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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2017年8月

中国 輸入禁止リスト等を改訂 未選別古紙など年末で不可に

中国国家環境保護部および商務部、国家発展改革委員会、海関総署、国家質量監督検験権益総局ではこのほど2017年「輸入廃棄物管理リスト」に関し、連名で公告を告示した。同公告は、「中国固体廃棄物汚染防治法」、「中国固体廃棄物輸入管理弁法」およびバーゼル条約などに基づき、現状の中国輸入固体廃棄物の禁止リスト、制限リスト、自動許可リストの改定を実施したもの。
それによれば、生活由来含む非工業系廃プラスチック8品種、未選別古紙、廃紡績原料11品種、バナジウムスラグ4品種の計24品種をこれまでの制限リストから今回新たに禁止リストに変更するとしている。この公告は今年12月31日より実行するとされ、これに合わせて2014年第80号公告及び2017年第3号公告は廃止される予定だ。この結果、生活由来等の非工業系プラスチック(HSコード3915類)や未選別(MIX)古紙(HSコード4707900090)に該当する品物は来年以降、中国に輸入出来なくなる。このほか、今回最も禁止リストに追加された品種の多い廃紡績原料に関しては、主に動物の廃毛や廃コットン、廃人造・合成繊維のほか、新品或いは未使用の紡績材料その他の破砕品などが来年以降禁止される見込みだ。
また、今回、品質基準等の一定の要件を満たせば輸入が出来る制限リストに記載された廃プラスチック(HSコード3915類)については、工業由来(工場の生産過程で排出されるものや加工ロス品)のものと定義され、現在、改定を行っている輸入廃棄物環境保護基準(GB)に基づき、コントロールが行われることとなる。 今回の公告は、7月に中国政府がWTOに通告した海外ゴミの輸入禁止措置に基づく予定されたものであることから、比較的冷静に内容を受け止める関係者も少なくない。加えて中国国内では、例えば今回禁止となるMIX古紙や廃プラの一部品目に関して、現地の業界から新たな通関コードや廃棄物原料ではない一般貨物としての輸入を模索する動きなども出ているとされる。我が国再資源化業界としては、中国政府の政策だけでなく、現地業界の対応にも目を向けておく必要があると言えそうだ。


エンビプロ・ホールディングス 活相場と脱相場へ 非連続の変化への対応進め

エンビプロHDの決算説明会

エンビプロHDの決算説明会


金属スクラップを中心とした総合リサイクルを中心として、太陽光発電所開発、障がい者就労支援など多角的な事業を展開している株式会社塩ビプロ・ホールディングス(本社・静岡県富士宮市、佐野富和社長)ではこのほど、2017年6月期の決算を公表し、機関投資家・アナリスト向けの説明会を開催した。
それによれば、連結ベースの売上高は前年比で僅かに減少し291億2200万円となったほか、営業利益が同比9・0%増の7億9600万円、経常利益が同比17・3%増の10億円、純利益が同比22・2%増の7億6800万円。売上高は4期連続の減収だが、資源相場の回復やグループ会社の東洋ゴムチップの弾性舗装材事業の好調が通年寄与したことが増益要因としている。
また、2018年6月期については、売上高315億7300万円、営業利益8億8400万円、経常利益10億7800万円、純利益7億3600万円を見込んでいる。足元の事業環境については、世界経済の緩やかな回復継続の下で、資源価格は底堅い推移が見込まれる一方、中国の環境規制によりプラスチック原料や雑品輸出に影響が出るなどプラス・マイナス両面の影響が出てくるとした。そのなかで、既存事業については、相場を活用して利益を出す「活相場」と相場に左右されにくい事業分野(脱相場)を掲げ、新規事業の立ち上げや取り扱いアイテム、仕入れ先、販売先を増やし利益の源泉の多様化を進める方針だ。
なお、佐野社長は「業界は今後、再編が起きるべきであると考えているが、そのなかで弊社は、1+1が3にも4にもなるような事業モデルを構築することが重要だ。電気自動車でエンジンが無くなる、或いはAIによる自動運転で事故が無くなれば、車は丈夫な鉄ではなくプラスチックになる可能性もある。何年かで世界は大きく変わり、従来のビジネスモデルは通用しなくなる。こうした非連続の変化を乗り越える事業構造の構築が重要だ」と述べている。


中国環境保護部 輸入基準改定案示し 古紙や廃プラ、金属くずなど

中国環境保護部はこのほど、「原料として輸入可能な廃棄物原料の環境保護基準(GB)」について、改定案を一部公表したもようだ。GBは、中国が海外から輸入する各種再生資源に対し、輸入が認められる形状や不純物割合、放射線値などを定めたもので、これまで2005年に改定された基準により運用が行われてきたが、今年4月、中国政府は海外からの輸入ゴミの全面禁止方針を打ち出し、これに合わせGBの見直し実施についても言及がなされていた。
今回の主な改定ポイントは、これまでよりも基準が厳格化されるということだ。そのなかで個別品目を見てみると、まず、古紙で未選別古紙が輸入禁止品目に追加されたほか、制限される夾雑物にプラスチック製複合包装、感熱紙、アスファルト防水紙、粘着用紙、油に浸かった紙、混合紙が追加され、これら夾雑物の混入は0.3%以下とされている。次に鉄スクラップは、規制夾雑物に粉状物を追加、廃非鉄金属(有色金属)では、2mmを超えない粉状夾雑物を規制することを明確化(0・1%以下)し、埃や汚泥、結晶塩、剥離金属酸化物を規制粉状物追加している。
更に、雑品等に該当する廃五金電器については、再生利用できるものの割合が80%以上、そのなかに含まれる有用金属が60%以上というこれまでの規定に対し、今回の案では総重量の80%以上を有用金属が占めることが示されている。他方、廃プラに関しては、廃プラスチックの定義を製品加工時の端材や不良品とし、これまで規定に存在した「破砕洗浄によって匂いなどがしなくなった使用済み飲料瓶」の項目が削除された。このほか、廃繊維などは2017年末までに輸入禁止となることから、GBそのものを取り消すが、廃電線や廃モーターに関しては、今回、修正内容は示されていない。


鉱業協会 改正バーゼル法で簡素化要望 資源の海外流出防止に実効性を

日本鉱業協会は政府に対し、最重点項目を含めた鉱業政策の要望書を取りまとめた。うち、最重点項目の1つとして、鉱業関係税制の一部拡充と恒久化や低廉で安定的な電力料金実現、FIT賦課金減免措置や省エネ補助金の維持・拡大を挙げているが、他の項目としては資源確保のための支援策強化や国際競争力確保、リサイクル事業環境の整備などを挙げている。
このなかで、現在改正作業が進められているバーゼル法に関し、経済産業省・環境省に対しては「電気・電子部品スクラップの輸入手続き簡素化や国内リサイクル資源の海外流出防止」に関して実効性のある制度構築を求めている。更に廃棄物処理の促進として、施設の設置等の許可簡素化や有価金属の廃棄物処理法規制からの除外、広域集荷のための制度整備などを求めた。
このほか、リサイクル事業拡大などのための支援策として、使用済み製品の集荷量増大に向けた広報活動や優良中間処理業者育成、リサイクル統計などの情報管理体制の整備を進め、リサイクル技術・システム高度化のための技術開発支援強化と貴金属やレアメタル等の回収技術開発、解体及びリサイクル容易な製品設計の推進を求めている。


アルミリサイクル 激化する輸出市場 上期UBCは前年比20%の増加へ

慢性的な国内発生減と活況を呈する輸出向けマーケットのせめぎ合いのなかで、使用済みアルミ缶を含めた国内アルミリサイクルマーケットの過当競争が激しさを増している。暦年上半期を終えた6月までのアルミリサイクル原料市場の輸出通関実績をみると、使用済みアルミ缶(UBC)は3万4034トンで前年同期比20.5%の増加となった。
仮にこのままのペースでUBCの輸出が続けば、暦年輸出量は6万8000トンと過去最高の輸出量を記録することとなる。月間平均輸出量5672トンは前年の5002トンから13%増の水準となっている。なお、輸出事業者にとっては為替相場の動向が最大の関心事のようだ。


鉄リサイクリング・リサーチ 中国輸出6月20万トンを考察 日本の需給に大きな変化

我が国などにおける鉄スクラップの調査・研究を行っている株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長はこのほど、調査レポートNo.42「目が離せない中国のスクラップ輸出」(その2)をまとめ、公表した。林氏はレポートで中国の6月の鉄スクラップ輸出量は20万トンと前月(8万トン)比較で2・5倍に拡大しており、向け先も17か国に増加。「その他くず」は約4倍に急増し、特に日本の主要マーケットの韓国向けでは、1万2500トン(5月は2140トン)の「その他くず」が入着したことから、日本の輸出抑制要因につながる恐れがあるとしている。
6月の中国輸出入をみると、20万1700トンとなり、輸入18万5271トンに対し、初の輸出超過となっている。輸出増の背景には今年6月末「地条鋼」廃止によるスクラップ需給の緩みがあると推察され、今後は政府の国内消費増奨励や価格の上昇で、更なる輸出の増加は考えにくいとされるが、林氏は相場次第で20 万トンを超える可能性があることを指摘。また、この20万トンの向け先は、台湾6万9000トン、次いで香港1万6000トン、韓国1万3000トン、インドネシア9000トン、タイ9000トン等であり、日本は第6位6900トン。その次がマレーシア5090トン、ベトナム4840トン、更にインドへ3500トン入着している点が、日本の新市場として目されている輸出先だけに注目されるとしている。
更に「その他くず」輸出について林氏は、台湾の単価は90 ドル/トンと6月の輸出相手国中最低価格であり、これこそが「雑品」由来の低グレードスクラップであるとした一方、日本向けの193ドル/トン、韓国202ドル/トンは中国国内での中位くず(統廃)価格に匹敵することから、「雑品」由来ではない国内くずが輸出に出てきた新しい展開であるとの認識を示した。(詳細別表)
なお、6月の日本への中国産の通関輸入量7076トンについても、税関地域別では九州・戸畑3909トンが最も多く、次いで関西・堺1543トン、関東・木更津1424トンとなっていることから、中国産スクラップの試験的な購入のみならず、すでに通常操業使用として動き出している鉄鋼メーカーがあると考えらえるとしており、10 年後は更に中国や韓国の存在顕在化も予想される。こうしたことから、林氏は「日本は現在、需給を取巻く環境が大きく変化しようとしており、将来を見据えた意識改革と事業運営が供給側に求められている」としている。


中国国務院 2019年末までに逐次禁止方針 国内代替可能な輸入再生資源に対し

中国の最高国家行政機関である国務院はこのほど「「海外ゴミの侵入禁止を推進するための輸入固体廃棄物管理制度改革実施方案」に関する国弁発2017年70号を告示したが、それによれば主要目標として2019年末までに国内の資源で代替え可能な固体廃棄物の輸入を逐次停止していく方針を示した。
今回示された内容は、輸入固体廃棄物管理政策を調整し、海外ゴミの密輸を厳格に取り締まるとともに国内の固体廃棄物の回収利用を図ることを基本原則として、業種毎に輸入禁止スケジュール制定、輸入固体廃棄物管理リストの分類調整など法律、経済、行政手段を通じて大幅に輸入される再生資源の種類と数量の削減を行い、海外ゴミの侵入を防ぐとしている。
この基本方針に基づき、既に中国政府では2017年7月に輸入固体廃棄物リストの調整を行っており、その結果、環境への被害が大きい固体廃棄物とされた生活由来の廃プラスチックや未選別古紙、基準を満たさないスラグや廃繊維の一部が今年末までに禁止されることとなっている。
また、2019年末までのスケジュールとして、様々な規制・施策が講じられるもようだ。まず、今年11月末まで、廃プラや古紙、生活ゴミ、電子廃棄物、廃衣料などの違法輸入や密輸の撲滅を図るとともに、廃プラスチック輸入加工利用企業に対しては違法取引の有無など企業としての資質の調査を展開する。そして今年末までには、固体廃棄物の環境保護基準の厳格化を行うほか、古紙に関して「輸入古紙環境保護管理規定」を導入、輸入加工企業に対して一定の規模を要求する。
更に固体廃棄物の輸入許可制度については、貿易事業体の代理輸入の禁止し、輸入加工事業者を絞り込むことで管理に関する問題解決を図るとしている。 そして、2018年末までには、「固体廃棄物輸入管理弁法」の修正を実施し、輸入港を限定することで輸入量の制限を行い、2019年末までに輸入を大幅に減少させるための輸入固体廃棄物管理リストの調整、更に「固体廃棄物汚染防治法」等関連法案の見直しを実施し、密輸や違法な輸入行為に対する処罰の厳罰化などを行う。
なお、中国政府では今後も長期的に輸入再生資源に対する管理規制の強化を図る方針を示しており、輸入ライセンス保有企業の淘汰を進めるとともに輸入枠の申請に対し厳格な審査を実施するもようだ。また、船積み前検査の強化や揚げ地検査では、コンテナ検査設備のある港では100%の設備検査、検査設備のない港では100%の開梱検査を行い、輸入加工企業に対しては、闇取引や違法な加工処理の実施有無などを確認するための現場査察を継続する。このほか、密輸等の撲滅に向けたベトナム等の近隣国の所管官庁と協力し、貨物の出所情報共有化やシップバック制度等、国際法や各国法に基づく国際的な規制の枠組みを構築していくとしている。

輸入減を回収増で補い 2020年に3億5千万トン目標
国務院の今回の方案では、合わせて国内での資源回収利用の推進を図る方針も示されている。具体的には2017年末までに土壌汚染防治行動規則に基づく廃プラスチックや故繊維(中古衣料)、廃電子機器、廃タイヤ等の集積・利用を行うエリア構築を全国展開しつつ、監督管理のための重点内容の整備も進める。そして、2015年に2・46億トンであった国内の資源回収利用量を2020年までに3・5億トンまで引き上げる方針だ。中国政府の方向は、海外からの輸入減を国内での資源回収増で補うものだが、古紙を中心に年間約4000万トンを輸入に頼る中国で3年内にどこまで回収増が図れるのかが今後の禁止に向けた動きの1つのポイントになりそうだ。


東京23区とことん討論会 「ごみ」にする前に考える 紙ごみや食品ロスをテーマに

東京23区とことん討論会

東京23区とことん討論会


東京23区とことん討論会が先ごろ、東京都、特別区区長会、荒川区の後援のもと、サンパール荒川(荒川区)にて開催された。同討論会は、23区で発生するごみの「燃やさない、埋め立てない」事を目指し、市民・事業者・行政が一堂に会した討論の機会を持ちたいとの思いから、市民団体ら発足人が1996年に初開催。以降毎年開催され、今回で22回目を迎えている。
基調講演ではNPO法人使い捨て時代を考える会の設立者で現・相談役の槌田劭氏が「『便利さに未来を捨てる使い捨て』食品ロスに見る『もったいない』」をテーマに講演。自身の活動などを紹介しながら、食品ロス問題にみる「使わず捨て」の社会にスポットを当て、現代人の食べ物に対する考え方と生活スタイルに警鐘を示した。 その後、会は3会場に分かれ、各会場で産官民入り混じり、討論やワークショップが行われている。「食品ロス=使わず捨てを考える」をテーマにした第1分科会では、槌田氏をはじめ、木下兼吾氏(荒川区環境清掃部リサイクル課長)、増田充男氏(日本チェーンストア協会執行理事)、荒川茂子氏(フードバンク)がそれぞれの取組を紹介した後、全体でのディスカッションを行われた。第2分化会は、「河川にも!マイクロプラスチック汚染の現状―まずレジ袋有料化へ―」がテーマ。二瓶泰雄氏(東京理科大学理工学部土木学科教授)、古澤康夫氏(東京都環境局資源循環推進部資源循環推進専門課長)、金丸治子氏(イオングループ環境社会貢献部長)、高田忠則(荒川区スポーツごみ拾い実行委員長)、舟木賢徳(環境経済政策研究所所長)が登壇した。
第3分化会では、「徹底した資源化でCO2の削減を!―清掃工場で燃やすごみの44%を紙ごみが占めている―」がテーマ。竹内一正氏(中央区清掃事務所長、東京23区清掃一部事務組合主管か帳会長)、佐々木正氏(東京23区清掃一部事務組合総務企画室長)、松本貞行氏(東京都資源回収事業協同組合理事長)、君塚清美氏(千葉市環境局資源循環部廃棄物対策課3R推進班主査)、熊本和広氏(千葉市環境局資源循環部廃棄物対策課ごみ削減推進班主査)が登壇し、それぞれの取組などを紹介している。松本東資協理事長は資源回収業者の立場から見た、雑がみの資源化や事業系古紙の回収についての現状と課題を解説。排出事業者によるごみと資源の分別徹底、事業系紙ごみの清掃工場への搬入規制、周知・啓発活動の徹底、区民・区内事業者・区、地元回収事業者の連携強化の必要性などを訴えた。


バランスインダストリー 韓国中小企業大賞中小企業長賞を受賞

韓国・東亜日報が企画し、韓国の未来創造科学部、同中小企業庁、中小企業振興公団が後援する「2017年第3回大韓民国中小企業大賞」の授賞式が先ごろ韓国・ソウルにて開催されたが、30の企業・機関が受賞するなか、韓国最大の古紙専門商社であるか株式会社バランスインダストリー(オム・ベクヨン代表)中小企業庁長賞(グローバル部門)に輝いた。
同社は2005年の創立以来、海外市場を体系的に確保し、リサイクル資源の海外輸出を積極的に推進。韓国のみならず、日本(株式会社エコマット産業)、中国、香港などに現地法人を築き、アジア圏での資源リサイクル市場を形成する一方、韓国国内の資源リサイクル業界の先頭に立ち、リサイクル資源の国際交流活性化を試みた点が評価された。同社はまた、今年1月にも韓国・関税庁から「2017年第一回輸出入安定監理優秀業者」にも選ばれている。
韓国では、ムン・ジェイン大統領就任後、韓国国内の99%を占め、雇用の88%を担う中小企業中心の経済への転換が必要との気運が高まっており、今回3回目となる中小企業大賞の受賞企業にも関心が集まっている。バランスインダストリー社は、リサイクル資源産業の歪曲されたイメージを正すため、2013年7月より再生パルプ原料という意味の「R.P.M(Recycled Pulp Materials)」という名称を用い、自主開発したリサイクル資源専門入出庫検収管理システム「BIS(Balance Inventory System)」を基に2018年までに資源リサイクル輸出分野でのアジア第一位規模の達成を、2024年までに世界最大規模のリサイクル資源専門ネットワーク構築を目標としている。


「欧州での動きは示唆」 びん協が29・30年度の事業計画を発表

日本ガラスびん協会とガラスびん3R促進協議会の記者説明会

びん協の記者説明会


日本ガラスびん協会(以下、「びん協」)とガラスびん3R促進協議会(以下「3R促進協」)は20日、平成29年度の事業計画などについて記者説明会を開催した。冒頭、両協会の会長・齋藤信雄東洋ガラス株式会社代表取締役社長は「ガラスびんは長い歴史のなかで人々の生活を支え、社会のインフラを担ってきた。しかし、近年の社会構造の変化、特に流通の変化により他素材容器へのシフトは進み、未だにガラスびんの領域は縮小を続けている現状だ。一方、欧州を見てみると、EU11か国1万8000人を対象に行った消費者調査で『持続可能で健康的なライフスタイルを送るために必要な容器』としてガラスびんを選択した人が85%に上ったという。8年前の前回調査から15ポイント以上増加した。また、『最も環境に優しい容器』としても75%の人が選択している。環境意識の高い欧州においてこのような意識が高まっていることに我々としては示唆を感じるところだ」と挨拶をした。
びん協の報告によると、平成29年上半期の正会員6社の出荷実績は、重量ベースで54万4000トン、数量ベースで31億240万本となり、いずれも前年比で1・5%程度の減少となっている。年間出荷量は前年比2・4万本減の110万8000本程度になる見通し。品種別では、「薬びん」、「化粧品びん」はインバウンド消費の後押しもあり堅調に推移するものの、「ビールびん」、「その他洋雑酒びん」などが減少した。
出荷量の微減傾向が続くなか、びん協では29・30年度の事業計画として、ガラスの持つ「素材価値」、中身を守る「安心・安全」、資源循環をベースとした「環境配慮」をキーワードに広報活動、業界としての環境活動、各委員会活動などに取り組む。具体的には、今年で6年目を迎えるびんむすめプロジェクトをリニューアルし、さらに取組を強化。また、昨年期間限定で東京・表参道にオープンさせた「びんむすめギャラリーカフェ」が好評だったため、今年も引き続き開催する。そのほか、ガラスびんアワード、地サイダー・ラムネと銭湯とのコラボ企画、ブロガーを活用したガラスびん応援隊などの事業も引き続き、広報活動として展開していく。


環境市場104兆円に 全産業産出額の約11%を占める

環境省がとりまとめた推計によると、2015年の環境産業の市場規模は過去最大の104兆2559億円となったことがわかった。前年から1・4%増、推計を開始した2000年から比較すると、約1・8倍となった。国内全産業の産出額に占める環境産業の割合は11・3%となっている。環境産業とは、環境負荷を低減させ、資源循環による持続可能な社会を実現させる製品・サービスを提供する産業のこと。
具体的には、「環境汚染防止」、「地球温暖化対策」、「廃棄物処理・資源有効利用」、「自然環境保全」の4つの分野に分けられる。
4分野のうち、最も規模が大きいのは、引き続き「廃棄物処理・資源有効利用」分野で43兆8615円(構成比約42%)となったが、前年より1兆385億円縮小。リーマンショック後、2013年までは回復基調で推移したが、以降、微減傾向が続く。中分類「廃棄物処理、リサイクル」分野では前年から737億円増加し3兆9192億円となったものの、リース・レンタルを含む中分類「資源、機器の有効利用」が前年から1兆1258億円減の37兆6721億円と減少傾向にあり、全体を減少させる要因となった。一方、「地球温暖化対策」分野の成長が著しく、前年から2兆4189億円増加し37兆7561億円(構成比約32%)となっている。ほか、「環境汚染防止」が14兆3004億円(構成比約14%)、「自然環境保全」8兆3379億円(構成比約8%)と、前年からほぼ横ばいとなった。
また、併せて行った雇用規模の推計でも、約249万人と過去最大となったことがわかった。分野別でみると、市場規模と同様に「廃棄物処理・資源有効利用」が最も多く、127万2435人。続いて、「地球温暖化対策」63万3516人、「自然環境保全」46億4267人、「環境汚染防止」12万41人となった。ここでも「地球温暖化対策分野」が大きく数を伸ばし、FIT制度が始まった2012年から3年間で約15万人増加している。


中国国務院 年末までに一部輸入禁止へ 生活由来廃プラや未選別古紙など

中国国務院では先ごろ「2017年末前調整為禁止輸入固体廃棄物リスト」を公示したが、それによれば今年末までに、廃プラスチックに類別として「生活由来廃プラスチック」を規定し、該当する廃プラスチック(PE、PS、PVC,PET、その他のHSコード3915類)を輸入禁止品目とすることなどをWTOに通告を行ったもようだ。
同リストによれば、このほかにこれまで中国の輸入制限品目であった「その他の動物細毛の落毛」、「その他の動物細毛廃料(廃紡ぎ糸を含み、回収繊維を含まない)といった品目のほか、更に「その他の回収紙又はボール紙(区分けしていない廃破砕品を含む)」も挙げられていることから、MIX古紙への影響が注視されるところだ。また、スラグに関する内容がリストに追加され、成分によって禁止品目となるもよう。
中国政府では今年4月、国内循環拡大へ回収量増大と再資源化産業の育成を図ると同時に、海外ゴミの輸入を禁止する方案を示しており、現在も水際対策や輸入企業への取り締まりを強化されている。年末までに禁止となる今回の対象品目も含め、今後の動向が極めて注視されるところだ。