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再生資源・リサイクル業界の専門紙

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WEB資源新報BackNumber 2016年10月

スズトクグループ 社会還元率は84%に 「環境社会報告書2016」を発刊

スズトクグループ環境社会報告書2016

環境社会報告書2016


金属スクラップを中心に廃家電や廃自動車、産業廃棄物などの総合リサイクル事業を展開するスズトクグループの持ち株会社スズトクホールディングス株式会社(松岡直人代表取締役社長グループCOO)はこのほど、「スズトクグループ環境報告書2016」を発刊した。それによれば、同グループの2015年度における金属スクラップなどの使用済み資源の受け入れ数量は前年度比3万3397トン増の106万2597トンとなった。一方、再資源化重量に関しては81万5900トンとなり、前年度比6万400トン減少した。これにより、同グループの再資源化物の社会への還元率は約84%になったとした。
受け入れた資源物106万2597トンの内訳は、金属スクラップが前年度比2万3219トン増の76万3419トン、産業廃棄物が同比9310トン増の5万5910トン、廃家電が同比2788トン増の4万4388トンなどと増加したが、廃自動車が同比7476トン減の18万4124トン、廃自販機が2032トン減の4468トン、古紙が同比143トン減の2557トン。なお、小型家電は7731トンの受け入れ量となった。 一方、再資源化量81万5900トンの内訳では、鉄が同比5万4800トン減の74万6700トン、非鉄金属が同比5400トン減の5万1700トン、製紙原料が同比100トン増の3200トン、その他が同比300トン減の1万4300トンとなっている。 このほか、事業活動に伴う発生廃棄物量は15万6000トンと前年度から3590トン減。事業活動に伴うCO2排出量に関しても、前年度比1200t―CO2の減となる2万5100t―CO2と、2013年以降3期連続の削減を達成している。
また、同報告書にはこうした実績値以外に、グループの多様な取り組みとして、認定事業者として取り組んだ小型家電リサイクル実証事業では3年間合計の実証自治体数が55と最多クラスになる実績を達成したほか、東日本大震災の復興支援として発足した「ふくしま環境・リサイクル関連産業研究会」の事務局としての活動などが報告されている。


ナカノ 資源循環技術・システム表彰「会長賞」受賞で講演 再生糸の他用途化に課題も

スチール缶リサイクル協会の2015年度実績公表

講演を行った窪田氏(右)


繊維リサイクルのトップランナーであるナカノ株式会社(本社・神奈川県横浜市、中野博恭社長)は先ごろ、平成28年度の資源循環技術・システム表彰にて(一社)産業環境管理協会会長賞を受賞したが、授賞式に合わせて開催された3R先進事例発表会にて受賞内容に関する講演を行った。
同社の需要は、「用途不能廃棄衣類を活用した『特殊紡績手袋よみがえり』」が高い評価を受けたもの。回収される廃棄衣類の中には、市場価値が無く廃棄物にならざるを得ない複合材や短繊維のものなどがあったが、同社は短繊維でも製糸可能な「特殊紡績」という伝統技術にて再糸化に成功。手袋という商品にして2009年から販売を開始し、JIS規格を上回る耐久性と品質に加え、非リサイクル製品とそん色ない価格を実現したことで、2016年8月末時点の累計販売枚数は284万双に達している。また、廃棄衣類の削減効果はYシャツ換算で約67万枚(約135トン)、糸の総延長は地球約37週に相当する147万kmで純軍手代替によるCO2抑制効果は東京ドーム5個分の森林に相当する106トンに達している。
講演を行ったナカノのリサイクル部事業企画室長の窪田恭史氏は「『家庭用品規制法』に定められる有害物質基準もクリアする弊社の再生糸は、軍手以外の用途にも使用可能だが、今後の課題としては軍手以外の用途を経済ベースに載せることにある」と語っている。


栗原氏「回収量60万トン増命題」 古紙センターが紙Rセミナーを開催

紙リサイクルセミナー

紙リサイクルセミナー


(公財)古紙再生促進センター(渡良司代表理事)はこのほど、紙リサイクルセミナーを開催した。今年の講演内容は「ポストリサイクル64計画目標について―新たな古紙利用率目標の策定―」(日本製紙連合会・上河潔常務理事)、「オフィス発生古紙の回収とリサイクル~未利用古紙の現状と回収促進のために~」(グローバルプランニング・小笠原秀信取締役)、「家庭から排出される古紙の現状と古紙利用率の向上に向けた取組について」(古紙センター業務部業務課・濱野彰吾主任)となっている。
冒頭、渡理事は「今年度から新たな古紙利用率目標値が設定され、2020年度65%になった。板紙分野の古紙利用率が限界に近いなかで、さらに利用率を上昇させるには、紙分野での利用を増やしていかなければならない。そのためには、紙分野で使用できる良品質の古紙の回収を増やしていくこと、雑誌系古紙の雑がみ化への対応などが肝要となる。今後、古紙品質の実態調査、禁忌品の調査、内外需給状況の入手により、的確な状況把握を行い、関係者間の共通認識形成に努め、古紙利用率の向上に向けた取組を推進していきたい。また、雑がみ、オフィス雑がみ、機密文書などの未利用古紙の回収利用、リサイクル対応印刷物の普及など、様々な個別テーマについても引き続き取り組んで行く」 と挨拶。
また、国内回収量の仕向け先20%を占める輸出については、「日本の古紙の輸出先はほとんどが中国や東南アジア向け。中国の古紙需要は依然として旺盛であり、東南アジアも紙・板紙生産量は伸びている。さらにアメリカやヨーロッパの紙・板紙の消費構造、古紙消費の変化に伴い、古紙輸出に影響が出てくる可能性がある。日本の紙リサイクルへの悪影響を避ける意味でも、これらの国の行政、製紙業界、古紙回収、流通業界、学術団体などの関係者と交流し、相互理解を深め、古紙市場や経済動向についても知見を深めていく必要がある」と述べた。この活動の一環として、今年度も11月に日中古紙セミナーを開催する。
閉会の挨拶では、栗原副理事長が登壇。当日の講演内容を振り返った後、「新たな古紙利用率目標の設定は、古紙業界にとっては昨年度の回収量からさらに60万トン増やすという命題が与えられたということ。全原連では今年度新たに2020年度対策特別委員会を設置し、対策に当たっている。現在、目標年度までのタイムスケジュールを設定し、回収量の拡大を図っており、引き続き皆さまのご支援・ご協力を賜りたい」と述べた。


(一社)産業環境管理協会 高度な技術等を表彰 レアメタルやペットボトルRなど

平成28年度資源循環システム表彰

平成28年度資源循環システム表彰


(一社)産業環境管理協会ではこのほど、東京の機械振興会館にて平成28年度のリサイクル技術開発本多賞ならびに資源循環技術・システムの各賞の授賞式を開催した。今回、リサイクル技術開発本多賞に輝いたのは鹿児島大学理工学域工学系教授・二井晋氏らのグループによる「連続向流泡沫分離法によるガリウムの選択回収及び亜鉛精錬残渣への適用」。一方、資源循環システム表彰で経済産業大臣賞を受賞したのは東洋製罐株式会社ほか味の素ゼネラルフーズ、ペットリファインテクノロジーによる「ケミカルリサイクルによるPETボトルの循環利用」となった。
本多賞に輝いた二井氏のグループは、上昇する泡沫層に金属溶液と京免活性剤溶液を同時に連続注入する連続向流泡沫分離法を開発し、他成分金属イオンの塩酸溶液からガリウムに選択的分離回収を実現、半導体や太陽光発電の廃棄物から効率的なガリウムの高効率回収を可能とした点などが評価されている。
一方の東洋製罐などのグループでは、使用済みPETボトルをケミカルリサイクル手法によってリサイクルすることで、再生材の使用が制限されてきた色付きのペットボトルや耐熱ペットボトルに利用することを可能とし、半永久的なペットボトルの循環利用を実現したことが高く評価されての受賞となった。
なお、これら以外の賞では、日立オートモティブシステムズ株式会社の「電装品のリユース化」(経済産業省産業技術環境局長賞)、産業環境管理協会会長賞としてナカノ株式会社の「用途不能廃棄衣類を有効活用した軍手『特殊紡績手袋よみがえり』」、酒井鈴木工業株式会社の「石灰灰(既成灰)を原料とした道路用砕石『FRC砕石』の開発」、株式会社環境緑化保全コンサルタントの「クリンカアッシュを100%活用した環境創造型多機能舗装の普及事業」、横浜ゴム株式会社「長寿命及び資源再生原料配合のコンベヤベルト開発」など。
更に産業環境管理協会会長賞コラボレーション賞として株式会社アクトの「使用済み鉛蓄電池(自動車用バッテリー)の国内循環事業」が、奨励賞に竹中工務店の「建設産廃タイルを再生するリユース技術開発」、水ing株式会社「し尿等からの助燃材とリン同時回収システム『Pデニライトシステム』」、奨励賞コラボレーション賞に大成建設株式会社とネットワーク・アライアンス株式会社による「建設再生資源の巡回回収システム開発」が、レアメタルリサイクル賞に日立金属株式会社並びに日本重工株式会社による「炭素熱還元法による磁石工程内スラッジからの希土類リサイクルプロセス」及び株式会社東芝「使用済み産業用モーターからの高性能レアアース磁石リサイクル技術開発」、太平洋セメント株式会社と松田産業株式会社「セメントプロセスを活用したリチウムイオン電池からのコバルト回収事業」がそれぞれ受賞している。


スチール缶リサイクル協会 2015年度R率は92.9% 5年連続90%超えも消費量は減

スチール缶リサイクル協会の2015年度実績公表

スチール缶R協会の会見


スチール缶リサイクル協会(理事長:佐伯康光新日鉄住金副社長)ではこのほど、2015年度におけるスチール缶のリサイクル実績について公表を行ったが、それによれば、2015年度のスチール缶リサイクル率は92・9%となり、5年連続で90%を超え、2013年度に上方修正した経産省・産業構造審議会のガイドライン目標値である90%も達成した。
スチール缶のリサイクルは全国の製鋼メーカーなどにスチール缶スクラップ(Cプレス、Cシュレッダー)利用料に関するアンケート調査を実施し、その回答を集計して算出しているが、一部が全国の鉄スクラップ業者によって高付加価値化のためシュレッダー処理され、スチール缶スクラップ以外のスクラップとして流通している実態もあり、2009年度からはこの一部も再資源化重量に加え、これらからアルミ蓋や水分等の異物を除去して算出している。
同協会では2015年度のリサイクル率について、2015年の世界粗鋼生産が16億2千万トンと高水準を維持する中、国内の粗鋼生産量も1億500万トンとなり、ティンフリー・スチール化の進展等により高品質なスクラップとして高い評価を受け、95%以上の自治体で分別収集の対象となっているスチール缶スクラップが安定的に使用された結果としている。
他方、2015年度におけるスチール缶の消費重量は48万6000トンと前年度比約8万5000トン(14・9%)もの大幅な減少となった。これに伴い、再資源化委重量も45万1000トンと前年度(52万5000トン)比で7万4000トン(14・1%)の減少となった。この背景として同協会では、包装容器の多様化に加え、消費者の志向や流通チャンネルも多様化しており、中でもスチール缶にとって主力商品の1つであったコーヒー飲料がコンビニでカップ入りとして販売されたことなどの影響を挙げ、「グローバル市場ではスチール缶使用量の伸びる余地もあり、引き続き高いリサイクル率を維持することが協会の務め」との見解を示している。


荒川区 あらかわRセンター完成 区移管以降地元組合の悲願実現

あらかわリサイクルセンター

あらかわリサイクルセンター


東京都荒川区はこのほど、区内資源物の新たな回収拠点「あらかわリサイクルセンター」を開設、9日に荒川区リサイクル事業協同組合(以下、「荒リ協」)主催で完成記念式典が開催された。
荒川区では、平成15年に行政回収から集団回収への完全移行化が始まって以来、区と荒リ協、区民の三者が協働で資源回収を行ってきた。平成 19 年からは、従来の古紙・びん・缶に加え、ペットボトル・白色トレイの回収も開始しており、現在では区内ほぼ全域までに移行は進んでいる。これまで、これら資源物は区内各所に点在する「びんセンター」、「缶センター」など、品目別に荒リ協の施設に集められ選別・中間処理などが行われていたが、新センター開設により、びん、缶、ペットボトル、白色トレイが一か所に集約される。
新センターの敷地面積は1999㎡で建屋面積は1082㎡。区が東京ガスの社員寮の跡地を借り上げ、総工費約9億円をかけて建設した。缶やPETボトルのプレス機やびん破砕機などの再資源化設備は荒リ協が負担し、運営も担当する。「新センターの完成により、長期安定的にリサイクルが行えるようになったことに加え、これまで無かった区民への情報発信拠点が出来たことも大きい」(区清掃リサイクル課島根一正課長)と言うように、新センターには、見学通路、パネル展示などが設置されているほか、区内で実際に回収した資源物を使って様々なものを作る体験工房など、普及啓発用設備も充実している。


横浜市資源リサイクル事業協同組合 大賞作品等を決定 10月30日に環境絵日記展

横浜市資源リサイクル事業協同組合の環境絵日記

今年度の大賞作品


横浜市資源リサイクル事業協同組合(神奈川区山内町 髙田哲二理事長)ではこのほど、同組合が毎年夏休みに横浜市内の小学生を対象に募集している「環境絵日記」の最終選考会を先月末に開催し、 その結果環境絵日記大賞を含めた優秀特別賞(27作品)を決定したと発表した。今年度環境絵日記大賞に輝いた作品は、横浜市立上北小学校4年生・河野風花さんが描いた「未来のヨコハマについて地球の仲間と考えよう」となっている。
横浜市資源リサイクル事業協同組合が取り組んでいる「環境絵日記」は、横浜市内の小学生が夏休みの期間中に環境問題や環境保全について、家庭で話し合ったことや考えた内容を絵と文章の組み合わせで自由に表現するもので、子供たちに早くから環境問題や高齢化社会などの課題について考えてもらい、横浜市を「誰もが暮らしやすく暮らしたいまち」・「誰もが活力あるまち」にすることを目指し平成 12 年にスタート。今年で17年目を迎える。
今年度は 横浜市内の全小学生の約12%に当たる2万1693人が「環境絵日記」に応募するなど、環境教育に関するイベントとしては国内最大級の取り組みと言え、この 17 年間で「環境絵日記」に応募した小学生は延べ 18万9100人に達している。
なお、同協組では今年も「環境未来都市」に選定された横浜市と連携し、「環境未来都市・環境絵日記展2016」を10月30日(日)11時から横浜市の大さん橋ホールにて開催することとなっており、今回の環境絵日記の優秀特別作品賞の表彰式を執り行うほか、優秀作品602点の展示も行うこととしている。


国立環境研究所など6団体 業界のIoT導入促進へ 協議会設立で産・官・学連携

国立研究開発法人国立環境研究所(以下、「国環研」)など6団体はこのほど、国環研と国内4大学の研究者が発起人となり、「廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会」を設立したことを発表した。事務局は(一社)資源循環ネットワーク(北九州市)内に設置される。今年12月を目途に設立総会を開催する予定。 協議会では、IoT 導入等を通じた廃棄物処理・リサイクルの「低炭素化」、「環境都市の創造」、「静脈ロジスティックスの高度化」等を目的として、ビジネスモデルの具体化やフィージビリティ調査、社会実装等の推進を目指すもの。産官学連携を前提に、廃棄物処理・リサイクル分野に主眼を置いてIoT導入の方策検討及び推進を目指す団体の設立は国内初となる。
急速に進化するIoT やAI等新技術の普及拡大は、製造業や流通業等の効率化や高速化、省人化等を推進する原動力となっており、これらの技術を活用して、静脈産業におけるシステム全体の変革と改善を行うことは、循環型社会形成に向けた最重要課題の1つに位置付けられる。こうした課題認識の下、今後不可避と考えられる静脈産業へのIoT導入の検討をきっかけに、業界全体のあるべき将来像を描くとともに、官民関係者が互いに連携するための枠組みを整備して、具体的な事業案件創出等につなげることが求められていた。
同協議会の今後の活動は、①廃棄物処理・リサイクル分野のイノベーションに向けた国等への政策提言、②低炭素化等に資する処理設備や物流、ビジネスモデルへのIoTやAI等活用方策の具体化、③産官学関係者の連携による新規事業インキュベーションの3つの方向性が柱となる。なお、具体的なIoT導入分野としては、「収集ルート等の効率化」、「仕分け・分解・選別の自動化」、「焼却炉等プラント運転の高度化」等が想定されている。 参加者企業には、JFE環境株式会社や新日鉄住金エンジニアリング株式会社、スズトクホールディングス株式会社、大栄環境株式会社、株式会社拓琉金属、株式会社中商、株式会社西原商事、日本電気株式会社、パナソニック株式会社、萬世リサイクルシステムズ株式会社などが名を連ねている。


関東鉄源協同組合 第15回通常総会を開催 山下理事長「活路開拓へコンテナ実証」

関東鉄源協同組合第15回総会

山下雄平理事長


関東地区の有力鉄スクラップヤードディーラーで構成される関東鉄源協同組合(山下雄平理事長)ではこのほど、第15回通常総会を東京の如水会館にて開催。各議案とも滞りなく承認されたほか、役員改選では山下理事長などが再選を果たした。
総会の冒頭、山下理事長は、「昨年度の事業環境は、販売数量の伸びの一方で価格が下落するなど厳しい状況になった。鉄スクラップ輸出は大型化が進展したが、そのことが逆に組合員の皆様にも負担をかける格好になったことをまずお詫びしたい。また、組合の販売量はリーマンショック時14万トンに落ち込んだが、28年度の販売高はリーマンショック時よりも低い。そのようなかで、組合員の皆様が100%納入していただいたことに感謝したい。業界に厳しさが増すなか、組合は昨年度、中央会の助成を得て販路開拓事業としてインド調査を行った。成果は今年2月に皆様に発表させていただいたが、インド内陸部への販売手法の1つとしてコンテナ積み手法開発の必要性を感じ、今年度、再び同会より助成を得てコンテナ実証に取り組ませていただく。組合員の皆様にも来年成果を報告させていただくが、引き続き当組合は活路開拓に取り組んでいきたい」と挨拶した。
28年度の事業では、鉄鋼業界の粗鋼生産が減少するなかで、鋼材価格も下落。スクラップ相場については、乱高下もあり、組合の共同輸出船積み事業にとっては試練の年になったとした。28年度の実績では、販売平均価格が1万9665円と昨年度比1万1000円の下落、販売数量は26万2000トンと過去最高を更新したものの、平均単価の値下がりで売上高は前年度比26億円減の51億円台に止まったとした。 また、輸出の中身について、放射能返品が27年度比2・7倍の、トン数で2・5倍に増加し、品質管理の徹底が求められるとしたほか、販売先はベトナム向けが22万トンと全体の8割に達したが、売り先については向け先国の遠隔地化や船舶の大型化などの状況変化も起きているとした。
こうしたなか、29年度事業では、鉄スクラップの販売数量を24万トン、販売単価2万100円とし、販売高48億2400万円を見込んでいる。更に、昨年度事業で経済産業省所管の全国中央会から補助を受けて実施したインド視察の延長線として、今年度は同会の補助を得て、更なる活路開拓の一環としてコンテナ輸出の研究に取り組むとしている。


東京都資源回収事業協同組合 青年部が「不用品回収」勉強会 講師に㈱丸越(群馬)

東資協・青年部の勉強会

東資協青年部の勉強会


東京都資源回収協同組合(片岡繁理事長。以下「東資協」)青年部は9月23日、講師として株式会社丸越(本社・群馬県前橋市)の堀越正和代表取締役社長を招き、「顧客管理システムを活用した不用品マーケティング」をテーマに勉強会を行った。
冒頭、挨拶に立った福田青年部長は今回の企画意図について、次のように述べる。「我々青年部で集まるといつも、今ある資源回収のノウハウを活かし、何か他にできる仕事はないか、という話になる。そんななか、堀越先生の会社で遺品整理や不用品回収をやられているという話を伺って、今回講師をお願いした。講演を参考にして、それぞれの商売の助けにしていただければ幸いだ」。
講演では一般廃棄物収集運搬や資源回収を中心に事業展開してきた(株)丸越が、許可業者乱立によるダンピング合戦から逃れ、いかに不用品回収などのBtoCの事業に切り替えっていったのか、どのようにして社内の問題を解決してきたのかなど、一時傾きつつあった同社の経営を立て直した経験が明かされた。


鉄リサイクリング・リサーチ 2015年末291億5千万トンに 世界の鉄鋼蓄積量を推計

国内外の鉄スクラップに関する調査・研究を行っている株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長はこのほど調査レポートNo.38「世界及び主要国の鉄鋼蓄積量から推計した2030年の老廃スクラップ発生ポテンシャル」を公表した。鉄スクラップは世界全体の粗鋼生産16億トンのなかで5億5000万トンの使用が試算される主要鉄源となっているが、発生品であるためデータ把握が困難であるのが実情だ。
こうしたなか、林氏は2005年に当時のIISI技術委員会で世界の鉄鋼循環の推計に参画し、2005年末の世界の累計鉄鋼蓄積量を195億トンと推計。今回のレポートは、その後の2015年までの推計を行いつつ、2030年の老廃スクラップの回収ポテンシャルについて展望を行ったもので、林氏は2015年末の世界の鉄鋼蓄積量は291億5000万トンと推計している。
レポートでは、2015年のフロー推計を粗鋼生産16億トンから鉄スクラップ消費5億5000万トンを引いた10億5800万トンとしている。近代製鉄がスタートした1870年を起点としてみると、第二次世界大戦後の先進国における戦後復旧と経済発展期、二度にわたるオイルショックでの調整期、そして2000年以降の中国主体による急角度の増加期の3つのパラダイムシフトがあり、特に2000年以降の急激な蓄積量増は長期にわたり世界で鉄スクラップの発生が継続することを意味する。
また、品種別にスクラップの消費をみてみると、自家発生スクラップ、加工スクラップ、老廃スクラップの3品種のうち、1970年代以降老廃スクラップが増加。2015年は全体の41%を占めるに至り、今後更なる増加も見込まれる。一方、推計蓄積量からの老廃スクラップ回収率の分析では、2015年の世界平均は0・75%で、1950年当時3・0%であったものが、近年低下傾向にあるとした。
なお、レポートでは2015年における国別の鉄鋼蓄積量をみると、291億5000万トンのうち、中国、米国、日本、韓国の公表4か国が世界全体の約50%を占め、最大国は中国の73億トン(全体の25%)となっている。鉄スクラップの世界最大の輸出国である米国が46億トン(同16%)、日本は14億トン(同14%)、韓国7億トン(同2%)となるが、この他は公表されておらず、推定値で台湾3億トン、EU28が58億トン、ロシア42億トン、その他49億トンなどとしている。なお、先進国の鉄鋼蓄積量が一人当たり10トンを超えているのに対し、中国はまだ5・3トンであることから、中国には蓄積量拡大余地があるとの見方も示した。回収率は中国1%、米国0・9%、日本、韓国、台湾が1・6~1・7%。
最後に林氏は、老廃スクラップの今後の発生ポテンシャルは極めて大きいことから、コストパフォーマンス主義から離脱した「新たな循環スキーム」を構築して資源の有効活用を図るべきとし、電炉製鋼のみならず高炉―転炉法でも消費を受け持つスタイルに軸足を定めることを提言している。同レポートは鉄リサイクリング・リサーチHP(http://srr.air-nifty.com/)から閲覧可能。





NEDO リーテム、ハリタ金属等が採択 アジアでの省エネ型資源循環実証で

新エネルギー・三g尿技術総合開発機構(NEDO)が公募していた「アジア地域での省エネルギー型資源循環制度導入実証事業」について、先ごろテーマ別に委託・助成先が公表された。それによれば、海外実証において、2016年の実現可能性調査で、バングラデシュ・ダッカ市での廃電子機器等の適正処理・金属再資源化実証事業として株式会社リーテム、シリカ等焼却灰の資源循環システム実証が株式会社フジタ、株式会社三菱総研などとなっている。
また、国内研究実証では、「動・静脈プレイヤーのネットワーク化による高効率リサイクル技術の開発」を三菱電機株式会社が、「動・静脈一体車両リサイクルシステムの実現による省エネ実証」にハリタ金属株式会社、「情報管理システムを活用したユーザーからの未回収金属回収システムの構築実証」を三井金属鉱業株式会社と株式会社大洋サービス、「IoT家電の安全回収を見据えたネット通販利用者向け廃家電回収システム構築」をリネットジャパン株式会社が実施する。
NEDOでは同実証事業について、我が国が有する環境負荷低減に資する政策ツールや技術・システム・ノウハウなどをアジア地域に提供し、その有効性を実証することで、地域での省資源・省エネを推進、適正な資源循環を目指すことを目的に公募。また、将来の資源の品質低下や不足などへの対応、アジア地域展開を見据え、国内での高度な資源循環システムの構築を狙いとしている。