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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2016年1月

日本鉄源協会 2014年度蓄積量は923万トン増 鉄スクラップ消費減、回収率も低下

(一社)日本鉄源協会ではこのほど、2014年度末(2015年3月)における我が国の鉄鋼蓄積量の推計を取りまとめ、公表を行った。鉄鋼蓄積量に関しては、同年度の鉄鋼生産量から間接輸出入を含む鉄鋼輸出入を加減し、鉄スクラップの市中購入量を差し引くことにより推計しており、各年度の蓄積量増分を累計して、累計鉄鋼蓄積量を算出している。発表によれば、2014年度の鉄鋼蓄積量の増減は5年連続の前年同となる923万トン増となった。この結果、2014年度末の累計鉄鋼蓄積量は推定13億4846万トンとなっている。 蓄積量増減を前年度と比較すると、蓄積量増大に寄与した項目は鉄鋼輸入(25万トン増)、鉄スクラップ消費減(179万トン減)となった。一方で、鉄鋼生産(55万トン減)、鉄鋼輸出(29万トン増)が減少要因となり、全体として前年度蓄積増減に対して121万トンの増加となっている。
輸出の内訳では、全鉄鋼輸出が対前年21万トン減の4228万トンで、引き続き4000万トンを超える高水準を維持した。向け先別では、中国向けが対前年7・3%減(45万トン減)の572万トン、東南アジア向けが同1・5%減(41万トン減)の2681万トン。一方、米国向けは同5・7%増(14万トン増)の253万トン。鋳鍛鋼輸出は対前年5000トン増の12万トン、間接輸出は同7万トン減の2048万トン、鉄スクラップ輸出は同56万トン増の776万トンとなり、この結果、鉄鋼関連輸出合計は対前年29万トン増の7064万トンとなっている。また、鉄スクラップの輸出量の約50%を老廃スクラップとした場合、2014年度の推定老廃しクラップ回収量は2390万トンで、前年度累計鉄鋼蓄積量に対する回収率は1・78%と前年に対し0・24ポイント低下した。
なお、鉄鋼蓄積量の推移では、1973年度(4708万トン)、1990年度(4483万トン)の2度のピークの後は減少が続き、リーマンショック後の2009年度には59年ぶりのマイナスを記録。ただ、2010年度以降は回復を見せ、2013年度802万トン増、2014年度923万トン増と再加速している。(別表を参照)累計蓄積量の年度別伸び率では、1960年代11・6%増/年をピークに、1970年代6・8%増/年、1980年代3・8%増/年、1990年代2・5%増/年、2000年代は0・8%増/年まで鈍化傾向が続き、2010―2014年度平均は0・5%増/年まで低下している。


製紙連合会 紙・板紙需要、6年連続のマイナス 15年は前年比2.1%減の見込み

日本製紙連合会 (進藤清貴会長) ではさきごろ、 2016年の紙・板紙の内需試算をまとめた。それによると、 紙・板紙合計の需要量は前年比1・1%、 29万3000トン減少の2657万5000トンとなる見通しで、 リーマンショック後の落ち込みから若干の回復を見せた2010年以降、 6年連続でのマイナス成長と予測した 。
なお、 2015年の内需実績については、 2014年比2・1%減少の2686万8000トンとなる見込みで、 年初予測の2718万3000トンからも31万5000トン下回っている。 紙・板紙別で見ても、 紙は1534万6000トンで2014年比3・4%減少 (2006年をピークに9年連続減少)、 板紙は1152万2000トンで同比0・3%減少 (2012年以来3年ぶり減少) と、 紙・板紙ともに減少となった。
2016年については、 新興国経済の減速による影響等が懸念されるが、 企業業績は堅調と見られ、 インバウンド効果も引き続き見込まれることから、 景気は緩やかに回復することが予想される。 こうした経済環境の下、 板紙は堅調な食品分野を中心に増加が見込まれるものの、 紙分野については電子媒体へのシフトやペーパーレス化が進み、 紙・板紙全体としては2015年を下回るものと予測している。  紙・板紙別で見ると、 板紙は1156万8000トンとなる見通しで、 前年比0・4%、 4万6000トンの増加となっている。 これは、 段ボール原紙で主力の加工食品等の食品向けがプラスとなると見込まれることなどによるもの。
これに対し、 紙分野では前年比2・2%、 33万9000トン減少の1500万7000トンの見通しとなった。 紙分野のマイナス成長は2006年をピークに10年連続となった。 衛生用紙、 雑種紙でプラスを予測しているものの、 主力の新聞用紙は企業業績の改善から広告市場拡大が予想されるものの、 広告の他媒体へのシフトが続くことから広告出稿は低調に推移すると見られ、 ページ数の増加は期待できないこと、また、 印刷・情報用紙については、 電子化やペーパーレス化等により減少継続が見込まれること等から、マイナスとなっている。


容器包装リサイクル法 見直し審議が再開 プラ製容器包装などで施策示され

2014年9月から中断されていた容器包装リサイクル法の見直し議論が再開された。
2013年から中央環境審議会(環境省)と産業構造審議会(経産省)の合同で14回の会合が設けられたが、1年以上会合が開かれていない状態が続き、昨年10月には内閣府規制改革会議から「閣議決定に違反した状態が続いている」として改善を要請されていた。 会合の冒頭では、これまで審議が中断されていたことについて、環境省と経産省から謝罪があり、中断理由と再開の経緯について、「前回会合以降、各主体の役割分担やプラスチック容器包装の再商品化手法の在り方など、主要論点について、関係省庁、ステークホルダー間の考え方の隔たりが大きく、有意義な議論をする環境が整っていなかった。関係省庁で、再開に向けた論点の整理、ステークホルダー間の共通認識を拡大する努力を続け、ようやく再開できる環境が整った。」と説明した。
プラスチック容器包装の再商品化手法のあり方について、関係主体間での調整を終え、今会合で示された主要論点は以下の4つ。①諸外国の制度も参考にしながら、公表されているデータに基づき認識を共有すべき。また、それぞれの手法について環境負荷低減と資源の有効利用、経済コスト、解りやすさなどの観点から検討すべき。②材料リサイクルかケミカルリサイクルかという2者択一ではなく、それぞれに課題があることを踏まえ、再生材市場に応じた多様な再商品化手法のバランスの取れた組み合わせを保ちつつ、健全な競争ができるよう、再商品化手法の特徴と再生材市場に応じた環境整備を行うべき。③固形燃料化について、一般枠における通常のリサイクル手法として認めるべきとの意見が出される一方で、市町村がコストをかけて収集したものを燃料として利用することは、市町村における説明がつかないとの意見が出された。どのように位置付けるべきか。④再商品化をより円滑に進めていくため、再生材の需要拡大の促進方策を検討すべき。
また、これらの論点を踏まえ、考えられる施策としていくつかの具体例が示されている。一つは、総合的評価制度などの入札制度の見直し。具体的には、総合評価制度における評価項目の再生材の質の向上に関わる項目の重点化、品質管理手法などの評価の進化、点数配分の見直し、登録要件項目の見直しなどが挙げられている。また入札制度に関しては、設備能力に応じた落札可能量の制限や、材料リサイクル優先A枠の一定の競争倍率を設定している現行の入札制度よりも、「優良な事業者がよりポテンシャルを伸ばせるような優れた入札制度を検討する」として、これまで毎年のように発生していた「総合評価では上位の事業者が落札できない」事態にメスを入れる姿勢を見せている。また、材料リサイクル事業者の登録要件の見直しを行い、希望する材料リサイクル事業者は優先枠を放棄し、一般枠での入札を選択できる仕組みを導入するなど、入札制度に大幅なテコ入れを行う見通しだ。
なお、PETボトルについては、安定的な国内循環の構築や、市町村の独自処理問題が主な論点となり、具体的な施策として独自処理を行っている市町村への聞き取り調査などが一例として示されている。
そのほか、店頭回収について、収集量拡大の観点から、その法的位置づけや店頭回収を行う事業者へのインセンティブ付与なども検討すべきとしている。


千代田鋼鉄工業 東京ブランドを発信 地域循環企業として価値創造

千代田鋼鉄工業の使用するロゴ

将来的な人口減等を背景とした需要低迷など事業環境の先行き不透明感が増す電炉業界のなかで、細物小棒メーカーの千代田鋼鉄工業株式会社(本社・東京都足立区、坂田正孝社長)ではこのほど、東京都が推進する「東京ブランドキャンペーン」のロゴ『&TOKYO』を取得し、メタルタグやミルシートなどに使用していくと発表した。2020年に開催が決まった東京オリンピックを前に世界の注目が集まるなかで、東京都では世界で一番愛される都市を目指した『東京』というブランドを作り上げるプロジェクトを進めており、『&TOKYO』はその共通ロゴ。『&』は東京が作り出すたくさんの“つながり”を意味し、『&』の前に東京の魅力を伝える何かの名称を置くことで東京を世界に発信するプラットフォームとなる。
ロゴを事業目的で利用する場合は都の許可が必要となるが、同社では、都に立地する唯一の電炉メーカーとしてこのプロジェクトに参加。東京ブランドアクションパートナーとして法人や団体などのなかで4番目に登録されている。ロゴの使用に当たり同社では、東京で事業を行う電炉メーカーとして、スクラップの地産地消リサイクルを通じた地域貢献、また、資源循環によるCO2削減など環境に優しい都市としての都の発展に寄与していくと同時に、輸出を通じたロゴの普及で「東京ブランド」を発信していく方針だ。
内需減や世界的な市況低迷などで逆境に立たされる鉄鋼業界だが、そのなかで同業他社との差別化にもつながる千代田鋼鉄工業の「東京ブランド」の取り組みは、地域に密着した循環企業としての価値を創造する注目すべきものと言えよう。


古紙再生促進センター新年互礼会 日本ブランド確立へ 利用率目標は1%増見通し

古紙センター・渡代表理事

挨拶する渡代表理事


(公財)古紙再生促進センター(渡良司代表理事)は8日、東京都千代田区のホテルグランドパレスにて新年互礼会を盛大に開催した。渡代表理事の挨拶は以下の通り。
「古紙を取り巻く環境については、紙・板紙の消費量の減少に伴い、回収量は年率1~2%減少しているが、回収率は81%台、利用率は64%台に達しており、これは皆様のご尽力の結果で、深く感謝申し上げる。 循環型資源である古紙は国内の紙・板紙市場の縮小、発生減、あるいは、国際的な需給環境の変化などに対応し、回収・流通・利用の各分野・各社の自助努力とともに、ますます関係者皆様の一層のご協力、連携の進行進化が求められている。特に、回収率の向上に伴う品質の低下、あるいは新聞など良質古紙の発生減、内外需要の競合による古紙リサイクルの不安定化対策は、喫緊の課題。それら諸課題の対応に際し、その要となるのは古紙品質の安定維持、現行の安定的な回収・流通・利用体制の継続にあることは言うまでもない」。
「昨年秋に、中国・南京において開催された日中古紙セミナーにおいて、日本側から日本の古紙リサイクルは回収・流通・利用の関係者の相互理解と協力連携に基づくものであり、長期的な視野での取引の重要性を説明してきた。ところが、中国側においては近年の日本古紙の品質低下への不安が大変大きい。裏を返すとこれは品質への期待が大きいということを改めて感じた。『日本の古紙=高品質』というブランドを確立することが海外需要家との安定的な取引に繋がり、安定的需給構造を確立することが国内外のリサイクル関係者の利益に直結し、また、社会的使命である古紙の回収率・利用率の更なる向上に資すると確信した。センターとしては、古紙・製紙両業界をはじめとする内外リサイクル関係者皆様のご支援ご協力を頂きながら、時代のうねりを乗り越え、皆様のご期待に沿うべく今後とも努力していきたい」 。
また、来賓を代表して祝辞を述べた経済産業省製造産業局紙業服飾品課の渡邉政嘉課長は「2015年度までの古紙回収率目標である64%を達成し、現在2016年度からの新目標値について議論を進めている。昨年来、関係者の皆様方とマクロ・ミクロ両面で分析し、評価をしてきたが、現時点においては目標を1%上げ65%で設定できないか、という案を作って調整しているところ。今後、審議会での議論やパブリックコメントなど、様々な手続きがあるのでどうなるかはわからないが、いずれにせよ、引き続きの皆様のお力添え頂ければ幸いだ。」と述べている。


環境省 雑品スクラップ不正輸出問題 松山市などからヒアリングを実施

政府では現在、廃棄物の越境移動の適正化に向けて議論を進めているが、7日に設けられた会合では、今後の議論の方向性について論点が示されている。廃棄物の輸出入を巡ってはこれまで、国内の廃棄物処理法とバーゼル条約でそもそも「廃棄物」の定義が違うことや、輸出入に必要な承認や審査が複雑かつ長期にわたることなどから、様々な混乱や問題が起こってきた。環境省では、雑品スクラップ、シュレッダー破砕物、偽装リユース品が輸出先でどのような取り扱いを受けるか不明な状態で輸出されることなどをその一例として挙げている。これらの不適正輸出に対して、バーゼル法での水際対策には限界があり、バーゼル法が適用される前段階で対策を打とうとしても、「有価物」である雑品スクラップなどに対しては規制が及ばない。また、年間約160万台の家電4品目が、雑品スクラップなどとして不法に輸出されているとする、いわゆる「見えないフロー」問題もある。この雑品スクラップなどに関する問題で、今会合では、バーゼル法に基づいて、税関での検査を実施する関東地方環境事務所と、その前段階の廃棄物処理法を運用し、ヤード業者などを監督する自治体として松山市を招聘し、ヒアリングを行った。
このなかで、関東地方環境事務所からは、雑品スクラップの廃棄物性の判断が個別的且つ迅速に判断することが難しく、この是正を課題として報告された。そのほか、シップバック事案に関して、相手国の判断基準に基づき、中古品とみなせない廃棄物であるとされたが不明確な場合があり、事業者に対して適正な輸出を指導することが困難なことや、事前相談制度に関して、遵法意識が高い事業者ほど負担が生じやすい仕組みになっていることなどを問題点として挙げた。
松山市へのヒアリングでは、同市内に存在する不用品回収業者やヤード業者に対する取組の現状と課題について報告されている。平成24年に環境省では家電4品目の廃棄物該当性判断についての指針(3・19通知)を示したが、同市は原型をとどめないほど破砕された雑品に対してこれを適用するのは難しく、さらには有価物として取引されているため、一部の悪質な事業者がヤード内で家庭用エアコンを破砕している事実は掴んでいるものの、具体的な対応には踏み込めない現状があるとした。また、3・19通知はあくまで「技術的助言」であり、自治体が廃棄物と判断を下した結果、裁判などでそれが覆された場合、その判例が全国に波及することは必至で、「法的根拠が乏しい現状において、廃棄物と断定することは困難」として、法による廃棄物処理方法の明確化などを求めた。
松山市の報告に対し、委員からは「多くの市町村で3・19通知の法的根拠が弱いため対応に踏み込めないのなら法制化に向けて議論すべき」、「仮に法制化しても、総合判断説で廃棄物認定している以上、変わらないのでは」などの意見が出ている。
検討会では、今回整理された論点を基に、来月開催される第4回会合でとりまとめ骨子案が示され、来年度中の中環審への報告を目指す。


日本鉄リサイクル工業会新年賀詞交換会 影島会長「循環型社会への挑戦を」

影島会長

影島会長


一般社団法人日本鉄リサイクル工業会(会長・影島一吉 影島興産社長)では今月8日、東京の鉄鋼会館にて盛大に賀詞交歓会を開催し、会員やメーカーなど関係者約380名が出席した。
賀詞交歓会の冒頭、影島会長は「平成24年からのアベノミクスによる我が国経済は株価の上昇、大企業を中心とした収益の向上が見られたが、鉄鋼業界に焦点を当ててみると高炉はほどほどの収益、電炉はスクラップ安での減収増益となっている。それに対し、我々スクラップ業界は大変厳しい状況に置かれている。中国の製品・半製品の流出による深刻な影響が及ぶなか、スクラップ業界こそ『氷河期』と言えるのではないか。昨年、鉄リサイクリング・リサーチの林誠一氏が指摘した中国発の4つの大波が押し寄せる中、冷鉄源価格の長期低迷時代に突入したと言え、明るい話題が見当たらないのが実情だ。ただ、私の好きな作家の塩野七生氏は『リーダーとは美男である必要はないが、明るい顔でなくてはならない』と述べており、厳しいからこそ明るい顔で事業に臨む必要がある」と挨拶。
更に工業会活動については、「まず専業会員の会費改定後2年目を迎えることもあり、収入推移を見ながら本部支部の配分を十分検討したいと思う。また、支部委員会活動の拡充のほか、遠隔地への販路開拓、次世代育成にも努力したい。申年は熟して実るという意があるというが、業界も地固めの時期である。一方で、今年、安倍首相は年頭に挑戦という言葉を24回も述べたそうだが、取り巻く環境の厳しいなかで業界としても重要なテーマである『循環型社会』への果敢な挑戦を続けていきたい」と述べている。


鳥取県 使用済み物品で条例 回収業者登録や取り扱い基準設定

鳥取県では昨年末、使用済み物品などの放置を防止するための必要な事項を定めた「使用済み物品などの放置防止に関する条例」について県議会において可決したと発表した。 同条例では、使用済み物品の回収業を営む者はあらかじめ知事に届け出が必要とされることとなる。このほか、これら回収業者が使用済み物品を屋外で保管または運搬する際に従わなければならない基準を設けるとしたほか、使用済み物品が廃棄物となったときは遅滞なく処分すること、使用済み物品を受取・引渡した際の当該取引記録の作成義務付け、回収業の廃行事にはあらかじめ知事への届出と使用済み物品の売却など適切な方法による処分が求められることとなる。
また、同条例によれば、何人も使用済み物品又は放射性物質を屋外に放置して、周辺の生活環境を悪化させてはならず、それを発見した者は知事に通報が出来るとされているほか、知事は必要な限度に置いてこれら回収業者に対し、必要な報告若しくは資料の提出を求め、職員に事務所もしくは使用済み物品保管場所に立ち入り、記録、書類その他物件を検査させることが出来るとしている。更に回収業者が条例で定められた保管・運搬基準や処分基準等に違反していることが認められた場合、知事は使用済み物品等の保管・収集方法の変更や移動・処分、その他必要な措置を講ずべきことを命じることが出来ることとなる。罰則として、改善命令に違反した場合は20万円の罰金、届け出や記録の作成・報告、検査の業務に従わない場合は5万円以下の過料に処するとされている。施行期日は今年4月1日からで、罰則に関しては7月1日より適用となる。
使用済み物品等の不適正処理については、特に一般家庭から収集される家電などが家電リサイクル法違反に当たるものが含まれているなどとして、かねてから問題視されてきた。こうしたことから環境省では、平成22年10月及び24年3月に適正処理確保に向けた通知や廃棄物該当性の判断に関する通知を全国の自治体に向けて発信。更に平成25年4月からは小型家電リサイクル法も施行され、国内での使用済み製品の適正処理に向けた制度作りが進められてきており、今回の鳥取県条例制定が国内での適正処理を後押しすることとなるのか、今後の動向が注目される。


産業廃棄物 不法投棄新たに2万9000トン 残存量は前年度から113万トン減

環境省はこのほど、平成26年度の産業廃棄物の不法投棄や不適正処理の状況について取りまとめ発表したが、それによれば、平成26年度に新たに判明した不法投棄事案は165件(前年度比6件増)で、不法投棄量は2・9万トン(同増減なし)となった。不適正処理事案は146件(同13件減)で、不適正処理量は6・0万トン(同5・4万トン減)となっている。近年、廃棄物処理法の累次の改正による規制の強化をはじめ、未然防止・拡大防止のための様々な施策の実施等により、不法投棄や不適正処理の新規判明事案の件数は減少傾向にあるものの、5000トン以上の大規模な不法投棄事案が新たに1件、不適正処理事案についても2件判明するなど、撲滅までの道のりはまだまだ険しい。
一方、平成26年度末時点での不法投棄事案などの残存件数は2582件(同18件増)で、残存量は1588・3万トン(同113・4万トン減)となった。そのうち、現に生活環境保全上の支障や、そのおそれがあると報告されているのは90件で、その状況により、支障の除去等、周辺環境モニタリング、状況確認のための立入検査等の措置が講じられている。また、現在、支障等調査中と報告された事案は19件で、早急に支障等の状況を明確にした上で対応することが求められている。また、環境省では、「現時点では支障等がないと報告された2473件についても、必要に応じて、定期的・継続的な状況確認を行い、支障等の状況に変化が生じた場合には速やかに必要な対応ができるようにしておくことが必要」とした。
都道府県が支障の除去を行う際には、国の補助に加え、産業界からの協力を得て造成した産業廃棄物適正処理推進基金による代執行費用の支援が行われており、平成26年度末までに80事案に対して支援を行ってきた。この支援制度を巡っては、昨年見直し検討会が開催されており、来年度から拠出金は全国産業廃棄物連合会や日本産業廃棄物処理振興センターなどマニフェスト頒布団体のマニフェスト販売額の一部から拠出することが決まっている。


鉄リサイクル業界 取り巻く環境厳しく 求められる新たなチャレンジ

鉄スクラップのコンテナ積み

鉄スクラップのコンテナ積み


昨年末、ようやく価格の下げ止まりから越年等に向け多少の値戻しも見られた鉄リサイクル業者等との忘年会で「来年(2016年)は良い年になりますように」という言葉をよく聞いた。しかしながら、中国の景気減速などを背景とした原油相場、鉄鉱石価格の低迷が続くなかで、東南アジア向けにスクラップを輸出する商社などからの話では昨年末段階で、「中国産ビレットが240ドル台に突入、複数の現地メーカーが製鋼操業率を下げ、圧延ラインのみフル稼働するような状況」といい、年明け以降も業界環境が短期的に改善していくことは考えづらい。
一方、原料安などを背景に収益改善の見られた電炉関係者との忘年会でも「減収増益という環境に先行きの厳しさを感じる」(某電炉幹部)と言った声も聞かれる。中国の過剰生産に伴う鋼材価格の下落に加え、目先に控える消費増税、更に中長期的な人口減と明るい材料が見当たらないなかで、更なる需要縮小に危機感を募らせる電炉業界では、統合や再編の動きが加速している。東京オリンピック後を見据え、我が国鉄スクラップの最大の需要家である国内電炉業界がどのような姿となっていくのか、今年以降もその動向が極めて注視されるところだろう。
こうした厳しい状況のなかで、鉄リサイクル業界内でも昨年、大きな動きがいくつも起きた。大手・異業種間による業務提携のほか、アジア圏のインドなど新たな市場の成長を取り込むための活路開拓、新たな販売方式として従来の数千トンクラスのばら積み船だけでなく、コンテナによる少ロット輸出の拡大などだ。こうした新たな流れを踏まえ、ある業界団体トップは「低価格時代だからこそ逆にリスクを取りやすい時代とも言える。初心に立ち返りながら、業界の変革を押し止めることなく、今年は更にチャレンジしていくことが重要」と語る。このピンチをチャンスと変えることが出来るのかが、今年1年を良い年にするための分かれ道になると言えそうだ。


環境省 排出量は600万トン増加 平成25年度の産業廃棄物排出・処理状況

環境省は平成25年度における全国の産業廃棄物の排出や処理状況について調査し、その結果を取りまとめ、先ごろ発表した。発表によると、全国の産業廃棄物の総排出量は約3億8500万トンで前年から約600万トン増加した。業種別排出量をみると、電気・ガス・熱供給・水道業(下水道業を含む)からの排出量が最も多く、約9799万トン(全体の 25・5%)であり、次いで、農業・林業が約8296万トン(同 21・6%)、建設業が約8035万トン(同20・9%)、鉄鋼業が約3076万トン(同 8・0%)、パルプ・紙・紙加工品製造業が約3044万トン(同7・9%)となった。これら5業種からの排出量が全体の8割以上を占めており、鉄鋼業とパルプ・紙・紙加工品製造業の間で順位の逆転が起きているものの、全体としては前回の調査結果と同様の傾向を示している。なお、これら5業種をGDP順に並べると、建設業、農業・林業、電気・ガス・熱供給・水道業、鉄鋼業、パルプ・紙・紙加工品製造業となる。
他方、種類別排出量をみると、汚泥の排出量が最も多く、約1億6417万トン(全体の 42・7%)であり、次いで、動物のふん尿が約8263万トン(同 21・5%)、がれき類が約6323万トン(同 16・4%)であった。これら3種類からの排出量が全排出量の約8割を占めており、ばいじんと鉱さいが順位を入れ替えたものの、全体としては前回の調査結果と同様の傾向となった。地域別排出量では、関東地方の排出量が最も多く、約 1億155万トン(全体の 26・4%)であり、次いで、中部地方の約5830万トン(同 15・2%)、九州地方の約5484万トン(同14・3%)、近畿地方の約5314万トン(同13・8%)の順になっている。
産業廃棄物の処理状況をみると、総排出量約3億8467万トンのうち、中間処理されたものは約2億9964万トン(全体の 78%)、直接再生利用されたものは約7856万トン(同 20%)、直接最終処分されたものは、約649万トン(同2%)となった。また、中間処理された産業廃棄物約2億9964万トンは、約1億3208万トンまで減量化され、再生利用(約1億2685万トン)または最終処分(約523万トン)された。合計では、排出された産業廃棄物全体の 53%にあたる約2億542万トンが再生利用され、3%にあたる約1172万トンが最終処分されている。再生利用量が増加し、最終処分量が減少する傾向は平成 19 年度まで継続していたが、平成 20 年度以降は、その傾向は弱まってきており、25年度も同様の結果となっている。
なお、再生利用率を種類別にみると、再生利用率が高い廃棄物は、動物のふん尿(95%)、がれき類(95%)、金属くず(94%)、鉱さい(91%)などで、再生利用率が低い廃棄物は、汚泥(7%)、廃アルカリ(19%)、廃油(30%)など。また、最終処分の比率が高い廃棄物は、燃え殻(30%)、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず(21%)、ゴムくず(19%)などだった。



合同製鉄 九州地区電炉再編へ トーカイ完全子会社化など

合同製鐵株式会社では先ごろ、同社の持ち分法適用会社であった九州製鋼株式会社の子会社である株式会社トーカイの株を100%取得、完全子会社化し、あわせて九州製鋼の株を一部譲渡することを発表した。
九州製鋼とトーカイは福岡県に本社を置き、九州市場を中心とした異形棒鋼の製造・販売を行う普通鋼電炉で、資本日キルは、九州製鋼の株式はメタルワン55%、合同製鉄25%、清本鐵工が20%、トーカイは九州製鋼90%、新日鐵住金8%、合同製鉄2%で九州製鋼の子会社となる。また、九州製鋼は異形棒鋼の細物メーカーであり、トーカイはベースサイズメーカーだが、親子関係にある会社として一体運営により、九州地区における細物からベースまでのフルサイズ供給メーカーとして事業を営んできた。しかしながら、人口減少と高齢化に伴う需要縮小や海外相場に連動する不安定な原料鉄スクラップ相場と製品市況、電力などのコスト上昇、中国の過剰生産問題など取り巻く環境は非常に厳しいことから、メタルワンと合同製鉄、清本鐵工の3社で今後の事業のあり方について討議が進められてきた。その結果、九州製鋼とトーカイの株主構成を変更、今回、再編を行うことで一致したもの。これにより、九州製鋼は清本鐵工が議決権の51・2%を保有する子会社となり、メタルワンが39%、合同製鉄が9・8%の株式保有比率となる。一方、トーカイは九州製鋼との親子関係を解消、合同製鉄の100%子会社となる。
合同製鉄では、トーカイの完全子会社化で、九州地区に異形棒鋼製造拠点を持つことで経営基盤の拡充と28年度以降の連結業績にフルに寄与することとなるとしており、相互に技術やノウハウの移転を図ることでグループ全体の企業価値向上を目指す方針。今回の株式売買等は公正取引委員会の承認を経た上で来年3月末に実施することとしており、トーカイの本社は工場のある北九州市若松区に移転する予定。なお、販売に関しては、異形棒鋼のフルサイズ供給というこれまで同様の一体的な運営が重要との観点から、新たな共同販売会社となる九州・トーカイ・デーバースチール(仮称)を立ち上げ、従来と変わらぬ営業・販売体制を維持する方針だ。