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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2016年6月

アルミ缶 2015年度は90.1% R率に輸出向け算入 CANtoCANは74.7%

2015年度の我が国使用済みアルミ缶のリサイクル率が90.1%と大台を突破、2012年度以来となる4年ぶりの90%超えを達成している。 このほど一ツ橋の如水会館で開催された 「アルミ缶リサイクル協会」 (理事長=遠藤政宏昭和アルミニウム缶社長)の通常総会後の記者会見で発表された。2012年以降急増している我が国からの使用済みアルミ缶輸出の下で、 全体的なリサイクル率の算定が難しくなっているため、 同協会は国内循環の再生利用率で算出する従来までの定義を変更、 輸出量を含んだ全立居の回収量で算出する方式に改めている。
特に輸出統計については、 2015年からアルミ缶に財務省の品名コードが付与されたことで輸出量の把握が可能となり、これによってアルミ缶全体のリサイクル率の算定が可能となったことで、15年度のリサイクル率が12年度以来となる90%台突破につながった。ただ、 UBC (使用済みアルミ缶プレス) 輸出ドライブの高まりの下で、 国内循環に限定した国内再利用のリサイクル率は前年度比10・3ポイント低下した77・1%に止まることになった。なお、UBCを再びアルミ缶に再利用したCANtoCAN率は11・3ポイント上昇した74・7%となっている。
輸出を除いた国内リサイクル率の低下は、 輸出通関量の高水準維持や、安値輸入地金の大量入着による国内UBC需要の低下、更には国内市況の軟化によって表面化した流通在庫の積み増し等によるもので、 国内循環は全体的に停滞を余儀なくされている。主に韓国向け輸出が増加する直前の12年に記録したアルミ缶のリサイクル率は、94・7%に達していたが、その後の韓国向け輸出ドライブの下でリサイクル率が低下、 従来までの定義で算定されたリサイクル率は13年度の83・8%、 14年度87・4%となっていた。


読売リサイクルネットワーク 「読売の森」植樹活動を継続 第66回中央委員会開催

読売リサイクルネットワーク (YRN) ではさきごろ、 品川プリンスホテルにおいて、 第66回目となる中央委員会を開催した。読売リサイクルネットワークでは読売新聞東京本社管内の新聞販売店の読者サービスの一環として、 関東一円の販売店と回収業者が連携し、 古紙回収を行うシステムを行っており、 既に30年を超え、 年間2万トン超の回収実績をあげる事業を展開している。
読売の森

植樹活動を行う読売の森


中央委員会では、各地区から「回収業務の効率化を図る必要があるが、それが回収精度やサービス水準の低下につながらないよう努めることが不可欠」との課題があげられ、販売店と回収業者の連携事例として、以下のような内容が報告されている。
・販売店と回収業者間のミーティングの徹底(朝礼、 終礼、 事前打ち合わせ)
・情報共有の工夫 (後出し、 回収漏れ読者宅を地図上へマーキングし情報を常に最新に更新する、 申し送りノートを作成し、 注意事項の伝達を徹底するなど)
・販売店・回収業者の役割分担 (業者のみでは回収困難な場所への案内、 夕刊配達時の回収漏れチェックなど)
また、 2013年に岩手県宮古市で始められた植樹は本年で4年目を迎える (1年目、 2年目=宮古市、 3年目=山梨県甲斐市)。今年は宮城県大崎市を予定しており、 植樹が下流地域を潤す水を育むのみならず、 広葉樹の植樹が地元の名産品である鳴子こけしの原料を育て 「地場産業の振興」 にもつながることが期待されている。 YRNでは今後も社会貢献事業としての植樹活動を続けていきたいとしている。


廃掃法 改正に向け関係者が要望 日本建設業業界、東京都、全国産業廃棄物連合会

環境省は先ごろ、5年に1度の廃棄物処理法の改正に向けた有識者会合(中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度専門委員会)を開催した。2回目の開催となった今回は、関係者からのヒアリングが行われており、(一社)日本建設業連合会、東京都、(公社)全国産業廃棄物連合会が招聘され、各団体から見た廃棄物処理法に係る現状や課題が報告された後、質疑応答が行われた。以下、各団体からの報告の概要を要望や課題を中心に紹介する。
【日本建設業連合】
現状の課題として、中間処理業者が適正に再資源化や縮減を実施しているかどうか、排出事業者側からはわからないことを挙げたほか、中間処理施設で「再生」し「売却」したとするものは、廃棄物処理法の規制外となるが、実態として「不適正処理の隠れ蓑となっているケースが存在すると思われる」とした。これらの解決へ向け、①売却品を含めたマテリアルフローの情報公開(搬出先の実名含む)を優良認定の条件に加えることや、②「再生事業者登録制度」に品質管理基準を定め、再生品を売却する場合は品目ごとに登録することを義務付けることなど、再生実態を把握できるようにすることを要望した。そのほか、マニフェスト交付等状況報告書の集計データや廃棄物処理業者の許認可情報など、電子情報を一元管理すること、建設現場内での「自ら処理」を幅広く認めること、廃棄物該当性判断における「市場価値の有無」について、輸送費を含めず判断することなどを要望している。
【東京都】
不用品回収業者が家電などを雑品スクラップとして海外輸出している問題などを挙げ、環境汚染を生じるリスクがあり、廃棄物処理法の規制対象とすることが有効であるものに関して、規制範囲を拡大し、トレーサビリティを確保する必要性を訴えた。逆に環境汚染のリスクが十分に小さく、製品等の有用性が確保されていても、有償売却できないために「廃棄物」となる場合があるとして、廃棄物の明確な「卒業判定」基準が必要とした。そのほか、都道府県知事による再生利用指定など特例措置の実効性の向上、店頭回収や宅配時の引き取りなどに係る法的扱いの明確化、テナントビルにおいて、オーナーや管理会社が分別・保管などの管理権限を有しているため、各テナントに排出事業者責任を求めることは困難であること、などが報告されている。また、都道府県が独自で運用する「第三者評価制度」について、国の優良認定制度と同様に、優遇措置の拡充が必要としている。具体的には、都道府県が独自に優遇措置を設けることができる制度や、計量システムやGPSによりトレーサビリティを確保している優良認定業者に委託する場合はマニフェスト不要とする制度などを例として挙げた。
【全国産業廃棄物連合会】
連合会では、一昨年より法制度委員会を中心に議論を重ね、27項目の要望事項を取りまとめ提出している。主なところを以下にまとめると、業許可関連では、申請書類や添付書類の様式の全国統一化など申請手続きの合理化、優良認定業者への優遇措置の拡充、欠格要件の緩和、「選別」の業の行為としての明確化、有償譲渡が予定されているものなどに関する保管量上限規制の緩和、様式の統一化などマニフェスト制度の見直しなどを要望した。廃棄物区分や品目分類に関しては、同一品目の産業廃棄物種類の判断を全国同一のものにすること、特管物の限定措置の撤廃、地方公共団体の判断による産業廃棄物指定制度の創設と業種指定の撤廃などを要望している。排出事業者責任については、適正処理のためには、「経済的な背景による影響を極力受けない制度設計が必要」として、WDSガイドラインの委託基準化を求めた。また、契約品目以外の廃棄物が混入した場合の法的責任の明確化、適正処理に要する費用負担の徹底、マニフェストの交付義務の強化・徹底なども求めている。そのほか、地方公共団体が設ける独自規制について、国、地方公共団体、産業廃棄物処理業界の三者が意見交換する場を作ること、運搬車両が荷を積んだ状態で一時的に駐車する「積み置き」について、やむなく行う場合は運搬の一環として認めることなどが要望されている。


飛田テック 直江津港から過去最大1万3千トン船積み 輸出等の事業で地域振興

飛田テックの13000トン船積み

飛田テックの1万3000トン船積み


新潟県を中心に、金属リサイクルや自動車リサイクル、中古パーツ販売など、多角的な事業を手掛ける業界大手の飛田テック株式会社(本社・新潟県上越市、飛田剛一社長)ではこのほど、同社の直江津港シッピングセンター(新潟県上越市黒井2889番地6)より、同エリア及び富山県を含めた日本海側で過去最大となる1万3000トンの鉄スクラップ輸出船積みを実施した。
今回の輸出船積みは、近年日本からの販売先として急拡大を見せるバングラデシュ向けで、HS、H1、H2の1万3000トンとなる。積み込みに要した期間は6月2日からの8日間で既に出港済み。今月末にもバングラデシュに到着予定となっている。同社では、これまでも直江津港にて数千トン単位での船積みに取り組んできたが、今回の1万3000トンクラスは初。業界では日本海側での万トンクラスの輸出船積みについては、一部インフラなどの面で難しさも指摘されるところだが、国際港としての荷役体制を整えている直江津港で今回、1万トンを超える過去最大の船積みが行われたことは、業界にとっても大きな意味を持つこととなりそうだ。
飛田テックでは、今回の輸出船積みが契機となり、県内にある複数の港湾整備の一翼を担うとともに地域そのものの活性化に繋げたいとしている。同社は1953年に富山商会として新潟県上越市で創業。以降、金属リサイクルを中心に地域に根差した事業を展開しながら業容を拡大。2001年には廃棄自動車の適正処理を図るべく新潟オートリサイクルセンターを開設、2011年には中国・天津市で民間企業が手掛けた自動車リサイクル工場の建設に当たっては、同社の優れた技術の供与も行われている。
また、鉄スクラップ等の流通国際化を見据え、2010年に直江津港にシッピングセンターを開設するなど、グローバルな展開を視野に入れた取り組みも進める一方、地域においては、関連会社にて高齢化社会に対応すべく、「生きがいの提供」を可能としたサービス付き高齢者向け住宅「だいにちスローライフビレッジ」の建設・運営も行うなど、多角的に事業を展開しており、今回の輸出船積みといった国際的事業を地域振興に繋げようとする同社の更なる飛躍が期待されるところだ。


三立機械工業 インドで銅回収実証 JICAの支援事業通じワイヤーハーネス処理展開

三立機械工業・中根会長

三立機械工業・中根会長(右)


廃電線等のリサイクル・処理機械の開発製造・販売を手掛ける三立機械工業株式会社(本社・千葉市、中根亮一社長)では、国際協力機構(JICA)の「中小企業海外展開支援事業 普及・実証事業」(平成26年度補正)に採択され、このほどJICAとの業務委託契約を締結したと発表した。JICAの「中小企業海外展開支援事業 普及・実証事業」とは、途上国の課題の解決に有効に活用できる中小企業の製品・技術の普及のために、優れた提案を出した中小企業とJICAで業務委託契約を締結し、一定規模の資機材調達・据付や継続的な現地活動等による実証活動を通じ、その普及方法を検討するというもの。今回の契約締結は廃電線リサイクルのパイオニアとして、高効率な銅などの資源回収を実現した三立機械工業の優れた技術が内外で高い評価を受けた結果と言えよう。
受託事業は「インド国 ワイヤーハーネスからの銅資源高度リサイクル普及・実証事業」で、インド工業省傘下の国立自動車試験研究開発機構グローバル自動車研究センター(NATRIP GARC)に自動車の廃電線から高度に銅資源を分離・回収するプラント等を導入し、効率的かつ環境に配慮したリサイクルを推進するというもの。実施期間は今年6月からの2年間で、予算規模は1億円以内となる。
NATRIP GARC

NATRIP GARC


インドでは自動車産業の急成長の一方で、車齢15年以上の車両が急増しており、今後大量に廃車が発生することも予想される。現地では、廃車のワイヤーハーネス(電線)から銅を回収ために現地民間リサイクル業者によって行われている野焼きが、土壌汚染など深刻な環境問題を誘発しており、廃電線処理の技術・リサイクルのシステムの構築が喫緊の課題だ。こうしたなかで、同社は廃電線から高い比率で銅資源を分離・回収する技術を有しており、NATRIP GARCと共に、リサイクルシステムの検証及びマニュアル化に取り組み、環境汚染を防ぎ効率的な銅資源の取得を可能にする事業モデルの構築・普及を目指す。
今後の流れとしては、今年7月にインド・デリーにて調印式を実施し、9月にインド・タミルナドゥ州カーンチプラム県に実証プラントを設置。28年度後半よりデータ収集を行い、29年8月頃に現地にてセミナーを開催する。事業完了後は、導入前後の成果データの分析をもとに、銅資源の販売も含めた事業の収支分析等の事業性判断を行うこととなっており、タミル・ナードゥ州周辺企業、さらには他州への普及により、継続的なビジネス展開も期待される。 なお、同社の今回のインド進出に当たって、支援を行ってきた千葉市産業振興財団が、インド大使館を通じた現地ルートやJFEテクノリサーチを技術コンサルタントとして紹介するなどといったハブ機能の役割を果たしたことが大きいとしており、財団としても市内中小企業と各支援機関を繋ぐハブとなり、海外進出を後押しするモデルケースになるとしている。


埼玉県 環境産業合同入社式を開催 産廃業の新入社員定着率向上狙い

埼玉県は6月6日、埼玉県環境産業振興協会と共に、この春、県内の産業廃棄物処理企業に就職した新入社員らを対象に「平成28年度埼玉県環境産業合同入社式」を開催した。 開会に先立ち、埼玉県の環境部長は「産業廃棄物処理業が持続可能な社会に貢献できる環境産業へと発展するための主役となっていただきたい」と挨拶を述べ、また、環境産業振興協会の小林増雄会長は「これから業界を支える若い皆さんに多くの仲間を作っていただきたい」と述べた。
入社式では、新入社員を代表して関谷昌大さん(株式会社木下フレンド)と大島歌穂美さん(ウム・ヴェルト株式会社)が「埼玉県の循環型社会を担う一員として、全力を尽くしていく」と誓いの言葉を述べたほか、宮村勝富さん(日本ケミテック株式会社)、渡邉紗斗美さん(株式会社タカヤマ)ら、先輩社員による激励の言葉が新入社員に送られた。
また、NPO法人環境文明21共同代表の藤村コノヱ氏(全国産業廃棄物連合会タスクフォースメンバー)による講演も行われている。
「新たな道を切り拓く~処理の『受け手』から資源等の『創り手』への転換」と題されたこの講演では、これからの産廃業界を担う若者たちに向け、近未来の日本の産業構造や世界的な気候変動の事例などを示し、単なる産廃処理業から環境産業への転換の必要性や必然性を説いた。講演中、講師から「この業界や会社を将来どんな姿にしたいか」と問われた新入社員らは「海外で災害が起こった時、すぐに駆けつけて災害廃棄物処理を手助けできるような会社にしたい」、「廃棄物を扱いながらも、自然と共生する企業にしたい」など、各々の夢や目標を語った。入社式終了後には名刺交換会も開催されており、慣れぬ手つきで名刺交換をする新入社員も見られ、会場はフレッシュな空気に包まれた。
日本労働組合総連合会の調べでは、廃棄物処理業の平均勤続年数(男性)は全業種平均の12・9年を大きく下回る8・7年で業種別ワースト3位に入っており、離職率の高さは全業界的課題となっている。埼玉県環境部の担当者は「同じ目標の仲間を持つことや仕事に誇りを持つことでモチベーションを高め、定着率向上につなげたい」と開催の狙いを語る。全国的にも珍しい今回の取組だが、昨年度から県と協会では共同で「環境産業へのステージアップ事業」を進めており、その一環として行われている。同事業ではこれまで、「スマイル、セイケツ、スタイル」のスローガンを掲げる「3S運動」などを展開してきており、今後は業界のイメージアップ事業のみならず、処理技術の研究開発などにも着手していく。


協栄産業 高度化で新たな市場を創出 古澤社長「ペットボトルRの国内回帰を」

協栄産業・古澤社長

熱弁をふるう古澤社長


PETボトルの水平リサイクルなど、国内再生樹脂製造・販売大手の協栄産業株式会社(本社・栃木県小山市、古澤栄一社長)では、先に開催された「2016NEW環境展」に出展、ブースには数多くの来場者が訪れた。同社の今年の展示テーマは「『Oの字リサイクル』でペットボトルリサイクルの明日を拓く!『石油の利用抑制とCO2削減のW効果!!』」というもので、2015年にパリ協定で、日本が2030年度に26%の温室効果ガス削減を目標とするなか、ペットボトルリサイクルによる63%のCO2削減効果が、目標達成に大きく貢献する可能性があること等を解説した。
また、欧州では資源効率性(RE)や循環経済(CE:サーキュラーエコノミー)といった資源を最大限に活用し、その価値を持続させるという考え方が拡がりをみせているが、同社では、世界で始めて環境に優しいだけでなく、石油資源を使わずに需要家の厳しい品質要求に対応できるリサイクル原料「MR―PET?」も紹介。日本発の「サーキュラーエコノミー」の実現に向け、廃ペットボトルの受け入れ態勢強化を図るべく、独自のアルカリ洗浄技術に更に改良を加え、新プラントを茨城県で7月に竣工するとしている。
なお、環境展に合わせて開催された記念セミナーでは、同社・古澤栄一社長が最終日「どう変わる!容器包装リサイクル法」という演題において、「廃ペットボトルの更なる国内循環に向けて」というテーマで講演を行っている。同社の高品質な再生樹脂を採用しているイギリスの世界的に有名なサッカーチームであるマンチェスター・ユナイテッドのユニフォームを着て登壇した古澤社長は「廃ペットボトルは『都市油田』であり、国産の資源。ただ、これまで93・5%という高い回収率にも関わらず、多くが海外に輸出されている実態があった。しかし、リサイクルの高度化による国内での新たなマーケット創出、ボトルtoボトルの実現によるリサイクルの見える化も進展しており、質的向上による国内循環の拡大を更に進めていく必要がある」と力強く述べた。


容器包装リサイクル制度見直し 製造事業者化を推進 質向上や第三者認証活用など

容器包装リサイクル法の見直し審議を行う産構審と中環審の合同会合がこのほど開催された。見直しは大詰めを迎えているが、今会合では、先にまとめられた容R制度の施行状況の評価・検討に関する報告書に対するパブリックコメントの結果のほか、同報告書に基づく今後の対応、3R推進団体連絡会における第二次自主行動計画2015年フォローアップ報告などが行われている。
今回の審議会で議論された今後の対応の方向性として、1つの大きなポイントとなりそうなのが、再商品化における総合評価制度だ。今回の見直しでは、現行の評価制度から再生材の質向上に寄与する寄与する項目への配点を重くすること、再生材の質の向上に直接関わらない項目の廃止等といった評価項目の絞り込み重点化を図り、品質管理手法の評価について、第三者認証を活用するなどといった点を挙げている。更には、再商品化事業者が素材産業化を目指し製造事業者として成長できる環境を整備するための入札制度の検討や再生樹脂に係る規格策定等の標準化、低炭素で3Rを推進する高度技術の実証支援など、従来よりも踏み込む形でリサイクル産業の製造事業者化を進める、などが示されている。
こうした動きは、欧州における資源の再生利用に着眼した新たなビジネスモデルとマーケットの創出を狙いとするRE/CE政策の流れを踏まえたものとも言え、これまで廃棄されてきたもののリサイクルを進めることで産業と雇用を生み出すという考えに沿うものと言える。同CE政策ではリサイクル施設の認証や二次原料の品質基準などの要請も指摘されることから、今容R法見直しではこうした国際的な流れを踏まえつつ、日本型の分別収集からリサイクル原料化をアップグレードしつつ、原料の規格化による市場創出も狙いとなっていることも伺える。
また、個別品目では、びんなどのリユースの推進策として、製造から回収までの利便性向上のための規格統一かと回収インフラ整備、宅配ビジネスの拡大などの市場の変化をとらえたビジネスベースの導入可能性調査などを挙げている。このほかペットボトルについては、店頭回収されるものの廃掃法上の位置づけ明確化を踏まえた再生利用制度の活用推進による収集ルート拡大や市町村独自処理の実態把握調査、リサイクル産業が生産性を高め、資源としての廃棄物を確保できるようにするための対応を含めた指定法人における再商品化業務の効率化の点検作業の実施・検討などが今後の対応として示された。


集団回収6%減少 名古屋市リサイクル事業協同組合が通常総会開催

名古屋リサイクル事業協同組合は5月31日、名古屋市中村区のキャッスルプラザにて第19回通常総会を開催し、前年度事業・決算報告、新年度の事業計画・収支予算など5議案を審議の上、満場一致で可決承認した。賓として、名古屋市環境局の水野部長、愛知県中小企業団体中央会の水越総務部長らが来招かれ、祝辞を述べた。同組合では学区協議会方式による集団資源回収業務、清掃工場からの古紙引き取り業務などを共同事業として行っている。今総会で承認された事業報告によると、集団回収の回収実績は各品目とも微減し、全体で2万8786トンと26年度から6%減少した。新年度の事業計画でも、前年度からさらに5%減の2万8786トンの回収を見込んでいる。
また、同組合では名古屋市や中部製紙原料商工組合などとともに、古紙持去り問題に関して積極的な対策を打ち出しているが、前年度はGPS端末による追跡調査を行った。126回の調査のうち、25件の持去り行為が発覚し、そのうち4件で搬入先が判明し、中部製紙原料商工組合が搬入先問屋(大阪府岸和田市)の名称を公表している。持去り問題に関しては新年度も引き続き取り組んでいく。
なお、今年度は役員改選期にあたり、今総会では選挙が行われている。その結果、石川喜一朗理事長(石川マテリアル)をはじめ、現執行部全員の再任が満場一致で承認可決された。 総会終了後には、懇親会が開催され盛況理のうち閉会となった。


横浜市資源リサイクル事業協同組合 24期通常総会開催 Rびん拡大に取り組み

髙田理事長

髙田理事長


横浜市資源リサイクル事業協同組合(髙田哲二理事長)では、このほど第24期通常総会を開催、各議案が滞りなく承認されている。総会後に開催された懇親会の冒頭、挨拶に立った髙田理事長は「内外の経済情勢が厳しさを増すなかで、当組合においても事業そのものは堅調に推移しているものの、環境の悪化から財務体質の見直しを図る必要が生じております。こうしたなかで、当組合の社会貢献活動については、外部からの協賛企業を集め、継続的に拡大を図っていきたいと考えておりますので、皆様からのご支援をよろしくお願いいたします。また、当組合では、1事業としてリターナブルびんの活用拡大に取り組む方針です。びんはPETボトルに押され普及拡大が難しく。このままでは優れた環境性能を持つびんが消えてしまいかねないという危機感を有しています。海外ではPETボトルを禁止する動きも出てきているなかで、行政におかれましてもご支援を賜りたく存じます。私の任期も残り1年となりましたが、理事長職を精一杯努めてまいります」と述べた。
同組合の平成28年度事業計画は、先の「りくみビジョン2020」に定めた「リサイクルデザインタウン構想」の活動が後半に入ったことから、時代の流れに沿った中身の検証を行いつつ、この理念を実現するための活動を重要事項に位置づけた。このほか、リサイクルポート山之内の改善と発展、各委員会事業における課題共有、更に新規事業の構築の一環として、定款を変更し、酒類販売事業化を推進して新たなビジネスチャンス創出を図るなどとしている。

びん リユースモデル事業を実施 酒販免許取得でPB商品販売
PB販売予定のびん

決意表明「びん」


横浜市資源リサイクル事業協同組合では、28年度事業の1つに「びんリユースシステムの構築」を掲げ、懇親会において事業研究副委員長を務める寺西浩氏が決意表明を行っている。
同事業は、PB商品を流通させる新規事業として、県内酒造会社と連携を図りながら、今年8月酒販免許を取得する。そして日本酒を含めたPB商品の販売を行いつつ、「リユースびん」として回収する取り組みの実証を行うというもの。今年度は消費者への意識調査等の市場調査を行い、価格や販路拡大に向けた販売先の検討後、酒販店や飲食店を通じて年度内に500本の販売を目指す。そしてそれらが組合員によって回収後、再びPB商品として流通する完結型の仕組みとなるが、新たなリユースびんの制作・回収システムのモデル事業について環境省との連携事業として取り組む方針だ。
びんについては近年、PETボトルに市場を奪われ、縮減傾向が続いている。こうしたなかでの活用拡大に当たって業界では、リユースびんのCO2排出量の低さ環境優位性をうたっているが、PETボトルについては、利便性の高さだけでなく、リサイクルにおけるボトルtoボトルなどの高度化、環境負荷低減も進展しているのが実情だ。大手量販店等でのPBブランド販売から店頭回収、再ボトル化等といった消費者に分かりやすい循環ループの構築も進展しており、リユースびんの利用拡大には、流通システムの在り方に加え、消費者にとって何らか付加価値のあるストーリーの必要性も指摘される。


全国びん商連合会第61回総会 リユースに時代の追い風 難局打破へ活発な意見交換

全国びん商連合会の第61回総会

全びんの第61回総会


全国びん商連合会(吉川康彦会長、以下「全びん」)は5月21日、大阪市北区のCIVI北梅田研修センターにて第61回定時総会を開催した。冒頭、挨拶に立った吉川会長は「昨年のCOP21でパリ協定が採択され、日本政府は2050年までに温室効果ガス8割削減という目標を打ち立てた。これを達成するためには、産業革命に匹敵するようなエネルギー革命を起こさなければならない。数年前、弊社で取り扱うびんについて、新びんとの環境負荷の比較調査を行ったところ、89%のCO2が削減されているとの結果が出た。国の削減目標を達成するためには、ガラスびんのリユースしかないと思っている。こういった認識を土台にして、経産省や環境省にリユースびんの見直しを促していきたい。また、今日は遠方からも多くの会員が参加しているので、『シャンシャン総会』ではなく、様々な意見や提案が出る総会になることを期待している」と述べた。
吉川会長の言葉通り、審議では活発な議論が行われ、成尾商店(大阪)からは同社が地元酒蔵と連携し独自に行っている環境(リユース)マークのラベルへの付与の取組や酒販店への「一升びん回収店」タペストリーの配布を、全びんとして全国展開できないか、といった提案がなされている。
日本酒造組合中央会の消費者アンケートによると、20代では52%以上が一升びんがリユースされていることを知らないという結果が出ており、消費者への認知度向上は喫緊の課題のひとつだ。この提案については、全びんとして行うより、国などとの結びつきの強いびんリユース全国推進協議会で行ったほうが大きな取組にできるとして、今後、同協議会で検討されていくことになる。そのほか、総会では、前年度の事業報告、新年度の事業計画や吉川会長の再任など、全議案が可決承認された。


府中市 収集車など100台に持ち去り禁止ステッカー 関東商組、東リ協らと協定結ぶ

府中市と持ち去り防止協定

府中市で持ち去り防止協定


府中市と関東製紙原料直納商工組合(以下、「関東商組」)、府中廃棄物処理事業協同組合、公益社団法人東京都リサイクル事業協会(以下、「東リ協」)は、古紙の持去り防止に関連して協定を結び、5月26日、府中市役所において協定締結式を行った。
関東商組と東リ協では、全国製紙原料商工組合連合会や日本再生資源事業協同組合連合会ら8団体で古紙持ち去り問題意見交換会を組織し、古紙持ち去り根絶宣言車識別制度を運用してきた。今回の府中市との協定はこの一環として行うもので、同市のごみ収集車92台、パトロール車両8台の計100台に「STOP!古紙持去り」のステッカーが貼付けされる。
これまで、古紙持去り防止に関連した業界団体と自治体との協定はGPSの追跡調査などで行われてきたが、ステッカー識別制度を含む協定の締結は今回が初となる。関東商組では、今後もこの取組を他の自治体に拡大させていく考えだ。