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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2014年3月

古紙再生促進センター 処理会社の規範確立に 機密文書処理ガイドラインを策定

機密文書の処理については、 個人情報保護法が全面施行された2005年前後から、専門の処理業者が増加してきたが、現状では文書の搬出から処理に至る過程すべてにおいて独自のセキュリティ基準を構築する業者や、 破砕や溶解といった機密抹消のみに焦点をあてた業者など、さまざまな業者が存在している。しかも、サービスのレベルにもかなりの格差が生じていることから、一定の規範の確立が必要となっていた。
公益財団法人古紙再生促進センターではこのほど、機密文書を製紙原料としてリサイクルする機密文書処理会社の規範確立に資するため、「リサイクル対応型機密文書処理ガイドライン」を策定した。機密文書処理に求められる「セキュリティの確保」と「紙資源の循環」というニーズに応えたもの。 同ガイドラインの特徴は、文書の範囲を紙媒体のみに限定し、破砕サイズについては独自の基準を設定せず、環境省のグリーン調達指針(政府機関の排出基準として、事業者による裁断紙片サイズの目安は10ミリ×50ミリ、庁舎等内におけるシュレッダー処理は紙幅5ミリ以上) を参考にするものとし、 また、処理方法としては、移動式裁断や定置式破砕に限定せず、溶解も処理方法に含めていることなど。
さらに同ガイドラインは、処理会社を対象としたものだが、排出者にも機密文書の処理方法や委託業者の選定の際の目安として利用してもらうことを念頭に、 排出者が機密文書処理を外部委託するにあたって利用できるチェックリストを掲載。排出者の考える機密文書の情報レベルに合わせて、委託業務の各工程における処理が安全かつ確実に行われるよう、機密文書処理の 「あるべき姿」を想定している。 同ガイドラインは古紙再生促進センターホームページから参照できる。
 

 


大久保 付加価値高めた座間事業所を開設 細かなニーズに対応した機密処理展開

大久保座間事業所

大久保座間事業所


国内大手製紙原料問屋の株式会社大久保(本社・東京都荒川区、大久保信隆社長)ではこのほど、日産座間事業所の隣接地にあった社員寮跡地に「座間事業所(神奈川県座間市栗原873―16、電話046―206―4255)」を開設、月間取扱量1500トンを目標として営業をスタートした。大久保では座間進出に当たり、社員寮跡地を工業団地として作り替え、座間地域活性化を図るべく県及び市、中小企業基盤整備機構などと協力を得つつ、同地に進出する他の6社と協同組合「SIP座間インフィニティ」を立ち上げ、開発を進めてきた。工業団地の総開発費は34億円にのぼったが、うち同社は6億円ほどを投じている。
座間事業所は、敷地面積2647・8㎡で、工場棟が1353・4㎡、事務所棟が107・8㎡。従来の古紙取り扱いラインのほか、別に機密書類の専用処理ラインを設けている。主要設備として、渡辺鉄工製150馬力ベーラー1基、ウエノテックス製破砕機1基、大善製溶解機1基、田中衝機工業所製50トントラックスケールなど。また、古紙取り扱いラインでは、粉じん対策として、センサー付の高速シャッターを採用したほか、パイプで井戸水を屋根に汲み上げ、工場内温度を調節できるよう工夫を凝らすなど、環境に配慮した工場となっている。一方の機密処理ラインは、トライシステムエンジニアリング製垂直搬送機で2階部の処理ラインまで搬送し、顧客のニーズに合わせてシュレッダーから溶解までを行う。処理能力は月間400トンで、工程は複数台のカメラでモニタリングし、処理完了までを顧客が確認出来るようになっている。
大久保社長は「業界での過当競争が過熱するなか、従来型ヤードで収益を上げていくのは難しい。一方、機密については、大手製紙メーカー等がすでに手掛けているものの、顧客の細かなニーズに対応しきれていない部分もある。そこで、当社ではこれまでの移動式シュレッダーに加え、自社専用処理工場を持つことで、こうしたニーズを取り込んでいきたい」と新工場の狙いを語る。また、座間事業所開設の陣頭指揮を執った大久保薫常務は「中小企業基盤整備機構の方から『夢のある工場を』という強い要望を受け、このような工場が出来上がったことはとても感慨深いものがあります。工場には見学コースも設け、地元の小学生に向けた環境学習に活用いただけます。こうした地域環境への貢献と機密処理などを付加価値とした新たな古紙ヤード経営を目指していきたい」と意気込みを語った。


静脈物流 食品リサイクルへ取り組み 増渕商店(板橋)、独自のシステムを構築

食品リサイクル法では食品の製造、流通等食品関連事業者に、生産・流通工程での食品廃棄物の発生抑制と再資源化等について取組みを求めている。さきごろ事業者が取り組むべき発生抑制の指針として、対象業種の範囲を拡大した関連26業種に対する来年度以降の新たな目標値が示された。事業者に求められる取組みはますます広範・高度なものとなっている。こうしたことを受け、事業者サイドでもCSR活動の一環として、廃棄物の発生抑制と再資源化に積極的に取り組もうという機運は年々高まっている。
一方、一般廃棄物の再資源化については各種リサイクル法に基づくリサイクルシステムの進展もあって、各素材で再資源化のルートが社会システムとして構築されている。ただし、食品廃棄物については発生の形態が複雑・多岐にわたることや、安定した利活用ルートの確保が難しいことなどから再資源化への取組みにも遅れが見られる。排出抑制の取組みと併せ、特に、安定的な再資源化ルートの構築が関連業界共通の課題となっている。
事業系廃棄物の収集運搬と資源リサイクルを広範に手掛ける㈱増渕商店(東京・板橋、増渕千人社長)では、大手スーパー「イトーヨーカ堂」の都内大規模店を対象に、店舗で出る食品廃棄物を資源として分別収集し、需要家に搬入する新たな静脈物流システムを構築した。既に廃棄物の収集運搬で取引実績のある店舗を中心に都内20店舗を巡回する集荷ルート2系統をつくり、ルートごとに同社の自動計量付き専用車両で毎日、各店舗を巡回して回収する。集められた食品廃棄物は養豚用液状飼料の原料として、提携先の千葉県内の飼料製造業者に運ばれる。各店舗では同社が派遣した常駐の社員が分別排出の指導、搬出時のチェックにあたる。
物流システムの構築にあたってはセブンイレブンの配送用車両運行システムを参考に、店舗ごとの集荷データをドライバーの端末で管理して、イトーヨーカ堂本社に報告する仕組みとした。収集作業はGPS連続撮影ドライブレコーダーで管理する。車両にはこのほか、AED(自動体外式除細動器)を搭載している。「契約店舗と店舗を訪れる地域住民すべてが顧客である」という視点から、地域貢献にも積極的に取り組む。また、今回の事業展開にあたっては人材育成にも力を入れており、「顧客と接するドライバーの質の向上が、企業としてのクオリティーを維持するうえでも不可欠」とし、社内研修を充実させるほか、優秀なドライバーにインセンティブを与える「エキスパート社員制度」を設けるなどの構想もある。
食品廃棄物のリサイクルは環境面での社会貢献に資するばかりでなく、処理量の5割近く(重量比)を占める食品廃棄物を資源として活用することで、廃棄物処理コストの削減など新たなメリットを生む。新サービスは6月からの稼働予定で、同社が提案する新たな静脈物流システムが今後、注目を集めそうだ。


再生可能エネルギー 太陽光は4円下げの32円 来年度の買取価格で意見書

再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)に基づく再生エネ電気の来年度の買い取り価格について、経産省の調達価格等算定委員会が意見書をまとめた。再生可能エネルギー特措法で達価格と調達期間を毎年度、年度前に大臣が定めることとされている。算定委員会が、制度の進捗状況や社会情勢の変化等を踏まえ協議した結果を意見書として提出している。制度の適用を受けて運転を開始した設備にはコストデータの提出が義務付けられており、26年度の調達価格はこの費用実態を反映し算定されている。
意見書では出力10キロワット以上の非住宅用(事業用)太陽光発電の来年度買い取り価格を、導入コストの下落や設備利用率の改善を踏まえ、今年度から4円安い1キロワット時当たり32円(税抜き)と設定した。10kW未満については同1円下げの37円とした。事業用太陽光発電のコストは総合的に下落傾向にあり、特にシステム費用はFIT施行直後(2012年7~9月期)の1kW当たり平均38・8万円が、昨年10~12月期には27・5万円まで下落している。10キロワット未満の住宅用についてもシステム費用は同様に下落傾向にあるが、14年度からは国の補助金が廃止されることから小幅な下げにとどまった。
また、「洋上風力発電」で新たに買い取り区分を新設、買い取り価格を同36円と設定している。各地で洋上風力発電の新たな事業化計画が進んでいることから動向が注目されていたが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が行う実証試験データに基づき、新区分の設定と買い取り価格の算定が行われた。新たな区分では適用範囲を「建設と保守の双方で船舶などによるアクセスを必要とするもの」と定義、陸上から工事が可能な案件は陸上風力扱いとする方針を示している。 なお、風力(洋上風力以外)と中小水力(既設導水路活用中小水力以外)、地熱、バイオマスについてはいずれも、今年度の調達価格で据え置きとされた。


鉄リサイクリング・リサーチ 関東が圧倒的存在感 地域別鉄鋼蓄積量で調査レポート

我が国における鉄スクラップの調査・研究を行っている株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長はこのほど「地域別鉄鋼蓄積量推計と老廃スクラップ回収量分析」と題するレポートを取りまとめ、公表した。同レポートによれば、2012年度末の全国鉄鋼蓄積量13億3120万トンのうち、最大蓄積地域は関東の4億3810万トン(シェア33・0%)、次いで近畿2億2470万トン(同16・9%)、東海1億7725万トン(同13・3%)、九州1億3450万トン(同10・1%)、東北1億185万トン(同7・7%)などとなり、関東は2005年時点の韓国4億2410万トン(韓国の2012年末は5億8035万トン)を超える規模にあるとした。
ただ、これら地域における蓄積量の過去40年の推移をみると、地奇跡量伸び率の全国平均に対し、蓄積量2位の近畿では1970年代以降常に平均を下回る状態が続くほか、6位東北でも1970年代は平均値を上回る伸びを示したが、1980年代以降は減少傾向。一方、3位東海は1990年代以降平均値を上回る伸びを示し、4位九州も2000年代以降平均値を上回る伸びを示している。
こうしたなか、1位関東については1970年代以降常に全国平均を上回る蓄積量の伸びを示しており、関東の動向が日本の蓄積挙動を代表しているとした。また、地域の蓄積増減については地方振興策の影響が反映され、インフラ整備が一巡した地域などと自動車などの産業の集積が進んだ地域での差異が生じており、今後、伸びが見られる東海や九州の動向が注目されるとしている。
更に林氏は、日本全体が縮小傾向にあるなかで、日本の鉄スクラップの供給基地として関東の地位は揺るがないが、他地域では将来的に鉄以外への品目の扱いを増やしていく必要性も指摘。そのなかで、「既存の鉄リサイクルのインフラを守りつつ、産業としての持続的発展を関東の業界には頑張ってもらいたい」とコメントしている。


家電リサイクル 1022自治体にとどまり 義務外品の回収体制構築状況

家電リサイクル法見直しを議論する産構審と中環審の合同会合(第28回)が先ごろ開催されたが、そのなかで、家電リサイクル法対象外となる義務外品の市町村の回収体制構築状況について報告が行われた。これは平成20年にまとめられた報告書のなかで、引取義務が課せられていない排出家電について、一般廃棄物処理について統括的責任を持つ市町村が、その地域の実情に応じた回収体制を構築することが必要であるとされているにもかかわらず、一向に進んでいないという指摘を受けたことに伴い、環境省が実態調査を行ったもの。その結果、対象となった1736自治体のうち回収体制を構築していると回答したところは1022自治体と全体の58・7%に止まっていることが明らかとなった。
家電リサイクル法見直しについては、不法な回収業者の存在が問題視される一方、対象品目外となる義務外品の収集体制が整っておらず、排出利便性が低いことが結果として不法業者による回収などに繋がっているとの指摘が存在する。今回の調査結果では、使用済み家電製品の排出時の低利便性が明らかとなり、小売業者と直接の繋がりの薄いネット通販などが拡大するなかで、排出時の回収体制構築が課題となっている。
なお、回収体制を構築していると回答した1022自治体では複数回答で、行政収集が369、小売店回収324、一廃業者による収集527などとなっている。


千葉県 「不法ヤード」取り締まりへ 条例で届出や立入検査実施など定め

千葉県では先ごろ、「千葉県ヤード設置適正化条例」の素案を取りまとめ、公表を行った。これは、盗難車の解体場所など「犯罪の温床」と指摘されている「不法ヤード」を取り締まるためのもので、条例にはヤードの運営者に設置の届け出を義務付けた上、立ち入り検査権限や改善命令、違反者らへの罰則など盛り込んでいる。
千葉県では、各種法令に違反した行為が行われている、いわゆる「不法ヤード」が外国籍の者も含めその数は数百件存在するとし、地域の生活環境への悪影響が懸念されるばかりでなく、犯罪の温床となっていることが指摘されている。そこで、こうした不法ヤードを規制し、ヤードの適正な設置を図るための条例の制定に向けて、専門的な知識や経験を活かした意見等を聴くため、「千葉県ヤード 設置適正化条例」検討会議を設置し、昨年8月より検討を重ねてきた。
今回取りまとめられた素案では、『ヤードの定義』を「みだりに人が立ち入ることができないよう周囲が鋼板等により囲われており、その中で自動車の解体又は自動車の主要な部品の保管を行っている施設」とし、自動車の主要な部品とはエンジン、車軸及びトランスミッションその他の規則で定める部品とした。そしてヤードにて自動車の解体を行うものは、氏名や住所並びにヤード所在地、ヤードの概要(面積、構造及び建物など)、廃油及び廃液の地下浸透並びに雨水等による流出防止措置、などを知事に届け出ることとされ、届出施設については公衆の見やすい場所に必要事項を記載した標識の提示を義務付けた。これについては、自動車リサイクル法に基づく解体業許可をもって届出したものとみなされるが、届出事項に変更があった際などは遅滞なくその内容を届出ることとなっている。
また、盗難品の流通防止の観点から、自動車等を買い受ける場合、相手方の真偽を確認するために必要な措置を講じ、これらの受け取り、引き渡しにあたっては取引内容の帳簿記載を義務付けている。更に、不法行為の監視として、県はヤード運営者に対し、報告を求めることや、必要に応じて職員によるに立ち入り検査が出来ると明記。不適正なヤード運営や帳簿の虚偽記載に対して是正勧告や罰則の適用を行うとしている。 なお、県ではこの条例の施行までに既にヤードにおいて自動車の解体等を行っている者は、施行日から3月を経過する日までの間に、この条例に基づく届出をしなければならないとしている。


容器包装 PET買取価格は大幅上げ 26年度分の素材別落札状況

容器包装リサイクル法に基づく平成26年度の容器包装再商品化の落札結果(速報版)がこのほど公表された。素材別で見ると、ガラスびんの落札合計数量は前年度から3735トン増の36万4160トン、落札単価はトン当たり5825円で前年度に比べて522円上昇した。用途別比率では、びん原料用途での落札が全体の75・0%となった。前年からは1・6ポイントの減少となっている。また、一部で導入されているガラスびんの有償入札は5つの保管施設で行われ、合計で1324トン(無色623トン、茶色701トン)が有償引取でせ落札されている。
また、PETボトルについては昨年度の暫定的な措置を経て当面、原料市場での急激な層は背変動に対応するための措置として年2回(上期、下期)の入札が行なわれることなっている。26年度分上期の落札数量は年度計の市町村申込量20万1523トンの55%に相当する11万1462トンとなった。落札単価はトン当たり-5万9226円(有償)となり、前年度通期の同-3万3336円から2万5890円の値下げ(買取価格の上昇)となった。
PETの入札では、市況の急激な変動により落札事業者の引取り辞退が相次ぎ国内再商品化に支障をきたす事態となったことを踏まえ、市況変動の塀強を回避するための方策として年2回入札が導入されたが、事務の煩雑さに加え、必要量の確保に動く事業者が得るなど有償価格の高騰につながることなどが再商品化業界を中心に懸念されていた。上期の有償分での落札数量は11万0656トンで、落札量全体の99・3%を占めた。紙製容器包装の落札数量は2万4716トンで前年度から1469トンの減少、落札単価はトン当たり-7045円で前年度比2709円の下げ(有償価格上昇)となった。有償分落札数量は1万9178トンで全体の77・6%。
プラスチック製容器包装の落札数量は67万220トンで、前年度から3182トンの減少となった。材料リサイクルの優先枠は前年度から引き続き市町村申込量の50%と設定されており、実際の落札量は全体の50・6で前年度比2・6ポイントの減少となっている。なお、プラ静容器の入札では上限値がトン当たり9万3000円と設定されている(前年度同9万5000円)。プラス製容器包装全体の落札単価はトン当たり5万3569円で、前年度より1249円下がっている。ちなみに、材料リサイクルについては3031円の下げ(6万3372円)となった。なお、今回の発表は速報値であり、契約締結までに変更となる場合がある。


関東製紙原料直納商工組合 1社に警告し公表 GPSで継続的な買い入れ確認

関東製紙原料直納商工組合(大久保信隆理事長)では、古紙持ち去り対策の一環としてGPS機能を活用した不正流通古紙の追跡調査を実施している。持ち去りに由来する古紙を買い入れている事業者を特定し、組合として不正流通古紙の買い入れ中止を強く申し入れるなど対応を行ってきた。
この「GPS追跡調査」は運用開始から約1年が経過したが、不正流通古紙の買い入れを常習的に行っている事業者の特定や、組合員である場合には相応のペナルティを課すなどした結果、これら事業者に不正古紙の買い入れを中止させるなど一定の成果を上げてきた。一方で、特定された事業者が組合員でない場合、組合からの要請に必ずしも協力的でないこともあり、こうした事業者に対する措置として組合では、昨年10月、常習的な買入事業者に警告を発するとともに、事業者名とともに警告を発した事実を公表すること(持ち去り古紙を繰り返し買い入れている事業者の対処策)を関係方面に広く告知していた。こうした厳しい対応にもかかわらず、依然として持ち去り古紙の買い入れを行っている古紙問屋A社(東京都)に対して組合では今月20日、文書による警告を発し、その旨を公表した。
社名公表に至る手順では、あくまで自主的な取組みを促すとした観点から、「自主的防止策の立案・実施を求める(第1段階)」、「次回発覚した場合には警告発出を公表する旨を通知する(第2段階)」、「警告を発し、事業名も併せて警告発出の事実を公表する(第3段階)」となっている。
社名公表を含む一連の対策を講じる旨を組合が国、自治体、関係団体等に通知、プレスリリースした昨年10月以降もGPSがセットされた古紙が同社に搬入されたことが確認されたことから、組合は昨年末、同社に対して文書で自主的防止策の立案と実施を申し入れ、併せて警告に向けた第1回目の文書であることを伝えた。その後、今年に入って同様にGPS付き古紙の同社への搬入が2度確認され、その間も対応を求めるとともに、改善がない場合に手順に沿った措置を講じる旨を文書で通知していた。 持ち去り古紙の同社への搬入はGPSで判明、確認されただけで昨年8月以降、計9回にのぼる。


建設廃棄物 元請け業者の責任追及も 無許可業者への委託で

建築物の解体等によって生じる建設系廃棄物は全国で年間6000万トン超発生する。それらのうち一定要件に該当するものには建設リサイクル法に基づく分別解体等と再資源化の義務が受注者に課せられているほか、処理にあたっても自ら処理または許可業者に委託することとされている。
建設産業は構造的な特徴として現場に元請業者、下請業者、処理委託業者等さまざまな事業者が出入りし、個々の廃棄物の実際の排出者を特定することが困難な場合があるなど、処理責任の所在が曖昧になりやすいことが問題とされていた。このため、さきの法改正(23年4月)で、建設系廃棄物については、元請業者が排出事業者として当該工事から生ずる廃棄物全体について処理責任を負うこととされた。特にこれまでも、住宅の解体やリフォーム等比較的規模の小さい現場から発生する建設廃棄物を処理業の許可を持たない解体・施工業者が収集・運搬するなどして廃掃法違反で摘発される例はあったが、処理責任を負うべき発注者や処理業務の受注業者についてはこうした理由から明確な責任を問うことが難しかった。そうしたなか、さきの法改正により処理責任の一元化が図られたことで、無許可業者に委託した元請け業者についても厳格に責任が問われることとなっている。
依然として住宅のリフォーム業者や解体業者、引っ越し業者等が現場で発生した廃棄物を自ら処理または処理受注業者の施設等に運搬する事例が起こっている。埼玉県では昨年、処理業者の求めに応じて無許可のまま建設廃棄物を解体現場から処理施設に運んだ解体業者が有罪判決を受けているが、さらにその後、この業者に廃棄物の収集運搬を委託した処理業者2社が摘発・立件されている。法改正以降、無許可業者に委託した元請け業者が責任を問われた例では県内で初となった。


古紙回収率 2013年は80.4%に 暦年回収量は前年比11万トン増の2186.5万トン

公益財団法人古紙再生促進センターではさきごろ、 昨年12月の古紙回収率・利用率をまとめた。それによると、 12月の古紙回収率は前月比5・1ポイント上昇と大幅に上昇し、 81・7%となった。 前年同月比では横ばいとなっている。古紙回収率が前月比で上昇したのは、 古紙回収量が前月比5万3864トン増加の187万8882トンとなったのに対し、 回収率の分母となる紙・板紙の国内消費量が同比8万771トン減少の230万992トンとなったことによるもの。
前年同月からも回収量は2万9413トン増加しているが、 紙・板紙国内消費量も同比3万7715トン増加している。また、 古紙回収量が対前年同月比で2万9413トン増加しているのに対し、 国内メーカーへの古紙入荷量は同比11万8526トン増加している。 一方で輸出は同比8万8953トン減少しており、 玉が国内メーカーに振り向けられているのがわかる結果となっている。12月の古紙利用率は63・9%で、 前月比0・7ポイント低下、 前年同月からも1・4ポイント低下した。
繊維原料全体の利用量が223万3370トンで前月比4万7132トン減少、 古紙及び古紙パルプの利用量が同比4万5135トン減少の142万7702トンとなった。これにより、 2013暦年の古紙回収率は80・4% (前年比0・5ポイント上昇)、 古紙利用率は63・9% (同比0・2ポイント上昇) となっている。
古紙回収量は2007年の2332万4641トンをピークに、 リーマンショック後の2009年 (2166万3919トン)、 東日本大震災の起きた2011年 (2155万2578トン) と2度の落ち込みを経験したが、 2013年は対前年比11万3830トン増加の2186万5452トンとなっている。


国際紙パルプ商事 完全子会社間で合併 むさし野紙業が存続会社に

国際紙パルプ商事株式会社 (本社=東京都中央区、 田辺円社長) ではさきごろ、 同社の完全子会社である古紙関連会社、 むさし野紙業株式会社 (本社=埼玉県川越市、 小見裕之社長) と株式会社コスモリサイクルセンター (本社=東京都江東区、 小森修社長) を本年4月1日付けで合併すると発表した。
古紙回収事業の効率化、 規模の拡大を図ると共に、 管理部門の一体化などの経営合理化を目指すもの。 合併の方式はむさし野紙業を存続会社とする吸収合併方式で、 コスモリサイクルセンターは解散する。 なお、 合併後の存続会社の概要は次のようになっている。

【商号】むさし野紙業株式会社
【所在地】埼玉県川越市大字下広谷404番地1
【代表者】小森修代表取締役社長
【事業内容】古紙の集荷・配送及び販売、 産業廃棄物・一般廃棄物の収集・運搬
【資本金】3000万円