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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2014年11月

鉄スクラップ輸出の可能性を求め 業界有志が再びインドへ コルカタの誘導炉等4社訪問

熱烈な歓迎を受けたKISWOK

熱烈な歓迎を受けたKISWOK


日本国内をはじめ、韓国、中国、台湾など近隣国における将来的な需要低迷が予想されるなか、我が国の鉄スクラップの新たな販売先を探求することなどを目的に、第2回目の業界有志によるインド視察がこのほど実施された。今回のインド視察では、前回と同じく山下雄平関東鉄源協同組合理事長を団長として、株式会社鉄リサイクリング・リサーチの林誠一社長が企画、資源新報社・大橋が事務局を務め、大手旅行代理店であるJTBによって「インドの電炉・鉄スクラップ調査ツアー」として催行された。今回の視察で訪れた地は、東インド会社の拠点として歴史に名を残し、インド独立運動の中心の地ともなったコルカタを中心としたWEST BENGAL州。彼の地において視察団は電炉・誘導炉鋳物メーカーやスクラップのインポーターなど4社を訪問し、活発な意見交換を行った。更に初日の視察先となったダグタイル鋳鉄管や自動車用部品などを製造しているKISWOK社では、在コルカタ日本総領事も急きょ現地にてこの視察に参加するなど、スクラップを通じた日本とインドの関係の深化につながる内容ともなった。
山下団長は訪問先の各企業代表に対し「大国として飛躍しているインドに我々の“JAPANESE H2”を主体とする鉄スクラップが受け入れてもらえるかを確認しにきた」と述べ、1つの例として関東鉄源協同組合における船積みの様子を動画にて紹介。各企業とも山下団長以下18名を熱烈な歓迎で迎えた。
また、今回のツアーを企画した林誠一氏が、日本の鉄スクラップの置かれている現状や代表的な品種の解説、今後の展望などについて現地にてプレゼンテーションを実施。今後、粗鋼生産の大きな伸びが期待されるなかで安定的な鉄源を求めたいインドの国内事情を背景に、訪問先各企業とも熱心にメモを取りながら、日本のスクラップに対し、購入意向も含めた高い関心を示した。 (第2回のインド視察については、本紙新年特集号に詳細を掲載予定)


古紙再生促進センター 変化する中国古紙業界 第3回日中古紙セミナー開催

第3回日中古紙セミナー

第3回日中古紙セミナー


(公財)古紙再生促進センターは11月19日、東京都千代田区永田町の星陵会館にて日中古紙セミナーを開催した。 この十数年で、古紙は国際リサイクル商品となり、特に中国への輸出量が激増したことを受けて、2011年から始まった同セミナーだが、今回で第三回を迎える。近年は東南アジアからの古紙需要が高まっているものの、古紙再生促進センターの調べによると、日本から中国への古紙の輸出量は2013年には101万5559トンにものぼり、輸出先として依然筆頭国となっており、中国はこの業界にとって欠かせないパートナーと言えるだろう。政治的な問題が山積している日中両国間だが、そういった状況の中、同セミナーは両国間の製紙・古紙業界での交流を通して、両国の相互理解と発展の一助を担うという狙いも込められている。
今回のセミナーでは、台湾の三大製紙メーカーの一つで、中国本土にも生産工場を持つ栄成紙業から姚長坤(ヨウチョウコン)総経理、中国第三位の再生段原紙メーカーである安徽山鷹紙業の舒君明(ジョクンメイ)総経理、浙江省造紙行並協会常務副秘書長の鄭梦樵(テイボウショウ)氏、中国再生資源回収利用協会副会長兼秘書長の潘永剛(ハンエイゴウ)氏を招聘し、中国製紙企業が日本からの製紙原料に対してどういった認識や要望を持っているのか等、中国の製紙産業、古紙産業の現状を講演した。
潘氏の講演によると、2014年内には中国国内の法改正により、古紙輸入資格審査権が省環境保護部門に移行し、輸入制限類商品に変更されるため、小規模製紙工場や古紙貿易商への大きな影響は避けられないとしている。しかし、この新政策は、良質の古紙資源を確保できる中国国内サプライヤーにとってはチャンスだとし、中国国内の古紙市場は今後大きく変動していくと見ている。また、同氏はこの政策の影響により、一部海外サプライヤーはアジア他地域へ売り先をシフトし、世界的な古紙供給の流れも変わっていくのでは、と語った。
今後、中国の経済成長の段階と国内古紙市場の成熟に合わせ、緩やかに日本古紙への需要は減少していくと見られているものの、今後一定期間、中国は我が国にとって最大の古紙輸出国であることは間違いなく、その動向は追っていきたい。また、同セミナーは2015年に中国江蘇省で第4回の開催を予定している。


富士繁 八王子の能力拡大へ 道路向かいの隣接地500坪を取得

取得した道路向かいの隣接地

取得した道路向かいの隣接地


関東地区の大手鉄スクラップヤードディーラーである株式会社富士繁(本社・横浜市金沢区、金子洋一社長)ではこのほど、都内初の拠点として昨年1月末にオープンした八王子工場について、かねてより計画してきた同工場敷地を拡大した。
同社が今回、取得した用地は、八王子工場前の道路を挟んだ向かいの隣接地で、面積は約500坪。周囲をシートパイルで囲い、コンクリートの土間を打つ工事を現在進行中で、12月1日より荷受けを開始する予定だ。
従来の八王子工場は面積が約500坪、モリタ製1250トンギロチン等を備える。今回の隣接地取得で年間50万トンの取り扱いに向けた同社の飛躍が期待される。


ステンレス 製品市場深刻な緩和へ 中国の過剰生産が需給破壊

関東地区のニッケル系リサイクル原料市場は、 指標となる海外LMEニッケル地金市況の軟調展開をイヤ気して、 総じて弱含み横這い圏内での取り組み。
ニッケル地金の主力需要分野であるステンレス製品の世界的な供給増加が続く中で、 2012年以降の世界需給は急速に緩和、 それ以後の世界のステンレス製品市場は反発余力を完全に喪失している。世界的な供給過剰による市況低迷をもたらした最大の要因は中国の天井知らずの過剰生産によるもので、 野放図な生産体制の下で、 市場は反発の手掛かりそのものを失っているというのが実情だ。
中国のステンレス製品市場の拡大を生産ベースで見ると、 2002年の生産量1140万トンから年を追う毎に増加、10年後の2012年には1億6087万トンと10年間で14倍以上にまで拡大している。この10年間の年平均の伸び率は30・3%にも達しており、 特にリーマンショック以後に行われた4兆元規模の大型景気対策以降は、 04年から08年の伸び率9・6%から08年から12年の19・9%に加速している。2002年から12年の世界のステンレス生産量の伸びを他の地域に比較して見ると、 西欧・アフリカがマイナス1・0%と低迷している他、 中・東欧は2・5%の伸び。 米国はマイナス1・4%、 中国を除くアジアは1・0%の伸びに止まっており、 如何に中国の伸び率が高いものになっているかがわかる。
制御不能に陥っている中国の生産体制の下で、 世界のステンレスマーケットは完全な供給過剰に陥っている。 同時期で15%に止まっている中国の見掛け消費の下で、 その余剰分は低迷が続く世界マーケットに販売されており、 深刻な製品需給の緩和構造を生み出しているというのが実情だ。ニッケル地金需給ベースとなるLMEニッケル在庫も今年に入って2割以上の増加した38万トン台乗せを演じ、 更なる底割れも想定される深刻な事態が続いている。


資源循環関連で1170億円 来年度環境保全経費総額は1兆9544億円

環境省がまとめた平成27年度の政府全体の環境保全経費概算要求額は総額で1兆9544億円となり、26年度当初予算と比べて13・7%の増加となった。環境保全経費は政府の経費のうち地球環境の保全、公害の防止並びに自然環境の保護及び整備に関する経費を総称したもの。関係府省で取り組まれる環境保全関連の施策が政府全体として効率的・効果的に展開されるよう、環境省が関係府省の概算要求に先立って見積りの方針の調整を行い、概算要求に当たっての基本方針を関係府省へ示している。環境保全経費の取りまとめに当たり、関係府省から提出された新規施策等についてヒアリングを行うなど、環境保全に資する施策であるかを確認している。
環境保全経費概算要求額の施策体系別のうちわけを見ると、地球環境の保全に関する予算が6320億円 (26年度当初予算4909億円)となり、主な施策としては「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金(経産省)」、「森林環境保全整備事業(農林水産省ほか)」、「全球地球観測システム構築の推進に必要な経費(文部科学省)」などとなっている。また、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関しては1675億円 (同1425億円)で、主な施策は「水源林造成事業等(農水省)」、「国営公園整備費等(国交省)」、「自然公園等事業費(環境省)」など。
物質循環の確保と循環型社会の構築に関しては1169億円 (同982億円)の予算がくまれ、主な施策として「循環型社会形成推進交付金(環境省)」、「廃棄物処理施設整備事業費(国交省)」、「災害等廃棄物処理事業費補助金(環境省)」等が予定されている。そのた、水環境、土壌環境、地盤環境の保全関連が1006億円 (同923億円)、大気環境の保全関連が2765億円(同2031億円)、包括的な化学物質対策の確立と推進のための予算として65億円 (同61億円)、放射性物質による環境汚染の防止のための予算として5227億円(同5568億円)等となっている。


家電リサイクル法 費用低減の取り組み促し 制度の評価・見直しでまとめ

現行の家電リサイクル法について昨年5月から、中環審・産構審の両委員会合同会合で施行状況の評価・検討が進められていたが、パブリック・コメントの結果を踏まえてこのほど最終まとめが行われ、環境審議会から環境大臣に意見具申された。家電リサイクル法に基づく引き取り台数の推移を見ると、平成13 年度で約855万台であったものがその後の漸増傾向を経て21年度から23 年度に大きく増加、22 年度のピーク時には約2770万台となった。テレビのアナログ停波・地上波デジタル放送への移行や、家電エコポイント制度の導入が大きく影響したが、24 年度にはそれらの影響が概ねなくなったこともあり、引取台数は約1120万台に減少、25年度には約1273万台に増加し、20年度以前とほぼ同程度の水準で推移している。24年度に家庭・事業所排出された使用済特定家電は約1702万台と推計され、そのうち法に基づく引取りが約979万台となったが、一方で約265万台がいわゆる不用品回収業者による引取りと推計されている。
家庭・事業所から指定引取場所に直接持ち込まれたものを含め、総排出台数の約67%―約1134万台が製造業者等でリサイクルされている。なお、そのほかに製造業者等委託先以外の処理業者等によるリサイクルが約20 万台、市町村による一般廃棄物としての処理が約5・2万台、リユース向け販売が国内・海外を含め約410万台、スクラップとしての流通が国内・海外含め約132万台分と推計される。製造業者等による再商品化率はいずれの品目も年々上昇傾向にあり、25 年度でエアコン91%(法定再商品化率70%以上)、ブラウン管式テレビ79%(同55%以上)、液晶式・プラズマ式テレビ89%(同50%以上)、冷蔵庫・冷凍庫80%(同60%以上)、洗濯機・衣類乾燥機88%(同65%以上)となっている。
特定家電廃棄物の不法投棄は、法施行当初は増加していたが15 年度をピークに減少に転じ、テレビの排出台数が急増した21 年度から23年度に再び増加したものの、24 年度には減少(前年度比▲27・8%)、約11 万6500台と法施行前と同程度の水準となった。今回まとめられた現行制度の評価・見直しでは、①消費者の視点からの家電リサイクル制度、②特定家庭用機器廃棄物の適正処理、③家電リサイクルの一層の高度化、④対象品目(の見直し・拡大)、⑤リサイクル費用の回収方式――が課題とされ、それらについて具体的な施策が示されている。
このうち「消費者の視点からの家電リサイクル制度の改善に向けた具体的な施策」では、製造・流通業者や市町村、消費者が積極的に対象品の回収促進に取り組み、社会全体として適正なリサイクルを推進することを目指すため、達成時期を明らかにした回収率目標を設定、法の基本方針に位置づけ、回収率や回収台数の実績を毎年度報告すべきとしている。加えて、回収率の向上に向け、各主体がそれぞれの立場で行う取組みを各主体の取組み実施状況として点検していくことも必要としている。また、リサイクル料金の透明化と低減化に関しては製造業者等の報告徴収内容細分や、それらを基に環境配慮設計の推進や費用の低減について製造業者等間の競争を促すなど、リサイクル料金の低減化に積極的に取り組むための環境作りを進めることが重要であるとしている。


日本鉄リサイクル工業会 放射能汚染物混入防止徹底へ 対策マニュアルを更新

仕入れ時の放射線検査

仕入れ時の放射線検査


(一社)日本鉄リサイクル工業会(会長・影島一吉影島興産社長)ではこのほど、8月に韓国で日本から輸出された鉄スクラップに放射性物質が混入されていた事態を受け、日本アイソトープ協会や検知器メーカーのアドバイスの下で、放射性物質混入対策マニュアルの更新を行った。工業会によれば、自社ヤード設置の検知器でアラームがなった場合、検知器メーカーに連絡した上で、放射線の種類・線量をチェックし、日本アイソトープ協会に放射線の種類・線量を報告し指示を仰ぐよう求めている。また、線量が人体に害を及ぼさない範囲にある時は、貨物を自社ヤードに持ち帰り、ハンディータイプの検知器で汚染の疑われる物質を特定して除去し、汚染物質の廃棄はアイソトープ協会の指示を仰ぐこととしているが、害を及ぼす可能性の場合はアイソトープ協会の指示に従い、場合によっては原子力規制庁はじめ警察、消防等関係官庁への連絡が必要になる場合があるとした。
次に、鉄スクラップ処理業において特に輸出向けを行う処理業者は各工場に大型(門型)放射線検知器を設置することが望ましいとしたが、その使用上の注意事項として、①常に設定状態を保つ、②設定数値は厳しく設定し、勝手に変更しない、③使用マニュアルを厳守する、④常にメンテナンスを心掛ける、⑤検知器メーカーと緊密な関係を維持する、⑥社員教育の徹底などを挙げた。ただ、大型検知器を設置しても、放射線汚染物質の置かれた状態や場所等によって汚染物質が検査をすり抜けてしまうこともあることから、検知器をなるべき厳しい数値で設定するほか、母材入荷時と製品出荷時に必ず検査を行うこととし、仮に国内の納入先で検知された場合は、トラックを自社ヤードに返送し、汚染物質の特定などを行うこととした。
しかしながら、仮に海外で検出された場合は、このような対応が難しく、時間的・金銭的リスクも非常に高くなることから、シッパーも含めた関連業者は危機感を持って厳重な防止策を講じる必要があるとし、製品出荷時に検知器に二回通貨させることや、出来れば積み込み荷姿を変えての検査を行うことなどを求めた。更に本船積み込み後は、第三者機関の検査を受け、無放射能保証書を発行し、全ての検査記録を保存した上で、後日の検証を可能にしておくことが重要であるとしている。


リフューズ(発生回避)を評価 3R表彰で宝酒造に総理大臣賞

経産省が後援する今年度のリデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰(3R推進功労者等表彰)で宝酒造㈱(京都府京都市)の「容器の3Rにリフューズ(Refuse:発生回避)を加えた4Rの取り組みの推進」が内閣総理大臣賞を受賞した。宝酒造では焼酎や清酒、チューハイ、本みりんなどを製造、ガラスびんやPETボトル、アルミ缶、紙パックなど様々な容器に充填して販売しており、これら商品の空容器問題への取り組みを自然環境保護と並ぶ環境活動の2本柱と位置付け、長年にわたり取組みを行っている。
商品開発ではリデュース、リユース、リサイクルの3Rに加え、同社独自の取り組みとして、余分な物(容器)をつけず必要な物(中身)だけを販売する『リフューズ』を加えた4Rの取り組みを進めている。中身のはかり売りでは1998年の開始以来今年3月末までに、2・7Lペットボトル換算で約752万本と段ボール約188万枚相当を削減している。こうした長年の各種の実績や率先して実施してきた各種の取組みが高く評価され、内閣総理大臣賞の受賞となったもの。
この表彰事業は3Rの推進に貢献している個人、グループ、学校、企業等で地域性、独創性、先鞭性等から特に優れている取組みを表彰、奨励するため平成4年から実施されているもの。主催はリデュース・リユース・リサイクル推進協議会、経産省など関係7省が後援している。今年度の選考結果については、内閣総理大臣賞の宝酒造㈱のほか、経産大臣賞(2件)をフジ化成工業㈱(鳥取県米子市) 「磁気テープ端材、自動車用ゴム部品端材のリサイクル及び工場から発生する廃棄物の削減」と、住友電気工業㈱(大阪府大阪市)「グローバル3R活動の推進」がそれぞれ受賞している。


環境配慮評価法 導入効果など広く周知 基本方針見直しへ検討始まる

「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律(環境配慮契約法)」の基本方針と解説資料の見直しに向けた検討が行われている。環境配慮契約法に基づき、基本方針は必要に応じて見直しが行われることとされ、特に、国等の温室効果ガス排出量の削減効果が見込まれる、あるいは民間部門への波及効果が大きく国全体の排出削減に寄与する、新たな技術開発や普及で一層の排出の削減が見込める当の製品・サービスについて見直しが検討される。
今年度の検討に先立ち、例年の通り今年6月に民間事業者等を対象に広く環境配慮契約の契約類型についての提案募集が行われたが、提案は行われなかった。そのため国や自治体等での取組み状況を踏まえ、運用方法の改善や基本方針等の改定内容等が検討されている。現段階で見直しが想定されるのは、自動車購入契約で環境配慮契約(総合評価落札方式)を適用する場合の対象範囲の明確化と契約実態を反映した事例の拡充、建築物に関する契約で参考としている各種制度・基準等の改定に伴う変更等。
また、昨年度はESCO事業(省エネ改修)の導入に向けた普及方策を検討するためESCO専門委員会において、設備機器更新時期や改修計画を検討する際にESCO 事業の導入可能性の検討が実施されるよう、基本方針と解説資料の改定が行われた。今年度はこれまで導入実績の多い地方公共団体や今後の導入が見込まれる団体等への一層の普及促進を図り、これらの団体等に向けた情報提供等支援を行うため、事例集を作成・公表するものとしている。環境配慮契約の推進にあたっては、環境配慮契約の締結実績の状況把握と分析、環境配慮契約による温室効果ガス排出削減等の環境負荷低減効果について可能な範囲で試算し、地方公共団体での取組状況等と併せ、情報発信していくこととしている。


製紙連合会 最終処分量は19万トン 環境行動計画2013年度実績

日本製紙連合会ではさきごろ、「環境行動計画 (廃棄物対策)」 の進捗状況を確認するため、2013年度の会員会社の産業廃棄物の最終処分量、再資源化量、有効利用率などの実績をまとめた。調査対象の38社108工場・事業所のうち、回答があったのは37社、107工場・事業所で、全製紙会社のシェアの89・4%を占めている。製紙連合会が目標として掲げたのは 「産業廃棄物の発生抑制と有効利用を進め、2015年度までに産業廃棄物の最終処分量(有姿量)で35万トンまで低減することに努める」 とするもの。回答会社の集計から全国生産量ベースに拡大推計した結果、2013年度の産業廃棄物発生量は、対前年度比11・9万トン増の508・3万トンとなった。
人口減少、需要家の紙関連コストの削減等、国内需要の減少に繋がる構造的要因が定着しているが、2013年度はアベノミクス効果に加え、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の影響により、紙・板紙生産量が対前年度比3・6%増となった。このため、産業廃棄物発生量の約7割を占めるPS(有機性スラッジ等)の増加が発生量の増加に繋がった。また、減容化量は対前年度比11・4万トン増の257・1万トンとなった。その内訳は、PSの可燃部分が約80万トン、廃プラ・木くず等が約12万トン、残りの約165万トンは蒸発水分となっている。再資源化量は232・1万トンで、対前年度比4・3万トン増加となったが、再資源化量よりも産廃発生量が増加したため、再資源化率は45・7%と前年度より0・2ポイント下降している。最終処分量は19・1万トンで、対前年度比3・9万トン減少。産廃発生量が増加した一方で最終処分量が減少したため、有効利用率は96・2%で、対前年度比で0・8ポイント上昇した。この結果、産業廃棄物の最終処分量(有姿量)は目標である35万トンを15・9万トン下回る19・1万トンとなり、目標値をクリアしている。
製紙連合会では、会員各社が日ごろの操業管理に留意するのみならず、目標達成を継続できるよう、再資源化のための技術開発や再資源化先に関する情報交換に努めている。 また、最終処分量の実績を業界内部で公表する制度を設けることで、取り組みに対する意識付けを図っている。そのうえで、環境負荷低減の取り組みの一つである発生源対策の主体は PSの削減であることから、抄紙工程での歩留向上剤の使用による微細繊維の歩留向上や、抄紙工程及び古紙パルプ工程の排水からのパルプ回収等、 原料の流出防止等に取組んでいる。PSは、焼却して減容化を図るだけではなく、燃料としてバイオマスボイラー・廃棄物ボイラーで燃焼して熱エネルギーを回収し利用することで、化石燃料の使用削減にも努めている。
構造的要因等による国内需要の減少等に伴い、紙・板紙の生産量が減少すれば、廃棄物の発生量もPSを主体に減少するので、従来通りの削減努力を行っていれば最終処分量も減少する。 しかし、環境負荷低減の観点から、企業努力による循環型社会の更なる進展を目指すことが求められている。このため、製紙工場の産業廃棄物の発生量の増加要因となるが、 異物混入が多い低品質古紙の原料としての利用を増やしている。製紙連合会では今後も、 企業グループ間で産業廃棄物を自ら処理することができないことや県外産業廃棄物の流入規制等、足枷となっている現行の廃棄物に関する法令及び地方公共団体の運用規制の見直し等、現場の実態に即した規制改革の推進を要望していきたいとしている。


横浜市資源リサイクル事業協同組合 「環境未来都市・環境絵日記展2014」を開催

車椅子交換会の様子

車椅子交換会。髙田理事長(右)


横浜市資源リサイクル事業協同組合(理事長・髙田哲二 日哲商事社長)では、今月26日に横浜の大さん橋ホールにて「環境未来都市・環境絵日記展2014」を横浜市との共催で盛大に開催した。同絵日記展は、「環境未来都市」をテーマに横浜市内の小学生達によって描かれた環境絵日記のなかから、優秀作品約600作品を展示し、市民が楽しく環境を学習できる各種催しが行われる行政、民間企業、市民が一体となって開催される横浜市の一大イベントとなっている。
イベントの冒頭、開会の挨拶に立った髙田理事長は「2000年からスタートした環境絵日記の取り組みは、当初1000を超える位の作品数でしたが、今年は横浜市内だけで2万2000を超える作品数の応募がありました。横浜市との共催の下で、こうした盛大なイベントを開催できることを大変嬉しく感じております。現在、環境絵日記は、北は北海道から南は沖縄まで日本全国に拡がっているだけでなく、海外ではブラジルのクリチバ市でも日本の子供と同じように環境絵日記に取り組んでもらっています。我々が取り組んできたことが大きな輪になって拡がっていくことは大変素晴らしいことであると自負しておりますが、今後この環境絵日記を更に全国に拡げていくため、皆様のお力添えをいただきつつ、イベントでは楽しく環境について学んで行っていただければと思います」と述べた。
また、イベントでは併せて車椅子交換会も実施された。この車椅子交換会は市内の小学生の環境教育の一環としてアルミ缶回収を行ってもらい、規定の数量に達したら車椅子の交換を行うというもの。組合の会田金属委員長は交換会で「平成13年からスタートしたこの取り組みは、18年度から名称を改め、回収量も増加しており、今年は希望ヶ丘小学校と下野谷小学校の2校に車椅子を贈呈することが出来ました。組合がこれまで車椅子を贈呈した台数はのべ174台となりましたが、今後とも私共の活動が皆様のお役に立てることを願っております」と挨拶。なお、このほかの催しとして、古着のファッションショーや環境絵日記での優秀特別賞の表彰式も執り行われている。


マニフェスト 報告書の活用提言 記載内容・運用の信頼性高め

(公財)日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)では、平成23年度からの3年間、「産業廃棄物マニフェスト情報の信頼性の確保と多面的活用策の検討」をテーマに、マニフェストシステムの使用状況、処理業者と都道府県・政令市での記載情報の活用の実態の解析、最終処分場・中間処理施設での記載情報の信頼性の検討等を行った。そのなかで、市町村等に対してマニフェスト交付状況報告書の多面的活用策の提案を行い、その実行可能性について検討している。
産業廃棄物の処理に際しては処理を委託する排出事業者に対し、紙または電子の産業廃棄物管理票(マニフェスト)を処理業者に交付し、年間のマニフェスト交付等状況を都道府県・政令市に報告書として提出することが義務付けられている。電子マニフェスト利用の場合は運用指定機関のJWセンターが排出事業者に代わり登録等状況報告書を提出する制度となっている。都道府県・政令市等が産業廃棄物のフローを把握する場合にマニフェスト交付等状況報告書の利用が有効と考えられるが、マニフェスト記載の廃棄物の種類・数量の信頼性が十分に高いものではないことや、紙マニフェスト交付事業者総数が不明ために交付等状況報告書の代表性に信頼を持てない、紙マニフェスト交付状況報告書の膨大なデータの集計に苦慮している──等の理由から利用に積極的ではない。センターではこれらの問題を解決し、マニフェスト交付等状況報告書の活用を進めるための提案を行い、併せてその実行可能性を検討した。
都道府県・政令市におけるマニフェスト交付等状況については、政令市で「産業廃棄物多量排出事業者の確認」「多量排出事業者の実施状況報告書との突き合わせ」「管内での産業廃棄物の委託量と処理状況の把握」で活用中との回答が5割程度となったものの、全体として活用は進んでいない。都道府県と比べ人口規模が小さい政令市は報告書の総件数が少なく、排出事業者への目配りもし易いためと見られている。ただし今回のアンケート調査で都道府県・政令市に活用例の周知が広まったことで、実際に「活用中」「今後活用したい」が80%を超える項目もあり、今後の活用の進展も期待できるとされた。