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再生資源・リサイクル業界の専門紙

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WEB資源新報BackNumber 2019年2月

死傷者数は1246人 平成30暦年の産廃業の労働災害発生状況

(公社)全国産業資源循環連合会のまとめによると、平成30暦年の産業廃棄物処理業における休業4日以上の死傷者数は1246人で前年より137人減少した。一方、死者数は23人で、前年より5人増加している。
死傷災害の発生状況の内訳を見ると、「墜落・転落」が21.2%と最も多く、「はさまれ・巻き込まれ」(20.1%)、「転倒」(14.5%)、「動作の反動・無理な動作」(9.3%)、「飛来・落下」(8.4%)が続いている。
なお、この調査は厚生労働省の「労働災害統計」を基に全国産業資源循環連合会が編み直したもの。同連合会では現在、平成29年度から平成31年度の3年間で全ての都道府県において死傷者数を20%以上減少させることを目標に掲げ、各都道府県協会とともに労働災害防止に取り組んでいる。


バーゼル法汚れた廃プラの輸出規制 4月の締約国会議で提案へ

政府は、世界から注目を集めている海洋のプラスチック(マイクロプラスチック等)汚染防止や大局的な環境問題の観点から、4月にスイス・バーゼルで開催される「バーゼル条約締約国会議」で、ノルウェーが提案している「汚れたままの廃プラスチックに対する輸出規制案」について、同国と足並みを揃え共同で提案すると発表した。2月26日、原田義昭環境大臣は「環境汚染を防止する観点から廃プラ汚染に関してリードしていきたい」と語った。
環境省は、6月に我が国で開催するG20(20ヵ国・地域首脳会議)に向けて、資源循環政策を巡る我が国のスタンスをとりまとめており、来る4月のバーゼル条約締約国会議等の様々な機会をとらえて我が国の廃プラ政策を世界に発信することになる。
中国の廃プラ輸入禁止以降、我が国からの廃プラ輸出はタイ、ベトナム、マレーシア、台湾等に様々な形で輸出されているが、「既に当事者サイドでは現実に即した輸入規制の動きも強まっている」(環境省当局者)としており、バーゼル条約の対象となっている廃バッテリー、医療廃棄物等の有害廃棄物に対する規制を追加するものとなる。


環境省プラ戦略 最終案決定、答申へ

環境省中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環戦略小委員会は2月22日、「プラスチック資源循環戦略案」について、最終的に議論し、同日決定した。今後、原田義昭環境相への答申を経て、政府の「循環戦略」に格上げし、6月に大阪で開催するG20首脳会合へ向けて、日本政府の姿勢をアピールする。
「戦略案」は、これまで明らかになっていたものから大きな変更は無く、「使い捨てプラスチックの排出量を2030年までに25%削減」、「小売店へのレジ袋有料義務化」、「2035年までに、すべての使用済プラスチックをリユース又はリサイクル。難しい場合は熱回収」、「バイオプラスチック利用量を2030年までに200万トン」などが盛り込まれた。
これまでの案から変更された点としては、「プラスチック容器包装廃棄物の世界全体での有効利用率14%、日本での有効利用率84%」という表記が削除され、「廃プラスチックのリサイクル率27.8%と熱回収率58%を合わせて85.8%」との文言が追記された。これまでの議論での、一部委員からの指摘や環境系団体からの提言などを受け、何の留意もなく、熱回収をリサイクル率に含む記述を改め、より実態に即した記述にした。そのほか、熱回収に関しては、「リサイクルによる再生利用、それが技術的経済的な観点等から難しい場合」に実施する旨が追記され、より慎重な姿勢を含意する文言に改めた。
また、「使い捨てプラスチックの排出量を2030年までに25%削減」という数値目標に関して、これまで基準年が明確にされていないことが指摘されてきたが、決定された「戦略案」でも、「『これまでの努力も含め』累積で25%排出抑制する」という表現に留まっている。今後、レジ袋有料義務化の開始時期も含め、産業界と調整を進めていく見通し。


回収システムの根幹支え 古紙センターが集団回収表彰

感謝状贈呈式

感謝状贈呈式


(公財)古紙再生促進センターは2月21日、ホテルグランドパレス(東京都千代田区)にて、関東地区の集団回収感謝状贈呈式を開催した。
冒頭、和田健太郎関東地区委員会委員長は以下の旨で挨拶を述べた。「この度は長年にわたり、古紙の集団回収に取り組んでこられた関東地区13団体の皆様に、私たちの感謝の気持ちを込めて感謝状をお送りすることは大変喜ばしく思っている。本日は本当におめでとうございます。資源の少ない我が国において、古紙は貴重な国内資源ということで、古くから回収利用が行われてきた。昨年1年間で約2100万トンの古紙が再生され、うち約1700万トンが国内において紙の原料として使用され、約400万トンは海外に輸出された。古紙の回収率は81.5%ということで、世界でもトップクラスの水準となっている。利用率も64.3%となっている。我が国の古紙の回収・利用及び品質は世界的にトップの水準にあるが、古紙の回収システムを支えているのは、古紙の発生元である家庭や事業所の皆様の草の根的な協力にあるといっても過言ではない。このような理由から古紙センターでは、集団回収に取り組まれている団体に対して、感謝状を贈呈する制度を昭和62年から開始した。この制度は古紙業者がセンターの地区委員会へ引取先の団体を推薦することにより、感謝状を贈呈する仕組みになっている。すでに、全国各地857の団体に感謝状を差し上げている。関東地区では本日お越しの皆様を含め140の団体に差し上げた」。
今回受賞した団体は以下の通り。栃木市立皆川城東小学校PTA(栃木県栃木市)、並榎こども会さつき支部(群馬県高崎市)、熊谷市立玉井小学校PTA(埼玉県熊谷市)、熊谷市立中条小学校PTA(同上)、熊谷市立中条中学校PTA(同上)、平和台自治会(千葉県流山市)、塚田地区連合自治会(千葉県船橋市)、大宮1丁目自治会(東京都杉並区)、足立高砂町会青少年部(東京都足立区)、伊興中央町会(同上)、大川町東町会(同上)、下堀自治会(東京都東村山市)、秦野市立上小学校PTA(神奈川県秦野市)、秦野市立上幼稚園PTA(同上)、大東町自治会(神奈川県横浜市)。
式典は受賞団体を代表して皆川城東小学校の渡邊正校長が挨拶を述べた後、大久保信隆関東地区委員会副委員長の閉会挨拶で幕を閉じた。

[受賞者代表の挨拶]
本日は私たちが取り組んでいる活動に対し、感謝状、記念品までいただき、誠にありがとうございます。私たち各団体とも、それぞれの活動を充実させるための資金を調達する目的で古紙をはじめとするリサイクル品の回収に取り組んでいる。ただ、活動を通して得られるものは資金だけにとどまらず、組織が一体となるとともに、限られた資源を大切にしたり、環境やリサイクルへの意識を高めるといった目に見えない効果も得ることができている。今回受賞できたことは、今後私たちの活動において、一層の励みになる。早速会員に紹介させていただくとともに、学校便りやホームページ等を通じて地域にもお知らせしていきたい。


2019暦年アルミ缶需要見通し ビール以外は増加、総量は216億1000万缶で微減

アルミ缶リサイクル協会(富永泰夫理事長)は2月15日、千代田区一ツ橋の「如水会館」において定例の記者会見を開催、今年2019年暦年の我が国飲料用アルミ缶の需要見通しと2018年度のアルミ缶回収協力者表彰およびアルミ缶優秀回収拠点表彰について報告した。
今年暦年の飲料用アルミ缶需要見通しは、総量で216億1000万缶となり前年実績見込みの216億6000万缶から0.2%の微減となった。
全体の傾向では2017年暦年の219億3000万缶から2018年暦年が216億6000万缶に1.2%の減少、直近のピークとなった2017年実績から2年連続の微減となった。
需要部門別の内訳をみると、ビール以外のその他アルコール飲料向けが2018年実績見込みの39億4000万缶から43億3000万缶に10%の増加となること、また、ボトル缶が前年2018年の26億1000万缶から26億5000万缶に2%増加しており、前年までの漸減傾向がここに来てやや歯止めを見せるという期待感の台頭も散見されるという状況となっている。
ただ、ビールは依然として漸減傾向が続き、94億缶に止まりそうだ。
アルミニウム缶需要量



「資源」見直される今 東資協が新年賀詞交歓会

東資協賀詞交歓会

東資協賀詞交歓会


東京都資源回収事業協同組合(松本貞行理事長。以下「東資協」)は2月2日、新年賀詞交歓会を東京ガーデンパレス(文京区)にて開催した。
冒頭、松本理事長は以下の旨で挨拶した。「昨年、資源業界は中国の影響を受けて、大変な一年になった。上半期は資源物の輸出が止まり、下半期は米中貿易戦争の反動で日本の古紙が暴騰した。また、昨年末以降は中国国内の輸入ライセンスの問題で一転暴落し、今現在は輸出が滞っている状況だ。近年の日本のリサイクルは中国頼みになっている部分があったので、大きな影響を受けている。先日、ある経済学者が『今年、中国経済は低迷する。この先10年で昨年が最も良い年になるのでは』という見通しを示していた。そうなれば、資源物を国内で循環させていくということに重点を置いていかなければ、集めたものがごみになってしまう可能性も出てくる。また、世界的には今、SDGs(持続可能な開発目標)が謳われている。このなかでも環境に対する取組が重要視されている。ここをしっかりやっていかなければ、日本は環境後進国になってしまうだろう。さらにマイクロプラスチックの問題もある。プラスチックから紙製品への代替が進んだり、ガラスびん容器が見直されてきたり、『資源』というものが見直されてきている。今後、資源業界は環境を考えるうえで大事な仕事になってくる。それを踏まえ、今年1年、東資協として活動していきたい」。
その後、来賓を代表して、自由民主党東京都支部連合会最高顧問・内田茂氏、都議会自由民主党政策参与・小磯明氏、同党・小松大祐氏ら東資協顧問の面々のほか、都議会公明党・小林健二氏、都民ファーストの会・増子博樹氏、都議会民主党・立憲民主党幹事長・中村洋氏、東京都産業労働局商工部部長・坂本雅彦氏、東京都市町村清掃協議会会長・稲城市長・高橋勝浩氏、特別区清掃リサイクル主管課長会会長・井上一氏が挨拶。東京都リサイクル事業協会理事長の栗原正雄氏の発声で乾杯、歓談となり、盛況裡のうち散会となった。