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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2018年4月

全国産業資源循環連合会 ニーズなどを調査検討 海外見据えた産廃業界の人材育成

(公社)全国産業資源循環連合会(旧・全国産業廃棄物連合会)はさきごろ、環境省から受託した「平成 29 年度産業廃棄物処理業における人材育成方策調査検討業務」について報告をまとめ、概要を公表した。
この調査は、産業廃棄物処理業における人材育成に係る方策及び外国人技能実習制度の活用に向けた検討等を行うとともに、産業廃棄物処理業に対する地域住民等の理解を促進するための人材育成ツールの作成を目的としたもの。地域社会や地域経済への貢献を十分に意識して業務を遂行できる能力・知識を有する人材育成をし、従来のイメージの払拭を狙う。また、アジアなど開発途上国への進出なども視野に入れた基礎的な調査・検討となっている。
今回の主な成果は、①産業廃棄物処理業に関する映像ツール(DVD)の作成と②外国人技能実習制度の活用に向けたニーズ調査・検討等。①では、適正処理と作業の安全確保が重要であるという観点から、排出事業者・処理業者が各工程で留意すべき事項を分かりやすく説明した映像ツールを作成。業務別に、収集運搬(建設廃棄物の例)(12分)、中間処理(破砕・選別、焼却、中和)(16分)、最終処分(11分)の3パート別に実際の現場の映像を盛り込み、事務手続きや車両・設備保全、モニタリング、安全衛生管理など、各業務の一連の流れが分かるように作られている。
②では、産業廃棄物処理の業務は、現在のところ外国人技能実習制度の対象職種になっていないため、海外に支社・支店等を有する日本企業へのニーズ調査、ベトナムとタイにおける産業廃棄物分野の人材育成に関するニーズ等現地調査、外国人技能実習制度を既存の認定職種(機械保全)で利用している産業廃棄物処理業者の現状調査を行っている。
海外に支社・支店等を有する日本企業の調査では7社をヒアリング。うち 6 社において、現地で活躍するマネージャー、役員クラスの人材を欲しており、現行制度の研修期間、対象者が、企業ニーズとマッチングしていないとの意見が多かった。ベトナムにおけるニーズ調査では、政府は今後焼却・リサイクルを進める方針で、「従来からの技能実習の職種に加えて、廃棄物処理やリサイクルの職種を技能実習制度に追加することに期待感を持っている」としたものの、訪問した現地企業等においては、技能実習制度についてまだ浸透されておらず、これらの企業等としては、3年にわたる自社の社員に対する長期研修ではなく、例えば新規設備等の運転に役立つ短期の研修を望む声が強かったという。しかし、一部の企業では、技能実習により習得した技能(廃棄物処理・リサイクル)を証明する認定書があれば、そのことが人手不足の企業として研修修了者を雇用する判断材料となるとの認識も示された。連合会では「国全体として、埋立量を減らす廃棄物処理・リサイクルの底上げのため、廃棄物処理等を行う企業にとって、技能実習制度は技能を有する者の供給として、相当な貢献をすると思える。同時に、個々の企業にとっては即戦力となる、あるいは将来のリーダーとなる人材のための研修機会も必要であることがわかった」とまとめている。

外国人技能実習制度について
前記の調査から、海外に進出している国内の企業では、外国人技能実習制度(3年又は5年の研修)に対する期待感は少なく、海外事業所で活躍するリーダーをより短期で養成することを望んでいることがわかった。また、ベトナムとタイでは、経済発展のレベル、廃棄物処理の実績、社会状況等が異なるので、廃棄物処理・リサイクル分野の技能実習制度に対する関心は、それぞれの国の企業や送り出し機関どうしで差が生じているとして、今後、産業廃棄物処理業の業務を外国人技能実習制度の対象職種とするにあたっては、実習生が研修を修了し帰国した際の雇用及び技能の活用の目途、更に送り出し国のニーズを踏まえ、研修の内容等を十分検討した上で、進めていく必要がある、とした。そのためには、重点と考えられる中間処理業務を中心として、モデル実習計画案等を、技能実習生に関心を有する海外企業・送り出し機関、国内企業と意見交換を行い、その内容を作成し改善していくことが必要としている。
外国人技能実習制度は現業職を主な対象とした研修であるため、リーダー的な人材を対象とした人材育成も、インターシップを含め既存の研修プログラムを一層活用する手立てを検討する必要があることも指摘。
なお、日本における産業廃棄物処理やリサイクルが環境を守り産業を支えるものであるというメッセージを技能実習生に伝えていく必要性を指摘。そのような意識を持つ有能な人材を育てていけば、技能実習生本人のみならず送り出し国の発展にとって、更に技能研修生を受け入れた日本企業の海外展開にとってもメリットになるという。技能実習生に伝えるものとしては、低炭素化技術やSDGs(持続可能な開発目標)の考え方も含まれることが望ましい、とまとめている。


エコマーク商品「機密文書処理サービス」 認定第1号は大和紙料 収集から運搬まで一貫処理

(公財)日本環境協会(東京都中央区、森嶌昭夫理事長)エコマーク事務局では、本年1月1日にエコマーク商品「機密文書処理サービスVersion1.0」の認定基準を制定したがさきごろ、大和紙料株式会社(本社=大阪市大正区、塩瀨宣行代表取締役社長)が提供する「大和紙料メルパルシステム」がこの「機密文書処理サービス」の第1号認定を取得したと発表した。
エコマーク商品「機密文書処理サービス」は、機密情報が含まれる古紙原料の場合、機密情報が適切に抹消される必要があるが、これまでは情報抹消のためシュレッダー裁断後に焼却処理されてしまうケースも見られたことから、オフィス発生古紙を製紙原料として循環させることでより高い古紙利用率を実現させるため本年よりエコマークとして基準化された。この認定基準は、機密文書の処理方法別 (裁断処理・溶解処理)に、機密文書のリサイクルに加えて、副次的に発生する製紙原料とならない異物の再資源化や、運搬時のエコドライブの推進などを評価するもの。
大和紙料株式会社では平成4年より、同社高槻事業部(大阪府高槻市) において紙資源のリサイクルと機密情報の完全な抹消を同時に叶える機密文書の溶解処理を開始しているが、 この「大和紙料メルパルシステム」が認定基準を満たし、「機密文書処理サービス」で初めてエコマーク認定を取得することとなった。自社回収の関西エリア(大阪府・京都府・滋賀県・兵庫県・奈良県・和歌山県)で、機密文書を、梱包されている段ボールの封を開けることなく、そのまま自社の溶解施設で液状化し、完全に判読不可能な状態にして処理・抹消するというもの。収集運搬から溶解処理までの一貫処理を行い、完全自社完結型で再委託等も無く機密文書処理のリスクを軽減できる。
また、機密文書の管理が困難な場合には、ジュラルミン一体成形構造の施錠付き「メルパルBOX」に投函。大和紙料社員が専用車両でBOX自体を交換し、回収当日に溶解処理施設で開錠、即、機密情報を抹消する。シュレッダー処理と比較して労務コストを軽減、セキュリティと利便性を両立する。溶解した機密書類は、再生パルプとしてリサイクルされる。
エコマーク事務局では今後、このような機密文書処理サービスのエコマーク認定が拡大することにより、顧客がサービスを選択する際の目安となることを期待したいとしている。


関東主要都市古着入札結果 随契への回帰進む 専業者らによる灯消さない努力

自治体が回収する古着の売払について、4月に入り、今年度の入札結果がひと通り出揃った。
布団の有無や雨などで濡れたものの引き取りの扱い、一定割合返却の取決めの有無など、自治体ごとに条件は異なるため、一概に比べることは出来ないが、ここでは条件が比較的似ているさいたま市、文京区、横浜市、相模原市の結果について掲載した(下表参照)。また、一般的に品質の問題から、都市部の発生品は高値が付きやすく、反対に地方の発生品は価格が付きにくい傾向にある。なお、さいたま市は指名業者による勝ち抜け方式での入札になっており、下表①~④の順番で札入れが行われ、既に落札が決まった業者は入札に参加できないため、終盤になるにつれ高値になりやすい傾向がある。
「インドネシアショック」で混乱状態となった一昨年の自治体入札だったが、それを受け昨年度から競争入札を取りやめ、随意契約へ回帰する傾向が見られるようになり、その流れは今年度も続く。
また、市民へのリサイクル啓発を目的としたイベント要素を盛り込んだ回収を行うなど、ここにきて「目先の単価」、「目先の品物」だけではない、ユニークな取組を行う自治体や事業者も出てきている。「古着バブル」は多くの弊害をもたらしたものの、様々なプレイヤーが参入した結果、古着の回収を行う自治体が増加したのは事実だ。入札では一時40円以上の値段が付くことも珍しくなかったが、その波が引いた今、専門業者による行政古着回収の灯を消さない努力が続けられている。
関東主要4都市の古着売払入札結果
関東主要4都市の古着売払入札結果



アルミ圧延品2018年度見通し 缶材不振で2年ぶりに減少 総需要量は205万4000トンに

(一社)日本アルミニウム協会のまとめによると、2018年度のアルミ圧延品(板・押出計)需要見通しは、2017年度(一部推定)対比で205万4000トンと、前年度比0.1%の微減を見込んだ。全体の61%以上を占める板類部門がビール飲料の減少という缶材の不調が足を引っ張った格好で、好調に推移する自動車部門向けのプラスを相殺した。一方の押出類部門は国内自動車生産台数の前年割れが予想されるものの、軽量化に伴う乗用車へのアルミ需要増と、東京オリ・パラ関連需要増を見込んでプラスを想定、総量で2年ぶりのマイナスとなった。
アルミ圧延の板、押出2018年度需要見通しでは、板類が126万1300トンと前年度比0.4%の減少、需要部門別の見通しでは全10部門中前年度大きく落ち込んだ金属製品がプラスに転じたものの、輸送機械のうち自動車、船舶部門が大きく落ち込むことが予想されて板類全体では0.4%のマイナスとなった。
前年度比0.7%マイナスと見込んだ缶材は低アルコール飲料が好調を予測したが、ビール系の減少が響いて缶材全体では0.6%のマイナスとなり、飲料分野全体では前年度のマイナス1.6%から減少率を縮めている。
金属製品は前年度の2.9%とのマイナスから2.2%の増加。箔地の増加と印刷版の輸出向け増加がプラス要因となった。
電気機械部門は前年度の2.2%増加から0.9%の増加とやや伸び悩みエアコン用フィン材がマイナスとなる他、電子機器も微減が見込まれている。
輸送機械部門は、前年度の1.1%増から6.6%のマイナス。主力の自動車は1.3%のプラスとしたが船舶、鉄道、航空機向けが44.3%もの大幅なマイナスを織り込んでいる。
輸出部門は前年度の3.6%減少からほぼ横這いの0.0%としている。
押出類は、輸送機械部門が前年度の5.1%増加から今年度は0.1%増加と大きく低下した。
建設部門は押出全体の60%を占めているが、今年度はオリ・パラ関連や再開発を背景にした建設関連需要の増加を背景にしながらも前年度の0.6%増加から0.4%の増加と伸び率を縮めている。


春日部市 持去りで警察と協定 監視の網広げ「常習性」立証へ

春日部市調印式

春日部市調印式


春日部市は3月28日、資源物の持去り行為の取締に関して、春日部署と協力をする協定を締結した。警察がパトロール中に持ち去り行為を発見した場合は、指導などを行うとともに、ナンバープレート情報などを市へ提供する。
春日部市では、平成21年7月から「春日部市廃棄物の処理及び再利用に関する条例」で委託業者以外の持去りを禁止。違反行為を発見した場合、違反者に対して禁止命令書を交付し、再度同じ行為を行った者(現行犯で確認した場合)に対しては市が警察署に告発し、有罪となった場合には20万円以下の罰金が科されることとしている。しかし、条例施行以来、罰金を科すにまで至った例は無く、「常習性」をどのように立証していくかが高いハードルになっていた。
今回の協定締結により、監視の網を広げ情報を共有することで、「常習性」の立証を確実にし、告発・罰金に繋げていき、より実効力の高い条例にしていくのが狙いだ。また、警察による指導を行うことで、抑止力のアップも狙う。
同市では持去り行為に対して、これまで禁止条例のほか、職員による早朝パトロールや、通常の回収時間を前倒して午前7時から回収を開始し、再度8時から回収する「前倒し回収」、関東商組との連携によるGPS追跡調査など対策を講じてきた。推定被害額は平成20年度の約968万円をピークに年々減少してきたが、それでもなお、28年度には約292万円分の持去り被害にあっていた。
同市では今回の協定締結以前にも、警察との合同パトロールを2度行っており、協力関係を積み上げてきた。なお、協定締結に基づく最初の取り組みとして、4月にも合同パトロールも実施する予定となっている。
近年、持ち去り問題の解決に関しては効果的な「次の一手」が無く、停滞状態が続いている。そういったなか、「次の一手」として期待されていたのは警察との連携だったが、法的なハードルも多く、これまで実現は難しかった。今回の春日部市の警察連携のあり方は、今後モデルケースとなっていく可能性もあり、その行く末に業界の注目が集まっている。


ごみ排出量81万トン減 平成28年度の一般廃棄物排出・処理状況

環境省はこのほど、平成29年度における全国の一般廃棄物(ごみ及びし尿)の排出及び処理状況等の調査結果を取りまとめ公表した。
平成28年度におけるごみ総排出量は4317万トン(東京ドーム約116杯分)、国民1人1日当たりのごみ排出量は925グラムとなっている。平成12年度以降の減少傾向は続き、前年度から81万トン減少した。排出形態別でみると、生活系ごみが3018万トン、事業系ごみが1299万トンであり、生活系ごみが約70%を占めている。
ごみの総処理量は4101万トン。そのうち、焼却、破砕・選別等により中間処理された量(中間処理量)は3862万トン、再生業者等へ直接搬入された量(直接資源化量)は196万トンで、この両者でごみの総処理量の99%(減量処理率)を占める。
リサイクルの状況を見ると、市区町村等において分別収集により直接資源化された量と中間処理後に再生利用された量の合計は652万トン、住民団体等の集団回収により資源化された量は227万トンとなり、総資源化量は879万トン。リサイクル率は20.3%で前年度から0.1ポイント減少した。
発電設備を有するごみ焼却施設数は全体の32.0%であり、昨年度から1.5ポイント増加。ごみ焼却施設における総発電電力量も増加しており、8762GWh(約295万世帯分の年間電力使用量に相当)となっている。
また、最終処分場の残余容量は18年間続けて減少、最終処分場の数は概ね減少傾向にあり、最終処分場の確保は引き続き厳しい状況となっている。
市区町村及び一部事務組合が、一般廃棄物の処理に要した経費は1兆9606億円(し尿処理を除く)で、国民1人当たりに換算すると、1万5300円で前年度から100円上昇しており、年々、経費が増加している傾向にある。