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再生資源・リサイクル業界の専門紙

日刊資源新報

WEB資源新報BackNumber 2012年12月

静脈産業海外展開促進フォーラム 低コスト化が課題に 進出企業各社等が事例報告

静脈産業海外展開促進フォーラム

海外展開促進フォーラム


環境省では、平成23年度より我が国静脈産業が海外において事業展開することを支援し、世界規模で環境負荷の低減を実現するとともに、我が国経済の活性化につなげるため、「日系静脈産業メジャーの育成・海外展開促進事業」を実施しているが、この事業の一環として、静脈産業の海外展開について情報共有・意見交換を目的とした「静脈産業海外展開促進フォーラム」を設立。その第2回総会をこのほど、東京の都市センターホテルにて開催した。
静脈産業メジャーの育成・海外展開促進に当たっては、先行グループにおける海外事業展開を想定したフィージビリティ調査などを行いつつ、レアメタル含有鉄スクラップの高度選別・利用やペットボトル再ボトル化といった次世代グループについては、海外展開をしていけるよう、ビジネスモデルの確立を支援していくことなどとし、また、海外展開実現可能性調査等の支援として平成23年度には7事業、平成24年度には10事業を採択している。
今回の第2回総会では、三菱総合研究所から実現可能性調査支援事業のこれまでの報告が行われたほか、川崎重工業や市川環境エンジニアリング、東亜オイル興業所による個別の事例報告なども行われた。このなかで、三菱総合研究所からは、海外での事業化に向けた課題として、現地企業との連携による低コスト化等の最適な事業実施体制の構築や安定した調達から販売先の確保、現地の意識向上や文化・商慣習の理解などがあるとの報告があった。更に個別の事例報告からは、日本とは状況が異なり、廃棄物に係る処理コストが大幅に安いあるいは処理コストが係るという概念に乏しいことが問題として挙げられたほか、処理を行う廃棄物の組成が一定していない点、回収から販売までにブラックマーケットが存在する点などが課題として指摘されている。


PETボトル 期中に辞退分を振り替え 再生材の市況悪化、需要減で

容R法に基づくPETボトルの再商品化で今年度、春先以降のポリエステル素材の市況の急落の影響から再生フレークの価格下落と販売不振が広がり、再生処理事業者の市町村からの予定数量のベール引取りへの影響が懸念される事態となった。そこで日本容器包装リサイクル協会では、PETボトルの円滑な再商品化を維持するため主務省庁と協議、再生処理事業者からの引取り辞退を計画的に受け入れ、新たな再生処理事業者に振替えるという今年度限りの特別対応をとった。辞退された引取り分の再商品化は滞りなく行われている。
新たな振替先となる再生処理事業者は辞退しなかった事業者のみとし、今年8月から9月にかけて再生処理事業者からの辞退を受付け、2番札以降の再生処理事業者へ振替が行われた。さらに、それで振替先が決まらなかった分についても後日、指名競争入札が行われている。再選定結果、辞退は19件、辞退対象市町村数は255自治体、283施設となった。辞退数量は半年間で4万371トン、期中振替分の落札単価は加重平均でトン当たり3559円の有償入札となった。
なお、PETボトルの再商品化については、来年度に予定されている容器包装リサイクル法の見直しに関連して、現行の入札制度のあり方が議論されることとなっている。再生材の市況悪化などで期首に決まった落札単価での事業が困難となり、引き取り辞退を申し出る事業者が相次いだことなどから、今後に長期的な対応策を検討することとしている。なお、来年度分については暫定的な措置として、これまでの年1回の入札から年2回の入札に変更されることが決まっている。


日本再生資源事業協同組合連合会 中国情勢テーマに チャイナシンポジウムを開催

チャイナシンポジウム

チャイナシンポジウム


日本再生資源事業協同組合連合会(上岡克己会長)主催の「チャイナシンポジウムinTOKYO」がこのほど、東京・千代田区の科学技術館サイエンスホールで開催された。
世界同時不況への懸念が高まる中、「尖閣問題」で再生資源の最大の需要先である中国との関係性にも少なからず影響が出ている。シンポジウムは新体制に移行した中国の最新の国内情勢と今後の展望、経済の動向、さらには我が国再生資源業界への影響について、各分野の専門家から意見を聞き、今後の対応等の考えるために企画されたもの。


主催者を代表して上岡会長は「我々の業界にとって中国との関係性は重要で、両国が連携することで世界に貢献出来る。今回の企画は今後の対中対応を考える上でも意義のあるものとなるだろう。当連合会としてもこうした高いレベルでの情報発信が出来ることは喜ばしい」と挨拶。
シンポジウムでは、第一部の基調講演「どうなる中国」(伊藤忠商事中国総合研究所代表・古屋明氏)に続き、第二部では徐静波㈱アジア通信社代表、林誠一㈱鉄リサイクリングリサーチ代表、鈴木孝雄スズトクホールディングス㈱CEOほかによるパネルディスカッションが行われた。



関東製紙原料直納商工組合 不正流通防策を実施 組合内にも厳しい対応で臨み

関東製紙原料直納商工組合(大久保信隆理事長)では、かねてよりの懸案である古紙持ち去り問題対策の一環として、組合員および関係先等での持ち去り由来古紙の流通防止策を喫緊の重点課題として、各種の取組みを行っている。このほど新たに、これら対策の一環として「持ち去り古紙の流通(古紙ロンダリング)防止」案をまとめ、さきの臨時総会で可決した。
古紙の持ち去りが跡を絶たない要因として、「そうした不正流通古紙を買う問屋があるため」とした指摘があり、残念ながら否定しきれない実態がある。こうしたことから組合では現状でできる取組みとして、自治体等から指摘のあった持ち去り行為車両および関係先については、是正措置の完了が確認できるまでの間は古紙の購入等取引を行わないこととした。直ちに理事長名文書でその旨を全組合員に通知し、それぞれの下店・系列会社に指導を徹底するよう、申し合わせを行っている。古紙リサイクルシステムの「信用」を失うことのないよう、業界全体として持ち去り古紙の流通防止に毅然とした態度で臨むとしている。
また、緊急総会では、さきに持ち去り古紙の扱いが指摘され、是正策が求められていた組合員一社についての今後の対応にいて協議されている。組合からの是正勧告後、新たに不正流通の発生が行政サイドから指摘されるなど、同社の自主的な取組みも対応が不十分であると認められることから、組合としても厳しい対応をせざるを得ないという結論に至った。なお、組合関係法令に基づき「組合加入の自由」は保障されるとしている。


日本鉄リサイクル工業会 災害事例から教訓を 平成24年度労働安全衛生講習会を開催

鉄リ工の労働安全衛生講習会

24年度労働安全衛生講習会


一般社団法人日本鉄リサイクル工業会(影島一吉会長)の業務対策委員会(大谷正委員長)ではこのほど、平成24年度労働安全衛生講習会を東京・日本橋の鉄鋼会館にて開催した。同工業会では、労働災害と事故の撲滅を目標に掲げ、業界としての取り組みを進めており、その一環として、会員活動の一助とすべく労働安全衛生対策に資する講習会を毎年開催している。
講習会の冒頭、挨拶に立った大谷委員長は「労働安全衛生については、講習会も含め、マンネリ化も指摘されるが、繰り返して行っていくことが重要だ。我々の業は残念ながら事故は多いが、事例化されたものは少ない。今回の講習会では、なるべく実態に即した資料を作成しており、過去に学ぶことが事故を防ぐことに繋がる。また、委員会では我々の業界の過去の災害事例史を作り、ホームページに掲載することも予定している。企業のプライバシーの問題もあり、なかなか難しい点もあるが、こうした情報を活かし、自分たちの職場の安全に繋げてほしい」と述べた。
今回の講習会では、講師に産業振興㈱広畑事業所管理部長である林原徹氏を招き「直面した労働災害からの教訓」と題する講演などが行われた。林原氏は、「労働災害は徐々に減少しているとは言え、現在、年間1000人以上が亡くなっており、その内容は類似したものが多い。より多くの事例を知ることが累次災害の防止に繋がる」とし、過去の自社を含む様々な事例を紹介した。そして、類似災害防止活動として、「ヒヤリハット活動や6S活動、大声指差呼称運動などの安全活動に取り組み、マンネリ化を防止するため、目先を変える活動も良い」。また、「安全確保には教育・人材育成が大切であり、安全活動に特効薬は無い。一日一日、安全を積み上げていく活動を続けることが重要」と述べた。なお、後半は労働安全衛生法に関する説明と参加者による職場の安全活動の紹介が行われ、最後に受講修了証の授与が事務局より行われた。


日本びんカレットリサイクル協会 金子会長「業界の調和で安定供給の維持を」

日カレの第16回定時総会

第16回定時総会


日本びんカレットリサイクル協会(金子博光会長)はこのほど、横浜市内のホテル・キャメロットジャパンを会場に、第16回定時総会を開催した。全国から会員多数が出席、前年度の事業・決算報告を行うとともに、新年度の事業計画等を審議、決定した。
昨年度の業界環境を振り返ると、平成23年度のガラスびん生産量はハイボールや食べるラー油ブーム、小びんドリンクの増加などもあり年間を通して堅調に推移したが、前年度比微減(98%)の133・7万トンとなった。カレット利用量はほぼ横ばいに推移したため、生産量(分母)の減少から利用率は若干のプラスとなっている。近年、さらに顕著な他素材容器の侵攻や販売システムの多様化等で、ガラスびんの減少に歯止めがかからない状況が続いている。
ともあれ、国内メーカー各社での原料カレットの需要は引き続き旺盛であり、会員各社では納入先からの需要に遅滞なく対応するため、品質の向上と併せて安定的な原料供給の維持に取り組んできた。さきの震災により一部地域で集荷体制に若干の支障が報告されたものの、現状ではそうした状況もほぼ改善されている。びん容器の需要減少という長期的な傾向はあるものの、今後についても引き続き堅調な需要が続くものと見られ、一方で原料調達に苦慮する事態も伝えられることから、安定的なカレット原料の確保が業界共通の課題となっている。
議事に先立ち会を代表して挨拶に立った金子会長は、これまでの協会の歩みと今後の方向性等についての考えなどを交えつつ、会員各社への一層の協力を呼びかけた。「協会の設立から丸15年が経過し、16年目に入った。この会は容器包装リサイクル法の成立を期に、法に順応した業界活動を行っていこうという趣旨で前身の全国カレット協議会から組織を変更して設立したもの。「会員各社が協調し、カレットの安定的な供給体制の維持をめざす」という精神を土台にこれまでやってきた。この先も何十年と続く組織であり、さまざまな場面で会員皆さんのご意見を頂きながら、ご協力を得てスムーズに運営していけるよう願っている。再生資源全般に需要が極端に縮小するなど厳しい状況が伝えられるが、そうした中でもカレットに関してはこれまで非常に順調で、現在は在庫している会員の会社はないと思う。十数年前、在庫を山に積んで頭を悩ませていたことが嘘のようだ。循環型社会の一翼を担って、これからもカレットリサイクルが円滑に行われるよう、会員各社の一層のご協力を願いたい」。
日カレはこの一年、容器包装リサイクル法への適切な対応と、白カレットを中心とした需要の増大、輸入びん過剰問題等で関係業界・ポトラー業界等との意見交換を行ってきた。また、日本容器包装リサイクル協会、ガラスびんリサイクル促進協議会等の関連団体、リサイクリングシステム議員懇談会等と連携し、効果的で適正なガラスびんリサイクリングの推進に取り組んできた。国内経済が低迷する中、中小の企業には厳しい経営環境が続くものの、一方では国のエネルギー政策見直しの方向性などを背景に3R推進の機運がさらに高まりを見せるなか、ガラスびんリサイクル推進への社会的要請がさらに大きなものとなっている。日カレではこうした状況を踏まえ、会員企業が協力して諸問題に前向きに対応し、互恵的信頼関係を維持することで効果的に業務を推進していくことが重要であるとして、会員各社のより強固な協力関係を築いていくことが重要であるとしている。


PETボトルR推進協議会 2011年度リサイクル率85.8% 事業系調査で量上積み

PETボトルリサイクル推進協議会

PETボトルリサイクル推進協議会の会見


PETボトルリサイクル推進協議会がまとめた使用済みPETボトルのリサイクル実績によれば、2011年度はリサイクル率が昨年度を2・2ポイント上回る85・8%に達している。発表によれば、2011年度の指定PETボトル販売量60万4000トンに対し、市町村分別回収量29万8000トン、事業系回収量18万3000トンで回収量合計は48万1000トン(回収率79・6%)。リサイクル量は、市町村系が21万4000トン、事業系5万2000トン、輸出が25万3000トンで計51万8000トンとなった。
同協議会では、今回の調査に当たり、回収ルートの多様化による事業系調査の捕捉制度低下を補うため、約1000社へ回収量調査を行い、701社(昨年は250社)から回答を得て、結果、4万5000トンほどの回収量の上積みがあったとしており、回収率は2010年度実績値から7・4ポイントほどの伸びを見せている。また、回収面については、市町村分別収集量のうち、容器包装リサイクル協会に引き渡されたものは19万5000トンと前年度比1000トン増となったが、独自処理量も同比1000トン増の9万3000トンとなり、市町村独自処理比率は32%にのぼっている。
他方、2011年度の国内向け用途別再商品化量調査では、再生PETフレーク量26万5000トンのなかで、把握がなされたものが22万8000トン。うち、シートが9万6800トン、繊維9万5700トン、ボトル用途2万6100トン、成型品・その他9700トン。なお、ボトル用途のうち、ケミカルおよびメカニカルリサイクルによるものが2万4600トンとなっている。
同協議会では、今年度より目標指標を回収率からリサイクル率に変更し、2015年を目標年度とする第2次自主行動計画ではリサイクル率85%以上の維持を掲げており、より制度の高いリサイクル率の集計に向け、引き続き努力を行っていくとしている。


情報機器リユース・リサイクル協会 資源再利用率86.4%に 23年度の実績を公表

一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会(RITEA)ではこのほど、我が国における平成23年度の使用済み情報機器のリユースとリサイクルの実績について取りまとめ、公表を行った。それによれば、使用済情報機器のリユース利用台数は269万8000台、リサイクル用としての回収台数は112万8000台で合計382万6000台となったとしている。このうち、リサイクル資源としての合計再利用量は7574トン、資源再利用率は昨年度を6・1ポイント上回り、過去最高となる86・4%に達している。
このうち、リユースは、パソコンやデジタルカメラ、携帯電話など主要18品目についてのもので、台数では前年度(305万1000台)比で12%ほどの減少となった。品目では、スマートフォン販売台数が4万台、タブレット端末が1万台と大きく販売数量を伸ばした一方、パソコンについては176万万台と前年度(201万9000台)比で13%減となるなど、同協会が集計を開始した平成18年度以降、初めて販売台数が減少を示した。同協会では、一定期間の保証を付けた付加価値付きリユースパソコンの販売で、販売は回復基調に戻るとしているが、今後の動向が注目される。
他方、リサイクル実績については、パソコンやサーバー、液晶ディスプレイ、ビジネス用コピー機・プリンタ、携帯電話など12品目について集計を実施し、平成23年度112万8000台は前年度(103万8000台)と数量では9万台ほどの増加となったものの、回収重量は機器小型化の影響で8824トン(前年度1万1454トン)となった。このため、平成23年度リサイクル資源化重量7574トンも前年度(9189トン)比では減少している。
また、このリサイクル資源のうち、219トンが再資源として用いられる再利用部品となり、内訳はCPU・メモリが308㎏、ドライブ類が116トン、その他102トン。一方、材料は鉄5146トン、銅250トン、アルミ258トンのほか、金220㎏、銀749㎏、クロム12トン、コバルト176㎏、ニッケル6トン、パラジウム36㎏の再資源化を実現したとしている。このほか、プラスチックが1380トン、ガラス302トンが再利用されている。
なお、従来型携帯電話では金が0・06g/台、銀が0・18g/台となっており、金は鉱石1トン中5g、銀は1トン中130g以上取れれば採算が合うことから、使用済み情報機器は最高品位の都市鉱山とされるが、レアメタル・レアアースについては、パラジウム、クロム・ニッケル、コバルトなどの回収は出来ているものの、回収台数が確保出来ないなどの理由からその他は回収が進んでいないのが実情だ。


故繊維 ウエス値上げを要請 原材料の確保難で高値買い

故繊維業界ではアジアを中心とした海外需要の高まりから輸出が大幅な増勢で続いている。同時に、内外情勢の悪化で新たな商材を模索しようとする異業種の参入も加速している。これまでもアパレル、流通業界などが自社製造・扱い商品を使用後に引き取るなどの試みはあったが、加工選別のシステムを持たないため、そうしたものは故繊維扱い業者を介して他の故繊維とともに扱われることが多かった。こうしたものについても業界への影響を懸念する声はあったが、ここにきて、海外需要を背景に輸出事業にまで取組もうとする新規参入が増えている。
集荷から選別、梱包までのノウハウを持つ再生資源事業者や、産廃・一廃処理業者等が故繊維リサイクルに強い関心を示している。「海外需要の拡大と国内処理コストの削減から安易に未選別での輸入を増やしてきた故繊維業界自身にも反省すべき点はある」とする業界内の声もあるが、いずれにしろ新規参入業者による異常な高値買いで特に首都圏を中心に、一部地域で混みボロの価格が高騰している。
こうしたことから、円滑な流通を確保するためにウエス材などに転嫁せざるを得ないとして、故繊維業界ではこのほど、全国ウエイスト連合会として、ウエス値上げに関する要請文を作成、関係方面へ理解を求めた。現状に至った経緯を説明し、値上げへの協力を求めている。


神奈川県リサイクル産業団体連合会第16回会員大会 事業創造の源泉は「繋がり力」

神奈川リ団連

神奈川リ団連 16回会員大会


神奈川県リサイクル産業団体連合会(会長・髙田哲二日哲商事社長)ではこのほど、明治大学政治経済学部教授である森下正氏を講師に招き、第16回の会員大会を横浜市のホテルキャメロットジャパンにて開催した。会員大会の冒頭、挨拶に立った髙田会長は「今現在、日本を取り巻く環境は大変厳しい状況にあるが、我々リサイクル業界も同様の状況にある。このようななか、我々リ団連では、地域の業界の現状や様々な活動を行っていることを報告することで循環型社会構築に向けた情報発信を継続していきたい。また、今回の講演会が皆様の抱える課題解決の一助となれば良いのではないか。リ団連は物が言える団体として更なるネットワーク構築を図っていきたいと考えており、引き続き皆様の力をお貸し願いたい」と述べた。
森下氏は「これからの組合事業のあり方について~新しい組合事業想像の未来展望~」と題する講演を行ったが、そのなかで企業も組合もライフサイクルがあり、人口や価値観、市場や産業構造などの社会的側面や経済的側面に大きなパラダイムシフトが起きているなかで、人材育成の重要性を指摘。そして、組織再生にとって重要なことはその構成員の質にあり、その「繋がり力」が共同事業創造の源泉になるとした上で、構成員の「繋がり力」によって再生あるいは発展を遂げた日本各地の組合等の実践事例の紹介も行った。
なお、会員大会後の懇親会では、リ団連会員各組合からの現状説明等が行われたが、そのなかで古紙の持ち去りに関しての報告もあり、来賓の(社)東京都リサイクル事業協会の紺野武郎副会長は「当協会では古紙持ち去り問題は東京都と連携して撲滅に向けて取り組んでおり、関係7団体による持ち去り問題意見交換会を通じて識別制度導入に伴う車両ステッカーを12月頃より積極的に取り組んでいく方針だ。我々の業を守るために『繋がり力』が試される時にあると感じている。皆様と団結して頑張っていきたい」と述べている。


環境配慮契約法 入札参加の条件等を検討 産業廃棄物の処理契約追加で

環境配慮契約法に新たに産業廃棄物処理契約を加えることについて、契約に関する基本的事項の検討が環境省の専門委員会で行われている。環境配慮契約法は国等が行う物品調達や公共事業の発注で、温室効果ガス等の排出削減に配慮した契約を進めることを目指した法律。発注者側の環境負荷を低減させるだけでなく、供給サイドの企業に環境負荷の少ない製品やサービスの提供を促しつつ、社会全体を環境配慮型に移行させるねらいがある。
現在は電気の購入や自動車の購入・賃貸借、船舶の購入、ESCO(省エネ改修)事業、建築設計契約で具体的な環境配慮の内容や手続きが定められている。対象契約の追加など見直しを行うための協議が進められており、新たに対象となる契約に「産業廃棄物の処理に係る契約」が追加される方針が示されている。受注契約に参加する事業者に求められる資格やそれを適正に評価するための基準、更には事業者を選定するための方式と入札条件等、新たな基本方針に盛り込むべき事項についての協議が大詰めを迎えている。
現状では公共工事等の業務委託契約の多くで最低価格落札方式による業者選定が行われており、「優良産廃処理業者認定制度」に基づく優良認定業者を評価する仕組みとはなっていない。検討されている対象への追加は、こうした状況が背景にあるもので、国や自治体が優良認定業者を率先して選択する道筋が示されることで制度の実効性の向上が期待されている。
検討されている案では入札による契約について、入札参加者に必要な資格として温室効果ガスの排出削減や適正処理の能力・実績等を求めており、定められた資格を有する事業者を対象に入札を行う「裾切り方式」が採用されるもよう。当面、優良認定制度の認定は必須としないものの、制度の進捗状況を見つつ、必須化の検討が行われる。


フロン類 登録制度の新設も 漏えい防止で協議進む

冷媒として使用されているフロン類の漏えい対策の強化策を検討している環境・経産両省では、機器ユーザーに向けた管理基準の設定や、フロン充填事業者の登録制度の創設など、新たな管理体制の構築に向けた検討を行っている。冷凍空調機器フロン類の漏えいは2020年で約2300万t─CO2、2030年で2500万t─CO2に拡大するものと推計されており、温室効果ガス基準年総排出量比でそれぞれ1・8%、2・0%に相当する量となる。このうち、業務用冷凍空調機器に由来するものが約1800万t─CO2とされている。機器使用中の漏えいについてはメーカーでも現在、一定の対策が実施されてはいるが、さらに今後一層の取組みが必要とされている。また、使用の状況によっても劣化の程度は大きく異なることから、ユーザーにも一定の管理努力が求められている。
これまで一部の機器からの繰り返し重点等が漏洩量の増加に大きく影響しているとの指摘があることや、冷却性能等に影響が現れる時点で概ね3割以上が既に漏えいしているとも指摘されている。また、業務用機器は多種多様で用途や使用状況によっても管理方法が異なるため、状況に応じた適切な取り組みを促す必要があるとされている。こうした状況を踏まえ、冷媒転換の促進を進めつつつも今後数十年はフロン類が使われることが見込まれることから、ユーザーによる適切な冷媒管理が重要となる。しかし、補充時の機器修理の必要性や漏えい原因等、ユーザーが必ずしも適切な判断ができないことから、そうした点を考慮した対策が必要となる。具体的には、①ユーザーの冷凍空調機器管理水準の引き上げ、②事業者の自主管理促進と冷媒管理状況の把握、③繰り返し充てん等の防止──等の対策について検討していくこととしている。
ユーザーが準拠する機器の管理基準を国が設定し、使用環境や定期的点検、異常時の措置等の目安を示すことが望ましいとしている。また、一定以上の冷媒フロン類を排出する事業者に毎年度、排出量(冷媒補充量)等の国への報告を求め国が公表することなどの案も示されている。さらに、フロン冷媒の充てんを一定の知見を持つ業者に限定することや、ユーザーが登録業者となって自ら充てんすることを認める仕組み等について検討していくこととしている。