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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2017年1月

廃プラスチック循環利用協会 2015年のフロー公開 MR205万トンも外需依存続

(一社)プラスチック循環利用協会では先ごろ、2015年における「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」に関するマテリアルフロー図の公表を行った。それによれば、2015年の樹脂生産量は1086万トン、国内樹脂製品消費量は964万トンとなっているが、これに対し、廃プラスチック量は使用済み製品排出量843万トン、生産・加工ロス排出量72万トンの合計915万トンになったとしている。
これら廃プラスチックは一般廃棄物が435万トン、産業廃棄物480万トンに分けられるが、ここからの有効利用量は、再生利用が205万トン、高炉コークス炉用原料/ガス化/油化が36万トン、固形燃料/セメント/燃料が147万トン、発電焼却295万トン、熱利用焼却80万トンの計763万トンにのぼっている。これに対し、未利用廃プラは152万トンとなり、マテリアルリサイクルに当たる再生利用は廃プラスチック総排出量の22%となった。また、廃プラスチック総排出量915万トンのうち、包装・容器等/コンテナ類が最も多い400万トン(43・7%)を占めており、次いで電気・電子機器/電線ケーブル/機械等172万トン(18・7%)など。樹脂別ではPE300万トン(32・8%)、PP212万トン(23・2%)、PS114万トン(12・5%)などとなっている。
なお、マテリアルリサイクル205万トンの内訳では、使用済み製品が133万トン(65%)、生産・加工ロス品72万トンとなり、樹脂別の内訳は指定ペットボトル用PET樹脂が最も多く51万トン(25・0%)、次いでPPが44万トン(21・6%)、PEが33万トン(16・0%)、PSが24万トン(11・6%)、PVCが19万トン(9・1%)などとなった。
マテリアルリサイクルの形態では、再生製品56万トン(27・3%)に対し、再生材料が149万トン(72・7%)と多いが、国内利用は53万トン(25・6%)に止まり、国内繊維向け廃ペットボトル8万トン(3・8%)を除いたマテリアルリサイクルの利用先は輸出(145万トン/70・6%)となるなど、依然として外需に依存する格好が続いている。


家電リサイクル法 27年度回収率は52.2% 台数約1100万台もエアコン低迷

経済産業省の産業構造審議会電気・電子機器リサイクルWGと環境省の中央環境審議会家電リサイクル制度評価検討小委員会の第35回目となる合同会合が先ごろ開催された。今回の議題は、家電リサイクル法に基づくリサイクルの実施状況や、先に定められた回収率目標達成に向けたアクションプランについてなど。
法に基づく家電リサイクルの実施状況については、平成27年度の製造事業者等が指定引取場所で引き取った廃家電4品目の台数は約1088万台となり、法施行後の累計では1億9000万台を超えたとしている。製造事業者による再商品化率についても、平成27年度において、エアコンが93%(法定基準70%)、ブラウン管式テレビ73%(同55%)、液晶・プラズマ式テレビ89%(同74%)、冷蔵庫・冷凍庫82%(同70%)、洗濯機・衣類乾燥機90%(同82%)となり、いずれの品目も法定の再商品化基準を上回るなどの実績が示されている。
一方、平成27年度において、リサイクル法対象家電の出荷台数2132万台に対し、製造業者により再商品化された台数が1101万台に止まったことから、これらに産業廃棄物として処理された5万9000台と一般廃棄物として処理された6万3000台を加えたものを分子として計算した回収率は52・2%と前年度から0・9ポイントの低下となった。家電リサイクル法における回収率に関しては、平成25年度の回収率約49%(適正に回収・リサイクルされた台数1123万8000台/出荷台数約2500万代)を基準年度とし、ここに、不法投棄台数の半減や国内外でスクラップ化される割合を出来る限り低減することで上昇が見込まれる7%を加えた平成30年度56%とすることが目標水準として示されているが、27年度はこの30年度目標を3・8ポイント下回った格好。
27年度の出荷台数ベースでの回収率を品目ごとに見ていくと、テレビ(暫定回収率57・3%)、冷蔵庫(同71・2%)、洗濯機(同73・8%)、の3品目は全体の回収率を上回ったものの、エアコンは28・6%と回収率が大きく低迷している。
27年度の廃家電4品目のフローでは、出荷2132万台に対して家庭・事業所からの排出台数が1825万台。これに対し、法定ルートである指定引取場所に回ったものは1088万台だが、スクラップ業者やヤード業者による引き取りが637万台と排出量の3割以上を占める格好となっている。ここから海外へスクラップとして輸出された台数は556万台にものぼり、このうちの295万台がエアコンに当たるとの試算も行われている。
平成30年度の回収目標率達成に向けては、この海外流出量の多いエアコンの回収率向上の必要性も指摘されるが、資源性の高い廃エアコンの流通適正化に向け、廃棄物処理法改正やバーゼル法見直しの動きと合わせ何らかの措置が取られる可能性もあることから、業界としてもその動向を注視していく必要がありそうだ。


朝来市に新バイオ発電所 間伐から発電まで官民協働「兵庫モデル」

兵庫県はかねてから朝来市で進めていた木質バイオマス事業計画について、このほど同市生野工業団地内に発電所を完成させ、営業運転を開始した。未利用木材の搬出から発電までの工程を一体で行う官民連携の「兵庫モデル」として、木質バイオマス事業の普及を促進する。
兵庫県では平成25年12月に、朝来市、兵庫県森林組合連合会、兵庫みどり公社、関西電力株式会社と協定を結び、計画を進めてきた。これまで、森林からのバイオマスエネルギー材(以下、「be材」)の搬出方法や、燃料供給体制の仕組み、be材の効率的な乾燥手法などを確立。未利用木材の搬出から乾燥、燃料チップ製造、燃料チップを活用した発電までを官民協働で行う今回の事業スキームは、国内初の取組で、関西電力グループにおいても、初めての木質バイオマス燃料専燃発電所となる。
発電所の発電出力は5600kW。年間発電電力量は約3700万kWhで、これは一般家庭約1万2000世帯分の年間使用電力量に相当する。二酸化炭素排出削減量は約1万8000トンを見込んでいる。


関東鉄源協同組合 2月に成果報告会を開催 コンテナ販売への調査事業で

H2のコンテナ積み実証

H2のコンテナ積み実証


関東地区の有力鉄スクラップヤードディーラーで構成される関東鉄源協同組合(山下雄平理事長)は、2月21日(火)午後4時から、「平成28年度中小企業活路開拓調査・実現化事業(中小企業組合等活路開拓事業)成果普及講習会」を開催する。テーマは「鉄スクラップの新たな需要家への小ロット販売に向けた調査研究」と題し、同組合が取り組んできた実現化事業の成果報告が行われる。講師は株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長が務める。
同協組は一昨年より中小企業団体中央会の採択を受け、活路開拓事業に取り組んできており、助成事業に基づく成果普及講習会の開催は27年度に続き2度目となる。27年度事業では、新たな販路開拓に向けた海外市場調査を行い、中でも今後大きな成長が見込まれるインドにターゲットとし、現地の鉄鋼メーカーなどを視察。成果報告として、インド現地においてスクラップを使用して鉄筋などを製造するメーカーは誘導炉という小型の炉を用いるところが多く存在し、こうした中小メーカーへの販売を考慮する上で小ロットによる販売も検討するという指針が示されている。
28年度事業はこの流れを受けて実施されてきたもので、小型の誘導炉向けに鉄スクラップを改良する試作・改造委員会と、小ロット販売のためのコンテナ積み込みを検討する実験・実用化委員会の2つの委員会を組成し、昨年9月より検証を重ねてきており、今回の成果普及講習会は、これらの実施結果等が報告されることとなっている。


古紙再生促進センター 新利用率目標に向け 新年賀詞交歓会に来賓多数

古紙センターの新年会

古紙センター新年会


公益財団法人古紙再生促進センター(渡良司代表理事)は10日、ホテルグランドパレス(東京都千代田区)にて、新年賀詞交歓会を開催した。冒頭、挨に立った渡代表理事は、「昨年、平成32年度までに65%という古紙利用率の新目標が設定されたが、板紙分野の古紙利用が限界に近い中でこれを達成するには、紙分野での古紙利用を増やしていく必要がある。そのためには、紙分野で使用できる良品質の古紙の回収を増やしていくこと、雑誌系古紙の雑がみ化や禁忌品の混入への対応が肝要だ。古紙品質実態調査、禁忌品調査、内外古紙市場の需給情報の入手等により、的確な状況把握を行い、関係者における共通認識形成に努める広報活動、その対応策に向けての活動を推進していきたい」(要旨)と述べた。
また、国内回収量のうち約20%を占める輸出に関して、「中国では紙・板紙生産が鈍化しているものの成長を続け、古紙輸入は依然として旺盛。東南アジアでは経済成長とともに紙・板紙生産が伸びており、古紙輸入が増加している。他方、米国や欧州では紙・板紙消費構造、古紙消費の変化に伴い、同国からの古紙輸出に影響が出てくる可能性もある。我が国の紙リサイクルに悪影響を及ぼさないよう、行政、製紙業界、古紙回収、流通業界、学術団体等、様々なレベルで各国との交流を推進し、相互理解を深め、古紙市場、経済動向についても知見を深めていきたい」(要旨)と今後の展望を語った。
来賓を代表して、経済産業省製造産業局素材産業課の茂木正課長が挨拶。続いて、檀上に挙がった栗原正雄副理事長(全国製紙原料商工組合連合会理事長)は「新目標の達成のためには2015年の回収量から60万トンアップしなければならない。全原連ではこのための対策委員会を設置した。今年はいよいよ具体的な対策の検討に入る。期限までの達成に向け、引き続きご指導いただければ」と述べ、同氏により乾杯、懇談となった。なお、経済産業省のほか、日本製紙連合会の大坪清副会長、同じく羽山正孝理事長ら、多くの来賓が参席し、盛況理のうち散会となった。


環境省 最終処分量は11%減 26年度の産廃排出・処理状況を公表

環境省はこのほど平成26年度の産業廃棄物の排出・処理状況について取りまとめ、公表した。 発表によると、全国の産業廃棄物の総排出量は前年度から2・1%増加し、約3億9284万トンとなった。業種別の排出量をみると、電気・ガス・熱供給・水道業が約1億103万トン(構成比25・7%)が最も多く、次いで農業・林業が約8190万トン(同20・8%)、建設業が約8161万トン(同20・8%)、パルプ・紙・紙加工品製造業が3261万トン(同8・3%)、鉄鋼業が約2864万トン(同7・3%)となり、前年度同様、上位5業種で総排出量の8割以上を占める結果となっている。
種類別の排出量をみると、汚泥が約1億6882万トン(同43・0%)が最も多く、動物のふん尿が約8142万トン(同20・7%)、がれき類が約6439万トン(同16・4%)と続き、こちらも前年同様上位3品目で8割以上を占める。 処理状況をみると、再生利用量が約2億968万トン(同53・3%)、減量化量が約1億7276万トン(同44・0%)、最終処分量が約1040万トン(2・6%)となった。なお、最終処分量は前年度から約11%減少している。
地域別の排出量は、関東地方が約1億252万トン(構成比26・1%)と最も多く、次いで中部地方の約6306万トン(同16・1%)、近畿地方の約5615万トン(同14・3%)、九州地方の約約5430万トン(同13・8%)の順になっており、近畿と九州の間で順位の逆転が起きているものの、全体としては前回の調査結果と同様の傾向を示している。

環境省資料:産業廃棄物排出量推移






(一社)日本鉄リサイクル工業会 賀詞交歓会を開催 鈴木会長「激動への対応を」

鈴木徹会長

挨拶する鈴木徹会長


(一社)日本鉄リサイクル工業会(鈴木徹会長)は、このほど東京・日本橋の鉄鋼会館にて全国の会員企業ほか電炉メーカーなど400名ほどの参加の下、新年賀詞交歓会を盛大に開催した。
冒頭、挨拶に立った鈴木会長は「昨年末、鉄スクラップの相場は回復を見せたが、周辺の環境はアメリカ、韓国など不安定要素を抱えて年明けを迎えました。このようななか、今年は激動の年になると予想します。昨年、鉄スクラップの相場に関して大きな動きがあり、春先にベトナムのSG措置による急騰からGW明けには英国のEU離脱と円高進行による下落、そして、夏以降の原料炭の急騰や米国でのトランプ氏の勝利といった予測しえないことで相場が上がりました。これはスクラップが世界とつながりを持って動いていることの表れであり。今年も予測はつかないが色々な変化が起こると思われます」。
「また、鉄スクラップ業界においては、構造的問題で流通量が減少しており、各社が知恵を絞りながら対応を模索していく必要がありますが、そのなかで業界に近い部分の新たな動きとして火災などが社会問題化している雑品スクラップの規制が国に寄り進められております。当工業会としても、昨年、環境省や経産省に協力しつつ、専門の委員会にも参加し意見を述べてまいりましたが、我々の扱う品物にも変化が起きており対応が必要な一年になるでしょう。この件については随時、工業会より情報発信を行ってまいる所存です。業界環境の変化はプラス・マイナスの両面ありますが、ピンチをチャンスに変えるよう会員にはお取り組み頂くとともに、東京の渋谷で開催される全国大会ほか工業会活動への参加で交流を図っていただき、酉年の今年、皆様が羽ばたけるよう祈念いたします」と述べている。


モリタ環境テック 金属スクラップの垂直積みにも対応 傾斜式コンテナチルタを販売

クイックチルタ ツムゾー

傾斜式コンテナチルタ


株式会社モリタホールディングスの連結子会社である株式会社モリタ環境テック(鹿野剛社長)では、英国のFTL Foundry Equipment社と販売提携契約を締結し、金属スクラップのコンテナ積載作業の効率性を大幅に向上させた傾斜式コンテナチルタ「Quick Tilter TumZo(クイックチルタ ツムゾー)」を昨年末より販売開始した。価格は3000万円(税抜)。
「クイックチルタ ツムゾー」は、シュレッダ材や新断材等の金属スクラップやバラ積材料をコンテナへ積載するための設備で、コンテナを吊り下げた状態でコンテナをトレーラから脱着が可能なため、トレーラの位置調整やコンテナ固定などの作業が大幅に軽減できる等、短時間で生産性の高いコンテナ積載作業を実現している。さらに、バックガードを標準で装備することにより材料投入時のコンテナ損傷防止を図り、安全な積込作業を可能とするだけでなく、ロードセル計量システムを採用しているため、積載中の正確な質量を確認することも可能だ。製品の仕様は、機械稼働時の最大寸法で幅7m、長さ9.8m、高さ7・6m。動力は18・5kWとなる。
鉄スクラップのコンテナ積み込み機に関し、モリタグループでは既に水平方式での積み込み機「アキュローダ」を販売しているが、今回の垂直・斜め方式が可能な同機の販売開始に伴い、コンテナ積み込み機のラインナップが揃う形となる。


バーゼル法見直し 廃掃法との連携など 雑品スクラップ等への対応で

バーゼル法の見直しを審議する環境省と経済産業省の特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する合同会議の第3回目が昨年末に開催され、先に示された見直しの方向性に関する報告書(案)について、議論が行われた。第2回目の議論では、雑品スクラップ等に対する規制に向けた未遂罪・予備罪の創設に関して激論が交わされたが、先に行われた環境省の廃棄物処理法見直しにおいて、雑品スクラップを扱うヤードに対して行政への登録などといった規制方針が示されたことで、今回のバーゼル法の見直しのなかでこの部分での議論はトーンダウンした。
ただ、今回の報告書(案)においては、環境保護と自由貿易の両立を図りつつ、輸出入における環境汚染等リスクに応じて規制水準の適正化を図ることを基本的な考え方とした上、未遂罪や予備罪に関しては、「今回の制度見直しにおいて措置する『取締り現場での迅速な規制対象物認定の実現』及び『規制対象物についての法的根拠の明確化』の効果の検証を継続的に行うとともに、『廃棄物処理法等の他法令と連携した取組による雑品スクラップ問題への対応』の効果も踏まえつつ、更なる対応が必要である場合には、国内管理体制の中でどのような抑止力を確保するかについて、今回の合同会議での議論も踏まえつつ、将来の検討課題とすべき」との文言が追加された。
また、シップバックへの対応を事案の検証を継続的に実施しながら将来の検討課題としたほか、国内では平成 25 年に公表した使用済み電気・電子機器の輸出時における中古品判断基準での運用が行われている使用済み電子機器類などのリユース品に関しては、「バーゼル条約では、第 12 回締約国会議(COP12)において、リユース品と電気電子機器廃棄物との区別に係る国際ガイドラインが暫定採択されており、第 13 回締約国会議(COP13) において正式採択となる見込みである」ことから、「国際的なガイドラインの内容も踏まえて、我が国におけるリユース品の判断基準については、必要な見直しがないか検討を加えるとともに、実効性の観点から更なる実態把握の必要性についても将来の検討課題とすべき」との方向性も示されている。


日本鉄鋼連盟 2017年度は需要増見込み 建設投資拡大も海外動向を注視

(一社)日本鉄鋼連盟では昨年末、2017年度の鉄鋼需要見通しを発表したが、それによれば、2017年度の粗鋼生産は2016年度を上回るとの予想を示した。ただ、世界的な政治リスク、急激な為替変動による外需の下振れリスク、原材料価格の上昇、人手不足による工事案件等の遅れ等が想定される一方、輸入材の圧力にも留意が必要との見方を示している。
同連盟では、2016年度の日本経済について、雇用・所得環境は良好な状態を保ったものの、消費者の節約志向から個人消費は弱さがみられ、企業活動は熊本地震等の自然災害、急激な為替変動、中国の成長鈍化に加え英国のEU離脱、米国の大統領交代など、世界経済の先行き不透明感の高まりもあり、設備投資は力強さを欠いたとした。こうした状況を踏まえた2016年度の鉄鋼内需は、建設は土木や住宅が回復基調を辿ったものの、製造業は、設備投資など機械関連は総じて力強さを欠いたとしている。ただ、熊本地震等による生産停止の影響で年央まで低迷した自動車は、挽回生産や新型車効果等から下期に持ち直しを見せた。更に外需は、先進国経済が緩やかな成長を持続し、ASEAN等の新興国も総じて緩やかな回復傾向に転じたことから、16 暦年の世界の鋼材需要は僅かながらも前年を上回ったとみられ、在庫調整の進展もあり、2016年度の粗鋼生産は1億550万トン程度と、3年ぶりに前年実績を上回る見込みとなっている。
一方、2017年度では引続き雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しが期待され、企業活動では業績改善から慎重な投資マインドも和らぎ、遅れていた建築案件も東京五輪関連をはじめ加速が見込まれ、公共投資も政策効果などが下支えし底堅いとしつつ、外需も不透明要因を抱えながらも、世界経済の回復から緩やかに持ち直していくと予想している。
このため2017年度の鉄鋼内需は、建設で東京五輪関連をはじめ都市再開発・交通インフラ整備の加速による建設投資の拡大が見込まれる一方、人手不足による制約が懸念材料。製造業は為替要因に左右されるため、企業の投資マインドは保守的になる可能性もあるが、省力化・省エネ化投資は堅調が見込め、総じて前年を上回ると予想。他方、海外鉄鋼市場も中国の輸出増による世界的な需給緩和、通商問題の頻発が依然大きく影を落としており、鉄鋼輸出は、世界経済が緩やかな回復傾向を辿るものの、2016年度並みと想定され、我が国への鋼材輸入も高水準が続くとしている。


日本酒造組合中央会 1.8Lびん再使用率向上へ 仙台で酒蔵から自治体まで一堂に

日本酒造組合中央会は昨年末、仙台市で「1.8Lびん再使用率向上策に係るステークスホルダー会議」を開催した。同中央会は平成26年度よりダイナックス都市環境研究所とともに「1.8Lびん再使用率向上策の調査研究」を行っており、今回のステークホルダー会議は今年3月に続き2回目の開催となる。
冒頭、中央会の亀井慶承理事長は「1.8Lびんは3Rの優等生で容器包装リサイクル法のなかで自主回収認定を受けてきたが、近年、認定基準である80%を下回る年も出てくるなど回収率低下に問題意識を感じている」と挨拶。会議では28年度調査の中間報告が行われ、自治体分別回収普及に向けた方策や「はがれにくいラベル」問題などへの取り組みが報告され、分別回収では回収時に一升瓶をほかのびんと分けてコンテナに入れる対応などが報告された。ラベル問題では、消費者の要望ではがれにくいものを使用している傾向があるものの、洗剤で落とせるものもあり、こうした情報の共有の必要性が報告された。
近年の地酒ブームなどを背景に、1.8Lびん需要は増加傾向にあるが、既存の回収インフラが衰退傾向にあり、ワンウェイ化が進行しつつある。回収増には自治体等との連携が重要視されるが、こうした関係者が集う「ステークホルダー会議」への業界の期待は大きく、継続的な開催も望まれている。


廃棄物処理法見直し 行政への登録など 雑品スクラップの規制強化へ

廃棄物処理法の見直しに向けた検討を行う環境省の中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会が先ごろ開催され、同委員会の報告書案が示されたが、そのなかで、廃棄物等の越境移動の適正化に向けた取組及び廃棄物等の健全な再生利用・排出抑制等の推進に向けた取組として、中国などへの輸出が行われている雑品スクラップに対し、都道府県等による一定の規制が必要との見解が示されたことから、業界に与える影響が注視されるところだ。
今回の報告書案においては、見直しに向けて「スクラップヤードにはある程度広域的な範囲から物品が持ち込まれている実態があること、使用済電気電子機器等に起因すると考えられる火災が発生していることや保管、処分等に際して有害物質が周辺に飛散するなどの環境影響の懸念が生じていることを踏まえ、そのような生活環境に係る被害を生じるおそれがある性状を有する物の保管や処分をしようとする者について、都道府県等の行政機関の登録を受けるなど」の方向性を示した。
また、「保管や処分等に関して、飛散・流出を防止する等の処理基準の遵守を求めることができるようにすることで、生活環境への悪影響を防止することができるようにすべきである。さらに、処理基準の遵守状況を確認し、及び遵守を徹底するため、都道府県等の行政機関が報告徴収、立入検査や処理基準の違反等があった場合における必要な措置を行うことができる」としつつ、家電リサイクル法や小型家電リサイクル制度における認定事業者など、環境保全上の措置が講じられ、又は環境汚染のおそれが無い場合には二重規制とならぬよう留意すべきとしている。