日刊資源新報購読お申し込みはこちら

再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2018年12月

平林金属㈱が古紙リサイクル工場を開設 「えこ便」「eポスト」を積極展開

eポスト

eポスト


岡山県の大手リサイクル業者の平林金属株式会社(平林実社長)が市内西大寺工場内に古紙処理ラインを立ち上げ12月から操業を開始した。総投資額は設備も含めて約3億8000万円。主力機器のベーラー(圧縮機)は昭和製、前処理ラインは拓己技研から。当面月間1000トンの処理をめざす。
同社は数年前から「えこ便」というユニークな回収を始めた。会員制で資源物はある意味すべて受け入れている。現在は岡山市内に4店舗。会員総数も6万人を超え、年間1万トンを回収するまでに成長した。来年度は隣接する倉敷市を中心に取り敢えず2店舗を開設する予定。
今年の5月にスタートした古紙回収専門の無人スタンド「eポスト」もすでに数カ所設置を終えている。
目指すところは地域における新しいコミュニティの創造だろう。

「もってきていただく文化を根付かせよう」
「えこ便」と言い「eポスト」といい、従来型の回収システムとは大きく異なる手法だ。有料無料、あるいはポイント付与といった形の回収システムが主流になりつつある。人手不足、市中回収業者の激減、運転手不足という状況の中でまことに時流にマッチしたやり方だ。東北でも推定750カ所の無人回収ステーションが稼働している。今後さらに増える見込みだ。
大事なことは「お客様に持ってきていただく文化」を増殖させることだ。「もってきていただく文化」を植え付けるためには何らかの動機づけが必要だということで物品をあるいはポイントを付与するというやり方が主流になっているが、ゆくゆくはそうした恩典なしに「もっていくことが当たり前」の世界を目指したい。会員制にして様々な情報提供をしながらお客様に理解していただく、そういう世界を目指したい。簡単ではないけれどもチャレンジをしてみよう。
さらに高齢化社会にマッチした新しい感性の手法も視野に入れてみたい。高齢化で持ってくることができない方々が大勢いるしこれからも増え続ける。持ってくることができない方々の資源物を持ってくることができる会員がアシストするというコミュニティを作れないか。福島県の白河市でやっている「あったか訪問運動」。行政や地域の団体と共同で持ってくることができないお年寄りの方々をアシストする、そういう考え方が根付いてくれば、我々もお客様もウインウインの関係になれる。
「お買い物代行」というサービスも必要になってくる。買い物に行けないお年寄りのために買い物を代行するという考え方。地元のスーパーと提携してお買い物を代行する。手数料はお客様からではなくスーパーからいただく。取り扱った金額に応じてスーパーからポイントをいただく。そのポイントでスーパーの商品を買うことができる。そんなサービスも考えてみないか。


2030年に100%へ 清涼飲料水業界がPETボトルの有効利用宣言

清涼飲料水の国内主要メーカー254社などでつくる(一社)全国清涼飲料連合会はこのほど、2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指す「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」を発表した。
2017年度、PETボトルのリサイクル率は、各国での計算方法の違い、再資源化量のうち40%が中国を中心とした輸出だったことなど留意する点はあるが、それでも84.8%と世界的に見ても高い水準にあった。しかし、海洋プラスチックが社会問題化するなか、あらためてプラスチックの資源循環に対応すべく「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」を制定。「清涼飲料業界のプラスチック資源循環戦略に対する基本的考え方」、「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」のほか、短・中・長期の取組みの方向性を示した。
「宣言」では2020年度までの短期目標として「国民運動と連動した業界としての啓発活動と広報強化」、「3R推進団体連絡会と協力し第3次自主行動計画の達成」、「リサイクル85%以上リデュース25%(2004年度比)」、「自販機専用空容器リサイクルボックスにおけるリサイクル啓発、及び効率的な回収への取組み強化」、「環境NGO等ステークホルダーとの連携強化」、「再生材利用拡大(ボトルtoボトル等)への課題整理及び推進」、「代替素材活用への取組み推奨(バイオマスプラスチック等)」、2025年度までの中期目標として、「国や地域との協働による、より効率的な回収システム構築」、「ポイ捨て防止条例強化要請」、「再生材・代替素材の積極的な活用推進」を設定した。これらを推進しつつ、2030年までに「PETボトル100%有効利用を目指した業界の姿勢・取組み」、「世界に誇る日本の回収・リサイクルシステムの価値と根拠を定量的かつサイエンスベースで示し、諸外国への波及を目指した関係団体との協働」の長期目標達成を目指す。


許可申請1カ所で全国共通に 古物営業法の改正法施行で

「古物営業法」の一部を改正する法律が平成30年4月25日に公布され、10月24日に施行された。
今回の改正は施行日が2段階に分かれており、第1段階目は平成30年10月24日の施行。「営業制限の見直し」「仮店舗での営業等」「簡易取り消しの新設」「欠格事項の追加」等大枠で4つの改正点が変わることになる。
第1は「改正前の都道府県ごとの許可申請から、改正後は全国共通の許可に変わる」ことで、複数の都道府県に出店する場合でも主たる営業所がある1カ所で許可を受ければ、他は届け出だけで足りることになる。
古物営業許可を得ている事業者は「主たる営業所」を定める届け出をしなければならない。「公布の日(=平成30年4月25日)から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日」に届け出をしなければ無許可営業となる。
第2は「仮店舗での営業」ができることで、改正前の買い取った古物を受け取れる場所は営業所か客の家だけだったのが、あらかじめ届け出をすれば仮店舗でも古物を受け取ることができるというもの。
営業所のない都道府県であっても、仮店舗の出店は可能なので、都道府県の枠を超えたビジネス展開が可能になる。
第3は簡易許可取り消し制度の新設。古物商は有効期限や更新手続きがないため、所在不明の古物商や廃業後も届け出をしていない許可が相当数あると推定されるが、これらについては、名義貸し等の悪用されるおそれがあることから、実態のない許可は取り消される。
改正前は許可取り消しには3カ月以上所在不明であることを公安委員会が立証し、聴聞の手続きを経る必要があったが、改正法では古物商や営業所の所在を確認できない時は、公告プラス30日の経過で本人の申し出がない場合には聴聞の実施なしで許可の取り消しができる。
第4は欠格事項の追加で、改正前は暴力団や窃盗罪で罰金刑を受けた者でも古物営業許可の制限はなかったが、改正法では暴力団や窃盗罪で罰金刑を受けた者を排除する、許可の欠格事項を追加している。
改正前の法律でも過去5年以内に許可を取り消された者や、懲役や一定の犯罪で罰金刑を受けた者は古物の営業許可の取得はできなかった。また、中古自動車に対する帳簿の様式が義務化され、特徴欄に「車名」「車検証記載のナンバー」「車体番号」「所有者名の記載」等も定められている。