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WEB資源新報BackNumber 2016年9月

関東資源回収組合連合会 初の青年部大会を開催 千葉で新たな歴史の一歩目踏み出す

関資連青年部千葉大会

関資連青年部・千葉大会


関東資源回収組合連合会(以下、「関資連」)青年部は9月17日、京成ホテルミラマーレ(千葉市)にて千葉大会を開催した。関資連青年部で大会を行うのは初の試み。 冒頭、開催地代表として檀上に立った千葉県資源リサイクル事業協働組合連合会青年部「千和会」の飯田敬道部長は、来賓と参加者に謝辞を述べるとともに以下の旨の挨拶を行った。 「人口97万人の都市である千葉市は、今から890年前に千葉常重という人物が本拠を移したことが始まりとされている。この関資連青年部大会も会を重ねるごとに素晴らしい大会とし、はるか未来の私たちの後輩に向けて歴史を作っていければとても素晴らしいことだと思う。短い時間ではあるが、千葉の街を楽しんで行ってもらえれば幸いだ」。
続いて挨拶に立った濱田賢一関資連青年部部長は「少子高齢化やペーパーレス時代の到来に加え、景気の低迷による消費減退と、先行きが不透明ななか、我々青年部もこれらの問題に真剣に取り組んで行かなければならない。私たちはいずれ資源回収業界を背負って立つ立場になる。より強固な業界を築くためには、組織力の強化や個々のスキルアップを図るために一致団結しなければならない。」と述べた。
大会には、吉浦髙志関資連会長をはじめ、日本再生資源事業協同組合連合会の飯田俊夫会長、神奈川県資源回収商業協同組合の佐藤秀夫理事長、埼玉県再生資源事業協同組合の福田寛栄理事長ら各県親会代表者や歴代関資連青年部長ら多くの来賓が参席したほか、スズトクホールディングス株式会社の伊藤清相談役による特別記念講演「業に生きる」が行われている。


日本ELVリサイクル機構 リサイクル部品の規格化へ JIS化からISO化で競争力確保

(公財)自動車リサイクル促進センターでは先ごろ、第4回の情報発信のあり方に関する検討会を開催したが、そのなかで27年度に行われた日本ELV機構による「自動車補修用リサイクル部品のラベリング規格に関するJISの開発」について報告が行われている。
使用済み自動車のリサイクル促進には、自動車ユーザーのニーズにあった良質なリサイクル部品が供給され、健全な市場を育成していく必要があるが、リサイクル部品の安全性等の品質面で不安を抱く自動車ユーザーもいるのが現状だ。リサイクル部品の利用を促進には、リサイクル部品を出荷する前の点検や万一のトラブルの際の保証の内容等について、整備事業者とリサイクル部品供給事業者との間で共通認識を形成し、リサイクル部品に対する信頼性を高めるとともに、自動車ユーザーへの情報提供やアフターサービスを充実させ、ユーザーのリサイクル部品に対する評価を高めることが必要との指摘がかねてよりなされている。
同機構による今回の規格策定に当たっては、国内においては自動車保険料率改定から自費修理が増えつつあることに対し、リサイクル部品の情報が少ないことが背景にある。更に海外では英国でエンジン・ミッションを対象としたリユース部品の機能評価等の認証規格やリビルト部品の商品化プロセス規定等が進められ、中国でも大学でリサイクル部品の規格化に向けた調査も行われているのに対し、我が国は業界標準による無秩序な規格が乱立しているのが現状で、今後、部品の種類に応じた機能評価方法の共通化を進めることの重要性も指摘されている。こうしたなかでリサイクル部品のJISをベースに国際化、ISO化を進めることで、リサイクル部品の海外販売のみならずリサイクルシステムの海外輸出に貢献していくことを狙いとしている。
自動車補修用のラベリング規格(案)では、JISマークそのものが製品に表示するものであり、つけられないことから、JIS Q 17050(適合性評価―供給者適合宣言―)を「自動車リサイクル部品のラベル」と2つセットで運用を行うとしている。ラベリング内容はJIS適合とともに走行距離や使用年数などの情報を記載する等とした。28年度事業では、これまで整理した項目をもとに国内ニーズや海外市場を調査した上で基本情報項目を最終特定しつつ、適合宣言書の運用体制やリサイクル部品の情報校正、記載項目などを決定し、ラベリング規格原案を作成する方針だ。


農林水産省 バイオマス基本計画改定へ 発電以外利用進まず目標期限延長

農林水産省は6年ぶりにバイオマス活用推進基本計画を改定する。これまでの計画では、2020年までにバイオマス産業の市場規模を5000億円台まで広げる目標だったが、発電分野以外で数字が伸びなかった。新計画では2025年までに目標期限を延長する。 現行計画は平成22年に閣議決定されたバイオマス活用推進基本法に基づき、農山村の活性化や地球温暖化の防止を目的にスタートした。新たに示された改定案では期限の再設定を行ったものの、利用量や市場規模の目標値はそれぞれ、炭素換算で2600トン、5000億円に据え置きとなっている。バイオマスの発生量は食品ロス削減の取組の進展などにより、中長期的に減少傾向にあるなか、利用率を高めることで目標値を目指す方針だ。
バイオマスには、大きく分けて「廃棄物系」と農作物非食用部や林地残材などの「未利用系」の2種類がある。発生量全体の9割を占めるのは前者の「廃棄物系」で、その中でも家畜排せつ物と下水汚泥の発生量が多い。特に下水汚泥は現在、63%しか利用されておらず、これを2025年までに85%まで引き上げる方針。また、食品廃棄物の利用率も24%と低く、新たに40%の目標値を設定した。さらに、発生量こそ少ないものの、「未利用系」である林地残材の利用率も9%にとどまっていることから、電力や熱などのエネルギー源として活用する方策を広げていく。
農水省の推計によると、現在のバイオマス産業の市場規模は約3500億円。そのうち半分近くの1700億円以上を発電分野が占める。約1200億円と第二規模の分野も木質チップ製造と発電関連となっている。一方、バイオエタノールやバイオディーゼルは、ぞれぞれ約18億円、約25億円と目標を大きく下回った。FITの影響などから発電関連に大きく偏ったと考えられる。新基本計画では、この偏りを改善するため、製品として価値の高い順に可能な限り繰り返し利用する多段階利用や、発電に比べエネルギー効率の高い熱利用などの取組の推進に取り組む。熱利用に関しては、特にエネルギー効率の高いバイオガスの生産量を増やして、電力と熱の両方を供給できるコージェネレーション(熱電併給)型の設備を拡大していく方針だ。


関東鉄源協同組合 コンテナ積み実証へ 海外の多様なニーズに対応

チェンナイのコンテナターミナル

インド・チェンナイのコンテナ埠頭


関東地区の有力鉄スクラップヤードディーラーで構成される関東鉄源協同組合(山下雄平理事長)ではこのほど、コンテナによる小ロットの鉄スクラップ輸出に向けた調査研究事業を開始すると発表した。同事業は、全国中小企業団体中央会の補助を受けて実施されるもの。組合は昨年度、同中央会の補助を得て新たな販路を開拓すべく調査事業を実施。今後大きな市場として成長が期待されるインドの視察などを通じ、相手国の多様なニーズにきめ細かく対応する手法の確立などを組合のビジョンとして取りまとめたが、今回のコンテナ積みに向けた調査はその流れの一環となる。 同組合は、2001年11月、鉄スクラップの共同輸出船積みを目的に設立。以降、バラ積み船により、鉄スクラップ品種のなかで最も多い流通量となる「H2」の輸出に取り組んできた。同協組が入札を通じて販売する輸出量は、2014年に25万トンを突破し、入札時に発表される輸出落札価格は東アジア相場の指標となるなど、国際マーケットにおいても強い影響力をほこっている。
他方、近年の鉄スクラップ輸出では、販売先の遠隔地化に伴い、海上運賃を下げるために船の大型化も進展。そのなかで、市況商品である鉄スクラップの輸出船積みは大型になればなるほど市況リスクが高まる点なども指摘されているのが実情だ。こうしたなかで、一部商社などでは、低リスクかつ気軽に出来るなどという観点から新断やシュレッダーなどを主体としたコンテナによる販売に取り組むところも出てきており、今後更なる拡大も予想されている。
ただ、H2に関してはこれまで、形状の問題等からコンテナ積みでは重量歩留まりが悪いなどといった点が指摘され、ほとんど取り組まれてこなかったのが実情だ。このため、組合では今後、中央会からの補助金交付決定後、コンテナに効率良く積み込むための商品開発や積み込み方式を検討するための委員会を設置し、年内にかけて試作や実証などを実施、年明けに最終的な取りまとめを行うこととしている。
昨年度インド視察においては、特に鉄スクラップを用いて鉄筋を製造するメーカーを訪問したが、現地に存在する多くのメーカーが、誘導炉電炉という投入口の小さな炉を用いて製品を製造している点や、大ロットの原料購買力のない無数の中小零細メーカーが市場に多く存在していることが判っている。こうした点を踏まえ、組合で様々な可能性を考慮しながら事業を進めていく方針だ。


三裕 八潮市で新工場稼働 ガラスびんRで他用途向け原料製造

ガラスびんリサイクルの株式会社三裕(村瀬二重代表取締役。本社・埼玉県越谷市)は、8月から埼玉県八潮市にて新工場を稼働させ、他用途向け原料製造事業を新たに開始した。 新工場「八潮センター」の敷地面積は工場部分が約150坪で、近隣住民への配慮の一環として約90坪分の駐車・待機スペースも用意。同社の草加ヤードで粗選別した緑や黒など、「その他色」のびんを八潮センターに輸送し、グラスウール原料を製造する。また、新工場の稼働に伴い、同社では埼玉県の産業廃棄物処分業(中間処理)の許可も取得する予定だ。
ガラスびんリサイクルはびんtoびんが基本となるが、その主な原料は白カレットと茶カレットで、緑や黒、青など「その他色」は一般的に需要が少ない。さらに近年は、ボトラー新商品が「その他色」を採用することが多く、「白で出荷したものが『その他』で帰ってくる」と言われるような状況が前面化してきている。同社でも近年、白びんを上回るほど緑びんの取扱量が急増し、出口の確保が課題となっていた。
八潮センターにはグラスウール原料製造のほか、プラスチックのフレーク化やPETボトルの圧縮梱包のための設備も揃う。同社は業務用酒販店からの回収ルートを主としており、びんと一緒に廃棄P箱やPETボトルも引き取ってほしいというニーズは多いという。現在、八潮センターのグラスウール原料の製造量は月間100トンほど。手選別の練度の向上やコンベアスピードなど各セクションの最適化を図りながら、今後、月産400トン体制を目指していく。


東京都 23区資源回収量は55万トン 古紙は行政増も集団回収は減少

東京23区一部清掃事務局はこのほど、23区の平成27年度資源回収量などを、清掃事業年報リサイクル編として取りまとめ公表した。年報によると、平成27年度における23区の資源回収量は、約55万1666トンとなり、前年度比約1792トン、約0・3%増加した。そのうち、集積所回収と公共施設・スーパーなどでの拠点回収は33万3460トン、粗大ごみ、不燃ごみの中から資源物を選別するピックアップ回収が2万445トン、自治会などによる集団回収は19万7761トンとなった。前年度と比べると、集積所・拠点回収は1391トン(0・4%)増、ピックアップ回収も4992トン(32・3%)と行政による回収は増加したものの、集団回収は4691トン(2・3%)減少となっている。
この集団回収量の後退の主な要因は紙類の減少にある。紙類の集団回収量は18万6937トンで 前年度比5174トン(2・7%)減と大きく数字を落とした。一方、行政回収量は15万9672トンで1907トン(1・2%)の増加となっており、行政による雑がみ回収などが本格化してきたことからか、市民の排出先が変移している実態が見て取れる。他方、その他の品目では回収量は軒並み増加しており、紙類の減少幅をカバーした。
集団回収に関しては、登録団体数は12年度の調査開始以来、年々増加しており27年度は1万1192団体となった。12年度と比較すると60%の増加となっている。この間、荒川区、中野区で集団回収への完全移行が行われたほか、近年、目黒区でも集団回収への移行が進んできている。


日本製紙石巻工場 復興のインフラ整備に テトラポット用生コンにフライアッシュ供給

40トン型テトラポット

40トン型テトラポット


日本製紙株式会社ではこのほど、東北地方の震災復興につながるインフラ整備の一環として、国土交通省東北地方整備局が発注した仙台塩釜港石巻港区雲雀野地区防波堤(南)築造工事の消波ブロック(40トン型テトラポット)で使われるコンクリート用混和材として、加熱改質フライアッシュ「CfFA?」を供給した。
このCfFA?は日本製紙MFA東北有限責任事業組合を通して、河南生コンクリート株式会社が生コンクリートに配合。石巻地区の公共工事で適用されたのは今回が初めてとなる。加熱改質フライアッシュは、日本製紙石巻工場の石灰火力発電施設で発生するフライアッシュの未燃カーボンを1%以下に均質化したJISⅡ種フライアッシュで、コンクリート製品の品質向上を実現する建設資材として2016年4月より販売されている。
従来からフライアッシュはコンクリートの高品質化に寄与することで知られ、今回の工事では長期強度の発現、耐塩害性の向上によるスケーリング(凍結融解作用によりコンクリート表面がフレーク状に剥離する現象)の防止が期待されている。日本製紙では今後も震災復興につながるインフラ整備に貢献していきたいとしている。


廃棄物処理制度見直し 「情報提供」売却品も対象か 処理状況の透明化へ論点具体性

環境省はこのほど、廃棄物処理法の次期改正に向けて、5回目となる廃棄物処理制度専門員会を開催した。前回までに業界団体や自治体からのヒアリングを終え、処理状況の透明性の向上やバーゼル法との「すきま」の解消や二重手続きの改善などが盛り込まれた論点整理案が事務局から示された。今回の審議では、前回議論を受けて改訂した論点整理案に基づき更なる議論が行われている。今回示された論点整理案で、前回案から新たに追記されたのは、「少子高齢化・人口減少社会を見据えた対応」という観点。「今後の少子高齢化・人口減少社会において、廃棄物の処理が適正に行われていくよう、行政の管理能力の維持・向上を含め、中長期的な視点での対応を検討すべきではないか」という文言が追記されている。
そのほか、目ぼしい変更点としては、排出事業者責任の徹底に関連して、「不当に低い処理費での委託の防止」という観点のほか、「処理費の清算方法の適正化」という考え方も追加されている。「適正化」とは、いわゆる「廃棄物管理会社」を通じて委託処理費の支払うのではなく、管理会社が介在する場合でも、排出事業者が処理業者に直接支払うようにすることなども視野に入れていると考えられる。
また、処理状況の透明化に関連して、前回案では、処理業者が情報提供を行い、排出事業者による処理状況の確認がより充実したものにするための措置を検討すべき、としていたが、この処理業者の情報提供について「産業廃棄物及びこれを再生することにより得た物のマテリアルフローを公開等すること」という具体的な方向性が追記されている。「産業廃棄物及びこれを再生することにより得た物」のなかに有価物が含まれるかどうかは不透明だが、日本建設業連合会連合会が「中間処理施設で『再生』し『売却』したとするものは、廃棄物処理法の規制外となるが、実態としては『売却』が不適正処理の隠れ蓑となっているケースが存在する」として、有価物への適応も強く求めていることから、そうなる可能性も少なくない。また、このマテリアルフローの公開を優良認定事業者の認定要件とする議論も並行してあり、まだまだ着地点がどこになるのか、予測できない状況だ。そのほか、処理状況の透明化に関しては、食品廃棄物の不適正転売事案を踏まえ、電子マニフェストシステムの機能強化について、概要が説明されている。
今回の審議では、①廃棄物の適正処理の更なる推進、②健全な資源循環の推進、③その他の3つのテーマに大別される論点案のうち、①について審議。次回は、雑品や廃バッテリー等の輸出規制や国内管理の厳格化などに関わる「バーゼル法との『すきま』の解消」や、優良業者認定制度の見直しなどが含まれる②について審議される予定となっている。


東多摩再資源化事業協組青年部 市民対象にバスツアー 製紙工場見学し子育て世代取込

東多摩再資源化事業協同組合のバスツアー

説明を熱心に聞き入る子供たち


東多摩再資源化事業協同組合(吉浦高志理事長。以下、「東多摩再資協」)青年部は8月29日、集団回収を行う地元自治会を対象に、製紙会社見学バスツアーを開催した。 ツアーでは同組合が開発し、東多摩地域から排出される古紙を100%原料に使うトイレットペーパー「ブーメラン」を製造する特殊東海エコロジー株式会社(本社・静岡県富士市)を見学。トイレットペーパー製造工程などを見学した後、山中湖畔などを観光し帰路に着いた。
子供連れでツアーに参加していた女性は「お土産を買う時間もたくさんあり楽しかった。静岡の名産品を食べながら家族や身近な人に工場で見たことを話したい」と満足気に語った。
東多摩再資協青年部の水野敬一部長は今回の企画意図について、次のように語る。「今後、集団資源回収をしていくうえで、子育て世代の取り込みは必須。資源回収を身近に感じてもらうことで、これまで興味のなかった若い市民の参画を増やしていきたい。そういった意味で今回のツアーは夏休み期間に開催し、工場見学だけではなく観光の要素を取り入れた。また、特に雑がみ類は市民一人ひとりの心がけ一つでゴミになるか、資源になるか決まっていく。自分たちが出した古紙がどのように資源化されるのかを知る事で、日ごろの分別の大切さを知っていただけるとありがたい」。
中野区の調べでは、60台の75・7%が集団回収を「利用している」と回答している一方、30代では40・3%、20代以下にいたっては23・7%と、若年層の集団回収離れは全国的に懸念されている問題だ。この原因のひとつとして、若年層はそもそも「活動自体を知らない」ということがある。前述の中野区の調査では、20代以下の約6割が「活動を知らない」と回答しており、広報活動の必要性が前面化してきている。 東多摩再資協で同様のツアーを企画するのは今回が初めてで、今後年1回ペースで開催していく予定。


鉱業協会 資源流出の防止求める 安定確保のための支援強化

(一社) 日本伸銅協会(会長・堀和雅三菱伸銅社長)はこの程、グローバル市場に対応した開拓のための技術開発や業界の共通課題に対応するための 「伸銅品技術戦略ロードマップ2016」 を策定したと発表した。2035年までの国内産業動向を分析したビジネスロードマップと伸銅技術を成長分野に繋げる技術ロードマップ 競合素材に対応した産業ビジョンで構成したもの。 これをベースに官・学との連携強化を進めて伸銅業界の発展をさせる。
業界成長のベースとなる有望5分野としてビジネスロードマップが取り上げているのはⅠ=自動車等を始めとする次世代移動体。Ⅱ=介護・作業ロボット等のパワーバリアレス社会。Ⅲ=IoT(Internet of things・モノのインターネット化) 等に対応するユビキタス社会。Ⅳ=低炭素の次世代燃料として期待される水素を用いる水素社会の構築。Ⅴ=衛星や資源開発に関連した分野での需要が見込まれる宇宙・深海底を位置付けている。また技術ロードマップでは、有望5分野に対応する形で展開、最終需要分野での軽量化等に貢献する素材の高強度・高電導等伸銅業界の共同開発に適したテーマを抽出して、国の財政支援までを含めた活動を進めて行く考えだ。
更に産業ビジョンでは、伸銅業界全体の課題を検討し、競争力の強化策を提示。技術開発や有望分野の特定、更には新規需要の発掘まで積極的に取り組み、協業や他の素材との連携から人材育成までを視野に入れている。協会ではそれぞれの共通課題毎に分科会を設置し、具体的な行動に繋げて行く方針だ。なおこのロードマップは2年毎に改定する予定で、希望者には有償で配布する。


東金属 社会貢献活動を強化 金属スクラップで子供向け工作イベント

東金属のワークショップ

ワークショップの様子


ヤマダ電機グループで鉄・非鉄金属スクラップのリサイクルを手掛ける東金属株式会社(本社・群馬県太田市、長峰登社長)はこのほど、グループにおけるCSR活動の一環として、子供たちの夏休みに合わせて東京・上野の国立科学博物館ミュージアムショップのサイエンスナビコーナーにて開催されたワークショップ「リサイクル金属でつくる謎のヘンテコ生物」に資材提供等の協力を行った。
同イベントは午後1時30分から3回開催され、約30名の子供たちが参加し、鉄や非鉄金属のスクラップを活かし、自由な発想で「ヘンテコ生物」を作り上げた。今回のイベントは、2004年に東金属内に設置された企画開発営業本部が独立して設立され、ワークショップイベントやCSR事業の企画を手掛けているasマテリアル株式会社の﨑村友絵社長らが講師を務め、子供だけでなく大人も面白いと感じるリサイクルに関するクイズなども実施された。
asマテリアルでは2012年3月より教育プログラム「わくプロ」事業をスタート。今回のような「金属スクラップに子供たちが接する機会を持つことでリサイクルへの関心を高めてもらう」、といった内容だけに止まらない様々なワークショップを各地で展開している。また、東金属ではこれまでも事業所周辺の小学生を対象とした「リサイクル体験教室」や地域住民への工場開放などといった地域社会との共生に取り組んできたが、今後、asマテリアルとの協力関係を深化させながら、CSR活動をグループ内事業のなかで強化していく方針だ。


清掃工場のCO2で藻培養 佐賀市で日本初の実証事業

佐賀市は清掃工場から出る二酸化炭素を回収し藻類の培養等に活用する新たな事業をスタートさせ、8月26日、設備の稼動式典を開催した。廃棄物発電施設からの二酸化炭素回収・利用の可能性を実証する事業は日本初の試み。廃棄物発電施設に高い付加価値を与え、廃棄物発電の普及及び高効率化につなげるのが狙いだ。なお、この事業は環境省の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金を受けて行われる。
新たに稼働させる二酸化炭素分離回収プラントは東芝が製造し、ごみ処理過程で発生する排ガスから二酸化炭素を1日で最大10トン回収する。回収した二酸化炭素は産廃処理大手シンシアの子会社、アルビータに売却され、藻の培養に活用される。同社では、藻からアスタキサンチンを抽出し、化粧品やサプリメントなどを製造する。
藻類の生育過程における二酸化炭素吸収効果と、動脈硬化、がんの予防、コレステロールの酸化抑制などの有用成分を作り出す効果に着目していたシンシアは、先んじて藻類の培養事業を行う米国ヒリエ社と今年3月に日本における藻類の培養等に関する事業の合弁契約を締結し、アルビータを設立。佐賀市が進める「バイオマス産業都市さが」において、ごみ処理の過程で発生する二酸化炭素を有効利用する取組が進められていることに着目し、同市と6月にバイオマス資源利活用協定を結んでいた。