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WEB資源新報BackNumber 2012年5月

日本再生資源事業協同組合連合会 上岡会長再選を決定 第40回通常総会を開催

日資連総会

日資連 第40回通常総会


日本再生資源事業協同組合連合会(上岡克己会ョう)の第40回通常総会が今月12日(土)、日資連本部会議室で開催された。全国から単位組合代表、組合員等多数が出席、23年度の事業報告決算報告と併せ、24年度の事業計画等を審議・決定した。議事に先立ち執行部を代表して上岡会長が挨拶に立ち、昨年春の東日本大震災以降の日資連の取組を報告、全国会員からの義捐金等への協力に謝意を示した。
日資連では、震災発生直後より組合員に被災地支援を呼びかけ、青年部を中心とした被災地での活動のほか、全国から寄せられた義捐金を東北組合員企業に届けるなどの活動を行っている。上岡会長は挨拶の中で、東北の復旧・復興を短期的な取組みに終わらせることなく、今後の継続的に活動していくこととし、引き続きの協力を呼び掛けている。
事業報告では、各委員会(部会)の昨年度の活動状況と成果が報告されている。日資連の全国組織体制の確立を目指した『制覇47特別委員会』では、全47都道府県事業者組合の加盟達成に向け、20年7月の発足以降、未加盟地域の加盟促進活動を展開しており、現在までに42都道府県組合が加盟、未加盟地区として滋賀・和歌山・山口・長崎・大分の4県を残すのみとなっている。未加盟地区についても引き続き加盟交渉を継続していくこととしている。また、回収部会が取り組む「古紙持ち去り行為」への対策取組みではメーカー、問屋業界等関係団体と連携、情報交換と併せて対策等協議を行ったほか、古紙リサイクル関係業界の総意として、持ち去り問題への対応を広く情報発信し、社会全体の理解と協力を求めた。
任期満了に伴う役員の改選では、上岡会長の再任が決定した。再選を受けて上岡氏は、「再度の選任をいただき身のひき締まる思い。全国の皆様と力を合わせ、日資連発展のために力を尽くしていきたい。」と抱負を述べた。 なお総会の冒頭、上岡会長より、春の叙勲で全会長の紺野武郎氏が「旭日小綬章」を受賞したことが報告された。


レアメタルリサイクル 含有情報の共有化を 企業秘密保持への配慮も必要

経済産業省の産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会と環境省の中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会小型電気電子機器リサイクル制度及び使用済み製品中の有用金属の再生利用に関する小委員会使用済み製品中の有用金属の再生利用に関するWGの合同会合がこのほど開催された。国内資源循環の推進及びレアメタル含有情報の共有が議題。
このなかで、レアメタル含有情報の共有に係る課題としては、製品の年式などにより、レアメタルの含有部品・非含有部品が混在する部品など(エアコンのコンプレッサ、リチウムイオン電池、自動車の電動パワステモータ)については、レアメタルのリサイクルを行うにあたって、分別する場合等に含有情報が必要となるケースが存在し、その情報が得られない場合、中間処理業者や非鉄精錬業者などでリサイクルの妨げになるケースも存在する。一方、パソコンのHDDや超硬工具のように、すべての使用済み製品がレアメタルを含有している場合、情報の共有は課題となっていないのが実情だ。
こうしたことから、レアメタルの含有部品・非含有部品が混在するものについては、リサイクル肯定における作業効率化の観点から、企業秘密にも考慮しつつ、メーカー・リサイクル業者間といった特定の関係者間で情報共有を検討すべきとしている。そのなかで、エアコンのコンプレッサについては、メーカーによる品番などの情報提供や二社間での秘密保持契約の締結など、既に行われているグループ内企業間でのネオジム磁石含有情報の共有を図る取り組みなど先行事例を参考にした含有有無情報の共有する余地がないかを検討すべきとしている。
また、自動車部品(電動パワステモータ等)については、メーカーと解体業者との間で含有情報の共有を検討すること、次世代自動車用リチウムイオン電池については、既にメーカーと精錬業者との二社間で秘密保持契約を締結することにより含有情報を共有する取り組みも行われていることから、こうしたケースを参考にすることなどが取り上げられた。なお、消費者などといった不特定多数への情報提供については、使用済み製品の排出促進や国内資源循環への理解促進を図るため、発信すべき情報やその手法について官民で検討するべきとしており、その際には一部事業者による囲い込みや不適正処理、海外流出につながらないよう留意すべきとしている。


災害廃棄物 自治体間で温度差も 広域処理見込み量は162万トンに

東日本大震災で発生した2200万トン超という膨大な災害廃棄物(がれき)の広域処理が課題となるなか、被災地以外での処理受入れは青森、山形、東京の3都県にとどまり、秋田県が本格受け入れに向けた試験的な焼却処理をスタートさせているものの、受入れ検討中としながらも具体的な計画段階に至っている例は少ない。そのため当初、計画されていた2013年度末までの処理完了についても極めて難しい状況となっている。
今年3月の関係閣僚会合で、災害廃棄物処理特別措置法に基づいて広域処理の受入れに関して都道府県等に文書で正式に要請することが決まり、受入れを表明していない35道府県と10 政令市(計45 自治体)に受入れ要請文書が出され、現時点での検討結果についての回答を求めている。現状では、すでに受入れを表明している8府県と同府県内8政令市にすでに受入れを行っている東京都を合わせた約140万トンの広域処理が見込まれているが、全体の要処理量から見ても、さらなる広域処理の拡大が求められている。
今回の要請文に対する都道府県等からの回答でも、受入れに向け具体的な回答を行う自治体がある一方、依然として広域処理の必要性や安全性に関する説明が不足していると指摘する自治体もあるなど、広域処理に対する自治体間での温度差が目立つ結果となった。広域処理の受入れについて具体的な回答のあった自治体のうち、受入検討量について具体的に回答したのは富山県(1市2組合)、石川県(2市)、山梨県(4市町村、4組合)、北九州市の3県1政令市で、これらの受入れ見込量は合計で約22 万トン(受入期間は1・5年と想定)となる。受入検討自治体名を具体的に回答したのは新潟県(5市)、岐阜県(19 市町村、3組合)、滋賀県(3市1組合)、京都府(4市町)、鳥取県(1市)、福岡県(1市1組合)の6府県。このほか北海道、茨城県、栃木県、千葉県、愛知県、三重県、兵庫県、島根県、千葉市、新潟市、京都市、神戸市の8道県4政令市が受入れ方針等について具体的に回答している。これらの結果、東京都と受入れ表明済みの8府県8政令市の処理見込量約140万トンと今回、具体的な受入れ回答のあった3県1政令市の見込量約22万トンを加え、現状では約162万トンの広域処理が見込まれている。
環境省では今後、受入れに具体的な回答をした自治体のうち、既に被災地との間で調整が行われているなど実現可能性が高い自治体から最優先で広域処理を進めることとし、その他の自治体に対しては被災地での搬出の準備状況を踏まえ、段階的に受入れを求めていくこととしている。さらに今回、説明が不足している等と指摘された自治体については、第三者の確認を受けつつ先行事例のデータを積極的に提供するなど説明を続け自治体の理解を求める一方、説明会や現地見学会、一般向けの広報等の活動を行っていくこととしている。また、民間事業者(セメント、製紙等)についても今回の自治体からの回答を踏まえ、実現可能性が高いものから協力要請を具体化していくとしている。


国内適正処理の確認で 廃棄物輸入に審査基準を設定

環境省はこのほど、廃棄物処理法で規定されている廃棄物の輸入許可行政手続法に審査基準等を定めることとし、基準案をまとめた。国外廃棄物の輸入により国内廃棄物の適正処理に支障が生じることがないよう、一定の要件を課すなど輸入を抑制する必要がある。輸入された廃棄物が国内で適正処理できることを確認するため、廃棄物処理法により、廃棄物の輸入を行うにあたっては環境大臣の許可が必要とされている。一方で、途上国では適正処理が困難なものについて、処理可能な廃棄物を対応能力の範囲内で受け入れて適正に処理する等の取組を進めるため、輸入許可申請者を自ら処分する者だけでなく他者に委託して処分する者にも拡大するなどの措置が講じられている。
今回の審査基準(案)では適合性の確認について、①輸入する廃棄物が国内での処理設備や技術に照らして適正に処理されると認められるものであることや、②申請者が自らまたは他者に委託し適正処理することができると認められること、③処分を委託して行おうとする場合、国内で処分することに相当の理由があると認められること──等の点について、それぞれ適否を判断することとしている。


輸入廃棄物を委託して処理するための「相応の理由」としては、国外廃棄物が輸出国での適正処理が困難であるものの国内では適正に処理することができる場合や、同様に輸出国では困難なものの国内では再生利用が可能な場合、国外での自社と関連企業等の事業活動で生じた廃棄物を国内で処理する場合、自社製品等が国外で廃棄物となったものを処理する場合、輸出国の法令等で廃棄物となった製品の生産国での処理が求められる場合──等が挙げられている。



ヤマダ電機 東金属を完全子会社化 販売からリサイクルまでをワンストップ化

株式会社ヤマダ電気ではこのほど、関東地区の大手金属スクラップヤードディーラーであり、総合リサイクル業を手掛ける東金属株式会社を完全子会社化すると発表した。東金属は、1955年に創業。以降、金属スクラップ加工処理のほか、自動車リサイクル、OA機器処理、蛍光管処理、廃棄物焼却処理などの事業を広範に展開してきたが、新工場開設や設備更新などによる借入が増加するなかで、リーマンショック以降、急激な金属スクラップ価格の下落と取り扱い数量の減少により業績が悪化。更に東日本大震災などの影響もあり、平成23年5月期には経常赤字3億7600万円の赤字。結果として昨年11月、70億円を超える負債総額を抱え、東京地裁に民事再生手続きを申請した。
今回、ヤマダ電機による完全子会社化発表は、東金属の民事再生手続き以降、スポンサーとして4億円を限度とする融資を行うなど同社の経営再建に乗り出してきたヤマダ電機による再生計画が今年4月に認可決定されたことを受けてのもの。新生・東金属は資本金5000万円(ヤマダ電機100%出資)、代表取締役会長に太田勝美氏、代表取締役社長に長峰登氏が就任する。本社はこれまで通り、東京都江戸川区松江1―22―14。
なお、今回の東金属の株式取得についてヤマダ電機では、同社が積極的に推進するCSR経営において、東金属株式会社を子会社化することにより「販売からリサイクルまでのワンストップ化」で地球環境への配慮、環境負荷低減、高度循環型社会の形成等を目指し、トータルサービスソリューションの実現を図るためとしている。


使用済み家電製品 環境省が輸出で注意 廃棄物該当性判断で相談求め

環境省では先ごろ、中古又は使用済み家電製品を輸出しようとする場合の手続きに係る注意点について、関係者等に通知すると同時に、ホームページ上でも公開を行った。これは、同省が使用済み家電製品の適正なリサイクルの確保に向け、今年3月に出した「使用済み家電製品の廃棄物該当性の判断について」の通知により、廃棄物該当性の判断指針の明確化が行われたことを受けてのもの。これにより、中古又は使用済み家電製品を輸出しようとする場合における廃棄物該当性判断においても、この通知の考え方が適用されることになる。
このため、中古利用に適さない使用済み特定家庭用機器(スクラップにしたものを含み、廃棄物処理う法の処理基準に則り再商品化された後のものは含まない)を輸出する場合、環境大臣の確認を必ず受けなければならないこととなる。また、輸出時の廃棄物該当性を判断する基準については、使用済み特定家庭用機器以外の使用済み家電製品についても同様に、有価性如何にかかわらず廃棄物であることが判断できる場合、そのものの性状、排出状況、通常の取扱形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し、廃棄物該当性を積極的に判断していくこととしている。
なお、環境省では、輸出をしようとしている中古又は使用済み家電製品が廃棄物に該当するか否かについて、事前相談を受け付けており、輸出に用いる港の所在地を所管する各地方環境事務所に相談するよう求めている。


太陽光で42円/kWなど 再生可能エネルギーの買い取り価格

昨年8月に成立した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)に基づき、新たな買取制度が今年7月より導入される。経産省の「調達価格等算定委員会」は、事業者からのヒアリングの結果等を踏まえてこのほど、買取価格案をまとめた。
電力会社が発電事業者から買い取る際の価格は太陽光発電(非住宅用太陽光発電)が1キロワット当たり42円で買い取り期間は20年とされたほか、風力発電は23・10~57・75円で同20年、地熱は27・3~42円で15年、中小水力は25・2~35・7円で20年、バイオマスは13・65~40・95円で20年等。コスト変化等を踏まえて毎年見直す方針。また、これまで出されていた発電事業者からの要望にほぼ近い価格水準とすることで、再生エネの普及を目指すこととした。欧州で導入されている買取制度での価格や、再生可能エネルギー種別の事業リスク等を勘案した価格となった。
再生可能エネルギー買取制度では、住宅などに設置された太陽光発電設備で発電した電気のうち自家消費分を除いて余った電気を一定の価格で10年間、電力会社が買い取る「太陽光発電の余剰電力買取制度」が21年11月から実施されている。今回、新たに導入される「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を国が定めた一定の価格・期間で電気事業者が買い取ることを義務づける制度。現行制度は今年7月以降、再生可能エネルギーの固定価格買取制度に移行され、現制度で買い取りが行われている太陽光発電設備については同じ条件で継続されることとなっている。
新制度移行後も住宅用太陽光発電は余剰発電分を買取制度の対象とする現行制度が10年間維持されることになるが、買取分は電気料金に上乗せされるため、買い取り価格が高くなれば利用者の負担増となることも考えられる。


90年比で7.8%増に 2010年度のエネルギー消費量

資源エネルギー庁がこのほどまとめた平成22年度(2010年度)のエネルギー需給実績(確報)によると、同年の最終エネルギー消費は1万4974ペタジュールとなり、景気回復と猛暑厳冬の影響により対前年度比では4・0%の増加、1990年度比では7・8%の増加となった。
また、エネルギー起源による二酸化炭素の排出量は、エネルギー消費が増加したことの影響を受けて対前年度比で4・5%の増加、1990年度比では6・1%の増加となっている。部門別の状況を見ると、産業部門のエネルギー消費は景気回復によって製造業の生産量が増加したこと等により前年度比で6・7%増加したが、90年度比では6・0%の減少となった。また、民生部門の消費は猛暑厳冬の影響から前年度比で2・8%の増加、90年度比では35・2%の増加となっている。運輸部門の消費は前年度比では0・9%の微増にとどまったが、90年度比では6・6%の増加となっている。
エネルギー起源のCO2排出量については各部門とも前年比増となっており、90年比でも産業部門が1割強の減少となったものの他の部門については増加している。特に、業務部門、家庭部門からのCO2排出量が3割超の増加となっている。


「安全」の確保を基盤に 第4次環境基本計画で答申

第68回中環審総合政策部会で第四次計画となる新しい環境基本計画の答申案が取りまとめられ、答申が行われた。環境基本計画は、環境基本法に基づいて政府全体の環境保全施策を総合的・計画的に推進するための施策の大綱などを定めるもの。現行の第三次環境基本計画は平成18年4月に策定され、内外社会経済の変化等に柔軟・適切に対応し、5年後を目途に見直すこととされていた。昨年3月の諮問を受け、中央閑居審議会総合政策部会で1年間にわたって審議されていた。
今回の答申では、持続可能な社会を「低炭素」・「循環」・「自然共生」の各分野で統合的に達成することに加え、「安全」がその基盤として確保される社会であると位置づけている。また、持続可能な社会を実現する上で重視する方向として、①政策領域の統合による持続可能な社会の構築、②国際情勢に的確に対応した戦略をもった取組の強化、 ③持続可能な社会の基盤となる国土・自然の維持・形成、④地域をはじめ様々な場における多様な主体による行動と参画・協働の推進──の4点を設定している。
さらに、「社会・経済のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進」、「国際情勢に的確に対応した戦略的取組の推進」、「持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進」、「物質循環の確保と循環型社会の構築」など計9項目の優先的に取り組む重点分野を示している。東日本大震災からの復旧・復興に関する施策や放射性物質による環境汚染対策については、それぞれ「章」として取り上げ、それぞれの取組方針を示している。


DOWAエコシステム シンガポールで貴金属回収 電子機器から適正なリサイクルを

貴金属を含有する電子機器廃棄物が大量に発生するシンガポールで、 我が国の大手製錬メーカーの子会社が貴金属回収・精製工場の本格稼働を始めた。DOWAエコシステムのシンガポール子会社である 「DOWAエコシステム・シンガポール」 がそれで、 廃電子機器を母材とする貴金属リサイクル事業の4月からの本格稼働を開始している。
同社の貴金属回収事業は日本、 中国に次ぐ3拠点目で、 関連する同社の環境ビジネス拠点との連携を図りながらアジア全体での貴金属リサイクル事業を展開する計画だ。  今回稼働を始めたシンガポール拠点では今後2、 3年を目処に金の回収量を月間ベース数10キロにまで拡大する計画。
シンガポールは多くの電子機器産業が進出しており、 同時に東南アジアにおける廃電子機器集積の巨大マーケットを形成している。  同社では日本、 中国で進めてきた環境に配慮した貴金属リサイクル技術とシステムを用いて、 東南アジアにおける適正な貴金属リサイクルマーケットの開拓を進めていく考えだ。  既に同地では、 廃棄物関連会社が廃棄物の収集運搬・処理の事業を展開しており、 これら関連会社と連携することにより適正処理と貴金属リサイクルの市場開拓が可能だと判断したもの。


温室効果ガス 基準年比で0.3%の減少 2010年度総排出量12億5800万トン

環境省のまとめによる2010年度の日本の温室効果ガスの総排出量は12 億5800万トンとなった。京都議定書規定による基準年(1990年度)総排出量と比べ、産業部門の二酸化炭素排出量が減少したことなどで総排出量は0・3%の減少となった。また、前年度の総排出量と比べると、産業部門をはじめとする各部門の二酸化炭素排出量が増加したことなどにより、総排出量は4・2%の増加となっている。
京都議定書に基づく吸収源活動の吸収量は2010年度は4990万トン(森林吸収源対策4890万トン、都市緑化等110万トン)で、基準年総排出量の4・0%に相当する量となった。なお、前年度から見て排出量が増加した原因としては、2008年に発生したリーマンショック後の景気後退からの回復の中で、製造業等の活動量の増加に伴って産業部門からの排出量が増えたことや、猛暑厳冬により電力消費が増加したことなどが挙げられる。
我が国の排出量を経年変化で見ると、2008年度は基準年比1・6%の増加、2009年度は同4・3%の減少、2010年度は同0・3%の減少となっている。前年度からのエネルギー起源二酸化炭素の増減の内容を見ると、産業部門(工場等)が生産量の増加に伴い製造業等からの排出量が増加したことなどで3390万トン(8・7%)の増加となったほか。 運輸部門(自動車等)も自家用乗用車及び貨物自動車、トラックからの排出増などで210万トン(0・9%)の増加、家庭部門が猛暑厳冬による電力消費増と石油製品(灯油、LPG等)の消費増で1010万トン(6・3%)の増加、業務その他部門(商業・サービス・事業所等)が100万トン(0・5%)の増加、エネルギー転換部門(発電所等)が90 万トン(1・2%)の増加などとなっている。


認定制度導入も視野に リユース業界の優良化を検討

使用済み製品のリユース促進策を検討する環境省では関連業界や消費者団体、有識者による専門の研究会を立ち上げ、使用済み製品リユースに関する現状の整理と今後の拡大可能性の検討、モデル事業等を実施しているが、併せてこれまでの検討過程で指摘された民間リユース事業者の優良化策についての検討を進めている。
近年、使用済み製品のリユース市場は拡大傾向にあり利用者も増加、消費者全体の2~4割程度がなんらかかたちで使用済み製品のリユースを行っていると推測されている。そうした一方で、リユースショップに対して依然としてネガティブな印象を持っている人も少なくなく、使用済製品を扱うという点で不適正業者と混同されている可能性もあると見られている。リユースを定着させ、利用拡大を促すには、リユース業サイドでも消費者のニーズに対応したサービスに努め、併せて消費者が不安に感じる点を解決・改善していく必要があることから、リユース業界団体での既存の取組を踏まえ、リユース業の優良化についての検討を行っているもの。
リユース業界の優良化を検討するにあたっての論点整理では、①リユース業の更なる優良化の目的と範囲、②消費者への啓発推進と情報発信、③消費者のリユース業に対する理解促進、④リユース業界内での情報共有と優良化に向けた取り組みの周知・徹底、⑤コンプライアンス体制の確立とトレーサビリティ、⑥ガイドラインの策定や認証制度の導入──等が検討課題としてあげられている。「リユース業界内での情報共有、優良化に向けた取り組みの周知・徹底」では、業界団体への加盟状況に関わらず、すべてのリユース事業者への周知徹底が必要不可欠であることや業界団体、行政の連携による取組みが重要である点が指摘されている。立地的に情報を得にくい地域など、業界団体からの周知はもとより、行政の協力が不可欠としている。
また、「コンプライアンス体制、トレーサビリティ」に関しては、リユース業が特に遵守すべきものとして、買取時での盗品の可能性がある製品に対する対応や販売時のトレーサビリティ確保などが課題とされている。実際に買取時に盗品を持ち込まれる可能性がある中で、確認や対応・報告が不十分であったために営業停止となった事例もあり、古物営業法で定められてはいるもののリユース業の共通認識として、この点の周知・徹底が必要となる。さらに、こうした取組みを関係業界全体で進めていくための手法として、リユース事業者が遵守すべき項目を盛り込んだガイドライン(法令遵守、製品の安全確保)の整理や、一部業界団体で取組みが見られる認証制度の活用、もしくは第三者機関による新たな認証制度の導入などについても今後の検討課題とされている。