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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2015年7月

家電リサイクル法 4割超に不適正事項 26年度の小売業者への立入検査で

経済産業省及び環境省ではこのほど、家電リサイクル法に基づき、平成26年度の小売事業者への立入検査の実施状況について取りまとめ、公表を行った。平成13年4月に施行された家電リサイクル法は、廃家電4品目(エアコン、テレビ、電気冷蔵庫・電気冷凍庫、電気洗濯機・衣類乾燥機)について、消費者による適正な排出、小売業者による消費者からの引取り及び製造業者等への引渡し、製造業者等による指定引取場所における引取り及び家電リサイクルプラントにおける再商品化等を推進しているが、両省では、再商品化等に必要な行為の実施状況を把握し、その結果を踏まえて必要な指導等を行うため、法に基づき立入検査を行っている。
26年度については、小売業者に対する立入検査を494件実施し、そのうち209件の立入検査でのべ402件の不適正事項に関する指導等を行ったとしている。このうち、不適正事項として最も多かったものが特定家庭用機器廃棄物管理票の取り扱いについてで、236件にものぼったほか、収集・運搬料金の公表が37件、収集・運搬の適切な委託が23件、廃家電の保管についてが30件、引き渡しに関するものが22件などとなっている。
経済産業省及び環境省では、今後とも立入検査等を実施すること等により、引き続き、家電リサイクル法の適切な施行に努めていく方針だ。


関東製紙原料直納商工組合 適格事業所認定一時停止など 持ち去り古紙受入れの対応で

関東製紙原料直納商工組合(大久保信隆理事長)では古紙持ち去り問題対策としてGPSを活用した持ち去り行為実行者と持ち去り由来古紙の流通ルートの特定などを進めている。先月2日、東京都小平市と協力して行ったGPSによる追跡調査の結果、小平市内の集積所から持ち去られた古紙が組合員D社の営業所に持ち込まれたことから、関東商組ではさきごろ、D社に対する対応策をまとめた。
本件事案は昨年12月の東村山市によるGPS追跡調査の結果、「持ち去りが判明した車両」とされていた車両が、6月2日午前8時50分ごろ、小平市内の集積所からGPSのセットされた古紙を持ち去り、D社営業所に持ち込んだとするもの。後日、関東商組がD社に対して行ったヒアリングによれば、当該車両からの受け入れは新聞、雑誌各1000㎏で、受け入れは昨年12月中旬ごろから週2回程度であったとのこと。
D社の持ち去り古紙の受け入れは、一昨年2月に蓮田白岡衛生組合が行ったGPS追跡調査により判明したのに次いで今回が2回目。D社では前回の受け入れ以降、持ち去り車両に関する情報を随時全営業所に流し、 情報車両に該当する業者からは一切荷受けしないよう指導・実行していたが、今回受け入れが判明した営業所の責任者が当該持ち去り人の、今は持ち去りをしていないという言質と誓約書を信用して受け入れてしまったという。D社では今回、 持ち去り古紙を受け入れてしまった営業所の責任者に始末書の提出を求めるとともに厳重注意を行った。 また、さらに重い処分も検討するとしている。
これに対し、関東商組としては、D社に対し、今後同じことを行った場合には、定款に定める信用失墜行為にあたり、従って除名処分もありうるとした。 具体的には、再発原因を踏まえ、防止策の徹底を図るよう厳しく申し入れると同時に、改めて「持ち去り古紙は一切扱わない。これに反した場合は組合によるいかなる処分も受け入れる」との誓約内容の遵守を求めている。 また、適格事業所認定を半年間一時停止し、概ね半年間の経過観察を行うこととしている。なお、D社では今回の件においてGPS端末器の回収に全面的に協力した。また、D社の都内の営業所では加盟リサイクル事業協同組合の持ち去り防止活動に積極的に参加しており、数年前より毎月行われている早朝パトロールに毎回参加している。


食品リサイクル法 食品ロス年642万トン発生 熱回収施設全国リストも公開

このほど、環境省が公表した平成24年度の食品廃棄物等の利用状況によると、全国の食品ロス発生量は、事業系、家庭系合わせ約642万トンであることがわかった。食品全体の食用仕向量8464万トンのうち、製造や卸売、小売、外食など食品関連事業者から、実際に消費者の口に入ることなく排出される食品は1916万トン。また、一般家庭からも885万トンが廃棄物として排出されている。 事業系では大豆ミール、ふすま等876万トンは有価物として再利用されるが、819万トンは廃棄物として処理される。そのうち規格外品や返品、売れ残り、食べ残しなど、本来は食べることができると考えられる量は331万トンで、家庭系では食べ残しや、過剰除去などにより312万トンの食品ロスが発生している。つまり、食品由来の廃棄物2801万トンのうちの642万トン、約23%が食べられる状態で破棄されているという。
一方、食品由来の廃棄物の約47%の1323万トンが食品リサイクル法によって再生利用されている。内訳は飼料化向けが958万トン、肥料化向けが254万トン、エネルギー化等向けが111万トンとなっている。食品リサイクル法では、排出事業所から75㎞圏内に肥飼料化の工場が存在しないことなど、一定の条件に該当し、得られる熱量の基準などを満たしていれば、熱回収も再生利用法として認めているが、今回の推計では46万トンが熱回収されているとした。
また、熱回収に関連して、環境省では余熱利用機能を持ち、かつ食品廃棄物を扱う可能性のある一廃・産廃処理施設に対してアンケート調査を行っている。この調査結果をもとに、食品リサイクル法上の熱回収を行ったものと認められる可能性のある食品循環資源の熱回収施設のリストと所在地の全国マップを作成し、このほどHP上で公表した。今回の調査により把握した施設は全国で43か所。このリストについて環境省では、自治体や民間事業者等による申出等を受け随時更新を行うとしており、要件を満たす可能性があり、リスト掲載を希望する施設管理者に対してリサイクル推進室食品リサイクル法担当に申し出るよう呼びかけている。


NEDO アルミ系廃棄物で発電 アルハイテックが複合素材処理し実証

アルミ付き紙パック等 「紙、アルミ、プラスチック」のアルミ系複合廃棄物から水素を抽出して発電に利用する、水素エネルギー利用の新たな可能性の検証にNEDOが着手している。異なる素材からなる「複合廃棄物」のうち、素材別の分・選別リサイクルが困難であった紙パック等アルミ系廃棄物から資源・エネルギーを取り出す画期的なもので、システムの実用化に目処が立ったことから、この程実働の工場でのシステムの検証に入った。
国立研究開発法人 「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO) が発表した 「アルミ廃棄物から水素を抽出して発電する」 新しいシステムは、2014年12月、NEDOの 「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」においてスタートしたもので、「アルハイテック㈱」(本社・富山県高岡市、 綿貫勝介代表取締役社長)が乾留炉と水素発生装置の開発に取り組みこの程実用化の目処が立ったことを受けたもの。このシステムを利用してアルミ系廃棄物900トンを処理した場合、約170万KWh(一般家庭4600軒分の月間使用量)の省エネ効果が期待でき、水素社会構築に向けた新たな可能性拡大を目指すことになる。
今後は朝日印刷㈱(富山県婦中町)の協力を得て、同社工場から排出されるアルミ系複合廃棄物を利用したシステムの有効性検証に着手する。今後の予定は、 朝日印刷が提供する同社工場内で、 新たに規模を拡大した装置を年内に設置し、工場から排出される複合材製品の端材を利用した実働工場におけるシステムの検証を準備、来年から運用をスタートさせる。供給源に隣接した施設での処理で、 廃棄物の外部への搬送がなく、 更に余剰熱を工場で利用することで大きな省エネ効果も期待されている。
同社が開発したシステムは、パックパルパー(分離機)でパルプ分を抽出、アルミ付きプラスチックを乾留炉で加熱してガス・オイルと高純度のアルミに分離、回収したアルミを水素発生装置で特殊アルカリ溶液と反応させて水素を取り出すもの。 課題となっていた炭化物の付着が少ないアルミの回収が可能となり、水素発生装置では、化学反応による連続的な水素の供給を自動で制御することに成功している。


事業系一般廃棄物 「受け入れ拒否」辞さない構え 千葉県野田市が指導強化

展開検査で確認された搬入不適物

展開検査で確認された搬入不適物


千葉県野田市はこのほど、「分別あらため隊」を結成し、8月から清掃工場での抜き打ち展開検査を実施するなど、事業系ごみの受入れ指導を強化する方針を明らかにした。 同市では、事業系ごみの現状を把握するため、昨年2月から展開検査や、職員が収集業者のパッカー車に同乗し、回収作業に同行するなど、試験調査を行っていた。その結果、排出事業者214社の内、142社で産業廃棄物や段ボールやPETボトル、紙類など資源物の混入を確認。この結果を受け、清掃工場に事業者または許可事業者がごみを持ち込む際、同市が受け入れ基準を満たしていないと判断した場合、指導・勧告・命令・社名公表・受入拒否を可能にする規定を新たに条例に追加し、7月1日から施行している。
展開検査強化の取組としては、臨時任用職員3名を新たに採用。清掃第一課の職員1名とともに「分別あらため隊」として、8月3日から清掃工場で抜き打ち展開検査を実施する。検査は週3日程度の予定で、今年度は全102日、1日あたり2台の車両を調査するとしている。野田市の収集許可業者等は10者で、車両数は22台となっているため、おおよそ1台につき3週間というペースになる。 具体的な検査方法は、投入ピット前のプラットフォームで1車両あたり100袋を展開し、混入率を調査、一定の基準に基づきランク付けを行う。低評価だった収集業者に対し指導を実施し、2度目以降、改善が見られない収集業者に関しては、その程度に応じて勧告・命令・社名公表・受入拒否を行うというもの。
同市では平成24年に新たな「野田市一般廃棄物処理基本計画(ごみ編)」を策定し、平成33年度の市民1人1日あたりのごみ排出量を447グラムの目標を打ち出している。これまで、家庭系ごみに関しては順調に削減が進んでいたが、事業系については基準年の平成22年からほぼ横ばいの数字が続いており、排出量目標達成への押しの一手として、事業系ごみの削減に着手したという。野田市では「受入拒否などの規定を置いている団体は他に多くあるものの、そのほとんどが実行していないというのが実情だ。市ではルールを守らない悪質な排出事業者や収集許可業者に対しては毅然とした厳しい態度で受入拒否などを実行する覚悟である」と、場合によっては「受入拒否」も辞さない強い姿勢を見せている。


災害廃棄物 支援ネットワークの枠組み決まる 全産連、JEFMAなどが参加

環境省はこのほど、大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会を開催した。今年度2回目となる今回は「大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針」の素案が示され、地域ブロック協議会の項目では、平時の役割として「人材育成のプラットフォーム」である旨や、下水道分野における連絡会の運営スキーム(下水道事業における災害支援に関するルール、平成24年6月改定、公益財団法人日本下水道協会)などを参考に、役割や運営方法を整理することなどが追記されている。 また、同検討会ではこれまで組織が検討されてきたD・Waste‐Net(災害廃棄物処理支援ネットワーク)についての概要が事務局から示され、期待する役割、機能などについて議論が交わされた。
D・Waste‐Netとは、災害廃棄物対策に係る知見・技術を有効に活用し、国、自治体、事業者の災害対応力向上につなげるため、有識者や民間事業者団体などによる人的な支援ネットワークのこと。研究者や専門家らによる「支援者グループ」と「民間事業者グループ」から構成され、発災時には、各グル―プがチームを作って、被災状況の把握や現地での処理業務への支援、処理実行計画の策定支援などにあたる。また、平時には、「支援者グループ」において、過去の災害における取組の整理・分析、災害廃棄物処理に係る最新の化学的技術的知見の整理、自治体による事前の備え(災害廃棄物処理計画や人材育成など)の支援などを行う。「民間事業者グループ」では、過去の災害における取組、ノウハウの整理に加え、BCPの作成など、災害発生時での処理を支援するための備え、自治体などとの連携協力体制の構築などにあたる。
現時点で想定されている各グループのメンバーは、「支援者グループ」が、国立環境研究所職員、廃棄物資源学会や地盤工学学会等所属の研究者、日本環境衛生センター職員、全国都市清掃会議、自治体職員や元職員などで、発足時は「大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討委員会」の委員を主体と想定している。一方、「民間事業者団体グループ」は、一般廃棄物処理事業団体、産業廃棄物処理事業団体、建設関連事業団体、セメント・リサイクル・リース関連事業団体などで、発足時は、日本環境衛生施設工業会、全国産業廃棄物連合会、環境衛生施設維持管理協会、日本建設業連合会、セメント協会を主体と想定し、以降、順次追加していくとしている。


日本再生資源事業協同組合連合会 第43回全国大会を札幌で開催

日本再生資源事業協同組合連合会第43回全国大会

日資連・第43回全国大会


日本再生資源事業協同組合連合会(飯田俊夫会長) の第43回全国大会がさきごろ、札幌市 「札幌ガーデンパレス」 において開催された。 札幌市で開催されるのは初めて。 会員、 関係者200余名が参加する盛会となった。 今回は札幌市資源リサイクル事業協同組合が所管した。歓迎の挨拶で東龍夫理事長は 「北海道で開催することができて本当によかった。 青年部の諸君が大層骨を折ってくれた。 短い時間の中でどこまでやれるか心配だったが、何とか形がついたのではないかと思っている。 藻谷浩介先生のお話やその後の集団資源回収の手法に関するパネルディスカッションを通して何か得るものがあり、 それを各地区に持ち帰って役に立てていただければありがたい」 とコメントした。
飯田俊夫日資連会長は 「札幌の東理事長をはじめとする関係者の設営努力に感謝している。 10年も前から一度札幌でやりたいと思い、 何度か働きかけてきたが、 昨年、 こちらの青年部さんが日資連青年部に加盟し、 そうしたつながりのなかで大会開催ができたものと受け止めている。 ありがとう。 業界をめぐる情勢は極めて悪く、 予断を許さない状況が続いている。 さりとて止めるわけにもいかない。 ここは知恵を絞ってふんばらなければならないところだ。 今回の企ても含めて各地で先進的な取り組みが行われている。 そうした力を結集して一つの方向にまとめ上げていくのが日資連本部、 執行部の役割ではないかと思う。 諸兄の積極的な活動参加に期待したい」 と今後の日資連の方向性についての認識を示した。
表彰式、 来賓祝辞、 祝電披露が行われ、 第43回通常総会報告、 大会決議の採択が行われた。 最後に次期開催地大阪を代表して大阪府再生資源事業協同組合の山本一浩理事長が招聘の挨拶を行った。


中国再資源化業界 政府施策で集約化図り 増値税還付や設備等条件整備で

急激な経済成長を背景としてこれまで日本を含む全世界から資源を喰らい続けてきた中国の再資源化市場。近年の経済成長の鈍化などを受け、中国政府は国内産業育成と競争力強化を図るべく、産業の集約・再編に動いているが、再資源化業界においても今年7月より新たな施策を導入している。その一つが、中国財政部などが先ごろ公表した「資源総合利用産品と労務増値税優恵リスト」だ。これは、各種再生資源の加工企業に対し、原料の調達や廃棄物処理等で一定の基準を満たす場合において、増値税に関わる部分の還付を申請できる優遇政策であり、品目ごとに還付率は異なるものの、一定の中国の再生資源加工企業にとっては追い風となる内容だ。
具体的には、廃棄自動車や廃家電、設備や建築物の解体によって発生する金属スクラップで30%となるほか、PETボトルなど廃プラスチックで50%、古紙などでも50%との還付率となっており、これらを税還付受けるには品目ごとに中国政府部門の定める企業設備や品質要求、ISO保有などの条件を満たす必要があるとされている。これらの条件に合致する企業は、比較的規模の大きく設備投資も進んだ事業者が多いとされ、こうした一定規模の事業者を税制的に優遇することで後押しし、再生資源加工・廃棄物処理産業としての育成を図る狙いがあるとされる。
また、労働集約型である繊維産業においては更なる集約化を図るため、7月より中国工業情報化部では「再生繊維(ポリエステル)行業規範条件」を導入、PETボトルなどの再生繊維原料の年産能力を3万トン以上としたほか、短繊維の場合は年産能力を3万トン以上、長繊維は年産能力2万トン以上とし、材料投入から給水、排水等各段階において洗浄などの設備能力や歩留まり、環境保護などで設定された細かな基準を満たすよう企業に求めている。更に廃プラスチックの再生加工企業においても、今後産業集約化に向けた新たな基準が導入されるとの見方もあり、中国への依存度の高い日本の再資源化業界にとって、今後の動向が注視されるところだ。


鉄リサイクリング・リサーチ 高炉の使用拡大提起 需給ギャップ1000万トンへの対応

鉄スクラップに関する調査・研究を行う株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長はこのほど調査レポートNo28「今後の鉄スクラップ需給における高炉購入のシチュエーション」をまとめ発表した。
高炉メーカーの市中スクラップ購入挙動は、需要の盛り上がりと炉修やトラブル時の鉄源確保が基本であることから、同レポートは、過去の経緯や現状を検証するとともに今後の鉄スクラップ需給を展望しながら、高炉メーカーにおける市中スクラップ購入のシチュエーションについて短期、中期、長期にわけて考察したもの。
それによれば、過去10年間において最大の購入量は、2008年の492万トン、転炉配合比率は15%前後となり、スクラップ高騰の一役を担ったが、リーマンショック後の2009年には170万トン台まで低下。その後多少の回復は見られたものの、2013年からは工場発生クズの引取や炉修トラブルの対応程度の購入姿勢となり、2014年以降は銑鉄で十分な需要になっていることから、2015年の購入量は50万トンに満たない水準になるとの見通しを示している。また、こうした高炉の購入姿勢の変化に対し、今まで鉄スクラップは輸出で需給ギャップの解消が図られてきたが、最近は主力輸出向け先の韓国が放射能問題で停滞するなど、輸出側に今までと異なった要因が起きてきているのも現状として指摘される。
次に2016年から2019年までの中期展望では、行政支援の下の電炉再編、高炉メーカーでも海外需要地での高炉立ち上がりや中国・韓国の鋼材輸出などで輸出需要の減少が見込まれる一方、高炉の調整はそれほど進まず結果として余剰銑鉄が鉄スクラップと競合する状況が出現するとした。
そして2020年以降からは、人口問題に起因する構造問題で電炉再編は加速し、電炉における鉄スクラップ需要は更に減少、需給ギャップは2030年に1000万トン前後にまで拡大、輸出先であった韓国、中国も自給化でこれらを吸収しきれず更なる遠隔地の新規開拓が必要になる。ただ、輸出についてもこれまで輸入国であった中国が2030年には2000万トンもの輸出国になることも考えられ、売り先難により我が国の鉄スクラップは価格が低迷、自由経済商品から逆有償などの管理商品時代が再現する可能性もあるとしている。

日本ブランド定着を 品質向上等で販路開拓重要に
こうしたことから林氏は、日本の鉄スクラップは2020年までの間に韓国、中国に代わる新規マーケットの開拓を急ぎ、韓国、中国から輸出されるであろう老廃スクラップを超えた品質などの日本ブランドを定着させる必要性を説き、この5年間の努力と成果が日本を救うと述べている。更に国内においては行政や高炉メーカーを含め、「鉄鋼資源循環の担い手と市場経済原則に基づくリサイクルについて具体的に議論を進め、高炉はこれまでの需要ベースの使用から、資源循環の担い手として環境問題解決へ使用姿勢を転換するシチェーションをもつべきとした。そのなかで、鉄リサイクル業に対しては、H2、H3を超える新商品の開発などに取り組むことを提案しつつ、国内電炉メーカーに対しては、信用関係をさらに堅持していくこと等を生き残るポイントとして挙げている。
なお、同レポートは鉄リサイクリング・リサーチHP(http://www.srr.air-nifty.com)から閲覧可能だ。





関東製紙原料直納商工組合 持ち去り問題で中間報告 撲滅に向け徹底した取組継続

関東製紙原料直納商工組合(大久保信隆理事長)では、このほど同組合における古紙持ち去り行為の撲滅に向けた取り組みの中間報告となる「持ち去り古紙の行方―許される!? 不法に回収された古紙の輸出―」をとりまとめ公表した。同報告書には、組合の取り組みや持ち去り古紙の現状および海外輸出フローの写真入り解説、税関の見解などがまとめられている。 同組合の古紙持ち去り行為撲滅に向けた取り組みは、平成22年から東京都環境局による「古紙持ち去り問題対策協議会」に参加し、関連団体などとの実態調査や古紙持ち去り根絶宣言車識別制度の導入など認識共有を進めた第Ⅰ期、平成25年2月以降のGPSによる古紙持ち去り追跡調査の実施を行った第Ⅱ期、そして同年10月以降は持ち去り行為を繰り返し買い入れている事業名を公表する措置を導入した第Ⅲ期に分けられる。そのなかで、第Ⅱ期以降のGPS追跡調査については、25年度の協力自治体数が27であったのに対し、26年度には45自治体にまで拡大、貸与端末個数は126個から185個まで増加した一方、GPSをセットした古紙が持ち去られた件数は51から38に減少、常習的買入事業者受入も37件から20件にまで減少した。ただ、常習的買入事業者に対する警告書送付回数は25年度4回から26年度には9回に、事業者名公表回数も同4回から同7回に増えている。
既に常習的買入事業者としてはタカラリサイクル、八潮エコ、川越資源、松沢紙業などの名前が公表されているが、これらの業者は未だ抜本的な再発防止策を講じることなく、相変わらず持ち去り古紙の買い入れを続けているとされ、これら企業への対処は依然として大きな課題となっている。また、これら事業者に出入りを行う持ち去り者は専用の車輛を用意し、相互に情報共有を行うなど組織的な動きさえ見せつつあるのが実情だ。これら明らかな不法行為によって回収・買入された古紙は全国で年間約12万トンと推定されるが、同報告書によって国が国内製紙メーカーが受け入れぬ持ち去り古紙が混入したベール品が海外に輸出されている事態を大きな問題と捉え、法治国家として相応しいもう一歩踏み込んだ措置を講じる契機になればとしている。
また、関東商組では、持ち去り専用車両として認識されている自動車ナンバー数が100を超えるなど非常に多くなっていることから、組合員が誤ってこれら車両から持ち去り古紙を受け入れることのないよう、車両ナンバー照会システムを導入する方針も示している。同報告書の公表と合わせ、大久保理事長は「自治体と市民と業界の協力の下で、行政の回収に移行してかなりの年数が経過し、1つの社会システムとして定着している。それにも関わらず、過去の慣習に捉われたようなやり方を行うことは時代にマッチしないだけでなく、我々業界の大切な仕事そのものの信頼に関わることにもなる。今後も持ち去り撲滅に向けて徹底的に取り組んでいく」とコメントした。


家電リサイクル 回収資源は40万トン超に 平成26年度の再商品化実績

環境省及び経済産業省では先ごろ、平成26年度における家電リサイクル実績について取りまとめ、公表を行ったが、それによれば、平成26年度に全国の指定引取場所において引き取られた廃家電4品目は、消費増税後の家電販売の反動減などで約1086万台となり、前年度(約1273万台)比で187万台(14・7%)もの大幅な減少を示した。1100万台を下回ったのは平成15年度以来のこととなる。内訳では、エアコンが約223万台、ブラウン管式テレビが約187万台、液晶・プラズマテレビが約85万台、電気冷蔵庫・電気冷凍庫が約278万台、電気洗濯機・衣類乾燥機が約314万台となった。
他方、再商品化実績についても、26年度に家電リサイクルプラントに搬入された廃家電4品目は約1204万台(前年度比約4・7%減)となり、こちらも減少を示している。各家電品目における部品及び材料等の再商品化量では、エアコンが9万4213トン(再商品化率92%)、ブラウン管式テレビが3万7446トン(同75%)、液晶・プラズマ式テレビが1万4806トン(同89%)、冷蔵庫・冷凍庫が15万913トン(同80%)、洗濯機・衣類乾燥機が11万294トン(同88%)となった。これにより、4品目トータルでの再商品化重量は40万7672トンと前年度比2万7000トンの減少となっている。
なお、これら家電リサイクル対象品目から回収された各種資源量については、鉄が前年度比1万トン減となる17万755トンとなったほか、銅がほぼ横這いの1万4929トン、アルミニウムが同約1500トン減の1万4306トン、非鉄・鉄などの混合物が同約6000トン減の6万9339トン、ブラウン管ガラス1万8765トン(同約4500トン減)、廃プラスチックなどその他有価物が11万9578トン(同約4000トン減)となっている。


機密情報抹消事業協議会 今夏までに一般社団法人に移行 11月に国際セミナーも開催

機密情報抹消事業協議会平成27年度定期総会

機密情報抹消協議会の27年度総会


機密情報抹消事業協議会は先ごろ、平成27年度定期総会を実施し、記者説明会を実施した。 近年の機密文書処理サービス市場の進展を受け、(公財)古紙再生促進センターが作成した「リサイクル対応型機密文書処理ガイドライン」の普及と拡充を図り、信頼される市場の形成を目標として、昨年7月に発足した同協議会。活動初年度である前年度の主な事業は以下の通り。
「ガイドラインの普及事業」として、大阪市環境局、長崎県中小企業中央会主催のセミナーなどで講師として出席。ガイドラインの説明を行うとともに、日本商工会議所に対しても、同様の説明を行い会議所会員紹介の機会を設けるよう依頼した。また、ガイドラインの各要求項目を各会員に共通の認識の下、解釈し確認するための「自己点検要領」の整備と実施を行っている。具体的には、ガイドラインの要求項目を共通、収集運搬、移動式裁断、定置式破砕、溶解の5業務分野に区分。127項目について要求項目を設定して、チェックリストを作成した。このリストには、昨年12月~3月に3度行った意見交換会での指摘や意見を反映させている。そのほか、指導員制度の検討、ブログでの情報発信、ロゴマークの商標登録などを行った。
新年度の事業計画では、同協議会設立の主目的のひとつであるガイドラインの普及活動を中心として、自己点検要領に基づき、正会員を対象にした自己点検や、その結果を踏まえた指導員制度の検討などを行う。さらに、今年8月ころまでには、一般社団法人への移行が完了する見通しであることも明らかにした。
また、今年11月に欧米の講師を招聘し、「機密抹消国際セミナー」を開催する予定。同協議会のガイドラインは、欧米の規範を下敷きとして作成されており、その運営に携わる人々を招聘し、これらの規範が策定された背景や、規範の枠組み運用の実態を知る事で、同ガイドラインへの理解を深め、日本でのベストプラクティスの考える上での参考にすることが狙い。このセミナーは、会員拡充のため、会員のみならず、非会員にも無料公開される予定だ。具体的な講師は未定だが、米国およびフランスなどから関係者が招聘されると見られている。
なお、昨年7月に発起人9社で発足した同協議会だが、その後、会員数は順調に増加し、今年5月25日現在で正会員66社、賛助会員8団体、ユーザー会員1社となっている。同協議会では「今年度中に正会員100社を目指し、会員拡充活動に臨む」とした。