崎)では4月19日午後、中央区銀座のサンミ高松7丁目店に会員他100名が出席して第52回の総会を開催、第1、2号議案と任期満了に伴う役員改選の3号議案を満場一致で承認可決した。
役員人事では2期4年を務めた川部久雄会長が相談役に退き、新会長に高沢秀雄氏(㈱高沢アルミ社長・所沢)が選出されて就任した。
総会終了後、席を新たにした懇親会で挨拶に立った高沢新会長は、「期せずして新しい元号 『令和』 の幕開けに会長という重責を担うことになりましたが、振り返ってみれば、平成の30年余りは正に多くの激震が走った時代でありました。 記憶に残る相場ではバブル崩壊後の銅建値105万円であり、 リーマンショックという想像を絶する経済面での打撃とその後の中国による巨額財政出動による回復へ向けた道筋への転換、一方で東日本大震災から熊本へという自然災害による激震に曝され、商売に関連した変化では昨年一杯で閉鎖された中国リサイクルマーケット向け物流の停止まで、実に様々な激震の中で様々な対応策を講じてきました。今後も変化をチャンスと捉え、会の設立以来絶えることの無い『和気藹々』としたアルミ専業界の気さくな業界風土の下で、今後の変化にも取り組んで行きたい。AIやIT等の第4次産業革命については、若手の青年部が控えているので任せることとし、来たるべき変化に会を挙げて取り組むためにも会員の皆様の一層の御協力をお願いしたい」(要旨)と挨拶し、川部相談役の乾杯の音頭で懇親会に入り和やかなひと時を過ごした。


触媒資源化協会まとめ2018年の触媒類資源化実績 金額ベースで768億円に

触媒資源化協会(JCRA、会員44社。会長=安田豊JX金属執行役員環境リサイクル事業本部長)ではさきごろ、2018年(平成30年)暦年における触媒類の資源化実績報告書をまとめた。
同会が石油化学・自動車部門等から排出される使用済触媒や電気・電子工業製品、医薬・医療・歯科材料、宝飾関連分野における非鉄金属(金、銀、白金族、レアメタルや銅等ベースメタル)の再生・有効利用に携わる過程で回収・再資源化した実績は、金額ベースで768億8940万円となり、前年比で18.6%の2桁増加となった。
これを貴金属部門、ニッケル‐コバルト部門、モリブデン‐バナジウム‐タングステン部門、アルミナの部会別に見ると、貴金属部会(金、銀、プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、レニウム) は723億7500万円で全体の資源回収金額の94.1%を占めている。
また、貴金属部会の回収量を金額ベースで見ると、2016年の451億1660万円をボトムに2017年の622億2520万円、2018の723億7460万6000円と2年連続で増加しており、 貴金属部門の前年比プラスは16%に達している。
触媒の回収メタル量を品種別にみると、 銀は1万3729キロで前年比225倍の増加、金が153キロで同比63.5%の激減、 プラチナは2953キロで同比9.9%の増加となった。パラジウムは1万4952キロで同比0.7%の微減、ロジウムが726キロで同比7.2%のマイナス、ルテニウムが445キロで同比2.7倍となった。2018年のレニウムの資源化実績は0であった。

鉛受け入れ増で76倍に
触媒資源化協会がまとめた2018年暦年の資源化実績で、貴金属以外で前年実績を大きく上回ったのは鉛地金回収量。前年比76倍と顕著な伸びとなっている。これは鉛蓄電池由来の受け入れ量が、 韓国向け輸出の激減の反動で急増したことによるもの。
このため前年のメタル回収量で326.773トンに止まった鉛は、2018年暦年合計で2万4876.027トンに急増している。
また、ベースとなる単価も2017年のキロ当たり263円から2018年の250円とほぼ横這いとなったことから、金額ベースでも72.4倍という高い伸びを記録している。
一方の錫は金額ベースで4.5%のマイナスとなったが、これ以外はほぼ軒並みプラス成長を遂げている。


食品ロスは1767万トン 農林水産省平成29年度の食品循環資源実態調査

農林水産省はさきごろ、食品リサイクル法に基づき、平成29年度の食品循環資源の再生利用等実態調査を実施し、結果を公表した。
平成29年度の食品産業における食品廃棄物等の年間発生量は1767万トンであった。
業種別の内訳をみると、食品製造業が1411万トン、外食産業が206万トン、食品小売業が123万トン、食品卸売業が27万トンとなっている。
また、食品廃棄物等の年間発生量のうち、再生利用の実施料をみると、食品製造業が1163万トン、食品小売業が48万トン、外食産業が43万トン、食品卸売業が17万トンとなっている。


カーボンリサイクル軸に 今後の脱炭素政策の方針を提言

政府は4月2日、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会を開催。今後の脱炭素政策の軸に、CO2を効率的に回収し、燃料や原材料として再利用する「カーボンリサイクル」を据える方針を提言としてまとめた。
冒頭、挨拶に立った安倍晋三首相は以下の旨で挨拶。「気候変動という地球規模の課題に立ち向かい、脱炭素社会という究極のあるべき姿を実現するためには、従来の延長線上ではない、非連続的なイノベーションを起こさなければならない。本日の提言を踏まえ、政府として本年中に、革新的環境イノベーション戦略を策定することとし、早速その検討に着手する。水素エネルギーのコストを2050年までに現在の10分の1以下、天然ガスよりも割安にする。さらには、人工光合成など二酸化炭素の有効利用を図るCCU技術の商用化に向けた具体的なロードマップなどを盛り込んでいく」。
また、「最大の鍵は、民間投資の拡大」とし、「ESG投資が、この5年で1000兆円以上増加するなど、世界の資金の流れが大きく変わりつつある今こそ大きなチャンス。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の考え方に基づき、環境分野における企業の取組について情報開示を充実し、この資金の流れに一層の弾みをつけていく。政府として、今後、事業会社に続き、金融機関向けにも、グリーン投資に関するガイダンスを策定する。また本年秋に、世界中の先進的な事業会社、金融機関が一堂に会するTCFDサミットを開催する予定。
もはや温暖化対策は、企業にとってコストではなく、競争力の源泉。環境問題への対応に積極的な企業に、世界中から資金が集まり、次なる成長と更なる対策が可能となる。正に環境と成長の好循環、この環境と成長というのは対立概念ではないわけであって、安倍政権における経済政策も、成長と分配の好循環を今、回している。かつては、成長か分配か、対立概念だったが、成長し、その果実を適切に分配し、それがまた次なる投資を呼び、成長につながっていくということ。環境政策のパラダイム転換を起こしていきたいと決意している」と述べた。
「カーボンリサイクル」とは、例えば、回収したCO2と水素から、都市ガスの主成分となるメタンを合成したり、CO2をセメントやプラスチックの材料としたり、植物工場での生産促進に活用したりする技術。CO2を一概に厄介者として扱うのではなく、逆転の発想で有効利用することによって削減していこうという試みだ。しかし、実際にCO2を回収して資源として再利用する上ではさまざまな技術的ハードルが待ち構える。
経済産業省では今年2月、技術革新を後押しするため、担当部署「カーボンリサイクル室」を新設。カーボンリサイクルの技術開発に関するロードマップの策定作業を本格化し、6月に長野県軽井沢町で開かれるG20の関係閣僚会合で示す見通しだ。今秋には、東京で国際会議も計画している。


古紙センター 国内外の動向踏まえ2019年度の事業計画を策定

(公財)古紙再生促進センター(渡良司代表理事、以下「古紙センター」)では先ごろ、理事会を開催、平成31年度の事業計画を策定した。昨今の古紙を取り巻く状況のポイントは次の通り。
1、平成29年度の我が国の古紙利用率は64.2%。「資源有効利用促進法」に基づく2020年度の古紙利用率目標は65%であり、当該目標の達成はもとより継続的な古紙利用率の向上の取り組みを加速することが必要となっている。
2、eコマースの進展により段ボール原紙を中心に板紙の需要が好調な反面、グラフィック系を中心に紙の需要は引き続き低迷するという需要構造の変化の中、利用率向上に必要な良質な古紙の確保が難しくなっている。
3、古紙の二大輸出地域である米国・欧州ではeコマースの進展により、段ボール原紙製造設備の新増設等が進んでおり、域内での古紙消費増から古紙輸出余力が減少する一方、中国の古紙輸入政策の変更に伴い低品質古紙は余剰となり、一部は埋め立て処理に回っている。
4、中国の2017年末からの環境保護に伴う低品質古紙の輸入規制に加え、米中貿易摩擦もあり、高品質な日本の古紙への引き合いが急増し、我が国の持続的な紙リサイクルの安定に影響が出た。更に、中国は2018年7月に「2020年末までに固体廃棄物の輸入0を目指す」との方針を打ち出しており、今後の動向を注視していく必要がある。
古紙センターではこれまで、我が国における紙リサイクルの基本は、古紙品質の維持・向上であるとして、排出先における分別の徹底・禁忌品の除去、流通段階での選別の徹底、未利用古紙の掘り起こし等を推進。古紙回収率と古紙利用率の向上を図る一方で、紙リサイクルの安定のために古紙輸出を進めてきた。
今後も昨今の1から4の状況を踏まえながら、国内外の動向の把握や古紙品質の維持・向上、紙ごみの資源化、安定的な紙リサイクルシステムの確保等の諸課題に対応すべく、事業を行っていくとしている。
具体的には、適正かつ効率的な紙リサイクルを促進し、地球環境の保全、経済の健全なる発展及び循環型社会の形成に貢献し、公益の増進に資することを使命として、家庭、事業者、地方自治体、古紙問屋や製紙会社等関係者の支援・協力を得て、1、古紙品質安定対策事業、2、広報事業、3、調査研究事業及び4、紙の資源リサイクル安定化対策事業を4つの柱として実施していくとしている。